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税務ニュース2020年09月18日 帳簿等の不提示事案、上告手続き(2020年9月21日号・№850) 「消費税制度の本質・骨格と相反する条文解釈」など争点に

  • 帳簿等の不提示による仕入税額控除否認事件で、控訴審で敗訴(本誌848号4頁参照)した納税者は令和2年9月4日、上告状及び上告受理申立書を提出。
  • 訴訟の経緯からは、「消費税制度の本質・骨格と相反する条文解釈」のほか、多様な争点が設定される見込み。

 本件における最大の争点は、「消費税制度の本質・骨格と相反する条文解釈」となる。これまで納税者は、付加価値税の性格を有する現行消費税制度において仕入税額控除を否認することは、消費税の本質・骨格に反する「拡張解釈」であり、許されないと主張してきた。一審段階では、租税法学者の意見書を提出し、付加価値税において仕入税額控除の否認は許されないとする自らの主張を補強するなど、「拡張解釈」に対する強い問題意識がうかがえる。
 一方で、「帳簿等の不提示」については、類似事案の最高裁判決があり、反論しづらい状況にあった。類似事案では、滝井繁男判事の反対意見(本誌817号41頁参照)が寄せられたものの、判例は類似事案を「帳簿等を保存しない場合」に該当すると結論付けている。上告人は、「本件は最高裁判決の事案とは異なる事案である」旨主張するも、高裁までは斥けられてきた。
 消費税率の引き上げに伴い、事案の経緯と結果(追徴税額約38億円)が釣り合わない“高すぎる代償”となっていることに、上告人は、調査時の対応を悔いながらも、反発している。
 上告人は、本件固有の事情として、課税庁の調査時の対応・更正処分時の対応(更正理由の附記)に非があるとも主張する。無予告調査や調査理由の開示要求という経緯を踏まえ、「本件調査担当者が納税者に対して帳簿等の提示を求める際、納税者が仕入税額控除を否認されることを知らないでいることを認識しながら、仕入れ税額控除否認の仕組みを説明教示しなかったから、本件調査における帳簿等の提示の求めは違法である。」など、「帳簿等の不提示には提示の求めに対し『応じ難いとする理由』がある。」としている。これらの調査の経緯上の課税庁の非については、本件を取り上げた税務雑誌の論稿を書証として提出し、課税庁の調査官の対応に様々な問題を提起してきた。また、巨額の課税処分という不利益処分が課されるに当たり、弁明の機会が与えられていないことが正義に反するとも主張している。
 これまでの本件訴訟の経緯からは、争点、すなわち、上告(受理申立て)理由はバラエティに富んだものとなりそうだ。

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