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児童福祉法の一部改正(令和4年12月16日法律第104号〔第6条〕 公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行 ※令和7年3月26日(政令第84号)において令和7年12月1日からの施行となりました
法律 新旧対照表
  • 公布日 令和4年12月16日
  • 施行日 令和7年12月01日

厚生労働省

昭和22年法律第164号

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◇障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(政令第八四号)(厚生労働省)

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律(令和四年法律第一〇四号。以下「法」という。)附則第一条第四号に掲げる規定の施行期日は、令和七年一〇月一日とした。ただし、法第三条中障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成一七年法律第一二三号)の目次の改正規定、同法第五章の章名の改正規定、同法第八九条の二の二第一項及び第八九条の二の三の改正規定、同条を第八九条の二の一〇とする改正規定、同条の次に一条を加える改正規定、同法第八九条の二の二の次に七条を加える改正規定、同法第一〇九条の次に二条を加える改正規定、同法第一〇一条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定並びに同法第一一二条の改正規定並びに法第六条の規定並びに法附則第六条、第四一条及び第四二条の規定の施行期日は、令和七年一二月一日とした。


◇障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律(法律第一〇四号)(厚生労働省)

一 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の一部改正
 1 障害者が自らの希望する地域生活を実現するための支援の充実に関する事項
  ㈠ 共同生活援助の支援内容の追加
 共同生活援助の支援内容に、居宅における自立した日常生活への移行を希望する入居者につき、当該日常生活への移行及び移行後の定着に関する相談その他の主務省令で定める援助を行うことを追加することとした。(第五条第一七項(公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日以降は第五条第一八項)関係)
  ㈡ 地域生活支援拠点等の整備等
   ⑴ 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、地域において生活する障害者又は障害児(以下「障害者等」という。)及び地域における生活に移行することを希望する障害者等(イからハまでにおいて「地域生活障害者等」という。)につき、地域において安心して自立した日常生活又は社会生活を営むことができるようにするため、次に掲げる事業を行うよう努めるものとした。(第七七条第三項関係)
    イ 障害の特性に起因して生じる緊急の事態その他の主務省令で定める事態に対処し、又は当該事態に備えるため、地域生活障害者等、障害児(地域生活障害者等に該当するものに限る。ロにおいて同じ。)の保護者又は地域生活障害者等の介護を行う者からの相談に応じるとともに、地域生活障害者等を支援するための体制の確保その他の必要な措置について、関係機関との連携及び調整を行い、又はこれに併せて当該事態が生じたときにおける宿泊場所の一時的な提供その他の必要な支援を行う事業
    ロ 関係機関と協力して、地域生活障害者等に対し、地域における自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、障害福祉サービスの利用の体験又は居宅における自立した日常生活若しくは社会生活の体験の機会を提供
するとともに、これに伴う地域生活障害者等、障害児の保護者又は地域生活障害者等の介護を行う者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、併せて関係機関との連携及び調整を行う事業
