PICK UP! 法令改正情報
PICK UP! Amendment of legislation information
介護保険法の一部改正(令和2年6月12日法律第52号〔第3条〕 令和2年6月12日から施行)
法律
新旧対照表
- 公布日 令和2年06月12日
- 施行日 令和2年06月12日
厚生労働省
平成9年法律第123号
法律
新旧対照表
- 公布日 令和2年06月12日
- 施行日 令和2年06月12日
厚生労働省
平成9年法律第123号
新旧対照表ご利用に際して改正前(更新前)と改正後(更新後)の条文を対照表形式でご紹介しています。ご利用に際しては次の事項にご留意ください。
- 《 》・【 】について
対照表中には、《 》や【 】で囲まれている箇所(例:《合成》、《数式》、《横》、《振分》、【ブレス】、【体裁加工】など)があります。これは実際の法令条文には存在しないもので、本来の表示とは異なることを示しています。 - 様式の改正について
各種様式の改正は掲載を省略しています。様式に改正がある場合は、「様式〔省略〕」と表示されます。 - 施行日について
各条文の前に掲げた「施行日」について、「元号○年○月九十九日」とあるのは、施行日が正式に決定されていないもので、便宜的に「九十九日」と表示しています。 - 弊社の編集担当者が独自に選んだ法改正情報をピックアップして掲載しています。
◇地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律(法律第五二号)(厚生労働省)
一 社会福祉法の一部改正関係
1 包括的な支援体制の整備に関する事項
(一) 地域福祉の推進に関する事項
(1) 地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指して行われなければならないこととした。(第四条第一項関係)
(2) 国及び地方公共団体は、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備その他地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めるとともに、当該措置の推進に当たっては、保健医療、労働、教育、住まい及び地域再生に関する施策その他の関連施策との連携に配慮するよう努めなければならないこととした。(第六条第二項関係)
(3) 国及び都道府県は、市町村において重層的支援体制整備事業その他地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備が適正かつ円滑に行われるよう、必要な助言、情報の提供その他の援助を行わなければならないこととした。(第六条第三項関係)
(4) 厚生労働大臣は、重層的支援体制整備事業をはじめとする施策に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとすることとした。(第一〇六条の三第二項関係)
(二) 重層的支援体制整備事業に関する事項
(1) 市町村は、地域生活課題の解決に資する包括的な支援体制を整備するため、次に掲げる社会福祉法に基づく事業並びに介護保険法、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律、子ども・子育て支援法及び生活困窮者自立支援法(以下「各法」という。)に基づく事業を一体のものとして実施することにより、地域生活課題を抱える地域住民及びその世帯に対する支援体制並びに地域住民等による地域福祉の推進のために必要な環境を一体的かつ重層的に整備する事業として、重層的支援体制整備事業を行うことができることとした。(第一〇六条の四関係)
イ 地域生活課題を抱える地域住民及びその家族その他の関係者からの相談に包括的に応じ、利用可能な福祉サービスに関する情報の提供及び助言、支援関係機関との連絡調整並びに高齢者、障害者等に対する虐待の防止及びその早期発見のための援助等の便宜の提供を行うため、各法の事業を一体的に行う事業
ロ 地域生活課題を抱える地域住民であって、社会生活を円滑に営む上での困難を有するものに対し、支援関係機関と民間団体との連携による支援体制の下、活動の機会の提供、訪問による必要な情報の提供及び助言その他の社会参加のために必要な便宜の提供を行う事業
ハ 地域住民が地域において自立した日常生活を営み、地域社会に参加する機会を確保するための支援並びに地域生活課題の発生の防止又は解決に係る体制の整備及び地域住民相互の交流を行う拠点の開設等の援助を行うため、各法の事業を一体的に行う事業
