コラム2020年09月14日 ゴーイング・コンサーン 新型コロナの影響や10期連続でGC注記の企業も(2020年9月14日号・№849)
ゴーイング・コンサーン
新型コロナの影響や10期連続でGC注記の企業も
本誌、令和元年12月期.2月期決算を調査
東京証券取引所などに上場している企業の令和元年12月期決算では11社、令和2年1月期では2社、同年2月期では3社の監査報告書において、継続企業の前提(いわゆるゴーイング・コンサーン)に関する注記の強調事項が付されたことが本誌の調査でわかった(下掲参照)。1月期では、新都ホールディングス(旧会社名:クリムゾン)において10期連続で注記がされたほか、2月期のサマンサタバサジャパンリミテッドについては、新型コロナウイルスによる店舗の臨時休業により、今後資金繰りに影響が出てくる見込みである旨が記載されている。
なお、不適正意見や意見不表明はなかった。
【全国証券取引所における令和元年12月期決算会社に係る継続企業の前提に関する注記の強調事項の記載状況】
会社名 | 業種(上場区分) | 強調事項の内容(一部抜粋) | 監査法人等 |
ペッパーフードサービス | 小売 (東証1部) |
継続企業の前提に関する事項に記載されているとおり、会社には営業債務及び借入金の返済等の今後の資金繰りに懸念が生じており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在し、現時点では継続企業の前提に重要な不確実性が認められる。 | EY新日本有限責任監査法人 |
enish |
情報通信 (東証1部) |
継続企業の前提に関する事項に記載されているとおり、前事業年度まで4期連続となる営業損失及び5期連続となるマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しており、当事業年度においても営業損失1,456,385千円、マイナスの営業キャッシュ・フロー1,521,878千円となったことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 |
東邦監査法人 |
ダブル・スコープ |
電気機器 (東証1部) |
継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は当連結会計年度において2期連続で営業損失を計上し、また、長期借入金等の財務制限条項等に抵触しており、同財務制限条項等が適用された場合、長期借入金等に係る期限の利益を喪失することとなる。 |
有限責任あずさ監査法人 |
テラ | サービス (JASDAQスタンダード) |
継続企業の前提に関する事項に記載されているとおり、会社は前連結会計年度において継続的に営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、引き続き、当連結会計年度においても、営業損失716,066千円、経常損失773,236千円、親会社株主に帰属する当期純損失1,026,561千円を計上している。なお、2019年6月7日開催の取締役会決議において、第三者割当による第19回乃至第21回の新株予約権の発行について決議するとともに、2019年6月12日開催の取締役会において、発行条件等を決議し、2019年7月1日に払込が完了しており、また、2019年12月5日をもって、第19回新株予約権の全ての行使による資金調達が完了しているが、当面の事業資金が確保できていない。 |
有限責任開花監査法人 |
レッド・プラネット・ジャパン | 卸売 (JASDAQスタンダード) |
継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は前連結会計年度から2期連続で営業損失、経常損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しており、また当連結会計年度において、重要な親会社株主に帰属する当期純損失を計上していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 |
監査法人やまぶき |
倉元製作所 | ガラス土石製品 (JASDAQスタンダード) |
「継続企業の前提に関する事項」に記載されているとおり、会社は、前事業年度までに5期連続で当期純損失を計上し、前事業年度末において、55百万円の債務超過となった。また、当事業年度においても、当期純損失1,081百万円を計上した結果、1,135百万円の債務超過の状況にある。 |
監査法人アヴァンティア |
アプリックス | 情報通信 (マザーズ) |
継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は、前連結会計年度までの7期連続となる売上高の著しい減少及び当連結会計年度を含む8期連続となる営業損失を計上している。当連結会計年度においても、177,869千円の営業損失、182,301千円の経常損失、216,022千円の親会社株主に帰属する当期純損失を計上するに至った。 |
監査法人ハイビスカス |
小僧寿し | 小売 (JASDAQスタンダード) |
継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社グループは、継続して重要な親会社に帰属する当期純損失を計上し前連結会計年度末に債務超過となった。当連結会計年度には、第5回及び第6回新株予約権並びにA種種類株式の発行等で、債務超過を解消したものの、当連結会計年度末の純資産は9百万円と脆弱であり、抜本的な資本増強が必要な状況である。 |
監査法人アリア |
レナウン(令和2年6月15日付けで上場廃止) | 繊維製品 (東証1部) |
継続企業の前提に関する事項の注記に記載されているとおり、会社は2期連続で営業損失を計上しており、当連結会計年度においては7,999百万円の営業損失を計上している。また、当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローが△4,567百万円となっている。なお、当連結会計年度の販売費及び一般管理費に計上した貸倒引当金繰入額5,779百万円には、会社の親会社である山東如意科技集団有限公司の子会社である恒成国際発展有限公司に対する売掛金の回収が滞ったことにより計上した貸倒引当金繰入額5,324百万円が含まれており、会社の資金繰り計画に重要な影響を及ぼしている。さらに、会社は2期連続で経常損失を計上しており、その結果、一部の金融機関と締結している借入契約(2019年12月31日現在借入残高585百万円)について財務制限条項に抵触している。2020年2月末以降の新型コロナウィルスの感染拡大が販売に影響を及ぼす中、当該財務制限条項への抵触による資金繰りに与える影響が増している。 |
