資料2002年06月24日 【税務通達】 所得税基本通達 法第51条《資産損失の必要経費算入》関係
第3目 資産損失
法第51条《資産損失の必要経費算入》関係
〔固定資産等の損失〕
(建設中の固定資産等)
51-1 法第51条第1項に規定する「事業の用に供される固定資産」又は同条第4項に規定する「業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産」には、その事業又は業務の用に供されることが明らかであると認められる建設(製作又は製造を含む。)中の固定資産も含まれるものとする。
(損失の金額)
51-2 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する損失の金額とは、資産そのものについて生じた損失の金額をいい、当該損失の金額は、当該資産について令第142条《必要経費に算入される資産損失の金額》又は第143条《昭和27年12月31日以前に取得した資産の損失の金額の特例》の規定を適用して計算した金額からその損失の基因となった事実の発生直後における当該資産の価額及び発生資材の価額の合計額を控除した残額に相当する金額とする。
(有姿除却)
51-2の2 次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撒、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の未償却残額からその処分見込価額を控除した金額を必要経費に算入することができるものとする。(昭55直所3-19、直法6-8追加)
(1)その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
(2)特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
(ソフトウエアの除却)
51-2の3 ソフトウエアにつき物理的な除却、廃棄、消滅等がない場合であっても、次に掲げるように当該ソフトウエアを今後業務の用に供しないことが明らかな事実があるときは、当該ソフトウエアの未償却残高から処分見込価額を控除した金額を必要経費に算入することができる。(平12課所4-30追加)
(1)自己の業務の用に供するソフトウエアについて、そのソフトウエアによるデータ処理の対象となる業務が廃止され、当該ソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合、又はハードウエアやをオペレーティングシステムの変更等によって他のソフトウエアを利用することになり、従来のソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合
(2)複写して販売するための原本となるソフトウエアについて、新製品の出現、バージョンアップ等により、今後、販売を行わないことが販売流通業者への通知文書等で明らかな場合
(原状回復のための費用)
51-3 法第51条第1項又は第4項に規定する資産が損壊した場合において、当該資産の修繕その他の原状回復のために支出した費用の額があるときは、その費用の額のうち、当該資産について令第142条又は第143条の規定を適用して計算した金額から当該損壊直後における当該資産の価額を控除した残額に相当する金額までの金額は資本的支出とし、残余の金額を当該支出をした日の属する年分の必要経費に算入するものとする。
(スクラップ化していた資産の譲渡損失)
51-4 法第51条第1項又は第4項に規定する資産の譲渡により損失が生じた場合において、当該資産が当該譲渡前に既にスクラップ化していたと認められるときは、当該損失の金額は、これらの規定により必要経費に算入すべき当該資産に係る損失の金額とする。
(親族の有する固定資産について生じた損失)
51-5 不動産取得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む者が自己と生計を一にする配偶者その他の親族の有する固定資産又は繰延資産を当該事業の用に供している場合には、当該事業を営む者が当該資産を所有しているものとみなして法第51条第1項の規定を適用することができるものとする。ただし、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族が法第72条第1項《雑損控除》の規定の適用を受ける場合は、この限りではない。
(雑所得の基因となる山林の資産損失)
51-5の2 保有期間が5年以下である山林(事業所得の基因となる山林を除く。)について生じた法第51条第3項に規定する損失の金額は、山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。(昭52直資3-14、直所3-22追加)
(保険金、損害賠償金に類するものの範囲)
51-6 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する「その他これらに類するもの」には、次に掲げるようなものが含まれる。
(1)損害保険契約又は火災共済契約に基づき被災者が支払を受ける見舞金
(2)資産の損害の補てんを目的とする任意の互助組織から支払を受ける災害見舞金
(保険金等の見込控除)
51-7 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する「保険金、損害賠償金その他これらに類するもの」(以下この項において「保険金等」という。)の額が損失の生じた年分の確定申告書を提出する時までに確定していない場合には、当該保険金等の見積額に基づいてこれらの規定を適用する。この場合において、後日、当該保険金等の確定額と当該見積額とが異なることとなったときは、そ及して各種所得の金額を訂正するものとする。(昭49直所2-23改正)
(注)山林に係る保険金等の額のうち法第51条第3項に規定する損失の金額を超える部分の金額は、令第94条第1項《事業所得の収入金額とされる保険金等》の規定により、その確定した年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上総収入金額に算入される。
(盗難品等の返還を受けた場合のそ及訂正)
51-8 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する資産について盗難又は横領による損失が生じた場合において、当該盗難又は横領に係る資産の返還を受けたときは、そ及して各種所得の金額を訂正する。
(損失が生じた資産の取得費等)
51-9 資産につき法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する損失が生じた場合には、当該資産について令第142条又は第143条の規定を適用して計算した金額から当該損失が発生した直後における当該資産の価額を控除した残額に相当する金額は、次に掲げる資産の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによるものとする。
(1)減価償却資産及び繰延資産 当該損失が生じた時において当該資産の償却費の額に算入された金額とする。
(2)固定資産(減価償却資産を除く。) 当該資産の取得費から控除する。
(3)山林 当該山林の法第37条第2項《必要経費》に規定する費用の額から控除する。
〔貸倒損失〕
(事業の遂行上生じた売掛金、貸付金等に準ずる債権)
51-10 法第51条第2項に規定する「事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権」(以下51-12までにおいて「貸金等」という。)には、販売業者の売掛金、金融業者の貸付金及びその未収利子、製造業者の下請業者に対して有する前渡金、工事請負業者の工事未収金、自由職業者の役務の提供の対価に係る未収金、不動産貸付業者の未収賃貸料、山林経営業者の山林売却代金の未収金等のほか、次に掲げるようなものも含まれる。(平11課所4-1改正)
(1)自己の事業の用に供する資金の融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計上し、又は支払手形を振り出している場合のその受取手形に係る債権
(2)自己の製品の販売強化、企業合理化等のため、特約店、下請先等に貸し付けている貸付金
(3)事業上の取引のため、又は事業の用に供する建物等の賃借りのために差し入れた保証金、敷金、預け金等の債権
(4)使用人に対する貸付金又は前払給料、概算払旅費等
(貸金等の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)
51-11 貸金等について次に掲げる事実が発生した場合には、その貸金等の額のうちそれぞれ次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する年分の当該貸金等に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入する。(昭57直所3-1、平11課所4-25、平12課所4-30改正)
(1)会社更生法又は金融機関等の更正手続の特例等に関する法律の規定による更正計画の認可の決定又は民事再生法の規定による再生計画の認可の決定があったこと。 これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(2)商法の規定による特別清算に係る協定の認可若しくは整理計画の決定又は破産法の規定による強制和議の認可の決定があったこと。 これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(3)法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で、次に掲げるものにより切り捨てられたこと。 その切り捨てられることとなった部分の金額
イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債権者の負債整理を定めているもの
ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
(4)債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その貸金等の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し債務免除額を書面により通知したこと。 その通知した債務免除額
(回収不能の貸金等の貸倒れ)
51-12 貸金等につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、当該債務者に対して有する貸金等の全額について貸倒れになったものとしてその明らかになった日の属する年分の当該貸金等に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入する。この場合において、当該貸金等について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとすることはできない。(昭57直所3-1改正)
(注)保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。
(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)
51-13 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下この項において同じ。)の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れになったものとして、当該売掛債権に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。(昭46直審(所)19、昭57直所3-1改正)
(1)債務者との取引の停止をした時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時より後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上を経過したこと(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)。
(2)同一地域の債務者について有する売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないこと。
(注)(1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債権者につきその資産状況、支払能力等が悪化したため、その後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば、不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、その取扱いの適用はない。
(更生債権者が更生計画の定めるところにより新株を取得した場合)
51-14 更生債権者が更生計画の定めるところにより、新たに払込み又は現物出資をしないで更生会社(新会社を含む。以下51-15において同じ。)が発行する新株を取得した場合において、当該取得した新株の価額の合計額が当該新株の割当ての基礎とされた債権額に満たないときは、その差額に相当する金額を貸倒れとすることができる。
(更生債権者が更生会社の新株を取得する権利の割当てを受けた場合)
51-15 更生債権者が更生計画の定めるところにより更生会社の新株を取得する権利の割当てを受けた場合において、払込みをしなかったとき又は当該新株を取得する権利の価額が当該割当ての基礎とされた更生債権の金額に満たないときは、それぞれ当該更生債権の金額又は当該更生債権の金額と当該新株を取得する権利の価額との差額を貸倒れとすることができる。(昭50直所3-4改正)
(更生手続の対象とされなかった更生債権の貸倒れ)
51-16 指定された期限までに裁判所に届け出なかったため更生手続の対象とされなかった更生債権については、その金額をその更生計画の認可の決定のあった日において貸倒れとすることができる。
(金銭債権の譲渡損失)
51-17 金銭債権を譲渡したことにより生じた損失の金額については、当該損失が当該譲渡により実質的に贈与したと認められる場合に生じたものである場合を除き、当該損失の金額に相当する金額の貸倒れによる損失が生じたものとして、法第51条第2項若しくは第4項、第63条《事業を廃止した場合の必要経費の特例》又は第64条《資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例》の規定を適用する。
〔返品〕
(返品により減少した収入金額の処理)
51-18 令第141条第1号《必要経費に算入される損失の生ずる事由》に規定する販売した商品の返戻により減少することとなる収入金額は、その商品の返戻につき、その発送をした旨の通知を受けた日(その商品の返戻について承諾を必要とする場合には、その承諾をした日)の属する年分の総売上高から控除する。ただし、その者が継続して同一の経理を行うときは、その商品を受け取った日の属する年分の総売上高から控除して差し支えない。(平11課所4-1改正)
(農地の転用、移転が不許可になったことなどにより返還した仲介手数料等)
51-19 不動産売買業者の仲介又は譲渡に係る農地についてその転用若しくは移転の許可が得られなかったこと、又はその転用若しくは移転の届出が受理されなかったことにより、その不動産業者が返還した仲介手数料又は譲渡代金は、令第141条第3号の規定によりその返還した日の属する年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することに留意する。(平11課所4-1改正)
〔返品債権特別勘定〕
(返品債権特別勘定の設定)
51-20 出版業を営む者で法第53条《返品調整引当金》により返品調整引当金勘定を設けることのできるものが、雑誌(週刊誌、旬刊誌、月刊誌等の定期刊行物をいう。以下51-21までにおいて同じ。)の販売に関し、その取次業者又は販売業者(以下この項においてこれらの者を「販売業者」という。)との間に次の(1)及び(2)に掲げる事項を内容とする特約を結んでいる場合には、その販売した年において51-21に定める繰入限度額以下の金額を返品債権特別勘定に繰り入れ、その繰り入れた金額に相当する金額を当該年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。(平11課所4-1改正)
(1)その年12月31日において販売業者がまだ販売していない雑誌(その年最後の発行に係るものを除く。以下51-21までにおいて「店頭売れ残り品」という。)に係る売掛金に対応する債務を同日において免除すること。
(2)店頭売れ残り品を同日において自己に帰属させること。
(返品債権特別勘定の繰入限度額)
51-21 返品債権特別勘定の繰入限度額は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる金額とする。(平11課所4-1改正)
(1)返品調整引当金勘定への繰入限度額を令第150条第1項第1号《返品調整引当金勘定への繰入限度額》の方法により計算している場合 その年12月31日における雑誌の販売に係る売掛金(その年最後の発行に係るものを除く。)の帳簿価額の合計額に同号に規定する返品率を乗じて計算した金額から店頭売れ残り品の同日における価額に相当する金額を控除した金額
(2)返品調整引当金勘定への繰入限度額を令第150条第1項第2号の方法により計算している場合又は返品調整引当金勘定を設けていない場合 その年12月31日以前2月間における雑誌の販売の対価の額(その年最後の発行に係るものを除く。)の合計額に同号に規定する返品率を乗じて計算した金額から店頭売れ残り品の同日における価額に相当する金額を控除した金額
(返品債権特別勘定の金額の総収入金額算入)
51-22 返品債権特別勘定の金額は、その繰り入れた年の翌年分の事業所得の金額の計算上総収入金額に算入する。(平11課所4-1改正)
(明細書の添付)
51-23 返品債権特別勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う年分に係る確定申告書に、返品債権特別勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付するものとする。(平11課所4-1改正)
法第51条《資産損失の必要経費算入》関係
〔固定資産等の損失〕
(建設中の固定資産等)
51-1 法第51条第1項に規定する「事業の用に供される固定資産」又は同条第4項に規定する「業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産」には、その事業又は業務の用に供されることが明らかであると認められる建設(製作又は製造を含む。)中の固定資産も含まれるものとする。
(損失の金額)
51-2 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する損失の金額とは、資産そのものについて生じた損失の金額をいい、当該損失の金額は、当該資産について令第142条《必要経費に算入される資産損失の金額》又は第143条《昭和27年12月31日以前に取得した資産の損失の金額の特例》の規定を適用して計算した金額からその損失の基因となった事実の発生直後における当該資産の価額及び発生資材の価額の合計額を控除した残額に相当する金額とする。
(有姿除却)
51-2の2 次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撒、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の未償却残額からその処分見込価額を控除した金額を必要経費に算入することができるものとする。(昭55直所3-19、直法6-8追加)
(1)その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
(2)特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
(ソフトウエアの除却)
51-2の3 ソフトウエアにつき物理的な除却、廃棄、消滅等がない場合であっても、次に掲げるように当該ソフトウエアを今後業務の用に供しないことが明らかな事実があるときは、当該ソフトウエアの未償却残高から処分見込価額を控除した金額を必要経費に算入することができる。(平12課所4-30追加)
(1)自己の業務の用に供するソフトウエアについて、そのソフトウエアによるデータ処理の対象となる業務が廃止され、当該ソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合、又はハードウエアやをオペレーティングシステムの変更等によって他のソフトウエアを利用することになり、従来のソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合
(2)複写して販売するための原本となるソフトウエアについて、新製品の出現、バージョンアップ等により、今後、販売を行わないことが販売流通業者への通知文書等で明らかな場合
(原状回復のための費用)
51-3 法第51条第1項又は第4項に規定する資産が損壊した場合において、当該資産の修繕その他の原状回復のために支出した費用の額があるときは、その費用の額のうち、当該資産について令第142条又は第143条の規定を適用して計算した金額から当該損壊直後における当該資産の価額を控除した残額に相当する金額までの金額は資本的支出とし、残余の金額を当該支出をした日の属する年分の必要経費に算入するものとする。
(スクラップ化していた資産の譲渡損失)
51-4 法第51条第1項又は第4項に規定する資産の譲渡により損失が生じた場合において、当該資産が当該譲渡前に既にスクラップ化していたと認められるときは、当該損失の金額は、これらの規定により必要経費に算入すべき当該資産に係る損失の金額とする。
(親族の有する固定資産について生じた損失)
51-5 不動産取得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む者が自己と生計を一にする配偶者その他の親族の有する固定資産又は繰延資産を当該事業の用に供している場合には、当該事業を営む者が当該資産を所有しているものとみなして法第51条第1項の規定を適用することができるものとする。ただし、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族が法第72条第1項《雑損控除》の規定の適用を受ける場合は、この限りではない。
(雑所得の基因となる山林の資産損失)
51-5の2 保有期間が5年以下である山林(事業所得の基因となる山林を除く。)について生じた法第51条第3項に規定する損失の金額は、山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。(昭52直資3-14、直所3-22追加)
(保険金、損害賠償金に類するものの範囲)
51-6 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する「その他これらに類するもの」には、次に掲げるようなものが含まれる。
(1)損害保険契約又は火災共済契約に基づき被災者が支払を受ける見舞金
(2)資産の損害の補てんを目的とする任意の互助組織から支払を受ける災害見舞金
(保険金等の見込控除)
51-7 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する「保険金、損害賠償金その他これらに類するもの」(以下この項において「保険金等」という。)の額が損失の生じた年分の確定申告書を提出する時までに確定していない場合には、当該保険金等の見積額に基づいてこれらの規定を適用する。この場合において、後日、当該保険金等の確定額と当該見積額とが異なることとなったときは、そ及して各種所得の金額を訂正するものとする。(昭49直所2-23改正)
(注)山林に係る保険金等の額のうち法第51条第3項に規定する損失の金額を超える部分の金額は、令第94条第1項《事業所得の収入金額とされる保険金等》の規定により、その確定した年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上総収入金額に算入される。
(盗難品等の返還を受けた場合のそ及訂正)
