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解説記事2002年12月09日 【税務解説】 税理士必見!!税理士法改正による新書面添付制度への実務対応 プレ導入編(2002年12月9日号・プレ創刊第2号)

税理士必見!!
税理士法改正による新書面添付制度への実務対応
プレ導入編
税理士 平川忠雄(税理士法人平川会計パートナーズ 代表社員)


 平成14年4月1日改正の新税理士法第33条の2(計算事項、審査事項等を記載した書面の添付)及び35条(意見の聴取)の改正により税理士業務に画期的改革が生じるとも言える新制度に対応するべく「新書面添付制度の法律上の具体的内容とその実務的活用」を検討して、税理士事務所・税理士法人の「新規業務の展開」に少しでも資することができればとの思いで本稿を記述してみたいと考えます。この背景には、改正新税理士法がこの4月にスタートして以来、「新書面添付制度の書面添付割合の実績値2.9%」(平成14年2月~4月決算法人の6月末までに申告書提出分の税理士関与法人、国税庁実績評価書)と報告されております。税理士会の願望であった改正新税理士法の中心的改正事項の新書面添付制度の適用2桁を目指した改正法の趣旨からして、更に多くの、税理士事務所・税理士法人の利用があってこそ改正新法の目的が達成されるものといえます。(新書面添付制度利用に際してのご意見などお待ちいたします。)

新税理士法第33条の2(書面添付制度)及び第35条(意見の聴取)の法律構成
1 税理士法・施行規則等の抜粋

資料I 税理士法(抜粋)
(税務代理の権限の明示)
第30条 税理士は、税務代理をする場合においては、財務省令で定めるところにより、その権限を有することを証する書面を税務官公署に提出しなければならない。

(計算事項、審査事項等を記載した書面の添付)
第33条の2 税理士又は税理士法人は、国税通則法第16条第1項第1号に掲げる申告納税方式又は地方税法第1条第1項第8号若しくは第11号に掲げる申告納付若しくは申告納入の方法による租税の課税標準等を記載した申告書を作成したときは、当該申告書の作成に関し、計算し、整理し、又は相談に応じた事項を財務省令で定めるところにより記載した書面を当該申告書に添付することができる。
2 税理士又は税理士法人は、前項に規定する租税の課税標準等を記載した申告書で他人の作成したものにつき相談を受けてこれを審査した場合において、当該申告書が当該租税に関する法令の規定に従って作成されていると認めたときは、その審査した事項及び当該申告書が当該法令の規定に従って作成されている旨を財務省令で定めるところにより記載した書面を当該申告書に添付することができる。
3 税理士又は税理士法人が前2項の書面を作成したときは、当該書面の作成に係る税理士は、当該書面に税理士である旨その他財務省令で定める事項を付記して署名押印しなければならない。

(意見の聴取)
第35条 税務官公署の当該職員は、第33条の2第1項又は第2項に規定する書面(以下この項及び次項において「添付書面」という。)が添付されている申告書を提出した者について、当該申告書に係る租税に関しあらかじめその者に日時場所を通知してその帳簿書類を調査する場合において、当該租税に関し第30条の規定による書面を提出している税理士があるときは、当該通知をする前に、当該税理士に対し、当該添付書面に記載された事項に関し意見を述べる機会を与えなければならない。
2 添付書面が添付されている申告書について国税通則法又は地方税法の規定による更正をすべき場合において、当該添付書面に記載されたところにより当該更正の基因となる事実につき税理士が計算し、整理し、若しくは相談に応じ、又は審査していると認められるときは、税務署長(当該更正が国税庁又は国税局の当該職員の調査に基づいてされるものである場合においては、国税庁長官又は国税局長)又は地方公共団体の長は、当該税理士に対し、当該事実に関し意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、申告書及びこれに添付された書類の調査により課税標準等の計算について法令の規定に従っていないことが明らかであること又はその計算に誤りがあることにより更正を行う場合には、この限りでない。

3 国税不服審判所の担当審判官又は地方公共団体の長は、租税についての不服申立てに係る事案について調査する場合において、当該不服申立てに関し第30条の規定による書面を提出している税理士があるときは、当該税理士に対し当該事案に関し意見を述べる機会を与えなければならない。
4 前3項の規定による措置の有無は、これらの規定に規定する調査に係る処分、更正又は不服申立てについての決定若しくは裁決の効力に影響を及ぼすものと解してはならない。

(税務代理の権限の明示)
第30条
 税理士は、税務代理をする場合においては、その権限を有することを証する書面を税務官公署に提出しなければならない。

(計算事項、審査事項等を記載した書面の添付)
第33条の2
 税理士は、国税通則法第16条第1項第1号に掲げる申告納税方式又は地方税法第1条第1項第8号若しくは第11号に掲げる申告納付若しくは申告納入の方法による租税の課税標準等を記載した申告書を作成したときは、当該申告書の作成に関し、計算し、整理し、又は相談に応じた事項を財務省令で定めるところにより記載した書面を当該申告書に添付することができる。
2 税理士は、前項に規定する租税の課税標準等を記載した申告書で他人の作成したものにつき相談を受けてこれを審査した場合において、当該申告書が当該租税に関する法令の規定に従って作成されていると認めたときは、その審査した事項及び当該申告書が当該法令の規定に従って作成されている旨を財務省令で定めるところにより記載した書面を当該申告書に添付することができる。

3 税理士は、前2項の書面を作成したときは、当該書面に税理士である旨を付記して署名押印しなければならない。


(意見の聴取)
第35条 




第33条の2第1項又は第2項に規定する書面が添付されている申告書について国税通則法又は地方税法の規定による更正をすべき場合において、当該書面に記載されたところにより当該更正の基因となる事実につき税理士が計算し、整理し、若しくは相談に応じ、又は審査していると認められるときは、税務署長(当該更正が国税庁又は国税局の当該職員の調査に基づいてされるものである場合においては、国税庁長官又は国税局長)又は地方公共団体の長は、当該税理士に対し、当該事実に関し意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、申告書及びこれに添付された書類の調査により課税標準等の計算について法令の規定に従っていないことが明らかであること又はその計算に誤りがあることにより更正を行う場合には、この限りでない。
2 同左

3 前2項の規定による措置の有無は、これらの規定に規定する更正又は不服申立てについての決定若しくは裁決の効力に影響を及ぼすものと解してはならない。



資料II 税理士法施行規則(抜粋)

(税務代理権限証書)
第15条
 法第30条(法第48条の16において準用する場合を含む。)に規定する財務省令で定めるところにより提出しなければならない税務代理の権限を有することを証する書面は、別紙第8号様式による税務代理権限証書とする。

(税務書類等への付記)
第16条
 (略)
2 法第33条の2第3項に規定する財務省令で定める事項は、同項に規定する書面を作成した税理士又は税理士法人の前条の税務代理権限証書の提出の有無とする

(計算書類、審査事項等を記載した書面)
第17条
 法第33条の2第1項又は第2項に規定する財務省令で定めるところにより記載した書面は、別紙第9号様式又は別紙第10号様式により記載した書面とする。









(計算書類、審査事項等を記載した書面)
第14条の3
 法第33条の2第1項又は第2項に規定する財務省令で定めるところにより記載した書面は、別紙第5号様式又は別紙第6号様式により記載した書面とする。



資料III 書面添付と税理士の責任
(一般の懲戒)
法第46条 財務大臣は、前条の規定〔脱税相談等をした場合の懲戒〕に該当する場合を除くほか、税理士が、第33条の2第1項若しくは第2項の規定により添付する書面に虚偽の記載をしたとき、又はこの法律若しくは国税若しくは地方税に関する法令の規定に違反したときは、第44条に規定する懲戒処分をすることができる。



(懲戒の種類)
法第44条 税理士に対する懲戒処分は、左の3種とする。
一 戒告
二 1年以内の税理士業務の停止
三 税理士業務の禁止



(注)新税理士法基本通達46-1では、「添付書面の虚偽記載」について、次のような定めをしている。

(添付書面の虚偽記載)
基本通達46-1 法第46条に規定する「第33条の2第1項若しくは第2項の規定により添付する書面に虚偽の記載をしたとき」とは、当該書面に記載された内容の全部又は一部が事実と異なっており、かつ、当該書面を作成した税理士がそのことをあらかじめ知っていたと認められる場合をいうものとする。



