人事労務2026年03月03日 揺らぐ制度、安全対策課題 業務に不安、担い手不足も 保護司殺害判決 提供:共同通信社

大津市の保護司殺害事件で無期懲役とされた飯塚紘平(いいつか・こうへい)被告(36)は、自身の保護観察期間中に就職ができずに国への不満を募らせ、保護司宅での面談の機会を狙い犯行を企てたとされ、制度の在り方を揺るがす事態となった。事件をきっかけに安全面での課題が浮き彫りになり、国は法改正で対策を急ぐが、関係者からは業務への不安や家族の反対から担い手不足に拍車がかかることへの懸念が高まっている。
▽密室
「(事件を受け)保護司の安全対策を早急にしなければいけないと思った」。2月中旬から始まった大津地裁の裁判員裁判。検察側証人として出廷した大津保護観察所長は心境を語った。事件後は、自宅での面談を不安に感じ、自宅以外で実施するようになった保護司もいるとし、現場から不安の声が上がっている実情を明かした。
殺害された新庄博志(しんじょう・ひろし)さん=当時(60)=と交流があった滋賀県草津市の保護司高岡由喜晃(たかおか・ゆきてる)さん(62)は、保護観察対象者との面談は自宅で「一対一」の密室状態で実施することが多いと説明。「複数人で対応すると圧迫感がある。自宅だからこそ心が開ける」というが、2人きりでも緊急時にすぐに助けを呼べる仕組み作りが必要だとする。
▽一転
保護司は地域の民間人がボランティアで務め、刑務所や少年院を出た人たちの立ち直りを支えるが、人数は減少傾向で平均年齢も65歳超と高齢化が進む。法務省が2023年に立ち上げた制度の有識者検討会では当初、原則66歳以下とする年齢制限撤廃や、公募制の試行が議論の中心だった。
しかし24年5月に起きた今回の事件を受け、一転して安全対策が議題の柱に。検討結果を基に成立した昨年12月の改正保護司法では、保護司の安全環境の整備を「国の責務」と明記、地方自治体に対し自宅以外の安全な活動場所の提供を努力義務とした。保護区ごとの活動が前提だった運用も柔軟にし、近隣の更生保護サポートセンターを使いやすくするなどした。
同時期に改正された関連の更生保護法でも、保護観察対象者の再犯リスクの分析・評価へ情報収集を強化し、リスクに応じて保護観察官の関与を強めることを求めた。
保護司制度に詳しい福島至(ふくしま・いたる)龍谷大研究フェローは「住環境の変化などで自宅での面談が難しくなる中、公的施設の活用は選択肢が増えて良いことだ」と評価。その上で被告のような長期間にわたる執行猶予中の対象者支援はリスクや負担が大きく、公判段階から裁判所が主体となって年単位での更生プランを立てる必要があると指摘した。
(2026/03/03)
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