    ハ イ及びロに掲げる事業のほか、障害者等の保健又は福祉に関する専門的知識及び技術を有する人材の育成及び確保その他の地域生活障害者等が地域において安心して自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な事業
   ⑵ 市町村は、⑴のイからハまでに掲げる事業を実施する場合には、これらの事業を効果的に実施するために、地域生活支援拠点等(これらの事業を実施するために必要な機能を有する拠点又は複数の関係機関が相互の有機的な連携の下でこれらの事業を実施する体制をいう。)を整備するものとした。(第七七条第四項関係)
  ㈢ 基幹相談支援センターの設置の努力義務化等
   ⑴ 基幹相談支援センターが行う業務等に、地域における相談支援又は児童福祉法に規定する障害児相談支援に従事する者に対し、これらの者が行う一般相談支援事業等又は障害児相談支援事業に関する運営について、相談に応じ、必要な助言、指導その他の援助を行う業務等を追加することとした。(第七七条の二第一項関係)
   ⑵ 市町村は、基幹相談支援センターを設置するよう努めるものとした。(第七七条の二第二項関係)
  ㈣ 都道府県による市町村に対する助言その他の援助
   ⑴ 都道府県は、市町村に対し、基幹相談支援センターの設置の促進及び適切な運営の確保のため、市町村の区域を超えた広域的な見地からの助言その他の援助を行うよう努めるものとした。(第七七条の二第七項関係)
   ⑵ 都道府県は、㈡の⑴のイからハまでに掲げる事業の実施体制の整備の促進及び適切な実施を確保するため、市町村に対し、市町村の区域を超えた広域的な見地からの助言その他の援助を行うよう努めるものとした。(第七八条第二項関係)
  ㈤ 協議会の機能の強化等
   ⑴ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」という。)に規定する協議会(以下この㈤において単に「協議会」という。)は、地域における障害者等への支援体制に関する課題についての情報の共有等に加えて、地域における障害者等への適切な支援に関する情報の共有を行うものとした。(第八九条の三第二項関係)
   ⑵ 協議会は、地域における障害者等への適切な支援に関する情報及び支援体制に関する課題についての情報の共有等を行うために必要があると認めるときは、関係機関等に対し、資料又は情報の提供、意見の表明その他必要な協力を求めることができるものとし、関係機関等は、その求めがあった場合には、これに協力するよう努めるものとした。(第八九条の三第三項及び第四項関係)
   ⑶ 協議会の事務に従事する者又は従事していた者は、正当な理由なしに、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないものとした。(第八九条の三第五項関係)
 2 障害者が自らの希望する就労を実現するための支援の充実に関する事項
  ㈠ 就労を希望する障害者又は就労の継続を希望する障害者であって、就労移行支援若しくは就労継続支援を受けること又は通常の事業所に雇用されることについて、当該者による適切な選択のための支援を必要とするものとして主務省令で定める者につき、短期間の生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、就労に関する適性、知識及び能力の評価並びに就労に関する意向及び就労するために必要な配慮その他の主務省令で定める事項の整理を行い、又はこれに併せて、当該評価及び当該整理の結果に基づき、適切な支援の提供のために必要な障害福祉サービス事業を行う者等との連絡調整その他の主務省令で定める便宜を供与する「就労選択支援」を創設することとした。(第五条第一三項関係)
  ㈡ 就労移行支援及び就労継続支援の対象者に、通常の事業所に雇用されている障害者であって主務省令で定める事由により当該事業所での就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一時的に必要とするものを追加することとした。(第五条第一三項及び第一四項(公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日以降は第五条第一四項及び第一五項)関係)
  ㈢ 市町村は、障害者総合支援法の実施に関し、障害者職業センター及び障害者就業・生活支援センターとの緊密な連携を図りつつ、必要な自立支援給付及び地域生活支援事業を総合的かつ計画的に行う責務を有することを明確化することとした。(第二条第一項関係)
