資料2003年04月19日 【税務通達等】 連結納税基本通達(平15.2.28 課法2-3、課審4-7)テキスト形式
課法2-3
課審4-7
平成15年2月28日
国税局長
沖縄国税事務所長 殿
国税庁長官
連結納税基本通達の制定について(法令解釈通達)
連結納税基本通達を別冊のとおり定めたから、今後はこれによられたい。
(趣旨)
平成14年法律第79号「法人税法等の一部を改正する法律」により連結納税制度が創設されたことに伴い、連結確定申告書を提出する連結法人に係る法人税法に関する取扱いを定めたものである。
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「連結納税基本通達の制定について」(法令解釈通達)
(平15.2.28課法2-3他1課共同)
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例 言
1 連結納税基本通達の規定は、原則として連結法人が連結納税に係る申告を行うに際し、適用するものとする。
したがって、連結法人であっても各事業年度の所得に対する法人税に係る申告を行う法人については、法人税基本通達の定めによる。
2 連結納税基本通達において引用している法人税法の規定中、第2編第1章第1節第2款から第8款まで《各事業年度の所得の金額の計算》の各条項(法人税法第22条から第65条まで)のうち、法人税法第23条、第28条、第37条、第40条、第41条、第57条、第58条及び第61条の13を除く条項の規定は、当該通達の規定上、特に断りのない限り、連結法人が法人税法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合のこれらの条項の規定をいうものとする。
したがって、当該通達で引用する各条項の直前には、原則として「法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の」という文言が省略されていることに留意する。
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省 略 用 語 例
連結納税基本通達において使用した次の省略用語は、それぞれ次に掲げる法令等を示すものである。
法 ……………………… 法人税法
令 ………………………法人税法施行令
規則 ……………………法人税法施行規則
措置法 …………………租税特別措置法
措置法令 ………………租税特別措置法施行令
通則法 …………………国税通則法
通則法令 ………………国税通則法施行令
耐用年数省令 …………減価償却資産の耐用年数等に関する省令
旧資産流動化法 ……… 特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律(平成12年法律第97号)第1条の規定による改正前の特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律
第1章 総則
第1節 納税地及び納税義務
(被合併法人の法人税に係る納税地)
1-1-1法人が合併した場合において、当該合併に係る被合併法人のその合併の日以後における法人税の納税地は、当該合併に係る合併法人の納税地によるのであるから留意する。ただし、合併に係る被合併法人が連結親法人であり、かつ、合併法人が当該連結親法人との間に連結完全支配関係がない連結子法人である場合には、当該合併法人が連結申告法人でないものとしたときの当該合併法人の納税地となる。
(注) 合併に係る被合併法人が連結子法人である場合において、当該合併の日の前日の属する連結事業年度以前の連結事業年度の連結申告に係る法人税の納税地は、本文の取扱いにかかわらず、その連結申告に係る連結親法人の納税地となる。
(連結離脱法人の連帯納付責任)
1-1-2 連結子法人が、法第4条の5第1項若しくは第2項《連結納税の承認の取消し》の規定により法第4条の2《連結納税義務者》の承認を取り消され又は法第4条の5第3項《連結納税の取りやめの承認》の承認を受けた場合であっても、その取消し又は取りやめの承認に係る最終の連結事業年度以前の各連結事業年度の連結所得に対する法人税(当該連結子法人がその連結親法人との間に連結完全支配関係がある期間内に納税義務が成立したものに限る。)については、法第81条の28第1項《連結子法人の連帯納付の責任》の規定の適用があることに留意する。
第2節 完全支配関係
(他の内国法人の株主等に外国法人が含まれている場合の完全支配関係の判定)
1-2-1法第4条の2《連結納税義務者》に規定する他の内国法人の株主等に外国法人が含まれている場合には、同条に規定する完全支配関係(以下「完全支配関係」という。)は成立しないことに留意する。
(名義株がある場合の完全支配関係の判定)
1-2-2 法第4条の2《連結納税義務者》の規定の適用上、内国法人と他の内国法人との間に当該内国法人による完全支配関係があるかどうかは、当該他の内国法人の株主名簿又は社員名簿に記載されている株主等により判定するのであるが、その株主等が単なる名義人であって、当該株主等以外の者が実際の権利者である場合には、その実際の権利者が保有するものとして判定する。
(完全支配関係を有することとなった日の意義)
1-2-3 完全支配関係があるかどうかの判定における当該完全支配関係を有することとなった日とは、例えば、その有することとなった原因が次に掲げる場合には、それぞれ次に掲げる日となることに留意する。 (1) 株式の購入 当該購入に係る契約の成立した日
(2) 新たな法人の設立 当該法人の設立後最初の事業年度開始の日
(3) 株式交換 株式交換期日
(4) 合併(新設合併を除く。) 合併期日
(完全支配関係の判定における従業員持株会の範囲)
1-2-4 令第14条の3第1項第2号イ《連結納税における株式の保有関係等》に規定する組合は、民法第 667条第1項《組合》に規定する組合契約による組合に限られるのであるから、いわゆる証券会社方式による従業員持株会は、原則としてこれに該当するが、いわゆる信託銀行方式による従業員持株会はこれに該当しない。
(従業員持株会の構成員たる使用人の範囲)
1-2-5 令第14条の3第1項第2号イ《連結納税における株式の保有関係等》の「法人の使用人」は、当該法人の使用人に限られるのであるから、当該法人との間に当該法人による完全支配関係がある他方の法人の使用人は、これに含まれないことに留意する。 (注) 当該使用人には、法第35条第5項《使用人兼務役員の範囲》に規定する使用人としての職務を有する役員は含まれない。
(完全支配関係の判定における従業員持株会等に係る株式の保有割合の意義)
1-2-6 内国法人と他の内国法人との間の完全支配関係の判定上、令第14条の3第1項第2号《連結納税における株式の保有関係等》に規定する「割合」が5%未満かどうかは、当該割合が5%未満である状態が継続している場合をいうのであるから、例えば、連結子法人に係る当該割合が5%以上となったときには、当該連結子法人はその時において連結親法人との間に当該連結親法人による完全支配関係を有しないこととなることに留意する。
(最初連結事業年度開始の日に完全支配関係を有することとなった法人の取扱い)
1-2-7 法第4条の3第3項《連結納税の承認の処分》の規定により承認の処分があったとみなされる他の内国法人は、最初の連結事業年度としようとする期間の開始の時に同条第1項の内国法人との間に完全支配関係があるものに限られるのであるから、例えば、当該最初の連結事業年度としようとする期間の開始の日に当該内国法人によって設立された法人のように当該開始の日において当該内国法人との間に完全支配関係を有することとなった法人は、これに該当せず、同条第10項《連結納税への加入》の規定の適用があることに留意する。
(連結完全支配関係を有しなくなる事実)
1-2-8 法第4条の5第2項第5号《連結納税の承認のみなし取消し》に規定する「連結完全支配関係を有しなくなったこと」には、例えば、次に掲げる事実がこれに該当する。
(1) 連結子法人の発行済株式又は出資(以下1-2-8において「発行済株式等」という。)の全部又は一部が当該連結子法人との間に連結完全支配関係がない者に保有されることとなったこと
(2) 連結子法人の発行済株式等の全部又は一部を直接又は間接に保有する他の連結子法人(以下1-2-8及び1-3-3において「株式等保有連結子法人」という。)に次に掲げる事実が生じたことに基因して連結完全支配関係を有しなくなったこと
イ 株式等保有連結子法人の発行済株式等の全部又は一部が当該株式等保有連結子法人との間に連結完全支配関係のない者に保有されることとなったこと
ロ 解散(合併による解散を除く。)
ハ 合併による解散(当該株式等保有連結子法人との間に連結完全支配関係がある連結法人との合併による解散を除く。)
ニ 同条第1項《連結納税の承認の取消し》の規定により連結納税の承認を取り消されたこと
ホ 令第14条の3第1項第2号《連結納税における株式の保有関係等》に規定する「割合」が5%以上となったこと
(3) 連結親法人が法第4条の5第1項の規定により連結納税の承認を取り消されたこと
第3節 連結納税に係る承認申請等
(連結親法人及び連結子法人の意義)
1-3-1法第2条第12号の7の2《連結親法人の意義》に規定する「連結親法人」及び同条第12号の7の3《連結子法人の意義》に規定する「連結子法人」とは、法第4条の3第3項、第4項、第8項、第10項及び第11項《連結納税の承認等》の規定により承認を受けるとともに、それぞれの規定の承認の効力が生じている法人をいうことに留意する。
(最初連結親法人事業年度開始の時までの間に完全支配関係を有することとなった法人のみなし承認)
1-3-2 法第4条の2《連結納税義務者》に規定する他の内国法人が、既に法第4条の3第1項《連結納税の承認申請》の規定により申請を行った内国法人との間に、当該申請の時から最初連結親法人事業年度開始の時までの間に、新たに当該内国法人による完全支配関係を有することとなった場合において、当該内国法人に対して承認の処分があったときは、当該他の内国法人についても法第4条の3第3項《連結納税の承認の処分》の規定により承認の処分があったものとみなすことに留意する。
(最初連結事業年度開始の日の前日までの間に完全支配関係を有しなくなった法人の連結適用制限)
1-3-3 法第4条の2《連結納税義務者》に規定する他の内国法人が、既に法第4条の3第3項《連結納税の承認の処分》の承認の処分を受けた法第4条の2に規定する内国法人について当該承認の効力が生ずる前に当該内国法人との間に当該内国法人による完全支配関係を有しないこととなった場合には、法第4条の5第2項第5号《連結納税の承認のみなし取消し》に掲げる事実に該当しないのであるから、当該他の内国法人は令第14条の3第3項第4号《承認取消し等に係る連結適用制限》に掲げる法人に該当しないことに留意する。 (注) 法第4条の3第9項第2号又は第3号及び第11項第2号又は第3号《設立事業年度等の承認申請特例に係る承認の効力等》に規定する「他の内国法人」又は「前2号に掲げる法人以外の法人」が連結子法人となった場合には、たとえ同条第6項《設立事業年度等の申請期限特例》に規定する連結申請特例年度の終了の日までの間に当該内国法人との間に連結完全支配関係を有しないこととなったとき(株式等保有連結子法人が合併以外の事由による解散に基因して当該内国法人による連結完全支配関係を有しなくなった場合を除く。)であっても、令第14条の3第3項第4号に掲げる法人に該当することになるのであるから留意する。
(設立事業年度等の承認申請特例の不適用)
1-3-4 法第4条の2《連結納税義務者》に規定する内国法人が次のいずれかに該当する場合には、それぞれ次に掲げる事業年度については、法第4条の3第6項《設立事業年度等の申請期限特例》の規定の適用はないことに留意する。
(1) 当該内国法人の設立事業年度(同項に規定する設立事業年度をいう。以下1-3-4において同じ。)の期間が5月を超えない場合((2) に該当する場合を除く。) 設立事業年度
(2) 当該内国法人の設立事業年度開始の日から当該設立事業年度の翌事業年度終了の日までの期間が5月を超えない場合 設立事業年度及びその翌事業年度
(承認取消後5年経過前に連結子法人となる法人)
1-3-5 法第4条の5第2項第5号《連結納税の承認のみなし取消し》の規定により連結納税の承認を取り消された法人(1-2-8の(2) ロの事実に基因して承認を取り消された法人を除く。)は、その取消しの日以後5年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間(以下1-3-5において「適用制限期間」という。)を経過していない場合には当該取消しの直前におけるその連結親法人の連結子法人となることができないのであるが、当該適用制限期間中に当該連結親法人以外の連結親法人(以下1-3-5において「他の連結親法人」という。)との間に完全支配関係を有することとなった場合には、当該他の連結親法人の連結子法人となるのであるから留意する。
(連結納税の取りやめの承認事由)
1-3-6 法第4条の5第3項《連結納税の取りやめの承認》に規定する「やむを得ない事情があるとき」とは、例えば、連結納税の適用を継続することにより事務負担が著しく過重になると認められる場合をいうのであるから、単に税負担が軽減されることのみを理由として連結納税を適用しないこととする場合は、これに該当しないことに留意する。
第4節 事業年度及び連結事業年度
(設立第1回連結事業年度の開始の日)
1-4-1連結法人の設立後最初の事業年度が連結事業年度に該当する場合には、その設立後最初の連結事業年度の開始の日は、連結法人の設立の日による。この場合において、設立の日は、設立の登記により成立する連結法人にあっては設立の登記をした日、行政官庁の認可又は許可によって成立する連結法人にあってはその認可又は許可の日とする。
(組織変更の場合の連結事業年度)
1-4-2 連結法人が商法その他の法令の規定によりその組織を変更して他の種類の法人となった場合(当該連結法人が、組織変更後においても組織変更前の連結親法人との間に当該連結親法人による連結完全支配関係がある場合に限る。)には、組織変更前の連結法人の解散の登記、組織変更後の連結法人の設立の登記にかかわらず、その解散又は設立はなかったものとして取り扱う。したがって、当該連結法人の連結事業年度は、その組織変更によっては区分されず継続することに留意する。
(解散、継続、合併又は分割の日)
1-4-3 法第14条第1号、第10号及び第14号《みなし事業年度》の「解散の日」又は第19号の「継続の日」とは、株主総会その他これに準ずる総会等において解散又は継続の日を定めたときはその定めた日、解散又は継続の日を定めなかったときは解散又は継続の決議の日、解散事由の発生により解散した場合には当該事由発生の日をいう。
また、同条第2号、第11号及び第15号の「合併の日」とは、合併契約において合併期日として定めた日をいい、同条第3号及び第12号の「分割の日」とは、分割契約若しくは分割計画において分割期日として定めた日をいう。
(設立無効等の判決を受けた場合の清算)
1-4-4 連結法人が設立無効又は設立取消しの判決により商法の規定に従って清算をする場合には、当該判決の確定の日において解散したものとする。
第5節 連結同族会社
(議決権のない株式がある場合の連結同族会社の判定)
1-5-1法第2条第10号《同族会社の意義》に規定する「株式」及び「発行済株式」には、議決権のない株式が含まれる。
(名義株についての株主等の判定)
1-5-2 法第2条第10号《同族会社の意義》に規定する「株主等」は、株主名簿又は社員名簿に記載されている株主等によるのであるが、その株主等が単なる名義人であって、当該株主等以外の者が実際の権利者である場合には、その実際の権利者を株主等とする。
(生計を維持しているもの)
1-5-3 令第4条第1項第4号《同族関係者の範囲》に規定する「株主等から受ける金銭その他の資産によって生計を維持しているもの」とは、当該株主等から給付を受ける金銭その他の財産又は給付を受けた金銭その他の財産の運用によって生ずる収入を日常生活の資の主要部分としている者をいう。
(生計を一にすること)
1-5-4 令第4条第1項第5号《同族関係者の範囲》に規定する「生計を一にする」こととは、有無相助けて日常生活の資を共通にしていることをいうのであるから、必ずしも同居していることを必要としない。
(連結同族会社の判定の基礎となる株主等)
1-5-5 連結親法人が同族会社であるかどうかを判定する場合には、必ずしもその持株割合の大きいものから順にその判定の基礎となる株主等を選定する必要はないのであるから、例えば、その順に株主等を選定した場合には同族会社とならない場合であっても、その選定の仕方を変えて判定すれば同族会社となるときは、その会社は法第2条第10号《同族会社の意義》に規定する同族会社に該当することに留意する。
第6節 組織再編成
(組織再編成の日)
1-6-1連結法人が合併、分割、現物出資又は事後設立(以下1-6-1において「組織再編成」という。)を行った場合における当該組織再編成の日は、当該組織再編成により当該連結法人が合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人にその有する資産及び負債の移転をした日をいうのであるから、留意する。
(注) 合併又は分割の場合における当該移転をした日は、合併契約において合併期日として定めた日又は分割契約若しくは分割計画において分割期日として定めた日をいう。
(合併等に際し1株未満の株式の譲渡代金を被合併法人等の株主等に交付した場合の適格合併等の判定)
1-6-2 連結法人が行った合併が法第2条第12号の8《適格合併》に規定する適格合併に該当するかどうかを判定する場合において、合併法人が合併に際し被合併法人の株主等に交付する株式(出資を含む。以下1-6-3までにおいて同じ。)に1株未満の株式が生じたためその1株未満の株式の合計数に相当する株式を他に譲渡し、その譲渡代価を当該株主等に交付したときは、当該株主等に対してその1株未満の株式に相当する株式を交付したこととなることに留意する。
連結法人が行った分割が法第2条第12号の11《適格分割》に規定する適格分割に該当するかどうかを判定する場合も、同様とする。
(注) 当該1株未満の株式は、令第4条の2第3項第5号《適格合併の要件》及び同条第6項第6号《適格分割の要件》に規定する議決権のないものに該当する。
(名義株がある場合の適格合併等の判定)
1-6-3 法第2条第12号の8イ又はロ《適格合併》の規定の適用上、被合併法人と合併法人との間に一方の法人が他方の法人の株式を保有する関係があるかどうかは、株主名簿又は社員名簿に記載されている株主等により判定するのであるが、その株主等が単なる名義人であって、当該株主等以外の者が実際の権利者である場合には、その実際の権利者が保有するものとして判定する。
同条第12号の11イ若しくはロ《適格分割》又は第12号の14イ若しくはロ《適格現物出資》における判定についても、同様とする。
(従業者の範囲)
1-6-4 法第2条第12号の8ロ(1) 若しくは令第4条の2第3項第3号《適格合併の要件》、法第2条第12号の11ロ(2) 若しくは令第4条の2第6項第4号《適格分割の要件》又は法第2条第12号の14ロ(2) 若しくは令第4条の2第10項第4号《適格現物出資の要件》に規定する「従業者」とは、役員、使用人その他の者で、合併、分割又は現物出資の直前において被合併法人の合併前に営む事業、分割事業(同条第6項第1号に規定する分割事業をいう。以下この節において同じ。)又は現物出資事業(同条第10項第1号に規定する現物出資事業をいう。以下この節において同じ。)に現に従事する者をいうものとする。ただし、これらの事業に従事する者であっても、例えば日々雇い入れられる者で従事した日ごとに給与等の支払を受ける者について、法人が従業者の数に含めないこととしている場合は、これを認める。
同条第3項第2号、第6項第2号又は第10項第2号《共同事業要件》の従業者の範囲についても、同様とする。
(注)1出向により受け入れている者等であっても、被合併法人の合併前に営む事業、分割事業又は現物出資事業に現に従事する者であれば従業者に含まれることに留意する。
2 下請先の従業員は、例えば自己の工場内でその業務の特定部分を継続的に請け負っている企業の従業員であっても、従業者には該当しない。
3 分割事業又は現物出資事業とその他の事業とのいずれにも従事している者については、主として当該分割事業又は現物出資事業に従事しているかどうかにより判定する。
(主要な事業の判定)
1-6-5 被合併法人の合併前に営む事業が2以上ある場合において、そのいずれが法第2条第12号の8ロ(2) 《適格合併》に規定する「主要な事業」であるかは、それぞれの事業に属する収入金額又は損益の状況、従業者の数、固定資産の状況等を総合的に勘案して判定する。
(事業規模を比較する場合の売上金額等に準ずるもの)
1-6-6 令第4条の2第3項第2号《適格合併に係る共同事業要件》、第6項第2号《適格分割に係る共同事業要件》又は第10項第2号《適格現物出資に係る共同事業要件》に規定する「これらに準ずるものの規模」とは、例えば、金融機関における預金量等、客観的・外形的にその事業の規模を表すものと認められる指標をいう。 (注) 事業の規模の割合がおおむね5倍を超えないかどうかは、これらの号に規定するいずれか一の指標が要件を満たすかどうかにより判定する。
(特定役員の範囲)
1-6-7 令第4条の2第3項第2号《適格合併に係る共同事業要件》に規定する「これらに準ずる者」とは、役員又は役員以外の者で、社長、副社長、代表取締役、専務取締役又は常務取締役と同等に法人の経営の中枢に参画している者をいう。 (注) 専務取締役及び常務取締役の意義については8-2-2《専務取締役等の意義》による。
(主要な資産及び負債の判定)
1-6-8 法第2条第12号の11ロ(1) 若しくは令第4条の2第6項第3号《適格分割の要件》又は法第2条第12号の14ロ(1) 若しくは令第4条の2第10項第3号《適格現物出資の要件》の規定の適用上、分割事業又は現物出資事業に係る資産及び負債が主要なものであるかどうかは、分割法人又は現物出資法人が当該事業を営む上での当該資産及び負債の重要性のほか、当該資産及び負債の種類、規模、事業再編計画の内容等を総合的に勘案して判定するものとする。
(従業者が従事することが見込まれる業務)
1-6-9 法第2条第12号の8ロ(1) 《適格合併》に規定する「合併法人の業務」、同条第12号の11ロ(2) 《適格分割》に規定する「分割承継法人の業務」又は同条第12号の14ロ(2) 《適格現物出資》に規定する「被現物出資法人の業務」は、合併により移転した事業、分割事業又は現物出資事業に限らないことに留意する。
令第4条の2第3項第3号《適格合併の要件》、第6項第4号《適格分割の要件》又は第10項第4号《適格現物出資の要件》の判定についても、同様とする。
(出向により分割承継法人等の業務に従事する場合)
1-6-10 法第2条第12号の11ロ(2) 又は令第4条の2第6項第4号《適格分割の要件》に規定する「分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること」には、分割法人の分割の直前の従業者が出向により分割承継法人の業務に従事する場合が含まれることに留意する。
法第2条第12号の14ロ(2) 又は令第4条の2第10項第4号《適格現物出資の要件》の判定についても、同様とする。
(移転資産の範囲-借地権の設定)
1-6-11分割、現物出資又は事後設立による資産の移転には、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人を借地権者とする借地権の設定(令第 138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用がある設定に限る。)が含まれる。 (注) この場合における当該借地権に係る法第62条第2項《合併及び分割による資産等の時価による譲渡》若しくは第62条の5第1項《適格事後設立による資産等の時価による譲渡と株式の帳簿価額修正益又は帳簿価額修正損の益金又は損金算入》に規定する「原価の額」又は法第62条の2第1項《適格合併及び適格分割型分割による資産等の帳簿価額による引継ぎ》、第62条の3《適格分社型分割による資産等の帳簿価額による譲渡》若しくは第62条の4第1項《適格現物出資による資産等の帳簿価額による譲渡》に規定する「帳簿価額」は、当該借地権に係る土地につき令第 138条第1項の規定により損金の額に算入される金額に相当する金額をいう。
(国内にある事業所に属する資産又は負債の判定)
1-6-12 令第4条の2第7項《適格現物出資の要件》に規定する「国内にある事業所に属する資産又は負債」に該当するかどうかは、原則として、当該資産又は負債が国内にある事業所又は国外にある事業所のいずれの事業所の帳簿に記帳されているかにより判定するものとする。
ただし、国外にある事業所の帳簿に記帳されている資産又は負債であっても、実質的に国内にある事業所において経常的な管理が行われていたと認められる資産又は負債については、国内にある事業所に属する資産又は負債に該当することになるのであるから留意する。
(資産等の移転が設立の時から6月以内に行われなかったことについてのやむ得ない事情)
1-6-13 令第4条の2第13項第3号《適格事後設立の要件》に規定する「やむを得ない事情」とは、例えば、資産若しくは負債の移転又はその移転により行うこととなる営業につき行政庁の許認可等を必要とする場合において、当該許認可等の審査及び処理に要する期間が6月を超えることとなったことがこれに該当する。
(資産等の移転による譲渡の対価の額)
1-6-14 令第4条の2第13項第4号《適格事後設立の要件》に規定する「資産等の移転による譲渡の対価の額」とは、当該資産等の譲渡の時の時価をいうことに留意する。
第7節 資本等の金額及び資本等取引
(資本の増加の日)
1-7-1連結法人の資本又は出資の増加があった場合におけるその資本又は出資の増加の日は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に定める日による。
(1) 払込み又は現物出資による増資の場合((3) に該当する場合を除く。) 払込期日(現物出資の場合には、現物出資の目的となった財産の給付の期日)。ただし、株式会社にあっては、当該払込期日の翌日
(2) 利益若しくは準備金の資本組入れ又は再評価積立金の資本組入れによる増資の場合 当該組入れに関する取締役会又は株主総会若しくは社員総会の決議の日。ただし、その決議により増資の日として定められた日があるときは、その日
(3) 新株予約権及び新株予約権付社債に係る新株予約権の権利行使による増資の場合 払込みがあった日。ただし、権利行使があったときに代用払込みの請求があったものとみなす場合には、その権利行使の日
(加入金)
1-7-2 法第2条第17号の3《連結個別資本積立金額の意義》の規定により連結個別資本積立金額を計算する場合の同条第17号ハ《資本積立金額の意義》に規定する「加入金」とは、法令若しくは定款の定め又は総会の決議に基づき新たに組合員又は会員となる者から出資持分を調整するために徴収するもので、これを拠出しないときは、組合員又は会員たる資格を取得しない場合のその加入金をいう。
(利益準備金の資本組入れがあった場合の連結個別資本積立金額の減算)
1-7-3 連結法人が商法第 293条ノ3《準備金の資本組入れ》の規定により利益準備金の資本組入れを行った場合には、当該組み入れた金額に相当する金額につき連結個別利益積立金額を減算することなく連結個別資本積立金額を減算するのであるから、留意する。 (注) 当該減算する連結個別資本積立金額が当該組入れ前の連結個別資本積立金額を超える場合には、当該組入れ後における連結個別資本積立金額はマイナスとなることに留意する。
(資本等取引に該当する利益等の分配)
1-7-4 法第22条第5項《資本等取引の意義》の規定により資本等取引に該当する利益又は剰余金の分配には、連結法人が確定した決算において利益又は剰余金の処分により配当等としたものだけでなく、株主等に対しその出資者たる地位に基づいて供与した一切の経済的利益を含むものとする。
(外貨建ての転換社債型新株予約権付社債の権利行使があった場合の連結個別資本積立金額)
1-7-5 外貨建ての転換社債型新株予約権付社債に係る新株予約権の行使により株式を発行した場合において、これに伴いその連結個別資本積立金額とされる金額は、その行使の対象となった転換社債型新株予約権付社債の帳簿価額から当該株式の発行により資本に組み入れられた金額を控除した金額とする。 (注) 転換社債型新株予約権付社債とは、新株予約権の行使があったときに代用払込の請求があったものとみなす旨を決議した新株予約権付社債のうち、次のいずれかの事項があらかじめ社債要項等において明らかにされているものをいう。
(1) 新株予約権について消却事由を定めておらず、かつ、社債についても繰上償還を定めていないこと。
(2) 新株予約権について消却事由を定めている場合には、新株予約権が消却されたときに社債も同時に償還されること、かつ、社債について繰上償還を定めている場合には、社債が繰上償還されたときに新株予約権も同時に消却されること。
(新株の買取引受けに係る株式払込剰余金)
1-7-6 連結法人が増資新株をその発行価額で証券会社に買取引受けさせた場合におけるその発行価額のうち資本に組み入れなかった金額は法第2条第17号の3《連結個別資本積立金額の意義》の規定により連結個別資本積立金額を計算する場合の同条第17号イ《資本積立金額の意義》に掲げる金額に該当するのであるが、この場合に証券会社に支払う引受手数料の額は、たとえその買取引受けに係る増資新株の全部又は一部を最終的に当該証券会社が買い取って払い込んだときであっても、令第14条第1項第6号《新株発行費》に規定する新株発行費に該当する。
第8節 連結利益積立金額
(納付すべき道府県民税等の計算)
1-8-1連結利益積立金額を計算する場合において、留保している金額に含まれない道府県民税及び市町村民税(以下1-8-1において「道府県民税等」という。)の金額は、連結利益積立金額の計算を行う時までに確定している次の(1) 及び(2) に掲げる金額を基礎として計算した金額(実際の税率により計算することが困難である場合には、標準税率により計算した金額)の合計額による。この場合において、その後道府県民税等の申告、更正又は決定により過不足額が生じたときは、その過不足額は、当該申告、更正又は決定のあった日の属する連結事業年度開始の日において調整する。
(1) 各連結法人の各連結事業年度の連結所得に対する法人税の負担額として支出すべき金額として法第81条の18第1項《連結法人税の個別帰属額の計算》の規定により計算される金額を支払うこととなる場合のその支払うこととなる金額
(2) 各連結法人の各連結事業年度の連結所得に対する法人税の額の減少額として収入すべき金額として同項の規定により計算される金額を支払うこととなる場合のその支払うこととなる金額
(注) 被合併法人の最後連結事業年度若しくは分割型分割(連結親法人事業年度開始の日に行うものに限る。)に係る分割法人の分割の日の前日の属する連結事業年度又は法第24条第1項第3号から第6号まで《配当等の額とみなす金額》の規定によりみなし配当の計算が必要となる連結事業年度については、標準税率によらず適正額により計算の基礎となる連結事業年度の連結個別利益積立金額を計算することに留意する。
(連結子法人株式の帳簿価額の修正額)
1-8-2 令第9条の2第5項《連結利益積立金額の計算》において読み替えて準用される同条第2項《連結法人株式の帳簿価額修正》に規定する「連結法人株式の帳簿価額修正額」がマイナスとなる場合には、当該マイナスの金額が法第2条第18号の2チ《連結利益積立金額の加算額》の金額となるのであるから、この場合の令第 119条の3第3項又は第119 条の4第1項《連結個別利益積立金額の増加・減少があった場合の移動平均法又は総平均法による帳簿価額の算出》の規定により計算した有価証券の一単位当たりの帳簿価額は、マイナスの金額となる場合があることに留意する。
(連結子法人株式の帳簿価額の修正事由に係る譲渡)
1-8-3 令第9条の2第4項《連結利益積立金額の増加・減少が生ずる事由》において読み替えて準用される同条第1項第1号《利益積立金額の増加・減少が生ずる事由》の規定の適用上、連結法人の有する他の連結法人の株式の譲渡は、連結法人以外の者に対する譲渡に限られないのであるから、例えば、その譲渡が他の連結法人に対するもので、法第81条の10第1項《連結法人間取引の損益の調整》の規定の適用があるものであっても、これに含まれることに留意する。
第9節 仮決算における経理
(仮決算における損金経理の意義)
1-9-1法第81条の20第1項《仮決算をした場合の連結中間申告書の記載事項等》に規定する期間(以下「連結中間事業年度」という。)に係る決算における損金経理とは、株主又は出資者に報告する当該期間に係る決算書及びその作成の基礎となった帳簿に費用又は損失として記載することをいう。
(圧縮記帳等の経理方法)
1-9-2 圧縮記帳による圧縮額又は各種準備金の積立額を利益又は剰余金の処分により積み立てる連結法人が、連結中間事業年度においてその積立てをしようとする金額を株主又は出資者に報告する当該連結中間事業年度に係る損益計算書の脚注に表示した場合には、その表示した金額は利益又は剰余金の処分により積み立てたものとして取り扱う。
第2章 収益並びに費用及び損失の計算
第1節 収益等の計上に関する通則
第1款 棚卸資産の販売による収益
(棚卸資産の販売による収益の帰属の時期)
2-1-1 棚卸資産の販売による収益の額は、その引渡しがあった日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(棚卸資産の引渡しの日の判定)
2-1-2 2-1-1の場合において、棚卸資産の引渡しの日がいつであるかについては、例えば、出荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日、検針等により販売数量を確認した日等当該棚卸資産の種類及び性質、その販売に係る契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち連結法人が継続してその収益計上を行うこととしている日によるものとする。この場合において、当該棚卸資産が土地又は土地の上に存する権利であり、その引渡しの日がいつであるかが明らかでないときは、次に掲げる日のうちいずれか早い日にその引渡しがあったものとすることができる。
(1) 代金の相当部分(おおむね50%以上)を収受するに至った日
(2) 所有権移転登記の申請(その登記の申請に必要な書類の相手方への交付を含む。)をした日
(委託販売による収益の帰属の時期)
2-1-3 棚卸資産の委託販売による収益の額は、その委託品について受託者が販売をした日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、当該委託品についての売上計算書が売上の都度作成され送付されている場合において、連結法人が継続してその収益を当該売上計算書の到達した日の属する連結事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(注)
受託者が週、旬、月を単位として一括して売上計算書を作成している場合においても、それが継続して行われているときは、「売上の都度作成され送付されている場合」に該当する。
(販売代金の額が確定していない場合の見積り)
2-1-4 連結法人がその販売に係る棚卸資産を引き渡した場合において、その引渡しの日の属する連結事業年度終了の日までにその販売代金の額が確定していないときは、同日の現況によりその金額を適正に見積るものとする。この場合において、その後、確定した販売代金の額が見積額と異なるときは、その差額はその確定した日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額又は損金の額に算入する。
第2款 請負による収益
(請負による収益の帰属の時期)
2-1-5 請負による収益の額は、別に定めるものを除き、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の全部を完了した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(建設工事等の引渡しの日の判定)
2-1-6 2-1-5の場合において、請負契約の内容が建設、造船その他これらに類する工事(以下2-1-9までにおいて「建設工事等」という。)を行うことを目的とするものであるときは、その建設工事等の引渡しの日がいつであるかについては、例えば、作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方において使用収益ができることとなった日等当該建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち連結法人が継続してその収益計上を行うこととしている日によるものとする。
(工事代金の額が確定していない場合の見積り)
2-1-7 2-1-4は、当該連結事業年度において完成して引き渡した建設工事等に係る工事代金の額が当該連結事業年度終了の日までに確定していない場合について準用する。
(値増金の益金算入の時期)
2-1-8 連結法人が請け負った建設工事等に係る工事代金につき資材の値上がり等に応じて一定の値増金を収入することが契約において定められている場合には、その収入すべき値増金の額はその建設工事等の引渡しの日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるが、相手方との協議によりその収入すべきことが確定する値増金については、その収入すべき金額が確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(部分完成基準による収益の帰属時期の特例)
2-1-9 連結法人が請け負った建設工事等(法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用があるもの及び同条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用を受けるものを除く。以下2-1-9において同じ。)について次に掲げるような事実がある場合には、その建設工事等の全部が完成しないときにおいても、その連結事業年度において引き渡した建設工事等の量又は完成した部分に対応する工事収入をその連結事業年度の益金の額に算入する。
(1) 一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合
(2) 1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合
(機械設備等の販売に伴い据付工事を行った場合の収益の帰属時期の特例)
2-1-10 連結法人が機械設備等の販売(法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用があるもの及び同条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用を受けるものを除く。以下2-1-10において同じ。)をしたことに伴いその据付工事を行った場合において、その据付工事が相当の規模のものであり、その据付工事に係る対価の額を契約その他に基づいて合理的に区分することができるときは、機械設備等に係る販売代金の額と据付工事に係る対価の額とを区分して、それぞれにつき2-1-1又は2-1-5により収益計上を行うことができるものとする。
(注) 連結法人がこの取扱いによらない場合には、据付工事に係る対価の額を含む全体の販売代金の額について2-1-1による。
(不動産仲介あっせん報酬の帰属の時期)
2-1-11 土地、建物等の売買、交換又は賃貸借(以下2-1-11において「売買等」という。)の仲介又はあっせんをしたことにより受ける報酬の額は、原則としてその売買等に係る契約の効力が発生した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、連結法人が、売買又は交換の仲介又はあっせんをしたことにより受ける報酬の額について、継続して当該契約に係る取引の完了した日(同日前に実際に収受した金額があるときは、当該金額についてはその収受した日)の属する連結事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(技術役務の提供に係る報酬の帰属の時期)
2-1-12 設計、作業の指揮監督、技術指導その他の技術役務の提供を行ったことにより受ける報酬の額は、原則としてその約した役務の全部の提供を完了した日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるが、その技術役務の提供について次に掲げるような事実がある場合には、その支払を受けるべき報酬の額が確定する都度その確定した金額をその確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入するものとする。ただし、その支払を受けることが確定した金額のうち役務の全部の提供が完了するまで又は1年を超える相当の期間が経過するまで支払を受けることができないこととされている部分の金額については、その完了する日とその支払を受ける日とのいずれか早い日まで収益計上を見合わせることができる。
(1) 報酬の額が現地に派遣する技術者等の数及び滞在期間の日数等により算定され、かつ、一定の期間ごとにその金額を確定させて支払を受けることとなっている場合
(2) 例えば基本設計に係る報酬の額と部分設計に係る報酬の額が区分されている場合のように、報酬の額が作業の段階ごとに区分され、かつ、それぞれの段階の作業が完了する都度その金額を確定させて支払を受けることとなっている場合
(注) 技術役務の提供に係る契約に関連してその着手費用に充当する目的で相手方から収受する仕度金、着手金等の額は、後日清算して剰余金があれば返還することとなっているものを除き、その収受した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(運送収入の帰属の時期)
2-1-13 運送業における運送収入の額は、原則としてその運送に係る役務の提供を完了した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、連結法人が、運送契約の種類、性質、内容等に応じ、例えば、次に掲げるような方法のうちその運送収入に係る収益の計上基準として合理的であると認められるものにより継続してその収益計上を行っている場合には、これを認める。
(1) 乗車券、乗船券、搭乗券等を発売した日(自動販売機によるものについては、その集金をした時)にその発売に係る運送収入の額を収益計上する方法
(2) 船舶、航空機等が積地を出発した日に当該船舶、航空機等に積載した貨物又は乗客に係る運送収入の額を収益計上する方法
(3) 一の航海(船舶が発港地を出発してから帰港地に到着するまでの航海をいう。以下2-1-13において同じ。)に通常要する期間がおおむね4月以内である場合において、当該一の航海に係る運送収入の額を当該一の航海を完了した日に収益計上する方法
(4) 一の運送に通常要する期間又は運送を約した期間の経過に応じて日割又は月割等によりその運送収入の額を収益計上する方法
(注) 1 運送業を営む2以上の法人が運賃の交互計算又は共同計算を行っている場合における当該交互計算又は共同計算により当該2以上の法人のうち連結法人が配分を受けるべき収益の額については、その配分が確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入することができる。
2 海上運送業を営む連結法人が船舶による運送に関連して受払いする滞船料又は早出料については、その額が確定した日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入することができる。
第3款 固定資産の譲渡等による収益
(固定資産の譲渡による収益の帰属の時期)
2-1-14 固定資産の譲渡による収益の額は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、その固定資産が土地、建物その他これらに類する資産である場合において、連結法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日の属する連結事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(注) 本文の取扱いによる場合において、固定資産の引渡しの日がいつであるかについては、2-1-2の例による。
(農地の譲渡による収益の帰属時期の特例)
2-1-15 農地の譲渡があった場合において、当該農地の譲渡に関する契約が農地法上の許可を受けなければその効力を生じないものであるため、連結法人がその譲渡による収益の額をその許可のあった日の属する連結事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(注) 連結法人が農地の取得に関する契約を締結した場合において、農地法上の許可を受ける前に当該契約に基づく契約上の権利を他に譲渡したときにおけるその譲渡による収益の計上時期については、2-1-14による。この場合において、当該権利の譲渡に関する契約において農地法上の許可を受けることを当該契約の効力発生の条件とする旨の定めがあったとしても、当該定めは、当該許可を受けることができないことを契約解除の条件とする旨の定めであるものとして2-1-14のただし書を適用する。
(工業所有権等の譲渡等による収益の帰属の時期)
2-1-16 工業所有権等(特許権、実用新案権、意匠権及び商標権並びにこれらの権利に係る出願権及び実施権をいう。以下この節において同じ。)の譲渡又は実施権の設定により受ける対価(使用料を除く。以下2-1-16において同じ。)の額は、原則としてその譲渡又は設定に関する契約の効力発生の日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、その譲渡又は設定の効力が登録により生ずることとなっている場合において、連結法人がその登録の日の属する連結事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(注) その対価の額がその契約の効力発生の日以後一定期間内に支払を受けるべき使用料の額に充当されることとなっている場合であっても、当該連結事業年度終了の日においていまだ使用料の額に充当されていない部分の金額を前受金等として繰り延べることはできないことに留意する。
(ノーハウの頭金等の帰属の時期)
2-1-17 ノーハウの設定契約に際して支払を受ける一時金又は頭金の額は、当該ノーハウの開示を完了した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、ノーハウの開示が2回以上にわたって分割して行われ、かつ、その一時金又は頭金の支払がほぼこれに見合って分割して行われることとなっている場合には、その開示をした都度これに見合って支払を受けるべき金額をその開示をした日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(注) 1 その一時金又は頭金の額がノーハウの開示のために現地に派遣する技術者等の数及び滞在期間の日数等により算定され、かつ、一定の期間ごとにその金額を確定させて支払を受けることとなっている場合には、その支払を受けるべき金額が確定する都度その確定した金額をその確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
2 ノーハウの設定契約の締結に先立って、相手方に契約締結の選択権を付与するために支払を受けるいわゆるオプション料の額については、その支払を受けた日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
3 2-1-16の (注) は、ノーハウの設定契約に際して支払を受ける一時金又は頭金について準用する。
(固定資産を譲渡担保に供した場合)
2-1-18 連結法人が債務の弁済の担保としてその有する固定資産を譲渡した場合において、その契約書に次のすべての事項を明らかにし、自己の固定資産として経理しているときは、その譲渡はなかったものとして取り扱う。この場合において、その後その要件のいずれかを欠くに至ったとき又は債務不履行のためその弁済に充てられたときは、これらの事実の生じたときにおいて譲渡があったものとして取り扱う。
(1) 当該担保に係る固定資産を当該連結法人が従来どおり使用収益すること。
(2) 通常支払うと認められる当該債務に係る利子又はこれに相当する使用料の支払に関する定めがあること。
(注) 形式上買戻条件付譲渡又は再売買の予約とされているものであっても、上記のような条件を具備しているものは、譲渡担保に該当する。
(共有地の分割)
2-1-19 連結法人が他の者と土地を共有している場合において、その共有に係る土地をその持分に応じて分割したときは、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。
(注) その分割に要した費用の額は、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(法律の規定に基づかない区画形質の変更に伴う土地の交換分合)
2-1-20 一団の土地の区域内に土地(土地の上に存する権利を含む。以下2-1-20において同じ。)を有する2以上の者が、その一団の土地の利用の増進を図るために行う土地の区画形質の変更に際し、相互にその区域内に有する土地の交換分合(土地区画整理法、都市再開発法等の法律の規定に基づいて行うものを除く。以下2-1-20において同じ。)を行った場合には、その交換分合が当該区画形質の変更に必要最小限の範囲内で行われるものである限り、その交換分合による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。この場合において、当該区域内にある土地の一部がその区画形質の変更に要する費用に充てるために譲渡されたときは、当該2以上の者が当該区域内に有していた土地の面積の比その他合理的な基準によりそれぞれその有していた土地の一部を譲渡したものとする。
(注) 1 その区画形質の変更に要した費用の額は、土地の取得価額に算入することに留意する。
2 この取扱いは、当該交換分合が、一団の土地の区画形質の変更に伴い行われる道路その他の公共施設の整備、不整形地の整理等に基因して行われるもので、四囲の状況からみて必要最小限の範囲内であると認められるものについて適用できることに留意する。
(道路の付替え)
2-1-21 連結法人が、自己の有する土地の利用上障害となっている既存の公道(他の者の有する私道を含む。以下2-1-21において同じ。)を移転する目的で当該土地の一部に当該公道に代わるべき道路を建設し、当該道路及びその敷地に係る土地と当該公道の敷地に係る土地とを交換した場合には、その交換による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。
(注) その道路の建設及び交換に要した費用の額は、土地の取得価額に算入することに留意する。
第4款 有価証券の譲渡による損益
(有価証券の譲渡による損益の計上時期)
2-1-22 有価証券の譲渡による法第61条の2第1項《有価証券の譲渡損益の益金算入等》に規定する譲渡利益額又は譲渡損失額(以下2-1-25までにおいて「譲渡損益の額」という。)の計上は、同項の規定に基づき原則として譲渡に係る契約の成立した日に行うこととなるのであるから、次に掲げる場合には、それぞれ次に掲げる日に譲渡損益の額を計上する。
(1) 証券業者等に売却の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託又は売出しの取扱いの委託をしている場合 当該委託をした有価証券の売却に関する取引が成立した日
(2) 相対取引により有価証券を売却している場合 証券取引法第41条《取引報告書の交付》に規定する取引報告書に表示される約定日、売買契約書の締結日などの当該相対取引の約定が成立した日
(3) その譲渡損益の額が次によるものである場合 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める日
イ 資本若しくは出資の減少、株式(出資を含む。以下2-1-22において同じ。)の消却又は社員の退社若しくは脱退によるものについては、これらの事実があった日
ロ その連結法人の有していた株式を発行した法人の合併によるものについては、合併期日
ハ その連結法人の有していた株式を発行した法人の分割型分割によるものについては、分割期日
ニ 解散による残余財産の分配によるものについては、その分配の開始の日(その分配が数回に分割してされた場合には、それぞれの分配の開始の日)
ホ 株式交換又は株式移転によるものについては、株式交換期日又は株式移転期日
(有価証券の譲渡による損益の計上時期の特例)
2-1-23 有価証券の譲渡損益の額は、原則として譲渡に係る契約の成立した日に計上しなければならないのであるが、令第 119条の2第2項本文又は第3項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法》に規定する区分に応じ、連結法人が当該譲渡損益の額(連結事業年度終了の日において未引渡しとなっている有価証券に係る譲渡損益の額を除く。)をその有価証券の引渡しのあった日に計上している場合には、これを認める。
(注) 1 有価証券の取得についても、原則として取得に係る契約の成立した日に取得したものとしなければならないのであるが、その引渡しのあった日に取得したものとして経理処理をしている場合には、連結事業年度終了の日において未引渡しとなっている有価証券を除き、本文の譲渡の場合と同様に取り扱う。この場合、同条第1項の規定の適用についても、同様とする。
2 本文及び (注) 1の取扱いは、譲渡及び取得のいずれについてもこれらの取扱いを適用している場合に限り、継続適用を条件として認めるものとする。
(短期売買業務の廃止に伴う売買目的有価証券から満期保有目的等有価証券又はその他有価証券への区分変更)
2-1-24 令第 119条の11《有価証券の区分変更によるみなし譲渡》の表の第1号中欄のロに規定する短期売買業務の全部を廃止したことという事実は、反復継続して行う有価証券の売買を主たる業務として又は従たる業務として営んでいる連結法人が、その業務を行っている事業所、部署等の撤収、廃止等をし、当該連結法人が当該業務そのものを行わないこととしたことをいうのであるから、単に、保有する同号上欄に掲げる売買目的有価証券の売却を行わないこととしたことは上記の事実に該当しないことに留意する。
(注) 本文の適用は、事業所ごと、かつ、令第 119条の12第1号《売買目的有価証券の範囲》に規定する「専担者売買有価証券」、2-3-23に定める「短期売買有価証券」又は令第 119条の12第2号に規定する「信託財産に属する有価証券」の区分ごとに判定する。
(現渡しの方法による決済を行った場合の損益の計上時期)
2-1-25 法第61条の2第9項《信用取引等の譲渡利益額又は譲渡損失額》に規定する信用取引の方法により株式の売付けを行った場合において、いわゆる現渡しの方法による決済を行ったときは、当該取引に係る譲渡損益の額は、当該決済に係る約定が成立した日に計上する。
(売却及び購入の同時の契約等のある有価証券の取引)
2-1-26 同一の有価証券(法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券を除く。)が売却の直後に購入された場合において、その売却先から売却をした有価証券の買戻し又は再購入(証券業者等に売却の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託をしている場合の当該証券業者等からの購入又は当該証券業者等に購入の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託をしている場合の当該購入を含む。)をする同時の契約があるときは、当該売却をした有価証券のうち当該買戻し又は再購入をした部分はその売却がなかったものとして取り扱う。
(注) 1 同時の契約がない場合であっても、これらの契約があらかじめ予定されたものであり、かつ、売却価額と購入価額が同一となるよう売買価額が設定されているとき又はこれらの価額が売却の決済日と購入の決済日との間に係る金利調整のみを行った価額となるよう設定されているときは、同時の契約があるものとして取り扱う。
2 本文の適用を受ける取引に伴い支出する委託手数料その他の費用は、当該有価証券の取得価額に含めない。
3 購入の直後に売却が行われた場合の当該購入についても同様に取り扱う。
第5款 利子、配当、使用料等に係る収益
(貸付金利子等の帰属の時期)
2-1-27 貸付金、預金、貯金又は有価証券(以下2-1-27において「貸付金等」という。)から生ずる利子の額は、その利子の計算期間の経過に応じ当該連結事業年度に係る金額を当該連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、主として金融及び保険業を営む法人以外の連結法人が、その有する貸付金等(当該連結法人が金融及び保険業を兼業する場合には、当該金融及び保険業に係るものを除く。)から生ずる利子でその支払期日が1年以内の一定の期間ごとに到来するものの額につき、継続してその支払期日の属する連結事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。
(注) 1 例えば借入金とその運用資産としての貸付金、預金、貯金又は有価証券(信託財産に組み込まれたこれらの資産を含む。)がひも付きの見合関係にある場合のように、その借入金に係る支払利子の額と運用資産から生ずる利子の額を対応させて計上すべき場合には、その運用資産から生ずる利子の額については、ただし書の適用はないものとする。
2 資産の販売等に伴い発生する売上債権(受取手形を含む。)又はその他の金銭債権について、その現在価値と当該債権に含まれる金利要素とを区分経理している場合の当該金利要素に相当する部分の金額は、当該債権の発生の基となる資産の販売等に係る売上の額等に含まれることに留意する。
(相当期間未収が継続した場合等の貸付金利子等の帰属時期の特例)
2-1-28 連結法人の有する貸付金又は当該貸付金に係る債務者について次のいずれかの事実が生じた場合には、当該貸付金から生ずる利子の額(実際に支払を受けた金額を除く。)のうち当該連結事業年度に係るものは、2-1-27にかかわらず、当該連結事業年度の益金の額に算入しないことができるものとする。
(1) 債務者が債務超過に陥っていることその他相当の理由により、その支払を督促したにもかかわらず、当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該連結事業年度終了の日以前6月(当該連結事業年度終了の日以前6月以内に支払期日がないものは1年。以下2-1-28において「直近6月等」という。)以内にその支払期日が到来したもの(当該貸付金に係る金銭債権を売買等により取得した場合のその取得前の期間のものを含む。以下2-1-28において「最近発生利子」という。)の全額が当該連結事業年度終了の時において未収となっており、かつ、直近6月等以内に最近発生利子以外の利子について支払を受けた金額が全くないか又は極めて少額であること。
(2) 債務者につき会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続又は商法の規定による会社の整理その他これに類する法律上の整理手続が開始されたこと。
(3) 債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しがないこと、当該債務者が天災事故、経済事情の急変等により多大の損失を蒙ったことその他これらに類する事由が生じたため、当該貸付金の額の全部又は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至ったこと。
(4) 会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生計画認可の決定、債権者集会の協議決定等により当該貸付金の額の全部又は相当部分について相当期間(おおむね2年以上)棚上げされることとなったこと。
(注) 1 この取扱いにより益金の額に算入しなかった利子の額については、その後これにつき実際に支払を受けた日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額に算入する。
2 連結法人の有する債券又は債券の発行者に上記(1) から(4) までと同様の事実が生じた場合にも、当該債券に係る利子につき同様に取り扱う。
(利息制限法の制限超過利子)
2-1-29 連結法人が利息制限法に定める制限利率(以下2-1-29において「制限利率」という。)を超える利率により金銭の貸付けを行っている場合におけるその貸付けに係る貸付金から生ずる利子の額の収益計上については、2-1-27及び2-1-28によるほか、次に定めるところによるものとする。
(1) 当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該連結事業年度に係る金額は、原則としてその貸付けに係る約定利率により計算するものとするが、実際に支払を受けた利子の額を除き、連結法人が継続して制限利率によりその計算を行っている場合には、これを認める。
(2) 当該貸付金から生ずる利子の額のうち実際に支払を受けたものについては、その支払を受けた金額を利子として益金の額に算入する。
(3) (1) により当該連結事業年度に係る利子の額を計算する場合におけるその計算の基礎となる貸付金の額は、原則としてその貸付けに係る約定元本の額によるものとするが、連結法人が継続して既に支払を受けた利子の額のうち制限利率により計算した利子の額を超える部分の金額(貸金業の規制等に関する法律第43条第1項《任意に支払った場合のみなし弁済》の規定の適用を受けた金額を除く。)を元本の額に充当したものとして当該貸付金の額を計算している場合には、これを認める。
(注) この場合には、貸倒引当金の計算の基礎となる連結事業年度終了の時における金銭債権の帳簿価額についても斉一の方法によるものとする。
(利益の配当等の帰属の時期)
2-1-30 連結法人が他の法人から受ける利益の配当、中間配当(商法第 293条ノ5第1項《中間配当》、資産の流動化に関する法律第 102条第1項《中間配当》又は旧資産流動化法第 102条第1項《中間配当》に規定する金銭の分配をいう。以下同じ。)、剰余金の分配又は投資信託及び特定目的信託の収益の分配(以下2-1-34までにおいてこれらを「利益の配当等」という。)の額は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日の属する連結事業年度の収益とする。ただし、その利益の配当等の額が外国法人から受けるものである場合において、当該外国法人の本店又は主たる事務所の所在する国又は地域の利益の配当等に関する法令にその確定の時期につきこれと異なる定めがあるときは、当該法令に定めるところにより当該利益の配当等の額が確定したとされる日の属する連結事業年度の収益とする。
(1) 利益の配当又は剰余金の分配については、当該配当又は分配をする法人の株主総会その他正当な権限を有する機関において当該利益の配当又は剰余金の分配に関する決議のあった日
(注) 連結法人が、配当落ち日に未収配当金の見積計上をしている場合であっても、当該未収配当金の額は、未確定の収益として当該配当落ち日の属する連結事業年度の益金の額に算入しない。次の(2) において同じ。
(2) 中間配当については、当該中間配当に係る取締役会の決議又は取締役の決定のあった日。ただし、その決議又は決定により中間配当の請求権に関しその効力発生日として定められた日があるときは、その日
(3) 投資信託及び特定目的信託の収益の分配のうち信託の開始の時からその終了の時までの間におけるものについては、当該収益の計算期間の末日とし、投資信託及び特定目的信託の終了又は投資信託及び特定目的信託の一部の解約による収益の分配については、当該終了又は解約のあった日
(4) 法第24条《配当等の額とみなす金額》の規定によるみなし配当については、次に掲げる区分に応じ、それぞれに定める日
イ 合併(適格合併を除く。)によるものについては、合併期日又は合併登記の日
ロ 分割型分割(適格分割型分割を除く。)によるものについては、分割期日又は分割登記の日
ハ 資本若しくは出資の減少、株式(出資を含む。以下2-1-30において同じ。)の消却、自己の株式の取得又は社員の退社若しくは脱退によるものについては、これらの事実があった日
ニ 解散による残余財産の分配によるものについては、その分配の開始の日(その分配が数回に分割してされた場合には、それぞれの分配の開始の日)
(利益の配当等の帰属時期の特例)
2-1-31 連結法人が他の法人から受ける利益の配当等の額でその支払のために通常要する期間内に支払を受けるものにつき継続してその支払を受けた日の属する連結事業年度の収益としている場合には、2-1-30にかかわらず、これを認める。
(賃貸借契約に基づく使用料等の帰属の時期)
2-1-32 資産の賃貸借契約に基づいて支払を受ける使用料等の額は、前受けに係る額を除き、当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、当該契約について係争(使用料等の額の増減に関するものを除く。)があるためその支払を受けるべき使用料等の額が確定せず、当該連結事業年度においてその支払を受けていないときは相手方が供託をしたかどうかにかかわらず、その係争が解決して当該使用料等の額が確定し、その支払を受けることとなるまでその収益計上を見合わせることができるものとする。
(注) 使用料等の額の増減に関して係争がある場合には 本文の取扱いによるのであるが、この場合には、契約の内容、相手方が供託をした金額等を勘案してその使用料等の額を合理的に見積もるものとする。
(工業所有権等の使用料の帰属の時期)
2-1-33 工業所有権等又はノーハウを他の者に使用させたことにより支払を受ける使用料の額は、その額が確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、連結法人が継続して契約により当該使用料の額の支払を受けることとなっている日の属する連結事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。
(送金が許可されない利子、配当等の帰属時期の特例)
2-1-34 国外の者から支払を受ける貸付金の利子、利益の配当等又は工業所有権等若しくはノーハウの使用料(措置法第66条の6第1項《内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金算入》に規定する特定外国子会社等から受けるこれらのものを除く。以下2-1-34において「国外からの利子、配当等」という。)について、現地の外貨事情その他やむを得ない事由によりその送金が許可されないため、長期(おおむね2年以上)にわたりその支払を受けることができないと認められる事情がある場合には、その送金が許可されることとなる日までその収益計上を見合せることができるものとする。この場合において、その国外からの利子、配当等の額(その額が2以上あるときは、それぞれの額とする。以下2-1-34において同じ。)の一部につきその送金が許可されることとなり、かつ、その許可された金額の合計額が当該国外からの利子、配当等の額のおおむね50%以上の金額に達したときはその残額をその達した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(注) 国外からの利子、配当等の額の全部又は一部を現地における費用の支出(金銭債権以外の資産の取得を含む。)に充てた場合には、その充てた日にその充てた金額に相当する金額の送金が許可されたものとしてこの取扱いを適用する。
第6款 その他の収益等
(償還有価証券に係る調整差損益の計上)
2-1-35 令第 139条の2第1項《償還有価証券の調整差益又は調整差損の益金又は損金算入》に規定する償還有価証券(以下2-1-36までにおいて「償還有価証券」という。)をその償還金額に満たない価額で取得した場合又は償還金額を超える価額で取得した場合における同条の規定の適用に当たっては、次のことに留意する。
(1) 同項に規定する調整差益又は調整差損(以下2-1-35において「調整差損益」という。)は、償還有価証券の銘柄の異なるごとに、同条第2項から第5項までに規定する方法(定額法)により計算し、益金の額又は損金の額に算入する。
(2) 同条第5項の規定は継続適用を前提としてこれを適用する。
(3) 外貨建ての償還有価証券については、外国通貨表示の金額により算出した調整差損益を継続適用を条件として次のいずれかの外国為替の売買相場(以下この(3) において「為替相場」という。)により円換算を行う。ただし法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》の規定の適用がある場合には、当該償還有価証券の円換算に使用した為替相場により円換算を行う。
イ 当該連結事業年度における期中平均相場(当該連結事業年度の当該償還有価証券の保有期間又は当該連結事業年度における17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》に定める電信売買相場の仲値の平均値又は17-1-2に定める電信買相場の平均値をいう。)
ロ 17-2-5《期末時換算法-連結事業年度終了の時における為替相場》に定める為替相場
(注) 令第 119条の14《償還有価証券の帳簿価額の調整》に規定する帳簿価額は、外国通貨表示の金額により算出した調整差損益を法第61条の9第1項第2号ロ《償還有価証券の期末換算方法》に規定する「発生時換算法又は期末時換算法」により円換算した金額を加減算して算出する。
(4) 法第25条第1項《資産の評価益の益金不算入》に規定する法律の規定に従って行う評価換え、同項に規定する政令で定める評価換え又は法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》に規定する評価換えは、令第 119条の14の規定を適用した後の金額に基づき行う。
(5) 調整差損益を帳簿価額に加算又は減算した場合には、その有価証券の一単位当たりの帳簿価額についても、加算又は減算を行う。
(6) 法第61条の8第2項の規定の適用がある場合において、当該償還有価証券(令第 119条の2第2項第1号《満期保有目的有価証券の意義》に規定する有価証券に限る。)に係る調整差損益を法第61条の10第1項《為替予約差額の配分》に規定する為替予約差額の直先差額に含めて各連結事業年度の益金の額又は損金の額に配分しているときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(償還有価証券の範囲)
2-1-36 償還有価証券とは、その有価証券を保有する連結法人にとって当該有価証券の償還期限が確定しており、かつ、その償還期限における償還金額が確定しているものをいうのであるから、当該有価証券が償還有価証券に該当するか否かの判定に当たり、次に掲げるものは、それぞれ次による。
(1) 抽選償還条項が付されている債券等のように期限前償還の可能性のあるものであっても、そのような期限前償還は考慮しないところにより、償還有価証券か否かを判定する。
(2) コマーシャル・ペーパー、譲渡性預金証書並びに償還期限及び償還金額の定めのある償還株式は、償還有価証券に該当する。
(3) 2-3-38に定める複合有価証券等(有価証券に限る。)であっても、 2-3-38の組込デリバティブ取引と区分された部分(償還期限及び償還金額があるものに限り当該組込デリバティブ取引について2-3-38の (注) 3の適用を受ける場合を除く。)は、償還有価証券に該当する。
(4) 令第 119条の14《償還有価証券の帳簿価額の調整》に規定する転換社債の転換価額がその転換の対象となる株式の相場を大きく上回り、将来的にも全く転換請求の可能性がないと認められる場合の当該転換社債は、償還有価証券として取り扱うことができる。
(5) 確定した償還期限の定めのないいわゆる永久債(償還権を発行者が有し契約条項等からみて償還の実行の可能性が極めて高いもので、かつ、償還時期及び償還金額が合理的に予測可能なものを除く。)は、償還有価証券に該当しない。
(6) 償還金額が変動する株価リンク債、他社株転換社債等は、償還有価証券に該当しない。
(7) 次に掲げるものは、償還有価証券に該当しないものとして取り扱うことができる。
イ 1-7-5《外貨建ての転換社債型新株予約権付社債の権利行使があった場合の連結個別資本積立金額》に定める転換社債型新株予約権付社債以外の新株予約権付社債(新株予約権付社債に係る取得価額につき社債と新株予約権とに合理的に区分して経理している場合の社債部分を除く。)
ロ 2-1-28に掲げる事実が生じている場合の有価証券又は発行者の経営状態・資産状態の悪化等に伴い償還金額の一部の償還が明らかに見込まれないものとなっている場合の有価証券
ハ その償還の全部又は一部が6月以上延滞している場合の定時償還条項付債券(債券発行後一定期間据え置いた後、一定期間ごとに一定額以上の償還を規則的に行い、償還期限に未償還残高を償還することが定められている債券をいう。)
(注)1 上記(4) の令第 119条の14に規定する転換社債には、1-7-5に定める転換社債型新株予約権付社債が含まれるものとする。
2 上記(7) ロ及びハは、これらに掲げる事実がその有価証券の取得後に生じた場合における当該事実が生じた連結事業年度以後の当該有価証券の判定について、同様とする。
(債権の取得差額に係る調整差損益の計上)
2-1-37 金銭債権をその債権金額に満たない価額で取得した場合又は債権金額を超える価額で取得した場合において、その債権金額とその取得に要した価額との差額に相当する金額(実質的な贈与と認められる部分の金額を除く。以下2-1-37において「取得差額」という。)の全部又は一部が金利の調整により生じたものと認められるときは、当該金銭債権に係る支払期日までの期間の経過に応じ、利息法又は定額法に基づき当該取得差額の範囲内において金利の調整により生じた部分の金額(以下2-1-37において「調整差額」という。)を益金の額又は損金の額に算入する。
ただし、調整差額を算定することが困難である場合又は当該金銭債権につき2-1-36の(7) ロ及び (注) に掲げる事実がある場合には、この限りでない。
(注) 1 本文の取扱いは、本文の金銭債権に該当するもののすべてにつき同様の調整方法による計算を行わなければならないことに留意する。
2 2-1-35の(3) は、調整差額の計算を行う場合の取扱いにおいて準用する。
3 金融及び保険業を営む法人以外の連結法人が取得した金銭債権については当該金銭債権に係る支払期日(1年以内の一定の期間ごとに到来するものに限る。)が到来する都度その支払期日が到来した債権金額に応じて調整差額を益金の額又は損金の額に算入することができる。
4 利息法とは、調整差額を元本額の残高に対する利回りが一定となるように支払期日までの各期間に配分する方法をいい、定額法とは、調整差額を支払期日までの各期間の日数等に応じて当該各期間に均等に配分する方法をいう。
(デリバティブ取引に係る契約に基づく資産の取得による損益の計上)
2-1-38 法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》に規定するデリバティブ取引(以下2-1-39までにおいて「デリバティブ取引」という。)に係る契約に基づき金銭以外の資産を取得した場合の当該デリバティブ取引の決済によって生じた利益の額又は損失の額(以下2-1-39において「決済損益の額」という。)の計上は、同条第2項の規定に基づき当該資産の取得の日に行うこととなるのであるが、この場合の「取得の日」とは、デリバティブ取引に係る契約の決済が現物の受渡しにより行われることが確定した日(当該日に具体的な引渡物件及び受渡代金が確定していない場合には、これらが具体的に確定した日をいう。以下2-1-39までにおいて「受渡決済確定日」という。)をいうことに留意する。ただし、その取得される資産が金融商品(平成11年1月22日付「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」に示された「金融商品に係る会計基準」の適用対象となる資産、負債及びデリバティブ取引をいう。以下この章において同じ。)以外の資産(以下2-1-39までにおいて「非金融資産」という。)であり、かつ、当該非金融資産の受渡期日が受渡決済確定日から通常の受渡しに要する期間内に到来する場合において、連結法人がその受渡しの日を当該非金融資産の取得の日としているときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(注) 1 取引所に上場しているデリバティブ取引に係る同項に規定する「取得の時における当該資産の価額」は、当該取引に係る最終の清算値段等を取引所の定める規則に従って交換比率、品質格差等によって調整した価額に基づき算出することができる。
2 ただし書の取扱いにより、そのデリバティブ取引が連結事業年度終了の時において同条第1項に規定する「未決済デリバティブ取引」となる場合には、同項の規定の適用があることに留意する。
(デリバティブ取引に係る契約に基づく資産の譲渡による損益の計上)
2-1-39 デリバティブ取引に係る契約に基づき金銭以外の資産を譲渡した場合の決済損益の額の計上は、原則として受渡決済確定日に行うこととなるのであるが、その譲渡する資産が非金融資産であり、かつ、当該非金融資産の受渡期日が受渡決済確定日から通常の受渡しに要する期間内に到来する場合において、連結法人が継続して当該非金融資産の譲渡による決済損益の額をその受渡しの日に計上しているときは、これを認める。
(注) 当該デリバティブ取引に係る当該資産の譲渡の時における価額及び本文の適用を受ける場合の法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》の規定の適用については、2-1-38の (注) 1及び2の取扱いを準用する。
(有利な状況にある相対買建オプション取引について権利行使を行わなかった場合の取扱い)
2-1-40 連結法人が権利行使期日又は権利行使期間の末日(以下2-1-40において「権利行使期日等」という。)において有利な状況にある買建ての規則第27条の7第1項第8号、第9号及び第16号《デリバティブ取引》に掲げる取引並びにこれらの取引に類似する同項第20号に掲げる取引(相対取引により行われるものに限る。以下2-1-41までにおいて「相対オプション取引という。)について、合理的な理由もなく権利行使を行わなかった場合には、当該権利行使期日等において、権利行使により生ずることとなる当該買建ての相対オプション取引に係る利益の額に相当する金額をその取引の相手方に対して贈与したものとして取り扱うことに留意する。
(注) 1 「有利な状況にある」とは、例えば、有価証券をオプション対象物としたコール・オプションを買い建てている場合において、オプション対象物である有価証券の権利行使期日等における価格が当該コール・オプションの行使価格を上回っているときをいう。
2 「利益の額に相当する金額」とは、オプション対象物の権利行使期日等における価格と当該相対オプション取引に係る権利行使価格との差額に相当する金額をいう。
(不利な状況にある相対買建オプション取引について権利行使を行った場合の取扱い)
2-1-41 連結法人が不利な状況にある買建ての相対オプション取引について、合理的な理由もなく権利行使を行った場合には、当該権利行使を行った日において、当該相対オプション取引に係る損失の額に相当する金額をその取引の相手方に対して贈与したものとして取り扱うことに留意する。
(注) 1 「不利な状況にある」とは、例えば、有価証券をオプション対象物としたプット・オプションを買い建てている場合において、オプション対象物である有価証券の権利行使を行った日における価格が当該プット・オプションの行使価格を上回っているときをいう。
2 「損失の額に相当する金額」とは、当該相対オプション取引に係る権利行使価格とオプション対象物の権利行使を行った日における価格との差額に相当する金額をいう。
(商品引換券等の発行に係る収益の帰属の時期)
2-1-42 連結法人が商品の引渡し又は役務の提供(以下2-1-42において「商品の引渡し等」という。)を約した証券等(以下2-1-42において「商品引換券等」という。)を発行するとともにその対価を受領した場合における当該対価の額は、その商品引換券等を発行した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、連結法人が、商品引換券等(その発行に係る連結事業年度ごとに区分して管理するものに限る。)の発行に係る対価の額をその商品の引渡し等(商品引換券等に係る商品の引渡し等を他の者が行うこととなっている場合における当該商品引換券等と引換えにする金銭の支払を含む。以下2-1-42において同じ。)に応じてその商品の引渡し等のあった日の属する連結事業年度の収益に計上し、その発行に係る連結事業年度(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立(以下この章において「適格組織再編成」という。)により当該商品引換券等に係る契約の移転を受けたものである場合にあっては、当該移転をした法人の発行に係る事業年度)終了の日の翌日から3年を経過した日(同日前に有効期限が到来するものについては、その有効期限の翌日とする。)の属する連結事業年度終了の時において商品の引渡し等を了していない商品引換券等に係る対価の額を当該連結事業年度の収益に計上することにつきあらかじめ当該連結法人に係る連結親法人が所轄税務署長(当該連結親法人が国税局の調査課所管法人である場合には、所轄国税局長)の確認を受けるとともに、その確認を受けたところにより継続して収益計上を行っている場合には、この限りでない。
(将来の逸失利益等の補てんに充てるための補償金等の帰属の時期)
2-1-43 連結法人が他の者から営業補償金、経費補償金等の名目で支払を受けた金額については、当該金額の支払がたとえ将来の逸失利益又は経費の発生等当該連結事業年度後の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において生ずることが見込まれる費用又は損失の補てんに充てることを目的するものであるとしても、その支払を受けた日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。
(保証金等のうち返還しないものの額の帰属の時期)
2-1-44 資産の賃貸借契約等に基づいて保証金、敷金等として受け入れた金額であっても、当該金額のうち期間の経過その他当該賃貸借契約等の終了前における一定の事由の発生により返還しないこととなる部分の金額は、その返還しないこととなった日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。
(法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)
2-1-45 連結法人の支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補てんするために雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する連結事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該連結事業年度の益金の額に算入するものとする。
(注) 連結法人が定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったこと等によりこれらの法令の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(損害賠償金等の帰属の時期)
2-1-46 他の者から支払を受ける損害賠償金(債務の履行遅滞による損害金を含む。以下2-1-46において同じ。)の額は、その支払を受けるべきことが確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるが、連結法人がその損害賠償金の額について実際に支払を受けた日の属する連結事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。
(注) 当該損害賠償金の請求の基因となった損害に係る損失の額は、保険金又は共済金により補てんされる部分の金額を除き、その損害の発生した日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(金融資産の消滅を認識する権利支配移転の範囲)
2-1-47 連結法人が金融資産(金融商品である資産をいう。以下この章において同じ。)の売却等の契約をした場合において、当該契約により当該金融資産に係る権利の支配が他の者に移転したときは、当該金融資産の売却等による消滅を認識するのであるから、原則として、次に掲げる要件のすべてを満たしているときは、当該売却等に伴い収受する金銭等の額又は当該売却等の直前の当該金融資産の帳簿価額は、当該連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(1) 売却等を受けた者は、次のような要件が満たされていること等により、当該金融資産に係る権利を実質的な制約なしに行使できること。
イ 売却等をした者(以下2-1-47において「譲渡人」という。)は、契約又は自己の自由な意思により当該売却等を取り消すことができないこと。
ロ 譲渡人に倒産等の事態が生じた場合であっても譲渡人やその債権者(管財人を含む。)が売却等をした当該金融資産を取り戻す権利を有していない等、売却等がされた金融資産が譲渡人の倒産等のリスクから確実に引き離されていること。
(2) 譲渡人は、売却等をした金融資産を当該金融資産の満期日前に買い戻す権利及び義務を実質的に有していないこと。
(注) 新たに二次的な権利又は義務が発生する場合には、2-1-49の適用があることに留意する。
(金融負債の消滅を認識する債務引受契約等)
2-1-48 連結法人がその有する金融負債(金融商品である負債をいう。以下この章において同じ。)について債務引受契約の締結等をした場合において、当該債務引受契約の締結等により当該金融負債の債務者の地位(保証債務等の新たに発生する二次的な責任に係る地位を除く。)から免責されたときは、当該金融負債の消滅を認識し、当該債務引受け等に伴い支払う金銭等の額又は当該債務引受け直前の当該金融負債の帳簿価額は、当該連結事業年度の損金の額又は益金の額に算入する。
(注) 新たに二次的な権利又は義務が発生する場合には、2-1-49の適用があることに留意する。
(金融資産等の消滅時に発生する資産及び負債の取扱い)
2-1-49 金融資産等(金融商品である資産又は負債をいう。以下2-1-50において同じ。)の消滅を目的とした売却等の取引で、その取引により譲渡人、原債務者等に保証債務等の二次的な権利又は義務を発生させることとなるものを行った場合において、当該譲渡人、原債務者等である連結法人が、これらの潜在する二次的な権利又は義務に見合う金額として新たな資産又は負債を計上し、当該計上した金額を当該売却等の対価である受払金額に加算し、又は受払金額から控除して当該売却等に係る損益の額を計算しているときは、原則として、当該新たな資産又は負債として区分経理したものがないものとしたところにより、売却等に係る損益の額を計算する。
(金融資産等の利回りが一定でない場合等における損益の計上)
2-1-50 連結法人が金融資産等について利子の受領又は支払をする場合において、利子の計算期間ごとに異なる利率を適用していること又は据置期間があること等により当該利子の計算期間ごとに計算した利回りが一定でないとき(当該適用している利率が国内又は海外において代表的な利率又は指数として公表されているものにより決定されている場合を除く。)は、当該利子の総額につき利息法、定額法等の合理的な方法のうち連結法人が継続して適用している方法により計算した金額を、その利子の計算期間の経過に応じ当該連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(有価証券の空売りに係る利益相当額等の外貨換算)