ニ 地域社会からの孤立が長期にわたる者その他の継続的な支援を必要とする地域住民及びその世帯に対し、訪問により状況を把握した上で相談に応じ、利用可能な福祉サービスに関する情報の提供及び助言等の便宜の提供を包括的かつ継続的に行う事業
ホ 複数の支援関係機関相互間の連携による支援を必要とする地域住民及びその世帯に対し、複数の支援関係機関が、当該地域住民及びその世帯が抱える地域生活課題を解決するために、相互の有機的な連携の下、その解決に資する支援を一体的かつ計画的に行う体制を整備する事業
ヘ 複数の支援関係機関の連携体制による支援が必要であると市町村が認める地域住民に対し、包括的かつ計画的な支援を行う事業
(2) 市町村は、重層的支援体制整備事業を実施するときは、第一〇六条の三第二項の指針に則して、重層的支援体制整備事業を適切かつ効果的に実施するため、重層的支援体制整備事業実施計画を策定するよう努めることとした。(第一〇六条の五関係)
(3) 市町村は、支援関係機関、重層的支援体制整備事業の委託を受けた者、地域生活課題を抱える地域住民に対する支援に従事する者その他の関係者により構成される会議を組織することができることとした。(第一〇六条の六関係)
(4) 重層的支援体制整備事業の実施に要する費用は市町村の支弁とすることとした。(第一〇六条の七関係)
(5) 国及び都道府県は、市町村に対し、重層的支援体制整備事業の実施に要する費用に充てるための交付金を交付することとした。(第一〇六条の八及び第一〇六条の九関係)
(6) 重層的支援体制整備事業に係る特例
市町村が重層的支援体制整備事業を実施する場合は、各法に基づく事業についての市町村の支弁に係る費用から重層的支援体制整備事業に要する費用を除くための必要な読替えを行うこととした。(第一〇六条の一一関係)
(7) 地域福祉計画の見直しに関する事項
イ 市町村地域福祉計画において、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に関する事項を定めるよう努めるものとすることとした。(第一〇七条第一項関係)
ロ 都道府県地域福祉支援計画において、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備の実施の支援に関する事項を定めるよう努めるものとすることとした。(第一〇八条第一項関係)
2 社会福祉連携推進法人に関する事項
㈠ 所轄庁の認定等
(1) イからヘまでに掲げる業務(以下「社会福祉連携推進業務」という。)を行おうとする一般社団法人は、(3)に掲げる基準に適合する一般社団法人であることについての所轄庁の認定(以下「社会福祉連携推進認定」という。)を受けることができるものとすることとした。(第一二五条関係)
イ 地域福祉の推進に係る取組を社員が共同して行うための支援
ロ 災害が発生した場合における社員(社会福祉事業を経営する者に限る。ハ、ホ及びヘにおいて同じ。)が提供する福祉サービスの利用者の安全を社員が共同して確保するための支援
ハ 社員が経営する社会福祉事業の経営方法に関する知識の共有を図るための支援
ニ 資金の貸付けその他の社員(社会福祉法人に限る。)が社会福祉事業に係る業務を行うのに必要な資金を調達するための支援として厚生労働省令で定めるもの
ホ 社員が経営する社会福祉事業の従事者の確保のための支援及びその資質の向上を図るための研修
ヘ 社員が経営する社会福祉事業に必要な設備又は物資の供給
(2) 社会福祉連携推進認定の申請は、社員の氏名又は名称、社会福祉連携推進業務を実施する区域等を記載した社会福祉連携推進方針その他厚生労働省令で定める書類を添えてしなければならないものとすることとした。(第一二六条関係)
(3) 所轄庁は、社会福祉連携推進認定の申請をした一般社団法人が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、当該法人について社会福祉連携推進認定をすることができるものとすることとした。(第一二七条関係)
イ その設立の目的について、社員の社会福祉に係る業務の連携を推進し、並びに地域における良質かつ適切な福祉サービスの提供及び社会福祉法人の経営基盤の強化に資することが主たる目的であること。
ロ 社員の構成について、社会福祉法人その他社会福祉事業を経営する者又は社会福祉法人の経営基盤を強化するために必要な者として厚生労働省令で定める者を社員とし、社会福祉法人である社員の数が社員の過半数であること。
ハ 社会福祉連携推進業務を適切かつ確実に行うに足りる知識及び能力並びに財産的基礎を有するものであること。
