一般2025年07月11日 話芸で伝える身近なリスク アマチュア落語家の弁護士 提供:共同通信社

身近なリスクの話に耳を傾けてもらおうと、コンプライアンスや防災の題材を創作落語にして伝える弁護士がいる。企業法務を得意とするTMI総合法律事務所名古屋オフィスの尾形和哉(おがた・かずや)弁護士(49)は、昨年からアマチュア落語家として高座に上がっている。イベント出演など活動の場を広げており「日本の話芸の強みを社会課題の解決に生かしたい」と意気込む。
「セクハラ、パワハラ、過労にサブロク、サービス残業、下請法違反…」。古典落語「寿限無」の一節「寿限無寿限無五劫(ごこう)の擦り切れ…」の調子で、相談の多いコンプライアンス問題を矢継ぎ早に言う場面が見せ場の「コンプラ寿限無」は尾形さん自作の演目だ。
ある企業の「コンプライアンス室」が社員への啓発のため、違反の代表例を列挙した名前に改名するストーリー。難解な言葉が長々と並ぶ寿限無の主人公の名前を、長男(12)が幼少期に自然と暗唱したことに着想を得た。企業向けセミナーで披露し、好評という。
落語を始めたきっかけは、個人で続けている防災の啓発活動だ。東日本大震災の被災地福島県の出身者として、地域ぐるみで災害に備えることの必要性を強く感じており、人々に興味を持ってもらう手段を探していた。
以前から親交のあったカナダ人落語家桂三輝(かつら・さんしゃいん)さんが英語で海外公演を成功させていたことから、落語の自由度の高さに目を付けた。防災を落語で伝えたいと思い立ち、2年ほど前に愛好家として弟子入り。昨年7月に東京・浅草の寄席「木馬亭」で輝亭郷生(かがやきてい・きょうせい)を名乗り、初めて高座に上がった。
尾形さんは「一人二役以上を演じて、いろいろなメッセージを伝えられる」と落語の魅力を語る。今年5月に名古屋市中区のカフェで行われた防災イベントでは、コンプラ寿限無に防災の話題を織り交ぜて披露。40人ほどの観客が、笑い声を上げながら聞き入った。
活動を広めるため、三輝さんを講師に招いた落語講座も開いている。「高座に上がる仲間が増え、より多くの人に伝えられるようになれば」と期待を膨らませた。
(2025/07/11)
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