2-1-51 法第61条の4第1項《有価証券の空売り等に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等》及び第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》に規定する利益の額又は損失の額に相当する金額の円換算は、当該連結事業年度終了の日の17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》に定める電信売買相場の仲値による。ただし、継続適用を条件として、当該利益の額に相当する金額については17-1-2に定める電信買相場、当該損失の額に相当する金額については17-1-2に定める電信売相場によることができるものとする。
第2節 費用及び損失の計算に関する通則
第1款 売上原価等
(売上原価等が確定していない場合の見積り)
2-2-1 法第22条第3項第1号《損金の額に算入される売上原価等》に規定する「当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価」(以下2-2-1において「売上原価等」という。)となるべき費用の額の全部又は一部が当該連結事業年度終了の日までに確定していない場合には、同日の現況によりその金額を適正に見積るものとする。この場合において、その確定していない費用が売上原価等となるべき費用かどうかは、当該売上原価等に係る資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供に関する契約の内容、当該費用の性質等を勘案して合理的に判断するのであるが、たとえその販売、譲渡又は提供に関連して発生する費用であっても、単なる事後的費用の性格を有するものはこれに含まれないことに留意する。
(造成団地の分譲の場合の売上原価の額)
2-2-2 連結法人が一団地の宅地を造成して2以上の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)にわたって分譲する場合のその分譲に係る売上原価の額の計算については、次による。ただし、連結法人がこれと異なる方法で売上原価の額を計算している場合であっても、その方法が、例えば分譲価額に応ずる方法である等合理的なものであると認められるときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(1) 分譲が完了する連結事業年度の直前の連結事業年度までの各連結事業年度 次の算式により計算した金額を当該連結事業年度の売上原価の額とする。
(算式)
(注) 1 (1) の「分譲が完了する連結事業年度」、「直前の連結事業年度」及び算式の「当該連結事業年度前の各連結事業年度」は、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度とする。
2 算式の「工事原価の見積額」は、当該連結事業年度終了の時の現況によりその工事全体につき見積られる工事原価の額とする。
3 算式の「分譲総予定面積」には、当該連結法人の使用する土地の面積を含む。
(2) 分譲が完了した連結事業年度 全体の工事原価の額(当該連結法人の使用する土地に係る工事原価の額を除く。)から当該連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において売上原価として損金の額に算入した金額の合計額を控除した金額を当該連結事業年度の売上原価の額とする。
(注) 適格組織再編成が行われた場合の合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人(以下この章において「合併法人等」という。)における本通達の適用については、被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人(以下この章において「被合併法人等」という。)の本通達による計算を引き継ぐものとする。
(造成団地の工事原価に含まれる道路、公園等の建設費)
2-2-3 連結法人が一団地の宅地を造成して分譲する場合において、団地経営に必要とされる道路、公園、緑地、水道、排水路、街灯、汚水処理施設等の施設(その敷地に係る土地を含む。)については、たとえ当該連結法人が将来にわたってこれらの施設を名目的に所有し、又はこれらの施設を公共団体等に帰属させることとしているときであっても、これらの施設の取得に要した費用の額(当該連結法人の所有名義とする施設については、これを処分した場合に得られるであろう価額に相当する金額を控除した金額とする。)は、その工事原価の額に算入する。
(砂利採取地に係る埋戻し費用)
2-2-4 連結法人が他の者の有する土地から砂利その他の土石(以下2-2-4において「砂利等」という。)を採取して販売(原材料としての消費を含む。)する場合において、当該他の者との契約によりその採取後の跡地を埋め戻して土地を原状に復することを約しているため、その採取を開始した日の属する連結事業年度以後その埋戻しを行う日の属する連結事業年度の直前の連結事業年度までの各連結事業年度において、継続して次の算式により計算した金額を未払金に計上するとともに当該連結事業年度において当該土地から採取した砂利等の取得価額に算入しているときは、その計算を認めるものとする。
(算式)
(注) 1 本文の「採取を開始した日の属する連結事業年度」、「埋戻しを行う日の属する連結事業年度」、「直前の連結事業年度までの各連結事業年度」及び算式の「当該連結事業年度前の各連結事業年度」は、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度とする。
2 算式の「埋戻しに要する費用の額の見積額」及び「当該土地から採取する砂利等の予定数量」は、当該連結事業年度終了の時の現況により適正に見積るものとする。
3 適格組織再編成が行われた場合の合併法人等における本通達の適用については、被合併法人等の本通達による計算を引き継ぐものとする。
(請負収益に対応する原価の額)
2-2-5 請負による収益に対応する原価の額には、その請負の目的となった物の完成又は役務の履行のために要した材料費、労務費、外注費及び経費の額の合計額のほか、その受注又は引渡しをするために直接要したすべての費用の額が含まれることに留意する。
(注) 建設業を営む連結法人が建設工事等の受注に当たり前渡金保証会社に対して支払う保証料の額は、前渡金を受領するために要する費用であるから、当該建設工事等に係る工事原価の額には算入しないことができる。
(未成工事支出金勘定から控除する仮設材料の価額)
2-2-6 建設工事用の足場、型わく、山留用材、ロープ、シート、危険防止用金網のような仮設材料の取得価額を未成工事支出金勘定の金額に含めて経理している建設業者等が、建設工事等の完了の場合又は他の建設工事等の用に供するためこれらの資材を転送した場合において、当該未成工事支出金勘定の金額から控除すべき仮設材料の価額につき次に掲げる金額のいずれかによっているときは、その計算が継続している限り、これを認める。
(1) 当該仮設材料の取得価額から損耗等による減価の見積額を控除した金額
(2) 当該仮設材料の損耗等による減価の見積りが困難な場合には、工事の完了又は他の工事現場等への転送の時における当該仮設材料の価額に相当する金額
(3) 当該仮設材料の再取得価額に適正に見積った残存率を乗じて計算した金額
(注) この取扱いは、その転送した仮設材料のすべてについて適用することを条件とするのであるから留意する。
(木造の現場事務所等の取得に要した金額が未成工事支出金勘定の金額に含まれている場合の処理)
2-2-7 建設業者等が建設工事等の用に供した現場事務所、労務者用宿舎、倉庫等の仮設建物で木造のものの取得価額をその建設工事等に係る未成工事支出金勘定の金額に含めている場合には、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次の金額を当該未成工事支出金勘定の金額から控除する。この場合において、その控除すべき金額を未成工事支出金勘定の金額から控除することに代え雑収入等として経理したときは、これを認める。
(1) 当該建設工事等の完成による引渡しの日以前に当該仮設建物を他に譲渡し、又は他の用途に転用した場合 その譲渡価額に相当する金額又はその転用の時における価額に相当する金額
(2) 当該建設工事等が完成して引き渡された際に当該仮設建物が存する場合 その引渡しの時における価額に相当する金額(当該仮設建物が取り壊されるものである場合には、その取壊しによる発生資材の価額として見積られる金額)
(金属造りの移動性仮設建物の取得価額の特例)
2-2-8 建設業者等が建設工事等の用に供する金属造りの移動性仮設建物については、その償却費を工事原価に算入するのであるが、この場合における当該建物の償却計算の基礎となる取得価額は、当該建物の構成部分のうちその移設に伴い反復して組み立てて使用されるものの取得のために要した費用の額によることができる。
(注) 当該建物の組立て、撤去に要する費用及び電気配線等の附属設備で他に転用することができないと認められるものの費用は、当該建物を利用して行う工事の工事原価に算入する。
(技術役務の提供に係る報酬に対応する原価の額)
2-2-9 設計、作業の指揮監督、技術指導その他の技術役務の提供に係る報酬に対応する原価の額は、当該報酬の額を益金の額に算入する連結事業年度の損金の額に算入するのであるが、連結法人が継続してこれらの技術役務の提供のために要する費用のうち次に掲げるものの額をその支出の日の属する連結事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。
(1) 固定費(作業量の増減にかかわらず変化しない費用をいう。)の性質を有する費用
(2) 変動費(作業量に応じて増減する費用をいう。)の性質を有する費用のうち一般管理費に類するものでその額が多額でないもの及び相手方から収受する仕度金、着手金等(2-1-12の (注) の適用があるものに限る。)に係るもの
(運送収入に対応する原価の額)
2-2-10 運送業の運送収入に対応する原価の額は、当該運送収入の額を益金の額に算入する連結事業年度の損金の額に算入するのであるが、連結法人が継続してその行う運送のために要する費用(海上運送のために要する費用のうち貨物費、燃料費、港費その他その運送のために直接要するものを除く。)の額をその支出の日の属する連結事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。
(商品引換券等を発行した場合の引換費用)
2-2-11 連結法人が商品引換券等(2-1-42に定める商品引換券等をいう。以下2-2-11において同じ。)を発行するとともにその対価を受領した場合(その収益計上につき2-1-42のただし書又は法人税基本通達2-1-39のただし書《商品引換券等の発行に係る収益の帰属の時期》の適用を受ける場合を除く。)において、その発行に係る連結事業年度以後の各連結事業年度終了の時において商品の引渡し又は役務の提供(商品引換券等に係る商品の引渡し又は役務の提供を他の者が行うこととなっている場合における当該商品引換券等と引換えにする金銭の支払を含む。以下2-2-11において「商品の引渡し等」という。)を了していない商品引換券等(有効期限を経過したものを除く。以下2-2-11において「未引換券」という。)があるときは、その未引換券に係る商品の引渡し等に要する費用の額の見積額として、次の区分に応じそれぞれ次に掲げる金額に相当する金額を当該各連結事業年度の損金の額に算入することができるものとする。この場合において、その損金の額に算入した金額に相当する金額は、翌連結事業年度の益金の額に算入する。
(1) 未引換券をその発行に係る連結事業年度ごとに区分して管理する場合 次の算式により計算した金額
(算式)
(2) (1)以外の場合 次の算式により計算した金額
(算式)
(注) 1 本文の「発行に係る連結事業年度」及び「翌連結事業年度」並びに(1) 及び(2) の算式の「当該連結事業年度開始の日前3年以内に開始した各連結事業年度」は、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度とする。
2 (1) 及び(2) の算式の「原価率」は、次の区分に応じ、それぞれ次により計算した割合とする。
イ 商品の引渡し又は役務の提供を他の者が行うことになっている場合

ロ イ以外の場合

3 種類等を同じくする商品又は役務に係る商品引換券等のうちにその発行の時期によってその1単位当たりの発行の対価の額の異なるものがあるときは、当該商品引換券等をその1単位当たりの発行の対価の額の異なるものごとに区分して(1) 及び(2) の算式並びに原価率の計算を行うことができる。
4 適格組織再編成が行われた場合の合併法人等における本通達の適用については、被合併法人等の本通達による計算を引き継ぐものとする。
第2款 販売費及び一般管理費等
(債務の確定の判定)
2-2-12 法第22条第3項第2号《損金の額に算入される販売費等》の償却費以外の費用で当該連結事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件のすべてに該当するものとする。
(1) 当該連結事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2) 当該連結事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) 当該連結事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。
(損害賠償金)
2-2-13 連結法人が、その業務の遂行に関連して他の者に与えた損害につき賠償をする場合において、当該連結事業年度終了の日までにその賠償すべき額が確定していないときであっても、同日までにその額として相手方に申し出た金額(相手方に対する申出に代えて第三者に寄託した額を含む。)に相当する金額(保険金等により補てんされることが明らかな部分の金額を除く。)を当該連結事業年度の未払金に計上したときは、これを認める。
(注) 損害賠償金を年金として支払う場合には、その年金の額は、これを支払うべき日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の損金の額に算入する。
(短期の前払費用)
2-2-14 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該連結事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該連結事業年度の損金の額に算入されないのであるが、連結法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する連結事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。
(注) 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。
(消耗品費等)
2-2-15 消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する連結事業年度の損金の額に算入するのであるが、連結法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各連結事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。
(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。
第3款 損失
(前期損益修正)
2-2-16 当該連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてその収益の額を益金の額に算入した資産の販売又は譲渡、役務の提供その他の取引について当該連結事業年度において契約の解除又は取消し、値引き、返品等の事実が生じた場合でも、これらの事実に基づいて生じた損失の額は、当該連結事業年度の損金の額に算入するのであるから留意する。
第3節 有価証券の譲渡損益、時価評価損益等
第1款 有価証券の譲渡損益等
(自己株式の譲渡)
2-3-1 法第61条の2第5項《有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入》に規定する自己の株式の譲渡には、次の株式の交付が含まれるのであるから留意する。
(1) 連結法人が合併又は分割により当該連結法人の新株を発行することに代えて行う当該連結法人又は被合併法人若しくは分割法人が有していた当該連結法人の株式の交付
(2) 連結法人である特定親会社(措置法第68条の104第1項《株式交換又は株式移転に係る課税の特例》に規定する特定親会社をいう。)が商法第 352条第1項《株式交換》の株式交換(保険業法第92条の5第1項《組織変更における株式交換》の株式交換を含む。)により特定子会社(措置法第68条の104第1項に規定する完全子会社をいう。)の株主に新株を発行することに代えて行う自己の株式の交付
(信用取引等に係る売付け及び買付けに係る対価の額)
2-3-2 法第61条の2第9項《信用取引等の譲渡利益額又は譲渡損失額》に規定する譲渡利益額又は譲渡損失額の計算に当たり、同項に規定する信用取引又は発行日取引(以下2-3-3までにおいて「信用取引等」という。)の方法により株式の売付け又は買付けを行った者が、当該信用取引等に関し、証券業者等に支払う又は証券業者等から支払を受ける次に掲げるものは、それぞれ次による。ただし、売買委託手数料の額及び引受権価額に相当する金額を除き、これらのものを売付けに係る対価の額(同項第1号に規定する売付けに係る対価の額をいう。以下2-3-2において同じ。)又は買付けに係る対価の額(同項第2号に規定する買付けに係る対価の額をいう。以下2-3-2において同じ。)に含めず、その発生に応じ収益又は費用として益金の額又は損金の額に算入している場合には、継続適用を条件としてこれを認める。
(1) 売付けを行った者が証券業者等から支払を受ける金利に相当する額は、売付けに係る対価の額に含める。
(2) 売付けを行った者が証券業者等に支払う買委託手数料及び品貸料の額は買付けに係る対価の額に含める。
(3) 買付けを行った者が証券業者等に支払う買委託手数料、名義書換料及び金利に相当する額は、買付けに係る対価の額に含める。
(4) 買付けを行った者が証券業者等から支払を受ける品貸料の額は、売付けに係る対価の額に含める。
(5) 買付けを行った者が証券業者等から支払を受ける配当落調整額及び引受権価額に相当する額は、買付けに係る対価の額から控除し、売付けを行った者が証券業者等に支払う配当落調整額及び引受権価額に相当する額は、売付けに係る対価の額から控除する。
(注) 配当落調整額とは、信用取引等に係る株式につき配当が付与された場合において、証券業者等が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該配当に相当する金銭の額をいい、引受権価額とは、信用取引等に係る株式につき新株引受権が付与された場合において、証券業者等が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該引受権に相当する金銭の額をいう。
(信用取引等の決済約定日後に授受される配当落調整額)
2-3-3 信用取引等の決済に係る約定が成立した日後に配当落調整額の授受が行われると見込まれる場合における2-3-2の本文の適用は、次による。
(1) 当該配当落調整額は、当該決済に係る約定が成立した日の現況により適正に見積った金額とする。
(2) (1) により見積った配当落調整額と実際に授受された配当落調整額とが異なることとなった場合には、当該実際に授受された配当落調整額との差額は、当該差額を授受する日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額又は損金の額に算入する。
(低廉譲渡等の場合の譲渡に係る対価の額)
2-3-4 連結法人が無償又は低い価額で有価証券を譲渡した場合における法第61条の2第1項第1号《有価証券の譲渡損益の益金算入等》に規定する譲渡に係る対価の額の算定に当たっては、8-1-18《上場有価証券等の価額》並びに8-1-23及び8-1-24《上場有価証券等以外の株式の価額》の取扱いを準用する。
(注) 8-1-18の本文に定める「当該連結事業年度終了の日以前1月間の当該市場価格の平均額」は、適用しない。
第2款 有価証券の取得価額
(有価証券の購入のための付随費用)
2-3-5 令第 119条第1項第1号《購入した有価証券の取得価額》に規定する「その他その有価証券の購入のために要した費用」には、有価証券を取得するために要した通信費、名義書換料の額を含めないことができる。
外国有価証券の取得に際して徴収される有価証券取得税その他これに類する税についても、同様とする。
(新株予約権付社債に係る新株予約権の行使により取得した株式の取得価額)
2-3-6 新株予約権付社債に係る新株予約権の内容として定められている株式の発行価額が当該新株予約権付社債の発行時の発行法人の株式の価額を基礎として合理的に定められている場合における当該新株予約権の行使により取得した株式1株当たりの取得価額は、原則として次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める算式により計算した金額による。なお、連結法人が一単位当たりの帳簿価額の算出に当たり総平均法を選定している場合には、次の算式中の「新株予約権付社債の当該行使直前の帳簿価額」は、当該新株予約権付社債につき当該行使の時を連結事業年度終了の時とみなして計算した金額とする。
(1) 金銭により払込みを行った場合
(算式)
(注) 新株予約権(新株予約権付社債に係る取得価額につき社債と新株予約権とに合理的に区分して経理している場合の新株予約権部分を含む。)を有する場合には、算式中の「当該払込みに係る新株予約権付社債の当該行使直前の帳簿価額が当該払込みに係る新株予約権付社債の額面金額を超える場合のその超える部分の金額」を「当該新株予約権の当該行使直前の帳簿価額」と読み替える。
(2) 新株予約権付社債の発行価額をもって払込みがあったものとされた場合
(算式)
(有利な発行価額)
2-3-7 令第 119条第1項第3号《有利な発行価額で取得した有価証券の取得価額》に規定する「有利な発行価額」とは、当該新株の発行価額を決定する日の現況における当該発行法人の株式の価額に比して社会通念上相当と認められる価額を下回る価額をいう。
(注) 1 社会通念上相当と認められる価額を下回るかどうかは、当該株式の価額と発行価額の差額が当該株式の価額のおおむね10%相当額以上であるかどうかにより判定する。
2 発行価額を決定する日の現況における当該株式の価額とは、決定日の価額のみをいうのではなく、決定日前1月間の平均株価等、発行価額を決定するための基礎として相当と認められる価額をいう。
(株主として取得をしたものの意義)
2-3-8 令第 119条第1項第3号《有利な発行価額で取得した有価証券の取得価額》に規定する「株主等として取得をしたもの」とは、株主等としての地位に基づき平等に取得したものをいうことに留意する。
(有利な発行価額で新株等が発行された場合における有価証券の価額)
2-3-9 令第 119条第1項第3号《有利な発行価額で取得した有価証券の取得価額》に規定する有価証券の払込みに係る期日における1株当たりの価額は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 新株が令第 119条の13第1号から第3号まで《上場有価証券等の時価評価金額》に掲げる有価証券(以下2-3-9において「上場有価証券等」という。)である場合 その新株の払込期日における当該新株の8-1-18の本文の前段《上場有価証券等の価額》に定める価額
(2) 旧株は上場有価証券等であるが、新株は上場有価証券等でない場合 新株の払込期日における旧株の8-1-18の本文の前段に定める価額を基準として当該新株につき合理的に計算される価額
(3) (1) 及び(2) 以外の場合 その新株又は出資の払込期日において当該新株につき8-1-23及び8-1-24《上場有価証券等以外の株式の価額》に準じて合理的に計算される当該払込期日の価額
(公社債の経過利子)
2-3-10 連結法人が国債又は地方債若しくは社債(いわゆる金融債等会社以外の法人が特別の法律により発行する債券で利付きのものを含む。)をその利子の計算期間の中途において購入し、直前の利払期からその購入の時までの期間に応じてその債券の発行条件たる利率により計算される経過利子に相当する金額を支払った場合において、当該金額をこれらの債券の取得価額に含めないで当該債券の購入後最初に到来する利払期まで前払金として経理したときは、これを認める。
(政府保証債の応募予約料に相当する金額)
2-3-11 連結法人が新たに発行される政府保証債を引き受ける場合(証券業者等の募集に応じて引き受ける場合を含む。)において、その収入する応募予約料に相当する金額を発行価額から差し引いて払い込み、その払い込んだ金額を当該政府保証債の取得価額として経理しているときは、これを認める。
(注) 金融機関等が政府保証債を引き受けたことにより収入する引受責任料及び募集取扱料に相当する金額又は国債を引き受けたことにより収入する手数料の額は、その収入すべき日(引受契約の締結日を含む。)の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(新株予約権付社債に係る新株予約権を行使した場合の経過利子の取得価額算入)
2-3-12 連結法人が、新株予約権付社債をその利子の計算期間の中途において購入したため、2-3-10の取扱いを適用して経過利子に相当する金額を前払金として経理している場合において、その購入後最初に到来する利払期前に、代用払込みの方法により当該新株予約権付社債に係る新株予約権を行使して株式を取得したときは、当該前払金を株式の取得価額に算入する。ただし、当該経過利子に対応する期間について益金の額に算入されるべき利子の支払を受ける場合における当該前払金については、この限りでない。
(注) 同一銘柄の新株予約権付社債をその利子の計算期間の中途において2回以上にわたって購入し、それぞれの経過利子に相当する金額を前払金として経理している場合において、その購入後最初に到来する利払期前にその新株予約権付社債に係る新株予約権の一部を行使することにより株式を取得し、又は他に譲渡したときは、次の算式により当該前払金の合計額のうち株式の取得価額に算入し、又は譲渡に伴って損金の額に算入する金額を計算することができる。
(算式)
(信用取引等及びデリバティブ取引に係る契約に基づいて取得される有価証券の取得価額)
2-3-13 法第61条の4第2項《信用取引等に係る利益相当額の益金算入等》又は第61条の5第2項《デリバティブ取引に係る契約に基づき金銭以外の資産を取得した場合における益金算入等》の規定の適用がある場合において、その取得した有価証券の取得価額は、令第 119条第1項第8号《有価証券の取得価額》の規定に基づき、当該取得の時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額(当該有価証券の取得の時における価額に受渡決済に伴って新たに支出する委託手数料その他の費用の額を加算した金額をいう。)となることに留意する。
第3款 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法
(債権の現物出資により取得した株式の取得価額)
2-3-14 子会社等に対して債権を有する連結法人が、合理的な再建計画等の定めるところにより、当該債権を現物出資(法第2条第12号の14《適格現物出資》に規定する適格現物出資を除く。)することにより株式を取得した場合には、その取得した株式の取得価額は、令第 119条第1項第8号《有価証券の取得価額》の規定に基づき、当該取得の時における価額となることに留意する。
(注) 子会社等には、当該連結法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる。
(有価証券の種類)
2-3-15 令第 119条の5第1項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法の選定及びその手続》に規定する有価証券の種類は、おおむね証券取引法第2条第1項第1号から第11号まで(第9号を除く。)の各号及び第2項第1号《定義》ごとの区分によるものとし、外国又は外国法人の発行するもので同条第1項第1号から第6号まで、第7号の3又は第8号の性質を有するものは、これに準じて区分する。
ただし、新株予約権付社債は同項第4号の社債とは種類の異なる有価証券として区分することとし、外貨建ての有価証券と円貨建ての有価証券又は外国若しくは外国法人の発行する有価証券と国若しくは内国法人の発行する有価証券は、それぞれ種類の異なる有価証券として区分することができる。
(注) 連結法人が、新株予約権付社債に係る取得価額につき社債と新株予約権とに合理的に区分して経理しているときは、当該社債及び新株予約権については、それぞれ同項第4号の社債及び同項第6号の新株予約権に含まれる。
(信託をしている有価証券)
2-3-16 連結法人が信託(金銭の信託を除く。)をしている財産のうちに当該連結法人が有する有価証券と種類及び銘柄を同じくする有価証券がある場合には、当該信託に係る有価証券と当該連結法人が有する有価証券とを区分しないで令第 119条の2から第 119条の4まで《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法等》の規定を適用するのであるから留意する。
(注) 金銭の信託に係る有価証券には、次のようなものがある。
(1) 合同運用信託及び証券投資信託に係る有価証券
(2) 指定単独運用の金銭信託に係る有価証券
(原価法-期末時評価による評価損益を資本の部に計上している場合の期末帳簿価額)
2-3-17 連結事業年度終了の時(以下2-3-17において「期末時」という。)に有する法第61条の3第1項第2号《売買目的外有価証券の期末評価額》に規定する売買目的外有価証券(令第 119条の2第2項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法》に規定する「その他有価証券」に限る。以下2-3-17において同じ。)について、期末時における価額(当該連結事業年度終了の日以前1月間の価額の平均額を含む。)をもって当該売買目的外有価証券の当該期末時における評価額とし、かつ、当該評価によって生じた評価損益の金額(当該評価額と同号に規定する帳簿価額との差額をいう。)の全額をいわゆる洗替方式により資本の部に計上している場合であっても、当該有価証券の同号に規定する帳簿価額は、当該期末時の評価を行う前の金額となることに留意する。
(注) 上記の評価を行っている場合における次に掲げる事項は、それぞれ次によることに留意する。
(1) 当該売買目的外有価証券の令第 155条の8第1項第1号又は第2号《総資産の帳簿価額等》に規定する帳簿価額は、当該期末時の評価を行う前の金額となる。
(2) 資本の部に計上した評価損益に相当する金額は、法第2条第17号の3及び第18号の3《定義》に規定する連結個別資本積立金額及び連結個別利益積立金額に該当しない。
(3) 「評価損益の金額の全額をいわゆる洗替方式により資本の部に計上している場合」には、税効果会計に基づき、当該評価損益の金額の一部に相当する金額を繰延税金資産又は繰延税金負債として計上している場合が含まれる。
(その他これに準ずる関係のある者の範囲)
2-3-18 令第 119条の2第2項第2号《企業支配株式等の意義》に規定する「その他これに準ずる関係のある者」には、会社以外の法人で令第4条第2項各号及び第3項《特殊関係法人》に規定する特殊の関係のある者が含まれる。したがって、例えば、株主の1人及びこれと同条に規定する特殊の関係のある個人又は法人が有する会社以外の法人の出資の金額が当該法人の出資金額の50%以上に相当する場合における当該会社以外の法人はこれに該当する。
(棚卸資産の評価方法の選定に係る取扱いの準用)
2-3-19 売買目的有価証券(法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券をいう。)を保有する場合の当該売買目的有価証券に係る令第 119条の5第1項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法の選定及びその手続》の規定の適用に当たっては、5-2-20《評価方法の選定単位の細分》の取扱い(事業所別の評価方法の選定に係る取扱いに限る。)を準用し、有価証券の評価の方法について変更承認申請書の提出があった場合における令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》により読み替えて準用される令第 119条の6第3項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の変更の手続》の規定の適用に当たっては、5-2-21《評価方法の変更申請があった場合の「相当期間」》の取扱いを準用する。
第4款 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の特例等
(追加型株式投資信託に係る特別分配金の取扱い)
2-3-20 令第 119条の3第6項《追加型株式投資信託に係る特別分配金の支払があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》に規定する「元本の払戻しに相当する金銭の交付」とは、いわゆる個別元本方式による公社債投資信託以外の追加型証券投資信託に係る特別分配金の支払をいうのであるから留意する。
(注) 当該特別分配金は、元本の払戻しとしての性質を有するものであり、法第81条の4《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》の規定の適用の対象とならない。
(新株引受権を譲渡した場合等の原価)
2-3-21 連結法人が株主の地位に基づき金銭の払込みを要する増資により新株引受権の割当てを受けた場合において、当該新株引受権若しくは株式(以下2-3-21において「旧株」という。)をその金銭の払込み前に譲渡したとき又は令第 139条の3第1項各号《一株未満の株式の処理の場合等の所得計算の特例》に掲げる1株未満の旧株(端株原簿に記載されなかったものに限る。以下2-3-21において同じ。)につき代わり金の交付を受けたときの譲渡に係る原価の額は、次に掲げる区分に応じそれぞれ次による。
(1) 新株引受権又は旧株を譲渡したとき 次の算式により計算した金額を当該譲渡の対価に係る原価とする。
(算式)
(注) 算式中の「新株1株当たりの払込金額」の控除は、新株引受権を譲渡した場合に限られる。
(2) 1株未満の旧株につき代わり金の交付を受けたとき 当該連結法人が当該1株未満の旧株に相当する株式の交付を受け直ちに譲渡したものとして法第61条の2《有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入》の規定を適用する。ただし、当該連結法人が当該代わり金に相当する金額を益金の額に算入している場合は、これを認める。
第5款 有価証券の時価評価損益
(専担者売買有価証券の意義)
2-3-22 令第 119条の12第1号《売買目的有価証券の範囲》に規定する専担者売買有価証券とは、いわゆるトレーディング目的で取得した有価証券をいうのであるから、基本的には、連結法人が特定の取引勘定を設けて当該有価証券の売買を行い、かつ、トレーディング業務を日常的に遂行し得る人材から構成された独立の専門部署(関係会社を含む。)により運用がされている場合の当該有価証券がこれに当たることに留意する。
(短期売買目的で取得したものである旨を表示したものの意義)
2-3-23 令第 119条の12第1号《売買目的有価証券の範囲》に規定する「短期売買目的で取得したものである旨……を帳簿書類に記載したもの(専担者売買有価証券を除く。)」(以下2-3-23において「短期売買有価証券」という。)とは、連結法人が規則第27条の5第1項《短期売買有価証券に該当する旨の記載の方法》の規定に基づき、当該有価証券の取得の日に当該有価証券を売買目的有価証券(法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券をいう。以下2-3-30までにおいて同じ。)に係る勘定科目により区分している場合の当該有価証券をいうことに留意する。
(注)
短期的に売買し、又は大量に売買を行っていると認められる場合の有価証券であっても、規則第27条の5第1項の規定に基づき区分していないものは、短期売買有価証券に該当しない。
(金銭の信託に属する有価証券)
2-3-24 令第 119条の12第2号《売買目的有価証券の範囲》の規定に基づく信託財産として短期売買目的の有価証券を取得する旨の帳簿書類への記載は、信託に係る契約を単位として行うことに留意する。
(注) その信託財産に属する有価証券を短期的に売買し、又は大量に売買していると認められる金銭の信託の信託財産に属する当該有価証券であっても、同号の規定に基づく帳簿書類への記載をしていない金銭の信託の信託財産に属する有価証券は、同号に掲げる売買目的有価証券に該当しない。
(上場有価証券等の区分及び時価評価金額)
2-3-25 売買目的有価証券に係る第 119条の13第1号から第3号まで《上場有価証券等の時価評価金額》に規定する有価証券(以下2-3-29において「上場有価証券等」という。)の区分及び法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する時価評価金額(以下2-3-25において「時価評価金額」という。)の算定に当たっては、それぞれ次のことに留意する。
(1) 令第 119条の13第1号に規定する「その売買が主として証券取引所……において行われている有価証券」であるかどうかは、その有価証券の売買取引が証券取引所(証券取引所に類するもので外国の法令に基づき設立されたものを含む。以下2-3-25において同じ。)において最も活発に行われているかどうかにより判定する。この場合、証券取引所において最も活発に行われているかどうか明らかでないものは、原則として、我が国における売買取引の状況により判定するものとするが、その有価証券が証券取引所に類するもので外国の法令に基づき設立されたものにおいて実際に取得されたものであるときは、同号に掲げる有価証券として取り扱って差し支えない。
(2) 同条第3号に規定する「その公表する価格がその有価証券の売買の価格の決定に重要な影響を与えている場合」とは、基本的には、ブローカー(銀行、証券会社等のように、金融資産の売買の媒介、取次ぎ若しくは代理の受託をする業者又は自己が買手若しくは売手となって店頭で金融資産の売買を成立させる業者をいう。以下この章において同じ。)の公表する価格又は取引システムその他の市場において成立した価格が公正評価額(第三者間で恣意性のない取引を行うと想定した場合の取引価格をいう。以下2-3-28までにおいて同じ。)として一般的に認められている状態にあることをいうのであるから、単に売買実例があることのみでは、当該重要な影響を与えている場合に該当しない。
(3) 同条第1号又は第3号の同一の区分に属する同一銘柄の有価証券について、当該各号に規定する価格が2以上の市場に存する場合には、当該取引が最も活発に行われている市場の価格をもって時価評価金額とする。ただし、当該連結法人が、当該有価証券の取引を実際に行った市場の価格又は実勢を最も反映していると判断される価格その他の公正評価額を入手するための市場としてあらかじめ定めている市場の価格をもって当該時価評価金額としているときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(4) その市場における当該有価証券の実際の売買事例が極めて少なく、その公表された価格が実勢を反映した公正評価額と認められない場合の当該有価証券の価格については、当該価格はないものとして取り扱うことができる。
(取引所売買有価証券の気配相場)
2-3-26 令第 119条の13第1号《取引所売買有価証券の時価評価金額》に規定する「取引所売買有価証券」の同号に規定する「最終の気配相場の価格」は、その日における最終の売り気配と買い気配の仲値とする。ただし、当該売り気配又は買い気配のいずれか一方のみが公表されている場合には、当該公表されている最終の売り気配又は買い気配とする。
(注) 連結法人が、転換社債型新株予約権付社債(1-7-5《外貨建ての転換社債型新株予約権付社債の権利行使があった場合の連結個別資本積立金額》に定める転換社債型新株予約権付社債をいう。)に係る最終の気配相場の価格として、取引所の定める基準値段(当該転換社債型新株予約権付社債について連結事業年度終了の日の翌日の呼値の制限値幅となる価格をいう。)を使用しているときは、これを認める。
(店頭売買有価証券の時価評価金額)
2-3-27 令第 119条の13第2号《店頭売買有価証券の時価評価金額》に規定する「店頭売買有価証券」の価格は、原則として証券取引法第79条の3《売買高及び価格の通知・公表》の規定により証券業協会が公表する「その日における最終の売買の価格」(当該価格の公表がない場合には、その日における最終の気配相場の価格)によるのであるが、連結事業年度終了の日において当該「その日における最終の売買の価格」がない場合において、連結法人が、株券、新株引受権証書、新株予約権証券又は新株予約権付社債券について、公表基準価格(これらの有価証券の売買の実績等に基づいて証券業協会が公表する基準価格をいう。)を当該「その日における最終の気配相場の価格」として使用しているときは、これを認める。
(注) 気配相場に係る価格の取扱いは、2-3-26の本文を準用する。
(公表する価格の意義)
2-3-28 令第 119条の13第3号《その他価格公表有価証券の時価評価金額》に規定する「当該事業年度終了の日における当該その他価格公表有価証券の最終の売買の価格」又は「最終の気配相場の価格」とは、同号に規定する価格公表者によって公表される次に掲げる価格をいうことに留意する。この場合、当該価格は、連結法人が、各連結事業年度において同一の方法により入手又は算出する価格によるものとし、その入手価格は通常の方法により入手可能なもので差し支えないものとする。
(1) 公正評価額を提供するため複数の店頭市場の情報を集計し、提供することを目的として組織化された業界団体が公表した連結事業年度終了の日における最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格(新株予約権付社債以外の公社債については、連結事業年度終了の日の気配値に基づいて証券業協会が公表する公社債店頭売買参考統計値の平均値又は中央値を含む。)
(2) 金融機関又は証券会社間の市場、ディーラー間の市場、電子媒体取引市場のように、当該連結法人が随時売買又は換金を行うことができる取引システムにおいて成立する連結事業年度終了の日における最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格
(3) ブローカーによって継続的に提示されている公正評価額のうち当該連結事業年度終了の日における最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格(株式以外の有価証券については、当該ブローカーが公正評価額として提示する合理的な方法により計算した価格を含む。)
(注) 気配相場に係る価格の取扱いは、2-3-26の本文を準用する。
(合理的に計算された価格の意義)
2-3-29 令第 119条の13第4号イ《合理的な方法により計算した売買目的有価証券の時価評価金額》に規定する「合理的な方法により計算した金額」とは、例えば次に掲げる価格をいうことに留意する。
(1) 上場有価証券等の市場価格(同条第1号から第3号までに掲げる有価証券の当該各号に規定する価格をいい、取得又は売却に要する付随費用を含まない価格をいう。以下2-3-30において同じ。)に基づき、利率、残存償還期間、当該債券の発行者の信用度等を勘案して算定する理論価格方式又は債券の種類ごとに類似した銘柄を選定し、業界団体が公表する連結事業年度終了の日の基準気配値の利回りを用いて算定する比準価格方式その他合理的な方法により算定した価格
(2) ブローカー又は情報ベンダー(投資に関する情報を提供することを業としている者で、時価情報等の提供を行っている者をいう。以下この章において同じ。)から入手する(1) の方法に基づいて算定された価格
(注) 2-1-36は、同条第4号イに規定する「償還期限及び償還金額の定めのある有価証券」の範囲について準用する。
(新株権利落ちのあった株式で新株の発行されていないものの価額)
2-3-30 新株権利落ちのあった売買目的有価証券である株式(新株の権利の価格に相当する金額を別の資産として計上している場合の当該株式を除く。)で連結事業年度終了の日において新株の発行が行われていない場合の当該株式の価額は、その市場価格に当該株式の権利の価格に相当する金額を加算した金額とする。
(注) 「株式の権利の価格に相当する金額」は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 新株に係る新株引受権証書の市場価格がある場合 当該市場価格に旧株1株について引き受ける新株の数を乗じて得た金額
(2) 新株の市場価格がある場合((1) に該当する場合及び新株の取引量が旧株に比して著しく少なく、新株の価格によっては株式の権利の価格に相当する金額が合理的に算定できないと認められる場合を除く。) 連結事業年度終了の日の市場価格から当該新株について払い込むべき金額を控除した金額に旧株1株について引き受ける新株の数を乗じて得た金額
(3) (1) 及び(2) に該当しない場合 連結事業年度終了の日の旧株の市場価格から当該新株について払い込むべき金額を控除した金額に旧株1株について引き受ける新株の数を乗じて得た金額
第6款 デリバティブ取引に係る損益等
(その他のデリバティブ取引の範囲)
2-3-31 規則第27条の7第1項第20号《その他のデリバティブ取引》に規定する取引(以下2-3-32までにおいて「その他のデリバティブ取引」という。)は、基本的には、以下に掲げる要件のすべてを満たす取引をいう。
(1) その価値が、特定の金利、有価証券の価格、現物商品の価格、外国為替相場、各種の価格又は率の指数、信用格付け、信用指数その他これらに類する変数(以下この節において「基礎数値」という。)の変化に反応して変化し、かつ、想定元本又は決済金額のいずれか又はその両方を有する取引であること。
(2) 当初純投資が不要であるか、又は同一の効果若しくは成果をもたらす類似の一般的な取引と比べ当初純投資をほとんど必要としない取引であること。
(3) 当該取引に係る契約の条項により純額決済を要求又は容認する取引(次の取引を含む。)であること。
イ 例えば市場において当該取引に係る契約の転売又は当該契約と反対の契約の締結が容易である場合のように、契約に定められている条項以外の方法で実質的な純額決済が容易にできる取引
ロ 資産等の引渡しを定めていても、例えば、当該資産等が市場において売買される有価証券又はデリバティブ取引(規則第27条の7第1項第1号から第19号まで《デリバティブ取引の範囲》に掲げる取引をいう。)である場合のように、その資産等が容易に換金できることによって、純額決済の取引と実質的に異ならない状態に置くことができる取引
(注) 1 想定元本とは、通貨の金額、株式の数、重量若しくは容積その他の単位の数値をいう。以下この章において同じ。
2 決済金額とは、基礎数値があらかじめ定めたように変動した場合に支払われることとされている固定又は変動の金額についての取決めに係る金額をいう。
3 本文の(1) から(3) までの要件のすべてを満たす有価証券の売買契約に係る取引であっても、約定日から受渡日までの期間がおおむねその受渡しに通常要する期間となっているときは、当該売買契約に係る取引は「その他のデリバティブ取引」に該当しないことに留意する。
4 いわゆるウェザー・デリバティブ取引(気温その他の気候の変動に係る数値を基礎数値とする取引をいう。)及びカタストロフィック・デリバティブ取引(地震その他の災害の発生に係る数値を基礎数値とする取引をいう。)は、「その他のデリバティブ取引」に該当する。
(受渡決済見込取引)
2-3-32 農産物、鉱物その他の商品の価格を基礎数値とし、かつ、受渡決済を行うことができる取引が、2-3-31に定める要件を満たす場合には、当該取引は、原則として「その他のデリバティブ取引」として取り扱うこととなるのであるが、当該取引の基礎数値に係る商品と同一の商品を通常棚卸資産である商品、原材料等として保有し販売又は費消する連結法人が、当該取引に係る契約の時に当該商品の受渡決済をあらかじめ決定していることが内部資料その他のものによって明らかなときは、当該取引は、「その他のデリバティブ取引」に該当しないものとして取り扱うことに留意する。
(注) 規則第27条の7第1項第5号《商品デリバティブ取引》に規定する商品デリバティブ取引は、同号に規定する「銀行法施行規則第13条の2第1項第5号」の規定により差金の授受によって決済される取引に限られているのであるから、商品の受渡決済を行うことができる取引は、当該商品デリバティブ取引に該当しない。
(未決済デリバティブ取引の意義)
2-3-33 法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》に規定する「デリバティブ取引のうち事業年度終了の時において決済されていないもの」とは、連結事業年度終了の時においてデリバティブ取引(同項に規定する「デリバティブ取引」をいう。以下この款において同じ。)に係る約定が成立しているもののうち、解約、譲渡、オプションの行使・消滅その他の手仕舞いに係る約定(以下この章において「手仕舞約定等」という。)が成立していないものをいうことに留意する。
(注) 2-1-38のただし書又は2-1-39の適用を受ける場合には、当該デリバティブ取引は、これらの通達に定める受渡しの日まで手仕舞約定等が成立していないものとして取り扱う。
(金利スワップ取引等の特例処理)
2-3-34 規則第27条の7第2項《金利スワップ取引等の特例処理》に規定する取引に該当するか否かの判定に当たっては、次のことに留意する。
(1) スワップ取引等(規則第27条の7第1項第7号《スワップ取引》に規定するスワップ取引及び同項第8号《オプション取引》に規定するオプション取引をいう。以下2-3-34において同じ。)の想定元本と当該スワップ取引等の対象とした資産又は負債の元本金額との差がおおむね5%以内である場合には、同条第2項第3号の要件を満たすこととなる。
(2) 次に掲げる取引は、同項第1号に規定する「金利変動損失額を減少させるために行ったもの」に含まれる。
イ 支払金利を対象とするいわゆる金利キャップ取引(対象金利が上限金利を上回った場合において、当該上回った部分に相当する金額を受け取ることとなるものに限る。以下2-3-34において同じ。)又は受取金利を対象とするいわゆる金利フロアー取引(対象金利が下限金利を下回った場合において、当該下回った部分に相当する金額を受け取ることとなるものに限る。以下2-3-34において同じ。)
ロ LIBOR、TIBOR等の種類の異なる変動金利同士を交換するいわゆるベーシス・スワップ取引が、資産に係る変動金利と負債に係る変動金利の種類を一致させることを目的とするものである場合(当該資産及び当該負債について同項第2号に規定する帳簿書類への記載を行ったものに限る。)の当該取引
(3) スワップ取引等に期限前解約オプション、金利キャップ取引又は金利フロアー取引が組み合わされた取引は、 同項に規定する「前項第7号及び第8号に掲げる取引」に該当するものとして取り扱う。
(注) スワップ取引等のうち同項に規定する要件を満たさないものであっても、法第61条の6第1項《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》の規定の適用に関する要件を満たすものは、同項の規定の適用がある。
(みなし決済金額)
2-3-35 連結法人がデリバティブ取引について法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》の規定を適用する場合において、連結事業年度終了の時において決済したものとみなしたところにより算出する利益の額又は損失の額に相当する金額(以下2-3-35までにおいて「みなし決済金額」という。)は、規則第27条の7第3項各号《みなし決済金額》に規定する金額となるのであるが、当該みなし決済金額の算出に当たり、連結法人が、次に掲げる取引の区分に応じ、それぞれ次によっている場合には、これを認める。この場合、当該みなし決済金額は、連結法人が各連結事業年度において同一の方法により入手又は算出する金額によるものとし、その入手価額は、通常の方法により入手可能なもので差し支えないものとする。
(1) 取引所に上場されているデリバティブ取引 当該取引が上場されている取引所において公表された連結事業年度終了の日の最終の取引成立価格(公表された同日における当該価格がない場合には、公表された同日における最終の気配値とし、公表された同日における当該価格及び当該気配値のいずれもない場合には、最終の取引成立価格又は最終の気配値が公表された日で当該連結事業年度終了の日に最も近い日におけるその最終の取引成立価格又は最終の気配値とする。)に基づき算出した金額をみなし決済金額とする。ただし、連結法人が、取引所の公表する清算価格(値洗いのために授受をする金銭の額の計算の基礎として用いられる金額をいう。)に基づき算出した金額を継続してみなし決済金額としているときは、これを認める。
(2) 取引システムの気配値があるデリバティブ取引 イ又はロの区分に応じ、それぞれイ又はロによる。
イ 当該デリバティブ取引について、インターバンク市場、ディーラー間市場、電子売買取引市場その他当該連結法人が随時決済又は換金ができる取引システムの気配値がある場合 当該システムの気配値に基づき算出した金額をみなし決済金額とする。
ロ 当該デリバティブ取引に類似するデリバティブ取引について、インターバンク市場、ディーラー間市場、電子売買取引市場その他当該連結法人が随時決済又は換金ができる取引システムの気配値がある場合 当該気配値に契約上の差異等を合理的に調整して算出した金額をみなし決済金額とする。
(3) (1) 及び(2) 以外のデリバティブ取引でみなし決済金額の算出が可能なもの デリバティブ取引のみなし決済金額を算出する専担者又は専担部署(関係会社を含む。)を有する等により常時みなし決済金額を算定している連結法人が行うデリバティブ取引についてはイ又はロに掲げる金額とし、それ以外の連結法人が行うデリバティブ取引についてはロに掲げる金額をみなし決済金額とする。
イ 当該デリバティブ取引の見積将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引く方法、オプション価格モデルを用いて算定する方法その他合理的な方法で、連結法人があらかじめ定めている方法により算出した金額
ロ 銀行、証券会社、情報ベンダー等から入手した金額(イの方法に基づいて算定されたこれらの者の提示価額に限る。)
(4) (1) 及び(2) 以外のデリバティブ取引でみなし決済金額の算出が困難なもの イ又はロの区分に応じ、 それぞれイ又はロによる。
イ 債務保証等類似デリバティブ取引 みなし決済金額はないものとする。この場合において、連結法人が債務保証等類似デリバティブ取引について支払を受ける又は支払うプレミアムの額は、期間の経過に応じて益金の額又は損金の額に算入する。
ロ イ以外のデリバティブ取引で、市場価格のない株式の価格に係る数値、信用リスクに係る数値、気温等の気候の変動に係る数値、地震等の災害の発生に係る数値その他の算定をすることが極めて困難な数値を基礎数値とするデリバティブ取引 みなし決済金額はないものとする。この場合において、当該デリバティブ取引については、授受をする金銭等の価額をもってその授受の都度資産又は負債に計上し、当該資産又は負債に計上した金額は、当該デリバティブ取引の消滅が確定した日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(注) 1
「取引所に上場しているデリバティブ取引」又は「取引システムの気配値があるデリバティブ取引」のみなし決済金額の算出において気配値を使用する場合には、当該気配値は、連結事業年度終了の日における最終の売り気配と買い気配の仲値とする。ただし、当該売り気配又は買い気配のいずれか一方のみが公表されている場合には、当該公表されている最終の売り気配又は買い気配とする。
2 みなし決済金額の算出においては、委託手数料その他取引に付随して発生する費用は加味しないことに留意する。
3 「取引所に上場しているデリバティブ取引」又は「取引システムの気配値があるデリバティブ取引」であっても、実際の取引事例が極めて少なく、その価格が公正評価額(第三者間で恣意性のない取引を行うと想定した場合の決済金額をいう。)と認められない場合のデリバティブ取引については、他の区分に属するデリバティブ取引として区分することができる。
(債務保証等類似デリバティブ取引の意義)
2-3-36 2-3-35の(4) イに定める「債務保証等類似デリバティブ取引」とは、当事者の一方が第三者の債務不履行、自然災害その他これらに類する特定の事実(以下2-3-37において「支払事由」という。)が生じた場合に一定の金銭を支払うことを約し、他方の当事者がその対価としてプレミアムを支払うことを約するデリバティブ取引をいう。
(債務保証等類似デリバティブ取引に係る支払事由の発生により授受する金銭等に係る損益の計上)
2-3-37 連結法人が債務保証等類似デリバティブ取引(2-3-36に定める債務保証等類似デリバティブ取引をいう。以下2-3-37において同じ。)を行った場合において、支払事由が生じたことにより支払を受ける又は支払う金銭の額については、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1) 支払事由が生ずると同時に支払金額が確定する場合 連結法人が当該支払事由の発生を知り得ることとなった日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(2) 支払事由が生じた後に支払金額が確定する場合 支払金額が確定した日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(注) 連結法人が支払事由が生じたことにより金銭を支払う場合において、当該金銭の支払と引き換えに債務保証等類似デリバティブ取引の対象とされた有価証券、金銭債権その他の資産の引渡しを受けるときは、当該金銭の額から当該資産の引渡しを受けた時の当該資産の価額を控除した残額を損金の額に算入する。ただし、当該資産の引渡しの時にその価額を算定することが困難な場合において、連結法人が当該資産の券面額、債権金額等をその価額としているときは、これを認める。
(有価証券等に組み込まれたデリバティブ取引の取扱い)
2-3-38 連結法人が、有価証券(法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券又は法第61条の7第1項《時価ヘッジ処理による売買目的外有価証券の評価益又は評価損の計上》の規定の適用を受ける同項に規定する売買目的外有価証券に該当するものを除く。)、金銭債権、金銭債務等(以下2-3-39までにおいて「有価証券等」という。)で、デリバティブ取引の組み込まれたもの(以下2-3-43までにおいて「複合有価証券等」という。)を取得し、又は発生させた場合において、継続的に、 当該複合有価証券等に係る取引を有価証券等に係る取引と当該デリバティブ取引(以下2-3-43までにおいて「組込デリバティブ取引」という。)とに区分し、 当該組込デリバティブ取引につき法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》の規定を適用しているときは、これを認める。
(注)
1 本文の「有価証券等に係る取引」とは、当該有価証券等が利付の有価証券等であるときは、当該有価証券等の元本の額とあらかじめ定められた一定の利率(あらかじめ定められた一定の利率がない場合には、 国内又は海外において代表的な利率又は指数として公表されているものにより決定される利率を含む。)に基づいて計算される利子の授受及び当該元本の授受に係る取引をいい、 当該有価証券等が割引債又はこれに類似するものであるときは、 当該割引債の発行価額相当額又はこれに相当するものの授受に係る取引をいう。
2 複合有価証券等に係る取引を有価証券等に係る取引と組込デリバティブ取引とに区分した場合には、有価証券等に係る取引と組込デリバティブ取引とがそれぞれ独立して行われたものとした場合に各連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入すべき金額を各連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、これらの取引に基づいて受け取る金銭の額(元本の償還又は弁済により受け取るものを除く。)については、区分しないこととして差し支えない。
3 連結法人が区分することとした組込デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額(法第61条の5第1項に規定する「利益の額又は損失の額に相当する金額」をいう。以下2-3-38において同じ。)を算出することが困難な場合において、複合有価証券等に係る評価益又は評価損の額(複合有価証券等を売買目的有価証券であるものとみなして計算した法第61条の3第2項《売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等》に規定する評価益又は評価損の額に相当する金額をいう。)を当該組込デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額としているときは、継続適用を条件としてこれを認める。
4 2-1-50は、組込デリバティブ取引を区分しない複合有価証券等又は組込デリバティブ取引を区分した複合有価証券等の当該組込デリバティブ取引以外の部分について準用する。この場合、「(当該適用している利率が国内又は海外において代表的な利率又は指数として公表されているものにより決定されている場合」は、「(当該適用している利率が国内若しくは海外において代表的な利率若しくは指数として公表されているものにより決定されている場合又は組み込まれたオプション取引に係るオプションの行使若しくは不行使によるものである場合」と読み替えて適用する。
5 区分することとした組込デリバティブ取引に係る契約に基づき金銭以外の資産を取得した場合には、法第61条の5第2項《デリバティブ取引に係る契約に基づき金銭以外の資産を取得した場合における益金算入等》の規定が適用されることに留意する。
(組込デリバティブ取引の区分の方法)
2-3-39 組込デリバティブ取引を複合有価証券等から区分する場合において、有価証券等に複数の組込デリバティブ取引が組み込まれているときは、すべての組込デリバティブ取引を区分するものとする。ただし、次に掲げる組込デリバティブ取引については、区分しないこととして差し支えない。
(1) ヘッジ目的組込デリバティブ取引(デリバティブ取引を組み込む対象となる有価証券等の価額の変動又は当該有価証券等について受払が予定される金銭の額の変動に伴って生ずるおそれのある損失の額を減少させる組込デリバティブ取引をいう。)
(2) 元本保証型組込デリバティブ取引(資産である有価証券等の元本の額又は償還金額を減少させるおそれのない組込デリバティブ取引をいい、当該組込デリバティブ取引について生ずる利益又は損失を相殺する関係にある他の組込デリバティブ取引を区分することとした場合の当該組込デリバティブ取引を除く。)
(3) リスク限定型組込デリバティブ取引(負債である有価証券等の元本の額若しくは償還金額を増加させ、又は当該有価証券等について支払う利子の額を著しく増加させるおそれのない組込デリバティブ取引をいい、当該組込デリバティブ取引について生ずる利益又は損失を相殺する関係にある他の組込デリバティブ取引を区分することとした場合の当該組込デリバティブ取引を除く。)
(注) ただし書の適用を受けて区分しないこととした場合の(1) から(3) までに掲げる組込デリバティブ取引は、2-3-38の (注) 2に定める有価証券等に係る取引に含めることに留意する。
(デリバティブ取引の手仕舞約定等に係る損益の計上)
2-3-40 デリバティブ取引の手仕舞約定等に係る損益の額は、 当該手仕舞約定等が成立した日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
第7款 ヘッジ処理による損益
(繰延ヘッジ処理の対象となる取引の範囲)
2-3-41 法第61条の6《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》の規定(以下この款において「繰延ヘッジ処理」という。)の適用は、連結事業年度終了の日の帳簿価額に反映されていない同項各号の「生ずるおそれのある損失」の額を減少させるためのデリバティブ取引等(同条第2項に規定する「デリバティブ取引等」をいう。以下この款において同じ。)に係る利益額又は損失額をその損失の発生時まで繰り延べるために行うものであるから、例えば、次に掲げる損失等を対象とした取引は同条第1項の規定の適用がないことに留意する。
(1) 令第28条第1項第2号《棚卸資産の評価の方法》に規定する低価法を適用している棚卸資産の価格の変動により生ずるおそれのある損失
(2) 満期保有目的債券(令第119条の2第2項第1号《満期保有目的有価証券の意義》に規定する有価証券に区分した有価証券をいう。)の金利の変動に基因する価格の変動により生ずるおそれのある損失
(ヘッジ手段の指定の単位)
2-3-42 繰延ヘッジ処理の適用を受けるデリバティブ取引等(以下この款において「繰延ヘッジ手段デリバティブ取引等」という。)は、原則として、当該デリバティブ取引等の契約又は当該デリバティブ取引等の想定元本の割合により区分した部分を単位として、繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類(規則第27条の8各項《繰延ヘッジ処理》に規定する事項を記載する帳簿書類をいう。以下2-3-55までにおいて同じ。)に記載して指定する。ただし、次に掲げる部分を除いたものをその指定の単位とすることを繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類に記載しているときは、これを認める。
(1) オプション取引の時間的価値に係る部分(オプション取引の価値に係る部分のうち、基礎数値の価格に基因する部分以外の部分をいう。)
(2) 先物取引又は先渡取引のプレミアム又はディスカウントに係る部分(先物取引又は先渡取引の価値に係る部分のうち、基礎数値の価格に基因する部分以外の部分をいう。)
(注) ただし書により指定から除いた部分の金額については、法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》に規定する「利益の額又は損失の額に相当する金額」として同条の規定の適用があることに留意する。
(売建オプション取引等の取扱い)
2-3-43 法第61条の6第1項《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》の規定の適用に当たり、単独で行われる売建オプション取引(規則第27条の7第1項第8号、第9号、第12号又は第16号《デリバティブ取引》に掲げるオプション取引及び同項第5号又は第6号の取引でオプション取引に類似する取引のうち、取引の相手方に権利を付与しているものをいう。)のように、その収益の額の限度が権利付与の対価に限られている一方、損失の額が当該対価の額に限られていないものは、法第61条の6第1項に規定する「ヘッジ対象資産等損失額」を減少させるために有効であるとされる繰延ヘッジ手段デリバティブ取引等とはならないことに留意する。
(注) 売建オプション取引であっても、次に掲げるものは、繰延ヘッジ手段デリバティブ取引等となる。
(1) いわゆる金利カラー取引のように、損失の発生のリスクが限定されるもので、支払オプション料が受取オプション料と同額又はそれ以上であるもの
(2) 複合有価証券等のうち組込デリバティブ取引を区分して経理しないものに含まれる買建オプションを相殺するもの
(有効性判定の方法)
2-3-44 令第 121条第1項《繰延ヘッジ処理におけるヘッジの有効性判定等》に規定する「有効性判定」(以下2-3-55までにおいて「有効性判定」という。)を行うに当たり、2-3-42の(1) 及び(2) に掲げる部分を当該有効性判定の要素から除くこととしているときは、当該事項を繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類にあらかじめ記載していることを条件として、これを認める。
(注) ヘッジ手段の指定につき2-3-42の本文の前段による指定を行っている場合も同様とする。
(有効性判定の時期)
2-3-45 有効性判定は、期末時(令第121条第1項《繰延ヘッジ処理におけるヘッジの有効性判定等》に規定する「期末時」をいう。)及びデリバティブ取引等の決済時(同項に規定する「決済時」をいう。以下2-3-45において同じ。)に行うのが原則であるが、連結法人が当該有効性判定を6か月に一度等規則性のある一連結事業年度以内の一定期間ごとに継続的に行うこととする旨を繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類に記載しているときは、これを認める。この場合、連結法人の選択した当該有効性判定の時に算出した有効性割合(令第121条の2《繰延ヘッジ処理に係るヘッジが有効であると認められる場合》に規定する割合をいう。以下2-3-47までにおいて同じ。)の事績に基づき、繰延ヘッジ処理を適用する。
(注) 本文の適用を受ける場合には、次に掲げることに留意する。
(1) デリバティブ取引等の決済時には、有効性判定を行わなければならない。この場合、 当該決済時とは、デリバティブ取引等について手仕舞約定等が成立した場合における当該手仕舞約定等に係る決済の時をいうのであるから留意する。
(2) 有効性割合の事績がおおむね 100分の80未満 又は100分の125超となるときは、当該事績に基づき、2-3-47の取扱いを適用することができる。
(有効性判定の数値が異常値と認められる場合の取扱い)
2-3-46 有効性判定を行った時に算出した有効性割合が、おおむね 100分の80未満又は 100分の125超となる場合であっても、それが法第61条の6第1項第1号《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》の価額の変動又は同項第2号のキャッシュ・フローの変動(以下この款において「相場等の変動」という。)の幅が小さいことによる一時的な状態を基因とするものであると認められるときは、当該繰延ヘッジ処理の適用を開始する前に行った有効性の確認の結果がおおむね100分の80から 100分の 125までとなっていた事績があることを条件として、繰延ヘッジ処理の適用を認める。
(注) この取扱いは、すべてのデリバティブ取引等の有効性判定に当たり継続して行わなければならないことに留意する。
(ヘッジとして有効である部分の金額の特例)
2-3-47 法第61条の6第1項《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》に規定する「ヘッジ対象資産等損失額を減少させるために有効である部分の金額」(以下この款において「繰延ヘッジ金額」という。)は、令第 121条の3第1項《デリバティブ取引等に係る利益額又は損失額のうちヘッジとして有効である部分の金額等》の規定に基づきその金額を算定するのであるが、有効性割合がおおむね100分の80から100分の 125までとなっていない場合において、連結法人が、 当該繰延ヘッジ金額のうち同条第4項に規定する「直近の有効性判定(前項に規定する場合において、当該内国法人が同項に規定する適格組織再編成の日の属する事業年度以後に行った有効性判定における有効性割合がおおむね 100分80から 100分の 125までとなっていないときは、同項に規定する被合併法人等が行った有効性判定でその有効性割合がおおむね100分80から100分の125までとなっていた直近の有効性判定)におけるそのデリバティブ取引等に係る同条第1項に規定する利益額又は損失額(第1項に規定する場合にあつては、その利益額又は損失額から第2項に規定する超過差額を控除した金額)」の金額をそのまま法第61条の6第1項第1号に規定する資産又は負債(以下2-3-53及び2-3-54において「繰延ヘッジ対象資産等」という。)の譲渡若しくは消滅又は同項第2号に規定する金銭につき受取若しくは支払がある時まで繰り延べ、次回以降の有効性判定を行わないこととしているときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(ヘッジ期間の満了による繰延ヘッジ処理の終了)
2-3-48 繰延ヘッジ処理に係るヘッジ期間(規則第27条の8第1項《繰延ヘッジ処理》に規定する「ヘッジ対象資産等損失額を減少させようとする期間」をいう。以下2-3-48において同じ。)が満了した場合には、当該ヘッジ期間満了の日において繰延ヘッジ手段デリバティブ取引等について手仕舞約定等が成立したものとみなすのであるから留意する。
(注) 確定したヘッジ期間を繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類に記載していない場合には、当該繰延ヘッジ手段デリバティブ取引等の存続期間をヘッジ期間とする。
(キャッシュ・フローの変動に係る損失の範囲)
2-3-49 法第61条の6第1項第2号《繰延ヘッジ処理によるキャッシュ・フローの変動に係る損失》に規定する損失は、履行確定取引(契約が成立し、当該契約により取引時期、取引物件、取引数量、取引価格等の主要な取引条件が確定しており、かつ、それが実行されることが確定している取引をいう。以下この款において同じ。)又は履行予定取引(契約は成立していないが、取引予定時期、取引予定物件、取引予定数量、取引予定価格等の主要な取引条件が合理的に予測可能であり、かつ、その取引の実行の可能性が極めて高い取引をいう。以下この款において同じ。)に伴って生じるおそれのある損失でなければならないことに留意する。
(履行確定取引及び履行予定取引の意義)
2-3-50 2-3-49に定める履行確定取引及び履行予定取引については、次のことに留意する。
(1) 履行確定取引に係る2-3-49に定める内容を有する取引であっても、当該取引に係る契約を解除する場合の対価が全く不要か又は極めて軽微であるものは履行確定取引として取り扱わない。ただし、当該取引が次の(3)のイからハまでに掲げる要件のすべてを満たす場合には、履行予定取引として取り扱う。
(2) 例えば、貸付金、預金、貯金又は有価証券から生ずる予定の受取利子及び借入金から生ずる予定の支払利子に係る取引も、履行確定取引に該当する。
(3)
履行予定取引とは、その取引の内容が2-3-49に定めるものをいうのであるから、基本的には、以下の要件のすべてを満たすことが必要となる。
イ 当該取引が次のいずれかの取引に該当するものであること。
①過去において同様のものを行った実績のある取引であること。
②実績のない取引であっても、その取引の準備が相当程度進捗しており、事業遂行上必要とされるものであること。
③確定した他の契約の履行に伴って必要とされる取引であること。
ロ 当該連結法人にその予定される取引の履行を行うことのできる財政的能力、法律的能力その他当該取引を行うために通常必要とする能力が備わっていること。
ハ 当該取引が記載されている事業計画又はこれに準ずるものが存在すること。
(予定取引が行われた場合の取扱い)
2-3-51 予定取引(履行確定取引又は履行予定取引をいう。以下この款において同じ。)の決済により金銭を受け取ることとなり又は支払うこととなった場合における繰延ヘッジ金額の処理は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 当該予定取引が、売上、仕入、利息その他の損益の発生を予定しているものである場合 令第 121条の5第1項《繰り延べたデリバティブ取引等の決済損益額の計上時期等》の規定に基づき益金の額又は損金の額に算入する繰延ヘッジ金額は、予定取引に係る損益と同一の科目により処理する。ただし、当該デリバティブ取引等が外国為替の売買相場の変動に伴って発生する損失を減少させるためのものである場合には、為替差損益として計上することができる。
(2) 当該予定取引が、資産の取得又は負債の発生を予定しているものである場合 その資産又は負債の取得価額に加算し、又は取得価額から減算する。ただし、当該予定取引が、貸付金その他の利付金融資産(利子の支払のあるものに限る。)の取得を予定しているものである場合又は借入金その他の利付金融負債の発生を予定しているものである場合には、当該金融資産又は金融負債の利子の計算期間の経過に応じ利息の調整勘定として各連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入することができる。
(予定取引の中止が確実となった場合等の繰延ヘッジ処理の不適用)
2-3-52 法第61条の6第1項《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》の規定の適用を受けた後に、予定取引が事情変更等により実行されないことが確実となったとき又は解約されたときは、以後、繰延ヘッジ処理の適用はないことに留意する。
(包括ヘッジ処理の要件)
2-3-53 連結法人が、複数の資産又は負債の集合体(以下2-3-55までにおいて「ポートフォリオ」という。)を一の資産又は負債として繰延ヘッジ処理をしている場合において、当該ポートフォリオを一の資産又は負債として取り扱う旨を繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類に記載し、かつ、当該ポートフォリオ構成資産等(ポートフォリオを構成する資産又は負債をいう。以下2-3-55までにおいて同じ。)の個々の資産又は負債が共通のリスク要因(金利の変動、為替相場の変動等の損失を発生させる要因をいう。)による共通の損失の発生の可能性にさらされていることが明らかであるときは、当該ポートフォリオは、一の資産又は負債として繰延ヘッジ対象資産等とすることができる。
(注) 例えば、ポートフォリオ構成資産等の個々の資産又は負債の相場変動等割合(繰延ヘッジ処理の適用を開始した時から当該繰延ヘッジ処理の有効性判定をした時までの相場等の変動の割合をいう。以下2-3-53において同じ。)がポートフォリオ全体の相場変動等割合に対して、おおむね上下10%の範囲内にあるような場合は、「共通の損失の発生の可能性にさらされていること」に該当する。
(包括ヘッジ処理における決済損益額の配分)
2-3-54 連結法人が、繰延包括ヘッジ処理(ポートフォリオを繰延ヘッジ対象資産等として指定した場合の繰延ヘッジ処理をいう。以下2-3-55までにおいて同じ。)の適用をしている場合において、当該繰延包括ヘッジ処理に係るデリバティブ取引等について手仕舞約定等が成立したときは、繰延ヘッジ処理に係る効果を反映する次に掲げる割合その他合理的な割合に基づき、当該繰延包括ヘッジ処理に係る繰延ヘッジ金額を各ポートフォリオ構成資産等に配分する。
(1) 繰延包括ヘッジ処理の適用を開始した時における各ポートフォリオ構成資産等の価額をその時のポートフォリオ全体の価額で除した割合
(2) 繰延包括ヘッジ処理に係るデリバティブ取引等について手仕舞約定等が成立した時における各ポートフォリオ構成資産等の価額をその時のポートフォリオ全体の価額で除した割合
(3) 繰延包括ヘッジ処理に係るデリバティブ取引等について手仕舞約定等が成立した時における各ポートフォリオ構成資産等の帳簿価額をその時のポートフォリオ全体の帳簿価額で除した割合
(4) 繰延包括ヘッジ処理の適用を開始した時から当該繰延包括ヘッジ処理に係るデリバティブ取引等について手仕舞約定等が成立した時までの期間における各ポートフォリオ構成資産等に係る価額の変動額を当該期間におけるポートフォリオ全体の価額の変動額で除した割合
(繰延ヘッジ処理の表示)
2-3-55 繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類には、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次のことを記載することに留意する。
(1) 規則第27条の8第1項及び第2項《繰延ヘッジ処理に係るヘッジ対象資産等の明細の記載》に規定する記載事項
イ 2-3-42に定める「指定の単位」の具体的な内容
ロ 2-3-44の取扱いの適用を受ける場合には、有効性判定から除いたものの内容
ハ 2-3-45の取扱いにより、一連結事業年度より短い周期で有効性判定を行う場合には、その有効性判定を行う周期
ニ 2-3-53の取扱いの適用を受ける場合には、ポートフォリオとして取り扱うものの明細
ホ 繰延包括ヘッジ処理を適用する場合には、2-3-54に定める繰延ヘッジ金額を各ポートフォリオ構成資産等に配分する基準
(2) 同条第3項及び第4項に規定する記載事項
令第 121条第2項《繰延ヘッジ処理におけるヘ ッジの有効性判定等》に規定する特定事由に係る部分を算出する方法
(注) 繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類には、連結法人が、規則第27条の8各項に規定する事項及びこの取扱いに定める事項を一括して記載した帳簿書類(これらの事項のうち会計処理方針として定めたものを記載した帳簿書類を含む。)も含まれる。
(繰延ヘッジ処理等を適用している場合における負債利子の額の計算)
2-3-56 金利の変動に伴って生ずるおそれのある損失を減少させる目的で繰延ヘッジ処理又は特例金利スワップ取引等(規則第27条の7第2項《金利スワップ取引等の特例処理》に規定する取引をいう。以下2-3-56において同じ。)を行っている場合の法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する負債の利子及び令第 155条の28第6項《共通費用の配賦の規定の準用》の規定により準用される令第 142条第6項《共通費用の配賦》に規定する共通費用に含まれる負債の利子の計算は、当該繰延ヘッジ処理による繰延ヘッジ金額に係る損益の額又は特例金利スワップ取引等に係る受払額のうち、支払利子の額に対応する部分の金額を加算又は減算した後の金額を基礎とするのであるから留意する。
(時価ヘッジ処理に係る取扱い)
2-3-57 法第61条の7《時価ヘッジ処理による売買目的外有価証券の評価益又は評価損の計上》の規定(以下2-3-57において「時価ヘッジ処理」という。)の適用は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 令第 121条の6第1項第1号《時価ヘッジ処理における売買目的外有価証券の評価額と円換算額等》に規定する「売買目的外有価証券のそのデリバティブ取引等を行つた時における価額」及び「期末時又は決済時における価額」は、売買目的外有価証券(法第61条の3第1項第2号《売買目的外有価証券の期末評価額》に規定する売買目的外有価証券をいう。以下2-3-57において同じ。)について時価法(同項第1号に規定する時価法をいう。)により評価した金額とする。
(2) 連結法人が、有効性割合(令第 121条の8《時価ヘッジ処理に係るヘッジが有効であると認められる場合》に規定する割合をいう。)がおおむね 100分の80から 100分の 125までとなっていない場合において、次回以降の有効性判定(令第 121条の7第1項《時価ヘッジ処理におけるヘッジの有効性判定》に規定する有効性判定をいう。)を行わないこととし、かつ、洗替処理(令第 121条の11《時価ヘッジ処理における時価評価差額の翌事業年度における処理等》の規定による処理をいう。)を行わないこととしているときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(3) 2-3-42から2-3-46まで、2-3-48、2-3-53及び2-3-55((1) ホを除く。)は、時価ヘッジ処理の取扱いについて準用する。
第4節 収益及び費用の帰属時期の特例
第1款 長期割賦販売等
(賦払の方法)
2-4-1 法第63条第4項第1号《長期割賦販売等の要件》に規定する「月賦、年賦その他の賦払の方法」とは、対価の額につき支払を受けるべき金額の支払期日(以下この款において「履行期日」という。)が頭金の履行期日を除き、月、年等年以下の期間を単位としておおむね規則的に到来し、かつ、それぞれの履行期日において支払を受けるべき金額が相手方との当初の契約において具体的に確定している場合におけるその賦払の方法をいう。
(延払基準の適用がある資産の譲渡)
2-4-2 法第63条第1項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する「長期割賦販売等」には、次に掲げる金額の受領に係る取引で同条第4項に定める長期割賦販売等の要件に該当するものが含まれるものとする。
(1) 借地権又は地役権の設定の対価として支払を受ける権利金その他の一時金の額で令第138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用があるもの
(2) 建物の賃貸借契約に際して支払を受ける権利金その他の一時金の額
(3) ノーハウの設定契約に際して支払を受ける一時金又は頭金の額
(延払損益の計算の基礎となる手数料の範囲)
2-4-3 令第 124条第1項《延払基準の方法》に規定する手数料には、連結法人が外部に支払う販売手数料のほか、当該連結法人の使用人たる外交員等に対して支払う歩合給、手数料等で所得税法第 204条 《源泉徴収義務》に規定する報酬等に該当するものも含まれるが、その支払うべき手数料の額が賦払金の回収の都度その回収高に応じて確定することとなっている場合(頭金又は一定回数までの賦払金の回収を条件として手数料の額が確定することとなっている場合を除く。)における当該手数料を含まないものとする。
(注) この取扱いにより延払損益の計算の基礎となる手数料に含めないものの額は、その額が確定する都度その確定した日の属する連結事業年度の損金の額に算入するのであるから留意する。
(手数料の原価の額への加算)
2-4-4 長期割賦販売等に係る手数料の額が頭金若しくは一定回数までの賦払金が回収されることを条件として確定し、又は販売数量等に応じて逓増することとなっている等のため、当該連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてした長期割賦販売等に係る手数料につき、当該連結事業年度においてその支払うべきことが確定し、又は既に支払った手数料の額が増加した場合には、その確定し又は増加した手数料の額は、当該連結事業年度においてした長期割賦販売等に係る手数料に加算して当該長期割賦販売等に係る原価の額を計算することができる。
(延払基準の計算単位)
2-4-5 令第 124条第1項《延払基準の方法》の規定による延払基準の方法による収益の額及び費用の額の計算は、原則としてその長期割賦販売等をした資産の販売等(法第63条第1項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する「資産の販売等」をいう。以下2-4-11までにおいて同じ。)ごとに行うのであるが、長期割賦販売等のうち、月賦、年賦その他の賦払の方法により対価の支払を受けることを定型的に定めた約款に基づき行われる資産の販売等について、連結法人が継続して差益率のおおむね同じものごとその他合理的な区分ごとに一括してその計算を行っている場合には、これを認める。
(時価以上の価額で資産を下取りした場合の対価の額)