ニ 社員の資格の得喪に関して、イの目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること。
ホ 定款において、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第一一条第一項各号に掲げる事項のほか、必要事項を記載し、又は記録していること。
(二) 委託募集の特例
社会福祉連携推進法人の社員(社会福祉事業を経営する者に限る。)が、当該社会福祉連携推進法人をして社会福祉事業に従事する労働者の募集に従事させようとする場合において、当該社会福祉連携推進法人が社会福祉連携推進業務として当該募集に従事しようとするときは、職業安定法第三六条第一項及び第三項の規定は、当該社員については、適用しないものとすることとした。(第一三四条第一項関係)
(三) 所轄庁による監督等の社会福祉法人に関する規定の準用等
(1) 社会福祉連携推進法人の所轄庁は、社会福祉法人に関する規定を準用するものとすることとした。(第一三一条関係)
(2) 社会福祉連携推進法人の計算、解散及び清算、役員等並びに社会福祉連携推進認定をした所轄庁((3)において「認定所轄庁」という。)による監督等については、社会福祉法人に関する規定を準用するものとすることとした。(第一三八条第一項、第一四一条、第一四三条第一項及び第一四四条関係)
(3) 社会福祉連携推進法人の代表理事の選定及び解職は、認定所轄庁の認可を受けなければ、その効力を生じないものとすることとした。(第一四二条関係)
二 介護保険法の一部改正関係
1 国及び地方公共団体の責務に関する事項
国及び地方公共団体は、保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスに関する施策等を包括的に推進するに当たっては、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現に資するよう努めなければならないものとすることとした。(第五条第四項関係)
2 認知症に関する施策の総合的な推進等に関する事項
(一) 国及び地方公共団体は、研究機関、医療機関、介護サービス事業者等と連携し、認知症(アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態として政令で定める状態をいう。以下同じ。)の予防等に関する調査研究の推進並びにその成果の普及、活用及び発展に努めるとともに、地域における認知症である者への支援体制の整備その他の認知症に関する施策を総合的に推進するよう努めなければならないものとすることとした。(第五条の二第二項及び第三項関係)
(二) 国及び地方公共団体は、認知症に関する施策の推進に当たっては、認知症である者が地域社会において尊厳を保持しつつ他の人々と共生することができるように努めなければならないものとすることとした。(第五条の二第四項関係)
3 市町村が地域支援事業を行うに当たっては、介護保険等関連情報その他必要な情報を活用し、適切かつ有効に実施するよう努めるものとすることとした。(第一一五条の四五第五項関係)
4 介護保険事業計画の見直しに関する事項
(一) 市町村介護保険事業計画について、介護給付等対象サービス等に従事する者の確保及び資質の向上並びにその業務の効率化及び質の向上に資する都道府県と連携した取組に関する事項、認知症に関する施策の総合的な推進に関する事項並びに有料老人ホーム及び高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定する登録住宅(㈡及び三の2の㈢において「登録住宅」という。)のそれぞれの入居定員総数について定めるよう努めるものとするほか、当該市町村の区域における人口構造の変化の見通しを勘案して作成されなければならないものとすることとした。(第一一七条第三項及び第四項関係)
(二) 都道府県介護保険事業支援計画について、介護給付等対象サービス等に従事する者の業務の効率化及び質の向上に資する事業に関する事項並びに有料老人ホーム及び登録住宅のそれぞれの入居定員総数について定めるよう努めるものとすることとした。(第一一八条第三項関係)
5 介護保険事業計画の作成等のための調査及び分析等に関する事項
厚生労働大臣は、厚生労働省令で定める介護サービスを利用する要介護者等に提供される当該サービスの内容等及び地域支援事業の実施の状況等の事項について調査及び分析を行い、その結果を公表するよう努めるものとするとともに、必要があると認めるときは、介護サービス事業者及び特定介護予防・日常生活支援総合事業を行う者に対し、介護保険等関連情報を、厚生労働省令で定める方法により提供するよう求めることができるものとすることとした。(第一一八条の二関係)
