一般2026年03月23日 少子化対策、見えぬ成果 「解体論」も、苦境続く こども家庭庁発足3年 提供:共同通信社

子ども政策の司令塔として「こどもまんなか社会」の実現を掲げ、こども家庭庁が発足して4月で3年。児童手当の拡充などの支援策を打ち出してきたが、予算規模に見合う成果を上げていないとして、同庁の「解体論」や「不要論」といった批判もくすぶる。少子化傾向が反転する兆しは見えず、苦境が続く。
▽拡大
「少子化対策は出生数や出生率がすぐに回復するという性質ではない」。政府関係者は、見える形で成果が出にくいという苦悩を吐露する。
2025年に生まれた子どもの数は外国人を含む速報値で約70万5千人だった。10年連続で最少を更新し、少子化に歯止めがかかっていない。
決して対策を怠っていたわけではない。岸田政権だった23年12月に閣議決定した「こども未来戦略」に基づき、子育て世帯の「切れ目のない支援」を掲げて対策を進めてきた。特に24~26年度を「集中取り組み期間」と位置付け、児童手当は支給を高校生年代まで延長し所得制限を撤廃。育児休業給付を拡充した。
今年4月からは、親の就労に関係なく生後6カ月~2歳を預けられる「こども誰でも通園制度」を全国で展開。子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴の確認を義務付ける「日本版DBS」を12月から始める。
こども家庭庁の予算規模は拡大。発足した23年度は約4兆8千億円(当初ベース)だったが、25年度は約7兆3千億円(同)となった。
▽道半ば
ただ、未来戦略に基づく対策の財源として、公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」は国民の理解を得ているとは言いがたい。支援金の使い道は子育て支援に限られるため、単身や子どもを持たない人には直接的な恩恵がないとして「独身税だ」との批判は根強い。
交流サイト(SNS)では一時「こども家庭庁を解体すれば『新生児1人につき1千万円』配れる」といった投稿も。黄川田仁志こども政策担当相は昨年12月の記者会見で「丁寧な説明で『不要論』に応えていきたい」と身構える。現場の職員も神経をとがらせて世論の動向を警戒する。
東京大の山口慎太郎(やまぐち・しんたろう)教授(労働経済学)は「子どもの幸せを考えて対策に落とし込む行政機関ができたのはプラスだ」としつつも大きな成果は乏しく3年間の取り組みは「道半ば」と説明する。
政府は30年代に入るまでを「少子化反転のラストチャンス」としているが、出生数は下げ止まらない。山口氏は結婚や出産に関する価値観の多様化なども影響しているとみて、行政による対策だけでは反転は難しいと指摘する。
その上で「生まれてきた子どもたちが幸せな人生を送れるよう支援し続けることが、長期的には社会の利益につながる」と提言する。こども家庭庁には対策の効果を検証し、必要があれば見直す姿勢が求められる
こども家庭庁を巡る動き
こども家庭庁を巡る動きは次の通り。
2021年4月 菅義偉首相(当時)が子ども関連政策の司令塔の検討を進めるよう自民党の幹事長(当時)に指示
22年6月 こども家庭庁設置関連法が成立
23年1月 岸田文雄首相(当時)が「異次元の少子化対策に挑戦する」と表明
4月 こども家庭庁が発足
12月 具体的な政策や財源を盛り込んだ「こども未来戦略」と「こども大綱」を閣議決定
24年6月 少子化対策関連法が成立
26年4月 「こども誰でも通園制度」の全国展開と「子ども・子育て支援金制度」が開始
12月 子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する「日本版DBS」が開始
こども家庭庁
少子化や児童虐待、子どもの貧困など子ども関連政策の「縦割り」を解消するため、厚生労働省と内閣府の関連部局を移し、内閣府の外局として2023年4月に発足した。内部は「1官房2局」の構成。「長官官房」は子どもや子育て当事者の視点に立った政策立案を進める。「成育局」は妊娠・出産支援や保育政策を担当。「支援局」は子どもの自殺対策、いじめ防止、障害児支援を担う。職員数は国立児童自立支援施設を含め、発足時の約430人から約510人体制に拡大した。
(2026/03/23)
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