2-4-6 連結法人が長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行うに当たり、頭金等として相手方の有する資産を下取りした場合において、当該資産につきその取得の時における価額を超える価額を取得価額しているときは、その超える部分の金額については取得価額に含めないものとし、その販売等をした資産については、その超える部分の金額に相当する値引きをして販売等をしたものとして取り扱う。
(履行期日前に受領した手形)
2-4-7 長期割賦販売等に該当する資産の販売等の賦払金のうち当該連結事業年度後に履行期日の到来するものについて連結法人が手形を受領した場合には、その受領した手形の金額は、令第 124条第2項《賦払金割合》に規定する「支払を受けた金額」には含まれない。
(賦払金の支払遅延等により販売した資産を取り戻した場合の処理)
2-4-8 連結法人が長期割賦販売等に該当する資産の販売等をした後において、相手方の代金の支払遅延等の理由により契約を解除して賦払期間の中途において当該販売等をした資産を取り戻した場合には、原則としてその資産を取り戻した日の属する連結事業年度において、まだ支払の行われていない賦払金の額の合計額から当該金額のうちに含まれる延払損益を除外した金額をもって資産に計上するものとするが、連結法人が当該合計額又はその資産を取り戻した時における処分見込価額をもって資産に計上したときは、その計算を認めるものとする。
(契約の変更があった場合の取扱い)
2-4-9 法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第63条第1項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同項の規定を含む。)によりその収益の額及び費用の額の計上につき延払基準の方法を適用している長期割賦販売等に該当する資産の販売等についてその後契約の変更があり、賦払金の履行期日又は各履行期日ごとの賦払金の額が異動した場合における同項の規定の適用については、次による。
(1) その契約の変更後においてなおその資産の販売等が同項に規定する長期割賦販売等に該当するものである場合には、その変更後の履行期日及び各履行期日ごとの賦払金の額に基づいて同項の規定による延払基準の計算を行う。ただし、その変更前に既に履行期日の到来した賦払金の額については、この限りでない。
(2) その契約の変更によりその資産の販売等が長期割賦販売等に該当しないこととなった場合には、その資産の販売等に係る収益の額及び費用の額(当該連結事業年度前の各連結事業年度の連結所得の金額(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度の所得の金額)の計算上益金の額及び損金の額に算入されるものを除く。)は、その該当しないこととなった日の属する連結事業年度の益金の額及び損金の額に算入する。
(対価の額又は原価の額に異動があった場合の調整)
2-4-10 法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第63条第1項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同項の規定を含む。)によりその収益の額及び費用の額の計上につき延払基準の方法を適用している長期割賦販売等に係る対価の額又は原価の額につきその後値増し、値引き等があったため当該長期割賦販売等に係る対価の額又は原価の額に異動を生じた場合には、その異動を生じた日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下2-4-10において「異動年度」という。)以後の各連結事業年度における当該対価の額又は原価の額に係る延払基準の方法の適用については、その異動後の対価の額又は原価の額(異動年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において計上した部分の金額を除く。)及び異動年度開始の日以後に受けるべき賦払金の額の合計額を基礎として2-4-9によりその計算を行うものとする。ただし、連結法人が、その値増し、値引き等に係る金額をこれらの事実の生じた日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入するとともに、延払基準の方法についてはその異動前の契約に基づいてその計算を行うこととしているときは、これを認める。
(長期割賦販売等に係る収益の額に含めないことができる利息相当部分)
2-4-11 連結法人が法第63条第1項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った場合において、当該長期割賦販売等に係る契約により販売代価と割賦期間中の利息に相当する金額とが明確、かつ、合理的に区分されているときは、当該利息相当額を当該長期割賦販売等に係る収益の額に含めないことができることに留意する。
長期割賦販売等に該当しない割賦販売等についても、同様とする。
第2款 工事の請負
(工事の請負の範囲)
2-4-12 法第64条《工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する工事(製造を含む。以下この款において同じ。)の請負には、設計・監理又はソフトウェアの製作等の役務の提供のみの請負は含まれないのであるが、工事の請負と一体として請け負ったと認められるこれらの役務の提供の請負については、当該工事の請負に含まれることに留意する。
(契約の意義)
2-4-13 法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する「契約」とは、当事者間における請負に係る合意をいうのであるから、当該契約に関して契約書等の書面が作成されているかどうかを問わないことに留意する。
(長期大規模工事に該当するかどうかの判定単位)
2-4-14 請け負った工事が法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する長期大規模工事に該当するかどうかは、当該工事に係る契約ごとに判定するのであるが、複数の契約書により工事の請負に係る契約が締結されている場合であって、当該契約に至った事情等からみてそれらの契約全体で一の工事を請け負ったと認められる場合には、当該工事に係る契約全体を一の契約として長期大規模工事に該当するかどうかの判定を行うことに留意する。
(工事の目的物について個々に引渡しが可能な場合の取扱い)
2-4-15 工事の請負に係る一の契約においてその目的物について個々に引渡しが可能な場合であっても、当該工事が法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する長期大規模工事に該当するかどうかは、当該一の契約ごとに判定することに留意する。
ただし、その目的物の性質、取引の内容並びに目的物ごとの請負の対価の額及び原価の額の区分の状況などに照らして、個々に独立した契約が一の契約書に一括して記載されていると認められる工事の請負については、当該個々に独立した契約ごとに長期大規模工事の判定を行うことができる。
(長期大規模工事に該当しないこととなった場合の取扱い)
2-4-16 長期大規模工事に該当する工事について、請負の対価の額の減額や工事期間の短縮があったこと等により、その着工連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)後の連結事業年度において長期大規模工事に該当しないこととなった場合であって、その工事について工事進行基準の適用をしないこととしたときであっても、その適用しないこととした連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において計上した当該工事の請負に係る収益の額及び費用の額を既往にさかのぼって修正することはしないのであるから留意する。
(長期大規模工事の着手の日の判定)
2-4-17 令第 129条第7項《長期大規模工事に着手したかどうかの判定》に規定する「その請け負った工事の内容を完成するために行う一連の作業のうち重要な部分の作業」を開始した日がいつであるかについては、当該長期大規模工事の種類及び性質、その長期大規模工事に係る契約の内容、慣行等に応じその「重要な部分の作業」を開始した日として合理的であると認められる日のうち連結法人が継続して判定の基礎としている日によるものとする。
(契約において手形で請負の対価の額が支払われることになっている場合の取扱い)
2-4-18 令第 129条第2項《支払条件に係る長期大規模工事の判定》に規定する「支払われること」には、契約において定められている支払期日に手形により支払われる場合も含まれることに留意する。
(長期大規模工事以外の工事で再び工事進行基準の適用要件を満たした場合の取扱い)
2-4-19 法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第64条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同項の規定を含む。以下2-4-19において同じ。)によりその収益の額及び費用の額の計上につき工事進行基準の方法を適用している長期大規模工事以外の工事について、その目的物の引渡しの日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において同項第2号に掲げる場合に該当することとなった場合においても、その後当該工事につき再び利益が生ずると見込まれるに至る等同号に掲げる場合に該当しないこととなったときは、その該当しないこととなった連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)以後の連結事業年度については、当該工事に係る収益の額及び費用の額の計上につき再び工事進行基準の方法を適用することができるものとする
(注) 工事進行基準を適用している長期大規模工事以外の工事が同号に掲げる場合に該当することとなった場合でも、当該連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において計上した収益の額及び費用の額を既往にさかのぼって修正することはしないのであるから留意する。
(外貨建工事に係る契約の時における為替相場)
2-4-20 令第 129条第1項《長期大規模工事の判定》に規定する「契約の時における外国為替の売買相場による円換算額」は、その外貨建工事(請負の対価の額の支払が外国通貨で行われるべきこととされている工事をいう。以下2-4-22までにおいて同じ。)の請負の対価の額を17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》の本文及び (注) 1から3までに定める為替相場(当該外貨建工事の契約の日を同通達に定める取引日とした場合の為替相場をいう。)により円換算した金額とする。
(注) 契約の日までに当該外貨建工事の請負の対価の額の全部又は一部について先物外国為替契約等(法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》に規定する先物外国為替契約等をいう。)により円換算額を確定させている場合であっても、令第 129条第1項に規定する「契約の時における外国為替の売買相場による円換算額」は、本通達の本文により円換算した金額とすることに留意する。
(外貨建工事の請負の対価の額が増額又は減額された場合の取扱い)
2-4-21 外貨建工事について、契約後、値増しや追加工事等又は値引きや工事の削減等があったことによりその請負の対価の額が増額又は減額された場合における令第 129条第1項《長期大規模工事の判定》の規定の適用については、当該外貨建工事に係る当該増額後又は減額後の請負の対価の額を、当該外貨建工事に係る契約時の外国為替の売買相場(当該外貨建工事につき2-4-20による円換算に用いた外国為替の売買相場をいう。)により円換算した金額とすることに留意する。
(外貨建工事の工事進行基準の計算)
2-4-22 外貨建工事における令第 129条第3項《工事進行基準の方法》の規定による計算は、原則として、当該計算の基礎となる金額につきすべて円換算後の金額に基づき計算するものとするが、例えば、当該計算の基礎となる金額につきすべて外貨建ての金額に基づき計算した金額について円換算を行うなど、連結法人が当該外貨建工事につき継続して合理的に計算している場合にはこれを認める。
また、当該計算の基礎となる金額について円換算を行う場合には、17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》、17-1-3《多通貨会計を採用している場合の外貨建取引の換算》、17-1-4《先物外国為替契約等がある場合の収益、費用の換算等》及び17-1-5《前渡金等の振替え》によることに留意する。
(注) 同項に規定する「工事に係る進行割合」の計算については、工事の進行の度合を示すものとして合理的と認められるものに基づいて計算した割合によることができるのであるから留意する。
第5節 割 戻 し
第1款 売上割戻し
(売上割戻しの計上時期)
2-5-1 販売した棚卸資産に係る売上割戻しの金額の計上の時期は、次の区分に応じ、次に掲げる連結事業年度とする。
(1) その算定基準が販売価額又は販売数量によっており、かつ、その算定基準が契約その他の方法により相手方に明示されている売上割戻し 販売した日の属する連結事業年度。ただし、連結法人が継続して売上割戻しの金額の通知又は支払をした日の属する連結事業年度に計上することとしている場合には、これを認める。
(2) (1) に該当しない売上割戻し その売上割戻しの金額の通知又は支払をした日の属する連結事業年度。ただし、各連結事業年度終了の日までに、その販売した棚卸資産について売上割戻しを支払うこと及びその売上割戻しの算定基準が内部的に決定されている場合において、連結法人がその基準により計算した金額を当該連結事業年度の未払金として計上するとともに連結確定申告書の提出期限(法第81条の24《連結確定申告書の提出期限の延長の特例》の規定によりその提出期限が延長されている場合には、その延長された期限とする。)までに相手方に通知したときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(一定期間支払わない売上割戻しの計上時期)
2-5-2 連結法人が売上割戻しの金額につき相手方との契約等により特約店契約の解約、災害の発生等特別な事実が生ずるときまで又は5年を超える一定の期間が経過するまで相手方名義の保証金等として預かることとしているため、相手方がその利益の全部又は一部を実質的に享受することができないと認められる場合には、その売上割戻しの金額については、2-5-1にかかわらず、これを現実に支払った日(その日前に実質的に相手方にその利益を享受させることとした場合には、その享受させることとした日)の属する連結事業年度の売上割戻しとして取り扱う。
(実質的に利益を享受することの意義)
2-5-3 2-5-2の「相手方がその利益を実質的に享受すること」とは、次に掲げるような事実があることをいう。
(1) 相手方との契約等に基づいてその売上割戻しの金額に通常の金利を付けるとともに、その金利相当額については現実に支払っているか、又は相手方からの請求があれば支払うこととしていること。
(2) 相手方との契約等に基づいて保証金等に代えて有価証券その他の財産を提供することができることとしていること。
(3) 保証金等として預かっている金額が売上割戻しの金額のおおむね50%以下であること。
(4) 相手方との契約等に基づいて売上割戻しの金額を相手方名義の預金又は有価証券として保管していること。
第2款 仕入割戻し
(仕入割戻しの計上時期)
2-5-4 購入した棚卸資産に係る仕入割戻しの金額の計上の時期は、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げる連結事業年度とする。
(1) その算定基準が購入価額又は購入数量によっており、かつ、その算定基準が契約その他の方法により明示されている仕入割戻し 購入した日の属する連結事業年度
(2) (1) に該当しない仕入割戻し その仕入割戻しの金額の通知を受けた日の属する連結事業年度
(一定期間支払を受けない仕入割戻しの計上時期)
2-5-5 2-5-2の適用がある売上割戻しに対応する仕入割戻しについては、2-5-4にかかわらず、現実に支払(買掛金等への充当を含む。)を受けた日(その日前に2-5-3により実質的にその利益を享受することとなった場合には、その享受することとなった日)の属する連結事業年度の仕入割戻しとして取り扱う。ただし、連結法人が棚卸資産を購入した日の属する連結事業年度又は相手方から通知を受けた日の属する連結事業年度の仕入割戻しとして経理している場合には、これを認める。
(連結法人が計上しなかった仕入割戻しの処理)
2-5-6 連結法人が購入した棚卸資産に係る仕入割戻しの金額につき2-5-4又は2-5-5に定める連結事業年度において計上しなかった場合には、その仕入割戻しの金額は、当該連結事業年度の総仕入高から控除しないで益金の額に算入する。
第6節 そ の 他
(決算締切日)
2-6-1 連結法人が、商慣習その他相当の理由により、各連結事業年度に係る収入及び支出の計算の基礎となる決算締切日を継続してその連結事業年度終了の日以前おおむね10日以内の一定の日としている場合には、これを認める。
(注) 法第二編第一章第一節第五款第一目から第四目まで《有価証券の譲渡等に係る利益額又は損失額の計算》の利益の額又は損失の額の計算の基礎となる日(法第12条第1項ただし書《合同運用信託等》に規定する信託以外の金銭の信託の信託財産に属するものに係る計算の締切日を含む。)を継続してその連結事業年度終了の日以前おおむね10日以内の一定の日としている場合においても、当該計算の基礎となる日とすることに相当の理由があると認められるときは、同様とする。
(連結法人の設立期間中の損益の帰属)
2-6-2 連結法人の設立期間中に当該設立中の連結法人について生じた損益は、当該連結法人のその設立後最初の連結事業年度の連結所得の金額の計算に含めて申告することができるものとする。ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の損益については、この限りでない。
(注) 本文の取扱いによって申告する場合であっても、当該連結法人の設立後最初の連結事業年度の開始の日は1-4-1《設立第1回連結事業年度の開始の日》によるのであるから留意する。
(合併等に係る連結法人の資産移転後の損益の帰属)
2-6-3 合併等(合併、分割又は現物出資をいう。以下2-6-3において同じ。)により設立した連結法人の当該合併等の日から当該連結法人の設立の日の前日までの期間中に生じた損益は、2-6-2の本文の取扱いにかかわらず、当該連結法人のその設立後最初の連結事業年度の連結所得の金額の計算に含めて申告することとなるのであるから留意する。
(質屋営業の利息及び流質物)
2-6-4 質屋営業における利息又は流質物の計上については、次による。
(1) 貸付金に対する利息で流質期限までに支払を受けないものについては、未収利息として計上することを要しない。
(2) 流質期限を経過したため取得した流質物については、その流質物の価額に相当する金額を益金の額に、貸付金の額に相当する金額を損金の額に算入するものとする。この場合において、流質物の価額を、貸付金の額に相当する金額によることとして差し支えない。
第3章 受取配当等
第1節 受取配当等の金額
(名義株等の配当)
3-1-1 連結法人が役員、使用人等の名義をもって所有している株式又は出資(連結法人の有する自己の株式又は出資を含む。)について受ける利益の配当又は剰余金の分配についても、法第81条の4《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》の規定の適用があることに留意する。
(名義書換え失念株の配当)
3-1-2 連結法人が、その有する株式を譲渡した場合において、譲受人がその名義書換えをしなかったため当該株式に係る利益の配当の額でその譲渡後に行われた配当決議に係るものを受けたときは、当該利益の配当の額は株主たる地位に基づいて受けたものではないから、これについて法第81条の4《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》の規定の適用はないものとする。ただし、配当権利落後配当決議の日までの間に譲渡した株式について当該配当決議に係る利益の配当の額を受けたときは、この限りでない。
(特定信託又は証券投資信託の一部の解約による収益の分配の意義)
3-1-3法第81条の4《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》に規定する配当等の額に係る令第19条の2第1項第2号《特定信託の収益の分配の額》に規定する「特定信託の一部の解約による収益の分配」又は令第19条の3第1項第2号《証券投資信託の収益の分配のうち配当等の額から成る部分の金額》に規定する「証券投資信託の一部の解約による収益の分配」とは、特定信託又は証券投資信託の委託者たる会社が受託者たる信託会社(信託業務を兼営する銀行を含む。)に対しその信託の一部を解約することにより当該委託者が受ける収益の分配及び受益者からの解約の実行の請求に基づき委託者が受託者に対してその信託の一部を解約することにより当該受益者が受ける収益の分配をいうのであるから、受益者である連結法人が委託者に対し解約の実行の請求をしないでその信託に係る受益証券を譲渡した場合には、最終的にその受益証券に係る信託の解約が行われる場合であっても、これに当たらないことに留意する。
(旧株と新株とがある場合の短期所有株式等の数の計算)
3-1-4 同一法人の発行する株式のうちに旧株と新株とがある場合の法第81条の4第2項《短期所有株式等の配当等の益金算入》の規定により益金の額に算入される配当の元本である旧株と新株との数は、その旧株と新株とを同一銘柄の株式とみなして令第 155条の7《益金に算入される配当等の元本たる株式等》の規定により計算した株式の数をその配当の計算期間の末日において有していた旧株と新株との数の比によりあん分した数とする。
(新株予約権付社債に係る新株予約権を行使した場合の短期所有株式等の判定)
3-1-5 新株予約権付社債に係る新株予約権を行使して株式を取得した場合における法第81条の4第2項《短期所有株式等の配当等の益金算入》に規定する株式等の判定に当たって、株式を配当等の額の計算の基礎となった期間の末日以前1月以内に取得したかどうかは、当該行使のあった日によらないで、新株予約権付社債を取得した日によって判定するものとする。
令第 155条の7第1項第1号ロ《益金に算入される配当等の元本たる株式等》に規定する「当該末日後2月以内」に新株予約権付社債につき新株予約権の行使があった場合における当該行使に係る株式等の取得の時期の判定についても、同様とする。
(受益証券の銘柄)
3-1-6 法第81条の4第2項《短期所有株式等の配当等の益金算入》の規定を適用する場合の証券投資信託の受益証券の銘柄の区分は、ユニット型の証券投資信託の受益証券についてはその設定の回ごとに、オープン型の証券投資信託の受益証券についてはその信託ごとに行うものとする。
(信用取引に係る配当落調整額)
3-1-7 証券取引法第156 条の24第1項《免許の申請》に規定する信用取引(以下「信用取引」という。)により株式の買付けを行った連結法人が、証券会社又は証券金融会社から支払を受ける配当落調整額(信用取引に係る株式につき配当が付与された場合において、証券会社又は証券金融会社が、売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該配当に相当する金銭の額をいう。)は、法第81条の4《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》に規定する配当等の額には含まれない。
(配当等の額の支払義務が確定する日)
3-1-8 令第 155条の7第2項《益金に算入される配当等の元本たる株式等》に規定する「配当等の額の支払義務が確定する日」とは、2-1-30《利益の配当等の帰属の時期》の(1) から(3) までに定める日をいうことに留意する。また、令第 155条の10第1項《関係法人株式等の範囲等》に規定する「配当等の額の支払義務が確定する日」(以下3-1-10までにおいて「配当等の支払義務確定日」という。)とは、2-1-30の(1) 、(2) 又は(4) に定める日をいうことに留意する。
(保有期間が6月に満たない関係法人株式等に係る配当等)
3-1-9 法第81条の4第1項《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》に規定する関係法人株式等に係る配当等(以下3-1-10までにおいて「関係法人株式等に係る配当等」という。)とは、他の同一法人に係る株式等の保有が令第 155条の10第1項及び第2項《関係法人株式等の範囲等》に規定する要件を満たしている場合の当該他の同一法人の株式等に係る配当等をいうのであるから、連結法人が有する他の同一法人の株式等の一部につきその保有期間が6月に満たないものがある場合であっても、当該他の同一法人の株式等の他の部分の保有が同条第1項及び第2項に規定する要件を満たすときは、当該他の同一法人の株式等に係る配当等のすべてが関係法人株式等に係る配当等に該当することに留意する。
(配当等の支払義務確定日が2以上ある場合の関係法人株式等の判定等)
3-1-10 連結法人が支払を受けた他の同一法人の発行する株式等に係る配当等が当該連結事業年度に2以上ある場合において、当該配当等が関係法人株式等に係る配当等に該当するかどうかは、それぞれの配当等の支払義務確定日において当該連結法人の有する株式等に基づいて判定することに留意する。
配当等が法第81条の4第1項《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》に規定する連結法人株式等に係る配当等に該当するかどうかについても、同様とする。
(その他資本剰余金の処分による配当)
3-1-11 連結法人が受ける利益の配当が、商法第 289条第2項《法定準備金の取崩し制限》の規定による資本準備金の取崩しにより生じたその他資本剰余金を原資として行われたものであっても、法第81条の4《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》の規定の適用があることに留意する。
第2節 負債の利子の計算
第1款 支払利子
(支払利子の範囲)
3-2-1 法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する「支払う負債の利子」には、次に掲げるようなものを含むことに留意する。
(1) 受取手形の手形金額と当該受取手形の割引による受領金額との差額を手形売却損として処理している場合の当該差額(手形に含まれる金利相当額を会計上別処理する方式を採用している場合には、手形売却損として帳簿上計上していない部分を含む。)
(2) 買掛金を手形によって支払った場合において、相手方に対して当該手形の割引料を負担したときにおけるその負担した割引料相当額
(3) 従業員預り金、営業保証金、敷金その他これらに準ずる預り金の利子
(4) 金融機関の預金利息及び給付補てん備金繰入額(給付補てん備金繰入額に準ずる繰入額を含む。)
(5) 相互会社の支払う基金利息
(6) 相互掛金契約により給付を受けた金額が掛け込むべき金額の合計額に満たない場合のその差額に相当する金額
(7) 信用事業を営む連結親法人である協同組合等が支出する事業分量配当のうちその協同組合等が受け入れる預貯金(定期積金を含む。)の額に応じて分配するもの
(利子税又は延滞金)
3-2-2 利子税又は地方税の延滞金については、連結法人がこれらを法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する「支払う負債の利子」に含めないで計算した場合には、これを認める。
(割賦購入資産等の取得価額に算入しない利息相当額)
3-2-3割賦販売契約又は延払条件付譲渡契約(これらに類する契約を含む。)によって購入した資産に係る割賦期間分の利息に相当する金額については、連結法人がこれを当該資産の取得価額に含めないこととした場合に限り、法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する「支払う負債の利子」に含めるものとする。
(売上割引料)
3-2-4 売掛金又はこれに準ずる債権について支払期日前にその支払を受けたことにより支払う売上割引料は、法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する「支払う負債の利子」に該当しないものとする。
(輸入決済手形借入金利息)
3-2-5 貿易商社が支払う輸入決済手形借入金の利息は、それが委託買付契約に係るもので、その利息相当額を委託者に負担させることとしている場合であっても、法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する「支払う負債の利子」に該当する。この場合において、当該委託者がその負担する利息相当額を当該委託買付契約により取得した資産の取得価額に算入しているときは、当該委託者においては、当該利息相当額は同項に規定する「支払う負債の利子」の額に含めないことができる。
(原価に算入した負債の利子)
3-2-6 固定資産その他の資産の取得価額に算入した負債の利子又は繰延資産として経理した負債の利子であっても、当該連結事業年度において支払ったものは、法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する「当該連結事業年度において支払う負債の利子」に含まれることに留意する。
(注) 社債発行差金については、その償却費を「当該連結事業年度において支払う負債の利子」に含める。
第2款 控除する負債の利子の計算
(総資産の帳簿価額の計算)
3-2-7 令第 155条の8第1項第1号《総資産の帳簿価額》に規定する総資産の帳簿価額(以下3-2-9までにおいて「総資産の帳簿価額」という。)の計算については、次に掲げるような場合には、それぞれ次による。 (1) 貸借対照表に計上されている繰越欠損金の額がある場合には、当該繰越欠損金の額に相当する金額は、総資産の帳簿価額に含まれない。
(2) 支払承諾見返勘定又は保証債務見返勘定のように単なる対照勘定として貸借対照表の資産及び負債の部に両建経理されている金額がある場合には当該資産の部に経理されている金額は、総資産の帳簿価額から控除する。
(3) 貸倒引当金勘定の金額が、金銭債権から控除する方法により取立不能見込額として貸借対照表に計上されている場合にはその控除前の金額を、注記の方法により取立不能見込額として貸借対照表に計上されている場合にはこれを加算した金額を、それぞれの金銭債権の帳簿価額とすることができる。
(4) 退職給付信託における信託財産の額が、退職給与引当金勘定の金額と相殺されて貸借対照表の資産の部に計上されず、注記の方法により貸借対照表に計上されている場合には、当該信託財産の額を加算した金額を総資産の帳簿価額とすることができる。
(5) 貸借対照表に計上されている返品債権特別勘定の金額(売掛金から控除する方法により計上されているものを含む。)がある場合には、これらの金額を控除した残額を売掛金の帳簿価額とする。
(6) 貸倒損失が金銭債権から控除する方法により取立不能見込額として貸借対照表に計上されている場合には、これを控除した残額を金銭債権の帳簿価額とする。
(7) 貸借対照表に計上されている補修用部品在庫調整勘定又は単行本在庫調整勘定の金額がある場合には、これらの金額を控除した残額を当該補修用部品在庫調整勘定又は単行本在庫調整勘定に係る棚卸資産の帳簿価額とする。
(8) 自己株式を貸借対照表の資本の部の控除項目として表示している場合には、当該自己株式の金額を加算した金額を総資産の帳簿価額とすることができる。
(税効果会計を適用している場合の総資産の帳簿価額)
3-2-8 連結法人が税効果会計を適用している場合において、貸借対照表に計上されている繰延税金資産の額があるときは、当該繰延税金資産の額は、総資産の帳簿価額に含まれることに留意する。
(税効果会計を適用している場合に総資産の帳簿価額から控除する金額)
3-2-9 連結法人が税効果会計を適用している場合には、総資産の帳簿価額から控除する利益又は剰余金の処分による圧縮積立金又は特別償却準備金の金額は、貸借対照表に計上されている圧縮積立金勘定又は特別償却準備金勘定の金額とこれらの勘定に係る繰延税金負債の額との合計額となることに留意する。
(注) 当該繰延税金負債が繰延税金資産と相殺されて貸借対照表に計上されている場合には、その相殺後の残額となることに留意する。この場合、その相殺については、圧縮積立金勘定又は特別償却準備金勘定に係る繰延税金負債の額が繰延税金資産の額とまず相殺されたものとして取り扱って差し支えない。
(あん分計算の基礎となる株式等の範囲)
3-2-10 令第 155条の8第1項第2号《連結法人株式等及び関係法人株式等以外の株式等の帳簿価額》に規定する「連結法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式及び出資」若しくは「証券投資信託の受益証券」又は同条第2項第2号《関係法人株式等の帳簿価額》に規定する「関係法人株式等」には、配当等の有無にかかわらずすべてのものが含まれることに留意する。ただし、信用取引により買い付けた株式で、その決済が未了のものはこれに含めないことができる。
(新株予約権付社債に係る新株予約権の行使があった場合の取扱い)
3-2-11 新株予約権付社債に係る新株予約権の行使があった場合において、商法第 341条ノ3第1項《発行事項に関する決定》の規定により、当該新株予約権付社債の発行に際し当該新株予約権の行使があった日の属する連結事業年度又はその直前の連結事業年度の終了の日において新株の発行があったものとみなして利益の配当を計算する旨を決議しているときにおける令第 155条の8第1項《株式等に係る負債の利子の額》の規定の適用については、その新株の発行があったものとみなされた連結事業年度終了の日(その日が当該新株予約権付社債の取得の日前である場合には、その取得の日)において株式の取得があったものとして取り扱う。
(他の連結法人に係る社債発行差金の計算)
3-2-12 連結法人の当該連結事業年度において支払う負債の利子が令第21条第1項《負債利子に準ずるもの》に規定する社債発行差金である場合で、当該社債発行差金に係る社債の一部を法第81条の4第3項《負債の利子の控除》に規定する他の連結法人が有しているときの同項の規定により負債の利子から除かれる社債発行差金の額は、当該連結事業年度の損金の額に算入される社債発行差金の償却費のうち当該他の連結法人が当該連結事業年度の期間内において有していた社債の額及びその有していた期間に対応する額として計算した金額によるものとする。
(連結法人間の負債利子の元本たる負債の額)
3-2-13令第 155条の8第1項第1号ホ《総資産の帳簿価額》に規定する「負債の利子の元本である負債の額」には、当該連結事業年度において利払期が到来しない等のため利子の支払がない負債であっても、その利子が連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人に支払う負債の利子に該当するときは、その負債の額が含まれることに留意する。
第4章 その他の益金等
第1節 資産の評価益
(時価を超える評価益の益金不算入)
4-1-1 連結法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を増額した場合において、その評価換えが法第25条第1項かっこ書《資産の評価益の益金不算入の適用除外》に規定する評価換えに該当するときにおいても、その評価換え後の資産の帳簿価額が評価換えをした時における当該資産の価額を超えるときは、その超える金額に相当する金額は益金の額に算入しないのであるから、当該資産の帳簿価額は、その超える部分の金額の増額がなされなかったことに留意する。
(取得価額の修正等と評価益の計上との関係)
4-1-2 次に掲げる事実に基づき生じた益金は、法第25条第1項《資産の評価益の益金不算入》に規定する資産の評価益には該当しないことに留意する。 (1) 減価償却資産として計上すべき費用の額を修繕費等として損金経理をした連結法人が減価償却資産として受け入れるに当たり、当該費用の額をもって減価償却資産の帳簿価額として計上したため、既往の償却費に相当する金額だけその増額が行われたこと。
(2) 圧縮記帳による圧縮額を引当金又は目的積立金として経理している連結法人が、その引当金又は目的積立金を取り崩したこと。
第2節 受贈益
第1款 広告宣伝用資産等の受贈益
(広告宣伝用資産等の受贈益)
4-2-1 販売業者等が製造業者等から資産(広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように専ら広告宣伝の用に供されるものを除く。)を無償又は製造業者等の当該資産の取得価額に満たない価額により取得した場合には、当該取得価額又は当該取得価額から販売業者等がその取得のために支出した金額を控除した金額を経済的利益の額としてその取得の日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、その取得した資産が次に掲げるような広告宣伝用のものである場合には、その経済的利益の額は、製造業者等のその資産の取得価額の3分の2に相当する金額から販売業者等がその取得のために支出した金額を控除した金額とし、当該金額(同一の製造業者等から2以上の資産を取得したときは当該金額の合計額)が30万円以下であるときは、経済的利益の額はないものとする。
(1) 自動車(自動三輪車及び自動二輪車を含む。)で車体の大部分に一定の色彩を塗装して製造業者等の製品名又は社名を表示し、その広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
(2) 陳列棚、陳列ケース、冷蔵庫又は容器で製造業者等の製品名又は社名の広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
(3) 展示用モデルハウスのように製造業者等の製品の見本であることが明らかなもの
(注) 広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように、専ら広告宣伝の用に供される資産については、その取得による経済的利益の額はない。
(広告宣伝用資産の取得に充てるため金銭の交付を受けた場合の準用)
4-2-2 4-2-1は、販売業者等が製造業者等から広告宣伝用の資産の取得に充てるため金銭の交付を受けた場合について準用する。
第2款 未払賞与の免除益
(未払賞与を支払わないこととした場合の特例)
4-2-3 連結法人が未払賞与(連結所得の金額の計算上損金の額に算入されない賞与に限る。)につき取締役会等の決議に基づきその全部又は大部分の金額を支払わないこととした場合において、その支払わないことがいわゆる会社の整理、事業の再建及び業況不振のためのものであり、かつ、その支払われないこととなる金額がその支払を受ける金額に応じて計算されている等一定の基準によって決定されたものであるときは、その支払わないこととなった金額(その賞与について徴収される所得税額があるときは、当該税額を控除した金額)については、その支払わないことが確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入しないことができるものとする。 (注) 連結法人が未払配当金を支払わないこととした場合のその支払わないこととなった金額については、本文の取扱いの適用がないことに留意する。
第5章 棚卸資産の評価
第1節 棚卸資産の取得価額
第1款 購入した棚卸資産
(購入した棚卸資産の取得価額)
5-1-1 購入した棚卸資産の取得価額には、その購入の代価のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要したすべての費用の額が含まれるのであるが、次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。
(1) 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額
(2) 販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
(注) 1 (1) から(3) までに掲げる費用の額の合計額が少額かどうかについては、連結事業年度ごとに、かつ、種類等(種類、品質及び型の別をいう。以下5-2-18までにおいて同じ。)を同じくする棚卸資産(事業所別に異なる評価方法を選定している場合には、事業所ごとの種類等を同じくする棚卸資産とする。)ごとに判定することができる。
2 棚卸資産を保管するために要した費用(保険料を含む。)のうち(3)に掲げるもの以外のものの額は、その取得価額に算入しないことができる。
(棚卸資産の取得価額に算入しないことができる費用)
5-1-2 次に掲げるような費用の額は、たとえ棚卸資産の取得又は保有に関連して支出するものであっても、その取得価額に算入しないことができる。
(1) 不動産取得税の額
(2) 地価税の額
(3) 固定資産税及び都市計画税の額
(4) 特別土地保有税の額
(5) 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用の額
(6) 借入金の利子の額
(取得後の連結事業年度において購入代価が確定した場合の調整)
5-1-3 棚卸資産を取得した日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてその購入の代価が確定していないため見積価額で棚卸資産の取得価額を計算している場合において、その後の連結事業年度において購入の代価が確定したときは、その確定した金額と見積価額との差額に相当する金額は、その確定した日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、その差額が多額である場合には、その差額については、原価差額の調整方法に準じて調整する。
第2款 製造等に係る棚卸資産
(製造等に係る棚卸資産の取得価額)
5-1-4 自己の製造等に係る棚卸資産の取得価額には、その製造等のために要した原材料費、労務費及び経費の額の合計額のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額が含まれるのであるが、次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の製造原価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。
(1) 製造等の後において要した検査、検定、整理、選別、手入れ等の費用の額
(2) 製造場等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
(注)
1 (1) から(3) までに掲げる費用の額の合計額が少額かどうかについては、連結事業年度ごとに、かつ、種類等を同じくする棚卸資産(工場別に原価計算を行っている場合には、工場ごとの種類等を同じくする棚卸資産とする。)ごとに判定することができる。
2 棚卸資産を保管するために要した費用(保険料を含む。)のうち(3) に掲げるもの以外のものの額は、その取得価額に算入しないことができる。
(製造原価に算入しないことができる費用)
5-1-5 次に掲げるような費用の額は、製造原価に算入しないことができる。
(1) 使用人等に支給した賞与のうち、例えば創立何周年記念賞与のように特別に支給される賞与であることの明らかなものの額(通常賞与として支給される金額に相当する金額を除く。)
(2) 試験研究費のうち、基礎研究及び応用研究の費用の額並びに工業化研究に該当することが明らかでないものの費用の額
(3) 措置法に定める特別償却(同法第68条の37第1項《鉱業用坑道等の特別償却》の規定による特別償却を除く。)の規定の適用を受ける資産の償却費の額のうち特別償却限度額に係る部分の金額及び令第60条の2《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》の規定による陳腐化資産の償却費の額のうち陳腐化による償却費の額
(4) 工業所有権等について支払う使用料の額が売上高等に基づいている場合における当該使用料の額及び当該工業所有権等に係る頭金の償却費の額
(5) 工業所有権等について支払う使用料の額が生産数量等を基礎として定められており、かつ、最低使用料の定めがある場合において支払われる使用料の額のうち生産数量等により計算される使用料の額を超える部分の金額
(6) 複写して販売するための原本となるソフトウエアの償却費の額
(7) 棚卸資産の評価損の額(通常発生する不良品についての評価損に相当する金額を除く。)及び低価法によって評価している場合の原価法の評価額から時価による評価額を控除した金額
(8) 事業税の額
(9) 事業の閉鎖、事業規模の縮小等のため大量に整理した使用人に対し支給する退職給与の額
(10) 生産を相当期間にわたり休止した場合のその休止期間に対応する費用の額
(11) 償却超過額その他税務計算上の否認金の額
(12) 障害者の雇用の促進等に関する法律第26条第1項《障害者雇用納付金の徴収》に規定する障害者雇用納付金の額
(13) 工場等が支出した寄附金の額
(14) 借入金の利子の額
(製造間接費の製造原価への配賦)
5-1-6 連結法人の事業の規模が小規模である等のため製造間接費を製品、半製品又は仕掛品に配賦することが困難である場合には、その製造間接費を半製品及び仕掛品の製造原価に配賦しないで製品の製造原価だけに配賦することができる。
(賞与引当金と使用人賞与の原価算入の関係)
5-1-7 連結法人が賞与引当金勘定を設けた連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度) の翌連結事業年度において賞与を支給した場合には、その支給した賞与の額の原価算入については、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1) その支給した賞与のうち製造原価に算入すべきものの額が賞与引当金勘定の金額(製造原価に算入した金額に限る。)を超える場合には、その超える部分の金額については製造原価に算入し、当該賞与引当金勘定の金額に達するまでの金額については製造原価に算入しない。
(2) その支給した賞与の額で製造原価に算入すべきものが当該賞与引当金勘定の金額以下であるときは、その賞与の額は製造原価に算入しない。
(法令に基づき交付を受ける給付金等の額の製造原価からの控除)
5-1-8 連結法人が、その支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補てんするために雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき給付される給付金等の交付を受けた場合(2-1-45《法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期》の取扱いの適用がある場合を含む。)において、その給付の対象となった事実に係る休業手当、賃金、職業訓練費等の経費の額を製造原価に算入しているときは、その交付を受けた金額のうちその製造原価に算入した休業手当、賃金、職業訓練費等の経費の額に対応する金額を当該製造原価の額から控除することができる。
(副産物、作業くず又は仕損じ品の評価)
5-1-9 製品の製造工程から副産物、作業くず又は仕損じ品(以下5-1-9において「副産物等」という。)が生じた場合には、総製造費用の額から副産物等の評価額の合計額を控除したところにより製品の製造原価の額を計算するのであるが、この場合の副産物等の評価額は、継続して当該副産物等に係る実際原価として合理的に見積った価額又は通常成立する市場価額によるものとする。ただし、当該副産物等の価額が著しく少額である場合には、備忘価額で評価することができる。
第2節 棚卸資産の評価の方法
第1款 原価法
(個別法を選定することができる棚卸資産)
5-2-1 棚卸資産のうち、次に掲げるものについては、個別法(その評価額を基礎とする低価法を含む。)によりその評価額を計算することができるものとする。
(1) 商品の取得から販売に至るまでの過程を通じて具体的に個品管理が行われている場合又は製品、半製品若しくは仕掛品の取得から販売若しくは消費までの過程を通じて具体的に個品管理が行われ、かつ、個別原価計算が実施されている場合において、その個品管理を行うこと又は個別原価計算を実施することに合理性があると認められるときにおけるその商品又は製品、半製品若しくは仕掛品
(2) その性質上専ら(1) の製品又は半製品の製造等の用に供されるものとして保有されている原材料
(その都度後入先出法)
5-2-2 棚卸資産の払出しの都度、その払出し後に残る棚卸資産を当該払出しの日から最も遠い日において取得した棚卸資産から順次成るものとみなして当該連結事業年度終了の日における棚卸資産の取得価額を計算する方法は、後入先出法に該当するものとする。
(月別後入先出法等)
5-2-3 1月ごとに後入先出法、総平均法、移動平均法又は単純平均法により計算した価額を当該月末における棚卸資産の取得価額とみなし、翌月においてこれを繰越価額として順次計算することにより当該連結事業年度終了の日における棚卸資産の取得価額を計算する方法は、それぞれ後入先出法、総平均法、移動平均法又は単純平均法に該当するものとする。
(6月ごと後入先出法等)
5-2-4 6月ごとに後入先出法、総平均法、単純平均法又は売価還元法により棚卸資産の取得価額を計算する方法は、それぞれ後入先出法、総平均法、単純平均法又は売価還元法に該当するものとする。
(注) 6月ごと移動平均法は、移動平均法に該当しない。
(半製品又は仕掛品についての売価還元法)
5-2-5 製造業を営む連結法人が、原価計算を行わないため半製品及び仕掛品について製造工程に応じて製品売価の何割として評価する場合のその評価の方法は、売価還元法に該当するものとする。
(売価還元法の適用区分)
5-2-6 売価還元法により評価額を計算する場合には、その種類の著しく異なるものを除き、通常の差益の率がおおむね同じ棚卸資産はこれをその計算上の一区分とすることができるものとする。
(売価還元法により評価額を計算する場合の期中に販売した棚卸資産の対価の総額の計算)
5-2-7 売価還元法により評価額を計算する場合における令第28条第1項第1号チ《売価還元法》に規定する「当該事業年度において販売した当該棚卸資産の対価の総額」は、連結法人が当該連結事業年度において販売した棚卸資産の実際の販売価額の合計額によるのであるが、当該連結事業年度において使用人、株主、特定の顧客等特定の者に対する販売について値引きを行っている場合において、その者に対する販売状況が個別に管理されており、その値引きの額が明らかにされているときは、その値引きの額をその販売価額に加算して計算することができるものとする。
(売価還元法により評価額を計算する場合の通常の販売価額の総額の計算)
5-2-8 売価還元法により評価額を計算する場合における令第28条第1項第1号チ《売価還元法》に規定する「通常の販売価額の総額」は、連結法人が当該連結事業年度において販売した棚卸資産について値引き、割戻し等を行いそれを売上金額から控除しているような場合であっても、値引き、割戻し等を考慮しないところの販売価額の総額によることに留意する。
(原価の率が 100%を超える場合の売価還元法の適用)
5-2-9 売価還元法を適用する場合において、令第28条第1項第1号チ《売価還元法》に規定する原価の率が 100%を超えることとなったときでも、その率により期末棚卸資産の評価額を計算することに留意する。
(未着品の評価)
5-2-10 未着品(購入した棚卸資産で運送の途中にあるものをいう。以下5-2-14までにおいて同じ。)につきその取得のために通常要する引取運賃、荷役費その他の付随費用のうち当該連結事業年度終了の時までに支出がされていないためその取得価額に算入されていないものがある場合には、当該未着品については、これと種類等を同じくする棚卸資産があるときであっても、当該棚卸資産とは種類等が異なるものとして令第28条《棚卸資産の評価の方法》の規定を適用する。
第2款 低価法
(低価法における低価の事実の判定の単位)
5-2-11 低価法における低価の事実の判定は、棚卸資産の種類等の同じもの(棚卸資産を通常の差益の率の同じものごとに区分して売価還元法を選定している場合には、通常の差益の率の同じものとする。)について行うべきであるが、連結法人が事業の種類ごとに、かつ、令第29条第1項《たな卸資産の評価方法の選定単位》に規定する棚卸資産の区分ごとに一括して計算した場合には、これを認める。ただし、令第28条第2項《切放し低価法》の規定を適用している棚卸資産については、一括して計算することはできないものとする。
(原価差額の調整を一括して行っている場合の低価の事実の判定)
5-2-12 低価法により評価をしている棚卸資産について原価差額の調整を一括して行っている場合の低価の事実の判定は、原価差額の調整を行った区分に含まれる棚卸資産の時価の合計額と原価差額調整後の評価額の合計額とに基づいて行うこととなることに留意する。
(購入した棚卸資産の時価)
5-2-13 購入した棚卸資産について低価法を適用する場合における令第28条第1項第2号《低価法》に規定する「当該事業年度終了の時におけるその取得のために通常要する価額」(以下5-2-18までにおいて「期末の時価」という。)は、当該連結事業年度終了の時においてその棚卸資産の所在する場所でこれと種類等を同じくする棚卸資産について通常の取引方法により通常取引される数量を購入する場合の購入の代価にその付随費用を加算した金額による。
(未着品の時価)
5-2-14 連結法人が未着品について低価法を適用する場合において、その未着品につきその取得のために通常要する引取運賃、荷役費その他の付随費用のうち当該連結事業年度終了の時までに支出がされていないためその取得価額に算入されていないものがあるときは、当該未着品の期末の時価は、その算入されていない費用に相当する費用の額を含めないところで計算した金額による。
(製造等に係る棚卸資産の時価)
5-2-15 自己の製造等に係る棚卸資産について低価法を適用する場合における期末の時価は、当該連結事業年度終了の時においてその棚卸資産が製造等されたものと仮定した場合の製造原価の額にこれを消費し又は販売の用に供するために直接要する費用の額を加算した金額による。ただし、事業の規模が小であるため本文によることが困難である場合において、連結法人が継続して各連結事業年度終了の時において通常取引される棚卸資産の販売価額から通常の一般管理費、販売費及び利益の額(通常の利益の額を計算することが困難であるときは、その販売価額の5%相当額とする。)の見積額の合計額に相当する金額を控除した金額をその棚卸資産の期末の時価としているときは、これを認める。
(製品について控除法により評価する場合の半製品又は仕掛品の時価)
5-2-16 連結法人が製品について5-2-15のただし書により期末の時価を計算している場合には、当該製品に係る半製品又は仕掛品の期末の時価は、当該製品の期末の時価を基礎としてその進行又は完成の程度に応じて計算した金額による。
(建値と市中相場とがある棚卸資産の時価)
5-2-17 建値と市中相場とがある棚卸資産について低価法を適用する場合の期末の時価は、建値により取得したものについてはその建値、市中相場により取得したものについてはその市中相場に、それぞれの付随費用を加算した金額による。
(注) 各連結事業年度終了の時における棚卸資産がいずれの相場により取得されたものであるか明らかでない場合には、それぞれの期中取得数量の比その他適正な方法により区分する。
(輸入原材料等の時価)
5-2-18 輸入原材料等について低価法を適用する場合の期末の時価は、その輸入原材料等と種類等を同じくする原材料等を当該連結事業年度終了の時に国内において輸入により取得するために通常要する価額による。
第3款 棚卸資産の評価額の計算と評価換え等との関係
(期中に評価換えをした棚卸資産の帳簿価額及び評価額の計算)
5-2-19 連結法人が連結事業年度の中途において組織変更、更生手続の開始決定等により、その有する棚卸資産につき評価換えを行った場合には、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額は、その評価換えの時を連結事業年度終了の時とみなしてその選定している評価の方法によって計算した金額とし、その評価換えを行った棚卸資産の当該連結事業年度終了の時における評価額は、評価換えを行った時においてその評価換え後の金額によって取得したものとして計算するものとする。
第4款 評価の方法の選定及び変更
(評価方法の選定単位の細分)
5-2-20 連結法人は、棚卸資産の評価の方法につき、事業所別に、又は令第29条第1項《たな卸資産の評価の方法の選定単位》に定める棚卸資産の区分を更にその種類の異なるごとその他合理的な区分ごとに細分してそれぞれ異なる評価の方法を選定することができる。
(注) 同項に定める棚卸資産の区分又はその種類を同じくする棚卸資産のうちに個別法を選定することができるものがある場合には、これを区分して個別法を選定することができる。
(評価方法の変更申請があった場合の「相当期間」)
5-2-21 いったん採用した棚卸資産の評価の方法は特別の事情がない限り継続して適用すべきものであるから、連結法人が現によっている評価の方法を変更するために当該連結法人に係る連結親法人が令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第30条第2項《たな卸資産の評価の方法の変更手続》の規定に基づいてその変更承認申請書を提出した場合において、その現によっている評価の方法を採用してから3年を経過していないときは、その変更が合併や分割に伴うものである等その変更することについて特別な理由があるときを除き、同条第3項の相当期間を経過していないときに該当するものとする。
(注) その変更承認申請書の提出がその現によっている評価の方法を採用してから3年を経過した後になされた場合であっても、その変更することについて合理的な理由がないと認められるときは、その変更を承認しないことができる。
第3節 原価差額の調整
(原価差額の調整)
5-3-1 連結法人が各連結事業年度において製造等をした棚卸資産につき算定した取得価額が、令第32条第1項《棚卸資産の取得価額》に規定する取得価額に満たない場合には、その差額(以下この節において「原価差額」という。)のうち期末棚卸資産に対応する部分の金額は、当該期末棚卸資産の評価額に加算する。
(原価差額の範囲)
5-3-2 原価差額には、材料費差額、労務費差額、経費差額等のほか、内部振替差額を含むことに留意する。
(原価差額の調整期間)
5-3-3 連結事業年度が1年である連結法人の原価差額の調整は、継続適用を条件に、各連結事業年度を当該連結事業年度開始の日から連結中間事業年度終了の日までの期間(以下「上期」という。)と連結中間事業年度終了の日の翌日から連結確定事業年度(当該連結中間事業年度を含む連結事業年度をいう。以下同じ。)終了の日までの期間(以下「下期」という。)とに区分し、それぞれの期間について行うことができる。この場合、5-3-4及び5-3-5の適用に当たっては、上期及び下期のそれぞれの期間ごとに、その期間に発生した原価差額によりその調整の要否を判定することに留意する。
(原価差額の調整を要しない場合)
5-3-4 原価差額が少額(総製造費用のおおむね1%相当額以内の金額)である場合において、連結法人がその計算を明らかにした明細書を連結確定申告書に添付したときは、原価差額の調整を行わないことができるものとする。この場合において、総製造費用の計算が困難であるときは、連結法人の計算による製品受入高合計に仕掛品及び半製品の期末棚卸高を加算し、仕掛品及び半製品の期首棚卸高を控除して計算することができる。
(注) 原価差額が少額かどうかについては、事業の種類ごとに判定するものとするが、連結法人が製品の種類別に原価計算を行っている場合には、継続して製品の種類の異なるごとにその判定を行うことができる。
(原価差額の調整を工場ごとに行っている場合の調整の省略)
5-3-5 原価差額が事業の種類ごと又は製品の種類の異なるごとの総製造費用のおおむね1%相当額を超える場合においても、連結法人が原価差額の調整単位を更に工場ごとに細分しているときは、各工場における当該調整単位ごとの原価差額のうちそれぞれの総製造費用の1%相当額以内のものについては、5-3-4に準じて調整を行わないことができるものとする。
(原価差額の簡便調整方法)
5-3-6 連結法人が各連結事業年度において生じた原価差額を仕掛品、半製品及び製品の順に調整することをしないで、その原価差額を一括し、次に掲げる算式により計算した金額を期末棚卸資産に配賦したときは、これを認める。
(算式)
(注)
1 算式中の分母及び分子の金額は、連結法人の計算額による。
2 この算式は、事業の種類ごと(連結法人が原価差額が少額かどうかの判定を製品の種類の異なるごとに行うこととしている場合には、製品の種類の異なるごと)に適用する。
3 連結法人が直接原価計算制度を採用している場合には、この調整方法の適用はない。ただし、連結法人がこの調整方法を適用することについて、当該連結法人に係る連結親法人の所轄税務署長(当該連結親法人が国税局の調査課所管法人である場合には、所轄国税局長)が合理性があると認めて承認をした場合には、この限りではない。
(原価差額の簡便調整方法の特例)
5-3-7 5-3-3の適用を受けた連結法人が、下期に繰り越された個々の棚卸資産に原価差額を配賦しないで一括して処理している場合において、下期における原価差額の調整を5-3-6の方法により行うときは、同項の算式中「原価差額」とあるのは「下期に生じた原価差額に上期末の棚卸資産に一括配賦した原価差額を加算した金額」と、「売上原価」とあるのは「下期に係る売上原価」と、それぞれ読み替えて適用するものとする。
(内部振替差額の調整)
5-3-8 連結法人が内部振替差額の調整を他の原価差額と区分して、その内部振替差額に適合した合理的な調整方法により行ったときは、これを認める。
(原価差額を一括調整した場合の翌期の処理)
5-3-9 連結法人が原価差額を個々の棚卸資産に配賦しないで一括して処理している場合には、その一括して処理している金額は、翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の損金の額に算入することができる。
(原材料受入差額の処理の簡便計算方式)
5-3-10 連結法人が原材料の受入れについて見積原価等を採用している場合に生ずる原材料受入差額について、当期原材料払出高と期末原材料棚卸高とに適正に配賦し、期末原材料棚卸高に対応する部分の金額を個々の資産に配賦しないで一括して処理しているときは、これを認める。
(注) 当期原材料払出高に対応する原材料受入差額は当期の原価差額に、期末原材料棚卸高に対応する原材料受入差額は翌期の製造原価に含めることに留意する。
(申告調整できる貸方原価差額)
5-3-11 連結法人が棚卸資産につき算定した取得価額が令第32条第1項《棚卸資産の取得価額》に規定する取得価額を超える場合のその差額のうち、法又は措置法の規定により損金の額に算入されないため連結確定申告に際して自己否認した金額から成る部分の金額については、当該申告に係る申告書においてその調整を行うことができるものとする。
第4節 棚卸しの手続
(棚卸しの手続)
5-4-1 棚卸資産については各連結事業年度終了の時において実地棚卸しをしなければならないのであるが、連結法人が、その業種、業態及び棚卸資産の性質等に応じ、その実地棚卸しに代えて部分計画棚卸しその他合理的な方法により当該連結事業年度終了の時における棚卸資産の在高等を算定することとしている場合には、継続適用を条件としてこれを認める。
第6章 減価償却資産の償却等
第1節 減価償却資産の範囲
第1款 減価償却資産
(書画骨とう等)
6- 1-1 書画骨とう(複製のようなもので、単に装飾的目的にのみ使用されるものを除く。以下6-1-1において同じ。)のように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないのであるが、次に掲げるようなものは原則として書画骨とうに該当する。
(1) 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
(2) 美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等
(注) 書画骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができるものとする。
(貴金属の素材の価額が大部分を占める固定資産)
6- 1-2 ガラス繊維製造用の白金製溶解炉、光学ガラス製造用の白金製るつぼ、か性カリ製造用の銀製なべのように、素材となる貴金属の価額が取得価額の大部分を占め、かつ、一定期間使用後は素材に還元のうえ鋳直して再使用することを常態としているものは、減価償却資産には該当しない。この場合において、これらの資産の鋳直しに要する費用(地金の補給のために要する費用を含む。)の額は、その鋳直しをした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。 (注) 白金ノズルは減価償却資産に該当するのであるが、これに類する工具で貴金属を主体とするものについても、白金ノズルに準じて減価償却をすることができるものとする。
(稼働休止資産)
6- 1-3 稼働を休止している資産であっても、その休止期間中必要な維持補修が行われており、いつでも稼働し得る状態にあるものについては、減価償却資産に該当するものとする。 (注) 他の場所において使用するために移設中の固定資産については、その移設期間がその移設のために通常要する期間であると認められる限り、減価償却を継続することができる。
(建設中の資産)
6- 1-4 建設中の建物、機械及び装置等の資産は減価償却資産に該当しないのであるが、建設仮勘定として表示されている場合であっても、その完成した部分が事業の用に供されているときは、その部分は減価償却資産に該当するものとする。
(常備する専用部品の償却)
6- 1-5 例えば航空機の予備エンジン、電気自動車の予備バッテリー等のように減価償却資産を事業の用に供するために必要不可欠なものとして常備され、繰り返して使用される専用の部品(通常他に転用できないものに限る。)は、当該減価償却資産と一体のものとして減価償却をすることができる。
(工業所有権の実施権等)
6- 1-6 連結法人が他の者の有する工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権及び商標権をいう。以下同じ。)について実施権又は使用権を取得した場合におけるその取得のために要した金額については、当該工業所有権に準じて取り扱う。この場合において、その実施権又は使用権のその取得後における存続期間が当該工業所有権の耐用年数に満たないときは、当該存続期間の年数(1年未満の端数は切り捨てる。)をその耐用年数とすることができる。
(織機の登録権利等)
6- 1-7 繊維工業における織機の登録権利、許可漁業の出漁権、タクシー業のいわゆるナンバー権のように法令の規定、行政官庁の指導等による規制に基づく登録、認可、許可、割当て等の権利を取得するために支出する費用は、営業権に該当するものとする。 (注) 例えば当該権利に係る事業を廃止する者に対して残存業者が負担する補償金のように当該権利の維持又は保全のために支出する費用についても、営業権として減価償却をすることができる。
(無形減価償却資産の事業の用に供した時期)
6- 1-8 令第13条第8号《無形減価償却資産の範囲》に掲げる無形減価償却資産のうち、漁業権及び工業所有権については、その存続期間の経過により償却すべきものであるから、その取得の日から事業の用に供したものとして取り扱う。
(温泉利用権)
6- 1-9 連結法人が温泉を湧出する土地を取得した場合におけるその取得に要した金額から当該土地に隣接する温泉を湧出しない土地の価額に比準して計算した土地の価額を控除した金額又は温泉を利用する権利を取得するために要した金額については、水利権に準じて取り扱う。ただし、温泉を利用する権利だけを取得した場合において、その利用につき契約期間の定めがあるもの(契約期間を延長しない旨の明らかな定めのあるものに限る。)については、その契約期間を耐用年数として償却することができる。
(公共下水道施設の使用のための負担金)
6- 1-10 連結法人が、下水道法第2条第3号《公共下水道の定義》に規定する公共下水道を使用する排水設備を新設し、又は拡張する場合において、公共下水道管理者に対してその新設又は拡張により必要となる公共下水道の改築に要する費用を負担するときは、その負担金の額については、水道施設利用権に準じて取り扱う。
(研究開発のためのソフトウエア)
6- 1-11 連結法人が、特定の研究開発にのみ使用するため取得又は製作をしたソフトウエア(研究開発のためのいわば材料となるものであることが明らかなものを除く。)であっても、当該ソフトウエアは減価償却資産に該当することに留意する。 (注) 当該ソフトウエアが耐用年数省令第2条第4号《特殊の減価償却資産の耐用年数》に規定する開発研究の用に供されている場合には、耐用年数省令別表第八に掲げる耐用年数が適用されることに留意する。
(電気通信施設利用権の範囲)
6- 1-12 令第13条第8号ソ《電気通信施設利用権》に規定する電気通信施設利用権とは、電気通信事業法施行規則第3条第2項《電気通信役務の種類》の表に掲げる役務の提供を受ける権利のうち電話加入権(加入電話契約に基づき加入電話の提供を受ける権利をいう。)及びこれに準ずる権利を除くすべての権利をいうのであるから、例えば、「電信役務」、「専用役務」、「データ通信役務」、「デジタルデータ伝送役務」、「無線呼出し役務」等の提供を受ける権利は、これに該当する。
(社歌、コマーシャルソング等)
6- 1 -13 社歌、コマーシャルソング等の制作のために要した費用の額は、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
第2款 少額の減価償却資産等
(少額の減価償却資産又は一括償却資産の取得価額の判定)
6- 1 -14 令第 133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》又は第 133条の2《一括償却資産の損金算入》の規定を適用する場合において、取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えばまくら木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては一の工事等ごとに判定する。
(使用可能期間が1年未満の減価償却資産の範囲)
6- 1 -15 令第 133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》の使用可能期間が1年未満である減価償却資産とは、連結法人の属する業種(例えば紡績業、鉄鋼業、建設業等の業種)において種類等を同じくする減価償却資産の使用状況、補充状況等を勘案して一般的に消耗性のものとして認識されている減価償却資産で、その連結法人の平均的な使用状況、補充状況等からみてその使用可能期間が1年未満であるものをいう。この場合において、種類等を同じくする減価償却資産のうちに材質、型式、性能等が著しく異なるため、その使用状況、補充状況等も著しく異なるものがあるときは、当該材質、型式、性能等の異なるものごとに判定することができる。
(注) 平均的な使用状況、補充状況等は、おおむね過去3年間の平均値を基準として判定する。
(一括償却資産につき滅失等があった場合の取扱い)
6- 1 -16 連結法人が令第 133条の2第1項《一括償却資産の損金算入》に規定する一括償却資産につき同項の規定の適用を受けている場合には、その一括償却資産を事業の用に供した連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)後の各連結事業年度においてその全部又は一部につき滅失、除却等の事実が生じたときであっても、当該各連結事業年度においてその一括償却資産につき損金の額に算入される金額は、同項の規定に従い計算される損金算入限度額に達するまでの金額となることに留意する。
(注) 一括償却資産の全部又は一部を譲渡した場合についても、同様とする。
第2節 減価償却の方法
(部分的に用途を異にする建物の償却)
6-2-1 一の建物が部分的にその用途を異にしている場合において、その用途を異にする部分がそれぞれ相当の規模のものであり、かつ、その用途の別に応じて償却することが合理的であると認められる事情があるときは、当該建物につきそれぞれその用途を異にする部分ごとに異なる償却の方法を選定することができるものとする。
(特別な償却の方法の選定単位)
6-2-2 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第48条の2第1項《減価償却資産の特別な償却の方法》の規定による特別な償却の方法の選定は、令第51条第1項《減価償却資産の償却の方法の選定》に定める区分ごとに行うべきものであるが、連結法人が減価償却資産の種類(その種類につき構造若しくは用途、細目又は設備の種類の区分が定められているものについては、その構造若しくは用途、細目又は設備の種類の区分)ごとに、かつ、耐用年数の異なるものごとに選定した場合には、これを認める。
(特別な償却の方法の承認)
6-2-3 連結法人の申請に係る特別な償却の方法について当該連結法人に係る連結親法人から申請書の提出があった場合には、その申請に係る償却の方法が、申請に係る減価償却資産の種類、構造、属性、使用状況等からみてその減価償却資産の償却につき適合するものであるかどうか、償却限度額の計算の基礎となる残存価額、償却率、生産高等が合理的に算定されているかどうか等を勘案して承認の適否を判定する。この場合において、その方法が次に掲げる条件に該当するものであるときは、これを承認する。
(1) その方法が算術級数法のように定率法又は定額法に類するものであるときは、その償却年数が法定耐用年数より短くなく、残存価額が取得価額の10%相当額以上であること。
(2) その方法が生産高、使用時間、使用量等を基礎とするものであるときは、その方法がその減価償却資産の償却につき定率法又は定額法より合理的なものであり、かつ、その減価償却資産に係る総生産高、総使用時間、総使用量等が合理的に計算されるもので、その残存価額が取得価額の10%相当額以上であること。
(3) その方法が取替法に類するものであるときは、申請に係る減価償却資産の属性、取替状況等が取替法の対象となる減価償却資産に類するものであり、その取得価値の50%相当額に達するまで定率法等により償却することとされていること。
(償却方法の変更申請があった場合の「相当期間」)
6-2-4 いったん採用した減価償却資産の償却の方法は特別の事情がない限り継続して適用すべきものであるから、連結法人が現によっている償却の方法を変更するために令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第52条第2項《減価償却資産の償却の方法の変更手続》の規定に基づいて当該連結法人に係る連結親法人がその変更承認申請書を提出した場合において、その現によっている償却の方法を採用してから3年を経過していないときは、その変更が合併や分割に伴うものである等その変更することについて特別な理由があるときを除き、同条第3項の相当期間を経過していないときに該当するものとする。 (注)
その変更承認申請書の提出がその現によっている償却の方法を採用してから3年を経過した後になされた場合であっても、その変更することについて合理的な理由がないと認められるときは、その変更を承認しないことができる。
第3節 固定資産の取得価額等
第1款 固定資産の取得価額
(高価買入資産の取得価額)
6-3-1 連結法人が不当に高価で買い入れた固定資産について、その買入価額のうち実質的に贈与をしたものと認められた金額がある場合には、買入価額から当該金額を控除した金額を取得価額とすることに留意する。
(借入金の利子)
6-3-2 固定資産を取得するために借り入れた借入金の利子の額は、たとえ当該固定資産の使用開始前の期間に係るものであっても、これを当該固定資産の取得価額に算入しないことができるものとする。
(注) 借入金の利子の額を建設中の固定資産に係る建設仮勘定に含めたときは、当該利子の額は固定資産の取得価額に算入されたことになる。
(割賦購入資産等の取得価額に算入しないことができる利息相当部分)
6- 3-3 割賦販売契約(延払条件付譲渡契約を含む。)によって購入した固定資産の取得価額には、契約において購入代価と割賦期間分の利息及び売手側の代金回収のための費用等に相当する金額とが明らかに区分されている場合のその利息及び費用相当額を含めないことができる。
(固定資産の取得に関連して支出する地方公共団体に対する寄附等)
6-3-4 連結法人が都道府県又は市町村からその工場誘致等により土地その他の固定資産を取得し、購入の代価のほかに、その取得に関連して都道府県若しくは市町村又はこれらの指定する公共団体等に寄附金又は負担金の名義で金銭を支出した場合においても、その支出した金額が実質的にみてその資産の代価を構成すべきものと認められるときは、その支出した金額はその資産の取得価額に算入する。
(固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示)
6-3-5 次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。
(1) 次に掲げるような租税公課等の額
イ 不動産取得税又は自動車取得税
ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
ハ 新増設に係る事業所税
二 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
(2) 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用の額
(3) いったん締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金の額
(土地についてした防壁、石垣積み等の費用)
6-3-6 埋立て、地盛り、地ならし、切土、防壁工事その他土地の造成又は改良のために要した費用の額はその土地の取得価額に算入するのであるが、土地についてした防壁、石垣積み等であっても、その規模、構造等からみて土地と区分して構築物とすることが適当と認められるものの費用の額は、土地の取得価額に算入しないで、構築物の取得価額とすることができる。
上水道又は下水道の工事に要した費用の額についても、同様とする。
(注) 専ら建物、構築物等の建設のために行う地質調査、地盤強化、地盛り、特殊な切土等土地の改良のためのものでない工事に要した費用の額は、当該建物、構築物等の取得価額に算入する。
(土地、建物等の取得に際して支払う立退料等)
6-3-7 連結法人が土地、建物等の取得に際し、当該土地、建物等の使用者等に支払う立退料その他立退きのために要した金額は、当該土地、建物等の取得価額に算入する。
(土地とともに取得した建物等の取壊費等)
6-3-8 連結法人が建物等の存する土地(借地権を含む。以下6-3-8において同じ。)を建物等とともに取得した場合又は自己の有する土地の上に存する借地人の建物等を取得した場合において、その取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手する等、当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、当該建物等の取壊しの時における帳簿価額及び取壊費用の合計額(廃材等の処分によって得た金額がある場合は、当該金額を控除した金額)は、当該土地の取得価額に算入する。
(事後的に支出する費用)
6-3-9 新工場の落成、操業開始等に伴って支出する記念費用等のように減価償却資産の取得後に生ずる付随費用の額は、当該減価償却資産の取得価額に算入しないことができるものとするが、工場、ビル、マンション等の建設に伴って支出する住民対策費、公害補償費等の費用(6-3-14の(2) 及び(3) に該当するものを除く。)の額で当初からその支出が予定されているもの(毎年支出することとなる補償金を除く。)については、たとえその支出が建設後に行われるものであっても、当該減価償却資産の取得価額に算入する。
(借地権の取得価額)
6-3-10 借地権の取得価額には、土地の賃貸借契約又は転貸借契約(これらの契約の更新及び更改を含む。以下6-3-10において「借地契約」という。)に当たり借地権の対価として土地所有者又は借地権者に支払った金額のほか、次に掲げるような金額を含むものとする。ただし、(1) に掲げる金額が建物等の購入代価のおおむね10%以下の金額であるときは、強いてこれを区分しないで建物等の取得価額に含めることができる。
(1) 土地の上に存する建物等を取得した場合におけるその建物等の購入代価のうち借地権の対価と認められる部分の金額
(2) 賃借した土地の改良のためにした地盛り、地ならし、埋立て等の整地に要した費用の額
(3) 借地契約に当たり支出した手数料その他の費用の額
(4) 建物等を増改築するに当たりその土地の所有者等に対して支出した費用の額
(治山工事等の費用)
6-3-11 天然林を人工林に転換するために必要な地ごしらえ又は治山の工事のために支出した金額(構築物の取得価額に算入されるものを除く。)は、林地の取得価額に算入する。
(公有水面を埋め立てて造成した土地の取得価額)
6-3-12 連結法人が公有水面を埋め立てて取得した土地の取得価額には、当該埋立てに要した費用の額のほか、公有水面埋立法第12条《免許料》の規定により徴収された免許料及び同法第6条《権利者に対する補償、損害防止施設》の規定による損害の補償に要する金額その他公有水面の埋立てをする権利の取得のために要した費用(以下6-3-13においてこれらの費用を「埋立免許料等」という。)の額が含まれることに留意する。
(残し等により埋め立てた土地の取得価額)
6-3-13 連結法人がその事業から生ずる残し(滓)等によって造成した埋立地の取得価額は、その残し等の処理のために要した運搬費、築石費、捨石工事費等(埋立免許料等を含む。以下6-3-13において「埋立費」という。)の額の合計額(当該合計額が埋立工事が完了した日の埋立地の価額を超える場合には、その超える金額を控除した金額)による。ただし、連結法人が次のいずれかの方法によっているときは、これを認める。
(1) 埋立工事中の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において支出した埋立費を埋立地の原価の額に算入し、連結事業年度終了の日における原価の合計額が、その埋立地が同日に完成したものとした場合におけるその埋立地の価額を超えるに至った場合において、その連結事業年度において支出した埋立費の額のうち、その超える金額を損金の額に算入して計算した原価の額をその取得価額とする方法
(2) 埋立費のうち埋立免許料等並びに残し等の処理のための築石費及び捨石工事費の額を埋立地の原価の額に算入し、その残し等の処理のために要した運搬費のような築石費及び捨石工事費以外の費用の額をその支出の都度損金の額に算入するとともに、連結法人がその埋立地の所有権を取得した時(所有権を取得する前にその埋立地に工作物を設置する等埋立地を使用するに至ったときのその使用部分については、使用の時)においてその取得時の埋立地の価額(当該価額が埋立費の合計額を超えるときは、当該合計額)をその取得価額として修正する方法
(宅地開発等に際して支出する開発負担金等)
6-3-14 連結法人が固定資産として使用する土地、建物等の造成又は建築等(以下6-3-14において「宅地開発等」という。)の許可を受けるために地方公共団体に対してその宅地開発等に関連して行われる公共的施設等の設置又は改良の費用に充てるものとして支出する負担金等(これに代えて提供する土地又は施設を含み、純然たる寄附金の性質を有するものを除く。以下6-3-14において同じ。)の額については、その負担金等の性質に応じそれぞれ次により取り扱うものとする。
(1) 例えば、団地内の道路、公園又は緑地、公道との取付道路、雨水調整池(流下水路を含む。)等のように直接土地の効用を形成すると認められる施設に係る負担金等の額は、その土地の取得価額に算入する。
(2) 例えば、上水道、下水道、工業用水道、汚水処理場、団地近辺の道路(取付道路を除く。)等のように土地又は建物等の効用を超えて独立した効用を形成すると認められる施設で当該連結法人の便益に直接寄与すると認められるものに係る負担金等の額は、それぞれその施設の性質に応じて無形減価償却資産の取得価額又は繰延資産とする。
(3) 例えば、団地の周辺又は後背地に設置されるいわゆる緩衝緑地、文教福祉施設、環境衛生施設、消防施設等のように主として団地外の住民の便益に寄与すると認められる公共的施設に係る負担金等の額は、繰延資産とし、その償却期間は8年とする。
(土地の取得に当たり支出する負担金等)
6-3-15 連結法人が地方公共団体等が造成した土地を取得するに当たり土地の購入の代価のほかに6-3-14に定める負担金等の性質を有する金額でその内容が具体的に明らかにされているものを支出した場合には、6-3-14に準じて取り扱うことができるものとする。
(埋蔵文化財の発掘費用)
6-3-16 連結法人が工場用地等の造成に伴い埋蔵文化財の発掘調査等をするために要した費用の額は、土地の取得価額に算入しないで、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。ただし、文化財の埋蔵されている土地をその事情を考慮して通常の価額より低い価額で取得したと認められる場合における当該発掘調査等のために要した費用の額については、この限りでない。
(私道を地方公共団体に寄附した場合)
6-3-17 連結法人が専らその有する土地の利用のために設置されている私道を地方公共団体に寄附した場合には、当該私道の帳簿価額を当該土地の帳簿価額に振り替えるものとし、その寄附をしたことによる損失はないものとする。
(集中生産を行う等のための機械装置の移設費)
6-3-18 集中生産又はよりよい立地条件において生産を行う等のため一の事業場の機械装置を他の事業場に移設した場合又はガスタンク、鍛圧プレス等多額の据付費を要する機械装置を移設した場合(措置法第68条の73《収用換地等の場合の連結所得の特別控除》に規定する収用換地等に伴い移設した場合を除く。)には、運賃、据付費等その移設に要した費用(解体費を除く。以下6-3-18において「移設費」という。)の額はその機械装置の取得価額に算入し、当該機械装置の移設直前の帳簿価額のうちに含まれている据付費(以下6-3-18において「旧据付費」という。)に相当する金額は損金の額に算入する。この場合において、その移設費の額の合計額が当該機械装置の移設直前の帳簿価額の10%に相当する金額以下であるときは、旧据付費に相当する金額を損金の額に算入しないで、当該移設費の額をその移設をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(注) 主として新規の生産設備の導入に伴って行う既存の生産設備の配置換えのためにする移設は、原則として集中生産又はよりよい立地条件において生産を行う等のための移設には当たらない。
(山林立木の取得価額)
6-3-19 植栽のための地ごしらえ費、種苗費、植栽費(通常の補植に要する費用を含む。)、ぶ育費、間伐費及び管理費等植栽のための地ごしらえから成林に至るまでの造林に要する一切の費用の金額は、山林立木の取得価額に算入する。ただし、おおむね毎年(将来にわたる場合を含む。)輪伐を行うことを通例とする連結法人の造林に要する費用のうち、ぶ育費、間伐費及び管理費については、その支出の日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。 (注) この取扱いによると、原則として間伐費は山林立木の取得価額に算入されるので、間伐材を譲渡した場合には譲渡原価はなく、その収益の全額が益金の額に算入されることになるが、連結法人がその譲渡による収益を益金の額に算入するとともに、間伐費及びその間伐に係る山林立木の帳簿価額のうち間伐材に対応する金額の合計額(当該収益の額を限度とする。)を譲渡原価として損金の額に算入しているときは、これを認める。
