一般2026年05月17日 誇大広告につられ返済頓挫 不適切面談で方針決定 債務整理選んだ60代男性 提供:共同通信社

借金を減らせると過大に期待させる弁護士法人のインターネット広告が社会問題になっている。多重債務に悩んだ東京の60代男性は、広告を見て弁護士に接触。任意整理を選択させられたが完済できず、別の弁護士に自己破産を依頼する羽目に。最初の弁護士は結論ありきで十分に話を聴いてくれなかったと言い、男性は「早く借金をどうにかしたい一心で、目を引く広告に飛びついてしまった」と悔やんでいる。
男性が「借金減額診断」を見て都内の弁護士法人に連絡したのは2024年10月ごろ。減額診断は弁護士法人などがネット上に出す広告で、借金の額や返済状況を入力するだけで減額の可能性や方針を示される簡便さから一般的になりつつある。
男性は20年6月に中咽頭がんを発症し、5カ月近い入院と自宅療養を余儀なくされた。仕事ができず収入は途絶えたが、遠方に住む長男も同時期に仕事を失ったため、病身ながら月14万円の仕送りを続けることに。肺へのがん転移も分かり、消費者金融を含む9社からの借金は最終的に760万円まで膨れ上がった。
減額診断でつながった弁護士法人から「相談に乗れる」とメールが届き、後日事務所で担当弁護士と面談した。本人や弁護士が貸し手と直接交渉する任意整理を勧められ、毎月17万円の返済が決まった。男性が自身の健康状態を伝えても「返済は可能だ」の一点張りで、他の選択肢を示してくれなかったと言う。男性は「知識がなく、信じ切ってしまった」と話す。
8カ月にわたり返済を続けたものの家計は苦しくなる一方で、ニュースで知った自己破産への切り替えを提案した。しかし「裁判所に提出する資料を10日以内にそろえないといけない」などと取り合ってもらえず、やむなく契約を打ち切った。裁判所が関与する自己破産は任意整理より手続きが複雑なため、弁護士の負担が重いとされる。支払った弁護士費用は約130万円に上った。
現在は新たな弁護士の下で自己破産の手続きを進めている。担当する谷崎翔弁護士は「債務整理では債務者の年齢や病気、家族の状況などから生活の変化を予測することが重要で、収支を計算するだけでは甚だ不十分だ」と批判。60代で任意整理を始めるのは適切とは言えないとも指摘した。
男性が力なく語った。「他の選択肢があると初めから知らされていれば、もう少し早く生活再建に向かえたのに」
債務整理のネット広告問題 債務者が借金の減額、免除または支払いの猶予を目的に行う手続き。裁判所の決定で返済が免除される「自己破産」、貸し手と直接交渉する「任意整理」などがある。減額を過度に期待させるインターネット広告が問題になっており、日弁連は2月に「業務広告に関する指針」を改正し、借金減額診断を「誤認の恐れのある広告」に追加した。債務者が弁護士法人との契約を検討する過程で、弁護士ではなく事務員としか相談できないケースも多いとされる。
(2026/05/17)
(本記事の内容に関する個別のお問い合わせにはお答えすることはできません。)
人気記事
人気商品
関連商品
-

-

団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -















