資料2002年06月24日 【税務通達】 所得税基本通達 法第36条《収入金額》関係
第2款 所得金額の計算の通則
法第36条《収入金額》関係
〔収入金額〕
(収入金額)
36-1 法第36条第1項に規定する「収入金額とすべき金額」又は「総収入金額に算入すべき金額」は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない。
〔収入金額の収入すべき時期〕
(利子所得の収入金額の収入すべき時期)
36-2 利子所得の収入金額の収入すべき時期は、法第36条第3項に規定するものを除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(平4課法8-5、課所4-3改正、平13課法8-6、課個2-17、課審3-89改正)
(1)定期預金(貯金及び令第2条第1号《預貯金の範囲》に掲げる貯蓄金でこれに類するものを含む。)の利子については、次に掲げる日
イ その契約により定められた預入期間(以下この項において「契約期間」という。)満了後に支払を受ける利子で、その契約期間が満了するまでの期間に係るものについてはその満了の日、その契約期間が満了した後の期間に係るものについてはその支払を受けた日
ロ 契約期間の満了前に既経過期間に対応して支払い又は元本に繰り入れる旨の特約のある利子については、その特約により支払を受けることとなり又は元本に繰り入れられる日
ハ 契約期間の満了前に解約された預金の利子については、その解約の日
(2)普通預金又は貯蓄預金(貯金及び令第2条第1号に掲げる貯蓄金でこれらに類するものを含む。)の利子については、その約定により支払を受けることとなり又は元本に繰り入れられる日。ただし、その利子計算期間の中途で解約された預金の利子については、その解約の日
(3)通知預金(貯金及び令第2条第1号に掲げる貯蓄金でこれに類するものを含む。)の利子については、その払出しの日
(4)合同運用信託、公社債投資信託又は公募公社債等運用投資信託の収益の分配のうち、信託期間中のものについては収益計算期間の満了の日、信託の終了又は解約(一部の解約を含む。)によるものについてはその終了又は解約の日
(5)公社債の利子については、その利子につき支払開始日と定められた日
(登録した公社債)
36-3 国債に関する法律又は社債等登録法の規定により登録した公社債は、法第36条第3項に規定する無記名の公社債には該当しない。
(配当所得の収入金額の収入すべき時期)
36-4 配当所得の収入金額の収入すべき時期は、法第36条第3項に規定するものを除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭50直法6-7、直所3-16、平11課所4-25改正、平13課法8-2、課個2-7改正、課法8-6、課個2-17、課審3-89改正)
(1)利益の配当、剰余金の分配又は基金利息については、これらのものの支払について当該法人の株主総会その他正当な権限を有する機関の決議があった日。ただし、商法第293条ノ5第1項《中間配当》、資産の流動化に関する法律第 102条第1項《中間配当》又は旧資産流動化法第 102条第1項《中間配当》の規定による金銭の分配に係る取締役会の決議又は取締役の決定において、特にその決議又は決定の効力発生日(同項に規定する一定の日から3か月内に到来する日に限る。)を定めた場合には、当該効力発生日
(2)投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)及び特定目的信託の収益の分配のうち、信託期間中のものについては収益計算期間の満了の日、信託の終了又は解約(一部の解約を含む。)によるものについてはその終了又は解約の日
(3)法第25条《配当等の額とみなす金額》の規定により配当等とみなされる金額については、それぞれ次に掲げる日
イ 合併(適格合併を除く。)によるものについては、合併登記の日。ただし、合併登記日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日
ロ 分割(適格分割型分割を除く。)によるものについては、分割登記の日。ただし、分割登記日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日
ハ 資本若しくは出資の減少、株式の償却、退社又は脱退によるものについては、これらの事実があった日
ニ 解散による残余財産の分配によるものについては、その分配開始の日。ただし、その分配が数回に分割して行われる場合には、それぞれの分配開始の日
(4)いわゆる認定配当とされるもので、その支払をすべき日があらかじめ定められているものについてはその定められた日、その日が定められていないものについては現実にその交付を受けた日(その日が明らかでない場合には、その交付が行われたと認められる事業年度の終了の日)
(不動産所得の総収入金額の収入すべき時期)
36-5 不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めのある場合を除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。
(1)契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日、支払日が定められていないものについてはその支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日)
(2)賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除く。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受けることとなった既往の期間に対応する賃貸料相当額(賃貸料相当額として供託されていたもののほか、供託されていなかったもの及び遅延利息その他の損害賠償金を含む。)については、その判決、和解等のあった日。ただし、賃貸料の額に関する係争の場合において、賃貸料の弁済のため供託された金額については、(1)に掲げる日
(注)1 当該賃貸料相当額の計算の基礎とされた期間が3年以上である場合には、当該賃貸料相当額に係る所得は、臨時所得に該当する(2-37参照)。
2 業務を営む賃借人が賃借料の弁済のため供託した金額は、当該賃借料に係る(1)に掲げる日の属する年分の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することに留意する。
(頭金、権利金等の収入すべき時期)
36-6 不動産等の貸付け(貸付契約の更新及び地上権等の設定その他他人に不動産等を使用させる行為を含む。以下36-7までにおいて同じ。)をしたことに伴い一時に収受する頭金、権利金、名義書換料、更新料等に係る不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、当該貸付けに係る契約に伴い当該貸付けに係る資産の引渡しを要するものについては当該引渡しのあった日、引渡しを要しないものについては当該貸付けに係る契約の効力発生の日によるものとする。ただし、引渡しを要するものについて契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。
(返還を要しなくなった敷金等の収入すべき時期)
36-7 不動産等の貸付けをしたことに伴い敷金、保証金等の名目により収受する金銭等(以下この項において「敷金等」という。)の額のうち、次に掲げる金額は、それぞれ次に掲げる日の属する年分の不動産所得の金額の計算上総収入金額に算入するものとする。
(1) 敷金等のうちに不動産等の貸付期間の経過に関係なく返還を要しないこととなっている部分の金額がある場合における当該返還を要しないこととなっている部分の金額 36-6に定める日
(2) 敷金等のうちに不動産等の貸付期間の経過に応じて返還を要しないこととなる部分の金額がある場合における当該返還を要しないこととなる部分の金額 当該貸付けに係る契約に定められたところにより当該返還を要しないこととなった日
(3) 敷金等のうちに不動産等の貸付期間が終了しなければ返還を要しないことが確定しない部分の金額がある場合において、その終了により返還を要しないことが確定した金額 当該不動産等の貸付けが終了した日
(事業所得の総収入金額の収入すべき時期)
36-8 事業所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めがある場合を除き、次の収入金額については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭49直所2-23改正)
(1) 棚卸資産の販売(試用販売及び委託販売を除く。)による収入金額については、その引渡しがあった日
(2) 棚卸資産の試用販売による収入金額については、相手方が購入の意思を表示した日。ただし、積送又は配置した棚卸資産について、相手方が一定期間内に返送又は拒絶の意思を表示しない限り特約又は慣習によりその販売が確定することとなっている場合には、その期間の満了の日
(3) 棚卸資産の委託販売による収入金額については、受託者がその委託品を販売した日。ただし、当該委託品についての売上計算書が毎日又は1月を超えない一定期間ごとに送付されている場合において、継続して当該売上計算書が到達した日の属する年分の収入金額としているときは、当該売上計算書の到達の日
(4) 請負による収入金額については、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の提供を完了した日。ただし、一の契約により多量に請け負った同種の建設工事等についてその引渡量に従い工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合又は1個の建設工事等についてその完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合には、その引き渡した部分に係る収入金額については、その特約又は慣習により相手方に引き渡した日
(5) 人的役務の提供(請負を除く。)による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日。ただし、人的役務の提供による報酬を期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて収入する特約又は慣習がある場合におけるその期間の経過又は役務の提供の程度等に対応する報酬については、その特約又は慣習によりその収入すべき事由が生じた日
(6) 資産(金銭を除く。)の貸付けによる賃貸料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)
(7) 金銭の貸付けによる利息又は手形の割引料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)。ただし、その者が継続して、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日により収入金額に計上している場合には、それぞれ次に掲げる日
イ 利息を天引きして貸し付けたものに係る利息 その契約により定められている貸付元本の返済日
ロ その他の利息 その貸付けに係る契約の内容に応じ、36-5の(1)に掲げる日
ハ 手形の割引料 その手形の満期日(当該満期日前に当該手形を譲渡した場合には、当該譲渡の日)
(棚卸資産の引渡しの日の判定)
36-8の2 36-8の(1)の場合において、棚卸資産の引渡しの日がいつであるかについては、例えば、出荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日、検針等により販売数量を確認した日等当該棚卸資産の種類及び性質、その販売に係る契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、その者が継続して収入金額に計上することとしている日によるものとする。(昭55直所3-19、直法6-8追加)
(建設工事等の引渡しの日の判定)
36-8の3 36-8の(4)の場合において、請負契約の内容が建設、造船その他これらに類する工事(以下この項において「建設工事等」という。)を行うことを目的とするものであるときは、その建設工事等の引渡しの日がいつであるかについては、例えば、作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方において使用収益ができることとなった日等当該建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、その者が継続して収入金額に計上することとしている日によるものとする。(昭55直所3-19、直法6-8追加)
(機械設備等の販売に伴い据付工事を行った場合の収入すべき時期の特例)
36-8の4 機械設備等を販売したことに伴いその据付工事を行った場合において、その据付工事が相当の規模のものであり、その据付工事に係る対価の額を契約その他に基づいて合理的に区分することができるときは、機械設備等に係る販売代金の額と据付工事に係る対価の額とを区分して、それぞれにつき36-8の(1)又は36-8の(4)により収入金額に計上することができるものとする。(昭55直所3-19、直法6-8追加)
(注)その者がこの取扱いによらない場合には、据付工事に係る対価の額を含む全体の販売代金の額について36-8の(1)による。
(利息制限法の制限超過利子)
36-8の5 利息制限法に定める制限利率(以下この項において「制限利率」という。)を超える利率により金銭の貸付けを行っている場合におけるその貸付けに係る貸付金から生ずる利子の額の収入すべき時期については36-8の(7)によるほか、次に定めるところによるものとする。(昭55直所3-19、直法6-8追加、昭60直所3-1、直法6-1、直資3-1改正)
(1) 当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該年分に係る金額は、原則としてその貸付けに係る約定利率により計算するものとするが、実際に支払を受けた利子の額を除き、その者が継続して制限利率によりその計算を行っている場合には、これを認める。
(2) 当該貸付金から生ずる利子の額のうち実際に支払を受けたものについては、その支払を受けた金額を利子として総収入金額に算入する。
(3) (1)により当該年分に係る利子の額を計算する場合におけるその計算の基礎となる貸付金の額は、原則としてその貸付けに係る約定元本の額によるものとするが、その者が継続して既に支払を受けた利子の額のうち制限利率により計算した利子の額を超える部分の金額(貸金業の規制等に関する法律第43条第1項《任意に支払った場合のみなし弁済》の規定の適用を受けた金額を除く。)を元本の額に充当したものとして当該貸付金の額を計算している場合には、これを認める。
(注)この場合には、貸倒引当金の計算の基礎となるその年12月31日における貸金の額についても斉一の方法によるものとする。
(給与所得の収入金額の収入すべき時期)
36-9 給与所得の収入金額の収入すべき時期は、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭63直法6-1、直所3-1改正)
(1) 契約又は慣習により支給日が定められている給与等についてはその支給日、その日が定められていないものについてはその支給を受けた日
(2) 利益処分による役員賞与等で、その支給について株主総会その他正当な権限を有する機関の決議を要するものについては、その決議があった日。ただし、その決議が支給する金額の総額だけを定めるにとどまり、各人ごとの具体的な支給金額を定めていない場合には、各人ごとの支給金額が具体的に定められた日
(3) 給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧給与の差額に相当する給与等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日
(4) いわゆる認定賞与とされる給与等で、その支給日があらかじめ定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについては現実にその支給を受けた日(その日が明らかでない場合には、その支給が行われたと認められる事業年度の終了の日)
(退職所得の収入金額の収入すべき時期)