(工業所有権の取得価額)
6-3-20 連結法人が自己の行った試験研究に基づいて工業所有権を取得した場合には、その取得の時において繰延資産として計上されている試験研究費の額は、当該工業所有権の取得価額に算入する。 (注) 自己の行った試験研究に基づく工業所有権の出願料、特許料その他登録のために要する費用の額は、取得価額に算入しないことができる。
(出願権を取得するための費用)
6-3-21 連結法人が他から出願権(工業所有権に関し特許又は登録を受ける権利をいう。)を取得した場合のその取得の対価については、無形固定資産に準じて当該出願権の目的たる工業所有権の耐用年数により償却することができるが、その出願により工業所有権の登録があったときは、当該出願権の未償却残額(工業所有権を取得するために要した費用があるときは、その費用の額を加算した金額)に相当する金額を当該工業所有権の取得価額とする。
(自己の製作に係るソフトウエアの取得価額等)
6-3-22 自己の製作に係るソフトウエアの取得価額については、令第54条第1項第2号《自己の建設等に係る減価償却資産の取得価額》の規定に基づき、当該ソフトウエアの製作のために要した原材料費、労務費及び経費の額並びに当該ソフトウエアを事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額となることに留意する。
この場合、その取得価額については適正な原価計算に基づき算定することとなるのであるが、連結法人が、原価の集計、配賦等につき、合理的であると認められる方法により継続して計算している場合には、これを認めるものとする。
(注) 他の者から購入したソフトウエアについて、そのソフトウエアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用の額は、当該ソフトウエアの取得価額に算入することに留意する。
(ソフトウエアの取得価額に算入しないことができる費用)
6-3-23 次に掲げるような費用の額は、ソフトウエアの取得価額に算入しないことができる。
(1) 自己の製作に係るソフトウエアの製作計画の変更等により、いわゆる仕損じがあったため不要となったことが明らかなものに係る費用の額
(2) 研究開発費の額(自社利用のソフトウエアについては、その利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかなものに限る。)
(3) 製作等のために要した間接費、付随費用等で、その費用の額の合計額が少額(その製作原価のおおむね3%以内の金額)であるもの
(電話加入権の取得価額)
6-3-24 電話加入権の取得価額には、第一種電気通信事業者との加入電話契約に基づいて支出する工事負担金のほか、屋内配線工事に要した費用等電話機を設置するために支出する費用(当該費用の支出の目的となった資産を自己の所有とする場合のその設置のために支出するものを除く。)が含まれることに留意する。
(減価償却資産以外の固定資産の取得価額)
6-3-25 減価償却資産以外の固定資産の取得価額については、別に定めるもののほか、令第54条《減価償却資産の取得価額》及び第55条《資本的支出があった場合の減価償却資産の取得価額の特例》の規定並びにこれらに関する取扱いの例による。
(固定資産の原価差額の調整)
6-3-26 連結法人が棚卸資産に係る原価差額の調整を要する場合において、原材料等の棚卸資産を固定資産の製作又は建設(改良を含む。)のために供したとき又は自己生産に係る製品を固定資産として使用したときは、当該固定資産に係る原価差額は、その取得価額に配賦するものとする。
(固定資産について値引き等があった場合)
6-3-27 連結法人の有する固定資産について値引き、割戻し又は割引(以下6-3-27において「値引き等」という。)があった場合には、その値引き等のあった日の属する連結事業年度の確定した決算において次の算式により計算した金額の範囲内で当該固定資産の帳簿価額を減額することができるものとする。
(算式)
(注) 1 当該固定資産が法又は措置法の規定による圧縮記帳の適用を受けたものであるときは、算式の分母及び分子の金額はその圧縮記帳後の金額によることに留意する。
2 当該固定資産についてその値引き等のあった日の属する連結事業年度の直前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)から繰り越された特別償却不足額(特別償却準備金の積立不足額を含む。以下6-3-27において同じ。)があるときは、当該特別償却不足額の生じた連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてその値引き等があったものとした場合に計算される特別償却限度額を基礎として当該繰り越された特別償却不足額を修正するものとする。
第2款 耐用年数の短縮
(耐用年数短縮の承認事由の判定)
6-3-28 連結法人の有する減価償却資産が令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第57条第1項各号《耐用年数の短縮》に掲げる事由に該当するかどうかを判定するときにおいて、当該各号の「その使用可能期間が法定耐用年数に比して著しく短いこと」とは、当該減価償却資産の使用可能期間がその法定耐用年数に比しておおむね10%以上短い年数となったことをいうものとする。
(耐用年数の短縮の対象となる資産の単位)
6-3-29 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第57条第1項《耐用年数の短縮》の規定は、減価償却資産の種類(その種類につき構造若しくは用途、細目又は設備の種類の区分が定められているものについては、その構造若しくは用途、細目又は設備の種類の区分)ごとに、かつ、耐用年数の異なるものごとに適用する。ただし、次に掲げる減価償却資産については、それぞれ次によることができる。
(1) 機械及び装置 2以上の工場に同一の種類に属する設備を有するときは、工場ごと
(2) 建物、建物附属設備、構築物、船舶、航空機又は無形減価償却資産 個々の資産ごと
(3) 他に貸与している減価償却資産 その貸与している個々の資産(当該個々の資産が借主における一の設備を構成する機械及び装置の中に2以上含まれているときは、当該2以上の資産)ごと
(注) 1 (1) の「2以上の工場に同一の種類に属する設備を有するとき」には、2以上の工場にそれぞれ一の設備の種類を構成する機械及び装置が独立して存在するときが該当し、2以上の工場の機械及び装置を合わせて一の設備の種類が構成されているときは、これに該当しない。
2 一の設備を構成する機械及び装置の中に他から貸与を受けている資産があるときは、当該資産を含めないところにより同項の規定を適用する。
(機械及び装置以外の減価償却資産の使用可能期間の算定)
6-3-30 機械及び装置以外の減価償却資産について令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第57条第1項《耐用年数の短縮》に規定する「使用可能期間」は、同項各号に掲げる事由に該当することとなった減価償却資産の取得後の経過年数とこれらの事由に該当することとなった後の見積年数との合計年数(1年未満の端数は切り捨てる。)とする。この場合における見積年数は、当該減価償却資産につき使用可能期間を算定しようとする時から通常の維持補修を加え、通常の使用条件で使用するものとした場合において、通常予定される効果をあげることができなくなり更新又は廃棄されると見込まれる時期までの年数による。
(機械及び装置の使用可能期間の算定)
6-3-31 機械及び装置について令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第57条第1項《耐用年数の短縮》に規定する「使用可能期間」は、設備の種類を同じくする機械及び装置に属する個々の資産の取得価額(再評価を行った資産については、その再評価額。ただし、申請の事由が規則第37条《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により準用される規則第16条第2号《特掲されていない設備の耐用年数の短縮》に掲げる事由又はこれに準ずる事由に該当するものである場合には、その再取得価額)を償却基礎価額とし6-3-30に準じて算定した使用可能期間(当該機械及び装置に属する個々の資産のうち同項各号に掲げる事由に該当しないものについては、当該機械及び装置の法定耐用年数の基礎となった個別年数)を当該個々の資産の耐用年数として、機械及び装置の耐用年数の算定式に従いその機械及び装置の全部を総合して算定した年数(1年未満の端数は切り捨てる。)による。
(耐用年数短縮の承認があった後に取得した資産の耐用年数)
6-3-32 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第57条第1項《耐用年数の短縮》の規定による耐用年数の短縮の承認に係る減価償却資産が規則第37条《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により準用される規則第16条第2号《特掲されていない設備の耐用年数の短縮》に掲げる事由又はこれに準ずる事由に該当するものである場合において、その後その承認の対象となった資産と種類を同じくする資産を取得したときは、その取得した資産についても承認に係る耐用年数を適用する。
第4節 償却限度額等
第1款 通則
(改定耐用年数が 100年を超える場合の定率法の償却限度額)
6-4-1 耐用年数省令第4条第2項《償却率》の規定を適用して計算した改定耐用年数が 100年を超える場合の減価償却資産の償却限度額は、当該減価償却資産について定められている耐用年数省令別表の耐用年数に応じ、その帳簿価額に別表第九の償却率を乗じて算出した金額に当該連結事業年度の月数(連結事業年度の中途で事業の用に供した減価償却資産については、当該連結事業年度の月数のうち事業の用に供した後の月数)を乗じ、これを12で除して計算した金額による。
(転用資産の償却限度額)
6-4-2 減価償却資産を連結事業年度の中途において従来使用されていた用途から他の用途に転用した場合において、連結法人が転用した資産の全部について転用した日の属する連結事業年度開始の日から転用後の耐用年数により償却限度額を計算したときは、これを認める。
第2款 償却方法を変更した場合の償却限度額
(定額法を定率法に変更した場合の償却限度額の計算)
6-4-3 減価償却資産の償却方法を定額法から定率法に変更した場合には、その後の償却限度額は、その変更した連結事業年度開始の日における帳簿価額を基礎とし、当該減価償却資産について定められている耐用年数に応ずる償却率により計算するものとする。
(注) 当該減価償却資産について繰越控除される償却不足額があるときは、その償却不足額は、変更をした連結事業年度開始の日における帳簿価額から控除する。
(定率法を定額法に変更した場合の償却限度額の計算)
6-4-4 減価償却資産の償却方法を定率法から定額法に変更した場合には、その後の償却限度額は、次の(1) に定める取得価額及び残存価額を基礎とし、次の(2) に定める年数に応ずる償却率により計算するものとする。
(1) その変更した連結事業年度開始の日における帳簿価額を取得価額とみなし、実際の取得価額の10%相当額を残存価額とする。
(2) 耐用年数は、減価償却資産の種類の異なるごとに、連結法人の選択により、次のイ又はロに定める年数による。
イ 当該減価償却資産について定められている耐用年数
ロ 当該減価償却資産について定められている耐用年数から経過年数(その変更をした連結事業年度開始の日における帳簿価額を実際の取得価額をもって除して得た割合に応ずる当該耐用年数に係る未償却残額割合に対応する経過年数)を控除した年数(その年数が2年に満たない場合には、2年)
(注) 1 ロに定める経過年数の計算は、規則第18条《種類等を同じくする減価償却資産の償却限度額》の規定により一の償却計算単位として償却限度額を計算する減価償却資産ごとに行う。
2 当該減価償却資産について償却不足額があるときは、6-4-3の (注) による。
(定率法を定額法に変更した後に資本的支出をした場合)
6-4-5 償却方法を定率法から定額法に変更した後の償却限度額の計算の基礎となる耐用年数につき6-4-4の(2) のロによっている減価償却資産について資本的支出をした場合には、その後における当該減価償却資産の償却限度額の計算の基礎となる耐用年数は、次の場合に応じそれぞれ次に定める年数によるものとする。
(1) その資本的支出の金額が当該減価償却資産の再取得価額の50%に相当する金額以下の場合 当該減価償却資産につき現に適用している耐用年数
(2) (1) 以外の場合 当該減価償却資産について定められている耐用年数
第3款 増 加 償 却
(増加償却の適用単位)
6-4-6 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第60条《通常の使用時間を超えて使用される機械及び装置の償却限度額の特例》の規定は、連結法人の有する機械及び装置につき耐用年数省令に定める設備の種類(細目の定めのあるものは、細目)ごとに適用する。ただし、2以上の工場に同一の種類に属する設備を有する場合には、工場ごとに適用することができる。 (注) 本文ただし書の「2以上の工場に同一の種類に属する設備を有する場合」の意義は、6-3-29の (注) による。
(連結中間事業年度で増加償却を行った場合)
6-4-7 連結法人が、連結中間事業年度において令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第60条《通常の使用時間を超えて使用される機械及び装置の償却限度額の特例》の規定により増加償却の適用を受けている場合であっても、連結確定事業年度においては、改めて当該連結確定事業年度を通じて増加償却割合を計算し、同条の規定を適用することに留意する。
(貸与を受けている機械及び装置がある場合の増加償却)
6-4-8 連結法人の有する機械及び装置につき1日当たりの超過使用時間を計算する場合において、一の設備を構成する機械及び装置の中に他から貸与を受けている資産が含まれているときは、当該資産の使用時間を除いたところによりその計算を行う。
第4款 陳腐化償却
(陳腐化の意義)
6-4-9 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により準用される令第60条の2《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》に定める減価償却資産の陳腐化とは、連結法人の有する減価償却資産が現実に旧式化し当該減価償却資産の使用によってはコスト高、生産性の低下等により経済的に採算が悪化すること、流行の変遷、経済的環境の変化等により製品、サービス等に対する需要が減退し、当該減価償却資産の経済的価値が低下すること等のため、その更新又は廃棄が必要とされる状況になったことをいうものとする。
(著しい陳腐化の意義)
6-4-10 令第155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第60条の2第1項《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》に定める減価償却資産が著しく陳腐化した場合とは、連結法人の有する減価償却資産が陳腐化したことにより、その減価償却資産の使用可能期間がその減価償却資産の償却につき採用している耐用年数(法定耐用年数より短い年数を採用している場合には、法定耐用年数)に比しておおむね10%以上短くなった場合をいうものとする。
(陳腐化償却の計算単位)
6-4-11 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第60条の2第1項《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》の規定による陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例の適用単位については、6-3-29に準ずる。
(陳腐化償却の場合の使用可能期間)
6-4-12 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第60条の2第1項《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》に規定する「使用可能期間」の計算については、6-3-30又は6-3-31に準ずる。この場合において、当該減価償却資産の更新又は廃棄の時期が具体的な資金計画、設備投資計画等において明らかにされており、かつ、その計画等が連結法人の業種、業態、規模等に照らして妥当なものであると認められるときは、その計画等に基づきその使用可能期間を算定する。
(陳腐化資産に資本的支出がある場合の修正帳簿価額の計算)
6-4-13 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第60条の2第1項《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》の規定を適用する場合において、陳腐化した減価償却資産につきその取得後同項の規定を適用する連結事業年度(以下この款において「適用年度」という。)前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下6-4-13において「各適用前事業年度」という。)において資本的支出があるときは、その減価償却資産に係る同項第2号に掲げる帳簿価額は、次のいずれかに掲げる額又はこれらの額の計算方法に類する方法により計算される額によることができる。
(1) 次のイ及びロに掲げる額の合計額
イ 当初の取得価額につき使用可能期間を基礎として計算される未償却残額
ロ 各適用前事業年度ごとに、その支出された資本的支出の額の合計額を一の資本的支出の額とし、かつ、その資本的支出の額が当該各適用前事業年度開始の日において支出されたものとした場合において、その資本的支出の額につき使用可能期間を基礎として計算される未償却残額の合計額
(2) 次のロに対するイの割合を未償却残額割合とした場合におけるその連結法人が採用している耐用年数に係る未償却残額割合に対応する経過年数を計算し、次にその減価償却資産の使用可能期間についてその経過年数を経過したものとしたときに計算される未償却残額割合をその減価償却資産の取得価額(各適用前事業年度に支出された資本的支出の額がある場合には、その資本的支出の額の合計額を加算した金額。以下6-4-13において同じ。)に乗じて計算した金額 イ 適用年度開始の日における陳腐化した減価償却資産の帳簿価額
ロ その減価償却資産の取得価額
(注) 未償却残額割合は、その計算された割合に近い未償却残額割合のいずれかを選択することができる。
(陳腐化資産の償却超過額等)
6-4-14 陳腐化した減価償却資産につき、令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の適用》の規定により読み替えて準用される令第60条の2第1項《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》の規定の適用がある場合には、その減価償却資産について生じていた償却超過額又は評価損の否認金の額は、適用年度の損金の額に算入する。
第5款 償却可能限度額まで償却した資産
(償却可能限度額まで償却した資産に資本的支出をした場合)
6-4-15 連結法人が、帳簿価額が取得価額の5%相当額に達した減価償却資産について資本的支出をした場合には、その資本的支出をした後の取得価額及び帳簿価額を基礎として再び減価償却を行うことができるのであるから留意する。
(償却可能限度額まで償却した資産の改良後の減価償却)
6-4-16 連結法人が令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第61条第2項《減価償却資産の償却可能限度額の特例》の規定による償却をしている資産について資本的支出をした場合には、その後の償却限度額の計算は、次による。
(1) 資本的支出をした後の帳簿価額が資本的支出後の当該資産の取得価額の5%相当額に満たないときは、当該帳簿価額を基礎とし、新たにその時から使用不能となると認められる日までの期間を基礎とし適正に見積った月数により計算する。
(2) 資本的支出をした後の帳簿価額が資本的支出後の当該資産の取得価額の5%相当額を超えるときは、5%相当額に達するまでは法定耐用年数によりその償却限度額を計算し、5%相当額に達したときは、改めて同項の規定により税務署長の認定を受けた月数により計算する。
第5節 償却費の損金経理
(償却費として損金経理をした金額の意義)
6-5-1 法第31条第1項《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》に規定する「償却費として損金経理をした金額」には、連結法人が償却費の科目をもって経理した金額のほか、損金経理をした次に掲げるような金額も含まれるものとする。
(1) 令第54条第1項《減価償却資産の取得価額》の規定により減価償却資産の取得価額に算入すべき付随費用の額のうち原価外処理をした金額
(2) 減価償却資産について法又は措置法の規定による圧縮限度額を超えてその帳簿価額を減額した場合のその超える部分の金額
(3) 減価償却資産について支出した金額で修繕費として経理した金額のうち令第 132条《資本的支出》の規定により損金の額に算入されなかった金額
(4) 無償又は低い価額で取得した減価償却資産につきその取得価額として連結法人の経理した金額が令第54条第1項の規定による取得価額に満たない場合のその満たない金額
(5) 減価償却資産について計上した除却損又は評価損の金額のうち損金の額に算入されなかった金額
(6) 少額な減価償却資産(おおむね60万円以下)又は耐用年数が3年以下の減価償却資産の取得価額を消耗品費等として損金経理をした場合のその損金経理をした金額
(申告調整による償却費の損金算入)
6-5-2 連結法人が減価償却資産の取得価額の全部又は一部を資産に計上しないで損金経理をした場合(6-5-1により償却費として損金経理をしたものと認められる場合を除く。)又は贈与により取得した減価償却資産の取得価額の全部を資産に計上しなかった場合において、これらの資産を事業の用に供した連結事業年度の連結確定申告書又は修正申告書(更正又は決定があるべきことを予知して提出された期限後申告書及び修正申告書を除く。)に添付した明細書(令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第63条《減価償却に関する明細書の添付》の明細書をいう。)にその計上しなかった金額を記載して申告調整をしているときは、その記載した金額は、償却費として損金経理をした金額に該当するものとして取り扱う。
(注) 贈与により取得した減価償却資産が、令第 133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》の規定によりその取得価額の全部を損金の額に算入することができるものである場合には、損金経理をしたものとする。
第6節 特殊な資産についての償却計算
第1款 鉱業用減価償却資産の償却
(土石採取業の採石用坑道)
6-6-1 土石採取業における採石用の坑道は、令第48条第1項第3号《鉱業用減価償却資産の償却の方法》に規定する鉱業用減価償却資産に該当することに留意する。
(採掘権の取得価額)
6-6-2 連結法人がその有する試掘権の目的となっている鉱物に係る鉱区につき採掘権を取得した場合には、当該試掘権の未償却残額に相当する金額と当該採掘権の出願料、登録免許税その他その取得のために直接要した費用の額の合計額を当該採掘権の取得価額とする。
(鉱業用土地の償却)
6-6-3 石炭鉱業におけるぼた山の用に供する土地のように鉱業経営上直接必要な土地で鉱業の廃止により著しくその価値が減少するものについて、連結法人が、その取得価額から鉱業を廃止した場合において残存すると認められる価額を控除した金額につき当該土地に係る鉱業権について選定している償却の方法に準じて計算される金額以内の金額を損金の額に算入したときは、これを認める。
(土石採取用土地等の償却)
6-6-4 土石又は砂利を採取する目的で取得した土地については、連結法人がその取得価額のうち土石又は砂利に係る部分につき生産高比例法に準ずる方法により計算される金額以内の金額を損金の額に算入したときは、これを認める。
(鉱業用減価償却資産の償却限度額の計算単位)
6-6-5 鉱業用減価償却資産に係る生産高比例法による償却限度額は、鉱業権については1鉱区ごと、坑道についてはその坑道ごと、その他の鉱業用減価償却資産については1鉱業所ごとに計算する。
(生産高比例法を定額法に変更した場合の償却限度額の計算)
6-6-6 鉱業用減価償却資産の償却方法を生産高比例法から定額法に変更した場合には、その後の償却限度額は、次の(1) に定める取得価額及び残存価額を基礎とし、次の(2) に定める年数に応ずる償却率により計算するものとする。
(1) その変更をした連結事業年度開始の日における帳簿価額を取得価額とみなし、実際の取得価額の10%相当額(鉱業権及び坑道については、零)を残存価額とする。
(2) 耐用年数は、次の資産の区分に応じ、それぞれ次に定める年数による。
イ 鉱業権(試掘権を除く。)及び坑道 その変更をした連結事業年度開始の日以後における採掘予定数量を基礎として耐用年数省令第1条第2項第1号、第3号又は第4号《鉱業権及び坑道の耐用年数》の規定により、税務署長が認定した年数
ロ イ以外の鉱業用減価償却資産 その資産について定められている耐用年数又は次の算式により計算した年数(その年数が2年に満たない場合には、2年)
(算式)
(生産高比例法を定率法に変更した場合の償却限度額の計算)
6-6-7 鉱業用減価償却資産の償却方法を生産高比例法から定率法に変更した場合には、その後の償却限度額は、6-4-3に準じて計算する。
(定額法又は定率法を生産高比例法に変更した場合の償却限度額の計算)
6-6-8 鉱業用減価償却資産の償却方法を定額法又は定率法から生産高比例法に変更した場合には、その後の償却限度額は、その変更をした連結事業年度開始の日における帳簿価額を取得価額とみなし、実際の取得価額の10%相当額(鉱業権及び坑道については、零)を残存価額として当該減価償却資産の残存耐用年数(当該減価償却資産の属する鉱区の当該変更をした連結事業年度開始の日以後における採掘予定年数がその残存耐用年数より短い場合には、当該鉱区の当該採掘予定年数)を基礎として計算する。
(注) 当該減価償却資産の残存耐用年数は、6-4-4の(2)のロ及び6-4-5の例による。
第2款 取替資産についての償却
(取替法における取替え)
6-6-9 令第49条第2項第2号《取替法》の取替えとは、取替資産が通常使用に耐えなくなったため取り替える場合のその取替えをいうのであるから、規模の拡張若しくは増強のための取替え又は災害その他の事由により滅失したものの復旧のための取替えは、これに該当しないことに留意する。
(残存価額となった取替資産)
6-6-10 取替資産の償却限度額の計算につき取替法を採用している場合において、当該資産に係る令第49条第2項第1号《取替法》の金額の累計額がその資産の取得価額の50%相当額に達したかどうかは、規則第10条各号《取替資産の範囲》に掲げる資産の区分ごと(その規模の拡張があった場合には、更にその拡張ごと)に判定する。
(撤去資産に付ける帳簿価額)
6-6-11 取替資産が使用に耐えなくなったため取り替えられた場合には、その取替えによる撤去資産については帳簿価額を付けないことができる。この場合において、例えば、取り替えられた軌条をこ線橋、乗降場及び積卸場の上屋等の材料として使用したときのように新たに資産価値を認められる用に供したときは、その用に供した時において、次のいずれか低い金額を下らない金額を新たな資産の取得価額に算入するものとする。
(1) 当該撤去資産の取得価額(取得価額が不明であるときは、当該資産と種類等を同じくする新品の価額)の5%相当額
(2) 当該撤去資産をその用に供した時の時価
第3款 特別な償却率を適用する資産の償却
(償却限度額の計算)
6-6-12 特別な償却率による償却限度額は、その償却率の異なるものごとに計算する。
第4款 生物の償却
(成熟の年齢又は樹齢)
6-6-13 連結法人の有する令第13条第9号《牛馬果樹等》に掲げる生物の減価償却は、当該生物がその成熟の年齢又は樹齢に達した月(成熟の年齢又は樹齢に達した後に取得したものについては、取得の月)から行うことができる。この場合におけるその成熟の年齢又は樹齢は次によるものとするが、次表に掲げる生物についてその判定が困難な場合には、次表に掲げる年齢又は樹齢によることができる。
(1) 牛馬等については、通常事業の用に供する年齢とする。ただし、現に事業の用に供するに至った年齢がその年齢後であるときは、現に事業の用に供するに至った年齢とする。
(2) 果樹等については、当該果樹等の償却額を含めて通常の場合におおむね収支相償うに至ると認められる樹齢とする。
(転用後の償却限度額の計算)
6-6-14 牛、馬、綿羊及びやぎを耐用年数省令別表第四に掲げる一の用途から他の用途に転用した場合の転用後の償却限度額は、その転用した日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の翌連結事業年度開始の日の帳簿価額を取得価額とし、転用後の残存使用可能期間に応ずる償却率により計算する。この場合において、その残存使用可能期間が明らかでないときは、牛については8年、馬については10年、綿羊及びやぎについては6年からそれぞれの転用の時までの満年齢(1年未満の端数は切り捨てる。)を控除した年数をその残存使用可能期間とするものとする。
第5款 国外リース資産の償却
(再リース期間)
6-6-15 令第48条第1項第7号《リース期間定額法》に規定する「賃貸借の期間」には、リース取引(同号に規定するリース取引をいう。以下6-6-17までにおいて同じ。)のうち再リースすることが明らかなものにおける当該再リースに係る賃貸借期間を含むものとする。
(見積残存価額)
6-6-16 連結法人が、令第48条第2項《見積残存価額等の意義》に規定する見積残存価額について、リース料の算定に当たって国外リース資産(同条第1項第7号《リース期間定額法》に規定する国外リース資産をいう。以下6-6-17までにおいて同じ。)の取得価額及びその取引に係る付随費用(国外リース資産の取得に要する資金の利子、固定資産税、保険料等その取引に関連して賃貸人が支出する費用をいう。)の額の合計額からリース料として回収することとしている金額の合計額を控除した残額としている場合は、これを認める。
(転貸リース)
6-6-17 賃貸人がリース資産(リース取引の目的とされている減価償却資産をいう。以下6-6-17において同じ。)を居住者又は内国法人に対して賃貸した後、更に当該居住者又は内国法人が非居住者又は外国法人(以下6-6-17において「非居住者等」という。)に対して当該リース資産を賃貸した場合(非居住者等の専ら国内において行う事業の用に供されている場合を除く。)において、当該リース資産の使用状況及び当該賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に賃貸人から非居住者等に対して直接賃貸したと認められるときは、当該賃貸人の所有する当該リース資産は国外リース資産に該当することに留意する。
第7節 除却損失等
第1款 除却損失等の損金算入
(取り壊した建物等の帳簿価額の損金算入)
6-7-1 連結法人がその有する建物、構築物等でまだ使用に耐えうるものを取り壊し新たにこれに代わる建物、構築物等を取得した場合(6-3-8に該当する場合を除く。)には、その取り壊した資産の取壊し直前の帳簿価額(取り壊した時における廃材等の見積額を除く。)は、その取り壊した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(有姿除却)
6-7-2 次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。
(1) その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
(2) 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
(ソフトウエアの除却)
6-7-3 ソフトウエアにつき物理的な除却、廃棄、消滅等がない場合であっても、次に掲げるように当該ソフトウエアを今後事業の用に供しないことが明らかな事実があるときは、当該ソフトウエアの帳簿価額(処分見込価額がある場合には、これを控除した残額)を当該事実が生じた日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(1) 自社利用のソフトウエアについて、そのソフトウエアによるデータ処理の対象となる業務が廃止され、当該ソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合、又はハードウエアやオペレーティングシステムの変更等によって他のソフトウエアを利用することになり、従来のソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合
(2) 複写して販売するための原本となるソフトウエアについて、新製品の出現、バージョンアップ等により、今後、販売を行わないことが社内りん議書、販売流通業者への通知文書等で明らかな場合
第2款 総合償却資産の除却価額等
(総合償却資産の除却価額)
6-7-4 連結法人の有する総合償却資産の一部について除却、廃棄、滅失又は譲渡(以下この節において「除却等」という。)があった場合における当該除却等による損益の計算の基礎となる帳簿価額は、その除却等に係る個々の資産の取得価額の5%相当額によるものとする。
(償却額の配賦がされていない場合の除却価額の計算の特例)
6-7-5 総合償却資産の一部について除却等があった場合における当該除却等による損益の計算の基礎となる帳簿価額につき、連結法人が継続して次の(1) 又は(2) のいずれかの金額によっている場合には、これを認める。この場合において、除却等に係る資産の一部にその計算が困難であるもの等があるときは、当該資産についてはその取得価額の5%相当額によることができる。
(1) 除却等に係る個々の資産の個別耐用年数を基礎として計算される除却等の時における未償却残額に相当する金額
(2) 除却等に係る個々の資産が含まれていた総合償却資産の総合耐用年数を基礎として計算される除却等の時における未償却残額に相当する金額
(注) 1
(1) 又は(2)の金額による場合において、除却等に係る個々の資産が特別償却、割増償却又は増加償却の規定の適用を受けたものであるときは、当該資産のこれらの償却に係る償却限度額に相当する金額についても、償却があったものとして未償却残額を計算することに留意する。
2 個々の資産の個別耐用年数は、機械及び装置については「機械装置の個別年数と使用時間表」の「機械及び装置の細目と個別年数」の「同上算定基礎年数」をいい、構築物については昭和45年5月25日付直法4-25ほか1課共同「『耐用年数の適用等に関する取扱通達』の制定について」通達付表3又は付表4に定める個別耐用年数をいう。ただし、個々の資産の個別耐用年数がこれらの表に掲げられていない場合には、当該資産と種類等を同じくする資産又は当該資産に類似する資産の個別耐用年数を基礎として見積られる耐用年数とする。
なお、個々の資産の属する総合償却資産について耐用年数の短縮の承認を受けているものがある場合には、その承認を受けた耐用年数の算定の基礎となった個々の資産の耐用年数とする。
(償却額の配賦がされている場合の除却価額の計算の特例)
6-7-6 連結法人が各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下6-7-7において同じ。)において計上した総合償却資産の償却費の額を、それに含まれる個々の資産に合理的基準に基づいて配賦し、その帳簿価額を基礎として当該個々の資産の除却等による損益の計算をしている場合には、これを認める。
(注) 総合償却資産の償却費の額を個々の資産につき総合耐用年数を基礎として計算される償却限度額に応じて配賦することは、合理的基準に基づく配賦に該当する。
(償却可能限度額まで償却した資産の除却価額の計算の特例)
6-7-7 連結法人が各連結事業年度において計上した総合償却資産の償却費の額をこれに含まれる個々の資産に配賦し、当該個々の資産の帳簿価額が明らかにされている場合において、その帳簿価額が個々の資産の取得価額の5%相当額に達したときは、当該個々の資産はじ後減価償却の対象とならないのであるから、その取得価額及び帳簿価額は、当該総合償却資産の償却限度額の計算の基礎となる取得価額及び帳簿価額から除くものとする。
(帳簿価額が明らかでない資産で定額法等を採用しているものの除却価額の計算の特例)
6-7-8 定額法又は生産高比例法により償却費の額を計算している総合償却資産については、これに含まれる個々の資産の帳簿価額が明らかにされていない場合においても、当該資産につき償却費の配賦がされていたとすればその帳簿価額が取得価額の5%相当額に達したと認められるときは、その時において当該資産の取得価額及びその5%相当額は、当該総合償却資産の償却限度額の計算の基礎となる取得価額及び帳簿価額から除くものとする。この場合において、取得価額の5%相当額に達したかどうかは、当該資産の取得後の経過年数、既往における償却の実施状況(償却不足額の有無、特別償却、割増償却等の実施の状況)等を勘案し合理的に判定する。
第3款 個別償却資産の除却価額等
(個別償却資産の除却価額)
6-7-9 減価償却資産の種類、構造若しくは用途、細目又は耐用年数が同一であるため規則第18条《種類等を同じくする減価償却資産の償却限度額》の規定により一の償却計算単位として償却限度額を計算している2以上の減価償却資産について、その一部の資産の除却等があった場合におけるその除却等による損益の計算の基礎となる帳簿価額は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1) 償却費の額が個々の資産に合理的に配賦されている場合 除却等があった資産の除却等の時の帳簿価額
(2) 償却費の額が個々の資産に配賦されていない場合 除却等があった資産につきその法定耐用年数を基礎として計算される除却等の時の未償却残額
(注) 個別償却資産については、その償却額を個々の資産に合理的に配賦すべきものであるが、工具、器具及び備品のようにその配賦が困難なものもあり、これらについては(2)の適用がある。
(償却可能限度額まで償却した資産の除却価額等についての準用)
6-7-10 6-7-9の(1) に該当する場合において、個々の資産のうちその帳簿価額がその取得価額の5%相当額に達したものがあるときの取得価額等の除外については、6-7-7を準用する。
(取得価額等が明らかでない少額の減価償却資産等の除却価額)
6-7-11 少額の減価償却資産等(取得価額が20万円未満の減価償却資産で令第 133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》及び第 133条の2《一括償却資産の損金算入》の規定の適用を受けなかったものをいう。以下6-7-12において同じ。)の一部について除却等があったときにおいてその除却等をした資産の取得時期及び取得価額が明らかでないため6-7-9の(2) によることができないときは、その除却等による損益の計算の基礎となる帳簿価額は、その除却等をした資産と種類等を同じくするものの前連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)における取得価額の平均額の5%相当額による。
(除却数量が明らかでない貸与資産の除却価額)
6-7-12 連結法人の有する少額の減価償却資産等が著しく多量であり、かつ、その相当部分が貸与されており、その貸与されているものの実在、除却等の状況を個別的に管理することができないため各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において除却等をしたものの全部を確認することができない場合において、連結法人がその除却等の数量を過去における実績を基礎とする等合理的な方法により推定し、その数量につき6-7-11により除却等による損益を計算しているときは、これを認める。
(個別管理が困難な少額資産の除却処理等の簡便計算)
6-7-13 連結法人が、その取得価額が少額(おおむね40万円未満)で個別管理が困難な工具又は器具及び備品について、例えば、次に掲げるような方法により継続してその減価償却費の額及び除却価額の計算を行っている場合には、これを認める。
(1) 種類、構造又は用途及び細目の区分(以下6-7-13において「種類等の区分」という。)ごとの計算が可能で、その除去数量が明らかにされているものについて、その種類等の区分を同じくするものごとに一括して減価償却費の額の計算をするとともに、その取得の時期の古いものから順次除却するものとして計算した場合の未償却残額によりその除却価額を計算する方法
(2) 個数管理が困難で、その除却数量が明らかでなく、通常使用可能期間が経過すれば現物の廃棄等がされると認められるものについて、種類等の区分を同じくするものをその取得をした連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)ごとに区分してその区分ごとに一括して減価償却費の額の計算をし、その帳簿価額が取得価額の5%相当額に達した連結事業年度と耐用年数を経過する日の属する連結事業年度とのいずれか遅い連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の翌連結事業年度において除却処理する方法
第8節 資本的支出と修繕費
(資本的支出の例示)
6-8-1 連結法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となるのであるから、例えば、次に掲げるような金額は、原則として資本的支出に該当する。
(1) 建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額
(2) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額
(3) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額
(注) 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。
(修繕費に含まれる費用)
6-8-2 連結法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となるのであるが、次に掲げるような金額は、修繕費に該当する。
(1) 建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。
(2) 機械装置の移設(6-3-18の本文の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額
(3) 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額。ただし、次に掲げる場合のその地盛りに要した費用の額を除く。
イ 土地の取得後直ちに地盛りを行った場合
ロ 土地の利用目的の変更その他土地の効用を著しく増加するための地盛りを行った場合
ハ 地盤沈下により評価損を計上した土地について地盛りを行った場合
(4) 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の侵害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。
(5) 現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額
(少額又は周期の短い費用の損金算入)
6-8-3 一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等(以下6-8-5までにおいて「一の修理、改良等」という。)が次のいずれかに該当する場合には、その修理、改良等のために要した費用の額については6-8-1にかかわらず、修繕費として損金経理をすることができるものとする。
(1) その一の修理、改良等のために要した費用の額(その一の修理、改良等が2以上の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)にわたって行われるときは、各連結事業年度ごとに要した金額。以下6-8-5までにおいて同じ。)が20万円に満たない場合
(2) その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合
(注) 本文の「同一の固定資産」は、一の設備が2以上の資産によって構成されている場合には当該一の設備を構成する個々の資産とし、送配管、送配電線、伝導装置等のように一定規模でなければその機能を発揮できないものについては、その最小規模として合理的に区分した区分ごととする。以下6-8-5までにおいて同じ。
(形式基準による修繕費の判定)
6-8-4 一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として損金経理をすることができるものとする。
(1) その金額が60万円に満たない場合
(2) その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合
(資本的支出と修繕費の区分の特例)
6-8-5 一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額(6-8-3又は6-8-4の適用を受けるものを除く。)がある場合において、連結法人が、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める。
(災害の場合の資本的支出と修繕費の区分の特例)
6-8-6 災害により被害を受けた固定資産(当該被害に基づき法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定による評価損を計上したものを除く。以下6-8-6において「被災資産」という。)について支出した次に掲げる費用に係る資本的支出と修繕費の区分については、6-8-1から6-8-5までの取扱いにかかわらず、それぞれ次による。 (1) 被災資産につきその原状を回復するために支出した費用は、修繕費に該当する。
(2) 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用について、連結法人が、修繕費とする経理をしているときは、これを認める。
(3) 被災資産について支出した費用(上記(1) 又は(2) に該当する費用を除く。)の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでないものがある場合において、連結法人が、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める。
(注) 1
連結法人が、被災資産の復旧に代えて資産の取得をし、又は特別の施設(被災資産の被災前の効用を維持するためのものを除く。)を設置する場合の当該資産又は特別の施設は新たな資産の取得に該当し、その取得のために支出した金額は、これらの資産の取得価額に含めることに留意する。
2 上記の固定資産に係る災害の場合の資本的支出と修繕費の区分の特例は、令第 114条《固定資産に準ずる繰延資産》に規定する繰延資産に係る他の者の有する固定資産につき、災害により損壊等の被害があった場合について準用する。
(ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費)
6-8-7 連結法人が、その有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当することに留意する。
(注) 既に有しているソフトウエア、購入したパッケージソフトウエア等の仕様を大幅に変更して、新たなソフトウエアを製作するための費用は、原則として取得価額となることに留意する。
(機能復旧補償金による固定資産の取得又は改良)
6-8-8 連結法人が、その有する固定資産について電波障害、日照妨害、風害、騒音等による機能の低下があったことによりその原因者からその機能を復旧するための補償金の交付を受けた場合において、当該補償金をもってその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をしたときは、その取得又は改良に充てた補償金の額のうちその機能復旧のために支出したと認められる部分の金額に相当する金額は、修繕費等として損金の額に算入することができる。
当該補償金の交付に代えて、その原因者から機能復旧のための固定資産の交付を受け、又は当該原因者が当該固定資産の改良を行った場合についても、同様とする。
(注) 当該補償金の交付を受けた日の属する連結事業年度終了の時までにその機能復旧のための固定資産の取得又は改良をすることができなかった場合においても、その後速やかにその取得又は改良をすることが確実であると認められるときは、当該補償金の額のうちその取得又は改良に充てることが確実と認められる部分の金額に限り、その取得又は改良をする時まで仮受金として経理することができる。
(地盤沈下による防潮堤、防波堤等の積上げ費)
6-8-9 連結法人が地盤沈下に起因して防潮堤、防波堤、防水堤等の積上げ工事を行った場合において、数年内に再び積上げ工事を行わなければならないものであると認められるときは、その積上げ工事に要した費用を一の減価償却資産として償却することができる。
(耐用年数を経過した資産についてした修理、改良等)
6-8-10 耐用年数を経過した減価償却資産について修理、改良等をした場合であっても、その修理、改良等のために支出した費用の額に係る資本的支出と修繕費の区分については、一般の例によりその判定を行うことに留意する。
第9節 劣化資産
(劣化資産の意義)
6-9-1 劣化資産とは、生産設備の本体の一部を構成するものではないがそれと一体となって繰り返し使用される資産で、数量的に減耗し、又は質的に劣化するものをいい、例えば、次に掲げるものは、劣化資産に該当する。
(1) 冷媒
(2) 触媒
(3) 熱媒
(4) 吸着材及び脱着材
(5) 溶剤及び電解液
(6) か性ソーダ製造における水銀
(7) 鋳物製造における砂
(8) 亜鉛鉄板製造における溶融鉛
(9) アルミニューム電解用の陽極カーボン及び氷晶石
(10) 発電用原子炉用の重水及び核燃料棒
(棚卸資産とする劣化資産)
6-9-2 劣化資産のうち製造工程において生産の流れに参加し、かつ、中間生産物の物理的又は化学的組成となるものについては、連結法人がこれを棚卸資産として経理している場合には、これを認める。 (注) 6-9-1の(5)又は(6)に掲げるものがこれに該当する。
(劣化等により全量を一時に取り替える劣化資産)
6-9-3 劣化資産(6-9-2により棚卸資産として経理したものを除く。以下この節において同じ。)のうち、主として質的に劣化する等のため、一の設備に使用されている数量の全部を一時に取り替えるものについては、次による。
(1) 事業の開始又は拡張のために取得したものについては、その取得価額を資産に計上し、その取得価額から取替えの時における処分見込価額を控除した金額を、その投入の時から取替えの時までの期間を基礎として定額法又は生産高比例法に準じて償却する。
(2) 一の設備に使用されている数量の全部を取り替えた場合には、その取り替えたものの取得価額を資産に計上して、(1) により償却し、その取り除いたものの帳簿価額からその取替えの時における処分見込価額を控除した金額を損金の額に算入する。
(3) 劣化等による減耗分の補充をした場合には、その補充のために要した金額を支出の都度損金の額に算入する。
(全量を一時に取り替えないで随時補充する劣化資産)
6-9-4 劣化資産のうち、主として数量的に減耗し、その減耗分を補充することにより長期間にわたりおおむね同様な状態において事業の用に供することができるものについて、連結法人が次のいずれかの方法により継続して経理しているときは、これを認める。
(1) 事業の開始又は拡張のために取得したものの取得価額を資産に計上し、その資産の減耗分の補充のために要した金額をその支出の都度損金の額に算入する方法
(2) 事業の開始又は拡張のために取得したものの取得価額を資産に計上し、その取得価額の50%相当額に達するまで減耗率により計算した償却額を各連結事業年度の損金の額に算入するとともに、その資産の減耗分の補充のために要した金額をその支出の都度損金の額に算入する方法
(3) 事業の開始又は拡張のために取得したものの取得価額を資産に計上し、その資産の減耗分の補充をしたときは、その補充のために要した金額を資産に計上するとともに、その資産の帳簿価額のうち減耗分に対応する金額を損金の額に算入する方法
(4) 各連結事業年度終了の時において有する劣化資産を棚卸資産の評価方法に準じて評価する方法
(少額な劣化資産の損金算入)
6-9-5 一の設備に通常使用される劣化資産でその取得価額が少額(おおむね60万円未満)なものは、事業の用に供した都度損金の額に算入することができる。
第7章 繰延資産の償却
第1節 繰延資産の意義及び範囲等
(定款記載を欠く設立費用)
7-1-1 連結法人がその設立のために通常必要と認められる費用を支出した場合において、当該費用を当該連結法人の負担とすべきことがその定款等で定められていないときであっても、当該費用は令第14条第1項第1号《創業費》に規定する「法人の設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきもの」に該当するものとする。
(資源の開発のために特別に支出する費用)
7-1-2 令第14条第1項第5号《開発費》に規定する「資源の開発のために特別に支出する費用」には、例えば、新鉱床の探鉱のための地質調査、ボーリング又は坑道の堀さく等に要する費用のように資源の開発のために直接要した費用のほか、その開発に要する資金に充てるために特別に借り入れた借入金の利子が含まれるものとする。
(注)
固定資産を取得するために借り入れた借入金の利子は、たとえ当該固定資産の使用開始前の期間に係るものであっても、同項各号に規定する繰延資産に該当しないことに留意する。
(公共的施設の設置又は改良のために支出する費用)
7-1-3 令第14条第1項第9号イ《公共的施設等の負担金》に規定する「自己が便益を受ける公共的施設の設置又は改良のために支出する費用」とは、次に掲げる費用をいう。
(1) 連結法人が自己の必要に基づいて行う道路、堤 防、護岸、その他の施設又は工作物(以下7-1-3において「公共的施設」という。)の設置又は改良(以下7-1-3において「設置等」という。)のために要する費用(自己の利用する公共的施設につきその設置等を国又は地方公共団体(以下7-1-3において「国等」という。)が行う場合におけるその設置等に要する費用の一部の負担金を含む。)又は連結法人が自己の有する道路その他の施設又は工作物を国等に提供した場合における当該施設又は工作物の価額に相当する金額
(2) 連結法人が国等の行う公共的施設の設置等により著しく利益を受ける場合におけるその設置等に要する費用の一部の負担金(土地所有者又は借地権を有する連結法人が土地の価格の上昇に基因して納付するものを除く。)
(3) 連結法人(鉄道業又は軌道業を営む連結法人を除く。)が、鉄道業を営む法人の行う鉄道の建設に当たり支出するその施設に連絡する地下道等の建設に要する費用の一部の負担金
(共同的施設の設置又は改良のために支出する費用)
7-1-4 令第14条第1項第9号イ《公共的施設等の負担金》に規定する「自己が便益を受ける共同的施設の設置又は改良のために支出する費用」とは連結法人がその所属する協会、組合、商店街等の行う共同的施設の建設又は改良に要する費用の負担金をいう。この場合において、共同的施設の相当部分が貸室に供される等協会等の本来の用以外の用に供されているときは、その部分に係る負担金は、協会等に対する寄附金となることに留意する。
(資産を賃借するための権利金等)
7-1-5 次のような費用は、令第14条第1項第9号ロ《資産を賃借するための権利金等》に規定する繰延資産に該当する。
(1) 建物を賃借するために支出する権利金、立退料その他の費用
(2) 電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する引取運賃、関税、据付費その他の費用
(注) 建物の賃借に際して支払った仲介手数料の額は、その支払った日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(ノーハウの頭金等)
7-1-6 ノーハウの設定契約に際して支出する一時金又は頭金の費用は、令第14条第1項第9号ハ《役務の提供を受けるための権利金等》に規定する繰延資産に該当する。ただし、ノーハウの設定契約において、頭金の全部又は一部を使用料に充当する旨の定めがある場合又は頭金の支払により一定期間は使用料を支払わない旨の定めがある場合には、当該頭金の額のうちその使用料に充当される部分の金額又はその支払わないこととなる使用料の額に相当する部分の金額は、これを繰延資産としないで前払費用として処理することができる。
(注) 前払費用として処理した頭金の額についてその使用料に充当すべき期間又は使用料を支払わない期間を経過してなお残額があるときは、その残額は当該期間を経過した日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用)
7-1-7 令第14条第1項第9号ニ《広告宣伝用資産を贈与した費用》に規定する「製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用」とは、連結法人がその特約店等に対し自己の製品等の広告宣伝等のため、広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳、陳列棚、自動車のような資産(展示用モデルハウスのように見本としての性格を併せ有するものを含む。以下7-1-7において同じ。)を贈与した場合(その資産を取得することを条件として金銭を贈与した場合又はその贈与した資産の改良等に充てるために金銭等を贈与した場合を含む。)又は著しく低い対価で譲渡した場合における当該資産の取得価額又は当該資産の取得価額からその譲渡価額を控除した金額に相当する費用をいう。
(スキー場のゲレンデ整備費用)
7-1-8 積雪地帯におけるスキー場(その土地が主として他の者の所有に係るものに限る。)においてリフト、ロープウェイ等の索道事業を営む連結法人が当該スキー場に係る土地をゲレンデとして整備するために立木の除去、地ならし、沢の埋立て、芝付け等の工事を行った場合には、その工事に要した費用の額は、令第14条第1項第9号ホ《その他自己が便益を受けるための費用》に規定する繰延資産に該当するものとする。
当該スキー場において旅館、食堂、土産物店等を経営する連結法人が当該費用の額の全部又は一部を負担した場合のその負担した額についても、同様とする。
(注) 1
既存のゲレンデについて支出する次のような費用の額は、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(1) おおむねシーズンごとに行う傾斜角度の変更その他これに類する工事のために要する費用
(2) 崩落地の修復、補強等の工事のために要する費用
(3) シーズンごとに行うブッシュの除去、芝の補植その他これらに類する作業のために要する費用
2 自己の土地をスキー場として整備するための土工工事(他の者の所有に係る土地を有料のスキー場として整備するための土工工事を含む。)に要する費用の額は、構築物の取得価額に算入する。
(出版権の設定の対価)
7-1-9 著作権法第79条第1項《出版権の設定》に規定する出版権の設定の対価として支出した金額は、令第14条第1項第9号ホ《その他自己が便益を受けるための費用》に規定する繰延資産に該当するものとする。
(注) 例えば、漫画の主人公を商品のマーク等として使用する等他人の著作物を利用することについて著作権者等の許諾を得るために支出する一時金の費用は、出版権の設定の対価に準じて取り扱う。
(同業者団体等の加入金)
7-1-10 連結法人が同業者団体等(社交団体を除く。)に対して支出した加入金(その構成員としての地位を他に譲渡することができることになっている場合における加入金及び出資の性質を有する加入金を除く。)は、令第14条第1項第9号ホ《その他自己が便益を受けるための費用》に規定する繰延資産に該当するものとする。
(注) 構成員としての地位を他に譲渡することができることとなっている場合における加入金及び出資の性質を有する加入金については、その地位を他に譲渡し、又は当該同業者団体等を脱退するまで損金の額に算入しないものとする。
(職業運動選手等の契約金等)
7-1-11 連結法人が職業運動選手等との専属契約をするために支出する契約金等は、令第14条第1項第9号ホ《その他自己が便益を受けるための費用》に規定する繰延資産に該当するものとする。
(注) セールスマン、ホステス等の引抜料、支度金等の額は、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(簡易な施設の負担金の損金算入)
7-1-12 国、地方公共団体、商店街等の行う街路の簡易舗装、街灯、がんぎ等の簡易な施設で主として一般公衆の便益に供されるもののために充てられる負担金は、これを繰延資産としないでその負担金を支出する日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(移転資産等と密接な関連を有する繰延資産)
7-1-13 令第66条《移転資産等と密接な関連を有する繰延資産の範囲》に規定する「その他これらに類するもの」とは、例えば次の繰延資産をいう。
(1) 適格分割型分割、適格分社型分割、適格現物出資又は適格事後設立(以下7-1-14までにおいて「適格分割型分割等」という。)によりノーハウの設定契約を移転した場合における7-1-6に定めるノーハウの頭金等
(2) スキー場においてリフト、ロープウエイ等の索道事業を営む連結法人が適格分割型分割等により当該事業に係る資産等(法第32条第2項《適格分社型分割等により引き継ぐ繰延資産に係る期中損金経理額の損金算入》に規定する資産等をいう。7-1-14において同じ。)を移転した場合における7-1-8に定めるスキー場のゲレンデ整備費用
(3) 適適格分割型分割等により職業運動選手等との専属契約を移転した場合における7-1-11に定める契約金等
(双方に関連を有する繰延資産の引継ぎ)
7-1-14 適格分割型分割等により移転する資産等と移転しない資産等の双方に関連を有する繰延資産については、当該繰延資産の金額を合理的にあん分した金額を引き継ぐことができるものとする。
第2節 繰延資産の償却期間
(効果の及ぶ期間の測定)
7-2-1 令第64条第1項第2号《繰延資産の償却限度額》に規定する「繰延資産となる費用の支出の効果の及ぶ期間」は、この節に別段の定めのあるもののほか、固定資産を利用するために支出した繰延資産については当該固定資産の耐用年数、一定の契約をするに当たり支出した繰延資産についてはその契約期間をそれぞれ基礎として適正に見積った期間による。
(繰延資産の償却期間の改訂)
7-2-2 固定資産を利用するために支出した繰延資産で当該固定資産の耐用年数を基礎として支出の効果の及ぶ期間(以下この節において「償却期間」という。)を算定しているものにつき、その後当該固定資産の耐用年数が改正されたときは、その改正された連結事業年度以後の当該繰延資産の償却期間は、改正後の耐用年数を基礎として算定した年数による。
(繰延資産の償却期間)
7-2-3 令第14条第1項第9号《公共的施設の負担金等の繰延資産》に掲げる繰延資産のうち、次の表に掲げるものの償却期間は、次による。
(注) 1 連結法人が道路用地をそのまま、又は道路として舗装の上国又は地方公共団体に提供した場合において、その提供した土地の価額(舗装費を含む。)が繰延資産となる公共施設の設置又は改良のために支出する費用に該当するときは、その償却期間の基礎となる「その施設又は工作物の耐用年数」は15年としてこの表を適用する。
2 償却期間に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。
(港湾しゅんせつ負担金等の償却期間の特例)
7-2-4 公共的施設の設置又は改良のために支出する費用のうち企業合理化促進法(昭和27年法律第5号)第8条《産業関連施設の整備》の規定に基づき負担する港湾しゅんせつに伴う受益者負担金及び共同的施設の設置又は改良のために支出する費用のうち負担者又は構成員の属する協会等の本来の用に供される会館等の建設又は改良のために負担する負担金については、7-2-3に定める償却期間が10年を超える場合には、当分の間、7-2-3にかかわらず、その償却期間を10年とするものとする。
(公共下水道に係る受益者負担金の償却期間の特例)
7-2-5 地方公共団体が都市計画事業その他これに準ずる事業として公共下水道を設置する場合において、その設置により著しく利益を受ける土地所有者が都市計画法その他の法令の規定に基づき負担する受益者負担金については、7-2-3にかかわらずその償却期間を6年とする。 (注)
連結法人が下水道法第19条《工事負担金》の規定により負担する負担金の取扱いは、6-1-10《公共下水道施設の使用のための負担金》によることに留意する。
第3節 償却費の計算
(固定資産を公共的施設として提供した場合の計算)
7-3-1 連結法人がその有する固定資産を自己が便益を受ける公共的施設として提供した場合におけるその提供に係る繰延資産の額は、当該固定資産のその提供の直前における帳簿価額に相当する金額によることができる。
(償却費として損金経理をした金額)
7-3-2 連結法人が、繰延資産となるべき費用を支出した場合において、その全部又は一部を償却費以外の科目をもって損金経理をしているときにおいても、その損金経理をした金額は、法第32条第1項《繰延資産の償却費の損金算入》に規定する「償却費として損金経理をした金額」に含まれるものとする。
(分割払の繰延資産)
7-3-3 連結法人が令第14条第1項第9号《公共的施設の負担金等の繰延資産》に掲げる繰延資産となるべき費用の額を分割して支払うこととしている場合には、たとえその総額が確定しているときであっても、その総額を未払金に計上して償却することはできないものとする。ただし、その分割して支払う期間が短期間(おおむね3年以内)である場合には、この限りでない。
(長期分割払の負担金の損金算入)
7-3-4 連結法人が公共的施設又は共同的施設の設置又は改良に係る負担金で繰延資産となるべきものを支出した場合において、当該負担金が次のいずれにも該当するものであるときは、その負担金として支出した金額は、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができるものとする。
(1) その負担金の額が、その負担金に係る繰延資産の償却期間に相当する期間以上の期間にわたり分割して徴収されるものであること。
(2) その分割して徴収される負担金の額がおおむね均等額であること。
(3) その負担金の徴収がおおむねその支出に係る施設の工事の着工後に開始されること。
(固定資産を利用するための繰延資産の償却の開始の時期)
7-3-5 連結法人が繰延資産となるべき費用を支出した場合において、当該費用が固定資産を利用するためのものであり、かつ、当該固定資産の建設等に着手されていないときは、その固定資産の建設等に着手した時から償却する。
(繰延資産の支出の対象となった資産が滅失した場合等の未償却残額の損金算入)
7-3-6 繰延資産とされた費用の支出の対象となった固定資産又は契約について滅失又は解約等があった場合には、その滅失又は解約等があった日の属する連結事業年度において当該繰延資産の未償却残額を損金の額に算入する。
(繰延資産の償却額の計算単位)
7-3-7 繰延資産の償却限度額は、費目の異なるごとに、かつ、その償却期間の異なるごとに計算する。
(注) 連結法人が継続して7-2-3の表の種類及び細目欄の区分ごとに、かつ、その償却期間の異なるごとに繰延資産を区分してその償却限度額を計算している場合には、これを認める。
(支出する費用の額が20万円未満であるかどうかの判定)
7-3-8 令第 134条《繰延資産となる費用のうち少額のものの損金算入》の規定を適用する場合において、支出する金額が20万円未満であるかどうかは、令第14条第1項第9号イ《公共的施設の負担金等の繰延資産》に掲げる費用については一の設置計画又は改良計画につき支出する金額(2回以上に分割して支出する場合には、その支出する時において見積られる支出金額の合計額)、同号ロ及びハに掲げる費用については契約ごとに支出する金額、同号ニに掲げる費用についてはその支出の対象となる資産の1個又は1組ごとに支出する金額により判定する。
第8章 その他の損金
第1節 資産の評価損
第1款 通則
(評価損の判定の単位)
8-1-1 連結法人がその有する資産について評価損を計上した場合において、その評価損の額の是否認の額を計算する単位は、次に掲げる資産についてはおおむね次の区分によるものとし、その他の資産についてはこれらに準ずる合理的な基準によるものとする。
(1) 土地(土地の上に存する権利を含む。) 一筆ごと
(2) 建物 一棟ごと
(3) 電話加入権(特殊な番号に係る電話加入権を除く。) 電話局の異なるものごと
(4) 棚卸資産 種類等の異なるものごと、かつ、令第68条第1号《棚卸資産の評価損の計上ができる事実》に掲げる事実の異なるものごと
(5) 有価証券 銘柄ごと
(評価損否認金等のある資産について評価損を計上した場合の処理)
8 -1-2 連結法人が評価損否認金又は償却超過額のある資産につき令第68条各号《資産の評価損の計上ができる場合》に掲げる事実が生じたため当該評価損否認金又は償却超過額の全部又は一部を申告調整により損金の額に算入した場合には、その損金の額に算入した金額は、評価損として損金経理をしたものとして取り扱う。
(時 価)
8 -1-3 法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定を適用する場合における「評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額」は、当該資産が使用収益されるものとしてその時において譲渡される場合に通常付される価額による。
第2款 棚卸資産の評価損
(棚卸資産の著しい陳腐化の例示)
8-1-4 令第68条第1号ロ《評価損の計上ができる著しい陳腐化》に規定する「当該資産が著しく陳腐化したこと」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいうのであるから、例えば商品について次のような事実が生じた場合がこれに該当する。
(1) いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること。
(2) 当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと。
(棚卸資産について評価損の計上ができる「準ずる特別の事実」の例示)
8-1-5 令第68条第1号ニ《棚卸資産の評価損の計上ができる事実》に規定する「イからハまでに準ずる特別の事実」とは、例えば次のような事実をいう。
(1) 破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになったこと。
(2) 民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったことにより、棚卸資産につき評価換えをする必要が生じたこと。
(棚卸資産について評価損の計上ができない場合)
8-1-6 棚卸資産の時価が単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情によって低下しただけでは、令第68条第1号《棚卸資産の評価損の計上ができる事実》に掲げる事実に該当しないことに留意する。
(補修用部品在庫調整勘定の設定)
8-1-7 連結法人が法令の規定、行政官庁の指導、業界の申合せ等に基づき製品の製造を中止した後一定期間保有することが必要と認められる当該製品に係る補修用の部品を相当数量一時に取得して保有する場合には、保有開始年度(その製品の製造を中止した連結事業年度の翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)をいう。以下8-1-7において同じ。)以後の各連結事業年度において、当該連結事業年度終了の時における補修用の部品の帳簿価額の合計額が次の算式により計算した金額を超えるときにおけるその超える部分の金額に相当する金額以下の金額を損金経理により補修用部品在庫調整勘定に繰り入れることができるものとする。
(算式)

(注)
1 算式の「保有開始年度開始の時における補修用の部品の帳簿価額の合計額」は、保有開始年度以後の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において取得した当該製品に係る補修用の部品がある場合には、その取得価額の合計額を加算した金額とする。
2 算式及び表の「保有期間の年数」は、当該補修用の部品が、法令の規定又は行政官庁の指導に基づき保有されているものである場合には当該法令の規定又は行政官庁の指導により保有すべきこととされている年数とし、業界の申合せその他の事由に基づき保有されているものである場合には、当該連結法人のその保有すべき年数につき、あらかじめ当該連結法人に係る連結親法人が所轄税務署長(当該連結親法人が国税局の調査課所管法人である場合には、所轄国税局長)の確認を受けた年数とする。
3 算式及び表の「経過年数」は、保有開始年度開始の日以後当該連結事業年度終了の日までの期間に係る年数とし、1月未満の端数は1月とする。
(補修用部品在庫調整勘定の金額の益金算入)
8-1-8 補修用部品在庫調整勘定の金額は、その繰入れをした連結事業年度の翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額に算入する。
(補修用部品在庫調整勘定の明細書の添付)
8-1-9 補修用部品在庫調整勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う連結事業年度の連結確定申告書に補修用部品在庫調整勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付しなければならないものとする。
(適格分社型分割等に係る期中補修用部品在庫調整勘定の設定等)
8-1-10 連結法人が適格分社型分割等(適格分社型分割、適格現物出資又は適格事後設立をいう。以下この章において同じ。)により分割承継法人等(分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人をいう。以下この章において同じ。)に補修用部品在庫調整勘定の設定の対象となる補修用部品を移転する場合において、当該移転をする補修用部品について当該適格分社型分割等の直前の時を連結事業年度終了の時とした場合に8-1-7の定めにより繰り入れることができる金額につき補修用部品在庫調整勘定に相当するもの(以下8-1-12までにおいて「期中補修用部品在庫調整勘定」という。)へ繰り入れたときは、当該繰り入れた金額は当該適格分社型分割等の日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
なお、この取扱いは、当該連結法人に係る連結親法人が、当該適格分社型分割等の日以後2月以内に期中補修用部品在庫調整勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を所轄税務署長へ提出した場合に限り、適用するものとする。
(適格組織再編成に係る補修用部品在庫調整勘定等の引継ぎ)
8-1-11 連結法人が適格組織再編成(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立をいう。以下この章において同じ。)を行った場合には、次に掲げる適格組織再編成の区分に応じ、それぞれ次に定める補修用部品在庫調整勘定の金額又は期中補修用部品在庫調整勘定の金額は、当該適格組織再編成に係る合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人(以下この章において「合併法人等」という。)に引き継ぐものとする。
(1) 適格合併 8-1-7により当該適格合併の日の前日の属する連結事業年度において繰り入れをした補修用部品在庫調整勘定の金額
(2) 適格分割型分割 8-1-7により当該適格分割型分割の日の前日の属する連結事業年度において繰り入れをした補修用部品在庫調整勘定の金額のうち当該適格分割型分割に係る分割承継法人に移転する補修用部品在庫調整勘定の設定の対象となる補修用部品の当該連結事業年度終了の時における帳簿価額に対応する部分の金額
(3) 適格分社型分割等 8-1-10により当該適格分社型分割等の日の属する連結事業年度において繰り入れをした期中補修用部品在庫調整勘定の金額
(注) (2) により分割承継法人に引き継いだ金額は、8-1-8の適用がないのであるから留意する。
(適格組織再編成により引継ぎを受けた補修用部品在庫調整勘定等の益金算入)
8-1-12 8-1-11により合併法人等が引継ぎを受けた補修用部品在庫調整勘定の金額又は期中補修用部品在庫調整勘定の金額は、当該合併法人等の適格組織再編成の日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(単行本在庫調整勘定の設定)
8-1-13 出版業を営む連結法人が各連結事業年度終了の時において有する単行本のうちにその最終刷後6か月以上を経過したもの(取次業者又は販売業者に寄託しているものを除く。以下8-1-16までにおいて「売れ残り単行本」という。)がある場合には、次の算式により計算した金額に相当する金額以下の金額を当該連結事業年度において損金経理により単行本在庫調整勘定に繰り入れることができるものとする。
(算式)
(注) 繰入率 100%を適用する場合には、算式により計算した金額は、当該金額から当該売れ残り単行本の当該連結事業年度終了の時における処分見込価額を控除した金額とする。
(単行本在庫調整勘定の金額の益金算入)
8-1-14 単行本在庫調整勘定の金額は、その繰入れをした連結事業年度の翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額に算入する。
(単行本在庫調整勘定の明細書の添付)
8-1-15 単行本在庫調整勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う連結事業年度の連結確定申告書に単行本在庫調整勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付しなければならないものとする。
(適格組織再編成に係る単行本在庫調整勘定の設定等)
8-1-16 8-1-10から8-1-12までの取扱いは、連結法人が適格分社型分割等により分割承継法人等に売れ残り単行本を移転する場合及び適格組織再編成により合併法人等に単行本在庫調整勘定を引き継ぐ場合についてそれぞれ準用する。
第3款 有価証券の評価損
(上場有価証券等の著しい価額の低下の判定)
8-1-17 令第68条第2号イ《上場有価証券等の評価損の計上ができる場合》に規定する「有価証券の価額が著しく低下したこと」とは、当該有価証券の当該連結事業年度終了の時における価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれないことをいうものとする。
(注)
1 同号イに規定する「第 119条の13第1号から第3号まで《売買目的有価証券の時価評価金額》に掲げる有価証券」は、法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券か否かは問わないことに留意する。
2 本文の回復可能性の判断は、過去の市場価格の推移、発行法人の業況等も踏まえ、当該連結事業年度終了の時に行うのであるから留意する。
(上場有価証券等の価額)
8-1-18 法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定の適用に当たり、令第68条第2号イ《上場有価証券等の評価損が計上できる場合》に掲げる有価証券(同号イのかっこ書に規定する株式又は出資を含む。以下この節において「上場有価証券等」という。)に係る同項に規定する資産の価額は、8-1-25の適用を受けるものを除き、令第 119条の13第1号から第3号まで《上場有価証券等の時価評価金額》及びこれらの規定に係る取扱いである2-3-26から2-3-30まで《上場有価証券等の時価評価金額の取扱い》により定められている価額(以下8-1-18において「市場価格」という。)による。この場合、法第61条の3第1項第2号《売買目的外有価証券の期末評価額》に規定する売買目的外有価証券(以下この節において「売買目的外有価証券」という。)については、当該連結事業年度終了の日以前1月間の当該市場価格の平均額によることも差し支えない。
(注) 1
本文の後段を適用する場合において、当該売買目的外有価証券が当該1月間に新株の権利落ちのあった株式であり、かつ、当該連結事業年度終了の日までに新株の発行がされたものであるときにおける権利落ち前の当該売買目的外有価証券の市場価格は、本文の前段に定める価額から当該株式の権利の価格に相当する金額を控除した金額とする。この場合、「当該株式の権利の価格に相当する金額」は、当該連結事業年度終了の日以前1月間(当該連結事業年度終了の日以前1月以前に権利落ちとなった場合には、その権利落ちとなった日から当該連結事業年度終了の日までの期間とする。)における旧株の毎日の市場価格の平均額から、当該新株について払い込むべき金額を控除した金額に旧株1株について引き受ける新株の数を乗じて得た金額による。
2 令第68条第2号イのかっこ書《企業支配株式等》に規定する株式又は出資である上場有価証券等は、同号ロに規定する事実が生じた場合に限り、法第33条第2項の規定の適用があることに留意する。
(上場有価証券等以外の有価証券の発行法人の資産状態の判定)
8-1-19 令第68条第2号ロ《上場有価証券等以外の有価証券の評価損の計上ができる場合》に規定する「有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化した」ことには、次に掲げる事実がこれに該当する。
(1) 当該有価証券を取得して相当の期間を経過した後に当該発行法人について次に掲げる事実が生じたこと。
イ 商法の規定による会社の整理開始の命令又は特別清算の開始の命令があったこと。
ロ 破産法の規定による破産の宣告があったこと。
ハ 民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったこと。
ニ 会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続開始の決定があったこと。
(2) 当該連結事業年度終了の日における当該有価証券の発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額が当該有価証券を取得した時の当該発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額に比しておおむね50%以上下回ることとなったこと。
(注) (2) の場合においては、次のことに留意する。
1 当該有価証券の取得が2回以上にわたって行われている場合又は当該発行法人が増減資等を行っている場合には、その取得又は増減資等があった都度、その増加又は減少した当該有価証券の数及びその取得又は増減資等の直前における1株又は1口当たりの純資産価額を加味して当該有価証券を取得した時の1株又は1口当たりの純資産価額を修正し、これに基づいてその比較を行う。
2 当該発行法人が債務超過の状態にあるため1株又は1口当たりの純資産価額が負(マイナス)であるときは、当該負の金額を基礎としてその比較を行う。
(外国有価証券の発行法人の資産状態の判定)
8-1-20 外国法人の発行する有価証券につき8-1-19の(2) により当該有価証券の発行法人の資産状態が著しく悪化したかどうかを判定する場合には、原則として、当該有価証券を取得した日における当該発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額(当該発行法人がその会計帳簿の作成に当たり使用する外国通貨表示の金額により計算した金額とする。以下8-1-20において同じ。)と当該連結事業年度終了の日における当該発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額(以下8-1-20においてこれらを「比較純資産額」という。)の金額に基づいてその比較を行う。
ただし、当該発行法人が物価の変動が著しいと認められる国に本店又は主たる事務所を有するものであるときは、当該有価証券を取得した時と当該連結事業年度終了の日との間における当該国及び我が国の物価変動率を合理的に勘案したところによりその比較を行うことができるものとする。この場合において、当該物価変動率を勘案した比較が困難であるときは、課税上弊害がない限り、比較純資産額を当該有価証券を取得した日及び当該連結事業年度終了の日における17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》に定める電信売買相場の仲値により円換算した金額に基づいてその比較を行って差し支えない。
(注) 本文の「純資産価額」は、当該発行法人が資産再評価を行っている場合であっても、その再評価価額が通常の市場価額を表わしていると認められない限り、当該再評価価額にはよらないことに留意する。
(上場有価証券等以外の有価証券に係る著しい価額の低下の判定)
8-1-21 8-1-17は、令第68条第2号ロ《上場有価証券等以外の有価証券の評価損の計上ができる場合》に掲げる有価証券の価額が著しく低下したことの判定について準用する。 (注) 連結法人の有する有価証券が当該連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人の株式(出資を含む。)である場合には、令第9条の2第1項第2号《連結子法人株式の帳簿価額の修正事由》に掲げる事由が生じたものとして同条第2項の規定により当該有価証券の帳簿価額の修正額の計算を行ったものとしたときに算出される金額をもって8-1-17に定める「その時の帳簿価額」とする。
(増資払込み後における株式の評価損)
8-1-22 株式(出資を含む。以下8-1-22において同じ。)を有している連結法人が当該株式の発行法人の増資に係る新株を引き受けて払込みをした場合には、仮に当該発行法人が増資の直前において債務超過の状態にあり、かつ、その増資後においてなお債務超過の状態が解消していないとしても、その増資後における当該発行法人の株式については令第68条第2号ロ《上場有価証券等以外の有価証券の評価損の計上ができる場合》に掲げる事実はないものとする。ただし、その増資から相当の期間を経過した後において改めて当該事実が生じたと認められる場合には、この限りでない。
(上場有価証券等以外の株式の価額)
8-1-23 上場有価証券等以外の株式につき法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定を適用する場合の当該株式の価額は、次の区分に応じ、それぞれ次による。 (1) 売買実例のあるもの 当該連結事業年度終了の日前6月間において売買の行われたもののうち適正と認められるものの価額