参考資料
(「税理士法逐条解説(新訂版)」日本税理士会連合会編p.113~114)。
 「税理士〔又は税理士法人〕が、申告納税方式又は申告納付若しくは申告納入の方法による租税の課税標準等を記載した申告書を作成したときに、当該申告書に添付した計算事項等に関し記載した書面に虚偽の記載をしたとき、又は税理士若しくは国税若しくは地方税に関する法令の規定に違反したときは、その税理士に対する懲戒処分が行われるべきこととされている。
懲戒処分は、その情状により、戒告、1年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止のいずれかによるのであるが、税理士が、故意に真正の事実に反して税理士業務を行った場合には、税理士業務の禁止又は1年以内の税理士業務の停止に該当し、それが、相当の注意を怠ったためになされたものであるときは、戒告又は1年以内の税理士業務の停止に該当することとされているので、一般の懲戒処分の場合にも、これらの懲戒の基準に準じて、懲戒の種類及び程度が決定されるべきである。」
 このように、書面添付制度における虚偽の記載について、特に懲戒処分の規定を設けているのは、書面添付制度が税理士と税務行政庁との相互信頼関係を前提にして、税理士の社会的地位の向上に資することを目的とする制度として設けられたことによるものである。
(注)書面添付制度を活用する場合には、絶対に虚偽の記載をすることのないよう注意すべきである。

2 書面添付制度に関連する課税当局の事務運営指針等

(参考)I
○税務調査の際の事前通知について(事務運営指針)


[平成13年3月27日 課総5-1 課個4-3 課資5-7 課法3-3 課酒6-3 課消4-6 官総6-7 査調3-1]

国 税 局 長    殿
沖縄国税事務所長
国 税 庁 長 官
税務調査の際の事前通知について(事務運営指針)
 標題については、別紙のとおり定めたから、これにより適切に運営されたい。
(趣旨)
 税務調査における事前通知については、昭和37年9月6日付官総6-230ほか5課共同「税務調査の際の納税者および関与税理士に対する事前通知について」(法令解釈通達)に基づいて適切に実施してきたところであるが、行政の透明性及び統一性の観点から、改めて税務調査の事前通知についての考え方を整理したものである。
(別紙)
税務調査の際の事前通知について
1. 税務調査に関しては、原則として、納税者に対し調査日時をあらかじめ通知(事前通知)する。
  ただし、事前通知を行うことが適当でないと認められる次のような場合については、事前通知を行わない。
1業種・業態、資料情報及び過去の調査状況等からみて、帳簿書類等による申告内容等の適否の確認が困難であると想定されるため、事前通知を行わない調査(無予告調査)により在りのままの事業実態等を確認しなければ、申告内容等に係る事実の把握が困難であると想定される場合
2事前通知することにより、調査に対する忌避・妨害、あるいは帳簿書類等の破棄・隠ぺい等が予想される場合
2. なお、事前通知を行うかどうかは、個々の事案に即して、無予告調査の必要性を十分に検討して決定し、税務調査の指令の際に指示するとともに、その事績を記録する。

(参考)II
法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)
[平成12年7月3日 課法 2-9・課料 3-14・査調 4-11・査察 1-30]
 標題のことについて、国税通則法(以下「通則法」という。)第65条及び第66条の規定の適用に関し留意すべき事項等を下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。
(趣旨)
 法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の賦課に関する取扱基準の整備等を図ったものである。

第1 過少申告加算税の取扱い
  (過少申告の場合における正当な理由があると認められる事実)
1 通則法第65条の規定の適用に当たり、例えば、納税者の責めに帰すべき事由のない次 のような事実は、同条第4項に規定する正当な理由があると認められる事実として取り扱う。
(1)税法の解釈に関し、申告書提出後新たに法令解釈が明確化されたため、その法令解釈と法人の解釈とが異なることとなった場合において、その法人の解釈について相当の理由があると認められること。
  (注)税法の不知若しくは誤解又は事実誤認に基づくものはこれに当たらない。
(2)調査により引当金等の損金不算入額が法人の計算額より減少したことに伴い、その 減少した金額を認容した場合に、翌事業年度においていわゆる洗替計算による引当金等の益金算入額が過少となるためこれを税務計算上否認(いわゆるかえり否認)したこと。
(3)法人税の申告書に記載された税額(以下「申告税額」という。)につき、通則法第24条の規定による減額更正(通則法第23条の規定による更正の請求に基づいてされたものを除く。)があった場合において、その後の修正申告又は通則法第26条の規定による再更正による税額が申告税額に達しないこと。
(注)当該修正申告又は再更正による税額が申告税額を超えた場合であっても、当該修正申告又は再更正により納付することとなる税額のうち申告税額に達するまでの税額は、この(3)の事実に基づくものと同様に取り扱う。
(修正申告書の提出が更正があるべきことを予知してされたと認められる場合)
2 通則法第65条第5項の規定を適用する場合において、その法人に対する臨場調査、その法人の取引先の反面調査又はその法人の申告書の内容を検討した上での非違事項の指摘等により、当該法人が調査のあったことを了知したと認められた後に修正申告書が提出された場合の当該修正申告書の提出は、原則として、同項に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当する。
(注)臨場のための日時の連絡を行った段階で修正申告書が提出された場合には、原則として「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当しない。
(以下省略)

