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2025年05月26日 厚労省「就活ハラスメント対策」を強化へ 求められる企業対応とは(前編) 執筆者:大須賀信敬

 「就活ハラスメント」が社会問題化する昨今、厚生労働省は2024年12月の労働政策審議会の建議を受け、本問題の削減などを目的とする立法化の動きを見せている。このような状況下で、企業はどのような対応を採るべきなのか。今回は審議会の建議内容、リスク回避のためにいま企業が実施したい取り組みなどを整理してみよう。

目 次
1 社会問題化する「就活ハラスメント」
2 就活ハラスメントに関する「雇用管理上の措置義務」創設を提言


3 進まない「就活ハラスメント」に関する企業の取り組み(後編)
4 早急に進めたい「就活ハラスメント対策」(後編)

1 社会問題化する「就活ハラスメント」
 現在、インターンシップ時や就職活動時に学生が企業関係者などからセクシュアルハラスメントを受ける就活ハラスメントが社会問題化している。

 厚生労働省が実施した『職場のハラスメントに関する実態調査(令和5年度)』によると、2020年度から2022年度の間に卒業した若者で就職活動中(インターンシップ中を除く、以下同じ)にセクハラを経験した者は31.9%、インターンシップ中に経験した者は30.1%である。実に3割近くの学生が、就活ハラスメントの被害を受けている現状が明らかにされた。

 最も多いハラスメント行為は就職活動中では「食事やデートへの執拗な誘い」(33.2%)、インターンシップ中では「性的な冗談やからかい」(38.2%)であった。他にも、「性的な事実関係に関する質問」「不必要な身体への接触」などのハラスメント行為が発生している。

 一体、誰がこのような行為に及んでいるのだろうか。

 就職活動中の学生に対しては、最もハラスメントの多い行為者は「大学のOB・OG訪問を通して知り合った従業員」(38.3%)とされている。それに続き「学校・研究室等へ訪問した従業員、リクルーター」(37.0%)、「採用面接担当者」(25.1%)などが行為者として挙げられている。

 一方、インターンシップ中の学生に対しては「インターン先で知り合った従業員」(47.4%)が最も多い行為者であり、「インターン先での上司・指導役(役員以外)」(32.0%)、「インターン先の顧客等(患者やその家族等を含む)」(26.3%)と続いている。

2 就活ハラスメントに関する「雇用管理上の措置義務」創設を提言
 以上のような状況を鑑み、厚生労働省の労働政策審議会雇用環境・均等分科会では、職場におけるハラスメント防止対策の強化について2024年9月から有識者による審議を重ねてきた。計7回実施された議論の結論は、2024年12月26日に厚生労働大臣に建議されている。

 建議の中で「法的整備を含めた措置を講じることが適当」と指摘された事項の概要は次のとおりである。

(1)「雇用管理上の措置義務」を創設する
①就活ハラスメント防止措置を講じることを、措置義務として法的義務化する。事業主が講ずべき雇用管理上の措置の具体的な内容は『セクシュアルハラスメント防止指針』の内容を参考とする。例えば、次の内容を指針で明確化する。

・事業主が方針等を明確化する際は、面談等のルールをあらかじめ定めておくこと。また、求職者の相談に応じられる窓口を周知すること。
・セクシュアルハラスメントが発生した場合は、行為者の謝罪および相談対応等を行うこと。



②求職者に対するパワーハラスメントに類する行為等について、『パワーハラスメント防止指針』等で記載の明確化等を図る。また、同指針等の周知を強化して防止に向けた取り組みを推進し、社会的認識の深化を促す。

(2)「求職者に対する情報公表」を促進する
①「事業主が講ずる雇用管理上の措置内容を公表していること」をプラチナえるぼし認定の要件に位置付ける。

 以上の建議を受け、厚生労働省では就活ハラスメント防止のために事業主に「雇用管理上必要な措置」を義務付けるなどする法案(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案)を作成。法案は2025年3月11日の閣議決定を経て、第217回通常国会に提出された。本稿執筆時点では衆議院で審議中である。

<著者プロフィール>
大須賀 信敬
コンサルティングハウス プライオ 代表
(組織人事コンサルタント/中小企業診断士・特定社会保険労務士)

中小企業の経営支援団体で各種マネジメント業務に従事後、 2007年4月に組織運営及び人的資源管理のコンサルティングを行う中小企業診断士・社会保険労務士事務所「コンサルティングハウス プライオ」を設立。『気持ちよく働ける活性化された組織づくり』(Create the Activated Organization)に貢献することを事業理念とし、組織人事コンサルタントとして大手企業から小規模企業まで、さまざまな企業・団体の「ヒトにかかわる経営課題解決」に取り組んでいる。一般社団法人東京都中小企業診断士協会及び千葉県社会保険労務士会会員、ISO30414(人事マネジメント)リードコンサルタント/アセッサー。
オフィシャルサイト https://www.ch-plyo.net

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