36-10 退職所得の収入金額の収入すべき時期は、その支給の基因となった退職の日によるものとする。ただし、次の退職手当等については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭52直所3-33、直法6-10、直資3-15、昭63直法6-1、直所3-1改正)
(1)役員に支払われる退職手当等で、その支給について株主総会その他正当な権限を有する機関の決議を要するものについては、その役員の退職後その決議があった日。ただし、その決議が退職手当等を支給することだけを定めるにどとまり、具体的な支給金額を定めていない場合には、その金額が具体的に定められた日
(2)退職給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため支払われる新旧退職手当等の差額に相当する退職手当等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日
(3)法第31条《退職手当等とみなす一時金》に規定する退職手当等とみなされる一時金については、その一時金の支給の基礎となる法令、契約又は規程により定められた給付事由が生じた日
(4)引き続き勤務する者に支払われる給与で30-2により退職手当等とされるもののうち、役員であった勤続期間に係るものについては(1)に掲げる日、使用人であった勤続期間に係るものについては次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日
イ 30-2の(1)に掲げる給与 その支給を受けた日
ロ 30-2の(2)に掲げる給与 使用人から役員になった日。ただし、30-2の(2)のかっこ内の給与については、その制定又は改正の日
ハ 30-2の(4)に掲げる給与 その定年に達した日
ニ 30-2の(5)に掲げる給与 旧定年に達した日
ホ 30-2の(6)に掲げる給与 法人の解散の日
(5)年金に代えて支払われる一時金で30-4及び31-1により退職手当等とされるものについては、当該退職手当等とされるものの給付事由が生じた日
(注)令第77条《退職所得の収入の時期》の規定が適用される退職手当等の課税年分については、(1)から(5)までに掲げる日にかかわらず、同条の規定によることに留意する。
(一の退職により2以上の退職手当等の支払を受ける権利を有することとなる場合)
36-11 令第77条に規定する「一の勤務先を退職することにより2以上の……退職手当等の支払を受ける権利を有することとなる場合」とは、次に掲げるような場合をいう。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)
(1) 勤務先を退職することにより、当該勤務先から退職手当等の支払を受けるほか、法第31条各号に掲げる一時金の支払者からも当該一時金の支払を受けることとなる場合
(2) 退職により退職手当等の支払を受けた者が、その後退職給与規程の改訂等により退職手当等の差額の支払を受けることとなる場合
(注)上記に掲げる場合であっても、(1)の一時金又は(2)の差額の支給期がその者の死亡後に到来したときは、これらの一時金又は差額については、令第77条の規定は適用しない。(9-17及び34-2参照)。
(山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期)
36-12 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。ただし、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(農地法第3条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》若しくは第5条1項本文《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》の規定による許可を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下この項においてこれらを「農地等」という。)の譲渡又は同項第3号の規定による届出をしてする農地等の譲渡については、当該農地等の譲渡に関する契約が締結された日)により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。(平3課資3-1、課所4-5改正)
(注)1 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、資産の譲渡の当事者間で行われる当該資産に係る支配の移転の事実(例えば、土地の譲渡の場合における所有権移転登記に必要な書類等の交付)に基づいて判定をした当該資産の引渡しがあった日によるのであるが、当該収入すべき時期は、原則として譲渡代金の決済を了した日より後にはならないのであるから留意する。
2 農地等の譲渡について、農地法第3条又は第5条に規定する許可を受ける前又は届出前に当該農地等の譲渡に関する契約が解除された場合(再売買と認められるものを除く。)には、国税通則法第23条第2項の規定により、当該契約が解除された日の翌日から2月以内に更正の請求をすることができることに留意する。
(一時所得の総収入金額の収入すべき時期)
36-13 一時所得の総収入金額の収入すべき時期は、その支払を受けた日によるものとする。ただし、その支払を受けるべき金額がその日前に支払者から通知されているものについては、当該通知を受けた日により、令第183条第2項《生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算》に規定する生命保険契約等に基づく一時金又は令第184条第4項《損害保険契約等に基づく満期返戻金等》に規定する損害保険契約等に基づく満期返戻金等のようなものについては、その支払を受けるべき事実が生じた日による。(平11課所4-1改正)
(雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期)
36-14 雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期は、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭63直法6-1、直所3-1改正)
(1)法第35条第3項《雑所得》に規定する公的年金等
イ 公的年金等の支給の基礎となる法令、契約又は規程(以下この(1)において「法令等」という。)により定められた支給日
ロ 法令等の改正、改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧公的年金等の差額で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改正、改訂の効力が生じた日
(注)裁定、改定等の遅延、誤びゅう等により既往にさかのぼって支払われる公的年金等については、法令等により定められた当該公的年金等の計算の対象とされた期間に係る各々の支給日によることに留意する。
(2) (1)以外のもの
その収入の態様に応じ、他の所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期の取扱いに準じて判定した日
〔経済的利益〕
(経済的利益)
36-15 法第36条第1項かっこ内に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」(以下36-50までにおいて「経済的利益」という。)には、次に掲げるような利益が含まれる。
(1)物品その他の資産の譲渡を無償又は低い対価で受けた場合におけるその資産のその時における価額又はその価額とその対価の額との差額に相当する利益
(2)土地、家屋その他の資産(金銭を除く。)の貸与を無償又は低い対価で受けた場合における通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益
(3)金銭の貸付け又は提供を無利息又は通常の利率よりも低い利率で受けた場合における通常の利率により計算した利息の額又はその通常の利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額に相当する利益
(4) (2)及び(3)以外の用役の提供を無償又は低い対価で受けた場合におけるその用役について通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益
(5)買掛金その他の債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額又は自己の債務を他人が負担した場合における当該負担した金額に相当する利益
(経済的利益の額を収入金額等に算入する時期)
36-16 次に掲げる経済的利益の額を収入金額又は総収入金額に算入する時期は、当該経済的利益の額が令第80条《特別の経済的な利益で借地権の設定等による対価とされるもの》の規定により譲渡所得に係る総収入金額に算入されるものである場合を除き、おおむね次に掲げる日によるものとする。
(1)36-15の(2)に掲げる利益でその月中に受けるもの 各月ごとにその月の末日
(2)36-15の(3)又は(4)に掲げる利益でその月中に受けるもの 各月ごとにその月の末日又は1年を超えない一定期間ごとにその期間の末日
(債務免除益の特例)
36-17 債務免除益のうち、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたものについては、各種所得の金額の計算上収入金額又は総収入金額に算入しないものとする。ただし、次に掲げる場合に該当するときは、それぞれ次に掲げる金額(次のいずれの場合にも該当するときは、その合計額)の部分については、この限りでない。
(1)当該免除を受けた年において当該債務を生じた業務(以下この項において「関連業務」という。)に係る各種所得の金額の計算上損失の金額(当該免除益がないものとして計算した場合の損失の金額をいう。)がある場合 当該損失の金額
(2)法第70条《純損失の繰越控除》の規定により当該免除を受けた年において繰越控除すべき純損失の金額(当該免除益を各種所得の金額の計算上収入金額又は総収入金額に算入することとした場合に当該免除を受けた年において繰越控除すべきこととなる純損失の金額をいう。)がある場合で、当該純損失の金額のうちに関連業務に係る各種所得の金額の計算上生じた損失の金額があるとき。 当該繰越控除すべき金額のうち、当該損失の金額に達するまでの部分の金額
(広告宣伝用資産等の贈与等を受けた場合の経済的利益)
36-18 販売業者等が製造業者等から次に掲げるような広告宣伝用の資産(広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように専ら広告宣伝の用に供されるものを除く。)を無償又はその資産の価額に満たない対価により取得した場合には、その経済的利益の額は、その資産の価額(製造業者等が自己の用に供しないで贈与又は譲渡した資産については、その製造業者等の取得価額)の3分の2に相当する金額から販売業者等がその取得のために支出した金額を控除した金額とし、当該金額(同一の製造業者等から2以上の資産を取得したときは、当該金額の合計額)が30万円以下であるときは、経済的利益の額はないものとする。(昭55直所3-19、直法6-8、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)
(1)自動車(自動三輪車及び自動二輪車を含む。)で車体の大部分に一定の色彩を塗装して製造業者等の製品名又は社名を表示し、その広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
(2)陳列棚、陳列ケース、冷蔵庫又は容器で製造業者等の製品名又は社名の広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
(3)展示用モデルハウスのように製造業者等の製品の見本であることが明らかなもの
(注)広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように専ら広告宣伝の用に供される資産については、その取得による経済的利益の額はない。
(広告宣伝用資産の取得のために金銭の交付を受けた場合)
36-19 販売業者等が製造業者等から広告宣伝用の資産の取得に充てるため金銭の交付を受けた場合には、36-18の取扱いに準ずる。
(事業の広告宣伝のための賞金を受けた場合の経済的利益の評価)
36-20 法第204条第1項第8号《源泉徴収義務》に規定する広告宣伝のための賞金を受けた場合の経済的利益の額については、令第321条《金銭以外のもので支払われる賞金の価額》の規定により評価した金額によって差し支えない。
(注)令第321条の規定による評価については、205-9参照
〔給与等に係る経済的利益〕
(課税しない経済的利益……永年勤続者の記念品等)
36-21 使用者が永年勤続した役員又は使用人の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待し、又は記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)を支給することにより当該役員又は使用人が受ける利益で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない。(昭46直審(所)19改正)
(1)当該利益の額が、当該役員又は使用人の勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること。
(2)当該表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること。
(課税しない経済的利益……創業記念品等)
36-22 使用者が役員又は使用人に対し創業記念、増資記念、工事完成記念又は合併記念等に際し、その記念として支給する記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない。ただし、建築業者、造船業者等が請負工事又は造船の完成等に際し支給するものについては、この限りでない。(昭60直法6-5、直所3-6改正)
(1)その支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、そのものの価額(処分見込価額により評価した価額)が1万円以下のものであること。
(2)創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであること。
(課税しない経済的利益……商品、製品等の値引販売)
36-23 使用者が役員又は使用人に対し自己の取り扱う商品、製品等(有価証券及び食事を除く。)の値引販売をすることにより供与する経済的利益で、次の要件のいずれにも該当する値引販売により供与するものについては、課税しなくて差し支えない。(昭51直所3-1、直法6-1、直資3-1改正)
(1)値引販売に係る価額が、使用者の取得価額以上であり、かつ、通常他に販売する価額に比し著しく低い価額(通常他に販売する価額のおおむね70%未満)でないこと。
(2)値引率が、役員若しくは使用人の全部につき一律に、又はこれらの者の地位、勤続年数等に応じて全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差を設けて定められていること。
(3)値引販売をする商品等の数量は、一般の消費者が自己の家事のために通常消費すると認められる程度のものであること。
(注)食事については、36-24、36-38及び36-38の2参照
(課税しない経済的利益……残業又は宿日直をした者に支給する食事)
36-24 使用者が、残業又は宿直若しくは日直をした者(その者の通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者に限る。)に対し、これらの勤務をすることにより支給する食事については、課税しなくて差し支えない。(昭50直法6-4、直所3-8改正)
(課税しない経済的利益……掘採場勤務者に支給する燃料)
36-25 鉱業を営む使用者が自己の掘採場(これに隣接して設置されている選鉱場、製錬場その他の付属設備を含む。)に勤務する使用人に対し、これらの者の保健衛生のため、社会通念上通常必要な厚生施設の設置に代えて支給すると認められる程度の石炭、薪等の燃料については、課税しなくて差し支えない。
(課税しない経済的利益……寄宿舎の電気料等)
36-26 使用者が寄宿舎(これに類する施設を含む。以下この項において同じ。)の電気、ガス、水道等の料金を負担することにより、当該寄宿舎に居住する役員又は使用人が受ける経済的利益については、当該料金の額がその寄宿舎に居住するために通常必要であると認められる範囲内のものであり、かつ、各人ごとの使用部分に相当する金額が明らかでない場合に限り、課税しなくて差し支えない。
36-27 削除(昭50直法6-4、直所3-8改正)
(課税しない経済的利益……金銭の無利息貸付け等)
36-28 使用者が役員又は使用人に対し金銭を無利息又は36-49により評価した利息相当額に満たない利息で貸し付けたことにより、その貸付けを受けた役員又は使用人が受ける経済的利益で、次に掲げるものについては、課税しなくて差し支えない。(平11課法8-11、課所4-23改正) (1)災害、疾病等により臨時的に多額な生活資金を要することとなった役員又は使用人に対し、その資金に充てるために貸し付けた金額につき、その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける経済的利益
(2)役員又は使用人に貸し付けた金額につき、使用者における借入金の平均調達金利(例えば、当該使用者が貸付けを行った日の前年中又は前事業年度中における借入金の平均残高に占める当該前年中又は前事業年度中に支払うべき利息の額の割合など合理的に計算された利率をいう。)など合理的と認められる貸付利率を定め、これにより利息を徴している場合に生じる経済的利益
(3) (1)及び(2)の貸付金以外の貸付金につき受ける経済的利益で、その年(使用者が事業年度を有する法人である場合には、その法人の事業年度)における利益の合計額が5,000円(使用者が事業年度を有する法人である場合において、その事業年度が1年に満たないときは、5,000円にその事業年度の月数(1月未満の端数は1月に切り上げた月数)を乗じて12で除して計算した金額)以下のもの
(課税しない経済的利益……用役の提供等)
36-29 使用者が役員若しくは使用人に対し自己の営む事業に属する用役を無償若しくは通常の対価の額に満たない対価で提供し、又は役員若しくは使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担することにより、当該用役の提供を受け又は当該施設を利用した役員又は使用人が受ける経済的利益については、当該経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象として供与される場合を除き、課税しなくて差し支えない。
(課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用)
36-30 使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。
(注)上記の行事に参加しなかった者(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を含む。)に支給する金銭については、給与等として課税することに留意する。
(使用者契約の養老保険に係る経済的利益)
36-31 使用者が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする養老保険(被保険者の死亡又は生存を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含むが、36-31の3に定める定期付養老保険を含まない。以下36-31の5までにおいて同じ。)に加入してその保険料(令第64条《確定給付企業年金規約等に基づく掛金等の取扱い》及び第65条《不適格退職共済契約等に基づく掛金の取扱い》の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益(傷害特約等の特約に係る保険料の額に相当する金額を除く。)については、次に揚げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平14課法8-5、課個2-7、課審3-142改正)
(1)死亡保険金(被保険者が死亡した場合に支払われる保険金をいう。以下36-31の2までにおいて同じ。)及び生存保険金(被保険者が保険期間の満了の日その他一定の時期に生存している場合に支払われる保険金をいう。以下この項において同じ。)の受取人が当該使用者である場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(2)死亡保険金及び生存保険金の受取人が被保険者又はその遺族である場合 その支払った保険料の額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(3) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が当該使用者である場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(注)1 傷害特約等の特約に係る保険料を使用者が支払ったことにより役員又は使用人が受ける経済的利益については、36-31の4参照
2 上記(3)のただし書については、次によることに留意する。
(1) 保険加入の対象とする役員又は使用人について、加入資格の有無、保険金額等に格差が設けられている場合であっても、それが職種、年齢、勤続年数等に応ずる合理的な基準により、普遍的に設けられた格差であると認められるときは、ただし書を適用しない。
(2) 役員又は使用人の全部又は大部分が同族関係者である法人については、たとえその役員又は使用人の全部を対象として保険に加入する場合であっても、その同族関係者である役員又は使用人については、ただし書を適用する。
(使用者契約の定期保険に係る経済的利益)
36-31の2 使用者が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期保険(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含む。以下36-31の5までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益(傷害特約等の特約に係る保険料の額に相当する金額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(1)死亡保険金の受取人が当該使用者である場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(2)死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(注)1 傷害特約等の特約に係る保険料を使用者が支払ったことにより役員又は使用人が受ける経済的利益については、36-31の4参照
2 36-31の(注)2の取扱いは、上記(2)のただし書について準用する。
(使用者契約の定期付養老保険に係る経済的利益)
36-31の3 使用者が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期付養老保険(養老保険に定期保険を付したものをいう。以下36-31の5までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益(傷害特約等の特約に係る保険料の額に相当する金額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(1)当該保険料の額が生命保険証券等において養老保険に係る保険料の額と定期保険に係る保険料の額とに区分けされている場合 それぞれの保険料の支払があったものとして、それぞれ36-31又は36-31の2の例による。
(2)(1)以外の場合 36-31の例による。
(注) 傷害特約等の特約に係る保険料を使用者が支払ったことにより役員又は使用人が受ける経済的利益については,36-31の4参照
(使用者契約の傷害特約等の特約を付した保険に係る経済的利益)
36-31の4 使用者が、自己を契約者とし,役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする傷害特約等の特約を付した養老保険、定期保険又は定期付養老保険に加入し、当該特約に係る保険料を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを傷害特約等に係る給付金の受取人としている場合には、当該保険料の額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(注) 36-31の(注)2の取扱いは,上記ただし書について準用する。
(使用者契約の生命保険契約の転換をした場合)
36-31の5 使用者がいわゆる契約転換制度によりその加入している養老保険又は定期付養老保険を他の養老保険、定期保険又は定期付養老保険(以下この項において「転換後契約」という。)に転換した場合には、その転換のあった日に転換後契約の責任準備金に充当される部分の金額(36-31から36-31の3までの取扱いにより,役員又は使用人に対する給与等とされている金額がある場合には当該金額を除く。)に相当する金額の保険料の一時払いをしたものとして、転換後契約の内容に応じて36-31から36-31の3までの例による。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(生命保険契約に係る取扱いの準用)
36-31の6 36-31から36-31の5までの取扱いについては、法第76条第3項、《生命保険料控除》に規定する生命保険契約等(以下36-32までにおいて「生命保険契約等」という。)のうち、同項第2号及び第3号に規定する契約について準用する。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(使用者契約の保険契約等に係る経済的利益)
36-31の7 使用者が自己を契約者とし、役員又は使用人のために次に掲げる保険契約又は共済契約(当該契約期間の満了に際し満期返戻金、満期共済金等の給付がある場合には、当該給付の受取人を使用者としている契約に限る。)に係る保険料(共済掛金を含む。以下この項において同じ。)を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益については、課税しなくて差し支えない。ただし、役員又は特定の使用人のみを対象として当該保険料を支払うこととしている場合には、その支払った保険料の額(その契約期間の満了に際し満期返戻金、満期共済金等の給付がある場合には、支払った保険料の額から積立保険料に相当する部分の金額を控除した金額)に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平13課法8-6、課個2-17、課審3-89改正)
(1)役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)の身体を保険の目的とする法第76条第3項第4号に掲げる保険契約
(2)役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)の身体を保険若しくは共済の目的とする損害保険契約又は共済契約
(3)役員又は使用人に係る法第77条第1項《損害保険料控除》に規定する家屋又は資産(役員又は使用人から賃借している建物等で当該役員又は使用人に使用させているものを含む。)を保険若しくは共済の目的とする損害保険契約又は共済契約
(使用人契約の保険契約等に係る経済的利益)
36-31の8 使用者が、役員又は使用人が負担すべき次に掲げるような保険料又は掛金を負担する場合には、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等に該当することに留意する。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平5課法8-2、課所4-6改正、平14課法8-5、課個2-7、課審3-142改正)
(1)役員又は使用人が契約した生命保険契約等(確定給付企業年金規約及び適格退職年金契約に係るものを除く。以下36-32において同じ。)又は法第77条第2項に規定する損害保険契約等(以下36-32において「損害保険契約等」という。)に係る保険料又は掛金
(2)法第74条第2項《社会保険料控除》に規定する社会保険料
(3)法第75条第2項《小規模企業共済等掛金控除》に規定する小規模企業共済等掛金
(課税しない経済的利益……使用者が負担する小額な保険料等)
36-32 使用者が役員又は使用人のために次に掲げる保険料又は掛金を負担することにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益については、その者につきその月中に負担する金額の合計額が300円以下である場合に限り、課税しなくて差し支えない。ただし、使用者が役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを対象として当該保険料又は掛金を負担することにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益については、この限りでない。(昭46直審(所)19、昭63直法6-7、直所3-8改正)
(1)健康保険法、雇用保険法、厚生年金保険法又は船員保険法の規定により役員又は使用人が被保険者として負担すべき保険料
(2)生命保険契約等又は損害保険契約等に係る保険料又は掛金(36-31から36-31の7までにより課税されないものを除く。)
(注)使用者がその月中に負担する金額の合計額が300円以下であるかどうかを判定する場合において、上記の契約のうちに保険料又は掛金の払込みを年払、半年払等により行う契約があるときは、当該契約に係るその月中に負担する金額は、その年払、半年払等による保険料又は掛金の月割額とし、使用者が上記の契約に基づく剰余金又は割戻金の支払を受けたときは、その支払を受けた後に支払った保険料又は掛金の額のうちその支払を受けた剰余金又は割戻金の額に達するまでの金額は、使用者が負担する金額には含まれない。
(使用者が負担する役員又は使用人の行為に基因する損害賠償金等)
36-33 使用者が役員又は使用人の行為に基因する損害賠償金(慰謝料,示談金等他人に与えた損害を補てんするために支出するすべてのもの及びこれらに関連する弁護士の報酬等の費用を含む。以下この項において「損害賠償金」という。)を負担することにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益については、次による。
(1)その損害賠償金等の基因となった行為が使用者の業務の遂行に関連するものであり、かつ、行為者の故意又は重過失に基づかないものである場合には、その役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(2)その損害賠償金等の基因となった行為が(1)以外のものである場合には、その負担する金額は、その役員又は使用人に対する給与等とする。ただし、その負担した金額のうちに、その行為者の支払能力等からみてその者に負担させることができないためやむを得ず使用者が負担したと認められる部分の金額がある場合には、当該部分の金額については、(1)の場合に準ずる。
(使用者が負担するゴルフクラブの入会金)
36-34 使用者がゴルフクラブの入会金を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。(昭63直法6-7、直所3-8改正)
(1)法人会員として入会した場合 記名式の法人会員で名義人である特定の役員又は使用人が専ら法人の業務に関係なく利用するため、これらの者が負担すべきものであると認められるときは、その入会金に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(2)役員又は使用人が個人会員として入会した場合 入会金に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。ただし、無記名式の法人会員制度がないため役員又は使用人を個人会員として入会させた場合において、その入会が法人の業務の遂行上必要であると認められ、かつ、その入会金を法人が資産に計上したときは、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(注)この入会金は、ゴルフクラブに入会するために支出する費用であるから、他人の有する会員権を購入した場合には、その購入代価のほか他人の名義を変更するためにゴルフクラブに支出する費用も含まれる。
(使用者が負担するゴルフクラブの年会費等)
36-34の2 使用者がゴルフクラブの年会費その他の費用を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次による。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(1)使用者がゴルフクラブの年会費、年決めロッカ-料その他の費用(その名義人を変更するために支出する名義書換料を含み、プレ-をする場合に直接要する費用を除く。)を負担する場合には、その入会金が法人の資産として計上されているときは、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとし、その入会金が36-34により給与等とされているときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(2)使用者が、プレ-をする場合に直接要する費用を負担する場合には、その負担する金額は、そのプレ-をする役員又は使用人に対する給与等とする。ただし、その費用が使用者の業務の遂行上必要なものであると認められるときは、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(使用者が負担するレジャ-クラブの入会金等)
36-34の3 使用者がレジャ-クラブ(宿泊施設、体育施設その他のレジャ-施設を会員に利用させることを目的とするクラブでゴルフクラブ以外のものをいう。)の入会金、年会費その他の費用を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次による。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(1)使用者が入会金を負担する場合には、36-34の例による。
(2)使用者が年会費その他の費用(レジャ-クラブの利用にに応じて支払われる費用を除く。)を負担する場合には、36-34の2の(1)の例による。
(3)使用者がレジャ-クラブの利用に応じて支払われる費用を負担する場合ににおいて、その費用が特定の役員又は使用人が負担すべきものであると認められるときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(使用者が負担する社交団体の入会金等)
36-35 使用者が社交団体(ゴルフクラブ、レジャ-クラブ、ロ-タリ-クラブ及びライオンズクラブを除く。)の入会金、会費その他の費用を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次による。(昭46直審(所)19、昭63直法6-7、直所3-8改正)
(1)個人会員として入会した役員又は使用人に係る入会金及び経常会費を負担する場合には、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。ただし、法人会員制度がないため役員又は使用人を個人会員として入会させた場合において、その入会が法人の業務の遂行上必要であると認められるときは、この限りでない。
(2)経常会費以外の費用を負担する場合には、その費用が使用者の業務の遂行上必要なものであると認められるときは、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとし、その費用が特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められるときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(使用者が負担するロータリークラブ及びライオンズクラブの入会金等)
36-35の2 使用者がロータリークラブ又はライオンズクラブに対する入会金、会費その他の費用を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(1)入会金又は経常会費を負担する場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(2)経常会費以外の費用を負担する場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、その費用が会員である特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められるときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
〔給与等とされる経済的利益の評価〕
(有価証券の評価)
36-36 使用者が役員又は使用人に対して支給する有価証券(令第84条各号に掲げる権利で同条の規定の適用を受けるもの及び法人税法第2条第14号に規定する株主等として発行法人から与えられた新株等を取得する権利を除く。)については、その支給時の価額により評価する。この場合における支給時の価額については、23~35共-9及び昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の第8章第2節《公社債》の取扱いに準じて評価する。(昭50直所3-4、昭52直所3-33、直法6-10、直資3-15、平4課法8-5、課所4-3、平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118改正)
(保険契約等に関する権利の評価)
36-37 使用者が役員又は使用人に対して支給する生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する共済契約に関する権利については、その支給時において当該契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額)により評価する。
(食事の評価)
36-38 使用者が役員又は使用人に対し支給する食事については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額により評価する。(昭50直法6-4、直所3-8改正)
(1) 使用者が調理して支給する食事 その食事の材料等に要する直接費の額に相当する金額
(2) 使用者が購入して支給する食事 その食事の購入価額に相当する金額
(食事の支給による経済的利益はないものとする場合)
36-38の2 使用者が役員又は使用人に対して支給した食事(36-24の食事を除く。)につき当該役員又は使用人から実際に徴収している対価の額が、36-38により評価した当該食事の価額の50%相当額以上である場合には、当該役員又は使用人が食事の支給により受ける経済的利益はないものとする。ただし、当該食事の価額からその実際に徴収している対価の額を控除した残額が月額3,500円を超えるときは、この限りでない。(昭50直法6-4、直所3-8追加、昭59直法6-4、直所3-7改正)
(商品、製品等の評価)
36-39 使用者が役員又は使用人に対して支給する商品、製品等(有価証券及び食事を除く。)の物については、その支給時における次に掲げる価額により評価する。
(1) 当該物が使用者において通常他に販売するものである場合には、当該使用者の通常の販売価額
(2) 当該物が使用者において通常他に販売するものでない場合には、当該物の通常売買される価額。ただし、当該物が、役員又は使用人に支給するため使用者が購入したものであり、かつ、その購入時からその支給時までの間にその価額にさして変動がないものであるときは、その購入価額によることができる。
(役員に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)
36-40 使用者(国、地方公共団体その他これらに準ずる法人(以下36-45においてこれらを「公共法人等」という。)を除く。以下36-44までにおいて同じ。)がその役員に対して貸与した住宅等(当該役員の居住の用に供する家屋又はその敷地の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利をいう。以下36-44までにおいて同じ。)に係る通常の賃貸料の額(月額をいう。以下36-48までにおいて同じ。)は、次に掲げる算式により計算した金額(使用者が他から借り受けて貸与した住宅等で当該使用者の支払う賃借料の額の50%に相当する金額が当該算式により計算した金額を超えるものについては、その50%に相当する金額)とする。ただし、36-41に定める住宅等については、この限りでない。
(注)1 家屋だけ又は敷地だけを貸与した場合には、その家屋だけ又は敷地だけについて上記の取扱いを適用する。
2 上記の算式中「木造家屋以外の家屋」とは、耐用年数省令別表第1に規定する耐用年数が30年を超える住宅用の建物をいい、木造家屋とは、当該耐用年数が30年以下の住宅用の建物をいう(以下36-41において同じ。)。
(小規模住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)
36-41 36-40の住宅等のうち、その貸与した家屋の床面積(2以上の世帯を収容する構造の家屋については、1世帯として使用する部分の床面積。以下この項において同じ。)が132平方メ-トル(木造家屋以外の家屋については99平方メ-トル)以下であるものに係る通常の賃貸料の額は、36-40にかかわらず、次に掲げる算式により計算した金額とする。
(注)敷地だけを貸与した場合には、この取扱いは適用しないことに留意する。
(通常の賃貸料の額の計算に関する細目)
36-42 36-40又は36-41により通常の賃貸料の額を計算するに当たり、次に掲げる場合には、それぞれ次による。
(1)例えば、その貸与した家屋が1棟の建物の一部である場合又はその貸与した敷地が1筆の土地の一部である場合のように、固定資産税の課税標準額がその貸与した家屋又は敷地以外の部分を含めて決定されている場合 当該課税標準額(36-41により計算する場合にあっては、当該課税標準額及び当該建物の全部の床面積)を基として求めた通常の賃貸料の額をその建物又は土地の状況に応じて合理的にあん分するなどにより、その貸与した家屋又は敷地に対応する通常の賃貸料の額を計算する。
(2)その住宅等の固定資産税の課税標準額が改訂された場合 その改訂後の課税標準額に係る固定資産税の第1期の納期限の属する月の翌月分から、その改訂後の課税標準額を基として計算する。
(3)その住宅等が年の中途で新築された家屋のように固定資産税の課税標準額が定められていないものである場合 当該住宅等と状況の類似する住宅等に係る固定資産税の課税標準額に比準する価額を基として計算する。
(4)その住宅等が月の中途で役員の居住の用に供されたものである場合 その居住の用に供された日の属する月の翌月分から、役員に対して貸与した住宅等としての通常の賃貸料の額を計算する。
(通常の賃貸料の額の計算の特例)
36-43 36-40又は36-41により通常の賃貸料の額を計算する場合において、その住宅等が次に掲げるものに該当するときは、その使用の状況を考慮して通常の賃貸料の額を定めるものとする。この場合において、使用者が当該住宅等につきそれぞれの次に掲げる金額をその賃貸料の額として徴収しているときは、その徴収している金額を当該住宅等に係る通常の賃貸料の額として差し支えない。
(1)公的使用に充てられる部分がある住宅等 36-40又は36-41により計算した通常の賃貸料の額の70%以上に相当する金額
(2)単身赴任者のような者が一部を使用しているにすぎない住宅等 次の算式により計算した金額以上の金額
(住宅等の貸与による経済的利益の有無の判定上のプ-ル計算)
36-44 使用者が住宅等を貸与したすべての役員(令第21条4号《非課税とされる職務上必要な給付》に規定する者を除く。以下この項において同じ。)からその貸与した住宅等の状況に応じてバランスのとれた賃貸料を徴収している場合において、その徴収している賃貸料の額の合計額が役員に貸与したすべての住宅等につき36-40から36-43までにより計算した通常の賃貸料の額の合計額以上であるときは、これらのすべての役員につき住宅等の貸与による経済的利益はないものとする。
(使用人に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)
36-45 使用者が使用人(公共法人等の役員を含む。以下36-48までにおいて同じ。)に対して貸与した住宅等(当該使用人の居住の用に供する家屋又はその敷地の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利をいう。以下36-48までにおいて同じ。)に係る通常の賃貸料の額は、36-41に掲げる算式により計算した金額とする。この場合において、その計算に関する細目については、36-46に該当する場合を除き、36-42の取扱いに準ずるものとする。
(無償返還の届出がある場合の通常の賃貸料の額)
36-45の2 使用者が役員等に対しこれらの者の居住の用に供する家屋の敷地を貸与した場合において、法人税基本通達13-1-7の規定により当該敷地を将来当該役員等が無償で返還することとしているときは、その土地に係る通常の賃貸料の額は、36-40、36-41、36-43及び36-45にかかわらず、法人税基本通達13-1-2に定める相当の地代の額とする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(通常の賃貸料の額の改算を要しない場合)
36-46 使用者が使用人に対して貸与した住宅等の固定資産税の課税標準額が改訂された場合であっても、その改訂後の課税標準額が現に通常の賃貸料の額の計算の基礎となっている課税標準額に比し20%以内の増減にとどまるときは、現にその計算の基礎となっている課税標準額を基として36-45の取扱いを適用して差し支えない。この場合において、使用者が徴収している賃貸料の額が36-48に該当するものであるときは、使用人(令第21条第4号に規定する者を除く。以下36-48までにおいて同じ。)に貸与したすべての住宅等を一括して、又は1か所若しくは数か所の事業所等ごとの区分により、20%以内であるかどうかを判定して差し支えない。
(徴収している賃貸料の額が通常の賃貸料の額の50%相当額以上である場合)
36-47 使用者が使用人に対して貸与した住宅等につき当該使用人から実際に徴収している賃貸料の額が、当該住宅につき36-45により計算した通常の賃貸料の額の50%相当額以上である場合には、当該使用人が住宅等の貸与により受ける経済的利益はないものとする。
(住宅等の貸与による経済的利益の有無の判定上のプ-ル計算)
36-48 使用者が住宅等を貸与したすべての使用人から、その貸与した住宅等の状況に応じてバランスのとれた賃貸料を徴収している場合において、その徴収している賃貸料の額の合計額が使用人に貸与したすべての住宅等につき36-45により計算した通常の賃貸料の額の合計額の50%相当額以上であるときは、これらのすべての使用人につき住宅等の貸与による経済的利益はないものとする。この場合において、使用人に貸与したすべての住宅等につき一括してこれらの合計額を計算することが困難であるときは、1か所又は数か所の事業所等ごとにその所属する住宅等の全部を基として計算して差し支えない。
(利息相当額の評価)
36-49 使用者が役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息相当額については、当該金銭が使用者において他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合には、その借入金の利率により、その他の場合には、貸付けを行った日の属する年の前年の11月30日を経過する時におけるいわゆる公定歩合(日本銀行法第15条第1項第1号の規定により定められる商業手形の基準割引率)に年4%の利率を加算した利率(その利率に0.1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)により評価する。
(用役の評価)
36-50 使用者が役員又は使用人に提供した用役については、当該用役につき通常支払われるべき対価の額により評価する。ただし、36-30に定める行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益で、その行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。以下この項において同じ。)に対してその参加に代えて金銭が支給される場合に受けるものについては、その参加しなかった役員又は使用人に支給される金銭の額に相当する額とする。
法第36条《収入金額》関係
〔収入金額〕
(収入金額)
36-1 法第36条第1項に規定する「収入金額とすべき金額」又は「総収入金額に算入すべき金額」は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない。
〔収入金額の収入すべき時期〕
(利子所得の収入金額の収入すべき時期)
36-2 利子所得の収入金額の収入すべき時期は、法第36条第3項に規定するものを除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(平4課法8-5、課所4-3改正、平13課法8-6、課個2-17、課審3-89改正)
(1)定期預金(貯金及び令第2条第1号《預貯金の範囲》に掲げる貯蓄金でこれに類するものを含む。)の利子については、次に掲げる日
イ その契約により定められた預入期間(以下この項において「契約期間」という。)満了後に支払を受ける利子で、その契約期間が満了するまでの期間に係るものについてはその満了の日、その契約期間が満了した後の期間に係るものについてはその支払を受けた日
ロ 契約期間の満了前に既経過期間に対応して支払い又は元本に繰り入れる旨の特約のある利子については、その特約により支払を受けることとなり又は元本に繰り入れられる日
ハ 契約期間の満了前に解約された預金の利子については、その解約の日
(2)普通預金又は貯蓄預金(貯金及び令第2条第1号に掲げる貯蓄金でこれらに類するものを含む。)の利子については、その約定により支払を受けることとなり又は元本に繰り入れられる日。ただし、その利子計算期間の中途で解約された預金の利子については、その解約の日
(3)通知預金(貯金及び令第2条第1号に掲げる貯蓄金でこれに類するものを含む。)の利子については、その払出しの日
(4)合同運用信託、公社債投資信託又は公募公社債等運用投資信託の収益の分配のうち、信託期間中のものについては収益計算期間の満了の日、信託の終了又は解約(一部の解約を含む。)によるものについてはその終了又は解約の日
(5)公社債の利子については、その利子につき支払開始日と定められた日
(登録した公社債)
36-3 国債に関する法律又は社債等登録法の規定により登録した公社債は、法第36条第3項に規定する無記名の公社債には該当しない。
(配当所得の収入金額の収入すべき時期)
36-4 配当所得の収入金額の収入すべき時期は、法第36条第3項に規定するものを除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭50直法6-7、直所3-16、平11課所4-25改正、平13課法8-2、課個2-7改正、課法8-6、課個2-17、課審3-89改正)
(1)利益の配当、剰余金の分配又は基金利息については、これらのものの支払について当該法人の株主総会その他正当な権限を有する機関の決議があった日。ただし、商法第293条ノ5第1項《中間配当》、資産の流動化に関する法律第 102条第1項《中間配当》又は旧資産流動化法第 102条第1項《中間配当》の規定による金銭の分配に係る取締役会の決議又は取締役の決定において、特にその決議又は決定の効力発生日(同項に規定する一定の日から3か月内に到来する日に限る。)を定めた場合には、当該効力発生日
(2)投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)及び特定目的信託の収益の分配のうち、信託期間中のものについては収益計算期間の満了の日、信託の終了又は解約(一部の解約を含む。)によるものについてはその終了又は解約の日
(3)法第25条《配当等の額とみなす金額》の規定により配当等とみなされる金額については、それぞれ次に掲げる日
イ 合併(適格合併を除く。)によるものについては、合併登記の日。ただし、合併登記日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日
ロ 分割(適格分割型分割を除く。)によるものについては、分割登記の日。ただし、分割登記日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日
ハ 資本若しくは出資の減少、株式の償却、退社又は脱退によるものについては、これらの事実があった日
ニ 解散による残余財産の分配によるものについては、その分配開始の日。ただし、その分配が数回に分割して行われる場合には、それぞれの分配開始の日
(4)いわゆる認定配当とされるもので、その支払をすべき日があらかじめ定められているものについてはその定められた日、その日が定められていないものについては現実にその交付を受けた日(その日が明らかでない場合には、その交付が行われたと認められる事業年度の終了の日)
(不動産所得の総収入金額の収入すべき時期)
36-5 不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めのある場合を除き、それぞれ次に掲げる日によるものとする。
(1)契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日、支払日が定められていないものについてはその支払を受けた日(請求があったときに支払うべきものとされているものについては、その請求の日)
(2)賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除く。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受けることとなった既往の期間に対応する賃貸料相当額(賃貸料相当額として供託されていたもののほか、供託されていなかったもの及び遅延利息その他の損害賠償金を含む。)については、その判決、和解等のあった日。ただし、賃貸料の額に関する係争の場合において、賃貸料の弁済のため供託された金額については、(1)に掲げる日
(注)1 当該賃貸料相当額の計算の基礎とされた期間が3年以上である場合には、当該賃貸料相当額に係る所得は、臨時所得に該当する(2-37参照)。
2 業務を営む賃借人が賃借料の弁済のため供託した金額は、当該賃借料に係る(1)に掲げる日の属する年分の当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することに留意する。
(頭金、権利金等の収入すべき時期)
36-6 不動産等の貸付け(貸付契約の更新及び地上権等の設定その他他人に不動産等を使用させる行為を含む。以下36-7までにおいて同じ。)をしたことに伴い一時に収受する頭金、権利金、名義書換料、更新料等に係る不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、当該貸付けに係る契約に伴い当該貸付けに係る資産の引渡しを要するものについては当該引渡しのあった日、引渡しを要しないものについては当該貸付けに係る契約の効力発生の日によるものとする。ただし、引渡しを要するものについて契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。
(返還を要しなくなった敷金等の収入すべき時期)
36-7 不動産等の貸付けをしたことに伴い敷金、保証金等の名目により収受する金銭等(以下この項において「敷金等」という。)の額のうち、次に掲げる金額は、それぞれ次に掲げる日の属する年分の不動産所得の金額の計算上総収入金額に算入するものとする。
(1) 敷金等のうちに不動産等の貸付期間の経過に関係なく返還を要しないこととなっている部分の金額がある場合における当該返還を要しないこととなっている部分の金額 36-6に定める日
(2) 敷金等のうちに不動産等の貸付期間の経過に応じて返還を要しないこととなる部分の金額がある場合における当該返還を要しないこととなる部分の金額 当該貸付けに係る契約に定められたところにより当該返還を要しないこととなった日
(3) 敷金等のうちに不動産等の貸付期間が終了しなければ返還を要しないことが確定しない部分の金額がある場合において、その終了により返還を要しないことが確定した金額 当該不動産等の貸付けが終了した日
(事業所得の総収入金額の収入すべき時期)
36-8 事業所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めがある場合を除き、次の収入金額については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭49直所2-23改正)
(1) 棚卸資産の販売(試用販売及び委託販売を除く。)による収入金額については、その引渡しがあった日
(2) 棚卸資産の試用販売による収入金額については、相手方が購入の意思を表示した日。ただし、積送又は配置した棚卸資産について、相手方が一定期間内に返送又は拒絶の意思を表示しない限り特約又は慣習によりその販売が確定することとなっている場合には、その期間の満了の日
(3) 棚卸資産の委託販売による収入金額については、受託者がその委託品を販売した日。ただし、当該委託品についての売上計算書が毎日又は1月を超えない一定期間ごとに送付されている場合において、継続して当該売上計算書が到達した日の属する年分の収入金額としているときは、当該売上計算書の到達の日
(4) 請負による収入金額については、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の提供を完了した日。ただし、一の契約により多量に請け負った同種の建設工事等についてその引渡量に従い工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合又は1個の建設工事等についてその完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合には、その引き渡した部分に係る収入金額については、その特約又は慣習により相手方に引き渡した日
(5) 人的役務の提供(請負を除く。)による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日。ただし、人的役務の提供による報酬を期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて収入する特約又は慣習がある場合におけるその期間の経過又は役務の提供の程度等に対応する報酬については、その特約又は慣習によりその収入すべき事由が生じた日
(6) 資産(金銭を除く。)の貸付けによる賃貸料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)
(7) 金銭の貸付けによる利息又は手形の割引料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)。ただし、その者が継続して、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日により収入金額に計上している場合には、それぞれ次に掲げる日
イ 利息を天引きして貸し付けたものに係る利息 その契約により定められている貸付元本の返済日
ロ その他の利息 その貸付けに係る契約の内容に応じ、36-5の(1)に掲げる日
ハ 手形の割引料 その手形の満期日(当該満期日前に当該手形を譲渡した場合には、当該譲渡の日)
(棚卸資産の引渡しの日の判定)
36-8の2 36-8の(1)の場合において、棚卸資産の引渡しの日がいつであるかについては、例えば、出荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日、検針等により販売数量を確認した日等当該棚卸資産の種類及び性質、その販売に係る契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、その者が継続して収入金額に計上することとしている日によるものとする。(昭55直所3-19、直法6-8追加)
(建設工事等の引渡しの日の判定)
36-8の3 36-8の(4)の場合において、請負契約の内容が建設、造船その他これらに類する工事(以下この項において「建設工事等」という。)を行うことを目的とするものであるときは、その建設工事等の引渡しの日がいつであるかについては、例えば、作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方において使用収益ができることとなった日等当該建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち、その者が継続して収入金額に計上することとしている日によるものとする。(昭55直所3-19、直法6-8追加)
(機械設備等の販売に伴い据付工事を行った場合の収入すべき時期の特例)
36-8の4 機械設備等を販売したことに伴いその据付工事を行った場合において、その据付工事が相当の規模のものであり、その据付工事に係る対価の額を契約その他に基づいて合理的に区分することができるときは、機械設備等に係る販売代金の額と据付工事に係る対価の額とを区分して、それぞれにつき36-8の(1)又は36-8の(4)により収入金額に計上することができるものとする。(昭55直所3-19、直法6-8追加)
(注)その者がこの取扱いによらない場合には、据付工事に係る対価の額を含む全体の販売代金の額について36-8の(1)による。
(利息制限法の制限超過利子)
36-8の5 利息制限法に定める制限利率(以下この項において「制限利率」という。)を超える利率により金銭の貸付けを行っている場合におけるその貸付けに係る貸付金から生ずる利子の額の収入すべき時期については36-8の(7)によるほか、次に定めるところによるものとする。(昭55直所3-19、直法6-8追加、昭60直所3-1、直法6-1、直資3-1改正)
(1) 当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該年分に係る金額は、原則としてその貸付けに係る約定利率により計算するものとするが、実際に支払を受けた利子の額を除き、その者が継続して制限利率によりその計算を行っている場合には、これを認める。
(2) 当該貸付金から生ずる利子の額のうち実際に支払を受けたものについては、その支払を受けた金額を利子として総収入金額に算入する。
(3) (1)により当該年分に係る利子の額を計算する場合におけるその計算の基礎となる貸付金の額は、原則としてその貸付けに係る約定元本の額によるものとするが、その者が継続して既に支払を受けた利子の額のうち制限利率により計算した利子の額を超える部分の金額(貸金業の規制等に関する法律第43条第1項《任意に支払った場合のみなし弁済》の規定の適用を受けた金額を除く。)を元本の額に充当したものとして当該貸付金の額を計算している場合には、これを認める。
(注)この場合には、貸倒引当金の計算の基礎となるその年12月31日における貸金の額についても斉一の方法によるものとする。
(給与所得の収入金額の収入すべき時期)
36-9 給与所得の収入金額の収入すべき時期は、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭63直法6-1、直所3-1改正)
(1) 契約又は慣習により支給日が定められている給与等についてはその支給日、その日が定められていないものについてはその支給を受けた日
(2) 利益処分による役員賞与等で、その支給について株主総会その他正当な権限を有する機関の決議を要するものについては、その決議があった日。ただし、その決議が支給する金額の総額だけを定めるにとどまり、各人ごとの具体的な支給金額を定めていない場合には、各人ごとの支給金額が具体的に定められた日
(3) 給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧給与の差額に相当する給与等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日
(4) いわゆる認定賞与とされる給与等で、その支給日があらかじめ定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについては現実にその支給を受けた日(その日が明らかでない場合には、その支給が行われたと認められる事業年度の終了の日)
(退職所得の収入金額の収入すべき時期)