三 老人福祉法の一部改正関係
1 老人福祉計画の見直しに関する事項
(一) 市町村老人福祉計画について、老人福祉事業に従事する者の確保及び資質の向上並びにその業務の効率化及び質の向上のために講ずる都道府県と連携した措置に関する事項について定めるよう努めるものとすることとした。(第二〇条の八第三項関係)
(二) 都道府県老人福祉計画について、老人福祉事業に従事する者の業務の効率化及び質の向上のために講ずる措置に関する事項について定めるよう努めるものとすることとした。(第二〇条の九第三項関係)
2 有料老人ホームの設置の届出等に関する事項
(一) 有料老人ホームを設置しようとする者が都道府県知事に届け出なければならない事項の一部及び当該届出をした者が届出に変更が生じたときに都道府県知事に届け出なければならない事項について、厚生労働省令で定める事項とすることとした。(第二九条第一項及び第二項関係)
(二) 都道府県知事は、有料老人ホームの設置等の届出がされたときは、遅滞なく、その旨を、当該届出に係る有料老人ホームの設置予定地又は所在地の市町村長に通知するものとすることとした。(第二九条第四項関係)
(三) 市町村長は、設置等の届出がされていない疑いがある有料老人ホーム(登録住宅を除く。)を発見したときは、遅滞なく、その旨を、当該有料老人ホームの設置予定地又は所在地の都道府県知事に通知するよう努めるものとすることとした。(第二九条第五項関係)
四 地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律の一部改正関係
1 社会保険診療報酬支払基金の業務の特例に関する事項
社会保険診療報酬支払基金は、当分の間、医療機関等が行う地域において効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するための医療機関等の提供する医療に係る情報化の促進に要する物品を調達し、及び提供する業務(医療機関等の申出に応じて当該物品を調達し、及び提供する業務を含む。)を行うものとすることとした。(附則第一条の二関係)
2 国民の保健医療の向上及び福祉の増進に資する情報の分析等の推進に関する事項
(一) 高齢者の医療の確保に関する法律の規定により厚生労働大臣から委託を受けて医療保険等関連情報を収集する者、介護保険法の規定により厚生労働大臣から委託を受けて介護保険等関連情報を収集する者その他の保健医療等情報(法律の規定に基づき調査若しくは分析又は利用若しくは提供が行われる医療保険等関連情報、介護保険等関連情報その他の情報であってその調査若しくは分析又は利用若しくは提供が国民の保健医療の向上及び福祉の増進に資するものをいう。以下同じ。)を収集する者として厚生労働省令で定める者は、保健医療等情報を正確に連結するため、社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会(以下「支払基金等」という。)に対し、当該保健医療等情報に係る医療保険被保険者番号等を提供した上で、保健医療等情報を正確に連結するために必要な情報として厚生労働省令で定めるものの提供を求めることができるものとすることとした。(第一二条第一項関係)
(二) 支払基金等は、(一)による求めがあったときは、電子資格確認の事務に係る医療保険被保険者番号等を利用し、保健医療等情報を正確に連結するために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供することができるものとすることとした。(第一二条第二項関係)
(三) 支払基金等は、(二)による情報の提供及びこれに附帯する業務を行うものとすることとした。(第二四条及び第三五条関係)
(四) 政府は、予算の範囲内において、支払基金等に対し、(二)による情報の提供に要する費用の一部を補助することができるものとすることとした。(第三九条関係)
五 社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律の一部改正関係
平成二九年度から令和八年度までの間に介護福祉士の養成施設を卒業した者については、当該卒業した日の属する年度の翌年度の四月一日から五年間、介護福祉士となる資格を有するものとすることとした。(附則第六条の二第一項関係)
六 検討規定