  ㈣ 指定障害福祉サービス事業者等は、障害者職業センター及び障害者就業・生活支援センターとの緊密な連携を図りつつ、障害福祉サービス等を障害者等の意向、適性、障害の特性その他の事情に応じ、常に障害者等の立場に立って効果的に行うように努めなければならないことを明確化することとした。(第四二条第一項及び第五一条の二二第一項関係)
 3 障害者等の福祉の増進のための調査、分析等及び匿名障害福祉関連情報の利用又は提供に関する仕組みの創設に関する事項
  ㈠ 障害福祉計画の作成等のための調査及び分析等
   ⑴ 市町村及び都道府県は、⑵により公表された結果等を分析した上で、当該分析の結果を勘案して、市町村障害福祉計画及び都道府県障害福祉計画を作成するよう努めるものとした。(第八八条第五項及び第八九条第四項関係)
   ⑵ 主務大臣は、市町村障害福祉計画及び都道府県障害福祉計画の作成等に資するため、次に掲げる事項に関する情報(㈡の⑴及び㈢において「障害福祉等関連情報」という。)のうち、イ及びロに掲げる事項について調査及び分析を行い、その結果を公表するものとするとともに、ハ及びニに掲げる事項について調査及び分析を行い、その結果を公表するよう努めるものとした。(第八九条の二の二第一項関係)
    イ 自立支援給付に要する費用の額に関する地域別、年齢別又は障害支援区分別の状況その他の主務省令で定める事項
    ロ 障害者等の障害支援区分の認定における調査に関する状況その他の主務省令で定める事項
    ハ 障害福祉サービス又は相談支援を利用する障害者等の心身の状況、当該障害者等に提供される当該障害福祉サービス又は相談支援の内容その他の主務省令で定める事項
    ニ 地域生活支援事業の実施の状況その他の主務省令で定める事項
  ㈡ 障害者等の福祉の増進のための匿名障害福祉等関連情報の利用又は提供
   ⑴ 主務大臣は、障害者等の福祉の増進に資するため、匿名障害福祉等関連情報(障害福祉等関連情報に係る特定の障害者等その他の主務省令で定める者(㈢において「本人」という。)を識別すること及びその作成に用いる障害福祉等関連情報を復元することができないようにするために主務省令で定める基準に従い加工した障害福祉等関連情報をいう。以下同じ。)を利用し、又は主務省令で定めるところにより、次に掲げる者であって、匿名障害福祉等関連情報の提供を受けて行うことについて相当の公益性を有すると認められる業務としてそれぞれ次に定めるものを行うものに提供することができるものとした。(第八九条の二の三第一項関係)
    イ 国の他の行政機関及び地方公共団体 障害者等の福祉の増進並びに自立支援給付及び地域生活支援事業に関する施策の企画及び立案に関する調査
    ロ 大学その他の研究機関 障害者等の福祉の増進並びに自立支援給付及び地域生活支援事業に関する研究
    ハ 民間事業者その他の主務省令で定める者 障害福祉分野の調査研究に関する分析その他の主務省令で定める業務(特定の商品又は役務の広告又は宣伝に利用するために行うものを除く。)
   ⑵ 主務大臣は、⑴による利用又は提供を行う場合には、当該匿名障害福祉等関連情報を児童福祉法に規定する匿名障害児福祉等関連情報その他の主務省令で定めるものと連結して利用し、又は連結して利用することができる状態で提供することができるものとした。(第八九条の二の三第二項関係)
  ㈢ 匿名障害福祉等関連情報の適切な管理
 ㈡の⑴により匿名障害福祉等関連情報の提供を受け、これを利用する者(㈣において「匿名障害福祉等関連情報利用者」という。)は、匿名障害福祉等関連情報を取り扱うに当たっては、当該匿名障害福祉等関連情報の作成に用いられた障害福祉等関連情報に係る本人を識別するために、当該障害福祉等関連情報から削除された記述等若しくは匿名障害福祉等関連情報の作成に用いられた加工の方法に関する情報を取得し、又は当該匿名障害福祉等関連情報を他の情報と照合してはならないもの等とすることとした。(第八九条の二の四~第八九条の二の七関係)
  ㈣ 主務大臣による是正命令等
   ⑴ 主務大臣は、匿名障害福祉等関連情報利用者が㈢に違反していると認めるときは、その者に対し、当該違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとした。(第八九条の二の九関係)
