知的財産2026年05月16日 歌手にBGM使用料分配 権利創設、レコード会社も 著作権法改正案、閣議決定 提供:共同通信社

政府は15日、カフェなどの商業施設で流れるBGMの使用料を歌手や演奏家、レコード会社が受け取る権利の創設を盛り込んだ著作権法改正案を閣議決定した。これまでは作詞家や作曲家にだけ分配されていた。海外では歌手にも対価を支払うのが主流となっており、足並みをそろえることで日本の歌手の権利保護や新たな収入源の確保を図り、積極的な海外進出を後押しする。
商業施設側は、新たな負担が生じることになる。使用料の具体額や徴収方法などの検討、国民への周知に時間が必要として、施行は公布から3年以内とする。松本洋平文部科学相は記者会見で、使用料の検討に当たり、小規模事業者の負担に配慮する考えを示した。
権利の創設を提言した文化審議会も、小規模事業者に対し、使用料の支払い免除や減額などを検討するよう求めている。
楽曲が流れた際に歌手らが報酬を得る権利は「レコード演奏・伝達権」と呼ばれる。1961年採択のローマ条約に盛り込まれ、欧州や韓国など142の国や地域で導入済みだが、日本は導入を見送ってきた。このため日本の曲が海外の商業施設で流れても、歌手やレコード会社は使用料を得られていなかった。
近年、日本のアニメ関連曲やJ―POPの人気が海外で急上昇し、権利の導入を求める声が強まっていた。
改正案は、レコード演奏・伝達権を創設することを明記。BGM使用料の徴収と分配は文化庁長官が指定する団体が担うとした。団体は商業施設側と協議し、使用料に関する規定を定める。文化庁によると、使用料はカフェなどの店舗だけでなく、スポーツ競技やイベントの会場など、利用状況に応じて設定される。具体額は法成立後に検討される見通しだ。
事業者の負担配慮焦点 「3割が徴収対象」推計も
BGM使用料を歌手やレコード会社が受け取る権利の創設に当たっては、新たに使用料を徴収される商業施設側の負担にどこまで配慮できるかが焦点となる。飲食サービス業など全業種を対象とした音楽関係団体の調査によると、事業所の3割が徴収対象になり得るとの推計もあり、負担増への懸念は根強い。
使用料の具体額や徴収方法は、法成立後に文化庁の指定団体が検討することになる。小規模事業者に対し徴収免除や減額などの配慮を求める声が寄せられているといい、松本洋平文部科学相は「文化庁としても目配りしたい」と検討に一定の関与をする姿勢を示した。
BGM使用料は、現在でも一定額を徴収し、作詞家や作曲家らに分配されている。例えば店舗面積500平方メートル以下の店では年間6千円程度。医療、教育機関や、事務所内で従業員のみを対象に楽曲を流す場合などは、徴収が免除されている。
日本レコード協会などが約3万事業所を対象に実施した2023年の調査では、29・7%がCDなどの楽曲を事業所で流していた。宿泊業・飲食サービス業では50%を超えた。実際に全てが徴収対象になるとは限らないが、法改正後に新たな使用料が発生する可能性がある。
飲食店やホテルが加盟する全国生活衛生同業組合中央会は今年1月、文化審議会に提出した意見書で、使用料上乗せへの懸念を表明。一般客に十分に周知されなければ、サービスや商品に価格転嫁することも困難だと訴えた。文化庁担当者は「さまざまな意見を聞き、きめ細かな制度にする必要がある」と話している。
(2026/05/16)
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