36-10 退職所得の収入金額の収入すべき時期は、その支給の基因となった退職の日によるものとする。ただし、次の退職手当等については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭52直所3-33、直法6-10、直資3-15、昭63直法6-1、直所3-1改正)
(1)役員に支払われる退職手当等で、その支給について株主総会その他正当な権限を有する機関の決議を要するものについては、その役員の退職後その決議があった日。ただし、その決議が退職手当等を支給することだけを定めるにどとまり、具体的な支給金額を定めていない場合には、その金額が具体的に定められた日
(2)退職給与規程の改訂が既往にさかのぼって実施されたため支払われる新旧退職手当等の差額に相当する退職手当等で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改訂の効力が生じた日
(3)法第31条《退職手当等とみなす一時金》に規定する退職手当等とみなされる一時金については、その一時金の支給の基礎となる法令、契約又は規程により定められた給付事由が生じた日
(4)引き続き勤務する者に支払われる給与で30-2により退職手当等とされるもののうち、役員であった勤続期間に係るものについては(1)に掲げる日、使用人であった勤続期間に係るものについては次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日
イ 30-2の(1)に掲げる給与 その支給を受けた日
ロ 30-2の(2)に掲げる給与 使用人から役員になった日。ただし、30-2の(2)のかっこ内の給与については、その制定又は改正の日
ハ 30-2の(4)に掲げる給与 その定年に達した日
ニ 30-2の(5)に掲げる給与 旧定年に達した日
ホ 30-2の(6)に掲げる給与 法人の解散の日
(5)年金に代えて支払われる一時金で30-4及び31-1により退職手当等とされるものについては、当該退職手当等とされるものの給付事由が生じた日
(注)令第77条《退職所得の収入の時期》の規定が適用される退職手当等の課税年分については、(1)から(5)までに掲げる日にかかわらず、同条の規定によることに留意する。
(一の退職により2以上の退職手当等の支払を受ける権利を有することとなる場合)
36-11 令第77条に規定する「一の勤務先を退職することにより2以上の……退職手当等の支払を受ける権利を有することとなる場合」とは、次に掲げるような場合をいう。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)
(1) 勤務先を退職することにより、当該勤務先から退職手当等の支払を受けるほか、法第31条各号に掲げる一時金の支払者からも当該一時金の支払を受けることとなる場合
(2) 退職により退職手当等の支払を受けた者が、その後退職給与規程の改訂等により退職手当等の差額の支払を受けることとなる場合
(注)上記に掲げる場合であっても、(1)の一時金又は(2)の差額の支給期がその者の死亡後に到来したときは、これらの一時金又は差額については、令第77条の規定は適用しない。(9-17及び34-2参照)。
(山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期)
36-12 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。ただし、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(農地法第3条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》若しくは第5条1項本文《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》の規定による許可を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下この項においてこれらを「農地等」という。)の譲渡又は同項第3号の規定による届出をしてする農地等の譲渡については、当該農地等の譲渡に関する契約が締結された日)により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。(平3課資3-1、課所4-5改正)
(注)1 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、資産の譲渡の当事者間で行われる当該資産に係る支配の移転の事実(例えば、土地の譲渡の場合における所有権移転登記に必要な書類等の交付)に基づいて判定をした当該資産の引渡しがあった日によるのであるが、当該収入すべき時期は、原則として譲渡代金の決済を了した日より後にはならないのであるから留意する。
2 農地等の譲渡について、農地法第3条又は第5条に規定する許可を受ける前又は届出前に当該農地等の譲渡に関する契約が解除された場合(再売買と認められるものを除く。)には、国税通則法第23条第2項の規定により、当該契約が解除された日の翌日から2月以内に更正の請求をすることができることに留意する。
(一時所得の総収入金額の収入すべき時期)
36-13 一時所得の総収入金額の収入すべき時期は、その支払を受けた日によるものとする。ただし、その支払を受けるべき金額がその日前に支払者から通知されているものについては、当該通知を受けた日により、令第183条第2項《生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算》に規定する生命保険契約等に基づく一時金又は令第184条第4項《損害保険契約等に基づく満期返戻金等》に規定する損害保険契約等に基づく満期返戻金等のようなものについては、その支払を受けるべき事実が生じた日による。(平11課所4-1改正)
(雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期)
36-14 雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期は、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭63直法6-1、直所3-1改正)
(1)法第35条第3項《雑所得》に規定する公的年金等
イ 公的年金等の支給の基礎となる法令、契約又は規程(以下この(1)において「法令等」という。)により定められた支給日
ロ 法令等の改正、改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧公的年金等の差額で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改正、改訂の効力が生じた日
(注)裁定、改定等の遅延、誤びゅう等により既往にさかのぼって支払われる公的年金等については、法令等により定められた当該公的年金等の計算の対象とされた期間に係る各々の支給日によることに留意する。
(2) (1)以外のもの
その収入の態様に応じ、他の所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期の取扱いに準じて判定した日
〔経済的利益〕
(経済的利益)
36-15 法第36条第1項かっこ内に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」(以下36-50までにおいて「経済的利益」という。)には、次に掲げるような利益が含まれる。
(1)物品その他の資産の譲渡を無償又は低い対価で受けた場合におけるその資産のその時における価額又はその価額とその対価の額との差額に相当する利益
(2)土地、家屋その他の資産(金銭を除く。)の貸与を無償又は低い対価で受けた場合における通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益
(3)金銭の貸付け又は提供を無利息又は通常の利率よりも低い利率で受けた場合における通常の利率により計算した利息の額又はその通常の利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額に相当する利益
(4) (2)及び(3)以外の用役の提供を無償又は低い対価で受けた場合におけるその用役について通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益
(5)買掛金その他の債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額又は自己の債務を他人が負担した場合における当該負担した金額に相当する利益
(経済的利益の額を収入金額等に算入する時期)
36-16 次に掲げる経済的利益の額を収入金額又は総収入金額に算入する時期は、当該経済的利益の額が令第80条《特別の経済的な利益で借地権の設定等による対価とされるもの》の規定により譲渡所得に係る総収入金額に算入されるものである場合を除き、おおむね次に掲げる日によるものとする。
(1)36-15の(2)に掲げる利益でその月中に受けるもの 各月ごとにその月の末日
(2)36-15の(3)又は(4)に掲げる利益でその月中に受けるもの 各月ごとにその月の末日又は1年を超えない一定期間ごとにその期間の末日
(債務免除益の特例)
36-17 債務免除益のうち、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたものについては、各種所得の金額の計算上収入金額又は総収入金額に算入しないものとする。ただし、次に掲げる場合に該当するときは、それぞれ次に掲げる金額(次のいずれの場合にも該当するときは、その合計額)の部分については、この限りでない。
(1)当該免除を受けた年において当該債務を生じた業務(以下この項において「関連業務」という。)に係る各種所得の金額の計算上損失の金額(当該免除益がないものとして計算した場合の損失の金額をいう。)がある場合 当該損失の金額
(2)法第70条《純損失の繰越控除》の規定により当該免除を受けた年において繰越控除すべき純損失の金額(当該免除益を各種所得の金額の計算上収入金額又は総収入金額に算入することとした場合に当該免除を受けた年において繰越控除すべきこととなる純損失の金額をいう。)がある場合で、当該純損失の金額のうちに関連業務に係る各種所得の金額の計算上生じた損失の金額があるとき。 当該繰越控除すべき金額のうち、当該損失の金額に達するまでの部分の金額
(広告宣伝用資産等の贈与等を受けた場合の経済的利益)
36-18 販売業者等が製造業者等から次に掲げるような広告宣伝用の資産(広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように専ら広告宣伝の用に供されるものを除く。)を無償又はその資産の価額に満たない対価により取得した場合には、その経済的利益の額は、その資産の価額(製造業者等が自己の用に供しないで贈与又は譲渡した資産については、その製造業者等の取得価額)の3分の2に相当する金額から販売業者等がその取得のために支出した金額を控除した金額とし、当該金額(同一の製造業者等から2以上の資産を取得したときは、当該金額の合計額)が30万円以下であるときは、経済的利益の額はないものとする。(昭55直所3-19、直法6-8、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8改正)
(1)自動車(自動三輪車及び自動二輪車を含む。)で車体の大部分に一定の色彩を塗装して製造業者等の製品名又は社名を表示し、その広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
(2)陳列棚、陳列ケース、冷蔵庫又は容器で製造業者等の製品名又は社名の広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
(3)展示用モデルハウスのように製造業者等の製品の見本であることが明らかなもの
(注)広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように専ら広告宣伝の用に供される資産については、その取得による経済的利益の額はない。
(広告宣伝用資産の取得のために金銭の交付を受けた場合)
36-19 販売業者等が製造業者等から広告宣伝用の資産の取得に充てるため金銭の交付を受けた場合には、36-18の取扱いに準ずる。
(事業の広告宣伝のための賞金を受けた場合の経済的利益の評価)
36-20 法第204条第1項第8号《源泉徴収義務》に規定する広告宣伝のための賞金を受けた場合の経済的利益の額については、令第321条《金銭以外のもので支払われる賞金の価額》の規定により評価した金額によって差し支えない。
(注)令第321条の規定による評価については、205-9参照
〔給与等に係る経済的利益〕
(課税しない経済的利益……永年勤続者の記念品等)
36-21 使用者が永年勤続した役員又は使用人の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待し、又は記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)を支給することにより当該役員又は使用人が受ける利益で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない。(昭46直審(所)19改正)
(1)当該利益の額が、当該役員又は使用人の勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること。
(2)当該表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること。
(課税しない経済的利益……創業記念品等)
36-22 使用者が役員又は使用人に対し創業記念、増資記念、工事完成記念又は合併記念等に際し、その記念として支給する記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない。ただし、建築業者、造船業者等が請負工事又は造船の完成等に際し支給するものについては、この限りでない。(昭60直法6-5、直所3-6改正)
(1)その支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、そのものの価額(処分見込価額により評価した価額)が1万円以下のものであること。
(2)創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであること。
(課税しない経済的利益……商品、製品等の値引販売)
36-23 使用者が役員又は使用人に対し自己の取り扱う商品、製品等(有価証券及び食事を除く。)の値引販売をすることにより供与する経済的利益で、次の要件のいずれにも該当する値引販売により供与するものについては、課税しなくて差し支えない。(昭51直所3-1、直法6-1、直資3-1改正)
(1)値引販売に係る価額が、使用者の取得価額以上であり、かつ、通常他に販売する価額に比し著しく低い価額(通常他に販売する価額のおおむね70%未満)でないこと。
(2)値引率が、役員若しくは使用人の全部につき一律に、又はこれらの者の地位、勤続年数等に応じて全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差を設けて定められていること。
(3)値引販売をする商品等の数量は、一般の消費者が自己の家事のために通常消費すると認められる程度のものであること。
(注)食事については、36-24、36-38及び36-38の2参照
(課税しない経済的利益……残業又は宿日直をした者に支給する食事)
36-24 使用者が、残業又は宿直若しくは日直をした者(その者の通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者に限る。)に対し、これらの勤務をすることにより支給する食事については、課税しなくて差し支えない。(昭50直法6-4、直所3-8改正)
(課税しない経済的利益……掘採場勤務者に支給する燃料)
36-25 鉱業を営む使用者が自己の掘採場(これに隣接して設置されている選鉱場、製錬場その他の付属設備を含む。)に勤務する使用人に対し、これらの者の保健衛生のため、社会通念上通常必要な厚生施設の設置に代えて支給すると認められる程度の石炭、薪等の燃料については、課税しなくて差し支えない。
(課税しない経済的利益……寄宿舎の電気料等)