政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることとした。(附則第二条関係)
七 施行期日等
1 経過措置等
この法律の施行に関し、必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の改正を行うものとすることとした。(附則第三条~第九条関係)
2 施行期日
この法律は、令和三年四月一日から施行することとした。ただし、次の事項は、それぞれに定める日から施行することとした。
(一) 四の1及び五 公布の日
(二) 一の2及び四の2 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日
一 社会福祉法の一部改正関係
1 包括的な支援体制の整備に関する事項
(一) 地域福祉の推進に関する事項
(1) 地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指して行われなければならないこととした。(第四条第一項関係)
(2) 国及び地方公共団体は、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備その他地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めるとともに、当該措置の推進に当たっては、保健医療、労働、教育、住まい及び地域再生に関する施策その他の関連施策との連携に配慮するよう努めなければならないこととした。(第六条第二項関係)
(3) 国及び都道府県は、市町村において重層的支援体制整備事業その他地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備が適正かつ円滑に行われるよう、必要な助言、情報の提供その他の援助を行わなければならないこととした。(第六条第三項関係)
(4) 厚生労働大臣は、重層的支援体制整備事業をはじめとする施策に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとすることとした。(第一〇六条の三第二項関係)
(二) 重層的支援体制整備事業に関する事項
(1) 市町村は、地域生活課題の解決に資する包括的な支援体制を整備するため、次に掲げる社会福祉法に基づく事業並びに介護保険法、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律、子ども・子育て支援法及び生活困窮者自立支援法(以下「各法」という。)に基づく事業を一体のものとして実施することにより、地域生活課題を抱える地域住民及びその世帯に対する支援体制並びに地域住民等による地域福祉の推進のために必要な環境を一体的かつ重層的に整備する事業として、重層的支援体制整備事業を行うことができることとした。(第一〇六条の四関係)
イ 地域生活課題を抱える地域住民及びその家族その他の関係者からの相談に包括的に応じ、利用可能な福祉サービスに関する情報の提供及び助言、支援関係機関との連絡調整並びに高齢者、障害者等に対する虐待の防止及びその早期発見のための援助等の便宜の提供を行うため、各法の事業を一体的に行う事業
ロ 地域生活課題を抱える地域住民であって、社会生活を円滑に営む上での困難を有するものに対し、支援関係機関と民間団体との連携による支援体制の下、活動の機会の提供、訪問による必要な情報の提供及び助言その他の社会参加のために必要な便宜の提供を行う事業
ハ 地域住民が地域において自立した日常生活を営み、地域社会に参加する機会を確保するための支援並びに地域生活課題の発生の防止又は解決に係る体制の整備及び地域住民相互の交流を行う拠点の開設等の援助を行うため、各法の事業を一体的に行う事業
ニ 地域社会からの孤立が長期にわたる者その他の継続的な支援を必要とする地域住民及びその世帯に対し、訪問により状況を把握した上で相談に応じ、利用可能な福祉サービスに関する情報の提供及び助言等の便宜の提供を包括的かつ継続的に行う事業
ホ 複数の支援関係機関相互間の連携による支援を必要とする地域住民及びその世帯に対し、複数の支援関係機関が、当該地域住民及びその世帯が抱える地域生活課題を解決するために、相互の有機的な連携の下、その解決に資する支援を一体的かつ計画的に行う体制を整備する事業
ヘ 複数の支援関係機関の連携体制による支援が必要であると市町村が認める地域住民に対し、包括的かつ計画的な支援を行う事業
(2) 市町村は、重層的支援体制整備事業を実施するときは、第一〇六条の三第二項の指針に則して、重層的支援体制整備事業を適切かつ効果的に実施するため、重層的支援体制整備事業実施計画を策定するよう努めることとした。(第一〇六条の五関係)