   ⑵ ⑴の命令等に違反した匿名障害福祉等関連情報利用者については、所要の罰則を定めるものとした。(第一〇九条の二及び第一〇九条の三関係)
 4 その他
  ㈠ 介護保険特定施設等に入所又は入居している障害者に係る介護給付費等の支給決定について、その者が当該施設への入所又は入居の前に有した居住地の市町村が行うものとした。(第一九条第三項関係)
  ㈡ 関係市町村長は、都道府県知事に対し、都道府県知事が行う指定障害福祉サービス事業者等の指定等について、あらかじめ、当該関係市町村長にその旨を通知するよう求め、当該通知を受けたときは、市町村障害福祉計画との調整を図る見地からの意見を申し出ることができるものとした。(第三六条第六項及び第七項並びに第五一条の一九第二項関係)
  ㈢ 都道府県知事は、㈡の意見を勘案し、その指定等を行うに当たって、当該事業の適正な運営を確保するために必要と認める条件を付することができるものとし、指定障害福祉サービス事業者等が当該条件に従わない場合又は当該条件に違反したと認められるときは、期限を定めて、当該条件に従うべきことを勧告し、又は指定を取り消し、若しくは期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止することができるものとした。(第三六条第八項、第四九条第一項第一号、第五〇条第一項第二号、第五一条の一九第二項、第五一条の二八第一項第一号及び第五一条の二九第一項第二号関係)

二 児童福祉法の一部改正
 1 小児慢性特定疾病医療費の支給開始日の見直し
 小児慢性特定疾病児童等に係る医療費支給認定は、指定医が当該医療費支給認定に係る小児慢性特定疾病児童等の小児慢性特定疾病の状態が厚生労働大臣が定める程度であると診断した日、又は当該医療費支給認定の申請のあった日から当該申請に通常要する期間を勘案して政令で定める一定の期間前の日のいずれか遅い日に遡ってその効力を生ずるものとした。(第一九条の三第八項関係)
 2 小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の強化
 都道府県は、地域における小児慢性特定疾病児童等の実情の把握その他の事業の実施に必要な情報の収集、整理、分析及び評価に関する事業として厚生労働省令で定める事業を行うよう努めるものとした。また、当該事業のほか、小児慢性特定疾病要支援者証明事業(小児慢性特定疾病にかかっている旨その他の厚生労働省令で定める事項を書面その他の厚生労働省令で定める方法により証明する事業をいう。)等を行うよう努めるものとした。(第一九条の二二第二項~第四項関係)
 3 小児慢性特定疾病対策地域協議会に関する事項
  ㈠ 都道府県、指定都市及び中核市並びに児童相談所設置市は、関係機関、関係団体並びに小児慢性特定疾病児童等及びその家族並びに小児慢性特定疾病児童等に対する医療又は小児慢性特定疾病児童等の福祉、教育若しくは雇用に関連する職務に従事する者その他の関係者により構成される小児慢性特定疾病対策地域協議会(㈡において単に「協議会」という。)を置くよう努めるものとした。(第一九条の二三第一項関係)
  ㈡ 協議会が置かれた都道府県、指定都市及び中核市並びに児童相談所設置市の区域について難病対策地域協議会が置かれている場合には、両協議会は、相互に連携を図るよう努めるものとした。(第一九条の二三第四項関係)
 4 小児慢性特定疾病に関する調査、研究等及び匿名小児慢性特定疾病関連情報の利用又は提供に関する仕組みの創設に関する事項について、一の3に準じた規定を定めることとした。(第二一条の四第二項及び第五項、第二一条の四の二~第二一条の四の六、第二一条の四の八、第六〇条の三並びに第六一条の五第一項関係)
 5 障害児の福祉の増進のための調査、分析等及び匿名障害児福祉等関連情報の利用又は提供に関する仕組みの創設に関する事項について、一の3に準じた規定を定めることとした。(第三三条の二〇第五項、第三三条の二二第四項、第三三条の二三の二第一項、第三三条の二三の三第一項及び第二項、第三三条の二三の四~第三三条の二三の七、第三三条の二三の九、第六〇条の三並びに第六一条の五第一項関係)
 6 都道府県知事が行う指定障害児通所支援事業者の指定等について、一の4の㈡及び㈢に準じた改正を行うこととした。(第二一条の五の一五第六項~第八項、第二一条の五の二三第一項第一号及び第二一条の五の二四第一項第二号関係)

三 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正