(2) 公開途上にある株式(証券取引所が内閣総理大臣に対して株式の上場の届出を行うことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式及び日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式)で、当該株式の上場又は登録に際して株式の公募又は売出し(以下8-1-23において「公募等」という。)が行われるもの((1) に該当するものを除く。) 証券取引所又は日本証券業協会の内規によって行われる入札により決定される入札後の公募等の価格等を参酌して通常取引されると認められる価額
(3) 売買実例のないものでその株式を発行する法人と事業の種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人の株式の価額があるもの((2) に該当するものを除く。) 当該価額に比準して推定した価額
(4) (1) から(3) までに該当しないもの 当該連結事業年度終了の日又は同日に最も近い日におけるその株式の発行法人の事業年度終了の時における1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額
(上場有価証券等以外の株式の価額の特例)
8-1-24 連結法人が、上場有価証券等以外の株式(8-1-23の(1) 及び(2) に該当するものを除く。)について法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定を適用する場合において、連結事業年度終了の時における当該株式の価額につき昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17「財産評価基本通達」(以下8-1-24において「財産評価基本通達」という。)の 178から 189-7まで《取引相場のない株式の評価》の例によって算定した価額によっているときは、課税上弊害がない限り、次によることを条件としてこれを認める。
(1) 当該株式の価額につき財産評価基本通達179の例により算定する場合(同通達189-3の(1) において同通達179に準じて算定する場合を含む。)において、当該連結法人が当該株式の発行会社にとって同通達188の(2) に定める「中心的な同族株主」に該当するときは、当該発行会社は常に同通達178に定める「小会社」に該当するものとしてその例によること。
(2) 当該株式の発行会社が土地(土地の上に存する権利を含む。)又は証券取引所に上場されている有価証券を有しているときは、財産評価基本通達 185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、これらの資産については当該連結事業年度終了の時における価額によること。
(3) 財産評価基本通達 185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、同通達 186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。
(企業支配株式等の時価)
8-1-25 連結法人の有する企業支配株式等(令第 119条の2第2項第2号《企業支配株式等の意義》に規定する株式又は出資をいう。以下8-1-25において同じ。)の取得がその企業支配株式等の発行法人の企業支配をするためにされたものと認められるときは、当該企業支配株式等の価額は、当該株式等の通常の価額に企業支配に係る対価の額を加算した金額とする。
第4款 固定資産の評価損
(固定資産について評価損の計上ができる「準ずる特別の事実」の例示)
8-1-26 令第68条第3号ヘ《固定資産の評価損の計上ができる事実》に規定する「イからホまでに準ずる特別の事実」とは、例えば、次のような事実をいう。
(1) 連結法人の有する固定資産がやむを得ない事情によりその取得の時から1年以上事業の用に供されないため、当該固定資産の価額が低下したと認められること。
(2) 民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったことにより、固定資産につき評価換えをする必要が生じたこと。
(固定資産について評価損の計上ができない場合の例示)
8-1-27 固定資産の評価損が損金の額に算入されるのは、当該固定資産について令第68条第3号《固定資産の評価損の計上ができる事実》に掲げる事実がある場合に限られるのであるから、当該固定資産の価額の低下が次のような事実に基づく場合には、法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定の適用がないことに留意する。
(1) 過度の使用又は修理の不十分等により当該固定資産が著しく損耗していること。
(2) 当該固定資産について償却を行わなかったため償却不足額が生じていること。
(3) 当該固定資産の取得価額がその取得の時における事情等により同種の資産の価額に比して高いこと。
(4) 機械及び装置が製造方法の急速な進歩等により旧式化していること。
(土地の賃貸をした場合の評価損)
8-1-28 連結法人がその有する土地の賃貸に際して賃借人から権利金その他の一時金(賃借人に返還する旨の特約のあるものを除く。)を収受するとともに長期間にわたって当該土地を使用させることとしたため、当該賃貸後の価額がその帳簿価額に満たないこととなった場合には、令第 138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用がないときであっても、その満たない部分に相当する金額をその賃貸をした日の属する連結事業年度においてその帳簿価額から減額することができる。
(減価償却資産の時価)
8-1-29 連結法人が、令第13条第1号から第7号まで《有形減価償却資産》に掲げる減価償却資産について法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定を適用する場合において、連結事業年度終了の時における当該資産の価額につき当該資産の再取得価額を基礎としてその取得の時から当該連結事業年度終了の時まで定率法により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額によっているときは、これを認める。
第2節 報酬、給料、賞与及び退職給与等
第1款 役員等の範囲
(役員の範囲)
8-2-1 令第7条第1号《役員の範囲》に規定する「使用人以外の者でその法人の経営に従事しているもの」には、相談役、顧問その他これらに類する者でその法人内における地位、その行う職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものが含まれることに留意する。
(専務取締役等の意義)
8-2-2 令第71条第1項第1号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる専務取締役、専務理事、常務取締役及び常務理事(以下8-2-2において「専務取締役等」という。)とは、定款等の規定又は総会若しくは取締役会の決議等により専務取締役等としての職制上の地位が付与された役員をいう。
(使用人としての職制上の地位)
8-2-3 法第35条第5項《使用人兼務役員》に規定する「その他法人の使用人としての職制上の地位」とは、支店長、工場長、営業所長、支配人、主任等法人の機構上定められている使用人たる職務上の地位をいう。したがって、取締役等で総務担当、経理担当というように使用人としての職制上の地位でなく、連結法人の特定の部門の職務を統括しているものは、使用人兼務役員には該当しない。
(連結法人の機構上職制を定めていない場合の特例)
8-2-4 事業内容が単純で使用人が少数である等の事情により、連結法人がその使用人について特に機構としてその職務上の地位を定めていない場合には、当該連結法人の役員(法第35条第5項かっこ書《使用人兼務役員とされない役員》に定める役員を除く。)で、常時従事している職務が他の使用人の職務の内容と同質であると認められるものについては、8-2-3にかかわらず、使用人兼務役員として取り扱うことができるものとする。
(使用人兼務役員とされない同族会社の役員)
8-2-5 令第71条第1項第4号《使用人兼務役員とされない同族会社の役員》に規定する同族会社の役員には、自らは当該会社の株式又は出資を有しないが、その役員と法第2条第10号《同族会社の定義》に規定する特殊の関係のある個人又は法人が当該会社の株式又は出資を有している場合における当該役員が含まれることに留意する。 (注) 令第71条第1項第4号に規定する株主グループの持株割合の計算については、1-5-5《連結同族会社の判定の基礎となる株主等》に準ずる。
(同順位の株主グループ)
8-2-6 令第71条第1項第4号《使用人兼務役員とされない同族会社の役員》の規定を適用する場合において、第1順位の株主グループと同順位の株主グループがあるときは当該同順位の株主グループを含めたものが第1順位の株主グループに該当し、これに続く株主グループが第2順位の株主グループに該当することに留意する。 (注) 例えば、A株主グループ及びB株主グループの持株割合がそれぞれ20%、C株主グループ及びD株主グループの持株割合がそれぞれ15%の場合には、A株主グループ及びB株主グループが第1順位の株主グループに該当しその持株割合は40%となり、C株主グループ及びD株主グループが第2順位の株主グループに該当しその持株割合は30%となる。
(議決権のない株式がある場合の使用人兼務役員の判定)
8-2-7 令第71条第2項《持株割合等の意義》に規定する「株式」及び「発行済株式」には、議決権のない株式が含まれる。
第2款 役員に対する報酬
(役員に対して支給した報酬の額の範囲)
8-2-8 令第69条第1号《過大な役員報酬の額》に規定する「その役員に対して支給した報酬の額」には、いわゆる役員報酬のほか、当該役員が使用人兼務役員である場合に当該役員に対して支給するいわゆる使用人分の給料、手当等を含むことに留意する。
(使用人としての職務に対するものを含めないで役員報酬の支給限度額を定めている連結法人)
8-2-9 令第69条第2号《支給限度額を超える役員報酬の額》に規定する「使用人としての職務に対するものを含めないで当該限度額を定めている法人」とは、定款又は株主総会、社員総会若しくはこれらに準ずるものにおいて役員報酬の支給限度額に使用人兼務役員の使用人分の報酬を含めない旨を定め又は決議している法人をいう。
(使用人分の報酬の適正額)
8-2-10 使用人兼務役員に対する使用人分の報酬を令第69条第2号《支給限度額を超える役員報酬の額》に定める役員報酬の支給限度額に含めていない連結法人が、使用人兼務役員に対して使用人分の報酬を支給した場合には、その使用人分の報酬の額のうち当該使用人兼務役員が現に従事している使用人の職務とおおむね類似する職務に従事する使用人に対して支給した給料の額(その給料の額が特別の事情により他の使用人に比して著しく多額なものである場合には、その特別の事情がないものと仮定したときにおいて通常支給される額)に相当する金額は、原則として、これを使用人分の報酬として相当な金額とする。この場合において、当該使用人兼務役員が現に従事している使用人の職務の内容等からみて比準すべき使用人として適当とする者がいないときは、当該使用人兼務役員が役員となる直前に受けていた給料の額、その後のベースアップ等の状況、使用人のうち最上位にある者に対して支給した給料の額等を参酌して適正に見積った金額によることができる。
(使用人兼務役員に対する経済的な利益)
8-2-11 連結法人が使用人兼務役員に対して供与した経済的な利益(住宅等の貸与をした場合の経済的な利益を除く。)が他の使用人に対して供与されている程度のものである場合には、その経済的な利益は使用人としての職務に係るものとする。
(海外在勤役員に対する滞在手当等)
8-2-12 連結法人が海外にある支店、出張所等に勤務する役員に対して支給する滞在手当等の金額を令第69条第2号《支給限度額を超える役員報酬の額》に定める役員報酬の支給限度額に含めていない場合には、同条の規定の適用については、当該滞在手当等の金額のうち相当と認められる金額は、これを当該役員に対する報酬の額に含めないものとする。
(役員報酬の支給限度額の増額に伴う一括支給額)
8-2-13 既往にそ及して役員報酬の支給限度額を増額改訂することについて株主総会等における決議が行われた場合において、その決議が定時に開催される株主総会、社員総会その他これらに準ずるものにおいて行われ、かつ、その増額改訂がその決議の日の属する事業年度(連結法人が各事業年度の所得の金額を計算するものとした場合の事業年度をいう。)開始の日以後に行われることになっているときは、その決議に基づきそ及して適用される期間に係る報酬の増額分として一括して支給される金額は、役員報酬として取り扱う。
第3款 経済的な利益の供与
(債務の免除による利益その他の経済的な利益)
8-2-14 法第34条第3項《役員報酬》、法第35条第4項《賞与》及び法第36条の2《過大な使用人給与の損金不算入》に規定する「債務の免除による利益その他の経済的な利益」とは、次に掲げるもののように、連結法人がこれらの行為をしたことにより実質的にその役員等(役員及び同条に規定する特殊関係使用人をいう。以下8-2-15までにおいて同じ。)に対して給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすもの(明らかに株主等の地位に基づいて取得したと認められるもの及び病気見舞、災害見舞等のような純然たる贈与と認められるものを除く。)をいう。
(1) 役員等に対して物品その他の資産を贈与した場合におけるその資産の価額に相当する金額
(2) 役員等に対して所有資産を低い価額で譲渡した場合におけるその資産の価額と譲渡価額との差額に相当する金額
(3) 役員等から高い価額で資産を買い入れた場合におけるその資産の価額と買入価額との差額に相当する金額
(4) 役員等に対して有する債権を放棄し又は免除した場合(貸倒れに該当する場合を除く。)におけるその放棄し又は免除した債権の額に相当する金額
(5) 役員等から債務を無償で引き受けた場合におけるその引き受けた債務の額に相当する金額
(6) 役員等に対してその居住の用に供する土地又は家屋を無償又は低い価額で提供した場合における通常取得すべき賃貸料の額と実際徴収した賃貸料の額との差額に相当する金額
(7) 役員等に対して金銭を無償又は通常の利率よりも低い利率で貸付けをした場合における通常取得すべき利率により計算した利息の額と実際徴収した利息の額との差額に相当する金額
(8) 役員等に対して無償又は低い対価で(6) 及び(7) に掲げるもの以外の用役の提供をした場合における通常その用役の対価として収入すべき金額と実際に収入した対価の額との差額に相当する金額
(9) 役員等に対して機密費、接待費、交際費、旅費等の名義で支給したもののうち、その連結法人の業務のために使用したことが明らかでないもの
(10) 役員等のために個人的費用を負担した場合におけるその費用の額に相当する金額
(11) 役員等が社交団体等の会員となるため又は会員となっているために要する当該社交団体の入会金、経常会費その他当該社交団体の運営のために要する費用で当該役員等の負担すべきものを連結法人が負担した場合におけるその負担した費用の額に相当する金額
(12) 連結法人が役員等を被保険者及び保険金受取人とする生命保険契約を締結してその保険料の額の全部又は一部を負担した場合におけるその負担した保険料の額に相当する金額
(給与としない経済的な利益)
8-2-15 連結法人が役員等に対し8-2-14に掲げる経済的な利益の供与をした場合において、それが所得税法上経済的な利益として課税されないものであり、かつ、当該連結法人がその役員等に対する給与として経理しなかったものであるときは、給与として取り扱わないものとする。
第4款 賞与
(使用人に対する賞与の支給時期に支給する場合の意義)
8-2-16 法第35条第2項《使用人分賞与の損金算入》に規定する「使用人に対する賞与の支給時期に支給する場合」とは、連結法人が使用人兼務役員に対してその使用人としての職務に対する賞与を当該連結法人の使用人に対する賞与の支給時期に同時に支給する場合をいうのであるから、当該賞与を使用人に対する賞与の支給時期に支給しないで未払金として経理し、利益処分による役員賞与の支給時期に支給したような場合は、これに該当しないことに留意する。
(定期の給与)
8-2-17 法第35条第4項《賞与》に規定する「定期の給与」とは、あらかじめ定められた支給基準(慣習によるものを含む。)に基づいて、毎日、毎週、毎月のように月以下の期間を単位として規則的に反覆又は継続して支給される給与をいう。ただし、これらの給与であっても、通常行われる給与の増額以外において特定の月だけ増額支給された場合における当該給与については、当該特定の月において支給された額のうち各月において支給される額を超える部分の金額は臨時的な給与とする。
(注) 1 例えば毎月支給される役員報酬の額が前月の売上高に応じて増減するように定められているような場合には、その役員報酬として支給する給与の額のうち売上高のいかんにかかわりなく支給されることとされている金額を超える部分の金額は、定期の給与に該当しない。
2 例えば役員に対して支給する報酬の額を年額又は半年額等として定め、その範囲内で、各月ごとにおおむね定額の報酬を支給するほか、特定の月だけ増額して支給した場合には、たとえその年額等として定められた金額が当該役員に対する報酬の額として相当な金額の範囲内のものであるとしても、その特定の月において支給された額のうち各月において支給される額を超える部分の金額は、定期の給与に該当しない。
(年俸等として毎年所定の時期に支給される給与)
8-2-18 法第35条第4項《賞与》に規定する「他に定期の給与を受けていない者に対し継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づいて支給されるもの」とは、例えば、非常勤役員に対し年俸又は事業年度(連結法人が各事業年度の所得の金額を計算するものとした場合の事業年度をいう。)の期間俸を年1回又は年2回所定の時期に支給するようなものをいうのであるから、定期の給与の他に盆、暮に支給される給与は、たとえその支給時期及び金額が一定していても同項に規定する臨時的な給与に該当することに留意する。
(役員の歩合給若しくは能率給又は超過勤務手当)
8-2-19 連結法人がその役員に対して月俸、年俸等の固定給のほかに歩合給若しくは能率給又は超過勤務手当(使用人兼務役員に対する超過勤務手当に限る。)を支給している場合において、これらの支給が使用人に対する支給基準と同一の基準によっているときは、これらの給与は法第35条第4項《賞与》に定める臨時的な給与としないで定期の給与とする。
(経済的な利益についての報酬と賞与との区分)
8-2-20 連結法人がその役員に対して支給した給与が報酬となるか賞与となるかは、当該給与が定期の給与に該当するかどうかにより判定するのであるから、経済的な利益のうち次に掲げるものは報酬となることに留意する。
(1) 8-2-14の(1) 、(2) 又は(8) に掲げる金額でその額が毎月おおむね一定しているもの
(2) 8-2-14の(6) 又は(7) に掲げる金額
(3) 8-2-14の(9) に掲げる金額で毎月定額により支給される渡切交際費に係るもの
(4) 8-2-14の(10)に掲げる金額で毎月負担する住宅の光熱費、家事使用人給料等
(5) 8-2-14の(11)及び(12)に掲げる金額で経常的に負担するもの
(使用人兼務役員に対する使用人賞与の適正額)
8-2-21 連結法人が使用人兼務役員に対して支給した使用人分の賞与の適正額の判定については、8-2-10を準用する。
(使用人が役員となった直後に支給される賞与等)
8-2-22 使用人であった者が役員となった場合又は使用人兼務役員であった者が令第71条第1項各号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる役員となった場合において、その直後にその者に対して支給した賞与の額のうちその使用人又は使用人兼務役員であった期間に係る賞与の額として相当であると認められる部分の金額は、使用人又は使用人兼務役員に対して支給した賞与の額として認める。
第5款 退職給与
(役員に対する退職金の損金算入の時期)
8-2-23 退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する連結事業年度とする。ただし、連結法人がその退職給与の額を支給した日の属する連結事業年度においてその支給した額につき損金経理をした場合には、これを認める。
(退職年金の損金算入の時期)
8-2-24 連結法人が退職した役員又は使用人に対して支給する退職年金は、当該年金を支給すべき時の損金の額に算入すべきものであるから、当該退職した役員又は使用人に係る年金の総額を計算して未払金等に計上した場合においても、退職の際に退職給与引当金勘定の金額を取り崩しているといないとにかかわらず、当該未払金等に相当する金額を損金の額に算入することはできないことに留意する。
(注)
連結法人が、退職した役員に対して支給する退職年金の総額を未払金等に計上した場合において、退職年金を支給する都度その未払金等の全部又は一部を取り崩してその支給した退職年金の額に充てる経理をするとともに連結確定申告書において損金の額に算入したときは、その退職年金の額については損金経理をしたものとして取り扱う。
(具体的に確定する前に未払計上をした役員退職給与)
8-2-25 連結法人が退職した役員に対して支給する退職給与の額につきその額が具体的に確定する日の属する連結事業年度前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において取締役会等で内定した金額を損金経理により未払金に計上した場合には、その未払金に計上した金額は損金の額に算入されないのであるが、その後その退職給与の額が確定した日の属する連結事業年度又はその額を支給した日の属する連結事業年度においてその確定し、又は支給した額につき連結確定申告書において損金の額に算入したときは、その退職給与の額については損金経理をしたものとして取り扱う。
(仮払経理した役員退職給与の損金不算入)
8-2-26 連結法人が、退職した役員に対する退職給与をその額が具体的に確定した日の属する連結事業年度以後の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)において支給した場合において、その支給した額につきその支給をした日の属する連結事業年度において仮払金等として経理したときは、その後の連結事業年度において当該仮払金等を損金経理により消却したときであっても、その消却した金額は損金の額に算入されないことに留意する。
(使用人兼務役員に支給した退職給与)
8-2-27 連結法人が退職した使用人兼務役員に対して支給すべき退職給与を役員分と使用人分とに区分して支給した場合においても、法第36条《過大な役員退職給与の損金不算入》の規定の適用については、その合計額によりその支給額が不相当に高額であるかどうかを判定する。
(厚生年金基金からの給付等がある場合)
8-2-28 退職した役員が、その退職した連結法人から退職給与の支給を受けるほか、既往における使用人兼務役員としての勤務に応ずる厚生年金基金からの給付、確定給付企業年金法第3条第1項《確定給付企業年金の実施》に規定する確定給付企業年金に係る規約(以下この章において「確定給付企業年金規約」という。)に基づく給付、確定拠出年金法第4条第3項《承認の基準等》に規定する企業型年金規約(以下この章において「確定拠出企業型年金規約」という。)に基づく給付又は適格退職年金契約に基づく給付を受ける場合には、当該給付を受ける金額(厚生年金基金からの給付額については、厚生年金保険法第 132条第2項《年金給付の基準》に掲げる額を超える部分の金額に限る。)をも勘案してその退職給与の額が不相当に高額であるかどうかの判定を行うものとする。
(役員の分掌変更等の場合の退職給与)
8-2-29 連結法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与については、その支給が、例えば、次に掲げるような事実があったことによるものであるなど、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができる。
(1) 常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその連結法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと。
(2) 取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその連結法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその連結法人の株主等で令第71条第1項第4号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件のすべてを満たしている者を除く。)になったこと。
(3) 分掌変更等の後における報酬が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。
(被合併法人の役員に対する退職給与の損金算入)
8-2-30 合併に際し退職した当該合併に係る被合併法人の役員に支給する退職給与の額が合併承認総会において確定されない場合において、被合併法人が退職給与として支給すべき金額を合理的に計算し、合併の日の前日の属する連結事業年度において未払金として損金経理したときは、これを認める。
(合併法人の役員となった被合併法人の役員等に対する退職給与)
8-2-31 8-2-30は、被合併法人の役員であると同時に合併法人の役員を兼ねている者又は被合併法人の役員から合併法人の役員となった者に対し、合併により支給する退職給与について準用する。
(退職給与の打切支給)
8-2-32 連結法人が、中小企業退職金共済制度又は適格退職年金制度への移行、定年の延長等に伴い退職給与規程を制定又は改正し、使用人(定年延長の場合にあっては、旧定年に到達した使用人をいう。)に対して退職給与を打切支給した場合において、その支給をしたことにつき相当の理由があり、かつ、その後は既往の在職年数を加味しないこととしているときは、その支給した退職給与の額は、その支給した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(注) この場合の打切支給には、連結法人が退職給与を打切支給したこととしてこれを未払金等に計上した場合は含まれない。
(使用人が役員となった場合の退職給与)
8-2-33 連結法人の使用人がその連結法人の役員となった場合において、当該連結法人がその定める退職給与規程に基づき当該役員に対してその役員となった時に使用人であった期間に係る退職給与として計算される金額を支給したときは、その支給した金額は、退職給与としてその支給をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(注) 1
8-2-32の (注) は、この取扱いを適用する場合について準用する。
2
使用人兼務役員が令第71条第1項各号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる役員となった場合にその使用人兼務役員であった期間に係る退職給与として支給した金額があるときは、たとえその額がその使用人としての職務に対する退職給与の額として計算されているときであっても、その支給した金額は、当該役員に対する賞与とする。
(使用人から役員となった者に対する退職給与の特例)
8-2-34 連結法人が、新たに退職給与規程を制定し又は従来の退職給与規程を改正して使用人から役員となった者に対して退職給与を支給することとした場合において、その制定等の時にすでに使用人から役員になっている者の全員に対してそれぞれの使用人であった期間に係る退職給与として計算される金額をその制定等の時に支給し、これを損金の額に算入したときは、その支給が次のいずれにも該当するものについては、これを認める。
(1) 既往において、これらの者に対し使用人であった期間に係る退職給与の支給(8-2-32に該当するものを除く。)をしたことがないこと。
(2) 支給した退職給与の額が、その役員が役員となった直前に受けていた給与の額を基礎とし、その後のベースアップの状況等を参酌して計算されるその退職給与の額として相当な額であること。
(個人事業当時の在職期間に対応する退職給与の損金算入)
8-2-35 連結法人が個人事業を引き継いで設立された法人であり、その個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職により退職給与を支給した場合において、その退職が設立後相当期間経過後に行われたものであるときは、その支給した退職給与の額を損金の額に算入する。
第5款 退職給与
(役員に対する退職金の損金算入の時期)
8-2-23 退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する連結事業年度とする。ただし、連結法人がその退職給与の額を支給した日の属する連結事業年度においてその支給した額につき損金経理をした場合には、これを認める。
(退職年金の損金算入の時期)
8-2-24 連結法人が退職した役員又は使用人に対して支給する退職年金は、当該年金を支給すべき時の損金の額に算入すべきものであるから、当該退職した役員又は使用人に係る年金の総額を計算して未払金等に計上した場合においても、退職の際に退職給与引当金勘定の金額を取り崩しているといないとにかかわらず、当該未払金等に相当する金額を損金の額に算入することはできないことに留意する。
(注) 連結法人が、退職した役員に対して支給する退職年金の総額を未払金等に計上した場合において、退職年金を支給する都度その未払金等の全部又は一部を取り崩してその支給した退職年金の額に充てる経理をするとともに連結確定申告書において損金の額に算入したときは、その退職年金の額については損金経理をしたものとして取り扱う。
(具体的に確定する前に未払計上をした役員退職給与)
8-2-25 連結法人が退職した役員に対して支給する退職給与の額につきその額が具体的に確定する日の属する連結事業年度前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において取締役会等で内定した金額を損金経理により未払金に計上した場合には、その未払金に計上した金額は損金の額に算入されないのであるが、その後その退職給与の額が確定した日の属する連結事業年度又はその額を支給した日の属する連結事業年度においてその確定し、又は支給した額につき連結確定申告書において損金の額に算入したときは、その退職給与の額については損金経理をしたものとして取り扱う。
(仮払経理した役員退職給与の損金不算入)
8-2-26 連結法人が、退職した役員に対する退職給与をその額が具体的に確定した日の属する連結事業年度以後の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)において支給した場合において、その支給した額につきその支給をした日の属する連結事業年度において仮払金等として経理したときは、その後の連結事業年度において当該仮払金等を損金経理により消却したときであっても、その消却した金額は損金の額に算入されないことに留意する。
(使用人兼務役員に支給した退職給与)
8-2-27 連結法人が退職した使用人兼務役員に対して支給すべき退職給与を役員分と使用人分とに区分して支給した場合においても、法第36条《過大な役員退職給与の損金不算入》の規定の適用については、その合計額によりその支給額が不相当に高額であるかどうかを判定する。
(厚生年金基金からの給付等がある場合)
8-2-28 退職した役員が、その退職した連結法人から退職給与の支給を受けるほか、既往における使用人兼務役員としての勤務に応ずる厚生年金基金からの給付、確定給付企業年金法第3条第1項《確定給付企業年金の実施》に規定する確定給付企業年金に係る規約(以下この章において「確定給付企業年金規約」という。)に基づく給付、確定拠出年金法第4条第3項《承認の基準等》に規定する企業型年金規約(以下この章において「確定拠出企業型年金規約」という。)に基づく給付又は適格退職年金契約に基づく給付を受ける場合には、当該給付を受ける金額(厚生年金基金からの給付額については、厚生年金保険法第 132条第2項《年金給付の基準》に掲げる額を超える部分の金額に限る。)をも勘案してその退職給与の額が不相当に高額であるかどうかの判定を行うものとする。
(役員の分掌変更等の場合の退職給与)
8-2-29 連結法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与については、その支給が、例えば、次に掲げるような事実があったことによるものであるなど、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができる。
(1) 常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその連結法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと。
(2) 取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその連結法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその連結法人の株主等で令第71条第1項第4号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件のすべてを満たしている者を除く。)になったこと。
(3) 分掌変更等の後における報酬が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。
(被合併法人の役員に対する退職給与の損金算入)
8-2-30 合併に際し退職した当該合併に係る被合併法人の役員に支給する退職給与の額が合併承認総会において確定されない場合において、被合併法人が退職給与として支給すべき金額を合理的に計算し、合併の日の前日の属する連結事業年度において未払金として損金経理したときは、これを認める。
(合併法人の役員となった被合併法人の役員等に対する退職給与)
8-2-31 8-2-30は、被合併法人の役員であると同時に合併法人の役員を兼ねている者又は被合併法人の役員から合併法人の役員となった者に対し、合併により支給する退職給与について準用する。
(退職給与の打切支給)
8-2-32 連結法人が、中小企業退職金共済制度又は適格退職年金制度への移行、定年の延長等に伴い退職給与規程を制定又は改正し、使用人(定年延長の場合にあっては、旧定年に到達した使用人をいう。)に対して退職給与を打切支給した場合において、その支給をしたことにつき相当の理由があり、かつ、その後は既往の在職年数を加味しないこととしているときは、その支給した退職給与の額は、その支給した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(注) この場合の打切支給には、連結法人が退職給与を打切支給したこととしてこれを未払金等に計上した場合は含まれない。
(使用人が役員となった場合の退職給与)
8-2-33 連結法人の使用人がその連結法人の役員となった場合において、当該連結法人がその定める退職給与規程に基づき当該役員に対してその役員となった時に使用人であった期間に係る退職給与として計算される金額を支給したときは、その支給した金額は、退職給与としてその支給をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(注) 1
8-2-32の (注) は、この取扱いを適用する場合について準用する。
2 使用人兼務役員が令第71条第1項各号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる役員となった場合にその使用人兼務役員であった期間に係る退職給与として支給した金額があるときは、たとえその額がその使用人としての職務に対する退職給与の額として計算されているときであっても、その支給した金額は、当該役員に対する賞与とする。
(使用人から役員となった者に対する退職給与の特例)
8-2-34 連結法人が、新たに退職給与規程を制定し又は従来の退職給与規程を改正して使用人から役員となった者に対して退職給与を支給することとした場合において、その制定等の時にすでに使用人から役員になっている者の全員に対してそれぞれの使用人であった期間に係る退職給与として計算される金額をその制定等の時に支給し、これを損金の額に算入したときは、その支給が次のいずれにも該当するものについては、これを認める。
(1) 既往において、これらの者に対し使用人であった期間に係る退職給与の支給(8-2-32に該当するものを除く。)をしたことがないこと。
(2) 支給した退職給与の額が、その役員が役員となった直前に受けていた給与の額を基礎とし、その後のベースアップの状況等を参酌して計算されるその退職給与の額として相当な額であること。
(個人事業当時の在職期間に対応する退職給与の損金算入)
8-2-35 連結法人が個人事業を引き継いで設立された法人であり、その個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職により退職給与を支給した場合において、その退職が設立後相当期間経過後に行われたものであるときは、その支給した退職給与の額を損金の額に算入する。
第6款 使用人給与
(生計の支援を受けているもの)
8-2-36 令第72条の2第3号《特殊関係使用人の範囲》に規定する「役員から生計の支援を受けているもの」とは、当該役員から給付を受ける金銭その他の財産又は給付を受けた金銭その他の財産の運用によって生ずる収入を生活費に充てている者をいう。
(生計を一にすること)
8-2-37 連結法人が令第72条の2第4号《特殊関係使用人の範囲》により特殊関係使用人の判定を行う場合については、1-5-4《生計を一にすること》を準用する。
(厚生年金基金からの給付等がある場合の不相当に高額な部分の判定)
8-2-38 連結法人が法第36条の3《過大な使用人退職給与の損金不算入》の規定により特殊関係使用人に対して支給する退職給与の額のうち不相当に高額な部分の金額を判定する場合において、退職した特殊関係使用人が、その退職した連結法人から退職給与の支給を受けるほか、厚生年金基金からの給付、確定給付企業年金規約に基づく給付、確定拠出企業型年金規約に基づく給付若しくは適格退職年金契約に基づく給付又は勤労者退職金共済機構若しくは所得税法施行令第74条第5項《特定退職金共済団体》に規定する特定退職金共済団体が行う退職金共済契約に基づく給付等を受ける場合には、当該給付を受ける金額(厚生年金基金からの給付額については、厚生年金保険法第132条第2項《年金給付の基準》に掲げる額を超える部分の金額に限る。)をも勘案して法第36条の3に規定する不相当に高額な部分の金額であるかどうかの判定を行うものとする。
(支給額の通知)
8-2-39 連結法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、令第 134条の2第2号イ《使用人賞与の損金算入時期》の支給額の通知には該当しないことに留意する。
(同時期に支給を受けるすべての使用人)
8-2-40 連結法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマー又は臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除く。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに令第 134条の2第2号イ《使用人賞与の損金算入時期》の支給額の通知を行ったかどうかを判定することができるものとする。
第7款 転籍、出向者に対する給与等
(出向先法人が支出する給与負担金)
8-2-41 法人の使用人が他の法人に出向した場合において、その出向した使用人(以下「出向者」という。)に対する給与を出向元法人(出向者を出向させている法人をいう。以下同じ。)が支給することとしているため、出向先法人(出向元法人から出向者の出向を受けている法人をいう。以下同じ。)が自己の負担すべき給与に相当する金額(以下8-2-42までにおいて「給与負担金」という。)を出向元法人に支出したときは、当該給与負担金の額は、出向先法人におけるその出向者(出向先法人において役員に就任している場合には、その役員)に対する給与として取り扱うものとする。
(注) この取扱いは、出向先法人が実質的に給与負担金の性質を有する金額を経営指導料等の名義で支出する場合にも適用がある。
(出向先法人が支出する給与負担金に係る報酬と賞与の区分)
8-2-42 出向者が出向先法人において役員となっている場合において、出向先法人が支出した当該役員に係る給与負担金の額が報酬と賞与のいずれに該当するかは、次の場合に応じ、それぞれ次による。
(1) 当該給与負担金の額が出向元法人が当該出向者に給与を支給する都度その支給額の範囲内で支出されるものである場合 出向元法人の支給する給与が定期の給与か臨時の給与かの別による。
(2) 当該給与負担金の額が一定期間内に出向元法人が当該出向者に支給する給与の合計額を基礎としてその範囲内で毎月又は一括して支出されるものである場合 当該給与負担金の額のうち出向元法人が当該期間内に当該出向者に支給した定期の給与の額に達するまでの金額は報酬とし、これを超える部分の金額は賞与とする。
(注) (2) の場合において、出向先法人が給与負担金として支出した金額が出向元法人が当該出向者に支給する給与の額を超える場合のその超える部分の金額については、出向先法人にとって給与負担金としての性格はないことに留意する。
(出向者に対する給与の較差補てん)
8-2-43 出向元法人が出向先法人との給与条件の較差を補てんするため出向者に対して支給した給与の額(出向先法人を経て支給した金額を含む。)は、当該出向元法人の損金の額に算入する。
(注) 出向元法人が出向者に対して支給する次の金額は、いずれも給与条件の較差を補てんするために支給したものとする。
1 出向先法人が経営不振等で出向者に賞与を支給することができないため出向元法人が当該出向者に対して支給する賞与の額
2 出向先法人が海外にあるため出向元法人が支給するいわゆる留守宅手当の額
(出向先法人が支出する退職給与の負担金)
8-2-44 出向先法人が、出向者に対して出向元法人が支給すべき退職給与の額に充てるため、あらかじめ定めた負担区分に基づき、当該出向者の出向期間に対応する退職給与の額として合理的に計算された金額を定期的に出向元法人に支出している場合には、その支出する金額は、たとえ当該出向者が出向先法人において役員となっているときであっても、その支出をする日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(出向者が出向元法人を退職した場合の退職給与の負担金)
8-2-45 出向者が出向元法人を退職した場合において、出向先法人がその退職した出向者に対して出向元法人が支給する退職給与の額のうちその出向期間に係る部分の金額を出向元法人に支出したときは、その支出した金額は、たとえ当該出向者が出向先法人において引き続き役員又は使用人として勤務するときであっても、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(出向先法人が出向者の退職給与を負担しない場合)
8-2-46 出向先法人が出向者に対して出向元法人が支給すべき退職給与の額のうちその出向期間に係る部分の金額の全部又は一部を負担しない場合においても、その負担しないことにつき相当な理由があるときは、これを認める。
(出向者に係る適格退職年金契約の掛金等)
8-2-47 出向元法人が適格退職年金契約を締結している場合において、出向先法人があらかじめ定めた負担区分に基づきその出向者に係る掛金又は保険料(過去勤務債務等に係る掛金又は保険料を含む。)の額を出向元法人に支出したときは、その支出した金額は、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(転籍者に対する退職給与)
8-2-48 転籍した使用人(以下「転籍者」という。)に係る退職給与につき転籍前の法人における在職年数を通算して支給することとしている場合において、転籍前の法人及び転籍後の法人がその転籍者に対して支給した退職給与の額(相手方である法人を経て支給した金額を含む。)については、それぞれの法人における退職給与とする。ただし、転籍前の法人及び転籍後の法人が支給した退職給与の額のうちにこれらの法人の他の使用人に対する退職給与の支給状況、それぞれの法人における在職期間等からみて明らかに相手方である法人の支給すべき退職給与の額の全部又は一部を負担したと認められるものがあるときは、その負担したと認められる部分の金額は、相手方である法人に贈与したものとする。
第8款 株式譲渡請求権に係る自己株式の譲渡
(株式譲渡請求権の意義)
8-2-49 令第 136条の4第1項《株式譲渡請求権の行使があった場合の所得の計算》に規定する株式譲渡請求権は、商法等の一部を改正する等の法律(平成13年法律第79号)第1条《商法の一部改正》の規定による改正前の商法第 210条ノ2第2項《取締役又は使用人に譲渡するための自己株式の取得》の決議に基づいて付与したものに限られるのであるから、商法上有効な決議に基づかず付与された株式譲渡請求権及び商法上有効な決議の内容に従わないで付与された株式譲渡請求権に基づく権利行使については、令第 136条の4の規定の適用がないことに留意する。
第3節 保険料等
(退職金共済掛金等の損金算入の時期)
8-3-1 連結法人が支出する令第 135条各号《確定給付企業年金等の掛金等の損金算入》に掲げる掛金、保険料、事業主掛金、信託金等又は預入金等の額は、現実に納付(中小企業退職金共済法第2条第5項《特定業種退職金共済契約》に規定する特定業種退職金共済契約に係る掛金については共済手帳への退職金共済証紙のはり付け)又は払込みをしない場合には、未払金として損金の額に算入することができないことに留意する。
(注) 勤労者退職金共済機構の退職金共済契約の場合にも、その契約に係る被共済者には、その連結法人の役員で部長、支店長、工場長等のような使用人としての職務を有している者が含まれる。
(社会保険料の損金算入の時期)
8-3-2 連結法人が納付する次に掲げる保険料等の額のうち当該連結法人が負担すべき部分の金額は、それぞれ次に掲げる日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(1) 健康保険法第71条《保険料の徴収》若しくは厚生年金保険法第81条《保険料》の規定により徴収される保険料、同法第138条《掛金》の規定により徴収される掛金又は同法第140条《徴収金》の規定により徴収される徴収金 当該保険料、掛金又は徴収金の額の計算の対象となった月の末日
(2) 健康保険法附則第3条《特別保険料の徴収》の規定により徴収される特別保険料 当該特別保険料に係る賞与等の支払をした日
(労働保険料の損金算入の時期等)
8-3-3 連結法人が、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第15条《概算保険料の納付》の規定によって納付する概算保険料の額又は同法第19条《確定保険料》の規定によって納付し、又は充当若しくは還付を受ける確定保険料に係る過不足額の損金算入の時期等については、次による。
(1) 概算保険料 概算保険料の額のうち、被保険者が負担すべき部分の金額は立替金等とし、その他の部分の金額は当該概算保険料に係る同法第15条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第3項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)又はこれを納付した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(2) 確定保険料に係る不足額 概算保険料の額が確定保険料の額に満たない場合のその不足額のうち当該連結法人が負担すべき部分の金額は、同法第19条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第4項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)又はこれを納付した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。ただし、当該連結事業年度終了の日以前に終了した同法第2条第4項《定義》に規定する保険年度に係る確定保険料について生じた不足額のうち当該連結法人が負担すべき部分の金額については、当該申告書の提出前であっても、これを未払金に計上することができるものとする。
(3) 確定保険料に係る超過額 概算保険料の額が確定保険料の額を超える場合のその超える部分の金額のうち当該連結法人が負担した概算保険料の額に係る部分の金額については、同法第19条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第4項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(養老保険に係る保険料)
8-3-4 連結法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする養老保険(被保険者の死亡又は生存を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含むが、8-3-6に定める定期付養老保険を含まない。以下8-3-8までにおいて同じ。)に加入してその保険料(令第 135条《確定給付企業年金等の掛金等の損金算入》の規定の適用があるものを除く。以下8-3-4において同じ。)を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。
(1) 死亡保険金(被保険者が死亡した場合に支払われる保険金をいう。以下8-3-5までにおいて同じ。)及び生存保険金(被保険者が保険期間の満了の日その他一定の時期に生存している場合に支払われる保険金をいう。以下8-3-4において同じ。)の受取人が当該連結法人である場合 その支払った保険料の額は、保険事故の発生又は保険契約の解除若しくは失効により当該保険契約が終了する時までは資産に計上するものとする。
(2) 死亡保険金及び生存保険金の受取人が被保険者又はその遺族である場合 その支払った保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(3) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が当該連結法人である場合 その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は(1) により資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入する。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該残額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(定期保険に係る保険料)
8-3-5 連結法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期保険(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含む。以下8-3-8までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。
(1) 死亡保険金の受取人が当該連結法人である場合 その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入する。
(2) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合 その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入する。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(定期付養老保険に係る保険料)
8-3-6 連結法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期付養老保険(養老保険に定期保険を付したものをいう。以下8-3-8までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。
(1) 当該保険料の額が生命保険証券等において養老保険に係る保険料の額と定期保険に係る保険料の額とに区分されている場合 それぞれの保険料の額について8-3-4又は8-3-5の例による。
(2) (1) 以外の場合 その保険料の額について8-3-4の例による。
(傷害特約等に係る保険料)
8-3-7 連結法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする傷害特約等の特約を付した養老保険、定期保険又は定期付養老保険に加入し、当該特約に係る保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入することができる。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを傷害特約等に係る給付金の受取人としている場合には、当該保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(保険契約の転換をした場合)
8-3-8 連結法人がいわゆる契約転換制度によりその加入している養老保険又は定期付養老保険を他の養老保険、定期保険又は定期付養老保険(以下8-3-8において「転換後契約」という。)に転換した場合には、資産に計上している保険料の額(以下8-3-8において「資産計上額」という。)のうち、転換後契約の責任準備金に充当される部分の金額(以下8-3-8において「充当額」という。)を超える部分の金額をその転換をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができるものとする。この場合において、資産計上額のうち充当額に相当する部分の金額については、その転換のあった日に保険料の一時払いをしたものとして、転換後契約の内容に応じて8-3-4から8-3-6までの例による。
(払済保険へ変更した場合)
8-3-9 連結法人が既に加入している生命保険をいわゆる払済保険に変更した場合には、原則として、その変更時における解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険料の額(以下8-3-9において「資産計上額」という。)との差額を、その変更した日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、既に加入している生命保険の保険料の全額(傷害特約等に係る保険料の額を除く。)が役員又は使用人に対する給与となる場合は、この限りでない。
(注)
1 養老保険、終身保険及び年金保険(定期保険特約が付加されていないものに限る。)から同種類の払済保険に変更した場合に、本文の取扱いを適用せずに、既往の資産計上額を保険事故の発生又は解約失効等により契約が終了するまで計上しているときは、これを認める。
2 本文の解約返戻金相当額については、その払済保険へ変更した時点において当該変更後の保険と同一内容の保険に加入して保険期間の全部の保険料を一時払いしたものとして、8-3-4から8-3-6までの例により処理するものとする。
3 払済保険が復旧された場合には、払済保険に変更した時点で益金の額又は損金の額に算入した金額を復旧した日の属する連結事業年度の損金の額又は益金の額に、また、払済保険に変更した後に損金の額に算入した金額は復旧した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(契約者配当)
8-3-10 連結法人が生命保険契約(適格退職年金契約に係るものを含む。)に基づいて支払いを受ける契約者配当の額については、その通知(据置配当については、その積立てをした旨の通知)を受けた日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるが、当該生命保険契約が8-3-4の(1) に定める場合に該当する場合(8-3-6の(2) により8-3-4の(1) の例による場合を含む。)には、当該契約者配当の額を資産に計上している保険料の額から控除することができるものとする。
(注)
1 契約者配当の額をもっていわゆる増加保険に係る保険料の額に充当することになっている場合には、その保険料の額については、8-3-4から8-3-6までに定めるところによる。
2 据置配当又は未収の契約者配当の額に付される利子の額については、その通知のあった日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。
(長期の損害保険契約に係る支払保険料)
8-3-11 連結法人が、保険期間が3年以上で、かつ、当該保険期間満了後に満期返戻金を支払う旨の定めのある損害保険契約(これに類する共済に係る契約を含む。以下8-3-14までにおいて「長期の損害保険契約」という。)について保険料(共済掛金を含む。以下8-3-14までにおいて同じ。)を支払った場合には、その支払った保険料の額のうち、積立保険料に相当する部分の金額は保険期間の満了又は保険契約の解除若しくは失効の時までは資産に計上するものとし、その他の部分の金額は期間の経過に応じて損金の額に算入する。
(注) 支払った保険料の額のうち、積立保険料に相当する部分の金額とその他の部分の金額との区分は、保険料払込案内書、保険証券添付書類等により区分されているところによる。
(賃借建物等を保険に付した場合の支払保険料)
8-3-12 連結法人が賃借している建物等(役員又は使用人から賃借しているもので当該役員又は使用人に使用させているものを除く。)に係る長期の損害保険契約について保険料を支払った場合には、当該保険料については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 連結法人が保険契約者となり、当該建物等の所有者が被保険者となっている場合 8-3-11による。
(2) 当該建物等の所有者が保険契約者及び被保険者となっている場合 保険料の全部を当該建物等の賃借料とする。
(役員又は使用人の建物等を保険に付した場合の支払保険料)
8-3-13 連結法人がその役員又は使用人の所有する建物等(8-3-12のかっこ書に該当する建物等を含む。)に係る長期の損害保険契約について保険料を支払った場合には、当該保険料については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 連結法人が保険契約者となり、当該役員又は使用人が被保険者となっている場合 保険料の額のうち、積立保険料に相当する部分の金額は資産に計上し、その他の部分の金額は当該役員又は使用人に対する給与とする。ただし、その他の部分の金額で所得税法上経済的な利益として課税されないものについて連結法人が給与として経理しない場合には、給与として取り扱わない。
(2) 当該役員又は使用人が保険契約者及び被保険者となっている場合 保険料の額の全部を当該役員又は使用人に対する給与とする。
(保険事故の発生による積立保険料の処理)
8-3-14 連結法人が長期の損害保険契約につき資産に計上している積立保険料に相当する部分の金額は、保険事故の発生により保険金の支払を受けた場合においても、その支払により当該損害保険契約が失効しないときは損金の額に算入されないことに留意する。
第4節 寄附金
第1款 寄附金の範囲等
(子会社等を整理する場合の損失負担等)
8-4-1 連結法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下8-4-1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
(注) 子会社等には、当該連結法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる(以下8-4-2において同じ。)。
(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)
8-4-2 連結法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下8-4-2において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば、業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
(注) 合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。
(個人の負担すべき寄附金)
8-4-3 連結法人が損金として支出した寄附金で、その連結法人の役員等が個人として負担すべきものと認められるものは、その負担すべき者に対する給与とする。
(仮払経理した寄附金)
8-4-4 連結法人が各連結事業年度において支払った寄附金の額を仮払金等として経理した場合には、当該寄附金はその支払った連結事業年度において支出したものとして法第81条の6第2項又は第3項《連結事業年度における寄附金の損金不算入》の規定を適用することに留意する。
(手形で支払った寄附金)
8-4-5 令第 155条の15第1項《支出した寄附金の額》に規定する「支払」とは、連結法人がその寄附金を現実に支払ったことをいうのであるから、当該寄附金の支払のための手形の振出し(裏書譲渡を含む。)は、現実の支払には該当しないことに留意する。
(利益処分経理による指定寄附金等)
8-4-6 連結法人が法第81条の6第4項各号《指定寄附金等》(同項第3号を同条第5項において読み替えて適用する場合を含む。)に規定する寄附金の額につき、その確定した決算において利益又は剰余金の処分による経理により支出することとした場合であっても、現実にその支払がされるまでの間は、令第 155条の15第1項《支出した寄附金の額》の規定の適用があることに留意する。
第2款 国等に対する寄附金
(国等に対する寄附金)
8-4-7 法第81条の6第4項第1号《連結事業年度における国等に対する寄附金》に規定する法第37条第4項第1号《国等に対する寄附金》の国又は地方公共団体に対する寄附金とは、国又は地方公共団体(以下この款において「国等」という。)において採納されるものをいうのであるが、国立又は公立の学校等の施設の建設又は拡張等の目的をもって設立された後援会等に対する寄附金であっても、その目的である施設が完成後遅滞なく国等に帰属することが明らかなものは、これに該当する。
(最終的に国等に帰属しない寄附金)
8-4-8 国等に対して採納の手続を経て支出した寄附金であっても、その寄附金が特定の団体に交付されることが明らかである等最終的に国等に帰属しないと認められるものは、国等に対する寄附金には該当しないことに留意する。
(公共企業体等に対する寄附金)
8-4-9 日本道路公団、日本政策投資銀行等のように全額政府出資により設立された法人又は地方公共団体の全額出資により設立された法人に対する寄附金は、法第81条の6第4項第1号《連結事業年度における国等に対する寄附金》に規定する法第37条第4項第1号《国等に対する寄附金》の国等に対する寄附金には該当しないことに留意する。
第3款 被災者に対する義援金等
(災害救助法の規定の適用を受ける地域の被災者のための義援金等)
8-4-10 連結法人が、災害救助法第2条《被救助者》の規定に基づき都道府県知事が救助を実施する区域として指定した区域の被災者のための義援金等の募集を行う募金団体(日本赤十字社、新聞・放送等の報道機関等)に対してきょ出した義援金等については、その義援金等が最終的に義援金配分委員会等(災害対策基本法第40条又は第42条《地域防災計画》に規定する地域防災計画に基づき地方公共団体が組織する義援金配分委員会その他これと目的を同じくする組織で地方公共団体が組織するものをいう。)に対してきょ出されることが募金趣意書等において明らかにされているものであるときは、法第81条の6第4項第1号《連結事業年度における国又は地方公共団体に対する寄附金》に規定する法第37条第4項第1号《国又は地方公共団体に対する寄附金》の地方公共団体に対する寄附金に該当するものとする。
(注) 海外の災害に際して、募金団体から最終的に日本赤十字社に対してきょ出されることが募金趣意書等において明らかにされている義援金等については、特定公益増進法人である日本赤十字社に対する寄附金となることに留意する。
(災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等)
8-4-11 連結法人が、災害を受けた得意先等の取引先(以下8-4-12までにおいて「取引先」という。)に対してその復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間(災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいう。以下8-4-12において同じ。)内に売掛金、未収請負金、貸付金その他これらに準ずる債権の全部又は一部を免除した場合には、その免除したことによる損失の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
既に契約で定められたリース料、貸付利息、割賦販売に係る賦払金等で災害発生後に授受するものの全部又は一部の免除を行うなど契約で定められた従前の取引条件を変更する場合及び災害発生後に新たに行う取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様とする。
(注) 「得意先等の取引先」には、得意先、仕入先、下請工場、特約店、代理店等のほか、商社等を通じた取引であっても価格交渉等を直接行っている場合の商品納入先など、実質的な取引関係にあると認められる者が含まれる。
(災害の場合の取引先に対する低利又は無利息による融資)
8-4-12 連結法人が、災害を受けた取引先に対して低利又は無利息による融資をした場合において、当該融資が取引先の復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間内に行われたものであるときは、当該融資は正常な取引条件に従って行われたものとする。
(自社製品等の被災者に対する提供)
8-4-13 連結法人が不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
第4款 その他
(特定公益増進法人の主たる目的である業務に関連する寄附金であるかどうかの判定)
8-4-14 法第81条の6第4項第3号《連結事業年度における特定公益増進法人に対する寄附金》に規定する法第37条第4項第3号《特定公益増進法人に対する寄附金》の「当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金」であるかどうかは、当該法人の募金趣意書、事業計画書、募金計画書の写し等を総合勘案して判定する。
(資産を帳簿価額により寄附した場合の処理)
8-4-15 連結法人が金銭以外の資産をもって寄附金を支出した場合には、その寄附金の額は支出の時における当該資産の価額によって計算するのであるが、連結法人が金銭以外の資産をもって支出した法第81条の6第4項各号《指定寄附金等》に定める寄附金につき、その支出した金額を帳簿価額により計算し、かつ、連結確定申告書に記載した場合には、連結法人の計上した寄附金の額が当該資産の価額より低いためその一部につき当該連結確定申告書に記載がないこととなるときであっても、その記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めて同項の規定を適用することができる。
第5節 租税公課
第1款 租税
(租税の損金算入の時期)
8-5-1 連結法人が納付すべき国税及び地方税(連結法人の各連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入されないものを除く。)については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める連結事業年度の損金の額に算入する。
(1) 申告納税方式による租税 納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日(その年分の地価税に係る納税申告書が地価税法第25条《申告》に規定する申告期間の開始の日前に提出された場合には、当該納税申告書に記載された税額については当該申告期間の開始の日)の属する連結事業年度とし、更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する連結事業年度とする。ただし、次に掲げる場合には、それぞれ次による。
イ 収入金額又は棚卸資産の評価額のうちに申告期限未到来の納付すべき酒税等に相当する金額が含まれている場合又は製造原価、工事原価その他これらに準ずる原価のうちに申告期限未到来の納付すべき事業に係る事業所税若しくは地価税に相当する金額が含まれている場合において、連結法人が当該金額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした連結事業年度とする。
ロ 連結法人が、申告に係る地価税につき地価税法第28条第1項及び第3項《納付》並びに同条第5項の規定により読み替えて適用される通則法第35条第2項《申告納税方式による納付》に定めるそれぞれの納期限の日又は実際に納付した日の属する連結事業年度において損金経理をした場合には、当該連結事業年度とする。
(2) 賦課課税方式による租税 賦課決定のあった日の属する連結事業年度とする。ただし、連結法人がその納付すべき税額について、その納期の開始の日(納期が分割して定められているものについては、それぞれの納期の開始の日とする。)の属する連結事業年度又は実際に納付した日の属する連結事業年度において損金経理をした場合には、当該連結事業年度とする。
(3) 特別徴収方式による租税 納入申告書に係る税額についてはその申告の日の属する連結事業年度とし、更正又は決定による不足税額については当該更正又は決定があった日の属する連結事業年度とする。ただし、申告期限未到来のものにつき収入金額のうち納入すべき金額が含まれている場合において、連結法人が当該金額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした連結事業年度とする。
(4) 利子税並びに地方税法第65条第2項、第72条の45の2又は第327条第2項《法人の道府県民税等に係る納期限の延長の場合の延滞金》の規定により徴収される延滞金納付の日の属する連結事業年度とする。ただし、連結法人が当該連結事業年度の期間に係る未納の金額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした連結事業年度とする。
(事業税の損金算入の時期の特例)
8-5-2 当該連結事業年度の直前の連結事業年度(以下8-5-2において「直前年度」という。)分の事業税の額(8-5-1により直前年度の損金の額に算入される部分の金額を除く。)については、8-5-1にかかわらず、当該連結事業年度終了の日までにその全部又は一部につき申告、更正又は決定がされていない場合であっても、当該連結事業年度の損金の額に算入することができるものとする。
(適格合併の場合の被合併法人の最後事業年度分の事業税の損金算入)
8-5-3 適格合併に係る被合併法人の合併の日の前日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に係る事業税は、合併法人においてその額が具体的に確定した連結事業年度の損金の額に算入する。
(強制徴収等に係る源泉所得税)
8-5-4 連結法人がその支払う配当、給料等について源泉徴収に係る所得税を納付しなかったことにより、所得税法第221 条《源泉徴収に係る所得税の徴収》の規定により所得税を徴収された場合において、その徴収された所得税を租税公課等として損金経理をしたときは、その徴収の基礎となった配当、給料等の区分に応じてその追加支払がされたものとする。
連結法人がその配当、給料等について所得税を源泉徴収しないでその所得税を納付した場合におけるその納付した所得税についても、同様とする。 (注) 連結法人がその徴収され又は納付した所得税を仮払金等として経理し求償することとしている場合には、その経理を認める。
(道府県民税等の減免に代えて交付を受けた補助金等)
8-5-5 連結法人が道府県又は市町村から工場誘致条例又はこれに準ずる条例に基づいて補助金、奨励金等の交付を受けた場合において、当該補助金、奨励金等が実質的に道府県民税及び市町村民税の減免に代えて交付されたものであることが明らかであるときは、当該補助金、奨励金等は、その交付を受けた日の属する連結事業年度の益金の額に算入しない。
第2款 罰科金
(役員等に対する罰科金等)
8-5-6 連結法人がその役員又は使用人に対して課された罰金若しくは科料、過料又は交通反則金を負担した場合において、その罰金等が連結法人の業務の遂行に関連してされた行為等に対して課せられたものであるときは連結法人の損金の額に算入しないものとし、その他のものであるときはその役員又は使用人に対する給与とする。
(外国等が課する罰金又は科料に相当するもの)
8-5-7 法第38条第2項第5号《法人税額等の損金不算入》に規定する外国又はこれに準ずる者として政令で定める者が課する罰金又は科料に相当するものとは、裁判手続(刑事訴訟手続)を経て外国又は外国の地方公共団体により課されるものをいう。
(注) いわゆる司法取引により支払われたものも、裁判手続(刑事訴訟手続)を経て課された罰金又は科料に相当するものに該当することに留意する。
第3款 第二次納税義務による納付税額
(第二次納税義務により納付し又は納入した金額の返還を受けた場合の益金不算入)
8-5-8 連結法人が法第39条第1項各号及び第2項各号《第二次納税義務に係る納付税額の損金不算入等》に掲げる国税又は地方税を納付し又は納入したことにより生じた損失の額が同条の規定により損金の額に算入されなかった場合において、その後の連結事業年度において求償により金銭その他の資産の給付を受けたときは、その給付を受けた資産の価額(同条第2項ただし書に規定する場合に該当して当該損失の額のうち損金の額に算入されたものがあるときは、その損金の額に算入された金額に相当する部分の金額を除く。)に相当する金額は、その給付を受けた日の属する連結事業年度の益金の額に算入しないものとする。
第4款 賦課金、納付金等
(賦課金、納付金等の損金算入の時期)
8-5-9 連結法人が納付すべき次に掲げる賦課金等については、それぞれ次に定める日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(1) 公害健康被害の補償等に関する法律第52条第1項《汚染負荷量賦課金の徴収》に規定する汚染負荷量賦課金 当該汚染負荷量賦課金の額につき、汚染負荷量賦課金申告書が提出された日(決定に係る金額については、当該決定の通知があった日)
(2) 公害健康被害の補償等に関する法律第62条第1項《特定賦課金の徴収》に規定する特定賦課金 当該特定賦課金の額につき、決定の通知があった日
(3) 障害者の雇用の促進等に関する法律第26条第1項《障害者雇用納付金の徴収》に規定する障害者雇用納付金 当該障害者雇用納付金の額につき、障害者雇用納付金申告書が提出された日(告知に係る金額については、当該告知があった日)
第6節 貸倒損失
第1款 金銭債権の貸倒れ
(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)
8-6-1 連結法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうちそれぞれ次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する連結事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。
(1) 会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生計画認可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(2) 商法の規定による特別清算に係る協定の認可若しくは整理計画の決定又は破産法の規定による強制和議の認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額
イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額
(回収不能の金銭債権の貸倒れ)
8-6-2 連結法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった連結事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。
(注) 保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。
(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)
8-6-3 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下8-6-3において同じ。)について連結法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。
(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
(2) 連結法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき
(注) (1) の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば、不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。
第2款 返品債権特別勘定
(返品債権特別勘定の設定)
8-6-4 出版業を営む連結法人で法第53条《返品調整引当金》により返品調整引当金勘定を設けることのできるものが、雑誌(週刊誌、旬刊誌、月刊誌等の定期刊行物をいう。以下この款において同じ。)の販売に関し、その取次業者又は販売業者(以下この款においてこれらの者を「販売業者」という。)との間に、次の(1) 及び(2) に掲げる事項を内容とする特約を結んでいる場合には、その販売した連結事業年度において8-6-5に定める繰入限度額以下の金額を損金経理により返品債権特別勘定に繰り入れることができる。
(1) 各連結事業年度終了の時においてその販売業者がまだ販売していない雑誌(当該連結事業年度終了の時の直前の発行日に係るものを除く。以下この款において「店頭売れ残り品」という。)に係る売掛金に対応する債務を当該時において免除すること。
(2) 店頭売れ残り品を当該連結事業年度終了の時において自己に帰属させること。
(返品債権特別勘定の繰入限度額)
8-6-5 返品債権特別勘定の繰入限度額は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる金額とする。
(1) 当該連結法人が返品調整引当金勘定への繰入限度額を令第 101条第1項第1号《売掛金基準》の方法により計算している場合 当該連結事業年度終了の時における雑誌の販売に係る売掛金(当該連結事業年度終了の時の直前の発行日に係るものを除く。)の帳簿価額の合計額に同号に規定する返品率を乗じて計算した金額から店頭売れ残り品の当該連結事業年度終了の時における価額に相当する金額を控除した金額
(2) 当該連結法人が返品調整引当金勘定への繰入限度額を同項第2号《販売高基準》の方法により計算している場合又は返品調整引当金勘定を設けていない場合 当該連結事業年度終了の日以前2月間における雑誌の販売の対価の額(当該連結事業年度終了の時の直前の発行日に係るものを除く。)の合計額に同号に規定する返品率を乗じて計算した金額から店頭売れ残り品の当該連結事業年度終了の時における価額に相当する金額を控除した金額
(返品債権特別勘定の金額の益金算入)
8-6-6 返品債権特別勘定の金額は、その繰り入れた連結事業年度の翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額に算入する。
(明細書の添付)
8-6-7 返品債権特別勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う連結事業年度の連結確定申告書に返品債権特別勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付しなければならないものとする。
(適格組織再編成に係る返品債権特別勘定の設定等)
8-6-8 8-1-10から8-1-12までの取扱いは、8-6-4に定める連結法人が適格分社型分割等により分割承継法人等に返品債権特別勘定の設定の対象となる8-6-4の(1) 及び(2) に定める特約を結んでいる売掛金を移転する場合並びに適格組織再編成により合併法人等に返品債権特別勘定を引き継ぐ場合についてそれぞれ準用する。
第7節 負担金
(負担金の使用期間)
8-7-1 令第 136条《特定の損失等に充てるための負担金の損金算入》に規定する「公益法人等の当該業務に係る資金のうち短期間に使用されるもの」とは、当該公益法人等の定款、業務方法書等において、5年以内の期間を業務計画期間とし、当該期間内に使用されることが予定されている資金をいうものとする。
(注)
1 業務計画期間が経過した場合において、引き続き同条の規定の適用を受けようとするときは、改めて同条に規定する指定を受ける必要があることに留意する。
2 5年を超える期間に使用されることが予定されているものについては措置法第68条の95《特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例》の規定により、財務大臣の指定を必要とすることに留意する。
(特定の損失又は費用を補てんするための業務の範囲)
8-7-2 令第 136条《特定の損失等に充てるための負担金の損金算入》に規定する「その他の特定の損失又は費用を補てんするための業務」には、例えば、次のようなものが含まれることに留意する。
(1) 水産物又は配合飼料の価格の変動による損失の補てんに係る業務
(2) 行政指導等に基づき公益法人等が行う構造改善事業
(3) 海面の油濁による損失の補てんに係る業務
(負担金の損金算入時期)
8-7-3 連結法人が令第 136条《特定の損失等に充てるための負担金の損金算入》に規定する負担金を支出した場合における当該負担金の損金算入時期は、当該連結法人が当該負担金を現実に支払った日(国税庁長官の指定前に支払ったものについては、その指定のあった日)の属する連結事業年度となることに留意する。
(注) 1 当該負担金の支払のための手形の振出し(裏書譲渡を含む。)の日は現実に支払った日に該当しない。
2 国税庁長官の指定前に支払ったものについては、当該指定の日までの間は仮払金として処理することとなる。
第8節 その他の経費
第1款 商品等の販売に要する景品等の費用
(抽選券付販売に要する景品等の費用)
8-8-1 連結法人が商品等の抽選券付販売により当選者に金銭若しくは景品を交付し、又は旅行、観劇等に招待することとしている場合には、これらに要する費用の額は、当選者から抽選券の引換えの請求があった日又は旅行等を実施した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。ただし、当選者からの請求を待たないで、連結法人が金銭又は景品を送付することとしている場合には抽選の日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(金品引換券付販売に要する費用)
8-8-2 連結法人が商品等の金品引換券付販売により金品引換券と引換えに金銭又は物品を交付することとしている場合には、その金銭又は物品の代価に相当する額は、その引き換えた日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(金品引換費用の未払金の計上)
8-8-3 連結法人が商品等の金品引換券付販売をした場合において、その金品引換券が販売価額又は販売数量に応ずる点数等で表示されており、かつ、たとえ1枚の呈示があっても金銭又は物品と引き換えることとしているものであるときは、8-8-2にかかわらず、次の算式により計算した金額をその販売の日の属する連結事業年度において損金経理により未払金に計上することができる。
(算式)
(注) 1 算式中「1枚又は1点について交付する金銭の額」は、物品だけの引換えをすることとしている場合には、1枚又は1点について交付する物品の購入単価(2以上の物品のうちその一つを選択することができることとしている場合には、その最低購入単価)による。
2 算式中「その連結事業年度において発行した枚数又は点数」には、その連結事業年度において発行した枚数又は点数のうち、その連結事業年度終了の日までに引換えの済んだもの及び引換期間の終了したものは含まない。
(金品引換費用の未払金の益金算入)
8-8-4 8-8-3により損金の額に算入した未払金の額は、その翌連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、引換期間の定めのあるものでその期間が終了していないものの未払金の額は、その引換期間の末日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(注) 上記の「翌連結事業年度」及び「引換期間の末日の属する連結事業年度」は、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度とする。
(明細書の添付)
8-8-5 8-8-3により未払金の計上を行う場合には、その計上を行う連結事業年度の連結確定申告書に未払金の額の計算の基礎及び金品引換券の引換条件等に関する事項を記載した明細書を添付しなければならないものとする。
第2款 海外渡航費
(海外渡航費)
8-8-6 連結法人がその役員又は使用人の海外渡航に際して支給する旅費(支度金を含む。以下この款において同じ。)は、その海外渡航が当該連結法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のための通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての連結法人の経理を認める。したがって、連結法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航の旅費の額はもちろん、連結法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であってもその旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則として、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(注)
その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ、明らかに連結法人の業務の遂行上必要と認められるものである場合には、その海外渡航のために支給する旅費は、社会通念上合理的な基準によって計算されている等不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費として経理することができる。
(業務の遂行上必要な海外渡航の判定)