(3) 市町村は、支援関係機関、重層的支援体制整備事業の委託を受けた者、地域生活課題を抱える地域住民に対する支援に従事する者その他の関係者により構成される会議を組織することができることとした。(第一〇六条の六関係)
(4) 重層的支援体制整備事業の実施に要する費用は市町村の支弁とすることとした。(第一〇六条の七関係)
(5) 国及び都道府県は、市町村に対し、重層的支援体制整備事業の実施に要する費用に充てるための交付金を交付することとした。(第一〇六条の八及び第一〇六条の九関係)
(6) 重層的支援体制整備事業に係る特例
市町村が重層的支援体制整備事業を実施する場合は、各法に基づく事業についての市町村の支弁に係る費用から重層的支援体制整備事業に要する費用を除くための必要な読替えを行うこととした。(第一〇六条の一一関係)
(7) 地域福祉計画の見直しに関する事項
イ 市町村地域福祉計画において、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に関する事項を定めるよう努めるものとすることとした。(第一〇七条第一項関係)
ロ 都道府県地域福祉支援計画において、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備の実施の支援に関する事項を定めるよう努めるものとすることとした。(第一〇八条第一項関係)
2 社会福祉連携推進法人に関する事項
㈠ 所轄庁の認定等
(1) イからヘまでに掲げる業務(以下「社会福祉連携推進業務」という。)を行おうとする一般社団法人は、(3)に掲げる基準に適合する一般社団法人であることについての所轄庁の認定(以下「社会福祉連携推進認定」という。)を受けることができるものとすることとした。(第一二五条関係)
イ 地域福祉の推進に係る取組を社員が共同して行うための支援
ロ 災害が発生した場合における社員(社会福祉事業を経営する者に限る。ハ、ホ及びヘにおいて同じ。)が提供する福祉サービスの利用者の安全を社員が共同して確保するための支援
ハ 社員が経営する社会福祉事業の経営方法に関する知識の共有を図るための支援
ニ 資金の貸付けその他の社員(社会福祉法人に限る。)が社会福祉事業に係る業務を行うのに必要な資金を調達するための支援として厚生労働省令で定めるもの
ホ 社員が経営する社会福祉事業の従事者の確保のための支援及びその資質の向上を図るための研修
ヘ 社員が経営する社会福祉事業に必要な設備又は物資の供給
(2) 社会福祉連携推進認定の申請は、社員の氏名又は名称、社会福祉連携推進業務を実施する区域等を記載した社会福祉連携推進方針その他厚生労働省令で定める書類を添えてしなければならないものとすることとした。(第一二六条関係)
(3) 所轄庁は、社会福祉連携推進認定の申請をした一般社団法人が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、当該法人について社会福祉連携推進認定をすることができるものとすることとした。(第一二七条関係)
イ その設立の目的について、社員の社会福祉に係る業務の連携を推進し、並びに地域における良質かつ適切な福祉サービスの提供及び社会福祉法人の経営基盤の強化に資することが主たる目的であること。
ロ 社員の構成について、社会福祉法人その他社会福祉事業を経営する者又は社会福祉法人の経営基盤を強化するために必要な者として厚生労働省令で定める者を社員とし、社会福祉法人である社員の数が社員の過半数であること。
ハ 社会福祉連携推進業務を適切かつ確実に行うに足りる知識及び能力並びに財産的基礎を有するものであること。
ニ 社員の資格の得喪に関して、イの目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること。
ホ 定款において、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第一一条第一項各号に掲げる事項のほか、必要事項を記載し、又は記録していること。
(二) 委託募集の特例
社会福祉連携推進法人の社員(社会福祉事業を経営する者に限る。)が、当該社会福祉連携推進法人をして社会福祉事業に従事する労働者の募集に従事させようとする場合において、当該社会福祉連携推進法人が社会福祉連携推進業務として当該募集に従事しようとするときは、職業安定法第三六条第一項及び第三項の規定は、当該社員については、適用しないものとすることとした。(第一三四条第一項関係)