36-26 使用者が寄宿舎(これに類する施設を含む。以下この項において同じ。)の電気、ガス、水道等の料金を負担することにより、当該寄宿舎に居住する役員又は使用人が受ける経済的利益については、当該料金の額がその寄宿舎に居住するために通常必要であると認められる範囲内のものであり、かつ、各人ごとの使用部分に相当する金額が明らかでない場合に限り、課税しなくて差し支えない。
36-27 削除(昭50直法6-4、直所3-8改正)
(課税しない経済的利益……金銭の無利息貸付け等)
36-28 使用者が役員又は使用人に対し金銭を無利息又は36-49により評価した利息相当額に満たない利息で貸し付けたことにより、その貸付けを受けた役員又は使用人が受ける経済的利益で、次に掲げるものについては、課税しなくて差し支えない。(平11課法8-11、課所4-23改正) (1)災害、疾病等により臨時的に多額な生活資金を要することとなった役員又は使用人に対し、その資金に充てるために貸し付けた金額につき、その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける経済的利益
(2)役員又は使用人に貸し付けた金額につき、使用者における借入金の平均調達金利(例えば、当該使用者が貸付けを行った日の前年中又は前事業年度中における借入金の平均残高に占める当該前年中又は前事業年度中に支払うべき利息の額の割合など合理的に計算された利率をいう。)など合理的と認められる貸付利率を定め、これにより利息を徴している場合に生じる経済的利益
(3) (1)及び(2)の貸付金以外の貸付金につき受ける経済的利益で、その年(使用者が事業年度を有する法人である場合には、その法人の事業年度)における利益の合計額が5,000円(使用者が事業年度を有する法人である場合において、その事業年度が1年に満たないときは、5,000円にその事業年度の月数(1月未満の端数は1月に切り上げた月数)を乗じて12で除して計算した金額)以下のもの
(課税しない経済的利益……用役の提供等)
36-29 使用者が役員若しくは使用人に対し自己の営む事業に属する用役を無償若しくは通常の対価の額に満たない対価で提供し、又は役員若しくは使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担することにより、当該用役の提供を受け又は当該施設を利用した役員又は使用人が受ける経済的利益については、当該経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象として供与される場合を除き、課税しなくて差し支えない。
(課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用)
36-30 使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。
(注)上記の行事に参加しなかった者(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を含む。)に支給する金銭については、給与等として課税することに留意する。
(使用者契約の養老保険に係る経済的利益)
36-31 使用者が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする養老保険(被保険者の死亡又は生存を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含むが、36-31の3に定める定期付養老保険を含まない。以下36-31の5までにおいて同じ。)に加入してその保険料(令第64条《確定給付企業年金規約等に基づく掛金等の取扱い》及び第65条《不適格退職共済契約等に基づく掛金の取扱い》の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益(傷害特約等の特約に係る保険料の額に相当する金額を除く。)については、次に揚げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平14課法8-5、課個2-7、課審3-142改正)
(1)死亡保険金(被保険者が死亡した場合に支払われる保険金をいう。以下36-31の2までにおいて同じ。)及び生存保険金(被保険者が保険期間の満了の日その他一定の時期に生存している場合に支払われる保険金をいう。以下この項において同じ。)の受取人が当該使用者である場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(2)死亡保険金及び生存保険金の受取人が被保険者又はその遺族である場合 その支払った保険料の額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(3) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が当該使用者である場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(注)1 傷害特約等の特約に係る保険料を使用者が支払ったことにより役員又は使用人が受ける経済的利益については、36-31の4参照
2 上記(3)のただし書については、次によることに留意する。
(1) 保険加入の対象とする役員又は使用人について、加入資格の有無、保険金額等に格差が設けられている場合であっても、それが職種、年齢、勤続年数等に応ずる合理的な基準により、普遍的に設けられた格差であると認められるときは、ただし書を適用しない。
(2) 役員又は使用人の全部又は大部分が同族関係者である法人については、たとえその役員又は使用人の全部を対象として保険に加入する場合であっても、その同族関係者である役員又は使用人については、ただし書を適用する。
(使用者契約の定期保険に係る経済的利益)
36-31の2 使用者が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期保険(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含む。以下36-31の5までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益(傷害特約等の特約に係る保険料の額に相当する金額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(1)死亡保険金の受取人が当該使用者である場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(2)死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(注)1 傷害特約等の特約に係る保険料を使用者が支払ったことにより役員又は使用人が受ける経済的利益については、36-31の4参照
2 36-31の(注)2の取扱いは、上記(2)のただし書について準用する。
(使用者契約の定期付養老保険に係る経済的利益)
36-31の3 使用者が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期付養老保険(養老保険に定期保険を付したものをいう。以下36-31の5までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益(傷害特約等の特約に係る保険料の額に相当する金額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(1)当該保険料の額が生命保険証券等において養老保険に係る保険料の額と定期保険に係る保険料の額とに区分けされている場合 それぞれの保険料の支払があったものとして、それぞれ36-31又は36-31の2の例による。
(2)(1)以外の場合 36-31の例による。
(注) 傷害特約等の特約に係る保険料を使用者が支払ったことにより役員又は使用人が受ける経済的利益については,36-31の4参照
(使用者契約の傷害特約等の特約を付した保険に係る経済的利益)
36-31の4 使用者が、自己を契約者とし,役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする傷害特約等の特約を付した養老保険、定期保険又は定期付養老保険に加入し、当該特約に係る保険料を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを傷害特約等に係る給付金の受取人としている場合には、当該保険料の額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(注) 36-31の(注)2の取扱いは,上記ただし書について準用する。
(使用者契約の生命保険契約の転換をした場合)
36-31の5 使用者がいわゆる契約転換制度によりその加入している養老保険又は定期付養老保険を他の養老保険、定期保険又は定期付養老保険(以下この項において「転換後契約」という。)に転換した場合には、その転換のあった日に転換後契約の責任準備金に充当される部分の金額(36-31から36-31の3までの取扱いにより,役員又は使用人に対する給与等とされている金額がある場合には当該金額を除く。)に相当する金額の保険料の一時払いをしたものとして、転換後契約の内容に応じて36-31から36-31の3までの例による。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(生命保険契約に係る取扱いの準用)
36-31の6 36-31から36-31の5までの取扱いについては、法第76条第3項、《生命保険料控除》に規定する生命保険契約等(以下36-32までにおいて「生命保険契約等」という。)のうち、同項第2号及び第3号に規定する契約について準用する。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(使用者契約の保険契約等に係る経済的利益)
36-31の7 使用者が自己を契約者とし、役員又は使用人のために次に掲げる保険契約又は共済契約(当該契約期間の満了に際し満期返戻金、満期共済金等の給付がある場合には、当該給付の受取人を使用者としている契約に限る。)に係る保険料(共済掛金を含む。以下この項において同じ。)を支払ったことにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益については、課税しなくて差し支えない。ただし、役員又は特定の使用人のみを対象として当該保険料を支払うこととしている場合には、その支払った保険料の額(その契約期間の満了に際し満期返戻金、満期共済金等の給付がある場合には、支払った保険料の額から積立保険料に相当する部分の金額を控除した金額)に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平13課法8-6、課個2-17、課審3-89改正)
(1)役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)の身体を保険の目的とする法第76条第3項第4号に掲げる保険契約
(2)役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)の身体を保険若しくは共済の目的とする損害保険契約又は共済契約
(3)役員又は使用人に係る法第77条第1項《損害保険料控除》に規定する家屋又は資産(役員又は使用人から賃借している建物等で当該役員又は使用人に使用させているものを含む。)を保険若しくは共済の目的とする損害保険契約又は共済契約
(使用人契約の保険契約等に係る経済的利益)
36-31の8 使用者が、役員又は使用人が負担すべき次に掲げるような保険料又は掛金を負担する場合には、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等に該当することに留意する。(昭63直法6-7、直所3-8追加、平5課法8-2、課所4-6改正、平14課法8-5、課個2-7、課審3-142改正)
(1)役員又は使用人が契約した生命保険契約等(確定給付企業年金規約及び適格退職年金契約に係るものを除く。以下36-32において同じ。)又は法第77条第2項に規定する損害保険契約等(以下36-32において「損害保険契約等」という。)に係る保険料又は掛金
(2)法第74条第2項《社会保険料控除》に規定する社会保険料
(3)法第75条第2項《小規模企業共済等掛金控除》に規定する小規模企業共済等掛金
(課税しない経済的利益……使用者が負担する小額な保険料等)
36-32 使用者が役員又は使用人のために次に掲げる保険料又は掛金を負担することにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益については、その者につきその月中に負担する金額の合計額が300円以下である場合に限り、課税しなくて差し支えない。ただし、使用者が役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを対象として当該保険料又は掛金を負担することにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益については、この限りでない。(昭46直審(所)19、昭63直法6-7、直所3-8改正)
(1)健康保険法、雇用保険法、厚生年金保険法又は船員保険法の規定により役員又は使用人が被保険者として負担すべき保険料
(2)生命保険契約等又は損害保険契約等に係る保険料又は掛金(36-31から36-31の7までにより課税されないものを除く。)
(注)使用者がその月中に負担する金額の合計額が300円以下であるかどうかを判定する場合において、上記の契約のうちに保険料又は掛金の払込みを年払、半年払等により行う契約があるときは、当該契約に係るその月中に負担する金額は、その年払、半年払等による保険料又は掛金の月割額とし、使用者が上記の契約に基づく剰余金又は割戻金の支払を受けたときは、その支払を受けた後に支払った保険料又は掛金の額のうちその支払を受けた剰余金又は割戻金の額に達するまでの金額は、使用者が負担する金額には含まれない。
(使用者が負担する役員又は使用人の行為に基因する損害賠償金等)
36-33 使用者が役員又は使用人の行為に基因する損害賠償金(慰謝料,示談金等他人に与えた損害を補てんするために支出するすべてのもの及びこれらに関連する弁護士の報酬等の費用を含む。以下この項において「損害賠償金」という。)を負担することにより当該役員又は使用人が受ける経済的利益については、次による。
(1)その損害賠償金等の基因となった行為が使用者の業務の遂行に関連するものであり、かつ、行為者の故意又は重過失に基づかないものである場合には、その役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(2)その損害賠償金等の基因となった行為が(1)以外のものである場合には、その負担する金額は、その役員又は使用人に対する給与等とする。ただし、その負担した金額のうちに、その行為者の支払能力等からみてその者に負担させることができないためやむを得ず使用者が負担したと認められる部分の金額がある場合には、当該部分の金額については、(1)の場合に準ずる。
(使用者が負担するゴルフクラブの入会金)
36-34 使用者がゴルフクラブの入会金を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。(昭63直法6-7、直所3-8改正)
(1)法人会員として入会した場合 記名式の法人会員で名義人である特定の役員又は使用人が専ら法人の業務に関係なく利用するため、これらの者が負担すべきものであると認められるときは、その入会金に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(2)役員又は使用人が個人会員として入会した場合 入会金に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。ただし、無記名式の法人会員制度がないため役員又は使用人を個人会員として入会させた場合において、その入会が法人の業務の遂行上必要であると認められ、かつ、その入会金を法人が資産に計上したときは、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(注)この入会金は、ゴルフクラブに入会するために支出する費用であるから、他人の有する会員権を購入した場合には、その購入代価のほか他人の名義を変更するためにゴルフクラブに支出する費用も含まれる。
(使用者が負担するゴルフクラブの年会費等)