EY新日本有限責任監査法人 |
ジェイホールディングス |
卸売 (JASDAQスタンダード) |
継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は前連結会計年度において営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上し、当連結会計年度においても営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上し、債務超過となっていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 |
HLB Meisei有限責任監査法人 |
FHTホールディングス | 情報通信 (JASDAQスタンダード) |
継続企業の前提に関する注記に記載のとおり、会社グループは、当連結会計年度に、中国でのヘルスケア事業を進めるため、上海蓉勤健康管理有限公司(以下、「上海蓉勤社」といいます。)の出資比率合計50.9%(156百万元(約24億円))を当社代表取締役楊暁軍の妻である姜敏氏から取得し子会社化したが、この多額な取得代金の支払は、子会社エリアエナジー株式会社が保有する重要な太陽光発電所や会社が当連結会計年度に払込を受けた増資資金を使途変更し支払に充てるなどした。これらの取引の結果、当連結会計年度の売上高は、前期と比べ著しく減少し、重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上している。また、今後の資金繰りについて重要な懸念が生じている。 |
監査法人アリア |
【全国証券取引所における令和2年1月期決算会社に係る継続企業の前提に関する注記の強調事項の記載状況】
会社名 | 業種(上場区分) | 強調事項の内容(一部抜粋) | 監査法人等 |
新都ホールディングス |
卸売 (JASDAQスタンダード) |
継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は、前連結会計年度以前から継続して営業損失を計上しており、当連結会計年度においても営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上している。このような状況から、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 |
フロンティア監査法人 |
アマガサ |
卸売 (JASDAQグロース) |
継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は2016年1月期以降、継続的な売上高の減少傾向にあり、前連結会計年度において売上高5,281,942千円、営業損失156,235千円及び当期純損失825,271千円を計上し、営業キャッシュ・フローは28,883千円のマイナスとなった。さらに、当連結会計年度においても売上高4,803,540千円、営業損失266,603千円及び当期純損失254,407千円を計上するとともに、営業キャッシュ・フローは176,603千円のマイナスとなっている。このような業績の悪化等により、引き続き金融機関から借入金元本の一定期間の返済猶予等を受けている。以上のことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 |
海南監査法人 |
【全国証券取引所における令和2年2月期決算会社に係る継続企業の前提に関する注記の強調事項の記載状況】
会社名 | 業種(上場区分) | 強調事項の内容(一部抜粋) | 監査法人等 |
ビットワングループ |
情報通信 (東証2部) |
継続企業の前提に関する注記に記載されているとおり、会社は前連結会計年度において、売上高が著しく減少し、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失が発生したことに加え、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなった。当連結会計年度においても、引き続き売上高が減少し、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなっている。このため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 | 監査法人アリア |
サマンサタバサジャパンリミテッド |
その他製品 (マザーズ) |
継続企業の前提に関する事項に記載されているとおり、会社は当連結会計年度末において有利子負債額が7,810百万円(短期借入金3,933百万円、1年内返済予定長期借入金3,207百万円、長期借入金669百万円)と手元流動性1,660百万円(現金及び預金)に比し高水準な状況にある一方、当連結会計年度に1,184百万円の営業損失を計上した。また、新型コロナウイルス感染拡大防止のための政府の緊急事態宣言の期間中、国内の大部分の店舗で臨時休業しており、今後資金繰りにも影響が出てくる見込みである。これらの状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 |
東邦監査法人 |
ワイズテーブルコーポレーション |
小売 (東証2部) |
重要な後発事象(継続企業の前提)に記載されているとおり、会社グループには営業債務の支払い及び借入金の返済等の資金繰りに懸念が生じており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しており、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる。 |
EY新日本有限責任監査法人 |
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.