(三) 所轄庁による監督等の社会福祉法人に関する規定の準用等
(1) 社会福祉連携推進法人の所轄庁は、社会福祉法人に関する規定を準用するものとすることとした。(第一三一条関係)
(2) 社会福祉連携推進法人の計算、解散及び清算、役員等並びに社会福祉連携推進認定をした所轄庁((3)において「認定所轄庁」という。)による監督等については、社会福祉法人に関する規定を準用するものとすることとした。(第一三八条第一項、第一四一条、第一四三条第一項及び第一四四条関係)
(3) 社会福祉連携推進法人の代表理事の選定及び解職は、認定所轄庁の認可を受けなければ、その効力を生じないものとすることとした。(第一四二条関係)
二 介護保険法の一部改正関係
1 国及び地方公共団体の責務に関する事項
国及び地方公共団体は、保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスに関する施策等を包括的に推進するに当たっては、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現に資するよう努めなければならないものとすることとした。(第五条第四項関係)
2 認知症に関する施策の総合的な推進等に関する事項
(一) 国及び地方公共団体は、研究機関、医療機関、介護サービス事業者等と連携し、認知症(アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態として政令で定める状態をいう。以下同じ。)の予防等に関する調査研究の推進並びにその成果の普及、活用及び発展に努めるとともに、地域における認知症である者への支援体制の整備その他の認知症に関する施策を総合的に推進するよう努めなければならないものとすることとした。(第五条の二第二項及び第三項関係)
(二) 国及び地方公共団体は、認知症に関する施策の推進に当たっては、認知症である者が地域社会において尊厳を保持しつつ他の人々と共生することができるように努めなければならないものとすることとした。(第五条の二第四項関係)
3 市町村が地域支援事業を行うに当たっては、介護保険等関連情報その他必要な情報を活用し、適切かつ有効に実施するよう努めるものとすることとした。(第一一五条の四五第五項関係)
4 介護保険事業計画の見直しに関する事項
(一) 市町村介護保険事業計画について、介護給付等対象サービス等に従事する者の確保及び資質の向上並びにその業務の効率化及び質の向上に資する都道府県と連携した取組に関する事項、認知症に関する施策の総合的な推進に関する事項並びに有料老人ホーム及び高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定する登録住宅(㈡及び三の2の㈢において「登録住宅」という。)のそれぞれの入居定員総数について定めるよう努めるものとするほか、当該市町村の区域における人口構造の変化の見通しを勘案して作成されなければならないものとすることとした。(第一一七条第三項及び第四項関係)
(二) 都道府県介護保険事業支援計画について、介護給付等対象サービス等に従事する者の業務の効率化及び質の向上に資する事業に関する事項並びに有料老人ホーム及び登録住宅のそれぞれの入居定員総数について定めるよう努めるものとすることとした。(第一一八条第三項関係)
5 介護保険事業計画の作成等のための調査及び分析等に関する事項
厚生労働大臣は、厚生労働省令で定める介護サービスを利用する要介護者等に提供される当該サービスの内容等及び地域支援事業の実施の状況等の事項について調査及び分析を行い、その結果を公表するよう努めるものとするとともに、必要があると認めるときは、介護サービス事業者及び特定介護予防・日常生活支援総合事業を行う者に対し、介護保険等関連情報を、厚生労働省令で定める方法により提供するよう求めることができるものとすることとした。(第一一八条の二関係)
三 老人福祉法の一部改正関係
1 老人福祉計画の見直しに関する事項
(一) 市町村老人福祉計画について、老人福祉事業に従事する者の確保及び資質の向上並びにその業務の効率化及び質の向上のために講ずる都道府県と連携した措置に関する事項について定めるよう努めるものとすることとした。(第二〇条の八第三項関係)
(二) 都道府県老人福祉計画について、老人福祉事業に従事する者の業務の効率化及び質の向上のために講ずる措置に関する事項について定めるよう努めるものとすることとした。(第二〇条の九第三項関係)
2 有料老人ホームの設置の届出等に関する事項