36-34の2 使用者がゴルフクラブの年会費その他の費用を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次による。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(1)使用者がゴルフクラブの年会費、年決めロッカ-料その他の費用(その名義人を変更するために支出する名義書換料を含み、プレ-をする場合に直接要する費用を除く。)を負担する場合には、その入会金が法人の資産として計上されているときは、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとし、その入会金が36-34により給与等とされているときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(2)使用者が、プレ-をする場合に直接要する費用を負担する場合には、その負担する金額は、そのプレ-をする役員又は使用人に対する給与等とする。ただし、その費用が使用者の業務の遂行上必要なものであると認められるときは、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(使用者が負担するレジャ-クラブの入会金等)
36-34の3 使用者がレジャ-クラブ(宿泊施設、体育施設その他のレジャ-施設を会員に利用させることを目的とするクラブでゴルフクラブ以外のものをいう。)の入会金、年会費その他の費用を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次による。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(1)使用者が入会金を負担する場合には、36-34の例による。
(2)使用者が年会費その他の費用(レジャ-クラブの利用にに応じて支払われる費用を除く。)を負担する場合には、36-34の2の(1)の例による。
(3)使用者がレジャ-クラブの利用に応じて支払われる費用を負担する場合ににおいて、その費用が特定の役員又は使用人が負担すべきものであると認められるときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(使用者が負担する社交団体の入会金等)
36-35 使用者が社交団体(ゴルフクラブ、レジャ-クラブ、ロ-タリ-クラブ及びライオンズクラブを除く。)の入会金、会費その他の費用を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次による。(昭46直審(所)19、昭63直法6-7、直所3-8改正)
(1)個人会員として入会した役員又は使用人に係る入会金及び経常会費を負担する場合には、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。ただし、法人会員制度がないため役員又は使用人を個人会員として入会させた場合において、その入会が法人の業務の遂行上必要であると認められるときは、この限りでない。
(2)経常会費以外の費用を負担する場合には、その費用が使用者の業務の遂行上必要なものであると認められるときは、当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとし、その費用が特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められるときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
(使用者が負担するロータリークラブ及びライオンズクラブの入会金等)
36-35の2 使用者がロータリークラブ又はライオンズクラブに対する入会金、会費その他の費用を負担することにより当該使用者の役員又は使用人が受ける経済的利益については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(1)入会金又は経常会費を負担する場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。
(2)経常会費以外の費用を負担する場合 当該役員又は使用人が受ける経済的利益はないものとする。ただし、その費用が会員である特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められるときは、その負担する金額は、当該役員又は使用人に対する給与等とする。
〔給与等とされる経済的利益の評価〕
(有価証券の評価)
36-36 使用者が役員又は使用人に対して支給する有価証券(令第84条各号に掲げる権利で同条の規定の適用を受けるもの及び法人税法第2条第14号に規定する株主等として発行法人から与えられた新株等を取得する権利を除く。)については、その支給時の価額により評価する。この場合における支給時の価額については、23~35共-9及び昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の第8章第2節《公社債》の取扱いに準じて評価する。(昭50直所3-4、昭52直所3-33、直法6-10、直資3-15、平4課法8-5、課所4-3、平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118改正)
(保険契約等に関する権利の評価)
36-37 使用者が役員又は使用人に対して支給する生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する共済契約に関する権利については、その支給時において当該契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額)により評価する。
(食事の評価)
36-38 使用者が役員又は使用人に対し支給する食事については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額により評価する。(昭50直法6-4、直所3-8改正)
(1) 使用者が調理して支給する食事 その食事の材料等に要する直接費の額に相当する金額
(2) 使用者が購入して支給する食事 その食事の購入価額に相当する金額
(食事の支給による経済的利益はないものとする場合)
36-38の2 使用者が役員又は使用人に対して支給した食事(36-24の食事を除く。)につき当該役員又は使用人から実際に徴収している対価の額が、36-38により評価した当該食事の価額の50%相当額以上である場合には、当該役員又は使用人が食事の支給により受ける経済的利益はないものとする。ただし、当該食事の価額からその実際に徴収している対価の額を控除した残額が月額3,500円を超えるときは、この限りでない。(昭50直法6-4、直所3-8追加、昭59直法6-4、直所3-7改正)
(商品、製品等の評価)
36-39 使用者が役員又は使用人に対して支給する商品、製品等(有価証券及び食事を除く。)の物については、その支給時における次に掲げる価額により評価する。
(1) 当該物が使用者において通常他に販売するものである場合には、当該使用者の通常の販売価額
(2) 当該物が使用者において通常他に販売するものでない場合には、当該物の通常売買される価額。ただし、当該物が、役員又は使用人に支給するため使用者が購入したものであり、かつ、その購入時からその支給時までの間にその価額にさして変動がないものであるときは、その購入価額によることができる。
(役員に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)
36-40 使用者(国、地方公共団体その他これらに準ずる法人(以下36-45においてこれらを「公共法人等」という。)を除く。以下36-44までにおいて同じ。)がその役員に対して貸与した住宅等(当該役員の居住の用に供する家屋又はその敷地の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利をいう。以下36-44までにおいて同じ。)に係る通常の賃貸料の額(月額をいう。以下36-48までにおいて同じ。)は、次に掲げる算式により計算した金額(使用者が他から借り受けて貸与した住宅等で当該使用者の支払う賃借料の額の50%に相当する金額が当該算式により計算した金額を超えるものについては、その50%に相当する金額)とする。ただし、36-41に定める住宅等については、この限りでない。
(注)1 家屋だけ又は敷地だけを貸与した場合には、その家屋だけ又は敷地だけについて上記の取扱いを適用する。
2 上記の算式中「木造家屋以外の家屋」とは、耐用年数省令別表第1に規定する耐用年数が30年を超える住宅用の建物をいい、木造家屋とは、当該耐用年数が30年以下の住宅用の建物をいう(以下36-41において同じ。)。
(小規模住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)
36-41 36-40の住宅等のうち、その貸与した家屋の床面積(2以上の世帯を収容する構造の家屋については、1世帯として使用する部分の床面積。以下この項において同じ。)が132平方メ-トル(木造家屋以外の家屋については99平方メ-トル)以下であるものに係る通常の賃貸料の額は、36-40にかかわらず、次に掲げる算式により計算した金額とする。
(注)敷地だけを貸与した場合には、この取扱いは適用しないことに留意する。
(通常の賃貸料の額の計算に関する細目)
36-42 36-40又は36-41により通常の賃貸料の額を計算するに当たり、次に掲げる場合には、それぞれ次による。
(1)例えば、その貸与した家屋が1棟の建物の一部である場合又はその貸与した敷地が1筆の土地の一部である場合のように、固定資産税の課税標準額がその貸与した家屋又は敷地以外の部分を含めて決定されている場合 当該課税標準額(36-41により計算する場合にあっては、当該課税標準額及び当該建物の全部の床面積)を基として求めた通常の賃貸料の額をその建物又は土地の状況に応じて合理的にあん分するなどにより、その貸与した家屋又は敷地に対応する通常の賃貸料の額を計算する。
(2)その住宅等の固定資産税の課税標準額が改訂された場合 その改訂後の課税標準額に係る固定資産税の第1期の納期限の属する月の翌月分から、その改訂後の課税標準額を基として計算する。
(3)その住宅等が年の中途で新築された家屋のように固定資産税の課税標準額が定められていないものである場合 当該住宅等と状況の類似する住宅等に係る固定資産税の課税標準額に比準する価額を基として計算する。
(4)その住宅等が月の中途で役員の居住の用に供されたものである場合 その居住の用に供された日の属する月の翌月分から、役員に対して貸与した住宅等としての通常の賃貸料の額を計算する。
(通常の賃貸料の額の計算の特例)
36-43 36-40又は36-41により通常の賃貸料の額を計算する場合において、その住宅等が次に掲げるものに該当するときは、その使用の状況を考慮して通常の賃貸料の額を定めるものとする。この場合において、使用者が当該住宅等につきそれぞれの次に掲げる金額をその賃貸料の額として徴収しているときは、その徴収している金額を当該住宅等に係る通常の賃貸料の額として差し支えない。
(1)公的使用に充てられる部分がある住宅等 36-40又は36-41により計算した通常の賃貸料の額の70%以上に相当する金額
(2)単身赴任者のような者が一部を使用しているにすぎない住宅等 次の算式により計算した金額以上の金額
(住宅等の貸与による経済的利益の有無の判定上のプ-ル計算)
36-44 使用者が住宅等を貸与したすべての役員(令第21条4号《非課税とされる職務上必要な給付》に規定する者を除く。以下この項において同じ。)からその貸与した住宅等の状況に応じてバランスのとれた賃貸料を徴収している場合において、その徴収している賃貸料の額の合計額が役員に貸与したすべての住宅等につき36-40から36-43までにより計算した通常の賃貸料の額の合計額以上であるときは、これらのすべての役員につき住宅等の貸与による経済的利益はないものとする。
(使用人に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)
36-45 使用者が使用人(公共法人等の役員を含む。以下36-48までにおいて同じ。)に対して貸与した住宅等(当該使用人の居住の用に供する家屋又はその敷地の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利をいう。以下36-48までにおいて同じ。)に係る通常の賃貸料の額は、36-41に掲げる算式により計算した金額とする。この場合において、その計算に関する細目については、36-46に該当する場合を除き、36-42の取扱いに準ずるものとする。
(無償返還の届出がある場合の通常の賃貸料の額)
36-45の2 使用者が役員等に対しこれらの者の居住の用に供する家屋の敷地を貸与した場合において、法人税基本通達13-1-7の規定により当該敷地を将来当該役員等が無償で返還することとしているときは、その土地に係る通常の賃貸料の額は、36-40、36-41、36-43及び36-45にかかわらず、法人税基本通達13-1-2に定める相当の地代の額とする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)
(通常の賃貸料の額の改算を要しない場合)
36-46 使用者が使用人に対して貸与した住宅等の固定資産税の課税標準額が改訂された場合であっても、その改訂後の課税標準額が現に通常の賃貸料の額の計算の基礎となっている課税標準額に比し20%以内の増減にとどまるときは、現にその計算の基礎となっている課税標準額を基として36-45の取扱いを適用して差し支えない。この場合において、使用者が徴収している賃貸料の額が36-48に該当するものであるときは、使用人(令第21条第4号に規定する者を除く。以下36-48までにおいて同じ。)に貸与したすべての住宅等を一括して、又は1か所若しくは数か所の事業所等ごとの区分により、20%以内であるかどうかを判定して差し支えない。
(徴収している賃貸料の額が通常の賃貸料の額の50%相当額以上である場合)
36-47 使用者が使用人に対して貸与した住宅等につき当該使用人から実際に徴収している賃貸料の額が、当該住宅につき36-45により計算した通常の賃貸料の額の50%相当額以上である場合には、当該使用人が住宅等の貸与により受ける経済的利益はないものとする。
(住宅等の貸与による経済的利益の有無の判定上のプ-ル計算)
36-48 使用者が住宅等を貸与したすべての使用人から、その貸与した住宅等の状況に応じてバランスのとれた賃貸料を徴収している場合において、その徴収している賃貸料の額の合計額が使用人に貸与したすべての住宅等につき36-45により計算した通常の賃貸料の額の合計額の50%相当額以上であるときは、これらのすべての使用人につき住宅等の貸与による経済的利益はないものとする。この場合において、使用人に貸与したすべての住宅等につき一括してこれらの合計額を計算することが困難であるときは、1か所又は数か所の事業所等ごとにその所属する住宅等の全部を基として計算して差し支えない。
(利息相当額の評価)
36-49 使用者が役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息相当額については、当該金銭が使用者において他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合には、その借入金の利率により、その他の場合には、貸付けを行った日の属する年の前年の11月30日を経過する時におけるいわゆる公定歩合(日本銀行法第15条第1項第1号の規定により定められる商業手形の基準割引率)に年4%の利率を加算した利率(その利率に0.1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)により評価する。
(用役の評価)
36-50 使用者が役員又は使用人に提供した用役については、当該用役につき通常支払われるべき対価の額により評価する。ただし、36-30に定める行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益で、その行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。以下この項において同じ。)に対してその参加に代えて金銭が支給される場合に受けるものについては、その参加しなかった役員又は使用人に支給される金銭の額に相当する額とする。
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