 1 目的規定における権利擁護の明確化等
 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、精神障害者の権利の擁護を図りつつ、その医療及び保護を行い、障害者総合支援法と相まってその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによって、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とするものとした。(第一条関係)
 2 医療保護入院の入院手続等に関する事項
  ㈠ 医療保護入院を行う精神科病院の管理者及び措置入院等を行う都道府県知事は、その対象者及び医療保護入院の同意をした家族等又は指定医の診察の立会い等を行った家族等に対し、その措置を行う理由及び退院等の請求に関すること等を書面により知らせるものとした。(第二九条第三項、第二九条の二第四項及び第三三条の三第一項関係)
  ㈡ 精神科病院の管理者は、六月以内で厚生労働省令で定める期間の範囲内の期間を定め、医療保護入院を行うことができるものとした。(第三三条第一項関係)
  ㈢ 精神科病院の管理者は、医療保護入院について患者の家族等が同意又は不同意の意思表示を行わない場合に、市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)の同意により医療保護入院を行うことができるものとした。(第三三条第二項関係)
  ㈣ 精神科病院の管理者は、医療保護入院者であって⑴及び⑵のいずれにも該当する者について、厚生労働省令で定めるところによりその家族等のうちいずれかの者(㈢の
場合等にあっては、市町村長)の同意があるときは、本人の同意がなくても、六月以内で厚生労働省令で定める期間の範囲内の期間を定め、㈡及び㈢の入院の期間(入院の期間が更新されたときは、その更新後の入院の期間)を更新することができるものとした。(第三三条第六項関係)
   ⑴ 指定医による診察の結果、なお精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三三条第一項第一号に掲げる者に該当すること。
   ⑵ 厚生労働省令で定める者により構成される委員会において当該医療保護入院者の退院による地域における生活への移行を促進するための措置について審議が行われたこと。
  ㈤ 精神科病院の管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、医療保護入院者の家族等に㈣の同意に関し必要な事項を通知しなければならないこととし、厚生労働省令で定める日までにその家族等のいずれの者からも㈣による入院の期間の更新について不同意の意思表示を受けなかったときは、㈣の同意を得たものとみなすことができるものとした。ただし、㈣の同意の趣旨に照らし適当でない場合として厚生労働省令で定める場合においては、この限りでないものとした。(第三三条第八項関係)
  ㈥ 精神障害者に対して身体に対する暴力等を行った者等を、医療保護入院の同意をすること等ができる「家族等」から除くこととした。(第五条第二項関係)
  ㈦ 市町村長は、医療保護入院について患者の家族等が同意又は不同意の意思表示を行わなかった場合においても、都道府県知事に対し、医療保護入院中の者の退院等を請求できるものとした。(第三八条の四関係)
 3 措置入院者の退院促進措置等に関する事項
  ㈠ 措置入院者を入院させている病院の管理者は、退院後生活環境相談員を選任し、措置入院者の退院後の生活環境に関し、措置入院者及びその家族等からの相談に応じさせ、及びこれらの者に対する必要な情報の提供その他の援助を行わせるとともに、これらの者の求めがあった場合等には、地域援助事業者を紹介しなければならないものとした。(第二九条の六及び第二九条の七関係)
  ㈡ 都道府県知事は、措置入院を行った場合に、当該入院措置に係る入院中の者の症状等を精神医療審査会に通知し、その入院の必要があるかどうかに関し審査を求めなければならないものとした。(第三八条の三第一項関係)
 4 入院者訪問支援事業に関する事項
  ㈠ 都道府県は、精神科病院に入院している者のうち市町村長の同意による医療保護入院者その他の外部との交流を促進するための支援を要する者に対し、入院者訪問支援員が、その者の求めに応じ、訪問により、その者の話を誠実かつ熱心に聞くほか、入院中の生活に関する相談、必要な情報の提供その他の厚生労働省令で定める支援を行う事業(㈢及び㈣において「入院者訪問支援事業」という。)を行うことができるものとした。(第三五条の二第一項関係)