51-8 法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する資産について盗難又は横領による損失が生じた場合において、当該盗難又は横領に係る資産の返還を受けたときは、そ及して各種所得の金額を訂正する。
(損失が生じた資産の取得費等)
51-9 資産につき法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する損失が生じた場合には、当該資産について令第142条又は第143条の規定を適用して計算した金額から当該損失が発生した直後における当該資産の価額を控除した残額に相当する金額は、次に掲げる資産の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによるものとする。
(1)減価償却資産及び繰延資産 当該損失が生じた時において当該資産の償却費の額に算入された金額とする。
(2)固定資産(減価償却資産を除く。) 当該資産の取得費から控除する。
(3)山林 当該山林の法第37条第2項《必要経費》に規定する費用の額から控除する。
〔貸倒損失〕
(事業の遂行上生じた売掛金、貸付金等に準ずる債権)
51-10 法第51条第2項に規定する「事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権」(以下51-12までにおいて「貸金等」という。)には、販売業者の売掛金、金融業者の貸付金及びその未収利子、製造業者の下請業者に対して有する前渡金、工事請負業者の工事未収金、自由職業者の役務の提供の対価に係る未収金、不動産貸付業者の未収賃貸料、山林経営業者の山林売却代金の未収金等のほか、次に掲げるようなものも含まれる。(平11課所4-1改正)
(1)自己の事業の用に供する資金の融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計上し、又は支払手形を振り出している場合のその受取手形に係る債権
(2)自己の製品の販売強化、企業合理化等のため、特約店、下請先等に貸し付けている貸付金
(3)事業上の取引のため、又は事業の用に供する建物等の賃借りのために差し入れた保証金、敷金、預け金等の債権
(4)使用人に対する貸付金又は前払給料、概算払旅費等
(貸金等の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)
51-11 貸金等について次に掲げる事実が発生した場合には、その貸金等の額のうちそれぞれ次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する年分の当該貸金等に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入する。(昭57直所3-1、平11課所4-25、平12課所4-30改正)
(1)会社更生法又は金融機関等の更正手続の特例等に関する法律の規定による更正計画の認可の決定又は民事再生法の規定による再生計画の認可の決定があったこと。 これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(2)商法の規定による特別清算に係る協定の認可若しくは整理計画の決定又は破産法の規定による強制和議の認可の決定があったこと。 これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(3)法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で、次に掲げるものにより切り捨てられたこと。 その切り捨てられることとなった部分の金額
イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債権者の負債整理を定めているもの
ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
(4)債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その貸金等の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し債務免除額を書面により通知したこと。 その通知した債務免除額
(回収不能の貸金等の貸倒れ)
51-12 貸金等につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、当該債務者に対して有する貸金等の全額について貸倒れになったものとしてその明らかになった日の属する年分の当該貸金等に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入する。この場合において、当該貸金等について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとすることはできない。(昭57直所3-1改正)
(注)保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。
(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)
51-13 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下この項において同じ。)の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れになったものとして、当該売掛債権に係る事業の所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。(昭46直審(所)19、昭57直所3-1改正)
(1)債務者との取引の停止をした時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時より後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上を経過したこと(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)。
(2)同一地域の債務者について有する売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないこと。
