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企業法務2007年09月19日 株主総会の分散化から考える会社法の実務スケジュール 執筆者:高橋均

1.株主総会とは

 株主総会は、取締役と並んで全ての株式会社に設置しなければならない機関です。株主は、取締役に会社経営を委ねていますが、取締役の選任・解任は株主総会の決議事項です。株主総会では、取締役等の機関の選任・解任決議以外にも、定款変更等の会社の基礎に根本的な変動を生じさせる事項、合併契約の承認に関する事項などを決議します。このように、会社の構成員である株主が、株主総会に直接参加することによって、株式会社の基本的意思決定を行うことになります。
 株主総会には、決算期ごとに招集される定時株主総会と、合併等の重大な決定事項が生じたときに随時招集される臨時株主総会がありますが、特に大規模公開会社の場合は、多数の株主への招集通知の発送などの事務的な負荷も大きいため、通常は、株主総会といえば、定時株主総会のこととなります。株主の議決権の行使は、株主名簿の基準日から3ヶ月以内と規定(会社法124条2項)されている関係から、通常は事業年度の末日である基準日との関係で、3月期決算の会社の場合は、株主総会は6月末までに開催する必要があります。

2.定時株主総会の集中日開催

 この3ヶ月の間において、経営者は事業報告や計算書類等を作成し、会計監査人や監査役による監査を受けるととともに、取締役会設置会社であれば、取締役会の承認を経て、株主に対して招集通知や添付書類・参考書類の発送も行わなければなりません。しかし、このような必要的手続きはあるにせよ、わが国の多くの会社の定時株主総会は、長らく6月末の特定日に集中していました(いわゆる株主総会集中日。平成19年の場合は6月28日)。株主総会を特定の日に集中することによって、株主の出席を各社に分散させ、結果的に総会を短時間でかつ平穏無事に終了しようという意図が、会社側に全くなかったとはいえないでしょう。しかし、株主権の行使に伴う利益供与に係る規定(会社法970条)など、特殊株主(総会屋)に対する法規制が強化されるとともに、会社運営の透明性が求められている今日、定時株主総会を健全な株主との有意義な対話の場と捉え、株主からの質問に対しても、丁寧に時間をかけて説明をしている経営者が増えているようです。このような経営者を擁する株式会社では、定時株主総会の開催日を、集中日から意識的に前倒ししようとしています。ちなみに3月期決算の東証上場企業のデータでは、平成7年の96%をピークに年々下がり、本年は53%の集中日開催となったようです(東京証券取引所HPより)。

3.会社法の手当て

 会社法では、定時株主総会の開催日の柔軟化のための法的手当てをしました。旧商法では、取締役が計算書類等を監査役および会計監査人に提出する期限は、定時株主総会の会日の7週間前(大会社では8週間前)でした(旧商法281条ノ2第1項、旧商法特例法12条1項)が、会社法ではこの規定を撤廃しました。従来は、計算書類等を監査役や会計監査人が受領した後、監査報告の作成を迅速に済ませ、取締役(会)に前倒しにその内容の通知を行っても、取締役による計算書類等の提出日と株主総会の開催日の間に、7週間または8週間の期間を置く必要があったために、定時株主総会を早く開催することができませんでした。会社法施行以降は、事業報告及び計算書類並びにこれらの附属明細書の作成と監査報告のまとめの時期次第では、株主総会の前倒し開催の自由度がかなり増すことになりました。さらに、公開会社の定時株主総会の集中日開催に対して、その日時を決定した理由を、特に理由がある場合には株主総会の招集通知に記載しなければならなくなり(会社法298条1項5号、会社法施行規則63条1号ロ)、集中日の総会開催に合理的な理由が求められるようになりました。このような法的手当ての後押しもあり、今後は、定時株主総会の分散化は進んでいくと思われ、将来的には集中日そのものが存在しなくなる可能性もあります。

4.会社法と実務スケジュール

 このような定時株主総会の開催日にみられるように、会社法に関するスケジュールの改廃が、実は大きな意味を持つことがあります。また、会社法では、スケジュール管理に関して、「期間」「期限」「期日」「直ちに」「速やかに」「遅滞無く」などの用語の正確な区別の必要性や、期間の起算点にも注意すべき多くの項目があります。
 会社運営・管理の実務担当者が、会社法の条文の法解釈に時間をとられ、各種の通知・催告・公告期限等を失念することは、業務遂行上、致命的になります。したがって、会社の実務にたずさわる者としては、とりわけ会社法のスケジュール規定について、その正確な内容把握を行っていきたいものです。

(2007年9月執筆)

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