8-8-7 連結法人の役員又は使用人の海外渡航が連結法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定するものとするが、次に掲げる旅行は、原則として連結法人の業務の遂行上必要な海外渡航に該当しないものとする。
(1) 観光渡航の許可を得て行う旅行
(2) 旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行
(3) 同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの
(同伴者の旅費)
8-8-8 連結法人の役員が連結法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航に際し、その親族又はその業務に常時従事していない者を同伴した場合において、その同伴者に係る旅費を連結法人が負担したときは、その旅費はその役員に対する給与とする。ただし、その同伴が例えば次に掲げる場合のように、明らかにその海外渡航の目的を達成するために必要な同伴と認められるときは、その旅行について通常必要と認められる費用の額は、この限りでない。
(1) その役員が常時補佐を必要とする身体障害者であるため補佐人を同伴する場合
(2) 国際会議への出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合
(3) その旅行の目的を遂行するため外国語にたんのうな者又は高度の専門的知識を有する者を必要とするような場合に、適任者が連結法人の使用人のうちにいないためその役員の親族又は臨時に委嘱した者を同伴するとき
(業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行と併せて行った場合の旅費)
8-8-9 連結法人の役員又は使用人が海外渡航をした場合において、その海外渡航の旅行期間にわたり連結法人の業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行とを併せて行ったものであるときは、その海外渡航に際して支給する旅費を連結法人の業務の遂行上必要と認められる旅行の期間と認められない旅行の期間との比等によりあん分し、連結法人の業務の遂行上必要と認められない旅行に係る部分の金額については、当該役員又は使用人に対する給与とする。ただし、海外渡航の直接の動機が特定の取引先との商談、契約の締結等連結法人の業務の遂行のためであり、その海外渡航を機会に観光を併せて行うものである場合には、その往復の旅費(当該取引先の所在地等その業務を遂行する場所までのものに限る。)は、連結法人の業務の遂行上必要と認められるものとして、その海外渡航に際して支給する旅費の額から控除した残額につき本文の規定を適用する。
(業務の遂行上必要と認められない海外渡航の旅費の特例)
8-8-10 連結法人の役員又は使用人の海外渡航が8-8-7に掲げる旅行に該当する場合であっても、その海外渡航の旅行期間内における旅行先、行った仕事の内容等からみて連結法人の業務にとって直接関連のあるものがあると認められるときは、連結法人の支給するその海外渡航に要する旅費のうち、連結法人の業務にとって直接関連のある部分の旅行について直接要した費用の額は、旅費として損金の額に算入する。
第3款 会費及び入会金等の費用
(ゴルフクラブの入会金)
8-8-11 連結法人がゴルフクラブに対して支出した入会金については、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1) 法人会員として入会する場合 入会金は資産として計上するものとする。ただし、記名式の法人会員で名義人たる特定の役員又は使用人が専ら連結法人の業務に関係なく利用するためこれらの者が負担すべきものであると認められるときは、当該入会金に相当する金額は、これらの者に対する給与とする。
(2) 個人会員として入会する場合 入会金は個人会員たる特定の役員又は使用人に対する給与とする。ただし、無記名式の法人会員制度がないため個人会員として入会し、その入会金を連結法人が資産に計上した場合において、その入会が連結法人の業務の遂行上必要であるため連結法人の負担すべきものであると認められるときは、その経理を認める。
(注) この入会金は、ゴルフクラブに入会するために支出する費用であるから、他人の有する会員権を購入した場合には、その購入代価のほか他人の名義を変更するためにゴルフクラブに支出する費用も含まれる。
(資産に計上した入会金の処理)
8-8-12 連結法人が資産に計上した入会金については償却を認めないものとするが、ゴルフクラブを脱退してもその返還を受けることができない場合における当該入会金に相当する金額及びその会員たる地位を他に譲渡したことにより生じた当該入会金にかかる譲渡損失に相当する金額については、その脱退をし、又は譲渡をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(注) 預託金制ゴルフクラブのゴルフ会員権については、退会の届出、預託金の一部切捨て、破産宣告等の事実に基づき預託金返還請求権の全部又は一部が顕在化した場合において、当該顕在化した部分については、金銭債権として貸倒損失及び貸倒引当金の対象とすることができることに留意する。
(年会費その他の費用)
8-8-13 連結法人がゴルフクラブに支出する年会費、年決めロッカー料その他の費用(その名義人を変更するために支出する名義書換料を含み、プレーする場合に直接要する費用を除く。)については、その入会金が資産として計上されている場合には交際費とし、その入会金が給与とされている場合には会員たる特定の役員又は使用人に対する給与とする。
(注) プレーする場合に直接要する費用については、入会金を資産に計上しているかどうかにかかわらず、その費用が連結法人の業務の遂行上必要なものであると認められる場合には交際費とし、その他の場合には当該役員又は使用人に対する給与とする。
(レジャークラブの入会金)
8-8-14 8-8-11及び8-8-12の取扱いは、連結法人がレジャークラブ(宿泊施設、体育施設、遊技施設その他のレジャー施設を会員に利用させることを目的とするクラブでゴルフクラブ以外のものをいう。以下8-8-14において同じ。)に対して支出した入会金について準用する。ただし、その会員としての有効期間が定められており、かつ、その脱退に際して入会金相当額の返還を受けることができないものとされているレジャークラブに対して支出する入会金(役員又は使用人に対する給与とされるものを除く。)については、繰延資産として償却することができるものとする。 (注) 年会費その他の費用は、その使途に応じて交際費等又は福利厚生費若しくは給与となることに留意する。
(社交団体の入会金)
8-8-15 連結法人が社交団体(ゴルフクラブ及びレジャークラブを除く。以下8-8-16において同じ。)に対して支出する入会金については、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1) 法人会員として入会する場合 入会金は支出の日の属する連結事業年度の交際費とする。
(2) 個人会員として入会する場合 入会金は個人会員たる特定の役員又は使用人に対する給与とする。ただし、法人会員制度がないため個人会員として入会した場合において、その入会が連結法人の業務の遂行上必要であると認められるときは、その入会金は支出の日の属する連結事業年度の交際費とする。
(社交団体の会費等)
8-8-16 連結法人がその入会している社交団体に対して支出した会費その他の費用については、次の区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 経常会費については、その入会金が交際費に該当する場合には交際費とし、その入会金が給与に該当する場合には会員たる特定の役員又は使用人に対する給与とする
(2) 経常会費以外の費用については、その費用が連結法人の業務の遂行上必要なものであると認められる場合には交際費とし、会員たる特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められる場合には当該役員又は使用人に対する給与とする。
(ロータリークラブ及びライオンズクラブの入会金等)
8-8-17 連結法人がロータリークラブ又はライオンズクラブに対する入会金又は会費等を負担した場合には、次による。
(1) 入会金又は経常会費として負担した金額については、その支出をした日の属する連結事業年度の交際費とする。
(2) (1) 以外に負担した金額については、その支出の目的に応じて寄附金又は交際費とする。ただし、会員たる特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められる場合には、当該負担した金額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(同業団体等の会費)
8-8-18 連結法人がその所属する協会、連盟その他の同業団体等(以下8-8-19までにおいて「同業団体等」という。)に対して支出した会費の取扱いについては、次による。
(1) 通常会費(同業団体等がその構成員のために行う広報活動、調査研究、研修指導、福利厚生その他同業団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用の分担額として支出する会費をいう。以下8-8-18において同じ。)については、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。ただし、当該同業団体等においてその受け入れた通常会費につき不相当に多額の剰余金が生じていると認められる場合には、当該剰余金が生じた時以後に支出する通常会費については、当該剰余金の額が適正な額になるまでは、前払費用として損金の額に算入しないものとする。
(2) その他の会費(同業団体等が次に掲げるような目的のために支出する費用の分担額として支出する会費をいう。以下8-8-18において同じ。)については、前払費用とし、当該同業団体等がこれらの支出をした日にその費途に応じて当該連結法人がその支出をしたものとする。
イ 会館その他特別な施設の取得又は改良
ロ 会員相互の共済
ハ 会員相互又は業界の関係先等との懇親等
ニ 政治献金その他の寄附
(注) 1 通常会費として支出したものであっても、その全部又は一部が当該同業団体等において(2)に掲げるような目的のための支出に充てられた場合には、その会費の額のうちその充てられた部分に対応する部分の金額については、その他の会費に該当することに留意する。ただし、その同業団体等における支出が当該同業団体等の業務運営の一環として通常要すると認められる程度のものである場合には、この限りでない。
2 (1) の場合において、同業団体等の役員又は使用人に対する賞与又は退職給与の支給に充てるために引き当てられた金額で適正と認められるものは、剰余金の額に含めないことができる。
(災害見舞金に充てるために同業団体等へ搬出する分担金等)
8-8-19 連結法人が、その所属する協会、連盟その他の同業団体等の構成員の有する事業用資産について災害により損失が生じた場合に、その損失の補てんを目的とする構成員相互の扶助等に係る規約等(災害の発生を機に新たに定めたものを含む。)に基づき合理的な基準に従って当該災害発生後に当該同業団体等から賦課され、搬出した分担金等は、8-8-18の取扱いにかかわらず、その支出した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
第4款 その他
(連結法人が支出した役員等の損害賠償金)
8-8-20 連結法人の役員又は使用人がした行為等によって他人に与えた損害につき連結法人がその損害賠償金を支出した場合には、次による。
(1) その損害賠償金の対象となった行為等が連結法人の業務の遂行に関連するものであり、かつ、故意又は重過失に基づかないものである場合には、その支出した損害賠償金の額は給与以外の損金の額に算入する。
(2) その損害賠償金の対象となった行為等が、連結法人の業務の遂行に関連するものであるが故意又は重過失に基づくものである場合又は連結法人の業務の遂行に関連しないものである場合には、その支出した損害賠償金に相当する金額は当該役員又は使用人に対する債権とする。
(損害賠償金に係る債権の処理)
8-8-21 連結法人が、8-8-20の(2) に定める債権につき、その役員又は使用人の支払能力等からみて求償できない事情にあるため、その全部又は一部に相当する金額を貸倒れとして損金経理をした場合(8-8-20の(2) の損害賠償金相当額を債権として計上しないで損金の額に算入した場合を含む。)には、これを認める。ただし、当該貸倒れ等とした金額のうちその役員又は使用人の支払能力等からみて回収が確実であると認められる部分の金額については、これを当該役員又は使用人に対する給与とする。
(自動車による人身事故に係る内払の損害賠償金)
8-8-22 自動車による人身事故(死亡又は傷害事故をいう。)に伴い、損害賠償金(8-8-20の(2) に係る損害賠償金を除く。)として支出した金額は、示談の成立等による確定前においても、その支出の日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができるものとする。この場合には、当該損金の額に算入した損害賠償金に相当する金額(その人身事故について既に益金の額に算入した保険金がある場合には、その累積額を当該人身事故に係る保険金見積額から控除した残額を限度とする。)の保険金は益金の額に算入する。
(注) 保険金見積額とは、当該連結法人が自動車損害賠償責任保険契約又は任意保険契約を締結した保険会社に対して保険金の支払を請求しようとする額をいう。
(社葬費用)
8-8-23 連結法人が、その役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出した日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができるものとする。
(注) 会葬者が持参した香典等を連結法人の収入としないで遺族の収入としたときは、これを認める。
(費途不明の交際費等)
8-8-24 連結法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭でその費途が明らかでないものは、損金の額に算入しない。
第9章 圧縮記帳
第1節 圧縮記帳の通則
(特別勘定の経理)
9-1-1 法第43条及び第48条《国庫補助金等に係る特別勘定の金額の損金算入等》に規定する特別勘定の経理は、損金経理により引当金勘定に繰り入れる方法又は確定した決算において利益若しくは剰余金の処分により目的積立金として積み立てる方法のいずれによってもよいのであるが、これらの方法のほか、仮受金等として経理する方法によることもできるものとする。
(資産につき除却等があった場合の引当金等の取崩し)
9-1-2 圧縮記帳による圧縮額を引当金又は目的積立金として経理している資産につき除却、廃棄、滅失又は譲渡(以下9-1-2において「除却等」という。)があった場合には、当該引当金勘定の金額又は目的積立金の額(当該資産の一部につき除却等があった場合には、その除却等があった部分に係る金額)を取り崩してその除却等のあった日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。
(注) 当該譲渡には、適格分社型分割、適格現物出資又は適格事後設立による資産の移転は含まれないのであるから留意する。
(引当金等の任意取崩しの場合の償却超過額等の処理)
9-1-3 圧縮記帳による圧縮額を引当金又は目的積立金として経理している連結法人が当該引当金勘定の金額又は目的積立金の額の全部又は一部を取り崩して益金の額に算入した場合において、その取り崩した引当金又は目的積立金の設定の基礎となった資産に係る償却超過額又は評価損の否認金(当該連結事業年度において生じた償却超過額又は評価損の否認金を含む。)があるときは、その償却超過額又は評価損の否認金の額のうち益金の額に算入した引当金勘定の金額又は目的積立金の額に達するまでの金額は、当該連結事業年度の損金の額に算入する。
(圧縮記帳の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合の取得価額)
9-1-4 合併法人等(合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人をいう。以下この章において同じ。)が適格組織再編成(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立をいう。以下この章において同じ。)により被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人をいう。以下この章において同じ。)において圧縮記帳の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合には、当該固定資産に係る引当金又は目的積立金の金額の引継ぎを受けたかどうかにかかわらず、当該被合併法人等において当該固定資産の取得価額に算入されなかった金額は、当該固定資産の取得価額に算入されないことに留意する。
第2節 国庫補助金等で取得した資産の圧縮記帳
(返還が確定しているかどうかの判定)
9-2-1 連結法人が交付を受けた国庫補助金等について次のような一般的条件が付されていることは、法第42条第1項(同条第5項を含む。)、第43条第1項(同条第2項、第6項若しくは第8項を含む。)又は第44条第1項(同条第4項を含む。)《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入等》の規定の適用上、当該国庫補助金等につき返還を要しないことが確定しているかどうかの判定には関係がないものとする。
(1) 交付の条件に違反した場合には返還しなければならないこと。
(2) 一定期間内に相当の収益が生じた場合には返還しなければならないこと。
(注) 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第15条《補助金等の額の確定等》の規定により交付すべき補助金等の額が確定し、その旨の通知を受けた国庫補助金等は、返還を要しないことが確定した国庫補助金等に該当する。
(資本的支出がある場合の圧縮限度額)
9-2-2 固定資産につき令第82条《特別勘定を設けた場合の国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮限度額》の規定により圧縮限度額を計算する場合において、当該固定資産の取得又は改良(以下この章において「取得等」という。)の後国庫補助金等の返還を要しないことが確定した日までの間に当該固定資産につき資本的支出を行っているときの同条の規定の適用については、当初の取得価額及びその取得価額に係る帳簿価額(改良の場合にはその改良に係る部分のこれらの金額)を基礎として計算するのであるが、連結法人が同条の規定を適用する時における当該固定資産の資本的支出後の取得価額及び帳簿価額を基礎として計算している場合には、これを認める。
(固定資産の取得等の後に国庫補助金等を受けた場合の圧縮記帳)
9-2-3 連結法人が国庫補助金等の交付を受けた日の属する連結事業年度前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてその交付の目的に適合する固定資産の取得等をしている場合には、その交付を受けた連結事業年度において当該固定資産につき法第42条第1項又は第5項《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定を適用することができる。この場合における圧縮限度額は、これらの規定にかかわらず、令第82条《特別勘定を設けた場合の国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮限度額》の規定に準じて計算した金額による。
(注)
1 特別償却準備金の積立ての対象とした固定資産についてその積み立てた連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)後の連結事業年度において国庫補助金等の交付を受け、又はその返還を要しないことが確定した場合における法第42条第1項若しくは第5項又は第44条第1項若しくは第4項《特別勘定を設けた場合の国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入等》の規定の適用上、その圧縮限度額は、次の算式により計算した金額によるものとする。

2 当該固定資産について国庫補助金等の交付を受け、又はその返還を要しないことが確定した日の属する連結事業年度の直前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)から繰り越された特別償却不足額(特別償却準備金の積立不足額を含む。以下9-2-3において同じ。)があるときは、当該特別償却不足額の生じた連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において圧縮記帳をしたものとした場合に計算される特別償却限度額を基礎として当該繰り越された特別償却不足額を修正するものとする。
(地方公共団体から土地等を時価に比して著しく低い価額で取得した場合の圧縮記帳)
9-2-4 連結法人が工場誘致等のために都道府県又は市町村から土地その他の固定資産をその時価に比して著しく低い価額で取得し、当該価額(その取得に要した費用があるときは、当該費用の額を加算した金額)を帳簿価額とした場合には、当該資産については法第42条《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定により圧縮記帳をしたものとして取り扱う。
(地方税の減免に代えて交付を受けた補助金等)
9-2-5 連結法人が都道府県又は市町村から工場誘致条例又はこれに準ずる条例に基づいて補助金、奨励金等の交付を受けた場合において、当該補助金、奨励金等が実質的に税の減免に代えて交付されたものであることが明らかであると認められるときは、当該補助金、奨励金等は、法第42条第1項《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する国庫補助金等には該当しない。
(山林の取得等に充てるために交付を受けた国庫補助金等)
9-2-6 連結法人が山林の取得又は改良に充てるため、国又は地方公共団体から交付を受けた補助金は、法第42条第1項《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する国庫補助金等に該当するものとする。
第3節 工事負担金で取得した資産の圧縮記帳
(受益者の範囲)
9-3-1 法第45条第1項《工事負担金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する「受益者」には、例えば不動産業者等が、その開発した団地に必要な施設で同項に規定するものに係る工事負担金を同項各号に掲げる事業を営む法人に交付し、当該工事負担金に相当する金額を当該団地に係る土地等の購入者に負担させることとしている場合における当該不動産業者等が含まれる。
(固定資産の取得の後に工事負担金を受けた場合の圧縮記帳)
9-3-2 連結法人が工事負担金の交付を受けた日の属する連結事業年度前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてその交付の目的に適合する固定資産を取得している場合には、その交付を受けた連結事業年度において当該固定資産につき法第45条第1項又は第5項《工事負担金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定を適用することができる。この場合における圧縮限度額は、これらの規定にかかわらず、次の算式により計算した金額による。
(工事負担金を受けた連結事業年度において固定資産が取得できない場合の仮受経理等)
9-3-3 法第45条第1項各号《工事負担金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に掲げる事業を営む連結法人が、その事業に必要な施設を設けるため同項に規定する受益者から金銭又は資材の提供を受けた場合において、その提供を受けた連結事業年度終了の日までに、その施設を構成する固定資産を取得することができなかったときは、その提供を受けた金銭又は資材の価額に相当する金額を仮勘定として経理し、当該固定資産の取得をした日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてこれを取り崩して益金の額に算入することを認める。この場合において、当該固定資産については、法第45条第1項又は第5項の規定に準じて圧縮記帳をすることができる。
第4節 非出資組合が賦課金で取得した資産の圧縮記帳
(2以上の連結事業年度にわたり納付金が納付される場合の圧縮記帳)
9-4-1 法第46条第1項《非出資組合が賦課金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の非出資組合が2以上の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)にわたり納付金を納付させることとしている場合において、その納付金の全額を納付させる前にその目的となった固定資産の取得等をし、その固定資産について、次のいずれかの方法により圧縮記帳をしているときは、これを認める。
(1) その固定資産について、納付金の納付の都度、9-3-2(その納付金の納付を受けた日の属する事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、法人税基本通達10-3-2《固定資産の取得の後に工事負担金を受けた場合の圧縮記帳》)に準じて圧縮記帳をする方法
(2) その固定資産の取得等をした連結事業年度後に納付させる納付金の額を未収入金に計上し、その連結事業年度において圧縮記帳をする方法
(納付金の納付があった連結事業年度において固定資産の取得等をすることができない場合の仮受経理等)
9-4-2 9-3-3は、非出資組合が納付金の納付があった連結事業年度においてその目的となった固定資産の取得等をすることができなかった場合について準用する。
第5節 保険金等で取得した資産等の圧縮記帳
(保険金等の範囲)
9-5-1 連結法人が支払を受ける保険金、共済金又は損害賠償金(以下この節において「保険金等」という。)で法第47条第1項又は第5項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定の適用があるのは、同条第1項に規定する所有固定資産(以下この節において「所有固定資産」という。)の滅失又は損壊(以下この節において「滅失等」という。)に基因して受けるものに限られるのであるから、たとえ所有固定資産の滅失等に関連して支払を受けるものであっても、次に掲げるような保険金等についてはこれらの規定の適用がないことに留意する。
(1) 棚卸資産の滅失等により受ける保険金等
(2) 所有固定資産の滅失等に伴う休廃業等により減少し、又は生ずることとなる収益又は費用の補てんに充てるものとして支払を受ける保険金等
(立竹木の保険金等に係る圧縮記帳)
9-5-2 連結法人が、その有する立竹木の滅失等により支払を受けた法第47条第1項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する保険金等をもってその滅失等をした立竹木に代替する立竹木を取得した場合には、当該立竹木につき同項又は第5項の規定の適用を受けることができるものとする。ただし、次に掲げる立竹木の滅失等により支払を受けた保険金等をもって取得した立竹木に代替する資産については、これらの規定の適用はないものとする。
(1) 連結法人が、保険金等の支払の基因となる滅失等のあった日(以下9-5-2において「基因日」という。)前1年以内に他から購入した立竹木で販売計画等からみてその購入後おおむね1年以内に転売又は伐木されることが確実と認められるもの
(2) 原木販売業、製材業、製紙業、パルプ製造業等を営む連結法人が、基因日前1年以内に他から購入した立竹木((1) に該当する立竹木を除き、その購入をした日において通常の伐期に達していたものに限る。)
(圧縮記帳をする場合の滅失損の計上時期)
9-5-3 所有固定資産の滅失等があった場合において、その滅失等により支払を受ける保険金等の額につき、法第47条から第49条まで《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入等》の規定の適用を受けようとするときは、当該滅失等による損失の額(当該滅失等により支出した経費の額を含む。)は、保険金等の額を見積り計上する場合を除き、当該保険金等の額が確定するまでは仮勘定として損金の額に算入しないものとする。ただし、その支払を受ける保険金等が損害賠償金のみである場合には、この限りでない。 (注) 適格組織再編成に係る被合併法人等が有する固定資産の滅失等があった場合において、その滅失等により支払を受ける保険金等の額につき、当該適格組織再編成に係る合併法人等が法第47条から第49条までの規定の適用を受けようとするときの被合併法人等においても、同様とする。
(同一種類かどうかの判定)
9-5-4 法第47条第1項又は第5項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定の適用上、連結法人が取得等をした所有固定資産がその滅失等をした固定資産と同一種類の固定資産であるかどうかは、耐用年数省令別表第一に掲げる減価償却資産にあっては同表に掲げる種類の区分が同じであるかどうかにより、同別表第二に掲げる減価償却資産にあっては同表に掲げる設備の種類の区分が同じであるか又は類似するものであるかどうかによる。
(代替資産の範囲)
9-5-5 法第47条第1項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する代替資産は、所有固定資産が滅失等をしたことによりこれに代替するものとして取得等をされる固定資産に限られるのであるから、例えば、滅失等のあった時において現に自己が建設、製作、製造又は改造中であった資産は代替資産に該当しないことに留意する。
(滅失等により支出した経費の範囲)
9-5-6 令第85条第1項第1号《保険金等の額》に規定する「所有固定資産の滅失又は損壊により支出する経費」には、その滅失等があった所有固定資産の取壊費、焼跡の整理費、消防費等のように当該所有固定資産の滅失等に直接関連して支出される経費が含まれるが、類焼者に対する賠償金、けが人への見舞金、被災者への弔慰金等のように当該所有固定資産の滅失等に直接関連しない経費はこれに含まれないものとする。
(2以上の種類の資産の滅失等により支出した共通経費)
9-5-7 例えば工場用建物と機械設備が滅失等をした場合のように2以上の所有固定資産が滅失等をした場合において、これらの資産の滅失等により支出した共通の経費があるときは、その共通の経費の額については、保険金等の額の比その他合理的な基準によりこれらの資産に配賦するものとする。
(所有固定資産の滅失等により支出した経費の見積り)
9-5-8 連結法人が所有固定資産の滅失等により保険金等の支払を受けた場合において、まだ焼跡の整理に着手していない等のため当該所有固定資産の滅失等により支出すべき経費の額が確定していないときは、その経費の額を見積って令第85条第1項第1号《保険金等の額》の金額を計算し、当該所有固定資産の滅失等により支出すべき経費の額が確定した場合に、その額が確定した日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてその確定した経費の額により調整する。
(注) 本文の取扱いにより所有固定資産の滅失等により支出すべき経費の額を見積って圧縮記帳の規定の適用をした固定資産を適格組織再編成により移転した場合には、当該固定資産の移転を受けた合併法人等においてその経費の額が確定したときに、その額が確定した日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)でその確定した経費の額により調整する。
(先行取得した代替資産等についての圧縮額の損金算入)
9-5-9 連結法人が保険金等の額が確定する前にその滅失等をした所有固定資産に係る代替資産の取得等をした場合において、当該代替資産につきその保険金等の額が確定した日の属する連結事業年度において法第47条第1項又は第5項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定を適用するときは、その圧縮限度額は、令第85条第1項《保険金等で取得した代替資産等の圧縮限度額》の規定にかかわらず、次の算式により計算した金額とする。
第6節 交換により取得した資産の圧縮記帳
(遊休資産の交換)
9-6-1 法第50条第1項又は第5項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定は、現に事業の用に供していない固定資産を交換した場合にも適用があるものとする。
(建設中の期間)
9-6-2 法第50条第1項又は第5項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定を適用する場合において、その交換の対象となった資産を1年以上有していたかどうかの判定については、建物等の建設中の期間はその所有期間に含めない。
(交換の対象となる土地の範囲)
9-6-3 法第50条第1項第1号《交換の対象となる資産》に規定する土地には、立木その他独立して取引の対象となる土地の定着物は含まれないのであるが、その土地が宅地である場合には、庭木、石垣、庭園(庭園に附属する亭、庭内神し(祠)その他これらに類する附属設備を含む。)その他これらに類するもののうち宅地と一体として交換されるもの(同項第2号に該当するものを除く。)は含まれる。
(交換の対象となる耕作権の範囲)
9-6-4 法第50条第1項第1号《交換の対象となる資産》に規定する「農地法第2条第1項に規定する農地の上に存する耕作に関する権利」とは、耕作を目的とする地上権、永小作権又は賃借権で、これらの権利の移転、これらの権利に係る契約の解除等をする場合には、同法第3条第1項、第5条第1項又は第20条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限等》の規定の適用があるものをいう。
(交換の対象となる建物附属設備等)
9-6-5 法第50条第1項第2号かっこ書《交換の対象となる建物附属設備》に規定する建物に附属する設備及び構築物は、その建物と一体となって交換される場合に限り建物として同条の規定の適用があるのであるから、建物に附属する設備又は構築物は、それぞれ単独には同条の規定の適用がないことに留意する。
(借地権の交換等)
9-6-6 例えば自己の有する土地に新たに借地権を設定(令第 138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用のある設定に限る。)し、その設定の対価として相手方から土地等を取得する場合のように、実質的には固定資産の交換であるが手続上は権利の設定等の方法によらざるを得ないものについても法第50条第1項又は第5項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定を適用することができるものとする。
(2以上の種類の資産を交換した場合の交換差金等)
9-6-7 連結法人が2以上の種類の固定資産を同時に交換した場合、例えば、土地及び建物と土地及び建物とを交換した場合には、土地は土地と建物は建物とそれぞれ交換したものとする。この場合において、これらの資産は全体としては等価であるが、土地と土地、建物と建物とはそれぞれの時価が異なっているときは、それぞれの交換の時における価額の差額は交換差金等となることに留意する。
(資産の一部を交換とし他の部分を譲渡とした場合の交換の特例の適用)
9-6-8 連結法人がその有する固定資産を交換する場合において、一体となって同じ効用を有する同種の資産のうち、その一部については交換とし、他の部分については譲渡としているときは、法第50条《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定の適用については、当該他の部分を含めて交換があったものとし、その譲渡代金は交換差金等とする。
(交換資産の時価)
9-6-9 例えば交換の当事者が通常の取引価額が異なる2以上の固定資産を相互に等価であるものとして交換した場合においても、その交換がその交換をするに至った事情に照らし正常な取引条件に従って行われたものであると認められるときは、法第50条《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定の適用上、これらの資産の価額は当該当事者間において合意されたところによるものとする。
(譲渡資産の譲渡直前の用途)
9-6-10 法第50条第1項又は第5項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》に規定する譲渡資産の譲渡直前の用途は、連結法人が当該譲渡資産を他の用途に供するために改造に着手している等改造して他の用途に供することとしている場合には、この改造後の用途をいう。
(取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したかどうかの判定)
9-6-11 連結法人が固定資産を交換した場合において、取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したかどうかは、その資産の種類に応じ、おおむね次に掲げる区分により判定する。
(1) 土地にあっては、その現況により、宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他の区分
(2) 建物にあっては、居住の用、店舗又は事務所の用、工場の用、倉庫の用、その他の用の区分
(3) 機械及び装置にあっては、その機械及び装置の属する耐用年数省令別表第二に掲げる設備の種類の区分
(4) 船舶にあっては、漁船、運送船(貨物船、油槽船、薬品槽船、客船等をいう。)、作業船(しゅんせつ船及び砂利採取船を含む。)、その他の区分
(注) (2) の適用については、店舗又は事務所と住宅とに併用されている家屋は、居住専用又は店舗専用若しくは事務所専用の家屋と認めて差し支えない。
(取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供する時期)
9-6-12 連結法人がその有する固定資産を交換した場合において、取得資産をその交換の日の属する連結事業年度の連結確定申告書の提出期限(法第81条の24《連結確定申告書の提出期限の延長の特例》の規定によりその提出期限が延長されている場合には、その延長された期限とする。以下9-6-12において同じ。)までに譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したときは、法第50条第1項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定を適用することができるものとする。この場合において、取得資産が譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供するため改造等を要するものであるときは、連結法人が当該提出期限までにその改造等の発注をするなどその改造等に着手し、かつ、相当期間内にその改造等を了する見込みであるときに限り、当該提出期限までに同一の用途に供されたものとして取り扱う。
(譲渡資産の譲渡に要した経費)
9-6-13 令第92条第1項《交換により生じた差益金の額》の「譲渡資産の譲渡に要した経費の額」には、交換に当たり支出した譲渡資産に係る仲介手数料、取外費、荷役費、運送保険料その他その譲渡に要した経費の額のほか、土地の交換に関する契約の一環として、又は当該交換のために当該土地の上に存する建物等につき取壊しをした場合におけるその取壊しにより生じた損失の額(その取壊しに伴い借家人に対して支払った立退料の額を含む。)が含まれる。
(交換により取得した資産の圧縮記帳の経理の特例)
9-6-14 法第50条第1項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定を適用する場合において、連結法人が同項に規定する取得資産につき、その帳簿価額を損金経理により減額しないで、同項に規定する譲渡資産の令第92条《交換により生じた差益金の額》に規定する譲渡直前の帳簿価額とその取得資産の取得のために要した経費との合計額に相当する金額を下らない金額をその取得価額としたときは、これを認める。この場合においても、法第50条第3項の規定の適用があることに留意する。
第10章 引当金
第1節 通則
(貸倒引当金等の差額繰入れ等の特例)
10-1-1 連結法人が貸倒引当金その他法に規定する引当金につき当該連結事業年度の取崩額と当該連結事業年度の繰入額との差額を損金経理により繰り入れ又は取り崩して益金の額に算入している場合においても、連結確定申告書に添付する明細書にその相殺前の金額に基づく繰入れ等であることを明らかにしているときは、その相殺前の金額によりその繰入れ及び取崩しがあったものとして取り扱う。
第2節 貸倒引当金
第1款 通則
(取立不能見込額として表示した貸倒引当金)
10-2-1 連結法人が貸倒引当金勘定への繰入れの表示に代えて取立不能見込額として表示した場合においても、当該取立不能見込額の表示が財務諸表の注記等により確認でき、かつ、貸倒引当金勘定への繰入れであることが総勘定元帳及び連結確定申告書において明らかにされているときは、当該取立不能見込額は、貸倒引当金勘定への繰入額として取り扱う。
第2款 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金
(個別評価金銭債権に係る貸倒引当金と一括評価金銭債権に係る貸倒引当金との関係)
10-2-2 法第52条第1項《貸倒引当金》に規定する個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算と同条第2項に規定する一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算は、それぞれ別に計算することとされていることから、例えば、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入額に繰入限度超過額があり、他方、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入額が繰入限度額に達していない場合であっても、当該繰入限度超過額を当該一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入額として取り扱うことはできないことに留意する。
(複数の連結法人が同一債務者に対する金銭債権を有する場合の個別評価金銭債権の判定)
10-2-3 法第52条《貸倒引当金》の規定の適用に当たって、連結法人及び他の連結法人が同一の債務者に対して金銭債権を有しているときには、各連結法人ごとにその有する金銭債権が同条第1項《個別評価金銭債権》に規定する個別評価金銭債権に該当するかどうかを判定することに留意する。
(貸倒損失の計上と個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入れ)
10-2-4 法第52条第1項《貸倒引当金》の規定の適用に当たり、連結確定申告書に「個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書」が添付されていない場合であっても、それが貸倒損失を計上したことに基因するものであり、かつ、当該連結確定申告書の提出後に当該明細書が提出されたときは、同条第4項の規定を適用し、当該貸倒損失の額を当該債務者についての個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入れに係る損金算入額として取り扱うことができるものとする。
(注) 本文の適用は、同条第1項の規定に基づく個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入れに係る損金算入額の認容であることから、同項の規定の適用に関する疎明資料の保存がある場合に限られる。
(貸倒れに類する事由)
10-2-5 法第52条第1項《貸倒引当金》に規定する「貸倒れその他これに類する事由」には、売掛金、貸付金その他これらに類する金銭債権の貸倒れのほか、例えば、保証金や前渡金等について返還請求を行った場合における当該返還請求債権が回収不能となったときがこれに含まれる。
(裏書譲渡をした受取手形)
10-2-6 連結法人がその有する金銭債権について取得した受取手形で当該金銭債権に係る債務者が振り出し、又は引き受けたものを裏書譲渡(割引を含む。以下10-2-6において同じ。)した場合には、当該受取手形に係る既存債権を法第52条第1項《貸倒引当金》に規定する金銭債権に該当するものとして取り扱う。
(注) この取扱いは、その裏書譲渡された受取手形の金額が財務諸表の注記等において確認できる場合に適用する。
(担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額)
10-2-7 令第96条第1項第1号及び第3号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額とは、質権、抵当権、所有権留保、信用保険等によって担保されている部分の金額をいうことに留意する。
(相当期間の意義)
10-2-8 令第96条第1項第2号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する「債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続し、かつ、その営む事業に好転の見通しがないこと」における「相当期間」とは、「おおむね1年以上」とし、その債務超過に至った事情と事業好転の見通しをみて、同号に規定する事由が生じているかどうかを判定するものとする。
(人的保証に係る回収可能額の算定)
10-2-9 令第96条第1項第2号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する「当該個別評価金銭債権の一部の金額につきその取立て等の見込みがないと認められる場合」における「当該一部の金額に相当する金額」とは、その金銭債権の額から担保物の処分による回収可能額及び人的保証に係る回収可能額などを控除して算定するのであるが、次に掲げる場合には、人的保証に係る回収可能額の算定上、回収可能額を考慮しないことができる。
(1) 保証債務の存否に争いのある場合で、そのことにつき相当の理由のあるとき
(2) 保証人が行方不明で、かつ、当該保証人の有する資産について評価額以上の質権、抵当権(以下10-2-9において「質権等」という。)が設定されていること等により当該資産からの回収が見込まれない場合
(3) 保証人について同項第3号に掲げる事由が生じている場合
(4) 保証人が生活保護を受けている場合(それと同程度の収入しかない場合を含む。)で、かつ、当該保証人の有する資産について評価額以上の質権等が設定されていること等により当該資産からの回収が見込まれないこと。
(5) 保証人が個人であって、次のいずれにも該当する場合
イ 当該保証人が有する資産について評価額以上の質権等が設定されていること等により、当該資産からの回収が見込まれないこと。
ロ 当該保証人の年収額(その連結事業年度終了の日の直近1年間における収入金額をいう。)が当該保証人に係る保証債務の額の合計額(当該保証人の保証に係る金銭債権につき担保物がある場合には当該金銭債権の額から当該担保物の価額を控除した金額をいう。以下10-2-9において同じ。)の5%未満であること。
(注)1 当該保証人に係る保証債務の額の合計額には、当該保証人が他の債務者の金銭債権につき保証をしている場合には、当該他の債務者の金銭債権に係る保証債務の額の合計額を含めることができる。
2 上記ロの当該保証人の年収額については、その算定が困難であるときは、当該保証人の前年(当該連結事業年度終了の日を含む年の前年をいう。)分の収入金額とすることができる。
(担保物の処分以外に回収が見込まれない場合等の個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入れ)
10-2-10 令第96条第1項第2号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する「その他の事由が生じていることにより、当該個別評価金銭債権の一部の金額につきその取立て等の見込みがないと認められる場合」には、次に掲げる場合が含まれることに留意する。この場合において、同号に規定するその取立て等の見込みがないと認められる金額とは、当該回収できないことが明らかになった金額又は当該未収利息として計上した金額をいう。
(1) 連結法人の有するその金銭債権の額のうち担保物の処分によって得られると見込まれる金額以外の金額につき回収できないことが明らかになった場合において、その担保物の処分に日時を要すると認められるとき
(2) 貸付金又は有価証券(以下この(2) において「貸付金等」という。)に係る未収利息を資産に計上している場合において、当該計上した連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)終了の日(当該貸付金等に係る未収利息を2以上の連結事業年度において計上しているときは、これらの連結事業年度のうち最終の連結事業年度終了の日)から2年を経過した日の前日を含む連結事業年度終了の日までの期間に、各種の手段を活用した支払の督促等の回収の努力をしたにもかかわらず、当該期間内に当該貸付金等に係る未収利息(当該資産に計上している未収利息以外の利息の未収金を含む。)につき、債務者が債務超過に陥っている等の事由からその入金が全くないとき
(実質的に債権とみられない部分)
10-2-11 令第96条第1項第3号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する「当該個別評価金銭債権の額のうち、当該債務者から受け入れた金額があるため実質的に債権とみられない部分の金額」とは、次に掲げるような金額がこれに該当する。
(1) 同一人に対する売掛金又は受取手形と買掛金がある場合のその売掛金又は受取手形の金額のうち買掛金の金額に相当する金額
(2) 同一人に対する売掛金又は受取手形と買掛金がある場合において、当該買掛金の支払のために他から取得した受取手形を裏書譲渡したときのその売掛金又は受取手形の金額のうち当該裏書譲渡した手形(支払期日の到来していないものに限る。)の金額に相当する金額
(3) 同一人に対する売掛金とその者から受け入れた営業に係る保証金がある場合のその売掛金の額のうち保証金の額に相当する金額
(4) 同一人に対する売掛金とその者から受け入れた借入金がある場合のその売掛金の額のうち借入金の額に相当する金額
(5) 同一人に対する完成工事の未収金とその者から受け入れた未成工事に対する受入金がある場合のその未収金の額のうち受入金の額に相当する金額
(6) 同一人に対する貸付金と買掛金がある場合のその貸付金の額のうち買掛金の額に相当する金額
(7) 使用人に対する貸付金とその使用人から受け入れた預り金がある場合のその貸付金の額のうち預り金の額に相当する金額
(8) 専ら融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計上した場合のその受取手形の金額のうち借入金の額に相当する金額
(9) 同一人に対する未収地代家賃とその者から受け入れた敷金がある場合のその未収地代家賃の額のうち敷金の額に相当する金額
(第三者の振り出した手形)
10-2-12 令第96条第1項第3号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》の規定を適用する場合において、連結法人が債務者から他の第三者の振り出した手形(債務者の振り出した手形で第三者の引き受けたものを含む。)を受け取っている場合における当該手形の金額に相当する金額は、取立て等の見込みがあると認められる部分の金額に該当することに留意する。
(手形交換所の取引停止処分)
10-2-13 連結法人の各連結事業年度終了の日までに債務者の振り出した手形が不渡りとなり、当該連結事業年度分に係る連結確定申告書の提出期限(法第81条の24《連結確定申告書の提出期限の延長の特例》の規定によりその提出期限が延長されている場合には、その延長された期限)までに当該債務者について規則第25条の3《更生手続開始の申立て等に準ずる事由》に規定する手形交換所による取引停止処分が生じた場合には、当該連結事業年度において令第96条第1項第3号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》の規定を適用することができる。
(国外にある債務者)
10-2-14 国外にある債務者について、令第96条第1項第1号又は第3号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に掲げる事由に類する事由が生じた場合には、これらの規定の適用があることに留意する。
(中央銀行の意義)
10-2-15 令第96条第1項第4号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する「中央銀行」とは、金融機関でその本店又は主たる事務所の所在する国において、通貨の調節、金融の調整又は信用制度の保持育成の業務その他これに準ずる業務を行うものをいう。
(繰入れ対象となる公的債務者に対する個別評価金銭債権)
10-2-16 令第96条第1項第4号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に掲げる個別評価金銭債権は、次に掲げる金銭債権とする。
ただし、債務者が外国の地方公共団体である場合において、その金銭債権の元本の返済及び利息等の支払に係る債務不履行の原因が当該地方公共団体の属する国の外貨準備高の不足によるものであることが明らかなときは、当該地方公共団体に対する金銭債権については、この限りでない。
(1) 債務者たる外国の政府、中央銀行及び地方公共団体(以下10-2-17までにおいて「公的債務者」という。)に対して有する金銭債権につき債務不履行が生じたため、当該公的債務者との間の金銭債権に係る契約において定められているところに従い、当該連結法人が当該公的債務者に対して債務不履行宣言を行った場合で、次に掲げる要件のすべてを満たすとき 当該公的債務者に対して有する金銭債権の額
イ 当該債務不履行宣言を行った日以後その連結事業年度終了の日までの間において、当該債務不履行の状態が継続し、かつ、当該連結法人が、当該公的債務者に対する融資又は当該公的債務者との間で金銭債権に係る債務の履行期限の延長に関する契約の締結若しくは物品販売等の取引を行っていないこと。
ロ その連結事業年度終了の日において、当該連結法人が、当該公的債務者に対する融資又は当該公的債務者との間で金銭債権に係る債務の履行期限の延長に関する契約の締結若しくは物品販売等の取引を行う具体的な計画を有していないこと。
(注)1 債務不履行宣言とは、債務者に対する金銭債権につき債務不履行が生じた場合に、当該金銭債権に係る期限の利益の喪失を目的として債権者が行う宣言をいう。
2 当該連結法人以外の者が外国の公的債務者に対して債務不履行宣言を行った場合において、当該債務不履行宣言の効果が当該連結法人に及ぶことが金銭債権に係る契約書において定められているときであっても、当該連結法人の当該公的債務者に対して有する金銭債権につき債務不履行が生じていないときは、同号に掲げる事由に該当しないことに留意する。
(2) 外国の公的債務者が次に掲げるすべての要件を満たす場合 当該公的債務者に対して有する金銭債権のうち元本等の返済及び利息等の支払に係る債務不履行の期間(当該金銭債権が適格組織再編成により移転を受けたものである場合にあっては、当該適格組織再編成に係る被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人における債務不履行の期間を含む。)がその連結事業年度終了の日以前3年以上の期間にわたっているものの金額
イ その連結事業年度終了の日以前3年間(以下10-2-16において「期末以前3年間」という。)において、当該公的債務者に対する金銭債権につき元本等の返済及び利息等の支払がないこと。
ロ 当該連結法人(その金銭債権が適格組織再編成により移転を受けたものである場合にあっては、当該適格組織再編成に係る被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人を含む。)が、期末以前3年間において、当該公的債務者に対する融資又は当該公的債務者との間で金銭債権に係る債務の履行期限の延長に関する契約の締結若しくは物品販売等の取引を行っていないこと。
ハ その連結事業年度終了の日において、当該連結法人が、当該公的債務者に対する融資又は当該公的債務者との間で金銭債権に係る債務の履行期限の延長に関する契約の締結若しくは物品販売等の取引を行う具体的な計画を有していないこと。
(取立て等の見込みがあると認められる部分の金額)
10-2-17 令第96条第1項第4号かっこ書《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する「取立て等の見込みがあると認められる部分の金額」とは、次に掲げる金額をいう。 (1) 当該個別評価金銭債権につき他の者(当該連結法人の当該他の者に対する金銭債権につき債務不履行が生じている者を除く。以下(4) において同じ。)により債務の保証が付されている場合の当該保証が付されている部分に相当する金額
(2) 当該個別評価金銭債権につき債務の履行不能によって生ずる損失をてん補する保険が付されている場合の当該保険が付されている部分に相当する金額
(3) 当該個別評価金銭債権につき質権、抵当権、所有権留保等によって担保されている場合の当該担保されている部分の金額
(4) 当該公的債務者から他の者が振り出した手形(当該公的債務者の振り出した手形で他の者の引き受けたものを含む。)を受け取っている場合のその手形の金額に相当する金額等実質的に債権と認められない金額
第3款 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金
(売掛金、貸付金に準ずる債権)
10-2-18 法第52条第2項《貸倒引当金》に規定する「その他これらに準ずる金銭債権」には、次のような債権が含まれる。
(1) 未収の譲渡代金、未収加工料、未収請負金、未収手数料、未収保管料、未収地代家賃等又は貸付金の未収利子で、益金の額に算入されたもの
(2) 他人のために立替払をした場合の立替金(10-2-20の(4) に該当するものを除く。)
(3) 未収の損害賠償金で益金の額に算入されたもの
(4) 保証債務を履行した場合の求償権
(5) 法第81条の18第1項《連結法人税の個別帰属額の計算》に規定する「法人税の負担額」又は「法人税の減少額」として収入すべき金額に係る未収金(当該連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人に対して有するものを除く。)
(注) 連結法人がその有する売掛金、貸付金等の債権について取得した先日付小切手を同項に規定する金銭債権に含めている場合には、その計算を認める。
(裏書譲渡をした受取手形)
10-2-19 連結法人がその有する売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権(以下この款において「売掛債権等」という。)について取得した受取手形につき裏書譲渡(割引を含む。以下10-2-19において同じ。)をした場合には、当該売掛金、貸付金等の既存債権を売掛債権等に該当するものとして取り扱う。したがって、裏書により取得した受取手形(手形法(昭和7年法律第20号)第18条第1項《取立委任裏書》本文又は第19条第1項《質入裏書》本文に規定する裏書により取得したものを除く。)で、その取得の原因が売掛金、貸付金等の既存債権と関係のないものについて更に裏書譲渡をした場合には、その受取手形の金額は売掛債権等の額に含まれないことに留意する。
(注) この取扱いは、その裏書譲渡された受取手形の金額が財務諸表の注記等において確認できる場合に適用する。
(売掛債権等に該当しない債権)
10-2-20 次に掲げるようなものは、売掛債権等には該当しない。
(1) 預貯金及びその未収利子、公社債の未収利子、未収配当その他これらに類する債権
(2) 保証金、敷金(借地権、借家権等の取得等に関連して無利息又は低利率で提供した建設協力金等を含む。)、預け金その他これらに類する債権
(3) 手付金、前渡金等のように資産の取得の代価又は費用の支出に充てるものとして支出した金額
(4) 前払給料、概算払旅費、前渡交際費等のように将来精算される費用の前払として一時的に仮払金、立替金等として経理されている金額
(5) 金融機関における他店為替貸借の決済取引に伴う未決済為替貸勘定の金額
(6) 証券会社又は証券金融会社に対し、借株の担保として差し入れた信用取引に係る株式の売却代金に相当する金額
(7) 雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定に基づき交付を受ける給付金等の未収金
(8) 仕入割戻しの未収金
(9) 保険会社における代理店貸勘定(外国代理店貸勘定を含む。)の金額
(10) 法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》に規定する未決済デリバティブ取引に係る差金勘定等の金額
(11) 連結法人がいわゆる特定目的会社(SPC)を用いて売掛債権等の証券化を行った場合において、当該特定目的会社の発行する証券等のうち当該連結法人が保有することとなったもの
(注) 仮払金等として計上されている金額については、その実質的な内容に応じて売掛債権等に該当するかどうかを判定することに留意する。
(割賦未収金等)
10-2-21 連結法人が長期割賦販売等に該当する資産の販売等に係る収益について延払基準を適用している場合には、当該長期割賦販売等により生じた割賦未収金等は売掛債権等に該当するものとする。この場合において、連結法人が各連結事業年度終了の時において履行期日の到来しない部分を割賦未収金等としないで棚卸資産等として経理しているときであっても、その棚卸資産等の帳簿価額に相当する金額は売掛債権等の額に該当するものとする。
(注) 平成10年改正法附則第9条《割賦販売等に関する経過措置》の規定の適用を受けた割賦販売等に係る割賦未収金等についても、同様とする。
(工事進行基準を適用した場合の未収金)
10-2-22 連結法人が工事(製造を含む。以下10-2-22において同じ。)の収益について法第64条第1項又は第2項《工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する工事進行基準を適用している場合には、たとえ当該収益に対応する工事収入金を未収金として計上しているときであっても、当該工事の目的物の引渡しがあるまでは当該未収金は売掛債権等に該当しないことに留意する。
(返品債権特別勘定を設けている場合の売掛債権等の額)
10-2-23 出版業を営む連結法人が返品債権特別勘定を設けている場合の売掛債権等の金額は、当該連結事業年度終了の時における売掛債権等の金額から当該返品債権特別勘定の金額に相当する金額を控除した金額によることに留意する。
(貸倒損失の範囲-返品債権特別勘定の繰入額等)
10-2-24 次に掲げるような金額は、令第96条第2項第2号イ《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する売掛債権等の貸倒れによる損失の額には含まれない。
(1) 8-6-4《返品債権特別勘定の設定》により返品債権特別勘定に繰り入れた金額
(2) 外貨建ての債権の換算による損失の額
(3) 売掛債権等の貸倒れによる損失の額のうち保険金等により補てんされた部分の金額
第3節 返品調整引当金
(既製服の製造業の範囲)
10-3-1 令第99条第3号《医薬品等の製造業》に掲げる既製服の製造業には、背広服、制服、婦人子供服等一般に既製服と称されているものの製造業のほか、既製和服、メリヤス製婦人服、スポーツウェアその他通常外衣として着用される既製の衣服の製造業が含まれるものとする。
(磁気音声再生機用レコードの製造業の意義)
10-3-2 令第99条第3号《医薬品等の製造業》に掲げる磁気音声再生機用レコードの製造業とは、いわゆる録音済みのカセットテープの製造業のように、磁気音声再生機用レコードをマザーテープ等から複製により多量に製造する事業をいう。
(注) 磁気音声再生機用レコードとは、いわゆるカーステレオ、テープレコーダー等により音声を再生することのできる磁気テープ、磁気シート等で録音済みのものをいう。
(特約を結んでいる連結法人の範囲)
10-3-3 令第99条《返品調整引当金勘定を設定することができる事業の範囲》に掲げる事業(以下この節において「対象事業」という。)を営む連結法人が、その販売先との間に文書により令第 100条《返品調整引当金勘定の設定要件》に掲げる事項を内容とする特約を結んでいない場合であっても、慣習によりその販売先との間に同条に掲げる事項につき特約があると認められるときは、当該連結法人は法第53条第1項《返品調整引当金》の特約を結んでいるものに該当するものとする。
(売掛金の範囲)
10-3-4 令第 101条第1項第1号《売掛金基準》の売掛金には、その売掛金について取得した受取手形(割引又は裏書譲渡をしたものを含む。)を含むものとする。 (注) 10-2-19の (注) は、この取扱いを適用する場合について準用する。
(割戻しがある場合の棚卸資産の販売の対価の額の合計額等の計算)
10-3-5 連結法人が対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額につき割戻しをした金額がある場合において、次の金額を計算するときは、それぞれ次による。
(1) 令第 101条第1項第2号《販売高基準》に規定する「各事業年度終了の日以前2月間における対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額」の合計額は、次の算式により計算した金額を控除した金額による。
(算式)
(2)同条第2項第1号《返品率》に規定する「当該対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額の合計額」は、同項柱書きに規定する「買戻事業年度」において割戻しをした金額を控除しないところの金額による。
(3) 同条第3項《売買利益率》に規定する「当該事業年度における当該対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額の合計額」は、当該連結事業年度において割戻しをした金額を控除した金額による。
(注) 同条第1項第1号《売掛金基準》の規定を適用する場合において、当該連結事業年度終了の時に未払金に計上している割戻しの金額があるときにおいても、当該割戻しの金額は、同号に規定する売掛金の帳簿価額の合計額の計算に関係させないことができる。
(特約に基づく買戻しがある場合の期末前2月間の棚卸資産の販売の対価の額の合計額)
10-3-6 令第 101条第1項第2号《販売高基準》に規定する「各事業年度終了の日以前2月間における対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額」の合計額は、その対象事業につき特約に基づく棚卸資産の買戻しに係る対価の額がある場合であっても、当該対価の額を控除しないで計算するものとする。
(買戻しに係る対価の額の計算)
10-3-7 令第 101条第2項第2号《返品率》に規定する「棚卸資産の買戻しに係る対価の額の合計額」には、販売した棚卸資産について受け入れた物的なかしに基づく返品の額は含まれないのであるが、返品が物的なかしに基づくものであるかどうか明らかでない場合において、連結法人がその返品の額を当該合計額に含めているときは、これを認める。
(低価法を採用している場合の売上原価の計算)
10-3-8 棚卸資産の評価額の計算について低価法を採用している連結法人が当該棚卸資産の時価が原価法による原価より低いため時価を評価額としている場合において、当該原価と時価との差額を営業外費用として経理しているときは、その差額は、令第 101条第3項《売買利益率》の売上原価に含めるものとする。
(売買利益率の計算における広告料収入)
10-3-9 出版業を営む連結法人が令第 101条第3項《売買利益率》に規定する売買利益率を計算する場合において、その出版業に係る広告料収入があるときは、その広告料収入及びその原価の額は、当該出版業に係る棚卸資産の販売の対価の額の合計額及びその売上原価の額に含めないのであるが、その広告料収入に係る原価の額を区分することが困難である場合には、広告料収入及びその原価の額をそれぞれ出版業に係る棚卸資産の販売の対価の額の合計額及びその売上原価の額に含めて計算することができる。
(売買利益率の計算の基礎となる販売手数料の範囲)
10-3-10 令第 101条第3項《売買利益率》に規定する販売手数料には、当該連結法人の使用人たる外交員等に対して支払う歩合給、手数料等で所得税法第 204条《源泉徴収義務》に規定する報酬等に該当するものも含まれる。
(返品債権特別勘定を設けている場合の期末売掛金等)
10-3-11 連結法人が返品債権特別勘定を設けている場合には、令第 101条第1項第1号《売掛金基準》に規定する売掛金の帳簿価額には8-6-5の(1) 《返品債権特別勘定の繰入限度額》の雑誌の販売に係る売掛金の帳簿価額を、同項第2号《販売高基準》の対価の額には8-6-5の(2) の雑誌の販売の対価の額を、それぞれ含めないことに留意する。
第11章 繰越連結欠損金
第1節 連結事業年度の連結欠損金
(繰越連結欠損金の損金算入の順序)
11-1-1 法第81条の9第1項《連結欠損金の繰越し》の規定による連結欠損金額の損金算入は、当該連結事業年度に繰り越された連結欠損金額が2以上の連結事業年度において生じたものからなる場合には、そのうち最も古い連結事業年度において生じた連結欠損金額に相当する金額から順次損金算入を行うものであることに留意する。
(連結事業年度に複数の分割型分割を行った場合の欠損金額相当額の損金算入)
11-1-2 連結法人を分割法人とする分割型分割(連結親法人事業年度開始の日に行うものを除く。以下11-1-2において「第1分割」という。)を行った場合において、当該第1分割の日から同日の属する連結親法人事業年度終了の日までの間に、当該連結法人を分割法人とする分割型分割(以下11-1-2において「第2分割」という。)を行ったときにおける第1分割前事業年度(第1分割の日の前日の属する事業年度をいう。以下11-1-2において同じ。)及び第2分割前事業年度(第2分割の日の前日の属する事業年度をいう。以下11-1-2において同じ。)に生じた欠損金額の取扱いは、次による。
(1) 第1分割前事業年度において生じた欠損金額は、令第 112条第11項《分割前事業年度に生じた欠損金額の損金算入》の規定により第2分割前事業年度の損金の額に算入する。
(2) 第2分割前事業年度において生じた欠損金額は、法第81条の9第4項《分割前事業年度に生じた欠損金額の損金算入》の規定により第2分割の日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(注) 第1分割前事業年度において生じた欠損金額については第2分割の日の属する連結事業年度において同項の規定の適用はないのであるから留意する。
第2節 私財提供等があった場合の繰越連結欠損金
(整理開始の命令に準ずる事実等)
11-2-1 令第 117条第4号《整理開始の命令に準ずる事実等》に規定する「前3号に掲げる事実に準ずる事実」とは、次に掲げる事実をいう。
(1) 同条第1号から第3号までに掲げる事実以外において法律の定める手続による資産の整理があったこと。
(2) 主務官庁の指示に基づき再建整備のための一連の手続を織り込んだ一定の計画を作成し、これに従って行う資産の整理があったこと。
(3) (1)及び(2)以外の資産の整理で、例えば、親子会社間において親会社が子会社に対して有する債権を単に免除するというようなものでなく、債務の免除等が多数の債権者によって協議の上決められる等その決定についてし意性がなく、かつ、その内容に合理性があると認められる資産の整理があったこと。
第12章 組織再編成に係る連結所得の金額の計算
第1節 通則
(被合併法人等から引継ぎ等を受けた帳簿価額の修正)
12-1-1 適格合併により合併法人が被合併法人から移転を受けた資産又は負債につき、合併後被合併法人の合併の日の前日の属する連結事業年度以前に終了する各連結事業年度分の調査により税務上の否認金の額があることが判明した場合には、当該合併法人の当該合併の日の資産及び負債の帳簿価額は当該否認金に相当する金額を加算又は減算した金額となることに留意する。
適格分割、適格現物出資又は適格事後設立により分割法人、現物出資法人又は事後設立法人から移転を受けた資産又は負債についても、同様とする。
(注)1 適格合併又は適格分割に係る被合併法人又は分割法人に繰越欠損金がある場合において、合併法人又は分割承継法人がその繰越欠損金の全部又は一部に相当する金額を営業権として受け入れているときであっても、当該営業権については移転がなかったことになるのであるから留意する。
2 「合併の日の前日の属する連結事業年度」及び「各連結事業年度」は、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度とする。
(資産等の引継ぎに関する書類の提出)
12-1-2 連結法人が、当該連結法人を分割法人とする適格分割型分割(連結親法人事業年度開始の日に行うものに限る。)を行った場合において、当該連結法人(当該連結法人が連結子法人である場合には、当該連結子法人の連結親法人)が法第81条の24《連結確定申告書の提出期限の延長の特例》に規定する連結確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受けているときであっても、令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される次に掲げる規定の適用を受けるときは、これらの規定に規定する書類の提出は、当該適格分割型分割の日以後2月以内に行わなければならないことに留意する。
(1) 法第32条第5項《移転する資産等と関連を有する繰延資産の引継ぎに係る届出》
(2) 法第43条第9項《国庫補助金等に係る特別勘定の引継ぎに係る届出》
(3) 法第48条第9項《保険差益等に係る特別勘定の引継ぎに係る届出》
(4) 令第 133条の2第7項《一括償却資産の引継ぎに係る届出》
(5) 令第 139条の4第12項《繰延消費税額等の引継ぎに係る届出》
(抱き合わせ株式に株式等を割り当てなかった場合)
12-1-3 連結法人が合併法人となる合併又は分割承継法人となる分割型分割を行った場合に、当該連結法人が被合併法人の株式(出資を含む。以下12-1-3において同じ。)又は分割法人の株式を有しているときにおける法第61条の2第4項《合併及び分割型分割による株式割当等がない場合の譲渡利益額又は譲渡損失額の計算》に規定する株式割当等を受けたものとみなされる自己の株式につき、法第2条第17号の2《定義》の規定により同条第17号ムの規定に準じて計算するときの「自己の株式の帳簿価額に相当する金額」は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる価額となることに留意する。
(1) 適格合併又は適格分割型分割の場合 法第61条の2第2項《有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入》に規定する「合併の直前の帳簿価額に相当する金額」又は同条第3項に規定する「分割型分割の直前の分割純資産対応帳簿価額」
(2) 適格合併に該当しない合併又は適格分割型分割に該当しない分割型分割で合併法人の株式又は分割承継法人の株式のみが交付される場合 (1) に掲げる金額と法第24条第1項《配当等の金額とみなす金額》の規定により計算される利益の配当等とみなす金額との合計額
(3) (1)又は(2)以外の場合 当該株式割当等を受けたものとみなされる自己の株式の法第62条第1項後段《合併及び分割による資産等の時価による譲渡》の規定による合併又は分割の時の価額
第2節 特定資産に係る譲渡等損失額
(名義株がある場合の特定資本関係の判定)
12-2-1 被合併法人等(被合併法人、分割法人又は現物出資法人をいう。)と合併法人等(合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人をいう。以下この章において同じ。)との間に法第62条の7第1項(同条第3項において読み替えて準用される場合を含む。以下この章において同じ。)《特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入》に規定する特定資本関係(以下この章において「特定資本関係」という。)があるかどうかを判定する場合において、一方の法人が他方の法人の株式(出資を含む。)を保有する関係かどうかは、株主名簿又は社員名簿に記載されている株主等により判定するのであるが、その株主等が単なる名義人であって、当該株主等以外の者が実際の権利者である場合にはその実際の権利者が保有するものとして判定する。
(共同で事業を営むための適格合併等の判定)
12-2-2 法第62条の7第1項《特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入》に規定する「共同で事業を営むための適格合併、適格分割又は適格現物出資」に該当するかどうかの判定に当たっては、1-6-4《従業者の範囲》から1-6-7《特定役員の範囲》までの取扱いを準用する。
(圧縮記帳を適用している資産に係る帳簿価額又は取得価額)
12-2-3 合併法人等が法第62条の7第1項《特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入》に規定する特定適格合併等により特定資本関係法人(同項に規定する特定資本関係法人をいう。以下12-2-5において同じ。)において圧縮記帳の適用を受けた資産の移転を受けた場合において、当該資産が令第 123条の8第6項第3号《特定引継資産から除かれる資産》に掲げる帳簿価額又は取得価額が 1,000万円に満たない資産に該当するかどうかの判定を行うときは、当該資産に係る引当金又は目的積立金の金額の引継ぎを受けたかどうかにかかわらず、当該固定資産の帳簿価額又は取得価額は、圧縮記帳に係る規定の適用を受けた後の金額になることに留意する。
(資産の評価損の損金算入の規定の適用がある場合の帳簿価額)
12-2-4 連結法人がその有する資産の評価換えにより生じた損失の額について法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定の適用を受けている場合に、当該損失の額につき法第62条の7《特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入》の規定が適用されたときであっても、当該資産の帳簿価額は当該評価換え後の帳簿価額となることに留意する。
13-2-1《連結法人が他の連結グループに加入する場合の資産に係る時価評価》の場合において、法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》の規定により損金の額に算入した評価損の金額につき法第62条の7の規定が適用された場合についても、同様とする。
(特定適格合併等に係る特定資本関係法人が2以上ある場合の特定資本関係が生じた日の判定)
12-2-5 連結法人が2以上の特定資本関係法人との間で当該連結法人を合併法人等とする法第62条の7第1項《特定資産に係る譲渡損失額の損金不算入》に規定する特定適格合併等を行った場合における同項の規定の適用上、同項に規定する特定資本関係の生じた日がいつであるかは、当該連結法人と各特定資本関係法人(当該連結法人との間において令第 123条の8第4項《共同で事業を営むための適格合併等》に規定する要件を満たしている場合の当該特定資本関係法人を除く。)との間において特定資本関係が生じた日のうち最も遅い日をいうことに留意する。
第13章 連結納税への加入等に伴う連結所得の金額の計算
第1節 時価評価法人
(連結事業年度における時価評価法人の判定)
13-1-1 法人が、株式移転により連結親法人であった法人(以下13-1-1において「旧連結親法人」という。)の株式の全部を保有した上で、法第4条の3第6項《設立事業年度等の申請期限特例》の規定により連結納税の申請を行う場合には、当該株式移転の時まで旧連結親法人との間に当該旧連結親法人による連結完全支配関係があった法人(法第61条の11第1項第4号《時価評価を要しない法人》の規定に該当するものを除く。)については、当該法人の法第4条の3第9項第1号《連結申請特例年度における承認の効力》に規定する連結申請特例年度開始の日の前日の属する連結事業年度終了の時において、同号の時価評価資産等を有するかどうかにより同号の時価評価法人に該当するか否かの判定を行う必要があることに留意する。
(注) 旧連結親法人は法第61条の11第1項第1号《時価評価を要しない法人》に掲げる法人に該当することから、当該時価評価法人には該当しないこととなる。
(時価評価資産等の判定における資本等の金額)
13-1-2 13-1-1の場合において、連結法人が法第4条の3第9項第1号《連結申請特例年度における承認の効力》に規定する時価評価資産等を有するかどうかを判定する場合における令第 122条の12第1項第4号《時価評価資産から除かれる資産の範囲》に規定する「資本等の金額」は、法第4条の3第9項第1号に規定する連結申請特例年度開始の日の前日の属する当該連結法人の連結事業年度終了の時の連結個別資本等の金額となることに留意する。
同条第11項第1号《連結申請特例年度に加入する法人の承認の効力》の規定の適用における連結法人の「資本等の金額」については、同号に規定する完全支配関係を有することとなった日の前日の属する連結法人の連結事業年度終了の時の連結個別資本等の金額となる。
第2節 連結納税への加入等に伴う資産の時価評価損益
(連結法人が他の連結グループに加入する場合の資産に係る時価評価)
13-2-1 連結親法人の発行済株式の全部が他の連結グループ(他の連結親法人及び当該他の連結親法人との間に当該他の連結親法人による連結完全支配関係を有する法人によって構成されたグループをいう。以下13-2-1において同じ。)に属する連結法人に有されることとなったことにより、当該連結親法人及びその連結子法人が当該他の連結親法人との間に当該他の連結親法人による連結完全支配関係を有することとなった場合において、当該連結親法人及びその連結子法人が当該連結完全支配関係を有することとなった日の前日に有する法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》に規定する時価評価資産については、同項の規定に基づき、当該前日の属する連結事業年度においてその時価評価資産に係る評価益又は評価損を益金の額又は損金の額に算入することとなることに留意する。
(注) 連結子法人の発行済株式の全部が連結事業年度開始の日に他の連結グループに属する連結法人に有されることとなったことにより、当該連結子法人が他の連結親法人との間に当該他の連結親法人による連結完全支配関係を有することとなった場合の当該連結子法人及び当該連結子法人との間に当該連結子法人による完全支配関係のある連結法人が当該開始の日の前日に有する時価評価資産についても、同様とする。
(連結納税への加入に伴う時価評価資産に係る時価の意義)
13-2-2 13-2-1の場合において、連結法人が法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》の規定を適用するときにおける「時価評価資産のその時の価額」は、当該時価評価資産が使用収益されるものとしてその時において譲渡されるときに通常付される価額によるのであるが、次に掲げる時価評価資産について、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる方法その他合理的な方法により当該時価評価資産のその時の価額を算定しているときは、課税上弊害がない限り、これを認める。
(1) 減価償却資産
イ 令第13条第1号から第7号まで《有形減価償却資産》に掲げる減価償却資産 8-1-29《減価償却資産の時価》に定める方法により計算される未償却残額に相当する金額をもって当該減価償却資産の価額とする方法
ロ 同条第8号《無形減価償却資産》及び第9号《生物》に掲げる減価償却資産 当該減価償却資産の取得価額を基礎としてその取得の時から法第61条の12第1項に規定する連結加入直前事業年度(以下13-2-2において「連結加入直前事業年度」という。)終了の時まで定額法により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額をもって当該減価償却資産の価額とする方法
(2) 土地 当該土地につきその近傍類地の売買実例を基礎として合理的に算定した価額又は当該土地につきその近傍類地の公示価格等(地価公示法第8条《不動産鑑定士等の土地についての鑑定評価の準則》に規定する公示価格又は国土利用計画法施行令第9条第1項《基準地の標準価格》に規定する標準価格をいう。)から合理的に算定した価額をもって当該土地の価額とする方法
(3) 有価証券 8-1-18、8-1-23、8-1-24又は8-1-25《有価証券の価額》に定める方法に準じた方法によって算定した価額をもって当該有価証券の価額とする方法
(4) 金銭債権
イ その一部につき貸倒れその他これに類する事由による損失が見込まれる金銭債権 当該金銭債権の額から当該金銭債権につき法第52条第1項《貸倒引当金》の規定を適用した場合に同項の規定により計算される個別貸倒引当金繰入限度額に相当する金額を控除した金額をもって当該金銭債権の価額とする方法
ロ イ以外の金銭債権 当該金銭債権の帳簿価額をもって当該金銭債権の価額とする方法
(5) 繰延資産
イ 令第14条第1項第1号から第7号まで《繰延資産の範囲》に掲げる繰延資産 当該繰延資産の帳簿価額をもって当該繰延資産の価額とする方法
ロ 同項第8号及び第9号に掲げる繰延資産 当該繰延資産の額を基礎としてその支出の時から連結加入直前事業年度終了の時まで令第64条第1項第2号《繰延資産の償却限度額》の規定により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額をもって当該繰延資産の価額とする方法
(注) この場合における償却期間は、7-2-1から7-2-5《繰延資産の償却期間》に定める償却期間による。
(最初連結親法人事業年度に離脱した連結法人の時価評価損益等)
13-2-3 13-2-1の場合において、連結法人が、最初連結親法人事業年度(当該法人が法第4条の3第11項第1号《連結申請特例年度における承認の効力》の規定の適用を受ける法人である場合には、その翌連結親法人事業年度)において、法第4条の5第2項《連結納税の承認のみなし取消し》の規定によりその承認を取り消されたため連結法人でなくなった場合であっても、法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》の規定により連結加入直前の連結事業年度において益金の額又は損金の額に算入した時価評価資産の評価益又は評価損は、当該連結加入直前の連結事業年度又はその後の各事業年度のいずれにおいても修正は行わないことに留意する。
(注) 法第63条第2項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》の収益の額及び費用の額についても、同様とする。
(一括償却資産に係る時価評価益の計算)