  ㈡ 入院者訪問支援員は、その支援を受ける者が個人の尊厳を保持し、自立した生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立って、誠実にその職務を行わなければならないものとした。(第三五条の二第二項関係)
  ㈢ 入院者訪問支援事業に従事する者又は従事していた者は、正当な理由がなく、その職務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならないものとした。(第三五条の二第三項関係)
  ㈣ 入院者訪問支援事業を行う都道府県は、精神科病院の協力を得て、精神科病院における入院者訪問支援員による支援の在り方及び支援に関する課題を検討し、支援の体制の整備を図るよう努めなければならないものとした。(第三五条の三関係)
 5 虐待の防止に関する事項
  ㈠ 精神科病院の管理者は、当該精神科病院において医療を受ける精神障害者に対する虐待を防止するため必要な措置を講ずるものとした。(第四〇条の二第一項関係)
  ㈡ 精神科病院において精神障害者の医療及び保護に係る業務に従事する者(以下「業務従事者」という。)による障害者虐待を受けたと思われる精神障害者を発見した者は、速やかに、これを都道府県に通報しなければならないものとするとともに、業務従事者による障害者虐待を受けた精神障害者は、その旨を都道府県に届け出ることができるものとした。(第四〇条の三第一項及び第二項関係)
  ㈢ 業務従事者は、㈡の通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けないものとした。(第四〇条の三第四項関係)
  ㈣ ㈡の通報又は届出を受けた都道府県の職員は、その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならないものとした。(第四〇条の四関係)
  ㈤ 厚生労働大臣又は都道府県知事は、㈠の措置又は㈡の通報若しくは届出に関し、精神科病院の管理者に対し、報告徴収等及び改善命令等を行うことができるものとした。(第四〇条の五及び第四〇条の六関係)
  ㈥ 都道府県知事は、毎年度、業務従事者による障害者虐待の状況、業務従事者による障害者虐待があった場合に採った措置その他厚生労働省令で定める事項を公表するものとした。(第四〇条の七関係)
  ㈦ 国は、業務従事者による障害者虐待の事例の分析を行うとともに、業務従事者による障害者虐待の予防及び早期発見のための方策並びに業務従事者による障害者虐待があった場合の適切な対応方法に資する事項についての調査及び研究を行うものとした。(第四〇条の八関係)
 6 精神保健に関する相談支援体制の整備に関する事項
  ㈠ 都道府県及び市町村等が行う相談及び援助は、精神障害の有無及びその程度にかかわらず、地域の実情に応じて、精神障害者及び精神保健に関する課題を抱える者の心身の状態に応じた保健、医療、福祉、住まい、就労その他の適切な支援が包括的に確保されることを旨として、行われなければならないものとした。(第四六条関係)
  ㈡ 都道府県及び市町村は、精神保健に関する課題を抱える者及びその家族等に対して、精神保健に関する相談支援等を行うことができるものとした。(第四七条第五項関係)
  ㈢ 都道府県及び市町村は、精神障害者及び精神保健に関する課題を抱える者への支援体制の整備について、関係機関、関係団体並びにこれらの者及びその家族等並びにこれらの者の保健医療及び福祉に関連する職務に従事する者その他の関係者による協議を行うよう努めなければならないものとした。(第四八条の二関係)
  ㈣ 都道府県は、市町村の求めに応じ、当該市町村が行う業務の実施に関し、精神保健福祉センター等による技術的事項についての協力その他当該市町村に対する必要な援助を行うように努めなければならないものとした。(第四八条の三関係)
 7 精神保健指定医の指定制度に関する事項
 厚生労働大臣の登録を受けた者が行う精神保健指定医の指定に必要な研修は、指定の申請前三年以内に行われたものまで有効とすることとした。(第一八条第一項関係)
 8 その他
 「精神障害者」の定義のうち、精神疾患の例示から「精神病質」を削ることとした。(第五条関係)

四 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正