(注)(1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債権者につきその資産状況、支払能力等が悪化したため、その後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば、不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、その取扱いの適用はない。
(更生債権者が更生計画の定めるところにより新株を取得した場合)
51-14 更生債権者が更生計画の定めるところにより、新たに払込み又は現物出資をしないで更生会社(新会社を含む。以下51-15において同じ。)が発行する新株を取得した場合において、当該取得した新株の価額の合計額が当該新株の割当ての基礎とされた債権額に満たないときは、その差額に相当する金額を貸倒れとすることができる。
(更生債権者が更生会社の新株を取得する権利の割当てを受けた場合)
51-15 更生債権者が更生計画の定めるところにより更生会社の新株を取得する権利の割当てを受けた場合において、払込みをしなかったとき又は当該新株を取得する権利の価額が当該割当ての基礎とされた更生債権の金額に満たないときは、それぞれ当該更生債権の金額又は当該更生債権の金額と当該新株を取得する権利の価額との差額を貸倒れとすることができる。(昭50直所3-4改正)
(更生手続の対象とされなかった更生債権の貸倒れ)
51-16 指定された期限までに裁判所に届け出なかったため更生手続の対象とされなかった更生債権については、その金額をその更生計画の認可の決定のあった日において貸倒れとすることができる。
(金銭債権の譲渡損失)
51-17 金銭債権を譲渡したことにより生じた損失の金額については、当該損失が当該譲渡により実質的に贈与したと認められる場合に生じたものである場合を除き、当該損失の金額に相当する金額の貸倒れによる損失が生じたものとして、法第51条第2項若しくは第4項、第63条《事業を廃止した場合の必要経費の特例》又は第64条《資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例》の規定を適用する。
〔返品〕
(返品により減少した収入金額の処理)
51-18 令第141条第1号《必要経費に算入される損失の生ずる事由》に規定する販売した商品の返戻により減少することとなる収入金額は、その商品の返戻につき、その発送をした旨の通知を受けた日(その商品の返戻について承諾を必要とする場合には、その承諾をした日)の属する年分の総売上高から控除する。ただし、その者が継続して同一の経理を行うときは、その商品を受け取った日の属する年分の総売上高から控除して差し支えない。(平11課所4-1改正)
(農地の転用、移転が不許可になったことなどにより返還した仲介手数料等)
51-19 不動産売買業者の仲介又は譲渡に係る農地についてその転用若しくは移転の許可が得られなかったこと、又はその転用若しくは移転の届出が受理されなかったことにより、その不動産業者が返還した仲介手数料又は譲渡代金は、令第141条第3号の規定によりその返還した日の属する年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することに留意する。(平11課所4-1改正)
〔返品債権特別勘定〕
(返品債権特別勘定の設定)
51-20 出版業を営む者で法第53条《返品調整引当金》により返品調整引当金勘定を設けることのできるものが、雑誌(週刊誌、旬刊誌、月刊誌等の定期刊行物をいう。以下51-21までにおいて同じ。)の販売に関し、その取次業者又は販売業者(以下この項においてこれらの者を「販売業者」という。)との間に次の(1)及び(2)に掲げる事項を内容とする特約を結んでいる場合には、その販売した年において51-21に定める繰入限度額以下の金額を返品債権特別勘定に繰り入れ、その繰り入れた金額に相当する金額を当該年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。(平11課所4-1改正)
(1)その年12月31日において販売業者がまだ販売していない雑誌(その年最後の発行に係るものを除く。以下51-21までにおいて「店頭売れ残り品」という。)に係る売掛金に対応する債務を同日において免除すること。
(2)店頭売れ残り品を同日において自己に帰属させること。
(返品債権特別勘定の繰入限度額)
51-21 返品債権特別勘定の繰入限度額は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる金額とする。(平11課所4-1改正)
(1)返品調整引当金勘定への繰入限度額を令第150条第1項第1号《返品調整引当金勘定への繰入限度額》の方法により計算している場合 その年12月31日における雑誌の販売に係る売掛金(その年最後の発行に係るものを除く。)の帳簿価額の合計額に同号に規定する返品率を乗じて計算した金額から店頭売れ残り品の同日における価額に相当する金額を控除した金額
(2)返品調整引当金勘定への繰入限度額を令第150条第1項第2号の方法により計算している場合又は返品調整引当金勘定を設けていない場合 その年12月31日以前2月間における雑誌の販売の対価の額(その年最後の発行に係るものを除く。)の合計額に同号に規定する返品率を乗じて計算した金額から店頭売れ残り品の同日における価額に相当する金額を控除した金額
(返品債権特別勘定の金額の総収入金額算入)
51-22 返品債権特別勘定の金額は、その繰り入れた年の翌年分の事業所得の金額の計算上総収入金額に算入する。(平11課所4-1改正)
(明細書の添付)
51-23 返品債権特別勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う年分に係る確定申告書に、返品債権特別勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付するものとする。(平11課所4-1改正)
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