医療・薬事2026年05月25日 元患者400人再び療養所 高齢化、差別の恐れ背景 ハンセン病、法廃止30年 提供:共同通信社

ハンセン病患者に対する隔離政策を規定した、らい予防法が廃止された1996年以降の30年間で、全国13の国立療養所から社会復帰したものの、再び療養所に入所した元患者が少なくとも延べ415人に上ることが24日、共同通信の取材で分かった。高齢化による健康面の不安や、根強い偏見・差別への恐れが背景にあるとみられる。
今年4月で予防法廃止から30年、5月で同法を憲法違反とし、国に元患者への賠償を命じた2001年の熊本地裁判決から25年の節目となるのを機に、13療養所の入所者自治会などにアンケートを実施。2~5月、文書や口頭で回答を得た。
再入所の理由について、全国ハンセン病療養所入所者協議会の屋猛司会長(84)=岡山・邑久光明園自治会長=は取材に「外に出ても病歴などを隠さざるを得ず、ストレスがたまる。それだけ社会の偏見・差別がきついということだ」と指摘した。
高齢化の影響を指摘する意見が複数あり、群馬・栗生楽泉園の笠井智自治会長(82)は、家族・親族との関係の希薄さを挙げた。その上で「療養所がかつての暗いイメージではなく、施設、介護が充実しているためと思われる」との見方を示した。
らい予防法廃止30年の節目を迎えての感想を尋ねると、偏見・差別の解消に向けた思いが寄せられた。熊本・菊池恵楓園の太田明自治会長(82)は「地域との共生を図りつつ、歴史資料館などの保存と管理に努めたい」。沖縄・宮古南静園自治会は「風化させず、次代へ継ぐ取り組みに力を入れてほしい」として、人権教育の充実を求めた。
厚生労働省によると、96年に約5500人だった入所者数は、25年5月には639人に減り、平均年齢は88・8歳。社会復帰した人らを支援する給与金を受給する退所者は772人だ。入所者数、退所者数とも減少傾向にある。
31年 全ての患者の隔離を目指す旧らい予防法成立
53年 新らい予防法成立。隔離政策を維持
96年4月 予防法廃止
2001年5月 元患者による国家賠償請求訴訟で、熊本地裁が予防法を違憲とし国に賠償命令。国は控訴せず、小泉純一郎首相(当時)が謝罪
09年 差別解消を図るハンセン病問題基本法施行
19年 熊本地裁が元患者の家族による国賠訴訟で、差別被害を認め国に賠償命令。国は控訴せず、安倍晋三首相(当時)が謝罪
24年 厚生労働省が実施した全国意識調査で、差別や偏見が「現在、世の中にあると思う」と回答した人が39・6%だったとの結果公表
(2026/05/25)
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