 1 雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化に関する事項
 事業主の責務として、障害者である労働者の能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与えるとともに適正な雇用管理を行うことに加え、職業能力の開発及び向上に関する措置を行うことにより、その雇用の安定を図るように努めなければならないものとした。(第五条関係)
 2 障害者雇用と障害者福祉の連携の促進に関する事項
  ㈠ 公共職業安定所における適性検査、職業指導等
 公共職業安定所及び障害者職業センターは、障害者総合支援法に規定する就労選択支援を受けた者から、その評価等の結果の提供を受けたときは、当該結果を参考として、適性検査、職業指導等を行うものとした。(第一二条第二項関係)
  ㈡ 障害者職業総合センター及び地域障害者職業センターの業務の追加
 障害者職業総合センター及び地域障害者職業センターは、就労支援事業者(障害者総合支援法に規定する就労選択支援又は就労移行支援を行う事業者をいう。)その他の関係機関及びこれらの職員に対する職業リハビリテーションに関する技術的事項についての助言、研修等その他の援助を行うこととした。(第二〇条及び第二二条関係)
 3 障害者の多様な就労ニーズを踏まえた働き方の推進に関する事項
  ㈠ 雇用義務等に関する規定における対象障害者である労働者の数の算定に当たっては、重度身体障害者、重度知的障害者又は精神障害者である特定短時間労働者(短時間労働者のうち、一週間の所定労働時間が厚生労働大臣の定める時間の範囲内にある労働者をいい、当該算定に係る事業主から障害者総合支援法に規定する就労継続支援であって厚生労働省令で定める便宜を供与するものを受けている者を除く。)は、その一人をもって、厚生労働省令で定める数の対象障害者である労働者に相当するものとみなすこととした。(第七〇条、第七一条及び第七四条の二第一一項並びに附則第四条第九項関係)
  ㈡ 国及び地方公共団体の対象障害者である職員の数の算定についても、㈠と同様とすることとした。(第六九条関係)
  ㈢ ㈠の改正に伴い、特に短い労働時間以外での労働が困難な状態にある対象障害者を特定短時間労働者として雇い入れる事業主又は対象障害者である特定短時間労働者を雇用する事業主に対するこれらの者の雇入れ又は雇用の継続の促進を図るための特例給付金の支給を廃止することとした。(第四九条第一項第一号の二関係)
 4 障害者雇用の質の向上の推進に関する事項
  ㈠ 納付金関係業務の拡充
 納付金関係業務として、加齢に伴って生ずる心身の変化により職場への適応が困難となった対象障害者である労働者の雇用の継続のために必要となる当該労働者が職場に適応することを容易にするための措置に要する費用及び対象障害者の雇入れ及びその雇用の継続を図るために必要な対象障害者の一連の雇用管理に関する援助の事業に要する費用に充てるための助成金の支給を行うこととした。(第四九条第一項第四号ロ及び第七号の二関係)
  ㈡ 障害者雇用調整金及び報奨金の支給
   ⑴ 障害者雇用調整金の支給に当たって、支給対象となる事業主の雇用する対象障害者である労働者の数が政令で定める数を超える事業主については、当該政令で定める数に単位調整額を乗じて得た額に、当該超える部分の数に厚生労働省令で定める金額を乗じて得た額を加えた金額を支給することとした。(第五〇条第一項関係)
   ⑵ 報奨金の支給に当たって、支給対象となる事業主の雇用する対象障害者である労働者の数が厚生労働省令で定める数を超える事業主については、当該厚生労働省令で定める数に単位調整額以下の額で厚生労働省令で定める額を乗じて得た額に、当該超える部分の数に厚生労働省令で定める金額を乗じて得た額を加えた金額を支給することとした。(附則第四条第三項関係)
 5 その他
  ㈠ 有限責任事業組合の算定の特例
 申請に基づき厚生労働大臣の認定を受けた場合に、その特定事業主が雇用する労働者をその特定組合等のみが雇用する労働者と、その特定事業主の事業所をその特定組合等の事業所とみなす特例の対象となる事業協同組合等に、有限責任事業組合契約に関する法律に規定する有限責任事業組合を追加することとした。(第四五条の三関係)
  ㈡ 在宅就業支援団体の要件