(参考)III

新書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)

税理士法の一部改正に伴う法人課税部門における新書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)[平成13年3月14日 課法3-6・課総5-3・課個4-7・課資5-9・課酒6-2・課消4-1・官総6-6・査調2-4]

標題のことについては、下記のとおり定めたから、貴管下職員に周知徹底の上、適切な運営を図られたい。
(趣旨)
 平成13年度の税制改正において、税理士法(以下単に「法」という。)の一部が改正され、法第33条の2及び法第35条の規定に基づく書面添付制度が拡充された。本改正では、従来の更正前の意見陳述に加えて、税務代理を行う税理士又は税理士法人(以下「税理士等」という。)が計算事項等を記載した書面を添付している場合において、納税者に税務調査の日時、場所をあらかじめ通知するときには、その通知前に、添付された書面の記載事項について意見陳述の機会を与えることとされた(以下「新書面添付制度」という。)。
 そこで、新書面添付制度を適正に運用し、税務執行の一層の円滑化・簡素化を図っていくため、本指針を定めるものである。

別 紙
【意見聴取に臨む当局のスタンス】
意見聴取は、添付書面に記載された事項に関して職員が税理士から意見を聞く(税理士が述べる意見を聴取する)というスタンスで行う。
【意見聴取の要領等】
 書面添付がある場合、調査の事前通知を行う1~2週間前に口頭(原則として来署による。電話又は文書提出でも可。)で意見聴取を行う。当面は、担当調査官同席で統括官が聴取する。納税者の同席は認めない。
 事前通知を行わない調査については、意見聴取を行わない。
【旧様式で提出されている場合】
 4月1日以降に調査を行う場合に適用するので、4月1日以前に旧法の様式等で提出されている場合についても、意見聴取を行う。
【調査との関連】
 書面添付があって意見聴取を行ったとしても、必ずしも調査省略につながるわけではない(個々の申告に関して見れば調査に移行しない可能性もあり得るが、調査選定に関しては、さまざまな観点から調査の必要性を判断するため、書面に記載された事項や当該事項に係る意見の陳述が必ずしも調査の必要性を払拭するとは限らない。また、実績を積み重ね、添付書面の信頼性を見極めていくことも、運用面では必要である。)。
【様式の変更】
 法人税申告書(4月決算分以降)や相続税申告書など、今後、適宜様式を変更し、「税務代理権限証書と書面添付がある旨を表示する欄」を設ける。
【記載不備等への対応】
 担当部門においては、提出された書面について、1税目・事業年度、2税理士又は税理士法人の氏名・事務所の所在地等、3書面作成に係る税理士の氏名・事務所の所在地、所属税理士会、4税務代理権限証書に提出の有無、5依頼者の氏名、住所、事務所の所在地、6押印などの各欄に記載もれや記載内容に不備がある場合、税理士に連絡の上、補正を求めることとなる。
【意見聴取の対象者】
 意見聴取を行う税理士は、税務代理権限証書に記載されている税理士であり、仮に書面添付の税理士が税務代理権限証書に記載されている税理士と違う場合、税務代理権限調書に記載されている税理士から意見聴取を行う(3年前に書面添付した税理士aが顧問を離れ、その後、税理士bが新規に関与して税務代理権限証書を提出している場合は、現在の関与税理士である税理士bに意見を聴取する。)
【税務代理権限証書との関連】
 書面の添付がある場合において税務代理権限証書の提出がない場合や、いわゆる従来の委任状が添付されている場合については、意見聴取を行う前に税務代理権限証書(財務省施行規則(省令)の指定様式)を提出していただく。なお、いわゆる従来の委任状を未だに使用しているケースが相当数見受けられるので、会員に対して十分に注意喚起していただきたい。
【意見聴取の内容等】
 書面添付制度は、税理士に付与された権利であるので、これに係る意見聴取は職員による質問検査権の行使には当たらず、また、内容的にも書面の記載事項に関する一般的な意見の聴取に止まる。従って、具体的な非違事項の指摘や、書面に記載がない事項に関する質問等は行わない。
【加算税の取扱い】
 加算税の賦課については、非違事項の指摘を行ったかどうかの事実認定を踏まえ、更正の予知の有無を把握して加算税の賦課の適否を判断する。書面添付制度に係る意見聴取については、一般的な意見の聴取に止まるのであるから、加算税は課さないこととなる。
【調査の省略】
 意見聴取は、日時を指定して調査を行う前提の事案について行うため、意見聴取の結果、疑問点等が明らかになり、調査に移行しないこととなった場合、税理士に対して調査に移行しない旨を口頭(電話)で連絡する。ただし、その後、改めて調査を行う必要性が生じた場合には、改めて意見聴取を行った上で、調査に着手する。
【具体的な記載】
 添付書面への具体的な記載については、関与の度合いなどが関与先によって様々であるため、できるだけ詳しく記載していただければとしか言えない。(日税連で作成した記載例を参考とするなどして)あくまでも税理士自身の判断で記載すべきである。
【提出の要件】
 法第33条の2の書面は、申告書に添付して提出することが必要(文字どおり添付が要件。ただし、例えば申告書に「添付有」の表示があって日を置かずに提出された場合など、明らかな添付ミスである場合を除く。)。