13-2-4 13-2-1の場合において、連結法人の有する資産が令第 122条の12第1項第4号《時価評価資産から除かれる資産の範囲》に掲げる資産に該当するかどうかを判定するときには、当該資産が令第 133条の2第1項《一括償却資産の損金算入》の適用を受けているものであるときであっても、当該資産を同号に規定する単位に区分した後のそれぞれの資産ごとに判定することに留意する。
(注) この場合において、同号に規定する帳簿価額は零として同号に規定する差額の計算を行うこととなる。
(時価評価時に時価評価資産から除かれる資産を判定する場合の資本等の金額)
13-2-5 13-2-1の場合において、連結法人が法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》に規定する時価評価資産を有するかどうかを判定するときにおける令第 122条の12第1項第4号《時価評価資産から除かれる資産の範囲》に規定する「資本等の金額」は、連結加入直前の連結事業年度終了の時の連結個別資本等の金額となることに留意する。
(時価評価資産から除かれる資産の範囲)
13-2-6 令第 122条の12第1項第1号《時価評価資産から除かれる資産の範囲》の規定の適用上、同号ハに掲げる規定の適用を受けた減価償却資産には、9-3-3《工事負担金を受けた連結事業年度において固定資産が取得できない場合の仮受経理等》後段の取扱いにより圧縮記帳をした減価償却資産が含まれる。
第3節 連結納税への加入等に伴う長期割賦販売等に係る収益及び費用の処理
(繰延長期割賦損益額が 1,000万円に満たないかどうかの判定単位)
13-3-1 13-1-1の場合における令第14条の5第2号イ《時価評価資産等の範囲》の繰延長期割賦損益額が 1,000万円に満たないかどうかの判定については、法第63条第1項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する長期割賦販売等に該当する資産の販売等に係る契約ごとの繰延長期割賦損益額により行うことに留意する。この場合において、連結法人が、長期割賦販売等に該当する資産の販売等につき2-4-5《延払基準の計算単位》の取扱いにより合理的な区分ごとに一括して延払基準を適用しているときは、その契約の属する区分の差益率を基として、当該契約に係る繰延長期割賦損益額を計算している場合には、これを認める。
(特別勘定の金額が 1,000万円に満たないかどうかの判定単位)
13-3-2 13-1-1の場合の令第14条の5第3号イ《時価評価資産等から除かれる特別勘定》に規定する特別勘定の金額が 1,000万円に満たないかどうか は、その特別勘定の対象となる譲渡した資産のそれぞれの特別勘定の金額ごとに判定することに留意する。
(他の連結グループへの加入に伴う繰延長期割賦損益額の判定)
13-3-3 13-2-1の場合において、連結法人が有する令第 125条の2第1号《連結納税の開始等に伴う長期割賦販売等に係る収益及び費用の処理に関する規定の不適用》に規定する繰延長期割賦損益額が 1,000万円に満たないかどうかの判定については、13-3-1の取扱いを準用する。
第14章 連結法人間取引の損益調整
第1節 通則
(譲渡損益調整額の計算における「対価の額」の意義)
14-1-1 連結法人が譲渡損益調整額を計算する場合における法第81条の10第1項《連結法人間取引の損益の調整》に規定する「譲渡に係る対価の額」とは、同項に規定する譲渡損益調整資産の譲渡の時の価額をいうことに留意する。
(注) 譲渡損益調整額とは、同項又は法第61条の13第1項《分割前事業年度等における連結法人間取引の損益の調整》の規定により譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額が損金の額又は益金の額に算入される場合のその算入される金額をいう。以下この章において同じ。
(譲渡損益調整額の計算における「原価の額」の意義)
14-1-2 法第81条の10第1項《連結法人間取引の損益の調整》に規定する「原価の額」とは、同項に規定する譲渡損益調整資産の譲渡直前の帳簿価額をいうのであるから、例えば、不動産売買又は有価証券の譲渡に係る手数料など譲渡に付随して発生する費用は、これに含まれないことに留意する。
(譲渡した連結法人の株式等が譲渡損益調整資産に該当するかどうかの判定)
14-1-3 連結法人が、当該連結法人以外の連結法人に対し、当該連結法人との間に連結完全支配関係を有する他の連結法人の株式(出資を含む。以下14-1-3において同じ。)を譲渡した場合において、当該譲渡した株式の令第 122条の14第1項第3号《譲渡損益調整資産から除かれる資産の範囲》に規定する「その譲渡の直前の帳簿価額」は、令第 119条の3第3項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》又は第 119条の4第1項《評価換え等があった場合の総平均法の適用の特例》の規定により算出される金額にその譲渡をした株式の数を乗じた金額となることに留意する。
(圧縮記帳をした譲渡損益調整資産に係る譲渡損益調整額の計算)
14-1-4 令第 155条の22第3項《譲渡損益調整額の戻入れ計算》の規定の適用上、同項第5号ハに掲げる規定の適用を受けた譲渡損益調整資産には、9-3-3《工事負担金を受けた連結事業年度において固定資産が取得できない場合の仮受経理等》の後段の取扱いにより圧縮記帳をした譲渡損益調整資産が含まれる。
第2節 譲渡損益調整資産に係る譲渡損益額の調整
(連結法人間取引の損益の調整を行わない取引)
14-2-1 連結法人が法第81条の10第1項《連結法人間取引の損益の調整》に規定する譲渡損益調整資産を他の連結法人に譲渡した場合には、次に掲げるようなものは含まれない。
(1) 当該他の連結法人が法第2条第17号ネ《資本積立金額》に規定する株式の消却を行った場合における、その消却の対象となった株式の譲渡
(2) 当該他の連結法人を借地権者とする借地権の設定(令第 138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用があるものを除く。)
(譲渡損益調整資産の譲渡に伴い特別勘定を設定した場合の譲渡損益調整額の計算)
14-2-2 連結法人が譲渡損益調整資産の譲渡に伴い次に掲げる規定に基づき特別勘定を設定した場合には、法第81条の10第1項《連結法人間取引の損益の調整》又は第61条の13第1項《分割前事業年度等における連結法人間取引の損益の調整》に規定する譲渡利益額は、当該特別勘定の金額に相当する金額を控除した後の金額となるのであるが、連結事業年度において代替資産を取得できなかったこと等の理由により当該連結事業年度開始の時に有する当該特別勘定の金額の全部又は一部が益金の額に算入されることとなった場合であっても、当該益金の額に算入される特別勘定の金額について譲渡損益調整額として損金の額に算入しないのであるから留意する。
(1) 措置法第64条の2《収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(2) 措置法第65条《換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》
(3) 措置法第65条の8《特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(4) 措置法第65条の12《大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(5) 措置法第65条の14《認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(6) 措置法第68条の71《収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(7) 措置法第68条の72《換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》
(8) 措置法第68条の79《特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(9) 措置法第68条の83《大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(10) 措置法第68条の85《認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(11) 阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(以下14-2-2において「震災特例法」という。)第21条《特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(12) 震災特例法第26条の6《連結法人の特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
第3節 譲渡損益調整額の戻入れ
(譲渡損益調整額の戻入れ事由)
14-3-1 令第 155条の22第2項第1号《連結法人間取引の損益の調整》に規定する「その他これらに類する事由が生じた場合」には、例えば、次に掲げる譲渡損益調整資産につき、それぞれ次に掲げる事由が生じた場合が該当する。
(1) 金銭債権 その譲渡を受けた連結法人(以下14-3-1及び14-3-3において「譲受法人」という。)においてその全額が回収された場合又は2-1-37《債権の取得差額に係る調整差損益の計上》の取扱いの適用を受けた場合
(2) 償還有価証券 譲受法人においてその全額が償還期限前に償還された場合
(3) 固定資産 譲受法人において災害等により滅失した場合
(注) 同号の「譲渡」には、次の場合が含まれる。
1 令第119条の11の表の第2号の上欄《有価証券の区分変更によるみなし譲渡》に掲げる満期保有目的等有価証券又は同表の第3号の上欄に掲げるその他有価証券について、当該各号の中欄に掲げる事実が生じたことにより譲受法人が当該有価証券を譲渡したものとみなされた場合
2 令第 119条の11の2第1項《分離適格振替有価証券の元利分離等によるみなし譲渡等》に規定する次の有価証券について、その譲受法人がそれぞれ次の事実に該当することになったことにより当該有価証券を譲渡したものとみなされた場合
(1) 分離適格振替有価証券 その譲受法人が当該有価証券について同項に規定する元利分離を行ったこと
(2) 分離元本振替有価証券又は分離利息振替有価証券 その譲受法人がこれらの有価証券について同条第2項に規定する統合を行ったこと
(契約の解除等があった場合の譲渡損益調整額)
14-3-2 連結法人が当該連結事業年度前の各連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)において行った譲渡損益調整資産の譲渡について、当該連結事業年度に次に掲げる事由が生じた場合には、それぞれ次による。
(1) 契約の解除若しくは取消し又は返品 これらの事由が生じた資産に係る当該連結事業年度開始の時における期首譲渡損益調整額を益金の額又は損金の額に算入する。
(2) 譲渡利益額が生じた譲渡に係る値引き
イ 値引額が当該連結事業年度開始の時における期首譲渡損益調整額以内の場合 期首譲渡損益調整額のうち値引額に相当する金額を益金の額に算入する。
ロ 値引額が当該連結事業年度開始の時における期首譲渡損益調整額を超える場合 当該期首譲渡損益調整額の全額を益金の額に算入するとともに、当該超える部分の金額を新たに譲渡損益調整額として益金の額に算入する。
(3) 譲渡損失額が生じた譲渡に係る値引き 値引額に相当する金額を新たに譲渡損益調整額として益金の額に算入する。
(注) 期首譲渡損益調整額とは、譲渡損益調整額から既に令第 155条の22第3項、第5項若しくは第8項《譲渡損益調整額の戻入れ計算》又は第 122条の14第4項、第6項若しくは第9項《譲渡損益調整額の戻入れ計算》の規定により益金の額又は損金の額に算入された金額を控除した金額をいう。以下14-3-3において同じ。
(債権の取得差額に係る調整差損益を計上した場合の譲渡損益調整額の戻入れ計算)
14-3-3 連結法人が譲渡した金銭債権につき譲受法人において2-1-37《債権の取得差額に係る調整差損益の計上》の取扱いを適用している場合に、当該連結法人が法第81条の10第2項《譲渡損益調整額の戻入れ計算》の規定により益金の額又は損金の額に算入する金額は、例えば、次に掲げる当該連結法人の連結事業年度の区分に応じ、それぞれ次により計算した金額とする等合理的な方法により計算した金額とする。
(1) 当該金銭債権を譲渡した連結事業年度 当該金銭債権に係る譲渡損益調整額に当該譲渡した日から当該金銭債権の最終の支払期日までの期間のうちに当該譲渡した日から当該連結事業年度終了の日までの期間の占める割合を乗じて計算した金額
(2) 当該金銭債権の最終の支払期日の属する連結事業年度 当該連結事業年度開始の時における期首譲渡損益調整額
(3) (1)及び(2)以外の連結事業年度 当該金銭債権に係る譲渡損益調整額に当該譲渡した日から当該金銭債権の最終の支払期日までの期間のうちに当該連結事業年度の期間の占める割合を乗じて計算した金額
(金銭債権の一部が貸倒れとなった場合の譲渡損益調整額の戻入れ計算)
14-3-4 連結法人が他の連結法人に対して譲渡した譲渡損益調整資産である金銭債権について、当該他の連結法人において8-6-1《金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ》の取扱いにより当該金銭債権の一部が貸倒れとなった場合の当該連結法人における法第81条の10第2項《譲渡損益調整額の戻入れ計算》の規定により損金の額に算入する金額は、例えば、当該金銭債権に係る譲渡損益調整額に当該他の連結法人の当該金銭債権の取得価額のうちに当該貸倒れによる損失の額の占める割合を乗じて計算した金額とする等合理的な方法により計算した金額とする。
(注) 債権金額に満たない価額で取得した債権の一部について8-6-1の事実が生じたことにより貸倒れとして損金の額に算入される金額は、この事実が生じた後においてなお有することとなる債権金額が取得価額を下回る場合のその下回る部分の金額となる。
(土地の一部譲渡に係る譲渡損益調整額の戻入れ計算)
14-3-5 連結法人が他の連結法人に譲渡した譲渡損益調整資産である土地について、当該他の連結法人がその一部を譲渡した場合の当該連結法人における法第81条の10第2項《譲渡損益調整額の戻入れ計算》の規定により益金の額又は損金の額に算入する金額は、当該土地に係る譲渡損益調整額のうち当該他の連結法人が譲渡した土地に係るものとして、例えば、当該譲渡損益調整額を当該連結法人が譲渡した土地の面積と当該他の連結法人が譲渡した土地の面積の比に応じて区分する等合理的な方法により計算した金額とする。
(同一銘柄の有価証券を2回以上譲渡した後の譲渡に伴う譲渡損益調整額の戻入れ計算)
14-3-6 連結法人が譲渡損益調整資産である銘柄を同じくする有価証券を2回以上にわたって他の連結法人に対し譲渡した後に当該他の連結法人が当該有価証券を譲渡した場合には、当該連結法人における譲渡損益調整額の戻入れ計算は、当該他の連結法人が当該連結法人から最も早く取得したものから順次譲渡したものとみなして、令第 155条の22第3項第6号《譲渡損益調整額の戻入れ計算》の規定を適用する。
(譲渡損益調整額の戻入れ計算における簡便法の選択適用)
14-3-7 令第 155条の22第5項《譲渡損益調整額の戻入れ計算の簡便法》の規定の適用については、連結法人が連結事業年度において他の連結法人に対し複数の減価償却資産(当該他の連結法人において減価償却資産に該当することとなるものに限る。以下14-3-7において同じ。)を譲渡した場合であっても、個々の減価償却資産ごとに同項の規定を適用をすることができる。
連結法人が当該連結事業年度において他の連結法人に対し複数の繰延資産の譲渡を行った場合についても、同様とする。
(簡便法を適用した他の連結法人を被合併法人等とする適格合併等をした場合の譲渡損益調整額の戻入れ計算)
14-3-8 法第81条の10第3項《譲渡損益調整額の戻入れ》の規定により連結法人が譲渡したものとみなされた譲渡損益調整資産のうち、同項の被合併法人又は分割法人が令第 122条の14第6項《譲渡損益調整額の戻入れ計算の簡便法》又は第 155条の22第5項《譲渡損益調整額の戻入れ計算の簡便法》の規定の適用を受けたものについては、合併法人又は分割承継法人である当該連結法人において同項又は第8項の規定の適用があることに留意する。
(譲渡損益調整資産の耐用年数を短縮した場合の簡便法による戻入れ計算)
14-3-9 連結法人が令第 155条の22第8項《譲渡損益調整額の戻入れ計算の簡便法》の規定を適用するに当たり、同項に規定する譲渡損益調整資産を譲り受けた他の連結法人が当該譲渡損益調整資産についてその譲受日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下14-3-9において「連結事業年度等」という。)後の連結事業年度等において、令第57条《耐用年数の短縮》の規定により当該減価償却資産の耐用年数を短縮することの承認を受けたときには、当該承認を受けた日の属する当該連結法人の連結事業年度及びその後の連結事業年度等における令第 155条の22第5項第1号ロ(令第 122条の14第6項第1号ロ《譲渡損益調整額の戻入れ計算の簡便法》の規定を含む。)の耐用年数は、当該承認に基づく耐用年数となることに留意する。
第15章 リース取引
第1節 リース取引の意義
(解除をすることができないものに準ずるものの意義)
15-1-1 第 136条の3第3項第1号《リース取引の定義》に規定する「これに準ずるもの」とは、例えば、次に掲げるものをいう。
(1) 資産の賃貸借に係る契約に解約禁止条項がない場合であって、賃借人が契約違反をした場合又は解約をする場合において、賃借人が、当該賃貸借に係る賃貸借期間のうちの未経過期間に対応するリース料の額の合計額のおおむね全部(原則として 100分 の90以上)を支払うこととされているもの
(2) 資産の賃貸借に係る契約において、当該賃貸借期間中に解約をする場合の条項として次のような条件が付されているもの
イ 賃貸借資産(当該賃貸借の目的となる資産をいう。以下15-1-3までにおいて同じ。)を更新するための解約で、その解約に伴いより性能の高い機種又はおおむね同一の機種を同一の賃貸人から賃貸を受ける場合は解約金の支払を要しないこと。
ロ イ以外の場合には、未経過期間に対応するリース料の額の合計額(賃貸借資産を処分することができたときは、その処分価額の全部又は一部を控除した額)を解約金とすること。
(資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきことの意義)
15-1-2 令第 136条の3第3項第2号《リース取引の定義》に規定する「当該資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこと」とは、その賃貸借期間中に賃借人が支払うリース料の額の合計額が、賃貸人における賃貸借資産の取得価額及びその取引に係る付随費用(賃貸借資産の取得に要する資金の利子、固定資産税、保険料等その取引に関連して賃貸人が支出する費用をいう。以下15-1-3において同じ。)の額の合計額のおおむね全部(原則として 100分の90以上)とされていることをいう。
(おおむね全部の判定)
15-1-3 15-1-1及び15-1-2に定める「おおむね全部」の判定に当たって、次の点については、次のとおり取り扱うことに留意する。
(1) 資産の賃貸借に係る契約等において、賃借人が賃貸借資産を購入する権利を有し、当該権利の行使が確実であると認められる場合には、当該権利の行使により購入するときの購入価額をリース料の額に加算する。この場合、その契約書等に当該購入価額についての定めがないときは、残価に相当する金額を購入価額とする。
(注) 残価とは、賃貸人におけるリース料の額の算定に当たって賃貸借資産の取得価額及びその取引に係る付随費用の額の合計額からリース料として回収することとしている金額の合計額を控除した残額をいう。以下この章において同じ。
(2) 資産の賃貸借に係る契約等において、中途解約に伴い賃貸借資産を賃貸人が処分し、未経過期間に対応するリース料の額からその処分価額の全部又は一部を控除した額を賃借人が支払うこととしている場合には、当該全部又は一部に相当する金額を賃借人が支払うこととなる金額に加算する。
第2節 売買とされるリース取引
第1款 売買とされるリース取引の意義
(売買とされる取引に準ずるものの意義)
15-2-1 令第 136条の3第1項《売買とされるリース取引》に規定する「これらに準ずるもの」とは、例えば、次に掲げるものをいう。
(1) リース期間(同項第1号に規定するリース期間をいう。以下この章において同じ。)の終了後、無償と変わらない名目的な再リース料によって再リースすることがリース契約(同条第3項《リース取引の定義》に規定するリース取引(以下この章において「リース取引」という。)に係る契約をいう。以下この章において同じ。)において定められているリース取引(リース契約書上そのことが明示されていないリース取引であって、事実上、当事者間においてそのことが予定されていると認められるものを含む。)
(2) 賃貸人に対してそのリース取引の目的となる資産(以下この章において「リース資産」という。)の取得資金の全部又は一部を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れ、当該資金をして当該賃借人のリース料等の債務のうち当該賃貸人の借入金の元利に対応する部分の引受けをする構造になっているリース取引
(3) リース期間が令第56条《減価償却資産の耐用年数、償却率及び残存価額》に規定する財務省令で定める耐用年数(以下この章において「耐用年数」という。)に比して相当の差異がない場合であっても、残価を高く設定するなどの方法によりそのリース取引が専ら賃貸人の当該リース期間の前半における損失の計上を目的としていると認められるものなど、著しく課税上の弊害があると認められるリース取引
(著しく有利な価額)
15-2-2 リース期間の終了の時又はリース期間の中途においてリース資産を買い取る権利が与えられているリース取引について、賃借人がそのリース資産を買い取る権利に基づき当該リース資産を購入する場合の対価の額が、当該リース資産につき耐用年数を基礎として定率法により計算したその購入時における未償却残額に相当する金額以上の金額とされているときは、当該対価の額が当該権利行使時の公正な市場価額に比し著しく下回るものでない限り、当該対価の額は令第 136条の3第1項第2号《売買とされるリース取引》に規定する「著しく有利な価額」に該当しないものとする。
(専属使用のリース資産)
15-2-3 次に掲げるリース取引は、令第 136条の3第1項第3号《売買とされるリース取引》に規定する「その使用可能期間中当該賃借人によってのみ使用されると見込まれるもの」に該当することに留意する。
(1) 土地、建物、建物附属設備又は構築物(建設工事等の用に供する簡易建物、広告用の構築物等で移設が比較的容易に行い得るもの又は賃借人におけるそのリース資産と同一種類のリース資産に係る既往のリース取引の状況、当該リース資産の性質その他の状況からみて、リース期間の終了後に当該リース資産が賃貸人に返還されることが明らかなものを除く。)を対象とするリース取引
(2) 機械装置等で、その主要部分が賃借人における用途、その設置場所の状況等に合わせて特別な仕様により製作されたものであるため、当該賃貸人が当該リース資産の返還を受けて再び他に賃貸又は譲渡することが困難であって、その使用可能期間を通じて当該賃借人においてのみ使用されると認められるものを対象とするリース取引
(専用機械装置等に該当しないもの)
15-2-4 次に掲げる機械装置等を対象とするリース取引は、15-2-3の(2)に定めるリース取引には該当しないものとする。
(1) 一般に配付されているカタログに示された仕様に基づき製作された機械装置等
(2) その主要部分が一般に配付されているカタログに示された仕様に基づき製作された機械装置等で、その附属部分が特別の仕様を有するもの
(3) (1) 及び(2) に掲げる機械装置等以外の機械装置等で、改造を要しないで、又は一部改造の上、容易に同業者等において実際に使用することができると認められるもの
(形式基準による専用機械装置等の判定)
15-2-5 機械装置等を対象とするリース取引が、当該リース取引に係るリース資産の耐用年数の 100分の80に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)以上の年数をリース期間とするものである場合は、当該リース取引は令第 136条の3第1項第3号《売買とされるリース取 引》に規定する「その使用可能期間中当該賃借人によってのみ使用されると見込まれるもの」には該当しないものとして取り扱うことができる。
(識別困難なリース資産)
15-2-6 令第 136条の3第1項第3号《売買とされるリース取引》に規定する「リース資産の識別が困難であると認められるもの」かどうかは、賃貸人及び賃借人において、そのリース資産の性質及び使用条件等に適合した合理的な管理方法によりリース資産が特定できるように管理されているかどうかにより判定するものとする。
(相当の差異の意義)
15-2-7 令第 136条の3第1項第4号《売買とされるリース取引》に規定する「相当の差異があるもの」とは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定めるものとする。
(1) リース期間が耐用年数に比して短い場合 当該リース期間がリース資産の耐用年数の 100分の70(耐用年数が10年以上のリース資産については、100分の60)に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)を下回る期間であるもの
(2) リース期間が耐用年数に比して長い場合 当該リース期間(再リースすることが明らかなものについては、当該再リースに係るリース期間を含む。)がリース資産の耐用年数の 100分の 120に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り上げる。)を上回る期間であるもの
(注) 一のリース取引において耐用年数の異なる数種の資産を取引の対象としている場合(当該数種の資産について、同一のリース期間を設定している場合に限る。)において、それぞれの資産の耐用年数を加重平均した年数(リース料の額の合計額又は賃貸人における取得価額をそれぞれの資産ごとに区分した上で、その金額ウェイトを計算の基礎として算定した年数をいう。)により、上記の判定を行っているときは、これを認めるものとする。
(税負担を著しく軽減することになると認められないもの)
15-2-8 次に掲げるリース取引については、令第 136条の3第1項第4号《売買とされるリース取引》に規定する「当該賃貸人又は当該賃借人の法人税又は所得税の負担を著しく軽減することになると認められるもの」には該当しないことに留意する。
(1) リース期間が耐用年数に比して短い場合
イ リース期間の月数にその見込まれる再リース期間の月数を加えた月数をリース期間とするリース取引が行われたと仮定した場合に、貸借人が各連結事業年度において支払うリース料の額のうち当該リース期間を基礎として計算した適正リース料の額を超える部分の金額につき前払費用として処理しているもの
ロ 賃借人におけるそのリース資産と同一種類のリース資産に係る既往のリース取引の状況、当該リース資産の性質その他の状況からみて、リース期間の終了後に当該リース資産が賃貸人に返還されることが明らかなもの
(2) リース期間が耐用年数に比して長い場合
イ 賃貸人におけるリース資産の償却費の額について、当該リース期間にわたって当該リース料の額に応じて損金の額に算入しているもの
ロ リース契約の中に、賃借人が公正な市場価額でリース資産を購入する旨の条項(以下15-2-8において「公正市場価額条項」という。)が付されているもの
(注) リース契約の中に公正市場価額条項が付されている賃貸借であっても、次のすべての要件を満たすものでない場合は、公正市場価額条項が付されていないものとして取り扱う。
1 リース資産のリース期間終了時における公正な市場価額が残価を上回る可能性が高いと認められること。
2 賃借人がリース資産を購入する権利を有する場合において、当該権利の行使をするに当たって、残価と公正な市場価額との差額についていかなる清算又は調整をもしないことが明らかであること。
3 リース期間がリース資産の使用可能期間よりも相当短いこと。
(適正リース料の額)
15-2-9 15-2-8の(1) のイの場合において、適正リース料の額とは、各連結事業年度のうちに含まれるリース期間に対応するリース料の額(当該連結事業年度の中途でリース期間が終了したため当該連結事業年度に含まれる再リース期間がある場合には、当該リース料の額と当該再リース期間に対応する再リース料の額との合計額とする。)のうち次の算式により計算した金額をいう。
なお、再リース期間の推定が困難である場合は、そのリース資産の耐用年数の 100分の70(耐用年数が10年以上のリース資産については、 100分の60に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)を月数に換算し、その月数からリース期間の月数を控除した期間を再リース期間としてその計算を行うものとする。
(算式)
(注)1 再リース期間を含む全体のリース期間の見積りは、店舗用設備等でその連結法人における過去の設備更新の状況が明らかなものを対象とするリース取引については、その個別の事情に基づいてこれを行い、ガソリンスタンドの洗車設備に係るリース契約のように、一般にそのリース取引におけるリース期間(再リース期間を含む。)がおおむね一定しており、かつ、そのリース期間の終了後に賃貸人に返還されることが明らかな資産を対象とするリース取引については、そのリース期間による。
2 リース契約において再リース料の額が定められていない場合には、そのリース取引に係る再リース料の額は、一般のリース取引における再リース料の額を参酌して合理的に見積もる。
(期間経過に伴う前払費用の損金算入)
15-2-10 15-2-8の(1) のイにより前払費用とされた金額(法人税基本通達12の5-2-8の(1) のイ《税負担を著しく軽減することになると認められないもの》により前払費用とされた金額を含む。以下15-2-11において同じ。)は、再リース期間の属する連結事業年度において、次の算式により計算した金額を限度として損金の額に算入する。
(算式)
(注)1
当該連結事業年度の中途でリース期間が終了した場合には、当該連結事業年度の当該リース期間に対応するリース料の額を算式中「当該連結事業年度のうちに含まれる再リース期間に対応する再リース料の額」に含める。
2 再リース料の額は、再リース期間の経過に応じて損金の額に算入する。
(リース資産を購入した場合の前払費用の処理)
15-2-11 賃借人がリース期間の中途又はリース期間の終了後にそのリース資産を購入した場合において、その購入の時に15-2-8の(1)のイにより前払費用とされている金額があるときは、その前払費用とされている金額をその資産の取得価額に含めるものとする。
(リース資産を返還した場合の前払費用の処理)
15-2-12 賃借人がリース期間の中途又はリース期間の終了後にそのリース資産を賃貸人に返還した場合には、その返還した日において前払費用とされている金額は、同日の属する連結事業年度において損金の額に算入する。
(リース料の額の収益計上時期)
15-2-13 賃貸人が各連結事業年度において収受すべきリース料の額は、賃借人においてその支払うリース料の額の一部が前払費用とされている場合においても、当該連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、賃貸人が、各連結事業年度において収受すべきリース料の額のうち15-2-9の算式に準じて計算した金額を超える部分の金額につき、当該各連結事業年度において前受収益として経理するとともに、当該前受収益として経理した金額につき、再リース期間の属する各連結事業年度において15-2-10に準じて計算した金額を益金の額に算入している場合には、これを認めるものとする。
(リース資産の返還があった場合の前受収益の処理)
15-2-14 賃貸人においてそのリース料の額の一部を前受収益として経理している場合において、リース期間の中途又はリース期間の終了後にリース資産が賃借人から返還されたときは、その返還があった日において前受収益として経理している金額は、同日の属する連結事業年度において益金の額に算入する。
第2款 賃借人の処理
(リース資産の取得価額)
15-2-15 令第 136条の3第1項《売買とされるリース取引》の規定の適用によりリース資産の売買があったものとされた場合において、賃借人における当該リース資産の取得価額は、原則として、そのリース期間中に支払うべきリース料の額の合計額による。ただし、そのリース取引に係る契約書等により、そのリース料の額の合計額のうち賃貸人におけるそのリース資産の取得価額から成る部分の金額を区分することができる場合には、その賃貸人におけるリース資産の取得価額から成る部分の金額を当該リース資産の取得価額とすることができる。
(注)1 再リース料の額は、リース資産の取得価額に算入しない。
2 リース資産を事業の用に供するために賃借人が支出する付随費用の額は、リース資産の取得価額に含まれる。
3 リース期間の終了後に当該リース資産を賃借人が購入した場合における賃借人が支払う購入代価の額は、その購入をした時に当該リース資産の取得価額に加算する。
(償却費として損金経理をしたものとするリース料の額)
15-2-16 令第 136条の3第1項《売買とされるリース取引》の規定の適用によりリース資産の売買があったものとされた場合において、賃借人が、支払うべきリース料の額をその支払うべき日の属する連結事業年度において賃借料等として損金経理をしているときには、当該リース料の額(15-2-15のただし書によっている場合には、当該リース料の額のうち賃貸人におけるそのリース資産の取得価額から成る部分の金額に対応する金額に限る。)は、法第31条第1項《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》に規定する「償却費として損金経理をした金額」に含まれるものとする。
(注) 賃借人が15-2-15のただし書によってリース資産の取得価額を計算している場合には、当該リース資産に係るリース料の額のうちその取得価額に算入しなかった金額に対応する金額は、リース期間の経過に応じて損金の額に算入する。
第3款 賃貸人の処理
(延払基準を適用する場合の譲渡の対価の額)
15-2-17 令第 136条の3第1項《売買とされるリース取引》の規定の適用によりリース資産の売買があったものとされた場合において、当該リース取引が法第63条第4項《長期割賦販売等の要件》に規定する要件を満たすときは、賃貸人はそのリース取引に係る収益の額及び費用の額の計算につき、同条の規定を適用することができる。この場合には、そのリース期間中に収受すべきリース料の額の合計額を令第124条《延払基準の方法》に規定する「長期割賦販売等の対価の額」として取り扱う。
(注)1
そのリース取引が行われた日の属する連結事業年度後の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)において当該リース取引について売買があったものとして処理すべきことが明らかになった場合には、当該明らかになった日の属する連結事業年度前の各連結事業年度についての当該リース取引(法第63条第4項に規定する要件を満たすものに限る。)に係る収益の額及び費用の額は、原則として令第 124条に規定する延払基準の方法により計算した収益の額及び費用の額とする。
2 再リース料の額は、長期割賦販売等の対価の額に含めないで、その収受すべき日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
3 本文及び1の取扱いは、法第63条第3項の適用がない場合に限られるのであるから、留意する。
第3節 金銭の貸借とされるリース取引
第1款 金銭の貸借とされるリース取引の判定
(金銭の貸借とされるリース取引の判定)
15-3-1 令第 136条の3第2項《金銭の貸借とされるリース取引》に規定する「一連の取引」が同項に規定する「実質的に金銭の貸借であると認められるとき」に該当するかどうかは、取引当事者の意図、リース資産の内容等から、そのリース資産を担保とする金融取引を行うことを目的とするものであるかどうかにより判定する。したがって、例えば、次に掲げるようなものは、これに該当しないものとする。
(1) 譲渡人が資産を購入し、当該資産をリース契約により賃借するために譲受人に譲渡する場合において、譲渡人が譲受人に代わり資産を購入することに次に掲げるような相当な理由があり、かつ、当該資産につき、立替金、仮払金等の仮勘定で経理し、譲渡人の購入価額により譲受人に譲渡するもの
イ 多種類の資産を導入する必要があるため、譲渡人において当該資産を購入した方が事務の効率化が図られること
ロ 輸入機器のように通関事務等に専門的知識が必要とされること
ハ 既往の取引状況に照らし、譲渡人が資産を購入した方が安く購入できること
(2) 連結法人が事業の用に供している資産について、当該資産の管理事務の省力化等のために行われるもの
第2款 譲渡人の処理
(借入金として取り扱う売買代金の額)
15-3-2 令第 136条の3第2項《金銭の貸借とされるリース取引》の規定の適用がある場合において、その資産の売買により譲渡人が譲受人から受け入れた金額は、借入金の額として取り扱い、譲渡人がリース期間中に支払うべきリース料の額の合計額のうちその借入金の額に相当する金額については、当該借入金の返済をすべき金額(以下15-3-3までにおいて「元本返済額」という。)として取り扱う。この場合において、譲渡人が各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に支払うリース料の額に係る元本返済額とそれ以外の金額との区分は、通常の金融取引における元本と利息の区分計算の方法に準じて合理的にこれを行うのであるが、譲渡人が当該リース料の額のうちに元本返済額が均等に含まれているものとして処理しているときは、これを認める。
(償却費として損金経理をしたものとするリース料の額)
15-3-3 令第 136条の3第2項《金銭の貸借とされるリース取引》の規定の適用がある場合において、譲渡人が、支払うべきリース料の額をその支払うべき日の属する連結事業年度において賃借料等として損金経理をしているときには、当該リース料の額のうち元本返済額に相当する部分の金額については、法第31条第1項《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》に規定する「償却費として損金経理をした金額」に含まれるものとする。
第3款 譲受人の処理
(貸付金として取り扱う売買代金の額)
15-3-4 令第 136条の3第2項《金銭の貸借とされるリース取引》の規定の適用がある場合において、その資産の売買により譲受人が譲渡人に支払う金額は、貸付金の額として取り扱い、譲受人がリース期間中に収受すべきリース料の額の合計額のうちその貸付金の額とした金額に相当する金額については、当該貸付金の返済を受けた金額として取り扱う。この場合において、譲受人が各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に収受するリース料の額に係る貸付金の返済を受けたものとされる金額とそれ以外の金額との区分は、通常の金融取引における元本と利息の区分計算の方法に準じて合理的にこれを行うのであるが、譲受人が、当該リース料の額のうち貸付金の返済を受けたものとされる金額が均等に含まれているものとして処理しているときは、これを認める。
第16章 借地権の設定等に伴う連結所得の金額の計算
(他人に借地権に係る土地を使用させる行為の範囲)
16-1-1 令第 137条《土地の使用に伴う対価についての所得の計算》に規定する「他人に借地権に係る土地を使用させる行為」には、例えば、借地権に係る土地の地下に地下鉄等の構築物の建設をさせるためその土地の地下を使用させる行為又は特別高圧架空電線の架設等をさせるためその土地の上の空間を使用させる行為が該当する。
(使用の対価としての相当の地代)
16-1-2 連結法人が借地権の設定等(借地権又は地役権の設定により土地を使用させ、又は借地権の転貸その他他人に借地権に係る土地を使用させる行為をいう。以下この章において同じ。)により他人に土地を使用させた場合において、これにより収受する地代の額が当該土地の更地価額(権利金を収受しているとき又は特別の経済的な利益の額があるときは、これらの金額を控除した金額)に対しておおむね年8%程度のものであるときは、その地代は令第 137条《土地の使用に伴う対価についての所得の計算》に規定する相当の地代に該当するものとする。
(注)1 「土地の更地価額」は、その借地権の設定等の時における当該土地の更地としての通常の取引価額をいうのであるが、この取扱いの適用上は課税上弊害がない限り、当該土地につきその近傍類地の公示価格等(地価公示法第8条《不動産鑑定士等の土地についての鑑定評価の準則》に規定する公示価格又は国土利用計画法施行令第9条第1項《基準地の標準価格》に規定する標準価格をいう。)から合理的に算定した価額又は昭和39年4月25日付直資56・直審(資)17「財産評価基本通達」第2章《土地及び土地の上に存する権利》の例により計算した価額によることができるものとする。この場合において、本文のかっこ書により土地の更地価額から控除すべき金額があるときは、当該金額は、次の算式により計算した金額によるものとする。
(算式)
2 借地権の転貸の場合には、「土地の更地価額」とあるのは「借地権の価額」と、「当該土地の更地としての通常の取引価額」とあるのは「当該借地権の通常の取引価額」と、それぞれ読み替えるものとする。
(相当の地代に満たない地代を収受している場合の権利金の認定)
16-1-3 連結法人が借地権の設定等により他人に土地を使用させた場合において、これにより収受する地代の額が16-1-2に定める相当の地代の額に満たないときは、16-1-7の取扱いによる場合を除き、次の算式により計算した金額から実際に収受している権利金の額及び特別の経済的な利益の額を控除した金額を借地人等に対して贈与(当該借地人等が当該連結法人の役員又は使用人である場合には、給与の支給とする。以下16-1-14までにおいて同じ。)したものとする。
(算式)
(注)1 算式の「16-1-2に定める相当の地代の年額」は、実際に収受している権利金の額又は特別の経済的な利益の額がある場合であっても、これらの金額がないものとして計算した金額による。
2 算式により計算した金額が通常収受すべき権利金の額を超えることとなる場合には、当該権利金の額にとどめる。
(相当の地代を引き下げた場合の権利金の認定)
16-1-4 連結法人が借地権の設定等により他人に土地を使用させ、これにより相当の地代を収受した場合においても、その後その地代を引き下げたときは、その引き下げたことについて相当の理由があると認められるときを除き、原則としてその引き下げた時においてその時における当該土地の価額を基礎として16-1-3の算式に準じて計算した金額(既に権利金の一部を収受している場合又は16-1-3若しくは法人税基本通達13-1-3《相当の地代に満たない地代を収受している場合の権利金の認定》により贈与があったものとして計算された金額がある場合には、これらの金額を控除した金額)に相当する金額を借地人等に対して贈与したものとする。
(通常権利金を授受しない土地の使用)
16-1-5 連結法人が権利金を収受することなしに他人に土地を使用させた場合において、これにより収受する地代の額が16-1-2に定める相当の地代の額に満たないときにおいても、その土地の使用の目的が単に物品置場、駐車場等として土地を更地のまま使用し、又は仮営業所、仮店舗等の簡易な建物の敷地として使用するものであるなどその土地の使用が通常権利金の授受を伴わないものであると認められるときは、16-1-3にかかわらず、権利金の認定は行わないことに留意する。
(注) この場合、連結法人が実際に収受している地代の額がその土地の使用の目的に照らして通常収受すべき地代の額に満たないときは、その満たないことにつき相当の理由があると認められるときを除き、その満たない部分の金額を借地人等に対して贈与したものとする。
(共同ビルの建築の場合)
16-1-6 一団の土地の区域内に土地を有する2以上の者が、当該一団の土地の上に共同で建物を建築し、当該建物を区分所有する場合において、各人の所有する部分の床面積の比(当該建物の階その他の部分ごとに利用の効用が異なるときは、当該部分ごとに、その異なる効用に係る適正な割合を勘案して算定した床面積の比とする。以下16-1-6において同じ。)が当該各人の所有地の面積の比又は価額の比とおおむね等しいときは、相互に借地権の設定等はなかったものとして取り扱う。
当該2以上の者が当該建物を共有する場合についても、同様とする。
(注) 各人の所有する部分の床面積の比が当該各人の所有地の面積の比又は価額の比と相当程度以上異なる場合には、その差に対応する部分の土地につき借地権の設定等があったものとして取り扱うのであるから留意する。
(権利金の認定見合せ)
16-1-7 連結法人が借地権の設定等により他人に土地を使用させた場合(権利金を収受した場合又は特別の経済的な利益を受けた場合を除く。)において、これにより収受する地代の額が16-1-2に定める相当の地代の額に満たないとき(16-1-5の取扱いの適用があるときを除く。)であっても、その借地権の設定等に係る契約書において将来借地人等がその土地を無償で返還することが定められており、かつ、その旨を借地人等との連名の書面により遅滞なく当該連結法人に係る連結親法人が納税地の所轄税務署長(当該連結親法人が国税局の調査課所管法人である場合には、所轄国税局長。以下16-1-14までにおいて同じ。)に届け出たときは、16-1-3にかかわらず、当該借地権の設定等をした日の属する連結事業年度以後の各連結事業年度において、16-1-2に準じて計算した相当の地代の額から実際に収受している地代の額を控除した金額に相当する金額を借地人等に対して贈与したものとして取り扱うものとする。
使用貸借契約により他人に土地を使用させた場合(16-1-5の取扱いの適用がある場合を除く。)についても、同様とする。
(注)1 本文の取扱いを適用する場合における相当の地代の額は、おおむね3年以下の期間ごとにその見直しを行うものとする。この場合において、16-1-2の (注) 1中「借地権の設定等の時」とあるのは「当該連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)開始の時」と読み替えるものとする。
2 当該連結法人が法人税基本通達13-1-7《権利金の認定見合せ》の取扱いによる届出を行っていた場合についても、本通達の適用がある。
(相当の地代の改訂)
16-1-8 連結法人が、借地権の設定等により他人に土地を使用させた場合(16-1-5又は16-1-7の取扱いの適用がある場合を除く。)において、これにより16-1-2に定める相当の地代を収受することとしたときは、その借地権の設定等に係る契約書においてその後当該土地を使用させている期間内に収受する地代の額の改訂方法につき次の(1) 又は(2) のいずれかによることを定めるとともに、その旨を借地人等との連名の書面により遅滞なく当該連結法人に係る連結親法人が納税地の所轄税務署長に届け出るものとする。この場合において、その届出がないときは、(2) の方法を選択したものとする。
(1) その借地権の設定等に係る土地の価額の上昇に応じて順次その収受する地代の額を相当の地代の額(上昇した後の当該土地の価額を基礎として16-1-2に定めるところに準じて計算した金額をいう。)に改訂する方法
(2) (1) 以外の方法
(注) 16 -1-7の (注) は、連結法人が(1) の方法を選択した場合について準用する。
(建物等の区分所有に係る借地権割合の計算)
16-1-9 令第 138条第1項第2号《建物等の区分所有に係る借地権割合》に掲げる割合は、連結法人が建物又は構築物の区分所有を目的とする借地権の設定によりその所有する土地を使用させた場合のその区分所有部分の借地権割合をいうのであるから、同号ロに定める残額は、その区分所有部分に対応する土地について計算することに留意する。
(借地権の設定等に伴う保証金等)
16-1-10 連結法人が借地権の設定等に当たり保証金、敷金等の名義による金銭を受け入れた場合においても、その受け入れた金額がその土地の存する地域において通常収受される程度の保証金等の額(その額が明らかでないときは、借地権の設定契約による地代の3月分相当額とする。)以下であるときは、当該受け入れた金額は、令第 138条第2項《特別の経済的な利益》に規定する「特に有利な条件による金銭の貸付け」には該当しないものとする。
(複利の方法による現在価値に相当する金額の計算)
16-1-11 令第 138条第3項《特別の経済的な利 益の額の計算》に規定する「通常の利率」は年 3.0%、「貸付けを受ける期間」は1年を単位として計算した期間(1年未満の端数があるときは切り捨てて計算した期間)、複利の方法で現在価値を計算する場合の「複利現価率」は小数点以下第3位まで計算した率(第4位を切り上げる。)による。
(土地の価額が増加する事由)
16-1-12 令第 138条第4項《特別の経済的な利益を返還した場合の土地等の帳簿価額》に規定する「その他土地等の価値の増加があったとき」には、その土地に係る賃貸借契約に基づく借地権の存続期間の満了等による建物等の買取り又は地役権の解除等の事実が該当する。
(更新料等)
16-1-13 連結法人が、借地権の設定等に係る契約の更新又は更改をする場合において、当該借地権に係る土地の存する地域において通常いわゆる更新料又は更改料を授受する取引上の慣行があることが明らかでないためその授受をしなかったときは、これを認める。
(借地権の無償譲渡等)
16-1-14 連結法人が借地の上に存する自己の建物等を借地権の価額の全部又は一部に相当する金額を含めない価額で譲渡した場合又は借地の返還に当たり、通常当該借地権の価額に相当する立退料その他これに類する一時金(以下16-1-16までにおいて「立退料等」という。)を授受する取引上の慣行があるにもかかわらず、その額の全部又は一部に相当する金額を収受しなかった場合には、原則として通常収受すべき借地権の対価の額又は立退料等の額と実際に収受した借地権の対価の額又は立退料等の額との差額に相当する金額を相手方に贈与したものとして取り扱うのであるが、その譲渡又は借地の返還に当たり通常収受すべき借地権の対価の額又は立退料等の額に相当する金額を収受していないときであっても、その収受をしないことが次に掲げるような理由によるものであるときは、これを認める。
(1) 借地権の設定等に係る契約書において将来借地を無償で返還することが定められていること又はその土地の使用が使用貸借契約によるものであること(いずれも16-1-7に定めるところによりその旨が所轄税務署長に届け出られている場合に限る。)。
(2) 土地の使用の目的が、単に物品置場、駐車場等として土地を更地のまま使用し、又は仮営業所、仮店舗等の簡易な建物の敷地として使用するものであること。
(3) 借地上の建物が著しく老朽化したことその他これに類する事由により、借地権が消滅し、又はこれを存続させることが困難であると認められる事情が生じたこと。
(相当の地代で賃借した土地に係る借地権の価額)
16-1-15 16-1-14の場合において、借地人である連結法人が16-1-2に定める相当の地代により賃借した土地に係る借地権を譲渡し、又は当該土地を地主へ返還したときに通常収受すべき借地権の対価の額又は立退料等の額は、原則として次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額によるものとする。
(1) その支払うべき地代の額の改訂方法につき16-1-8の(1) に掲げる方法によっている場合 零。ただし、当該借地権の設定等に当たり支払った権利金又は供与した特別の経済的な利益がある場合には、当該権利金の額又は特別の経済的な利益の額に相当する金額とする。
(2) (1) 以外の場合 次の区分に応じ、それぞれ次の金額
イ その支払っている地代の額が一般地代の額(通常支払うべき権利金を支払った場合に当該土地の価額の上昇に応じて通常支払うべき地代の額をいう。)に相当する金額となる時前にその譲渡又は返還が行われたとき その譲渡又は返還の時における当該土地の更地価額を基礎として16-1-3に定める算式に準じて計算した金額
ロ イ以外のとき その譲渡又は返還の時における当該土地の更地価額を基礎として通常取引される借地権の価額
(注) この取扱いは、連結法人が借地人から貸地の返還を受けるに当たり、(1) 又は(2) に掲げる金額の立退料等のほかにその返還に伴い借地人において生ずる費用又は損失の補てんに充てるために合理的な金額を支払うことを妨げるものではないことに留意する。
(貸地の返還を受けた場合の処理)
16-1-16 連結法人が貸地の返還を受けた場合には、次のいずれの場合に該当するかに応じ、それぞれに掲げる金額をその返還を受けた土地の帳簿価額に加算する。
(1) 無償で返還を受けた場合 その土地について借地権の設定等に当たり、法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別損金額を計算する場合の令第 138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》又は法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の令第 138条第1項又は法第33条第2項の規定を含む。)により損金の額に算入した金額があるときは、その損金の額に算入した金額
(2) 立退料等(その他立退きに要する費用を含む。以下16-1-16において同じ。)だけを支払った場合 その支払った立退料等と(1) に掲げる金額とのうちいずれか多い金額
(3) 立退料等を支払うとともに土地の上に存する建物等を買い取った場合 その支払った立退料等と当該建物等の買取価額のうち当該建物等の価額を超える部分の金額との合計額と(1) に掲げる金額とのいずれか多い金額
(注) 連結法人が貸地の返還を受けるに当たり通常支払うべき立退料等の額の全部又は一部に相当する金額を支払わなかった場合においても、原則としてこれによる経済的利益の額はないものとして取り扱う。
第17章 外貨建取引の換算等
第1節 外貨建取引に係る会計処理等
(いわゆる外貨建て円払いの取引)
17-1-1 法第61条の8第1項《外貨建取引の換算》に規定する外貨建取引(以下この章において「外貨建取引」という。)は、その取引に係る支払が外国通貨で行われるべきこととされている取引をいうのであるから、例えば、債権債務の金額が外国通貨で表示されている場合であっても、その支払が本邦通貨により行われることとされているものは、ここでいう外貨建取引には該当しないことに留意する。
(外貨建取引及び発生時換算法の円換算)
17-1-2 法第61条の8第1項《外貨建取引の換算》及び第61条の9第1項第1号イ《発生時換算法の意義》の規定に基づく円換算(法第61条の8第2項の規定の適用を受ける場合の円換算を除く。)は、その取引を計上すべき日(以下この章において「取引日」という。)における対顧客直物電信売相場(以下この章において「電信売相場」という。)と対顧客直物電信買相場(以下この章において「電信買相場」という。)の仲値(以下この章において「電信売買相場の仲値」という。)による。ただし、継続適用を条件として、売上その他の収益又は資産については取引日の電信買相場、仕入その他の費用(原価及び損失を含む。以下この章において同じ。)又は負債については取引日の電信売相場によることができるものとする。
(注)1 本通達の本文の電信売相場、電信買相場及び電信売買相場の仲値については、原則として、その連結法人の主たる取引金融機関のものによることとするが、連結法人が、同一の方法により入手等をした合理的なものを継続して使用している場合には、これを認める。
2 上記の円換算に当たっては、継続適用を条件として、当該外貨建取引の内容に応じてそれぞれ合理的と認められる次のような外国為替の売買相場(以下この章において「為替相場」という。)も使用することができる。
(1) 取引日の属する月若しくは週の前月若しくは前週の末日又は当月若しくは当週の初日の電信買相場若しくは電信売相場又はこれらの日における電信売買相場の仲値
(2) 取引日の属する月の前月又は前週の平均相場のように1月以内の一定期間における電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場の平均値
3 円換算に係る当該日(為替相場の算出の基礎とする日をいう。以下この (注) 3において同じ。)の為替相場については、次に掲げる場合には、それぞれ次によるものとする。以下この章において同じ。
(1) 当該日に為替相場がない場合には、同日前の最も近い日の為替相場による。
(2) 当該日に為替相場が2以上ある場合には、その当該日の最終の相場(当該日が取引日である場合には、取引発生時の相場)による。ただし、取引日の相場については、取引日の最終の相場によっているときも、これを認める。
4 本邦通貨により外国通貨を購入し直ちに資産を取得し若しくは発生させる場合の当該資産、又は外国通貨による借入金(社債を含む。以下この (注) 4において同じ。)に係る当該外国通貨を直ちに売却して本邦通貨を受け入れる場合の当該借入金については、現にその支出し、又は受け入れた本邦通貨の額をその円換算額とすることができる。
5 法第61条の9第1項《外貨建資産等の換算額》に規定する外貨建資産等(以下この章において「外貨建資産等」という。)の取得又は発生に係る取引は、当該取得又は発生の時における支払が本邦通貨により行われている場合であっても、本通達の本文及び (注) 2から4までを適用し、当該外貨建資産等の円換算を行う。
6 いわゆる外貨建て円払いの取引は、当該取引の円換算額を外貨建取引の円換算の例に準じて見積もるものとする。この場合、その見積額と当該取引に係る債権債務の実際の決済額との間に差額が生じたときは、その差額は、17-1-11により益金の額又は損金の額に算入される部分の金額を除き、当該債権債務の決済をした日(同日前にその決済額が確定する場合には、その確定した日)の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(多通貨会計を採用している場合の外貨建取引の換算)
17-1-3 連結法人が外貨建取引を取引発生時には外国通貨で記録し、各月末、連結事業年度終了の時等一定の時点において本邦通貨に換算するといういわゆる多通貨会計を採用している場合において、法第61条の8第1項《外貨建取引の換算》の規定の適用に当たり、各月末等の規則性を有する1月以内の一定期間ごとの一定の時点において本邦通貨への換算を行い、当該一定の時点を当該外貨建取引に係る取引発生時であるものとして17-1-2の取扱いを適用しているときは、これを認める。この場合、円換算に係る為替相場については、当該一定期間を基礎として計算した平均値も使用することができるものとする。
(注) 法第61条の9第1項《外貨建資産等の換算額》に規定する期末時換算法を選定している場合の連結事業年度終了の時において有する外貨建資産等の円換算は、17-2-5の為替相場による。
(先物外国為替契約等がある場合の収益、費用の換算等)
17-1-4 外貨建取引に係る売上その他の収益又は仕入その他の費用につき円換算を行う場合において、その計上を行うべき日までに、当該収益又は費用の額に係る本邦通貨の額を先物外国為替契約等(法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》に規定する先物外国為替契約等をいう。以下この章において同じ。)により確定させているとき(当該先物外国為替契約等の締結の日において、当該連結法人の帳簿書類に規則第27条の11第2項《先物外国為替契約等により円換算額が確定している旨の記載の方法》に規定する記載事項に準ずる事項の記載があるときに限る。)は、その収益又は費用の額については、17-1-2(17-1-3により準用して適用する場合を含む。以下この章において同じ。)にかかわらず、その確定させている本邦通貨の額をもってその円換算額とすることができる。この場合、その収益又は費用の額が先物外国為替契約等により確定しているかどうかは、原則として個々の取引ごとに判定するのであるが、外貨建取引の決済約定の状況等に応じ、包括的に先物外国為替契約等を締結してその予約額の全部又は一部を個々の取引に比例配分するなど合理的に振り当てているときは、これを認める。
(注)1 連結事業年度終了の時において、この取扱いの適用を受けた外貨建取引に係る外貨建資産等で決済時の円換算額を確定させたものを有する場合には、当該外貨建資産等に係る法第61条の10第1項《為替予約差額の配分》に規定する為替予約差額に相当する金額を法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第61条の10第1項から第3項までの規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合のこれらの規定を含む。)に基づき各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に配分することに留意する。この場合、当該連結事業年度終了の日における当該為替予約差額に相当する金額の計上は、課税上弊害がない限り、為替差損益の調整勘定として処理することができるものとする。
2 法第61条の6《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》又は第61条の7《時価ヘッジ処理による売買目的外有価証券の評価益又は評価損の計上》の規定の適用を受ける場合には、当該連結法人の帳簿書類に規則第27条の11第2項に規定する記載を行わず、規則第27条の8第2項《繰延ヘッジ処理》又は第27条の9第2項《時価ヘッジ処理》に規定する記載を行うことになる。
(前渡金等の振替え)
17-1-5 17-1-2により円換算を行う場合において、その取引に関して受け入れた前受金又は支払った前渡金があるときは、当該前受金又は前渡金に係る部分については、17-1-2にかかわらず、当該前受金又は前渡金の帳簿価額をもって収益又は費用の額とし、改めてその収益又は費用の計上日における為替相場による円換算を行わないことができるものとする。
(延払基準の適用)
17-1-6 令第 124条《延払基準の方法》の規定による延払基準の方法を適用する長期割賦販売等(以下17-1-7において「長期割賦販売等」という。)の対価の一部につき前受金を受け入れている場合において、その対価の全額につき17-1-2により円換算を行い、これを基として延払基準を適用しているときは、当該前受金の帳簿価額と当該前受金についての円換算額との差額に相当する金額は、当該長期割賦販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入し、同条第2項に規定する賦払金割合の算定に含めることに留意する。
(長期割賦販売等に係る債権等につき為替差損益を計上した場合の未実現利益繰延額の修正)
17-1-7 長期割賦販売等に該当する資産の販売等について債権総額を計上するとともにその未実現利益を繰延計上する経理を行っている連結法人が、当該資産の販売等に係る外貨建債権(法第61条の9第1項第1号《外貨建資産等の換算額》に規定する外貨建債権をいう。以下この章において同じ。)を当該連結事業年度終了の時の為替相場により円換算を行った場合において、その円換算による為替差損益を計上しているときは、繰延経理をした当該未実現利益の額を調整するものとする。
(注) 長期割賦販売等に該当する資産の販売等に係る短期外貨建債権(令第 122条の4第1号《短期外貨建債権債務》に規定する短期外貨建債権をいう。以下この章において同じ。)につき計上した為替差損益に対応する未実現利益の額を連結法人が継続して調整しないこととしているときは、本文にかかわらずこれを認める。
(海外支店等の資産等の換算の特例)
17-1-8 連結法人が国外に支店等を有する場合において、当該支店等の外国通貨で表示されている財務諸表を本店の財務諸表に合算する場合における円換算額については、当該支店等の財務諸表項目のすべてについて当該連結事業年度終了の時の為替相場による円換算額を付すことができるものとする。
(注) 上記の円換算に当たっては、継続適用を条件として、収益及び費用(前受金等の収益性負債の収益化額及び前払金等の費用性資産の費用化額を除く。)の換算につき、取引日の属する月若しくは半期又は当該連結事業年度の一定期間内における電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場の平均値も使用することができる。この場合、当該国外支店等に係る当期利益の額又は当期損失の額の円換算額は、当該国外支店等に係る貸借対照表に計上されている金額の円換算額となることに留意する。
(為替差益を計上した場合の資産の取得価額の不修正)
17-1-9 資産の取得に要した法第61条の9第1項第1号《外貨建資産等の換算額》に規定する外貨建債務(以下この章おいて「外貨建債務」という。)を当該連結事業年度終了の時の為替相場により円換算を行ったため為替差益が生じた場合であっても、当該資産の取得価額を減額することはできないことに留意する。
(外貨建てで購入した原材料の受入差額)
17-1-10 連結法人が、外貨建てで購入した原材料についての仕入金額の換算を社内レートによって行う等17-1-2及び17-1-4に定める方法によって行っていない場合には、17-1-2又は17-1-4に定める方法によって換算した金額と当該連結法人が計上した金額との差額は、原材料受入差額に該当する。
(注) 当該差額については5-3-10《原材料受入差額の処理の簡便計算方式》を適用することができる。
(製造業者等が負担する為替損失相当額等)
17-1-11 製造業者等が商社等を通じて行った輸出入等の取引に関して生ずる為替差損益の全部又は一部を製造業者等に負担させ又は帰属させる契約を締結している場合における商社等及び製造業者等の取扱いについては、次による。
(1) 商社等 外貨建債権又は外貨建債務(以下この章において「外貨建債権債務」という。)について法第61条の9第1項第1号ロ《外貨建資産等の換算額》に規定する期末時換算法(以下この章において「期末時換算法」という。)を選定している場合(同号イに規定する発生時換算法(以下この章において「発生時換算法」という。)を選定している外貨建債権債務につき令第 122条の3《外国為替の売買相場が著しく変動した場合の外貨建資産等の期末時換算》の規定の適用を受けたときを含む。)において、当該契約に係る外貨建債権債務につき当該連結事業年度終了の時にその決済が行われたものと仮定した場合において製造業者等に負担させ又は帰属させることとなる金額(当該外貨建債権債務に係る換算差額又は法第61条の10第1項から第3項まで《為替予約差額の配分》の規定により各連結事業年度に配分すべき金額に相当する金額のうち、負担させ又は帰属させることとなる金額に限る。)を当該連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(2) 製造業者等 すべての商社等に対する当該契約に係る金銭債権及び金銭債務につき当該連結事業年度終了の時にその決済が行われたものと仮定した場合において負担し又は帰属することとなる金額(当該金銭債権及び金銭債務につき外貨建債権債務を有するとした場合において当該外貨建債権債務に係る換算差額又は同条第1項から第3項までの規定により各連結事業年度に配分すべき金額に相当する金額のうち、負担し又は帰属することとなる金額に限る。)を当該連結事業年度の損金の額又は益金の額に算入しているときは、継続適用を条件として、これを認める。
第2節 外貨建資産等の換算等
(前渡金、未収収益等)
17-2-1 外貨建取引に関して支払った前渡金又は収受した前受金で資産の売買代金に充てられるものは、外貨建債権債務に含まれない。ただし、外貨建取引に係る未収収益又は未払費用は、外貨建債権債務に該当するものとして取り扱う。
(工事進行基準を適用した場合の未収金)
17-2-2 連結法人が外貨建工事(2-4-20《外貨建工事に係る契約の時における為替相場》に定める外貨建工事をいう。以下17-2-2において同じ。)の収益について、法第64条第1項又は第2項《工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する工事進行基準を適用している場合には、たとえ当該収益に対応する工事収入金を未収金として計上しているときであっても、当該外貨建工事の目的物の引渡しがあるまでは当該未収金は外貨建債権に該当しないことに留意する。
(先物外国為替契約等の範囲-選択権付為替予約)
17-2-3 連結法人が、選択権付為替予約をしている場合において、当該選択権付為替予約に係る選択権の行使をしたときは、その選択権の行使をした日が法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》に規定する先物外国為替契約等の締結の日となることに留意する。この場合、オプション料に相当する金額は、法第61条の10第1項《為替予約差額の配分》に規定する為替予約差額の直先差額に含めて各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額又は損金の額として配分する。
(発生時換算法-期末時換算による換算差額を資本の部に計上している場合の取扱い)
17-2-4 連結事業年度終了の時(以下17-2-4において「期末時」という。)に有する法第61条の9第1項第2号ロ及びハ《外貨建資産等の換算額》に規定する有価証券について、期末時における為替相場により換算した金額をもって当該有価証券の当該期末時における円換算額とし、かつ、当該換算によって生じた換算差額の金額の全額をいわゆる洗替方式により資本の部に計上している場合の当該換算の方法は、発生時換算法として取り扱うのであるから留意する。
(注) 上記の円換算を行っている場合における次に掲げる事項は、それぞれ次によることに留意する。
(1) 当該有価証券の令第22条第1項第1号又は第2号《総資産の帳簿価額等》に規定する帳簿価額は、当該期末時の換算を行う前の金額となる。
(2) 資本の部に計上した換算差額に相当する金額は、法第2条第17号の3及び第18号の3《定義》に規定する連結個別資本積立金額及び連結個別利益積立金額に該当しない。
(3) 「換算差額の金額の全額をいわゆる洗替方式により資本の部に計上している場合」には、税効果会計に基づき、当該換算差額の金額の一部に相当する金額を繰延税金資産又は繰延税金負債として計上している場合が含まれる。
(期末時換算法-連結事業年度終了の時における為替相場)
17-2-5 連結法人が期末時換算法により円換算を行う場合(法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》の規定の適用を受ける場合を除く。)の為替相場は、連結事業年度終了の日の電信売買相場の仲値による。ただし、継続適用を条件として、外国通貨の種類の異なるごとに当該外国通貨に係る外貨建資産等のすべてについて、外貨建ての資産については電信買相場により、外貨建ての負債については電信売相場によることができる。
(注)1 当該連結事業年度終了の日の電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場は、継続適用を条件として、当該連結事業年度終了の日を含む1月以内の一定期間におけるそれぞれの平均値によることができる。
2 当該連結事業年度終了の日の電信買相場又は電信売相場が異常に高騰し、又は下落しているため、これらの相場又はその仲値によることが適当でないと認められる場合も、 (注) 1の平均値を使用することができる。
(先物外国為替契約等がある外貨建資産・負債の換算)
17-2-6 法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》に規定する「資産又は負債の金額」又は令第 122条《先物外国為替契約により発生時の外国通貨の円換算額を確定させた外貨建資産・負債の換算等》に規定する「外貨建取引に伴って支払い、又は受け取る外国通貨の金額」の円換算額が先物外国為替契約等により確定しているときは、これらの規定に基づき、当該先物外国為替契約等により確定している円換算額をもってこれらの規定に規定する資産又は負債(以下この章において「外貨建資産・負債」という。)の円換算額とするのであるが、当該外貨建資産・負債につき先物外国為替契約等を締結しているかどうかは、原則として個々の外貨建資産・負債ごとに判定することに留意する。ただし、連結法人が、その取引の決済約定の状況等に応じ、包括的に先物外国為替契約等を締結しているような場合には、当該外貨建資産・負債に係る同項に規定する円換算額は、その予約額の全部又は一部を個々の取引に比例配分するなど合理的に振り当てて算出するものとする。
(注) 法第61条の8第2項の規定は、令第 122条の規定に優先して適用されることに留意する。
(外貨建資産等につき通貨スワップ契約を締結している場合の取扱い)
17-2-7 外貨建資産等につき規則第27条の11第1項第1号又は第2号《外貨建資産等の決済時の円換算額を確定させる先物外国為替契約等》のいずれかの要件を満たす同項に規定する「金銭の支払を相互に約する取引に係る契約」(以下17-2-7において「通貨スワップ契約」という。)を締結している場合の当該外貨建資産等に係る先物外国為替契約等により確定している円換算額(以下17-2-7において「通貨スワップ換算元本額」という。)は、当該通貨スワップ契約により元本の額として授受すべき本邦通貨の額とする。この場合、通貨スワップ契約により授受をする契約上の受取利子又は支払利子の総額は、利息法又は定額法に基づき各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に配分する。ただし、当該受取利子又は支払利子に係るスワップレート(当該受取利子又は支払利子に係る本邦通貨の額を当該利子の外国通貨表示の金額で除して計算した金額をいう。)が、当該連結法人が当該連結法人の主たる取引金融機関との間で為替予約をするとした場合のものと同等と認められるときは、当該通貨スワップ契約により授受をする契約上の受取利子又は支払利子の額を上記の配分額に代わる各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の利子相当額とすることができる。
(注) 外貨建資産等につき通貨スワップ契約によって生ずる換算差額相当額(当該外貨建資産等の取得時又は発生時の為替相場による円換算額と通貨スワップ換算元本額との差額をいう。)は、法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第61条の10第1項から第3項まで《為替予約差額の配分》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合のこれらの規定を含む。)により各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に配分することに留意する。
(2以上の先物外国為替契約等を締結している場合の契約締結日の特例)
17-2-8 連結法人が当該連結事業年度において外貨建資産等につき2以上の先物外国為替契約等を締結した場合において、当該2以上の先物外国為替契約等の締結した日の属する月が異なるときは、当該2以上の先物外国為替契約等のすべてにつき当該連結事業年度開始の日以後6月(当該連結事業年度の月数が12月に満たない場合には、6に当該連結事業年度の月数を乗じてこれを12で除して計算した月数)を経過した日において締結したものとして法第61条の10第1項から第3項まで《為替予約差額の配分》の規定を適用することができるものとする。
(注)1 当該月数は、暦に従って計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とする。
2 令第 122条の9第3項《為替予約差額の月数あん分の特例》の規定に基づく月数によるあん分は継続適用を前提として認められているものであるが、本文の適用は、同項の規定の適用を受けている場合に限られないことに留意する。
(期末時換算法-為替差損益の一括表示)
17-2-9 連結法人が外貨建資産等につき期末時換算法を選定している場合の為替差損益を個々の外貨建資産等の額に加算又は減算しないで、いわゆる洗替方式により売掛金、借入金等のそれぞれの項目に一括して加算又は減算している場合であっても、その計算を認めるものとする。この場合、貸倒引当金の計算の基礎となる金銭債権の額は、当該金銭債権の額に対応する為替差損益に相当する金額を加算又は減算して計算することに留意する。
(為替相場の著しい変動があった場合の外貨建資産等の換算)
17-2-10 連結事業年度終了の時において有する個々の外貨建資産等(令第 122条の3《外国為替の売買相場が著しく変動した場合の外貨建資産等の期末時換算》に規定する外貨建資産等に限る。以下17-2-10において同じ。)につき次の算式により計算した割合がおおむね15%に相当する割合以上となるものがあるときは、当該外貨建資産等については、同条に規定する「外国為替の売買相場が著しく変動した場合」に該当するものとして当該外貨建資産等の額(帳簿価額として付されている金額の外貨表示金額をいう。)につき同条の規定に基づく円換算を行うことができる。
(算式)
(注)1 算式中の「当該連結事業年度終了の日の為替相場」は、17-2-5に定めるところによる。
2 多数の外貨建資産等を有するため、個々の外貨建資産等ごとに算式による割合の計算を行うことが困難である場合には、外国通貨の種類を同じくする外貨建債権、外貨建債務、外貨建有価証券、外貨預金又は外国通貨のそれぞれの合計額を基礎としてその計算を行うことができるものとする。
3 外国通貨の種類を同じくする外貨建資産等につき上記の算式により計算した割合がおおむね15%に相当する割合以上となるものが2以上ある場合には、その一部についてのみ同条の規定による円換算を行うことはできないことに留意する。
(適正な円換算をしていない場合の処理)
17-2-11 連結法人が当該連結事業年度終了の時において有する外貨建資産等につきそのよるべきものとされる方法による円換算を行っていない場合には、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上そのよるべきものとされる方法により換算した金額とその帳簿価額との差額は、益金の額又は損金の額に算入する。ただし、その差額を損金の額に算入しなかったことにつき法第 129条第2項《更正に関する特例》の規定の適用があると認められる場合には、この限りでない。
(期限徒過の外貨建債権)
17-2-12 外貨建債権で既にその支払期限を経過し支払が延滞しているものは、短期外貨建債権に該当しないものとして取り扱う。
(自社発行の新株予約権証券及び転換社債型新株予約権付社債)
17-2-13 自社発行の外貨建ての新株予約権証券及び行使期間満了前の外貨建ての1-7-5《外貨建ての転換社債型新株予約権付社債の権利行使があった場合の連結個別資本積立金額》に定める転換社債型新株予約権付社債の円換算に当たっては、原則としてこれらのものを金銭債務である外貨建債務に該当しないものとして取り扱うのであるが、当該転換社債型新株予約権付社債(償還日が当該連結事業年度終了の日の翌日から1年以内に到来するものに限る。)の行使価格が、当該連結事業年度終了の時にその行使の対象となる株式の相場を大きく上回り、行使の請求の可能性がないと認められる場合には、 当該転換社債型新株予約権付社債は、短期外貨建債務(令第 122条の4第1項第1号《短期外貨建債権債務》に規定する短期外貨建債務をいう。)に該当することに留意する。
(注) 連結法人の保有する外貨建ての新株予約権証券及び転換社債型新株予約権付社債は、 外貨建有価証券に該当する。
(届出の効力)
17-2-14 連結法人が令第 122条の4《外貨建資産等の期末換算方法の選定の方法》の規定に基づき同条各号に掲げる外貨建資産等の区分ごとに外貨建資産等の換算の方法を届け出ている場合において、その届出後届出をしたいずれかの区分に属する外貨建資産等を有しないこととなっても、当該区分に属する外貨建資産等の換算方法に係る届出は引き続きその効力を有することに留意する。
令第 122条の10第1項《為替予約差額の一括計上の方法の選定の手続》の規定に基づき、法第61条の10第3項《為替予約差額の一括計上》の方法を外国通貨の種類の異なるごとに届け出ているときも、同様とする。
(注) その後当該区分又は当該外国通貨の種類に属する外貨建資産等の取得又は発生があった場合において、その外貨建資産等につき当該届出による方法以外の方法により円換算等をしようとするときは、令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第 122条の6《外貨建資産等の期末換算の方法の変更の手続》又は令第 122条の11《為替予約差額の一括計上の方法の変更の手続》の規定の適用がある。
(換算方法の変更申請があった場合等の「相当期間」)
17-2-15 いったん採用した外貨建資産等の換算の方法は特別の事情がない限り継続して適用すべきものであるから、連結法人の現によっている換算の方法を変更するために令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第 122条の6第2項《外貨建資産等の期末換算の方法の変更の手続》の規定に基づいて連結親法人がその変更承認申請書を提出した場合において、その現によっている換算の方法を採用してから3年を経過していないときは、その変更が合併や分割に伴うものである等その変更することについて特別な理由があるときを除き、同条第3項の相当期間を経過していないときに該当するものとする。
令第 155条の6の規定により読み替えて準用される令第 122条の11《為替予約差額の一括計上の方法の変更の手続》の規定に基づきその選定した方法を変更する場合も、同様とする。
(注) その変更承認申請書の提出がその現によっている換算の方法を採用してから3年を経過した後になされた場合であっても、その変更することについて合理的な理由がないと認められるときは、その変更を承認しないことができる。
(先物外国為替契約等の解約等があった場合の取扱い)
17-2-16 法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同項の規定を含む。以下17-2-16において同じ。)の適用を受けた外貨建資産等に係る先物外国為替契約等につき解約(解除を含む。以下17-2-16において同じ。)があった場合には、その解約があった日の属する連結事業年度(以下17-2-16において「解約連結事業年度」という。)の連結所得の金額の計算上、当該外貨建資産等に係る為替予約差額(法第61条の10第1項《為替予約差額の配分》に規定する為替予約差額(以下17-2-18において「為替予約差額」という。)をいい、令第 122条の9第1項の表の第1号上欄に掲げる場合にあっては、当該為替予約差額から同号中欄のイに規定する差額に相当する金額を控除した金額をいう。)を当該先物外国為替契約等の締結の日(その日が当該外貨建資産等の取得の日又は発生の日前である場合には、その取得の日又は発生の日)から当該外貨建資産等に係る債権債務の当初の支払の日までの期間の月数又は日数で除し、これに解約連結事業年度開始の日から当該先物外国為替契約等の解約の日までの期間の月数又は日数を乗じて計算した金額に相当する金額を益金の額又は損金の額に算入する。
(注) 月数又は日数は、暦に従って計算し、月数につき1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とする。
(外貨建資産等に係る契約の解除があった場合の調整)
17-2-17 法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同項の規定を含む。)の適用を受けた外貨建資産等の取得又は発生に係る契約につき解除があった場合(再売買と認められる場合を除く。)には、その解除があった日の属する連結事業年度(以下17-2-17において「契約解除連結事業年度」という。)の連結所得の金額の計算上、当該契約解除連結事業年度の前連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)までの間に当該外貨建資産等につき法第81条の3第1項の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第61条の10第1項から第3項まで《為替予約差額の配分》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同条第1項から第3項までの規定を含む。)により益金の額又は損金の額に算入した金額の合計額を損金の額又は益金の額に算入する。
(外貨建資産等の支払の日等につき繰延べ等があった場合の取扱い)
17-2-18 法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の令第 122条の9第1項《為替予約差額の配分》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同項の規定を含む。)の適用を受ける外貨建資産等に係る債権債務の支払の日又は当該外貨建資産等に係る先物外国為替契約等の履行の日につき繰延べ(繰上げを含む。以下17-2-18において「繰延べ等」という。)が行われた場合においても当該外貨建資産等につき円換算額(当該繰延べ等により円換算額に異動が生じたときは、異動後の円換算額)が確定しているときは、その繰延べ等が行われた日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下17-2-18において「繰延年度」という。)以後の連結事業年度の連結所得の金額の計算上、当該外貨建資産等に係る為替予約差額の残額(当該外貨建資産等に係る為替予約差額から当該繰延年度の前連結事業年度までの各連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)において益金の額又は損金の額に算入した金額を控除して得た残額をいい、その繰延べ等に伴い当該外貨建資産等に係る先物外国為替契約等の内容が変更されたことにより、その円換算額に異動が生じたときは、異動後の円換算額に基づく再計算後の残額をいう。以下17-2-18において同じ。)を当該繰延年度開始の日から当該外貨建資産等に係る債権債務の繰延べ等後の支払の日までの期間の月数又は日数で除し、これに当該連結事業年度の月数又は日数を乗じて計算した金額に相当する金額を益金の額又は損金の額に算入する。
(注)1 当該連結事業年度が当該外貨建資産等に係る債権債務の支払の日の属する連結事業年度である場合には、当該為替予約差額の残額から当該連結事業年度の前連結事業年度(繰延年度以後の連結事業年度に限り、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)までの間に益金の額又は損金の額に算入した金額を控除して得た金額に相当する金額を益金の額又は損金の額に算入することに留意する。
2 月数又は日数は、暦に従って計算し、月数につき1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とする。
3 外貨建資産等に係る債権債務の支払の日又は当該外貨建資産等に係る先物外国為替契約等の履行の日につき繰延べ等が行われたことに伴い、当該外貨建資産等に係る円換算額が確定しないこととなった場合には、17-2-16の取扱いによる。
第18章 特殊な損益の計算
第1節 特殊な団体の損益
第1款 組合事業による損益
(任意組合から受ける利益等の帰属の時期)