 在宅就業支援団体の要件として、常時一〇人以上の在宅就業障害者に対して、実施業務の全てを継続的に実施していることとされていることを常時五人以上と、従事経験者が二人以上であることとされていることを従事経験者を置くこと等とすることとした。(第七四条の三第四項関係)

五 難病の患者に対する医療等に関する法律の一部改正
 1 特定医療費の支給開始日の見直し
 指定難病の患者に係る特定医療費の支給認定は、指定医が、当該支給認定に係る指定難病の患者の病状の程度が厚生労働大臣が定める程度であると診断した日、又は当該支給認定の申請のあった日から当該申請に通常要する期間を勘案して政令で定める一定の期間前の日のいずれか遅い日に遡ってその効力を生ずるもの等とすることとした。(第七条第五項関係)
 2 難病に関する調査、研究等及び匿名指定難病関連情報の利用又は提供に関する仕組みの創設に関する事項について、一の3に準じた規定を定めることとした。(第二七条第一項、第三項及び第五項、第二七条の二~第二七条の六、第二七条の八、第四五条並びに第四六条関係)
 3 療養生活環境整備事業の強化
  ㈠ 都道府県は、指定難病要支援者証明事業(指定難病にかかっている旨その他の厚生労働省令で定める事項を書面その他の厚生労働省令で定める方法により証明する事業をいう。)を行うよう努めるものとした。(第二八条第二項関係)
  ㈡ 難病の患者等からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言その他の便宜を供与する事業を行う都道府県等は、難病の患者の福祉又は雇用その他の難病の患者に対する支援に関する業務を行う関係機関との連携に努めなければならないものとした。(第二八条第四項関係)
 4 難病対策地域協議会に関する事項
 難病対策地域協議会が置かれた都道府県、保健所を設置する市及び特別区の区域について小児慢性特定疾病対策地域協議会が置かれている場合には、両協議会は、相互に連携を図るよう努めるものとした。(第三二条第四項関係)

六 身体障害者福祉法の一部改正
 介護保険特定施設等に入所又は入居している身体障害者に対する援護について、一の4の㈠に準じた改正を行うこととした。(第九条第二項関係)

七 知的障害者福祉法の一部改正
 介護保険特定施設等に入所又は入居している知的障害者に対する更生援護について、一の4の㈠に準じた改正を行うこととした。(第九条第二項関係)

八 精神保健福祉士法の一部改正
 精神保健福祉士の業務に、精神障害者及び精神保健に関する課題を抱える者の精神保健に関する相談を追加することとした。(第二条関係)

九 施行期日等
 1 検討
  ㈠ 政府は、この法律の施行後五年を目途として、一から五までによる改正後の障害者総合支援法、児童福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律及び難病の患者に対する医療等に関する法律の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとした。(附則第二条関係)
  ㈡ 政府は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定による本人の同意がない場合の入院の制度の在り方等に関し、精神疾患の特性及び精神障害者の実情等を勘案するとともに、障害者の権利に関する条約の実施について精神障害者等の意見を聴きつつ、必要な措置を講ずることについて検討するものとした。(附則第三条関係)
 2 経過措置及び関係法律の整備
 この法律の施行に関し、必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の改正を行うこととした。(附則第四条~第四三条関係)
 3 施行期日
 この法律は、令和六年四月一日から施行することとした。ただし、次に掲げる事項は、それぞれ次に定める日から施行することとした。
  ㈠ 三の1及び8 公布の日
  ㈡ 一の3の㈠及び4の㈠、二の5の一部、三の2の㈠の一部及び㈥並びに7、四の1、2の㈡の一部及び5、六並びに七 令和五年四月一日
  ㈢ 二の1、2の一部及び3並びに五の1、3の㈡及び4 令和五年一〇月一日
  ㈣ 一の2の㈠及び3の㈡から㈣まで、二の5の一部並びに四の2の㈠及び㈡の一部 公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日
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