(一) 有料老人ホームを設置しようとする者が都道府県知事に届け出なければならない事項の一部及び当該届出をした者が届出に変更が生じたときに都道府県知事に届け出なければならない事項について、厚生労働省令で定める事項とすることとした。(第二九条第一項及び第二項関係)
(二) 都道府県知事は、有料老人ホームの設置等の届出がされたときは、遅滞なく、その旨を、当該届出に係る有料老人ホームの設置予定地又は所在地の市町村長に通知するものとすることとした。(第二九条第四項関係)
(三) 市町村長は、設置等の届出がされていない疑いがある有料老人ホーム(登録住宅を除く。)を発見したときは、遅滞なく、その旨を、当該有料老人ホームの設置予定地又は所在地の都道府県知事に通知するよう努めるものとすることとした。(第二九条第五項関係)
四 地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律の一部改正関係
1 社会保険診療報酬支払基金の業務の特例に関する事項
社会保険診療報酬支払基金は、当分の間、医療機関等が行う地域において効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するための医療機関等の提供する医療に係る情報化の促進に要する物品を調達し、及び提供する業務(医療機関等の申出に応じて当該物品を調達し、及び提供する業務を含む。)を行うものとすることとした。(附則第一条の二関係)
2 国民の保健医療の向上及び福祉の増進に資する情報の分析等の推進に関する事項
(一) 高齢者の医療の確保に関する法律の規定により厚生労働大臣から委託を受けて医療保険等関連情報を収集する者、介護保険法の規定により厚生労働大臣から委託を受けて介護保険等関連情報を収集する者その他の保健医療等情報(法律の規定に基づき調査若しくは分析又は利用若しくは提供が行われる医療保険等関連情報、介護保険等関連情報その他の情報であってその調査若しくは分析又は利用若しくは提供が国民の保健医療の向上及び福祉の増進に資するものをいう。以下同じ。)を収集する者として厚生労働省令で定める者は、保健医療等情報を正確に連結するため、社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会(以下「支払基金等」という。)に対し、当該保健医療等情報に係る医療保険被保険者番号等を提供した上で、保健医療等情報を正確に連結するために必要な情報として厚生労働省令で定めるものの提供を求めることができるものとすることとした。(第一二条第一項関係)
(二) 支払基金等は、(一)による求めがあったときは、電子資格確認の事務に係る医療保険被保険者番号等を利用し、保健医療等情報を正確に連結するために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供することができるものとすることとした。(第一二条第二項関係)
(三) 支払基金等は、(二)による情報の提供及びこれに附帯する業務を行うものとすることとした。(第二四条及び第三五条関係)
(四) 政府は、予算の範囲内において、支払基金等に対し、(二)による情報の提供に要する費用の一部を補助することができるものとすることとした。(第三九条関係)
五 社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律の一部改正関係
平成二九年度から令和八年度までの間に介護福祉士の養成施設を卒業した者については、当該卒業した日の属する年度の翌年度の四月一日から五年間、介護福祉士となる資格を有するものとすることとした。(附則第六条の二第一項関係)
六 検討規定
政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることとした。(附則第二条関係)
七 施行期日等
1 経過措置等
この法律の施行に関し、必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の改正を行うものとすることとした。(附則第三条~第九条関係)
2 施行期日
この法律は、令和三年四月一日から施行することとした。ただし、次の事項は、それぞれに定める日から施行することとした。
(一) 四の1及び五 公布の日
(二) 一の2及び四の2 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日
関連商品
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.