3 書面添付制度に関連する改正税理士法と新書面添付制度の活用

「税理士法の改正」
 経済取引の国際化、電子化・情報化の進展に伴い、税理士に対する納税者等の要請が複雑化・多様化する中で、規制緩和の要請を踏まえつつ、納税者利便の向上に資するとともに、信頼される税理士制度の確立を目指す観点から、税理士法が改正され、平成14年4月1日より改正法が適用されています。

ポイント1
従来の税理士個人で開業する業務形態に加え、税理士法人や補助税理士という新しい業務形態が創設されました。


1 税理士法人制度の創設
  従来、税理士が個人として行うこととされていた税理士業務を新たに法人形態でも行い得るよう、税理士法人制度が創設されました。その主な概要は次のとおりです。
(1)税理士が共同して税理士法人を設立することができることとなり、その場合の社員は税理士でなければならず、また、その名称中に「税理士法人」という文字を使用しなければならないこととされています。
(2)税理士法人は、税理士業務のほか、定款で定めるところにより税理士業務に付随する会計業務などや税理士業務に付随しない会計業務などが行えることとされています。
  また、社会保険労務士法施行令において、税理士法人も税理士業務に付随して社会保険労務士業務が行えることとされています。
(3)税理士法人は、設立の登記によって成立し、その旨を日本税理士会連合会に届け出なければならないこととされています。
  また、税理士法人は、成立の時に税理士会の会員となります。
  なお、税理士法人は、従たる事務所(支店)を設けることもできます。
(4)税理士法人の社員は、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負うことととされています。
(5)税理士法人の事務所(従たる事務所を含む。)には、その所在する地域の税理士会の会員である社員を常駐させなければならないこととされています。
(6)税理士法人の社員には、税理士法人の業務との競業禁止規定が設けられています。
(7)税理士法人は、社員が一人になった場合には原則解散することとされています。
(8)税理士法人には、合名会社に関する商法の規定(連帯無限責任、代表権等)等を準用することとされています。(法48の21)
(9)「補助税理士」としての税理士登録
  税理士又は税理士法人の補助者として常時それらの税理士業務等に従事する場合には、その従事する事務所等を税理士名簿に登録することにより税理士となることができることとされました。この税理士を「補助税理士」といいます。

2 税理士法人制度上の主要ポイント
・今回の改正税理士法における法人制度の趣旨(注)において「税理士の業務の共同化と継続性さらに賠償能力などを強化すべき」との必要性が高まり、その法人化を求めた改正であるといえます。
(注)今回の税理士法改正における法人制度創設の趣旨は、「税理士に対する納税者の複雑・高度なニーズに応えるとともに、税理士による継続的かつ安定的な業務提供や賠償責任能力の強化などの観点から、税理士の共同組織体である『法人制度』を創設する」とされています。
・税理士法人制度は、税理士業務のクライアントが「継続企業」であるため税理士事務所の業務の共同化と継続性へのニーズが大きいことから、その「外部的要請」による法人成りが促されるといわれています。
・新しい税理士法人制度の適用による「メリット」も存在します。それは、税理士法人制度は「支店の設置」が認められていることで、遠隔地にある企業などへの関与にも有効活用できます。
・こうした有利面への課題として、「税理士法人の社員税理士の対外的責任である無限連帯責任」の存在があり、関連して『寡占が生じる』『営利優先型の法人が過当参入する』など、開業税理士にとって厳しい状況がもたらされる実情が予測されます。

