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会計ニュース2020年09月18日 取締役報酬の株式無償交付で会計処理案(2020年9月21日号・№850) ASBJが実務対応報告案を公表、令和3年3月1日以後から適用へ

  • 企業会計基準委員会、「取締役の報酬等としての株式を無償交付する取引に関する取扱い(案)」等を公表。
  • ストック・オプション会計基準の定めをベースに事前交付型と事後交付型の会計処理を示す。

 企業会計基準委員会(ASBJ)は9月11日、実務対応報告公開草案第60号「取締役の報酬等としての株式を無償交付する取引に関する取扱い(案)」等を公表した(11月11日まで意見募集)。昨年12月11日に公布された改正会社法で導入されることになった取締役の報酬等として株式を無償交付する取引(会社法202条の2)の会計処理を定めたものであり、法務省が9月1日に公表した会社計算規則案を踏まえたものとなっている。
 取締役の報酬等として株式を無償交付する取引についてはいわゆる事前交付型と事後交付型が想定されるが、自社の株式を報酬として用いる点でストック・オプションと類似性があることから、費用の認識や測定はストック・オプション会計基準の定めに準ずるとしている。その上で事前交付型(表1参照)と事後交付型(表2参照)のそれぞれについて会計処理を定めている。
 ただし、実務対応報告案では基本となる会計処理のみを定めているため、実務対応報告案に定めのないその他の会計処理についてはストック・オプション会計基準等の定めに準じて会計処理を行うとしている。
 注記事項も、ストック・オプション会計基準等をベースに定められている。具体的には、①事前交付型について、取引の内容、規模及びその変動状況(各会計期間において権利未確定株式数が存在したものに限る)、②事後交付型について、取引の内容、規模及びその変動状況(各会計期間において権利未確定株式数が存在したものに限る。ただし、権利確定後の未発行株式数を除く)、③付与日における公正な評価単価の見積方法、④権利確定数の見積方法、⑤条件変更の状況の記載が求められる。
 その他、事後交付型におけるすべての権利が確定した場合に交付されることになる株式は、1株当たり当期純利益会計基準第9項の「潜在株式」として取り扱うとし、潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定においては、ストック・オプションと同様に取り扱う。また、株式引受権は、1株当たり純資産の算定上、1株当たり当期純利益会計基準適用指針第35項の期末の純資産額の算定にあたっては、貸借対照表の純資産の部の合計額から控除することになる。
 なお、適用は改正会社法の施行日(令和3年3月1日予定)以後に生じた取引からとされている。

【表1】事前交付型の会計処理

(1)新株の発行により行う場合
・割当日における取扱い
 当初の割当日において新株を発行し発行済株式総数が増加するが、その時点では資本を増加させる財産等の増加は生じていないことから、割当日には払込資本を増加させない。
・対象勤務期間における取扱い
 企業が取締役等から取得するサービスは、その取得に応じて費用として計上する。各会計期間における費用計上額は、株式の公正な評価額のうち、対象勤務期間を基礎とする方法その他の合理的な方法に基づき当期に発生したと認められる額とする。また、当該処理により年度通算で費用が計上される場合は、対応する金額を資本金又は資本準備金に計上し、年度通算で過年度に計上した費用を戻し入れる場合はその他資本剰余金から減額する。
 なお、四半期会計期間においては、計上する損益に対応する金額はその他資本剰余金の計上又は減額として処理し、年度の財務諸表においては、上記の処理に置き換える。
・没収における取扱い
 没収(事前交付型において権利確定条件が達成されなかったことにより企業が無償で株式を取得することが確定すること)により、企業が無償で株式を取得したときは、自己株式の無償取得として、自己株式の数のみの増加として処理する。
(2)自己株式の処分により行う場合
・割当日における取扱い
 当初の割当日において自己株式を処分するため、その時点で自己株式の帳簿価額を減額するとともに、同額のその他資本剰余金を減額する。
・対象勤務期間における取扱い
 ストック・オプション会計基準と同様に、各会計期間において報酬費用の認識と測定を行い、対応する金額をその他資本剰余金として計上する。
・没収における取扱い
 没収により、企業が無償で株式を取得したときは、当初の割当日において減額した自己株式の帳簿価額のうち、没収により取得した部分に相当する額の自己株式を増額し、同額のその他資本剰余金を増額する。

【表2】事後交付型の会計処理

(1)新株の発行により行う場合
・対象勤務期間における取扱い
 ストック・オプション会計基準と同様に、各会計期間において報酬費用の認識と測定を行い、対応する金額を、新株の発行が行われるまでの間、貸借対照表の純資産の部の株主資本以外の項目に株式引受権として計上する。
・割当日における取扱い
 権利確定条件を達成した後の割当日に、株式引受権として計上した額を資本金又は資本準備金に振り替える。
(2)自己株式の処分により行う場合
・対象勤務期間における取扱い
 ストック・オプション会計基準と同様に、各会計期間において報酬費用の認識と測定を行い、対応する金額を、自己株式の処分が行われるまでの間、貸借対照表の純資産の部の株主資本以外の項目に株式引受権として計上する。
・割当日における取扱い
 権利確定条件を達成した後の割当日に、自己株式の取得原価と株式引受権の帳簿価額との差額を、自己株式処分差額として、その他資本剰余金を増減させる。

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