ポイント2
税理士の税務に関する専門家としての立場を尊重する見地から、裁判所において補佐人となる制度の創設及び意見聴取制度の拡充が行われました。


3 書面添付制度の具体的内容
・書面添付制度の対象となる申告書は、国税の場合には申告納税方式における申告書、地方税の場合には申告納付方式又は申告納入方式における申告書であり、税目については特に規定されず、各種の税目が対象となっています。
・書面添付制度は、申告の内容について、税理士としての意見を、税務行政庁に対して表明する手段として設けられた制度であり、税理士だけに認められた権利として位置付けることができます。
・書面添付制度における書面については、税理士の関与形態の違いにより、法第33条の2は次の2つに分けて規定されています、

ポイント3
<1>「申告書の作成に関し、計算し、整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面」(法33条の2条第1項)
<2>「他人が作成した申告書について、相談を受けて審査した事項を記載した書面」(同条第2項)


・税理士が申告書の作成を行わず、他人が作成した申告書の審査だけを行った場合に、法第33条の2第2項に基づき、申告書の内容に関して、審査した事項及び当該申告書が法令の規定に従って作成されている旨を記載する書面です。
  他人が作成した申告書という場合、他の税理士が申告書を作成した場合と、依頼者自身が申告書を作成した場合の二とおりが考えられます。「他人が作成した申告書について、相談を受けて審査した事項を記載した書面」を作成する具体的なケースは、例えば依頼者が申告書を作成し、税理士はその申告書の当否のチェックを行い、税理士の指導に基づいて依頼者が自ら申告書を修正して完成させるような場合が該当することになります。
  従来の更正前の意見陳述に加え、税務代理を行う税理士及び税理士法人(税理士等)が計算事項等を記載した書面を添付している場合において、納税者に税務調査の日時・場所をあらかじめ通知するときには、その通知前に、添付された書面の記載事項について意見陳述の機会を与えることとされた画期的な新方式であるといえます。

4 税理士に対する意見聴取制度の具体的内容
・法第35条で規定される税理士に対する意見聴取制度は、次のように分類され規定されています。

ポイント4
1 事前通知前の意見聴取(法第33条の2による添付書面が申告書に添付され、かつ、法第30条の規定による税務代理権限証書が提出されている場合で、あらかじめ納税者に事前通知を行ったうえで調査する場合に限ります。)
2 更正処分前の意見聴取(法第33条2による添付書面が申告書に添付されている場合に限ります。)
3 不服申立てに係る事案について調査する場合の意見聴取(法第30条の規定による税務代理権限証書が提出されている場合に限ります。)


・今回、平成13年の改正によって創設された1の意見聴取は、税務調査の事前通知が行われる際に、その通知前に行われるものであることから、税理士業務に対する影響は大きく、意見聴取制度は、税理士法改正による新業務となり、税理士の関与先の方々にとっても重要なかかわりのある制度です。
・意見聴取制度の拡充として従来の更正前の意見聴取制度に加え、計算事項等を記載した書面(法第33条の2に規定する書面)が添付されている申告書を提出した者について、あらかじめ日時場所を通知して帳簿書類を調査する場合には、その通知前に、税務代理権限証書(法第30条に規定する書面)を提出している税理士又は税理士法人に対し、添付された書面に記載された事項に関し意見を述べる機会を与えなければならないこととされました。
  この税務代理権限証書が第8号様式として新たに定められるとともに、計算事項等を記載した書面について所要の見直しが行われ、第9号様式(申告書の作成と点検相談書面、及び第10号様式(他人が作成した申告書等の点検相談書面)が定められました。
・新書面添付制度に基づく事前の意見の聴取は、「税務の専門家」としての立場を尊重して付与された税理士等の権利の一つとして位置付けられ、各税法に規定する質問検査権の行使には当たらないこととされていることから、添付された書面の記載事項に関する税理士からの意見陳述(「一般的な意見聴取」)になるものといわれています。




 

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