18-1-1 連結法人が組合員となっている組合の利益金額又は損失金額のうち組合契約又は民法第 674条《損益分配の割合》の規定により利益の分配を受けるべき金額又は損失の負担をすべき金額は、たとえ現実に利益の分配を受け又は損失の負担をしていない場合であっても、当該組合の計算期間の終了の日の属する当該連結法人の連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、組合が毎年1回以上一定の時期において組合事業の損益を計算しない場合には、当該連結法人の各連結事業年度の期間に対応する組合事業の損益を計算して当該連結法人の当該連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(注) 同業者の組織する団体で営業活動を行わないものは、この取扱いの適用はない。
(任意組合から分配を受ける利益等の額の計算)
18-1-2 連結法人が、組合員となっている組合から分配を受けるべき利益の額又は負担すべき損失の額を18-1-1により各連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する場合において、次のいずれか一の方法により継続してその利益の額又は損失の額を計算しているときは、これを認める。
(1) 当該組合について計算される利益の額又は損失の額をその分配割合に応じて各組合員に分配又は負担させることとする方法
この方法による場合には、各組合員は、当該組合の取引等について、受取配当等の益金不算入、所得税額の控除、引当金の繰入れ、準備金の積立て等の規定の適用はない。
(2) 当該組合の収入金額、その収入金額に係る原価の額及び費用の額並びに損失の額をその分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法
この方法による場合には、各組合員は、当該組合の取引等について受取配当等の益金不算入、所得税額の控除等の規定の適用はあるが、引当金の繰入れ、準備金の積立て等の規定の適用はない。
(3) 当該組合の収入金額、支出金額、資産、負債等をその分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法
(注) 1
(1) の方法による場合において、当該組合の支出金額のうちに寄附金又は交際費の額があるときは、当該組合を資本又は出資を有しない法人とみなして法第37条《寄附金の損金不算入》又は措置法第61条の4《交際費等の損金不算入》の規定を適用するものとしたときに計算される利益の額又は損失の額を基としてその分配又は負担させる金額の計算を行うものとする。
2 (2) 又は(3) の方法による場合には、組合員に係るものとして計算される収入金額、支出金額、資産、負債等の額は、組合員における固有のこれらの金額に含めないで別個に計算することができる。
(匿名組合契約に係る損益)
18-1-3 連結法人が匿名組合員である場合におけるその匿名組合営業について生じた利益の額又は損失の額については、現実に利益の分配を受け、又は損失の負担をしていない場合であっても、匿名組合契約によりその分配を受け又は負担をすべき部分の金額をその計算期間の末日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入し、連結法人が営業者である場合におけるその匿名組合営業について生じた利益の額又は損失の額については、その利益の額又は損失の額から匿名組合契約により匿名組合員に分配すべき利益の額又は負担させるべき損失の額を控除した残額を当該連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(注)
18-1-2の (注) 1は、この取扱いを適用する場合について準用する。
第2款 従業員団体の損益
(福利厚生等を目的として組織された従業員団体の損益の帰属)
18-1-4 連結法人の役員又は使用人をもって組織した団体が、これらの者の親ぼく、福利厚生に関する事業を主として行っている場合において、その事業経費の相当部分を当該連結法人が負担しており、かつ、次に掲げる事実のいずれか一の事実があるときは、原則として、当該事業に係る収益、費用等については、その全額を当該連結法人の収益、費用等に係るものとして計算する。
(1) 当該連結法人の役員又は使用人で一定の資格を有する者が、その資格において当然に当該団体の役員に選出されることになっていること。
(2) 当該団体の事業計画又は事業の運営に関する重要案件の決定について、当該連結法人の許諾を要する等当該連結法人がその業務の運営に参画していること。
(3) 当該団体の事業に必要な施設の全部又は大部分を当該連結法人が提供していること。
(従業員負担がある場合の従業員団体の損益帰属の特例)
18-1-5 18-1-4に該当する従業員団体について、その団体等の損益等が、例えば、当該連結法人から拠出された部分と構成員から収入した会費等の部分とであん分する等18-1-2の方法に準じて適正に区分経理されている場合には、18-1-4にかかわらずその区分されたところにより当該連結法人に帰属すべき収益、費用等の額を計算することができる。
第2節 協同組合等の事業分量配当等及び特別の賦課金
第1款 事業分量配当等
(事業分量配当の対象となる剰余金)
18-2-1 法第61条第1項第1号《事業分量分配金》に規定する事業分量に応ずる分配は、その剰余金が連結親法人である協同組合等と組合員その他の構成員との取引及びその取引を基礎として行われた取引により生じた剰余金から成る部分の分配に限るのであるから、固定資産の処分等による剰余金、自営事業を営む協同組合等の当該自営事業から生じた剰余金のように組合員その他の構成員との取引に基づかない取引による剰余金の分配は、これに該当しないことに留意する。
(注) 事業分量配当又は従事分量配当に該当しない剰余金の分配は、組合員等については配当に該当する。
(従事分量配当の対象となる剰余金)
18-2-2 法第61条第1項第2号《従事分量配当》に規定する従事分量に応ずる分配は、その剰余金が農業、漁業又は林業の経営により生じた剰余金から成る部分の分配に限るのであるから、固定資産の処分等により生じた剰余金の分配は、これに該当しないことに留意する。
(漁業協同組合等の組合員以外の者に対する剰余金の分配)
18-2-3 連結親法人である漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会が組合員以外の者に対して支出する剰余金の分配については、法第61条第1項《協同組合等の事業分量配当等の損金算入》の規定の適用がないのであるが、その分配金が、当該者の事業の利用量に応じ、かつ、組合員に対する分配金とおおむね同様の基準により計算されている等のため、事業の利用者に対する利用料等の割戻しと認められる場合には、当該分配金相当額は、その計算の基礎となった剰余金の生じた連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(農業協同組合の組合員の家族等に対する剰余金の分配)
18-2-4 連結親法人である農業協同組合が農業協同組合法第10条第1項第3号《組合員の貯金等の受入》に掲げる事業に関し、同条第29項《利用制限の除外》の規定により組合員とみなされる者に対し当該者の事業の利用量に応じて行う剰余金の分配については、組合員に対して事業の利用量に応じて行う剰余金の分配と同様に法第61条第1項《協同組合等の事業分量配当等の損金算入》の規定の適用があるものとする。
(消費生活協同組合剰余金割戻積立金の損金算入)
18-2-5 連結親法人である消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会(以下この款において「消費生活協同組合等」という。)が消費生活協同組合財務処理規則(以下この款において「財務処理規則」という。)第23条第8項《利用分量割戻金の積立》の規定により積み立てた利用分量割戻金(以下この款において「割戻積立金」という。)は、当該割戻積立金が各組合員別に計算されているといないとにかかわらず、その積み立てた連結事業年度の損金の額に算入する。ただし、その積み立てた金額のうちに同条第11項《割戻積立金の利益算入》の規定により利益金に算入した割戻積立金から成る部分の金額が含まれている場合には、当該含まれている部分の金額は、損金の額に算入しない。
(割戻積立金の益金算入)
18-2-6 割戻積立金を積み立てている連結親法人である消費生活協同組合等が次に掲げる場合に該当することとなった場合には、その積み立てている割戻積立金のうち次に掲げる金額に相当する金額は、その該当することとなった日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(1) 財務処理規則第23条第9項《割戻しの期限》の規定による割戻積立金の取崩しを行わずに利用分量割戻しを行った場合 その利用分量割戻しをした金額
(2) 割戻積立金を利用分量割戻しの支出以外の目的で取り崩した場合 その取り崩した金額
(3) 割戻積立金を積み立てた連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)終了の日の翌日から2年を経過した日の前日において当該割戻積立金残額がある場合 その割戻積立金残額
(利用分量割戻しの基準に該当するかどうかの判定)
18-2-7 財務処理規則第23条第7項《利用分量割戻しの基準》に規定する「領収書等によって確認することのできる利用分量の総額が当該組合の事業総額の5割以上」であるかどうかは、その事業(同項かっこ書に規定する事業別に計算する場合には、それぞれの事業)のうちの一部について割戻しをしないものがあっても、その割戻しをしない部分の利用分量を利用分量の総額及び事業総額に含めて判定するのであるが、その事業のうち米穀類の販売業又はたばこの販売業についてその利用分量分配をしない場合には、その部分の利用量を利用分量の総額及び事業総額の双方から除外して計算することができる。
(領収書等の交付の省略)
18-2-8 組合員の利用の対価を組合員の勤務先の給与から差引決済する等掛売りの方法を採用している等のため、領収書等を組合員に交付しないでも組合員の利用量が確認できることとなっている連結親法人である消費生活協同組合等については、売掛台帳等により確認された利用分量により財務処理規則第23条第7項《利用分量割戻しの基準》の基準の判定及び第23条第10項《利用分量の確認》の利用分量の確認を行うことができる。
第2款 特別の賦課金
(協同組合等の特別の賦課金)
18-2-9 連結親法人である協同組合等が、組合員に対し教育事業又は指導事業の経費の支出に充てるために賦課金を賦課した場合において、その賦課の目的となった事業の全部又は一部が翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下18-2-9において同じ。)に繰り越されたため当該賦課金につき剰余が生じたときにおいても、その剰余の額の全部又は一部をその目的に従って翌連結事業年度中に支出することが確実であるため、その支出することが確実であると認められる部分の金額を当該連結事業年度において仮受金等として経理したときは、これを認める。
第3節 会社更生法又は更生特例法の適用に伴う損益
第1款 更生会社等の損益等
(更生会社等である連結親法人の連結事業年度)
18-3-1 更生会社等(会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(以下この節において「更生特例法」 という。)の適用を受けている法人をいう。以下この節において同じ。)である連結親法人の連結事業年度は、会社更生法第 269条第2項《事業年度の特例》又は更生特例法第 149条第2項若しくは第 160条の 139第2項《事業年度の特例》の規定により、更生計画認可の時又は更生手続終了の日に終了するのであるが、この場合において、更生手続終了の日とは、次に掲げる日をいうものとする。
(1) 会社更生法第51条《開始決定の取消》又は更生特例法第40条若しくは第 160条の23《開始決定の取消し》の規定による更生手続開始決定の取消しの決定があった日
(2) 会社更生法第 232条第1項《更生計画の認否》又は更生特例法第 123条第1項若しくは第 160条の 106第1項《更生計画の認否》の規定による更生計画の不認可の決定があった日
(3) 会社更生法第 273条から第 274条まで《更生計画認可前の廃止》又は更生特例法第 153条若しくは第 160条の 143及び第 154条若しくは第 160条の 144《更生計画認可前の廃止》の規定による更生手続の廃止の決定があった日
(注) 更生計画認可の決定後における更生会社等である連結親法人の連結事業年度は、会社更生法第 272条《更生手続の終結》若しくは更生特例法第 152条若しくは第 160条の 142《更生手続の終結》の規定による更生手続の終結の決定又は会社更生法第 277条《更生計画認可後の廃止》若しくは更生特例法第 155条若しくは第 160条の 145《更生計画認可後の廃止》の規定による更生手続の廃止の決定とは関係なく、当該連結親法人の定款に定める事業年度終了の日において終了することに留意する。
(財産の評価換えによる益金)
18-3-2 会社更生法第 269条第3項《債務免除益等の課税の特例》又は更生特例法第 149条第3項若しくは第 160条の 139第3項《債務免除益等の課税の特例》に規定する財産の評価換えによる益金とは、会社更生法第 178条《財産目録及び貸借対照表の作成》及び第 181条《その後の報告等》又は更生特例法第90条若しくは第 160条の71《財産の価額の評定等》の規定により更生手続開始の時並びに更生計画認可の時及び裁判所の定める時期において作成される貸借対照表に記載された会社更生法第 177条《財産の価額の評定》又は更生特例法第90条若しくは第 160条の71の規定による資産の評価額を基礎として計算される評価益(当該貸借対照表に記載された資産の評価額を基礎として計算される評価損がある場合には、当該評価損に相当する金額を控除した金額をいう。)をいうのであるから留意する。
(債務の消滅による益金)
18-3-3 会社更生法第 269条第3項《債務免除益等の課税の特例》又は更生特例法第 149条第3項若しくは第 160条の 139第3項《債務免除益等の課税の特例》に規定する債務の消滅による益金には、認可決定を受けた更生計画に定められた債務の免除又は切捨てによるもののほか、更生債権として指定された期限までに裁判所に届出がなかったため債務が消滅したことによる益金も含まれるが、更生計画の定めるところにより更生債権者等に交付した新株引受権又は出資引受権若しくは基金の拠出の引受権について払込期日までに払込みがなかったため債務が消滅したことによる益金は含まれない。
(更生会社等である連結法人が受ける私財提供)
18-3-4 更生会社等である連結法人がその認可された更生計画に基づき役員若しくは株主等である者又はこれらであった者から金銭その他の資産の贈与を受けることとなった場合には、その贈与による益金の額は、会社更生法第 269条第3項《債務免除益等の課税の特例》又は更生特例法第 149条第3項若しくは第 160条の 139第3項《債務免除益等の課税の特例》に規定する債務の消滅による益金の額に含まれるものとする。
(更生手続開始前の連結欠損金の損金算入)
18-3-5 更生会社等である連結法人につき会社更生法第 269条第3項《債務免除益等の課税の特例》又は更生特例法第 149条第3項若しくは第 160条の 139第3項《債務免除益等の課税の特例》の規定を適用する場合において、財産の評価換え又は債務の消滅による益金(以下18-3-5において「評価益等」という。)の生じた日の属する連結事業年度に繰り越された既往の連結欠損金額のうちに更生手続開始前から繰り越されたもの(法第81条の9第1項《連結欠損金の繰越し》の規定の適用を受けるものを除く。)があるときは、当該連結欠損金額のうち当該連結法人に帰せられる金額は、当該評価益等の金額の範囲内で損金の額に算入するものとする。
第2款 債権者等の損益
(債権の弁済に代えて取得した新株又は出資若しくは基金の取得価額)
18-3-6 更生会社等に対して債権を有する連結法人(以下この款において「債権法人」という。)が、更生計画の定めるところにより、新たに払込みをしないで当該更生会社等の新株(新法人の株式を含む。)の取得又は出資若しくは基金の拠出(新法人の出資又は基金の拠出を含む。)の引受けをした場合には、その取得又は引受けの時における価額を当該新株又は出資若しくは基金の取得価額とする。
(注) 「新法人」とは、更生計画の定めるところにより設立された法人で、合併法人、分割承継法人、被現物出資法人若しくは被事後設立法人又は株式移転により設立された法人以外の法人をいう。
(非更生債権等の処理)
18-3-7 債権法人が更生会社等に対して有する債権で指定された期限までに裁判所に届け出なかったため更生債権とされなかったものについては、その金額を更生計画認可の決定のあった日において貸倒れとすることができる。
更生計画の定めるところにより交付を受けた新株引受権又は出資引受権若しくは基金の拠出の引受権について払込期日までに払込みをしなかったことにより消滅することとなった債権についても、同様とする。
第19章 税額の計算
第1節 連結同族会社の特別税率
第1款 特別税率の適用を受ける連結同族会社の範囲
(特別税率を適用されない同族会社の範囲)
19-1-1 法第81条の13第1項《連結同族会社の特別税率》の規定の適用に当たり、法第67条第1項《同族会社の特別税率》に規定する「同族会社でない法人」には、非同族会社を同族会社であるかどうかの判定の基礎となる株主等に選定したことによって同族会社となる場合のその同族会社(以下19-1-1において「非同族会社の子会社」という。)、当該非同族会社の子会社を同族会社であるかどうかの判定の基礎となる株主等に選定したために同族会社となる場合のその同族会社(以下19-1-1において「非同族会社の孫会社」という。)、当該非同族会社の孫会社を同族会社であるかどうかの判定の基礎となる株主等に選定したために同族会社となる場合のその同族会社等非同族会社の直接又は間接の同族会社も含まれる。
(相互に株式を持ち合っている場合の連結留保金課税)
19-1-2 同族会社である連結親法人が他の法人と相互に株式又は出資を持ち合っており、当該他の法人を当該連結親法人の同族会社の判定の基礎となる株主等に含めて判定する場合において、次のいずれにも該当するときは、当該連結親法人について法第81条の13第1項《連結同族会社の特別税率》の規定を適用する。
(1) 当該連結親法人が当該他の法人以外の法人で法第67条第1項《同族会社の特別税率》の「同族会社でない法人」に該当するものを同族会社の判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合において同族会社となること。
(2) 当該他の法人が当該連結親法人以外の法人で同項「同族会社でない法人」に該当するものを同族会社の判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合において同族会社となること。
第2款 連結留保金額の計算
(賞与を受ける者ごとに債務の確定していない賞与の処分)
19-1-3 法第81条の13第2項《連結留保金額》の当該連結事業年度の期間に係る確定した決算において利益の処分による経理をした賞与のうちにその利益の処分の確定した日において当該賞与を受ける者ごとに債務の確定していないものの額は、当該連結事業年度における連結利益積立金額に含まれることとし、当該連結事業年度後の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下19-1-3において同じ。)において当該賞与を受ける者ごとに債務が確定したときは、その確定した日の属する連結事業年度の利益処分において当該賞与の額の社外流出処分があったものとする。
(還付金額が連結所得等の金額に算入される時期)
19-1-4 法第81条の13《連結同族会社の特別税率》の規定を適用する場合において、法第81条の29若しくは第78条《所得税額等の還付》の規定による所得税額等の還付金額又は法第81条の31若しくは第80条《連結欠損金繰戻しによる還付等》の規定による法人税額の還付金額は、その額が確定した日の属する連結事業年度の連結所得等の金額に含まれる。
(注) 所得税額等の還付金額で、確定申告によるものはその連結確定申告書又は確定申告書の提出の日、更正によるものはその更正のあった日にその額が確定する。
(期末連結利益積立金額)
19-1-5 連結法人が連結事業年度の中途において利益の配当又は剰余金の分配を行い連結個別利益積立金額が減算した場合又は連結法人の当該連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において損金の額に算入されなかった償却超過額、引当金、準備金の繰入額等を当該連結事業年度において損金の額に算入した場合には、その減算した金額又は損金の額に算入した金額は、法81条の13第3項第3号《積立金基準額》に規定する「当該連結事業年度の連結所得等の金額に係る部分の金額」に該当する。したがって、当該連結事業年度終了の時における連結利益積立金額は、合併、分割、資本若しくは出資の減少、株式の消却、自己の株式の取得、社員の退社若しくは脱退又は連結法人による他の連結法人の株式の譲渡等があったことにより法第2条第18号の2《連結利益積立金額》の規定に基づき加算又は減算する連結個別利益積立金額がある場合を除き、連結親法人事業年度終了の日の属する各連結法人の連結事業年度開始の時のそれぞれの連結個別利益積立金額の合計額と同額となることに留意する。
(連結利益積立金額がマイナスである場合の連結留保金額の計算)
19-1-6 法第81条の13第3項《連結留保控除額》の規定により連結留保控除額を計算する場合において、当該連結事業年度終了の時における連結親法人の資本の金額又は出資金額の25%相当額から控除すべきその時における連結利益積立金額が負(マイナス)であるときは、同項第3号に規定する金額は当該資本の金額又は出資金額の25%相当額とその負(マイナス)の金額との差額に相当する金額となることに留意する。
(注) 例えば、連結親法人の資本の金額の25%相当額が 1,000万円で、連結利益積立金額がマイナスの 500万円である場合には、同号に規定する金額は 1,500万円となる。
(連結留保金額の端数計算)
19-1-7 法第81条の13《連結同族会社の特別税率》の規定を適用する場合における端数計算については、次による。
(1) 課税の対象となる連結留保金額に 1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。
(2) 法第15条の2第1項《連結事業年度の意義》に規定する連結親法人事業年度の期間が1年に満たない場合において、年1億円に相当する金額に 1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。ただし、当該切り捨てられる端数の金額が(1) により切り捨てられる端数の金額より多いときは、これを切り上げる。
第2節 所得税額の控除
(利払期前の公債等を売却した場合の控除)
19-2-1 連結法人が利払期前の公債又は社債を売却した場合において、その所有した期間の利子に対する所得税に相当する金額を事実上負担したときにおいても、当該連結法人が所得税を納付したのではないから、当該所得税に相当する金額は、連結所得に対する法人税額からは控除しない。
(名義書換え失念株の配当に対する所得税の控除)
19-2-2 連結法人が、その有する株式を譲渡した場合において、譲受人が名義書換えをしなかったため当該株式に係る利益の配当の額でその譲渡後に行われた配当決議に係るものを受けたときは、当該利益の配当の額は株主たる地位に基づいて受けたものではないから、これについて課された所得税の額については、当該連結法人において法第81条の14《連結事業年度における所得税額の控除》の規定の適用はないものとする。ただし、配当権利落後配当決議の日までの間に譲渡した株式につき当該配当決議に係る利益の配当の額を受けたときにおける当該利益の配当の額について課された所得税の額については、この限りでない。
(未収利子又は未収配当等に対する所得税の控除)
19-2-3 連結法人が各連結事業年度終了の日までに支払を受けていない法第81条の14《連結事業年度における所得税額の控除》に規定する利子及び配当等を当該連結事業年度の確定した決算において収益として計上し、当該利子及び配当等(利子等については、当該連結事業年度終了の日までにその利払期の到来しているものに限る。)につき納付すべき所得税の額を当該連結事業年度の法人税の額から控除し、又はその控除しきれない額に相当する所得税の還付を請求した場合には、その控除又は請求を認める。
(支払請求に基づき支払った所得税の控除)
19-2-4 連結法人がその連結事業年度開始の日前に支払を受けた法第81条の14《連結事業年度における所得税額の控除》に規定する利子及び配当等に対する所得税に相当する金額につき、所得税法第 222条《不徴収税額の支払金額からの控除及び支払請求等》の規定による控除又は支払の請求を受けた場合におけるその控除された又はその請求に対し支払をした所得税の額については、その控除又は支払をした日の属する連結事業年度又は事業年度において、法第81条の14又は第68条《所得税額の控除》の規定を適用する。
(1年決算法人からの配当に係る所得税控除額の所有期間あん分)
19-2-5 連結法人が、商法第 293条ノ5第1項《中間配当》、資産の流動化に関する法律第 102条第1項《中間配当》又は旧資産流動化法第 102条第1項《中間配当》の規定によりその定款において中間配当をする旨を定めている法人から利益の配当の支払を受けた場合における当該利益の配当に係る令第 155条の26第2項《連結法人税額から控除する所得税額の計算》に規定する「配当等の計算の基礎となった期間」は、当該中間配当をする旨を定めている法人が当該利益の配当をした事業年度において中間配当の支払をしなかった場合であっても、同項に規定する一定の日の翌日から当該連結事業年度終了の日までの期間となることに留意する。
(国外公社債等の利子等、国外投資信託等の配当等及び国外株式の配当等に係る所得税控除額の所有期間あん分)
19-2-6 措置法第3条の3第2項《国外で発行された公社債等の利子所得の分離課税等》、同法第8条の3第2項《国外で発行された投資信託等の収益の分配に係る配当所得の分離課税等》又は同法第9条の2第1項《国外で発行された株式の配当所得の源泉徴収等の特例》の規定により課された国外公社債等の利子等、国外投資信託等の配当等及び国外株式の配当等に対する所得税の額について、法第81条の14《連結事業年度における所得税額の控除》の規定を適用する場合には、当該所得税の額のうち令第 155条の26第2項又は第3項《連結法人税額から控除する所得税額の計算》の規定により計算したその元本の所有期間に対応する部分の金額が控除の対象となることに留意する。
(利子計算期間の中途で記載又は記録された公社債に係る控除所得税額の計算)
19-2-7 措置法第8条第1項《金融機関等の受ける利子所得に対する源泉徴収の不適用》に規定する金融機関及び同条第2項に規定する証券業者等 (以下19-2-7及び19-2-10において「金融機関等」という。)が、同条第1項第1号に規定する振替口座簿に記載又は記録された公社債につき利子の支払を受ける場合において、当該公社債がその利子の計算期間の中途において取得され、かつ、記載又は記録されたものであるときは、連結所得に対する法人税の額から控除する所得税の額で当該公社債に係るものは、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1) 当該公社債の記載又は記録がその取得の日においてされたものである場合には、その利子の計算期間のうちその取得の日前の期間について課される所得税の額は、令第155条の26第2項かっこ書《元本を所有していなかった期間の所得税額の除外》の規定により、連結所得に対する法人税の額から控除する所得税の額に含めない。
(2) 当該公社債の記載又は記録がその取得の日後にされている場合には、連結所得に対する法人税の額から控除する所得税の額で当該公社債に係るものは、その利子の計算期間に係る利子に対する所得税の額を次のイに掲げる日数で除し、これにロに掲げる日数を乗じて計算した金額とする。
イ その利子の計算期間の開始の日からその記載又は記録がされた日の前日までの期間の日数
ロ その取得した日からその記載又は記録がされた日の前日までの期間の日数
(注)
金融機関等が措置法令第2条の2第5項《国外発行公社債等の利子等に対する源泉徴収の不適用》の規定により保管の委託をした同条第9項に規定する国外発行公社債等につき利子等の支払を受ける場合において、当該国外発行公社債等がその利子等の計算期間の中途において取得され、かつ、保管の委託がされたものであるときについても、同様とする。
(割引債に係る利子の計算期間)
19-2-8 連結法人がその有する割引債の償還 (買入消却を含む。)を受けた場合において、措置法第41条の12第4項《償還差益に対するみなし源泉所得税》の規定により償還時に徴収される所得税とみなされる額があるときは、措置法令第26条の11第1項《償還差益に対する所得税額の法人税額からの控除》及び令第 155条の26《連結法人税額から控除する所得税額の計算》の規定により連結所得に対する法人税の額から控除する所得税の額を計算するのであるが、この場合における当該割引債がいわゆる1年ものであるときは、同条第2項の「利子配当等の計算の基礎となった期間の月数」は、これを12月として計算するものとする。
(証券投資信託の収益の計算期間)
19-2-9 証券投資信託 (日々決算を行い、その都度その決算収益の全額を未払収益分配金勘定に振り替えることとされているものを除く。)の収益の分配に対する所得税額につき令第 155条の26第2項又は第3項《連結法人税額から控除する所得税額の計算》の規定を適用する場合におけるこれらの項の利子配当等の計算の基礎となった期間は、次の期間をいう。この場合、(4) の追加型証券投資信託と他の証券投資信託とは区分して同条第3項の規定を適用することができるものとする。
(1) 信託期間中における決算分配金の分配については、その計算期間。
(2) 信託の一部の解約による収益の分配については、当該信託の開始の日からその解約の日までの期間。ただし、信託約款により、各計算期間ごとのいわゆる収益分配可能額(収益調整金の原資に相当する部分を除く。)の全額をそれぞれ各計算期間に係る決算分配金として分配することを定めている証券投資信託(以下19-2-9において「追加型公社債投資信託等」という。)の第2計算期間以後の解約による収益の分配については、直前の決算分配金に係る計算期間の末日の翌日から当該解約の日までの期間。
(3) 信託の終了による収益の分配については、当該信託の開始の日から終了の日までの期間。ただし、追加型公社債投資信託等の終了による収益の分配については、直前の決算分配金に係る計算期間の末日の翌日から当該終了の日までの期間。
(4) 追加型証券投資信託(公社債投資信託を除く。)の収益の分配については、(1) から(3) までにかかわらず、(1) の分配は、当該信託の当該受益証券に係る設定日(追加設定の日を含む。以下19-2-9において「元本の設定日」という。)からその決算分配金に係る計算期間の末日までの期間(元本の設定日が当該決算分配金の計算期間の開始の日前である場合には、当該計算期間)、(2) の分配は、元本の設定日から信託の解約の日までの期間、(3) の分配は、元本の設定日から信託の終了の日までの期間。
(注)
日々決算を行い、その都度その決算収益の全額を未払収益分配金勘定に振り替えることとされている証券投資信託の収益の分配金について課された所得税の額は、常にその全額が同条第1項において読み替えて準用される令第 140条の2第1項第1号《法人税額から控除する所得税額の計算》に掲げる「その元本を所有していた期間に対応するものとして計算される所得税の額」に該当する。
(記載又は記録をされた公社債等がある場合の控除所得税額の簡便計算)
19-2-10 公債及び社債の利子並びに投資信託及び特定目的信託の収益の分配に係る所得税につき令第 155条の26第3項《控除所得税額の簡便計算》の規定により控除すべき所得税の額を計算する場合において、金融機関等の有する公債若しくは社債又は投資信託若しくは特定目的信託の受益証券のうちにその利子又は収益の分配の計算期間の中途において振替口座簿に記載若しくは記録をされたもの又は登録若しくは保管の委託をしたもの (19-2-7の適用を受けるものに限る。)があるときは、その記載若しくは記録をされ又は登録若しくは保管の委託をした公債若しくは社債又は投資信託若しくは特定目的信託の受益証券以外のものについて同項の規定を適用する。
(新株予約権付社債に係る新株予約権の行使により取得した株式の所有期間)
19-2-11 連結法人が、新株予約権付社債(利益の配当につき商法第 341条ノ3第1項《発行事項に関する決定》の規定によりその行使があった日の属する発行法人に係る事業年度の直前の事業年度終了の日に新株の発行があったものとみなすこととしているものに限る。)に係る新株予約権の行使により株式を取得した場合において、その行使をした日の属する当該発行法人の事業年度に係る利益の配当について課された所得税の額につき法第81条の14《連結事業年度における所得税額の控除》の適用を受けるときは、その新株の発行があったものとみなされた日(その日が当該新株予約権付社債の取得の日前である場合には、その取得の日)からその行使により取得した株式を所有していたものとして令第 155条の26《連結法人税額から控除する所得税額の計算》の規定を適用する。
(信用取引等による買付株式がある場合の控除所得税額の簡便計算)
19-2-12 配当等に係る所得税につき令第 155条の26第3項《控除所得税額の簡便計算》の規定により控除すべき所得税の額を計算する場合において、連結法人の有する株式のうちに証券取引法第 161条の2第1項《信用取引等における保証金の預託》の規定による信用取引又は発行日取引の方法により買付けをした株式でその決済が未了のものがあるときは、当該株式の数は令第155条の26第3項各号に規定する「元本の数」に含めないものとする。
(注)
連結法人が信用取引又は発行日取引の方法により買付けをした株式を現物で引き取ることによって決済をした場合は、当該株式をその買付けをした時から所有しているものとして令第155条の26第2項又は第3項の規定を適用することができる。
(連結法人税額から控除する所得税額の計算)
19-2-13 令第 155条の26第3項《控除所得税額の簡便計算》の規定による計算は、各連結法人が有する利子配当等のすべての元本について同項に規定する「3種類」及び「期間が1年を超えるものと1年以下のもの」ごとの6つに区分し、その区分に属するすべての元本について、その銘柄ごとに行うのであるから、例えば、同一の区分に属する株式を複数の連結法人が有する場合には、その一部の連結法人が有するもののみについて同項の規定を適用することはできないことに留意する。
第3節 外国税額の控除
第1款 通 則
(外国法人税の一部につき控除申告をした場合の取扱い)
19-3-1 連結法人が当該連結事業年度において納付する外国法人税の額 (法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》に規定する個別控除対象外国法人税の額に限る。以下19-3-1において同じ。)の一部につき同条の規定の適用を受ける場合であっても、法第81条の8第1項《連結法人税額から控除する外国税額の損金不算入》の規定により、すべての連結法人が当該連結事業年度において納付する外国法人税の額の全部が損金の額に算入されないことに留意する。
(注)
連結法人が当該連結事業年度において納付する外国法人税の一部につき法第81条の15の規定を適用し、他の外国法人税につき同条の規定を適用しないで損金の額に算入して申告した場合において、その申告をしたことが当該損金の額に算入した外国法人税につき同条第1項に規定する外国法人税に該当するかどうか明らかでなかったことによるものであると認められるときは、同条第17項に規定する「やむを得ない事情」があるものとして取り扱うことができる。
(使用人の範囲)
19-3-2 令第 155条の28第3項第2号《連結国外所得金額の計算》に規定する「使用人」の範囲については、次のことは次による。
(1) 使用人は、常用であると日々雇い入れるものであるとを問わないが、使用人兼務役員は含まれない。
(2) いわゆる駐在員事務所、買付事務所、情報収集事務所等で同号に規定する国外事業所等 (以下この節において「国外事業所等」という。)に該当しない施設に就労する使用人は、国外事業所等の使用人に該当しない。
(3) 国外事業所等を通じて行う事業に帰せられる国外源泉所得(同項に規定する国外源泉所得をいう。以下この節において同じ。)につき外国法人税を課さないこととしている国又は地域にある国外事業所等に就労する使用人は、国外事業所等の使用人に該当する。
(4) 法第 141条第3号《外国法人に係る各事業年度の所得に対する法人税の課税標準》に規定する代理人等に相当する者で国外に置かれているものは、国外事業所等の使用人に該当する。
(国外使用人割合の計算の特例)
19-3-3 令第 155条の28第3項第2号《連結国外所得金額の計算》に規定する国外使用人割合は、その連結事業年度終了の時における各連結法人の国外事業所等の使用人の数及び各連結法人の使用人の総数に基づいて計算するのであるが、各連結法人がこれらの人数につき、当該連結事業年度における延人員等当該連結事業年度において従事した使用人の数に基づく合理的な人数によっている場合には、各連結法人ごとに継続適用を条件としてこれを認める。
第2款 外国法人税の直接控除
(源泉徴収の外国法人税等)
19-3-4 我が国における利子、配当等に対する所得税のように、所得に代えて収入金額又はこれに一定の割合を乗じて計算した金額を課税標準として源泉徴収される税は、法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》に規定する外国法人税に含まれる令第 141条第2項第3号《外国法人税の範囲等》に掲げる税に該当するが、例えば、シンガポール共和国又はマレーシアにおける配当所得に対するいわゆる源泉控除のように、外国法人から利益の配当又は剰余金の分配 (以下この節において「配当等」という。)の支払を受けるに当たり、当該外国法人の当該配当等の額の支払の基礎となった所得の金額に対して課される外国法人税の額に充てるために当該配当等の額から控除される金額は、同号に掲げる税に該当しないことに留意する。
(注)
いわゆる源泉控除により配当等の額から控除される金額がある場合には、その控除後の金額が法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》に規定する配当等の額となることに留意する。
(外国税額控除の適用時期)
19-3-5 連結法人の法第81条の15第1項又は第2項《連結事業年度における外国税額の控除》の規定による外国税額の控除の適用時期については、各連結法人が外国法人税を納付することとなる日の属する連結事業年度となるのであるが、その適用時期を各連結法人がそれぞれ継続してその納付することが確定した外国法人税の額を費用として計上した日(その計上した日が外国法人税を納付した日その他の税務上認められる合理的な基準に該当する場合に限る。)の属する連結事業年度としている場合には、これを認める。
(予定納付等をした外国法人税についての税額控除の適用時期)
19-3-6 連結法人がいわゆる予定納付又は見積納付等(以下この節において「予定納付等」という。)をした外国法人税の額についても19-3-5に定める連結事業年度において法第81条の15第1項又は第2項《連結事業年度における外国税額の控除》の規定を適用することとなるのであるが、各連結法人が、それぞれ継続して、当該外国法人税の額をその予定納付等に係る事業年度の外国法人税について確定申告又は確定賦課等があるまでは仮払金等として経理し、その確定申告、確定賦課等があった日の属する連結事業年度をこれらの項に規定する外国税額の控除の適用時期としている場合には、これを認める。
(国外からの利子、配当等について送金が許可されない場合の外国税額の控除)
19-3-7 国外の者から支払を受ける利子、配当等又は使用料 (以下19-3-7において「国外からの利子、配当等」という。)につき、その送金が許可されないため、2-1-34《送金が許可されない利子、配当等の帰属時期の特例》によりその送金が許可されるまで収益計上を見合わせることとしている場合には、当該国外からの利子、配当等につき課される外国法人税の額については、その後送金が許可されたことその他の理由により当該国外からの利子、配当等の額を収益として計上することとなる日までは損金の額に算入しないものとし、かつ、法第81条の15第1項及び第2項《連結事業年度における外国税額の控除》の規定の適用はないものとする。
(注)
国外の者から支払を受ける配当等の額につき本文の取扱いを適用する場合には、同条第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の規定(法第69条第8項《外国税額の間接控除》の規定を含む。)の適用年度もその配当等の額を収益として計上することとなる日の属する連結事業年度以後の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)となることに留意する。
(租税条約による限度税率超過税額)
19-3-8 連結法人が我が国と租税条約を締結している国に源泉のある所得を有する場合において、当該所得につき当該租税条約に定める限度税率(租税条約において居住者又は内国法人に対する相手国の課税につき一定の税率又は一定の割合で計算した金額を超えないものとしている場合におけるその一定の税率又は一定の割合をいう。以下19-3-8において同じ。)を超える税率により外国法人税を課されたときは、当該外国法人税の額のうち限度税率によって計算した税額を超える部分の金額については、原則としてその還付を受けるまでは仮払金等として損金の額に算入しないものとし、かつ、法第81条の15第1項又は第2項《連結事業年度における外国税額の控除》の規定の適用はないものとする。
(連結国外所得金額の計算)
19-3-9 法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》に規定する連結控除限度個別帰属額の計算の基礎となる令第 155条の28第1項《連結控除限度額の計算》に規定する当該連結事業年度の連結国外所得金額(以下この節において「連結国外所得金額」という。)は、現地における外国法人税の課税上その課税標準とされた所得の金額そのものではなく、当該連結事業年度において生じた法第 138条《国内源泉所得》に規定する国内源泉所得(以下この節において「国内源泉所得」という。)以外の所得に係る当該連結事業年度の国外所得の金額 (当該連結事業年度において生じた国外源泉所得に係る所得の計算につき法(措置法その他法人税に関する法令で法以外のものを含む。)の規定を適用して計算した場合における当該連結事業年度の課税標準となるべき所得の金額をいう。)に令第155条の28第3項かっこ書及びただし書の規定による調整をした後の金額をいうことに留意する。
(連結国外所得金額の計算における連結欠損金の繰越控除の不適用)
19-3-10 連結国外所得金額は、法第81条の9《連結欠損金の繰越し》の規定を適用しないで計算したところの金額による。
(国際海上運輸業における運送原価の配賦)
19-3-11 国内及び国外にわたる船舶による運送の事業(以下19-3-11において「国際海上運輸業」という。)を営む連結法人の連結国外所得金額の計算上損金の額に算入する運送の原価の額は、原則として個々の運送ごとに計算するのであるが、その計算が困難であると認められる連結法人については、各連結法人ごとに継続して次の算式により計算した金額を当該運送の原価の額とすることができる。
(注) 1 算式の「当該連結事業年度の運送の原価の額の合計額」には、その運送のために要した費用の額のうち当該連結法人が2-2-10《運送収入に対応する原価の額》によりその支出の日の属する連結事業年度の損金として計算した金額が含まれる。
2 この運送原価の額の計算は連結法人ごとに行うのであるから、2以上の連結法人がこの方法により計算する場合に、当該2以上の連結法人の合計額をもって一括計算することはできない。
(販売費、一般管理費等の配賦)
19-3-12 当該連結事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(法に規定する引当金勘定への繰入額及び措置法に規定する準備金の積立額を除く。以下19-3-12において同じ。)のうち令第 155条の28第6項《連結国外所得金額の計算》の規定により読み替えて準用される令第 142条第6項《共通費用の配賦》に規定する共通費用(負債の利子を除く。以下19-3-14までにおいて「共通費用」という。)の額を同項の規定により国内源泉所得に係る所得を生ずべき業務 (以下この節において「国内業務」という。)と国外源泉所得に係る所得を生ずべき業務(以下この節において「国外業務」という。)とに配分する場合において、個々の費目ごとにその計算をすることが困難であると認められる連結法人については、原則として、各連結法人ごとに、すべての共通費用を一括して、当該各連結法人の当該連結事業年度の売上総利益の額 (利子、配当等及び使用料については、その収入金額とする。以下19-3-12において同じ。)のうちに国外業務に係る売上総利益の額の占める割合を用いて国外業務に係る損金の額として配分すべき金額を計算するものとする。
(注)
連結法人(金融及び保険業を主として営む連結法人を除く。)の国外業務に係る収入金額の全部又は大部分が利子、配当等又は使用料であり、かつ、当該連結法人の当該連結事業年度の個別所得金額(法第81条の18第1項《連結法人税の個別帰属額の計算》に規定する「個別所得金額」をいう。)のうちに個別国外所得金額(令第 155条の30第1号《連結控除限度個別帰属額の計算》に規定する「個別国外所得金額」をいう。)の占める割合が低いなどのため課税上弊害がないと認められる場合には、当該連結事業年度の販売費、一般管理費その他の費用のうち国外業務に関連することが明らかな費用(例えば国外の関連会社を管理する部門の人件費、国外の子会社への出向者に係る給与の較差補てん金等)のみが共通費用であるものとして国外業務に係る損金の額として配分すべき金額を計算することができる。
(負債利子の配賦)
19-3-13 当該連結事業年度において生じた負債の利子(社債発行差金の償却額、手形の割引料、貿易商社における輸入決済手形借入金の利息等を含む。以下19-3-13において同じ。)のうち国外事業所等における国外業務のために直接関連して生じた負債の利子 (以下19-3-13において「直接利子」という。)に該当するもの以外のもの (以下19-3-14までにおいて「共通利子」という。)の額については、原則として、その各連結法人の営む主たる事業が次のいずれに該当するかに応じ、それぞれ各連結法人ごとに次により国内業務と国外業務に適正に配分するものとする。
(1) 卸売業及び製造業 次の算式により計算した金額を国外業務に係る損金の額とする。
(2) 銀行業 次の算式により計算した金額を国外業務に係る損金の額とする。
(3) その他の事業 その事業の性質に応じ、(1)又は(2)に掲げる方法に準ずる方法により計算した金額を国外業務に係る損金の額とする。
(注) 1
算式の「国外業務に係る資産」及び「国外源泉所得の発生の源泉となる貸付金、有価証券等」には、当該連結事業年度において収益に計上すべき利子、配当等の額がなかった貸付金、有価証券等を含めないことができる。
2 算式の「当該連結事業年度の直前連結事業年度」が、連結事業年度に該当しない場合には「当該連結事業年度の直前事業年度」と読み替えて計算を行う。
3 算式の「総資産の帳簿価額」は、令第22条第1項第1号《株式等に係る負債の利子の計算》の規定の例により計算した金額に同号ホに規定する他の連結法人に支払う負債の利子の元本である負債の額に相当する金額を加算した金額による。
4 算式の「自己資本の額」は、確定した決算に基づく貸借対照表の資本の部に計上されている金額によるものとし、また、「固定資産の帳簿価額」は、当該貸借対照表に計上されている法第2条第22号《固定資産の定義》に規定する固定資産の帳簿価額による。
(確認による共通費用等の配賦方法の選択)
19-3-14 連結法人が、当該連結事業年度の共通費用の額又は共通利子の額のうち国外業務に係る損金の額として配分すべき金額を計算する場合において、19-3-12又は19-3-13によることがその連結法人の業務の内容等に適合しないと認められるときは、あらかじめ当該連結法人に係る連結親法人が所轄税務署長 (当該連結親法人が国税局の調査課所管法人である場合には、所轄国税局長)の確認を受けて、当該共通費用の額又は共通利子の額の全部又は一部につき収入金額、直接経費の額、資産の価額、使用人の数その他の基準のうちその業務の内容等に適合すると認められる基準によりその計算をすることができるものとする。
(引当金の繰入額等の配賦)
19-3-15 法に規定する引当金勘定への繰入額及び措置法に規定する準備金(特別償却準備金を含む。以下19-3-16までにおいて同じ。)の積立額のうち連結国外所得金額の計算上損金の額に算入すべき金額の計算は、おおむね次に掲げるところによるものとする。
(1) 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金勘定への繰入額は、その対象となった金銭債権の額のうち国外事業所等に属するもの(国内の事業所等に属する金銭債権で国外源泉所得の発生の源泉となるものを含む。以下19-3-15において同じ。)の額に係る部分の金額とし、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金勘定への繰入額は、その対象となった金銭債権の額のうち国外事業所等に属するものの額の比により計算した金額とする。
(注) 国内の事業所等に属する国外の者への貸付金のうち当該連結事業年度において収益に計上すべき利子の額がないものに対応する貸倒引当金勘定への繰入額は、当該連結事業年度の連結国外所得金額の計算上損金の額に算入しないことができる。
(2) 海外投資等損失準備金の積立額は、国外事業所等に属する特定株式等(措置法第68条の43第1項《海外投資等損失準備金》に規定する特定株式等をいう。)について積み立てた金額とする。
(3) (1)及び(2)に掲げる引当金又は準備金以外の引当金又は準備金の繰入額又は積立額については、その引当金又は準備金の性質又は目的に応ずる合理的な基準により計算した金額を連結国外所得金額の計算上の損金の額とする。
(引当金の取崩額等の配賦)
19-3-16 当該連結事業年度前の各連結事業年度においてその繰入額又は積立額を連結国外所得金額の計算上損金の額に算入した引当金又は準備金の取崩し等による益金算入額がある場合には、当該益金算入額のうちその繰入れをし、又は積み立てをした連結事業年度において連結国外所得金額の計算上損金の額に算入した金額に対応する部分の金額を当該取崩し等に係る連結事業年度の連結国外所得金額計算上の益金の額とするのであるから留意する。
(注) 1 当該連結事業年度において適格組織再編成により被合併法人等から引継ぎを受けた引当金又は準備金の取崩し等による益金算入額がある場合には、当該益金算入額のうち当該被合併法人等においてその繰入れをし、又は積み立てをした連結事業年度の連結国外所得金額の計算上損金の額に算入した金額に対応する部分の金額についても、同様とする。
2 本文の「当該連結事業年度前の各連結事業年度」並びに本文及び1の「その繰入れをし、又は積み立てをした連結事業年度」は、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には当該事業年度とする。この場合の「連結国外所得金額」は、令第 142条第3項《国外所得金額の計算》に規定する国外所得金額とする。
(評価損等の配賦)
19-3-17 次に掲げる金額は、連結国外所得金額の計算上損金の額又は益金の額に算入する。
(1) 国外事業所等に属する資産について法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定に基づき評価換えをしたことにより生じた損失の額 (補修用部品在庫調整勘定への繰入額を含む。)
(2) 国外事業所等に係る外貨建資産等(法第61条の9第1項《外貨建資産等の換算額》に規定する外貨建資産等をいう。)について生じた為替差損益の額
(3) 国外事業所等に係る時価評価資産(法第61条の11第1項《連結納税の開始に伴う資産の時価評価損益》に規定する時価評価資産をいう。)について法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》の規定の適用により生じた評価益又は評価損
(4) 国外事業所等に属する金銭債権について生じた貸倒損失の額
(技術等海外取引所得の特別控除額の配賦)
19-3-18 措置法第68条の60第1項《技術等海外取引に係る連結所得の特別控除》の規定により当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入する金額がある場合には、当該損金の額に算入する金額のうち同条第1項に規定する技術等海外取引による指定期間内の収入金額(措置法令第39条の87第1項《技術等海外取引に係る連結所得の特別控除額の計算等》に規定する収入金額を除く。)で国外源泉所得に係るものに対応する部分の金額は、当該連結事業年度の連結国外所得金額の計算上も損金の額に算入するのであるから留意する。
(損金の額に算入されない寄附金、交際費等)
19-3-19 当該連結事業年度において支出した寄附金の額のうちに法第81条の6第2項又は第3項《連結事業年度における寄附金の損金不算入》の規定により損金の額に算入されない金額がある場合には、当該金額のうち国外業務に係る寄附金の額に対応する部分の金額は、当該連結事業年度の連結国外所得金額の計算上も損金の額に算入しない。
当該連結事業年度の交際費等の額のうちに措置法第68条の66第1項《交際費等の損金不算入》の規定により損金の額に算入されない金額がある場合についても、同様とする。
(欠損金の繰戻しによる還付があった場合の処理)
19-3-20 当該連結事業年度前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において法第81条の15第1項から第5項まで《連結事業年度における外国税額の控除》の規定(法第69条第1項から第5項まで《外国税額の控除》の規定を含む。)の適用の対象とした外国法人税の額(適格組織再編成により事業の全部又は一部の移転を受けている場合にあっては、当該適格組織再編成に係る被合併法人等が当該事業に基因して納付した外国法人税の額のうちこれらの規定の適用の対象としたものを含む。)の全部又は一部が法第80条第1項《欠損金の繰戻しによる還付》の規定に類する制度に基づいて還付された場合には、その還付されることとなった日の属する連結事業年度において当該外国法人税の額につき減額があったものとして法第26条第2項《還付金等の益金不算入》及び第81条の15第10項の規定を適用する。
(外国法人税を課さないことの意義)
19-3-21 令第 155条の28第5項各号《外国法人税が課されない国外源泉所得》に規定する「外国法人税を課さないこととしていること」には、令第 155条の27第3項《個別控除対象外国法人税の額とされないもの》に規定するみなし納付外国法人税の額がある場合を除き、租税条約等の規定により外国法人税が課されないこととされている場合が含まれることに留意する。
(外国法人税額の高率負担部分の判定)
19-3-22 連結法人が納付することとなる外国法人税の額のうちに令第 155条の27第1項《個別控除対象外国法人税の額とされないもの》に規定する「所得に対する負担が高率な部分の金額」(以下19-3-23において「高率負担部分」という。)があるかどうかは、一の外国法人税ごとに、かつ、当該外国法人税の課税標準とされる金額ごとに判定するのであるから留意する。
(予定納付等をした場合の高率負担部分の判定)
19-3-23 連結法人が予定納付等をした外国法人税の額については、19-3-22にかかわらず、当該外国法人税の額に係る高率負担部分はないものとして法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》の規定を適用するものとする。この場合において、当該予定納付等をした外国法人税(適格組織再編成により事業の全部又は一部の移転を受けている場合にあっては、当該適格組織再編成に係る被合併法人等が当該事業に係る所得に基因して予定納付等をした外国法人税のうち同項又は法第69条第1項《連結事業年度における外国税額の控除等》の規定を適用したものを含む。)に係る確定申告又は確定賦課等により納付する金額につき法第81条の15第1項の規定の適用を受けるときは、当該確定申告又は確定賦課等により確定した外国法人税の額(予定納付等をした外国法人税の額を控除する前の金額をいう。以下19-3-23において同じ。)に基づき令第 155条の27第1項《個別控除対象外国法人税の額とされないもの》の規定を適用する。
(注) この取扱いを適用することにより、当該確定した外国法人税の額につき高率負担部分の金額が生じ、かつ、当該高率負担部分の金額が確定申告又は確定賦課等により納付する金額を超えるときは、当該超える部分の金額については、当該金額が令第 155条の39第1項《連結事業年度において外国法人税が減額された場合の特例》に規定する個別減額控除対象外国法人税額であるものとして、同条の規定を適用する。
(高率負担部分の判定をする場合の総収入金額の計算における連結法人株式の帳簿価額修正額の取扱い)
19-3-24 令第 155条の27第2項第1号《利子等に係る外国法人税の額のうち個別控除対象外国法人税の額とされないもの》及び規則第37条の4第1項第1号《個別控除対象外国法人税の額とされないものの計算に係る総収入金額等》に規定する当該株式の譲渡の直前の帳簿価額は、当該資産の譲渡が令第9条の2第4項《連結法人株式の帳簿価額修正》の規定により読み替える同条第1項第1号の他の連結法人の株式の譲渡に該当するときには、令第 119条の3第3項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》又は第 119条の4第1項《評価換え等があった場合の総平均法の適用の特例》の規定により算出される金額にその譲渡した株式の数を乗じた金額となることに留意する。
(高率負担部分の判定をする場合の総収入金額の計算における譲渡損益調整額の取扱い)
19-3-25 令第 155条の27第2項第1号《利子等に係る外国法人税の額のうち個別控除対象外国法人税の額とされないもの》の譲渡に係る収入金額とみなされる金額の計算上、法第81条の10第1項《連結法人間取引の損益の調整》の規定の適用がある有価証券又は固定資産の譲渡に係る譲渡損益調整額は、影響しないことに留意する。
規則第37条の4第1項第1号《個別控除対象外国法人税の額とされないものの計算に係る総収入金額等》の計算についても、同様とする。
(注) 譲渡損益調整額とは、14-1-1の (注) 《譲渡損益調整額の計算における「対価の額」の意義》に定める譲渡損益調整額をいう。
(外国法人税額に増額等があった場合)
19-3-26 連結法人が外国法人税の額につき法第81条の15第1項から第5項まで《連結事業年度における外国税額の控除》の規定(法第69条第1項から第5項まで《外国税額の控除》の規定を含む。)の適用を受けた場合(適格組織再編成により事業の全部又は一部の移転を受けている場合にあっては、当該適格組織再編成に係る被合併法人等が当該事業に係る所得に基因して納付した外国法人税の額につきこれらの規定の適用を受けた場合を含む。)において、その適用を受けた連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)後の連結事業年度において、当該外国法人税の額の増額があり、かつ、法第81条の15第1項から第3項までの規定の適用を受けるときは、当該外国法人税につき、その増額後の金額に基づいて同条第1項に規定する個別控除対象外国法人税の額 (以下この節において「個別控除対象外国法人税額」という。)の再計算を行うものとし、増額した個別控除対象外国法人税額は、当該外国法人税の額の増額のあった日の属する連結事業年度において新たに生じたものとして同条の規定を適用する。この場合において、次に掲げる場合にあっては、それぞれ次による。
(1) 増加することとなった個別控除対象外国法人税額が増加した外国法人税の額以下である場合 増加することとなった個別控除対象外国法人税額に相当する金額は、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入しない。
(2) 増加することとなった個別控除対象外国法人税額が増加した外国法人税の額を超える場合 増加することとなった個別控除対象外国法人税額のうち、増加した外国法人税の額に相当する金額は当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入しないものとし、当該増加した外国法人税の額に相当する金額を超える部分の金額については、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上益金の額に算入する。
(注) 外国法人税の額の減額があった場合において、当該外国法人税につき、減額された外国法人税の額を超えて個別控除対象外国法人税額を減額することとなるときは、当該超える部分の個別控除対象外国法人税額に相当する金額については、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入する。
(貸付金に準ずるもの)
19-3-27 令第 155条の27第2項本文かっこ書《利子等の範囲》に規定する「貸付金その他これに準ずるもの」には、次に掲げるようなものが含まれることに留意する。
(1) 預け金のうち預貯金以外のもの
(2) 保証金、敷金その他これらに類する債権
(3) 前渡金その他これに類する債権
(4) 他人のために立替払をした場合の立替金
(5) 取引の対価に係る延払債権
(6) 保証債務を履行したことに伴って取得した求償権
(7) 損害賠償金に係る延払債権
(8) 当座貸越に係る債権
(外国法人税の額から控除されるもの)
19-3-28 令第 155条の27第2項《利子等に係る個別控除対象外国法人税の額とされないもの》に規定する利子等の収入金額を課税標準として源泉徴収の方法に類する方法により課される外国法人税 (以下19-3-28において「源泉徴収外国法人税」という。)のうち、当該源泉徴収外国法人税が課される国又は地域において法第68条《所得税額の控除》の規定に類する制度により税額控除又は損金算入のいずれかを選択適用することとされているものについては、当該源泉徴収外国法人税につき損金の額に算入しているときであっても、令第 155条の27第2項の規定は適用しないものとする。
(事業の区分)
19-3-29 連結法人の主として営む事業が令第 155条の27第2項第1号から第3号まで《利子等に係る個別控除対象外国法人税の額とされないもの》に掲げる事業に該当するかどうかは、おおむね日本標準産業分類 (総務省)の分類を基準として判定する。この場合において、当該法人が2以上の事業を兼営しているときは、それぞれの事業に属する収入金額等事業の規模を表わす事実によって判定する。
(注)
日本標準産業分類の「大分類K金融・保険業」の「中分類67保険業(保険媒介代理業、保険サービス業を含む)」のうち「 673共済事業」を営む法人は、生命共済事業及び損害共済事業に属する収入金額の合計額等、これらの共済事業の規模を表わす事実によって同項第2号及び第3号に掲げる生命保険事業及び損害保険事業を主として営む法人であるかどうかを判定する。この場合において、当該法人が生命共済事業及び損害共済事業を兼営しているときは、当該法人に係る同項第1号に規定する総収入金額の合計額に相当する金額は、次の算式により計算する。
(所得率等が変動した場合の取扱い)
19-3-30 連結法人が外国法人税の額につき法第81条の15第1項から第3項まで《連結事業年度における外国税額の控除》の規定の適用を受けた場合において、その適用を受けた連結事業年度(以下19-3-30において「適用連結事業年度」という。)に係る所得率又は利子収入割合について異動が生じたこと等により当該外国法人税の額に係る個別控除対象外国法人税額に異動が生じたとき(19-3-26の適用がある場合を除く。)は、当該適用連結事業年度において当該外国法人税の額につき、その異動後の個別控除対象外国法人税額に基づいて法第81条の15の規定を適用することに留意する。
(注) 1
連結法人が外国法人税の額につき法第69条第1項から第3項まで《外国税額の控除》の規定の適用を受けた場合において、その適用を受けた事業年度に係る所得率又は利子収入割合について異動が生じたこと等により控除対象外国法人税額(法第69条第1項に規定する控除対象外国法人税の額をいう。)に異動が生じたときの異動後の控除対象外国法人税額についても、同様とする。
2 本文及び1の所得率とは、令第 155条の27第2項《利子等に係る個別控除対象外国法人税の額とされないもの》又は第 142条の3第2項《利子等に係る控除対象外国法人税の額とされないもの》に規定する所得率をいい(以下19-3-32までにおいて同じ。)、利子収入割合とは、令第 155条の27第2項第4号かっこ書又は第 142条の3第2項第4号かっこ書に規定する割合をいう。
(総収入金額)
19-3-31 所得率の計算の基礎となる令第 155条の27第2項第1号《利子等に係る個別控除対象外国法人税の額とされないもの》に規定する納付連結事業年度及び前2年内連結事業年度の総収入金額 (以下19-3-32において「総収入金額」という。)とは、令第 155条の27第2項及び規則第37条の4第1項若しくは第2項《個別控除対象外国法人税の額とされないものの計算に係る総収入金額等》並びにこの節において別段の定めのあるものを除き、当該納付連結事業年度及び前2年内連結事業年度において益金の額に算入されるべき収入金額の合計額をいうことに留意する。
(内部取引による益金の額の収入金額からの除外)
19-3-32 所得率を計算する場合において、引当金勘定又は準備金勘定の取崩しによる益金算入額、法第48条《保険差益等に係る特別勘定の金額の損金算入》の規定による特別勘定の益金算入額、措置法第68条の78第4項又は第12項《特定資産の買換えの場合の課税の特例》の規定による買換資産を事業の用に供しない場合の益金算入額等の内部取引に関する益金算入額並びに会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続開始の決定に伴いこれらの法律の規定に従って行う評価換え及び令第24条各号《資産の評価益の計上ができる評価換え》に掲げる資産の評価換えによる益金の額は、規則第37条の4第1項又は第2項《総収入金額の合計額に相当する金額の計算》に定めるものを除き、総収入金額に算入しない。
(資産の売却に係る収入金額)
19-3-33 令第 155条の27第2項第1号及び規則第37条の4第1項第1号《金融業等に係る総収入金額の計算等》に規定する有価証券及び固定資産 (以下19-3-33において「資産」という。)の売却に係る収入金額には、次のものが含まれる。
(1) 法第50条第1項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》に規定する取得資産の価額 (当該取得資産とともに取得した令第92条第2項第1号《交換により生じた差益金の額》に規定する交換差金等の金額を含む。)
(2) 措置法第68条の70第1項若しくは第68条の72第1項《収用換地等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》に規定する補償金若しくは清算金 (収用等の対価に該当するものに限る。)の金額又は代替資産若しくは交換取得資産の価額
(3) 措置法第68条の80《特定の資産を交換した場合の課税の特例》の規定により、交換の日におけるその資産の価額に相当する金額をもって譲渡したものとみなされる同条第1号に規定する交換譲渡資産の価額
(4) 借地権の譲渡対価の額
(5) 令第 138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定に該当する場合における借地権の設定等に伴って収受する権利金等の金額
(6) 措置法第68条の86第1項《共同で現物出資をした場合の課税の特例》に規定する特定共同出資により取得した株式(出資を含む。)のうち、現物出資をした有価証券及び固定資産に係るものの取得の時における価額の合計額
(注) 1
法第47条第1項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する保険金等の金額は、資産の売却に係る収入金額に含まれない。
2 不動産売買業を営む法人の有する土地又は建物であっても、当該連結法人が使用し若しくは他に貸し付けているもの (販売の目的で所有しているもので一時的に使用し又は他に貸し付けているものを除く。)又は当該連結法人が使用することを予定して長期間にわたり所有していることが明らかなものは、固定資産に該当する。
(棚卸資産の販売による収入金額)
19-3-34 規則第37条の4第3項《個別控除対象外国法人税の額とされないものの計算に係る売上総利益の額》に規定する「棚卸資産の販売による収入金額」には、棚卸資産の販売に係る契約が解除されたことにより収受する違約金の額は含まれないことに留意する。
(棚卸資産の販売以外の事業に係る収入金額)
19-3-35 規則第37条の4第3項かっこ書《個別控除対象外国法人税の額とされないものの計算に係る売上総利益の額》に規定する「当該事業に係る収入金額」は、同項に規定する売上総利益の額の計算の基礎となる収入金額に限られるのであるから、営業外損益及び特別損益に属する収入金額は、これに含まれない。
(個別欠損金額を有する連結法人の連結控除限度個別帰属額)
19-3-36 法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》に規定する「連結控除限度個別帰属額」とは、令第 155条の28第1項《連結控除限度額の計算》に規定する連結控除限度額に、同条第3項《連結控除限度額の計算》の連結国外所得金額につき各連結法人に帰せられる金額が零を超えるもの(以下19-3-36において「個別国外所得金額」という。)の合計額のうちに当該各連結法人の個別国外所得金額の占める割合を乗じて計算した金額をいうのであるから、例えば、法第81条の18第1項《連結法人税の個別帰属額の計算》に規定する個別欠損金額を有する連結法人であっても、個別国外所得金額がある場合には、連結控除限度個別帰属額の計算を行うことに留意する。
(前3年内連結事業年度において外国法人税額を損金算入した場合の個別控除余裕額の取扱い)
19-3-37 令第 155条の32第2項《個別繰越控除限度額等》の規定の適用に当たり、同項に規定する「当該連結事業年度以前の各連結事業年度の国税の個別控除余裕額及び地方税の個別控除余裕額」は、同項の前3年内連結事業年度のうちいずれかの連結事業年度において各連結法人が納付することとなった個別控除対象外国法人税の額を連結所得の金額の計算上損金の額に算入した場合にその個別控除対象外国法人税の額が帰属する各連結法人の国税の個別控除余裕額及び地方税の個別控除余裕額だけではなく、すべての連結法人の国税の個別控除余裕額及び地方税の個別控除余裕額となることに留意する。
令第 155条の33第2項《個別繰越控除対象外国法人税額等》の規定の適用についても、同様となる。
第3款 外国子会社に係る外国法人税の間接控除
(配当等に含まれるもの)
19-3-38 法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の「外国子会社から受ける利益の配当又は剰余金の分配」には、商法第 293条ノ5第1項《中間配当》に規定する金銭の分配に類するもの (以下この節において「中間配当」という。)及び法第24条《配当等の額とみなす金額》の規定により配当等の額とみなされるもの (以下19-3-46において「みなし配当」という。)が含まれる。
(外国子会社の要件のうち「その状態が継続していること」の意義)
19-3-39 令第 155条の35第1項《連結法人に係る外国子会社の要件》の配当等の額の支払義務が確定する日以前6月以上継続しているかどうかの判定において、同項第1号の各連結法人が当該配当等の額の支払義務が確定する日以前6月以上の期間(以下19-3-40において「株式保有期間」という。)継続して連結法人であったかどうかは問わないことに留意する。
(租税条約の適用がある場合の外国子会社の判定)
19-3-40 連結法人に係る法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》に規定する外国子会社の判定において、その判定の対象となる外国法人が租税条約によりその外国法人の同項に規定する発行済株式の総数又は出資金額(その有する自己の株式又は出資を除く。)に係る保有割合が軽減されている相手国の外国法人である場合には、各連結法人が保有している当該外国法人の発行済株式又は出資の金額を合計した数又は金額の保有割合が25%未満であっても、当該連結法人が当該租税条約に定める保有割合以上の株式又は出資を株式保有期間を通じて有するときは、当該連結法人については同項の規定の適用があることに留意する。
(当該連結事業年度前の事業年度において受領した配当等に係る間接控除の取扱い)
19-3-41 連結法人が、当該連結事業年度前の各事業年度において法第69条第8項《外国税額の間接控除》に規定する外国子会社に該当しない外国法人から同項に規定する配当等の額を受けている場合には、当該外国法人の当該配当等の額に係る事業年度の所得に対して外国法人税が課された日が当該連結事業年度であり、当該課された日において、連結法人及び当該連結法人との間に連結完全支配関係を有する他の連結法人が当該外国法人の発行済株式の総数又は出資金額(その有する自己の株式又は出資を除く。)の25%以上を保有しているときであっても、当該連結事業年度において法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の規定の適用はないのであるから留意する。
(本店所在地国以外の国又は地域で課された外国法人税)
19-3-42 法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の「外国子会社の所得に対して課される外国法人税の額」には、同項に規定する外国子会社 (以下19-3-43までにおいて「外国子会社」という。)がその本店又は主たる事務所の所在する国又は地域 (以下19-3-42において「本店所在地国」という。)において課された外国法人税の額のほか、当該本店所在地国以外の国又は地域において課された外国法人税の額 (以下19-3-42において「本店所在地国以外の国の外国法人税の額」という。)が含まれる。この場合において、当該外国子会社が当該本店所在地国における外国法人税の課税上、当該本店所在地国以外の国の外国法人税の額につき同条の規定に類する制度に基づいて税額控除の適用を受けているときは、その控除後の税額が当該本店所在地国において課された外国法人税の額となることに留意する。
(注)
本文の「本店所在地国以外の国の外国法人税の額」には、当該外国子会社が納付する我が国の法人税、所得税、道府県民税及び市町村民税 (都民税を含み、均等割に係るものを除く。)の額が含まれるものとする。
(配当等を受けることとなる日)
19-3-43 法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の規定は、外国子会社から配当等を受けることとなる日の属する連結事業年度以後の連結事業年度において適用があるのであるが、この場合の配当等を受けることとなる日は、2-1-30又は2-1-31《利益の配当等の帰属の時期等》により当該配当等の額を収益として計上することとなる日による。ただし、連結法人が、外国子会社から中間配当を受けた場合には、当該中間配当を受けた日の属する連結事業年度においては当該中間配当の額につき同項の規定を適用しないで、当該中間配当の額に係る外国子会社の事業年度の所得からされる利益の配当又は剰余金の分配 (以下19-3-44までにおいて「確定配当」という。)を受けることとなる日の属する連結事業年度以後の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において、当該中間配当の額と当該確定配当の額との合計額を同項又は法第69条第8項《外国税額の間接控除》に規定する配当等の額とし、かつ、当該中間配当に係る外国源泉税の額(令第 155条の36第1項第1号ロ《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》に規定する外国源泉税の額をいう。以下19-3-43において同じ。)と当該確定配当に係る外国源泉税の額との合計額を法第81条の15第8項又は第69条第8項に規定する配当等の額に係る外国源泉税の額としてこれらの規定の適用を受けることとしているときは、これを認める。
(注)1 本文ただし書による場合においても、当該中間配当の額は、その受けることとなる日の属する連結事業年度において生じた国外源泉所得として法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》に規定する連結控除限度個別帰属額の計算に含めることに留意する。
2 本文ただし書の取扱いは、当該中間配当を受けた日の属する事業年度が連結事業年度に該当せず、かつ、当該事業年度において当該中間配当の額につき法第69条第8項の規定を適用しなかった場合も、同様とする。
(中間配当があった場合の配当事業年度)
19-3-44 連結法人が当該連結事業年度において法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》に規定する外国子会社から受ける中間配当の額につき同項の規定の適用を受ける場合又は当該連結事業年度前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において同項又は法第69条第8項《外国税額の間接控除》に規定する外国子会社から受けた中間配当の額につき法第81条の15第8項又は第69条第8項の規定の適用を受け、かつ、当該連結事業年度においてその中間配当の額に係る当該外国子会社の事業年度の所得からされた確定配当の額につき法第81条の15第8項の規定の適用を受ける場合における令第 155条の36《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定の適用については、次のことは次による。
(1) 中間配当については、当該中間配当の額の計算の基礎となった期間を同条第2項第1号イに規定する配当事業年度 (以下この節において「配当事業年度」という。)とし、当該期間について予定納付等をした外国法人税の額を同条第1項第1号に規定する配当等の額に係る事業年度の外国法人税の額とする。
(2) 確定配当については、当該確定配当の額と当該中間配当の額との合計額につき当該合計額の計算の基礎となった期間を当該合計額に係る配当事業年度として同条第3項《配当等の額に係る事業年度に2以上の外国法人税が課された場合等の調整》の規定を適用する。
(配当等に充てることができる部分の金額)
19-3-45 令第 155条の36第2項第1号イ《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の「配当等の額に充てることができる部分の金額」とは、同項第4号の規定により計算した配当等の額に係る事業年度の所得の金額から次に掲げるような金額を控除した金額をいう。
(1) 当該所得の金額に対して課される外国法人税の額
(2) 同項第3号に規定する優先配当の額
(3) 損金の額に算入されない租税公課の額で外国法人税以外のもの、損金の額に算入されない役員賞与の額その他当該所得の金額から社外に流出する金額(配当等の額を除く。)
(4) 当該外国子会社に係る関係会社等の所得の全部又は一部が当該外国子会社の所得であるものとみなされたことにより当該所得の金額が増加した場合におけるその増加した部分の金額
(みなし配当に係る配当事業年度)
19-3-46 連結法人が法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》に規定する外国子会社(以下19-3-59までにおいて「外国子会社」 という。)からみなし配当を受けた場合における当該みなし配当の額に係る配当事業年度は、当該外国子会社の当該みなし配当の額に係る2-1-30の(4) 《利益の配当等の帰属の時期》に定める日の属する事業年度の直前の事業年度とする。
(配当等の額に係る事業年度の所得の金額)
19-3-47 令第 155条の36第1項《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》に規定する当該事業年度の所得の金額を計算する場合における同条第2項第4号の規定の適用については、次のことは次による。
(1) 同号の「外国子会社が当該配当等の額を算出する基礎として計算した所得の金額」は、当該外国子会社がその決算において計上した利益の額 (当該利益の額の計算上費用として控除した法人税に相当する税の額がある場合には、当該税の額に相当する金額を加算した金額とする。)とする。
(2) 同号の「本店所在地国の外国法人税に関する法令により計算される当該事業年度の所得の金額」は、当該所得の金額の計算上法第57条から第59条まで《青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し等》の規定に類する制度により損金の額に算入された欠損金額がある場合には、当該欠損金額に相当する金額を加算した金額とする。
(3) 同号イ及び(1) の「法人税に相当する税」には、外国法人税のほか、外国法人税に附帯して課される附帯税に相当する税その他これに類する税が含まれる。
(4) 同号ロの「外国法人税を課さないこととされた所得」には、非課税所得のほか、益金の額に算入されないこととされた配当等の額が含まれる。
第4款 外国孫会社に係る外国法人税の間接控除
(間接控除における外国孫会社の判定)
19-3-48 連結法人が法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の規定を適用する場合において、当該連結法人に係る外国法人が外国子会社に該当するかどうかの株式保有割合の判定は、各連結法人が保有する当該外国法人の株式又は出資を合計した数又は金額(以下19-3-48において「株式等の合計数」という。)が、当該外国法人の発行済株式の総数又は出資金額(その有する自己の株式又は出資を除く。以下19-3-48において「発行済株式等」という。)の25%以上であるかどうかにより行うのであるが、外国法人が同条第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》に規定する外国孫会社に該当するかどうかの判定は、各連結法人が一の外国子会社を通じて間接に保有する当該外国法人の株式等の合計数が、当該外国法人の発行済株式等の25%以上であるかどうかにより行うのであるから留意する。
(外国孫会社の外国法人税の額)
19-3-49 19-3-42は、法第81条の15第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》の「外国孫会社の所得に対して課される外国法人税の額」の取扱いについて準用する。
(外国孫会社から配当等の額を受ける日)
19-3-50 令第 155条の41第5項《連結法人の外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》に規定する「配当等の額を受ける日」とは、外国子会社が連結法人であるとした場合に2-1-30又は2-1-31《利益の配当等の帰属の時期等》により当該配当等の額を収益として計上することとなる日による。
(中間配当があった場合の外国孫会社の配当事業年度等)
19-3-51 19-3-44は、外国子会社が外国孫会社(法第81条の15第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》に規定する外国孫会社をいう。以下この節において同じ。)から中間配当の額と当該中間配当の額に係る当該外国孫会社の事業年度の所得からされた確定配当の額とを受ける場合における令第 155条の41第2項及び第3項《連結法人の外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定により読み替えて準用される令第 155条の36第2項《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定の適用について準用する。
(外国孫会社の配当等に充てることができる部分の金額)
19-3-52 19-3-45は、令第 155条の41第3項《連結法人の外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定により読み替えて準用される令第 155条の36第2項第1号イ《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の「配当等の額に充てることができる部分の金額」の取扱いについて準用する。
(外国孫会社のみなし配当に係る配当事業年度)
19-3-53 外国子会社が外国孫会社からみなし配当(法第81条の15第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》に規定する利益の配当又は剰余金の分配の額に含まれる令第 150条の3第2項《外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定により利益の配当又は剰余金の分配の額とみなされるものをいう。以下19-3-53において同じ。)を受けた場合における当該みなし配当の額に係る配当事業年度は、当該外国孫会社の当該みなし配当の額に係る2-1-30の(4) のイ、ロ又はハ《利益の配当等の帰属の時期》に定める日の属する事業年度の直前の事業年度とする。
(外国孫会社の配当の額に係る事業年度の所得の金額)
19-3-54 19-3-47は、令第 155条の41第2項 《連結法人の外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》に規定する当該事業年度の所得の金額を計算する場合における同条第3項の規定により読み替えて準用される令第 155条の36第2項第4号《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定の適用について準用する。
第5款 そ の 他
(外国法人税の換算)
19-3-55 法第81条の15《連結事業年度における外国税額の控除》の規定を適用する場合の外国法人税の額については、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げる外国為替の売買相場 (17-1-3《多通貨会計を採用している場合の外貨建取引の換算》の適用を受ける場合の相場を含む。以下19-3-55において「為替相場」という。)により換算した円換算額による。
(1) 源泉徴収に係る外国法人税 ((3) に該当するものを除く。) 次の区分に応じ、それぞれ次に掲げる為替相場
イ 利子、配当等を収益に計上すべき日の属する連結事業年度終了の日までに当該利子、配当等に対して課された外国法人税(次のロに該当するものを除く。)は、当該利子、配当等の額の換算に適用する為替相場(一の計算期間に係る利子を2以上の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)にわたって収益に計上する場合には、当該2以上の連結事業年度のうちその外国法人税を課された日の属する連結事業年度に係る利子の額の換算に適用する為替相場)
ロ 利子、配当等に課された外国法人税でその課された日の属する連結事業年度において費用(仮払経理を含む。以下19-3-55において同じ。)の額として計上するものは、その費用の額の換算に適用する為替相場
(2) 国内から送金する外国法人税 ((3) に該当するものを除く。) その納付すべきことが確定した日の属する連結事業年度において外貨建ての取引に係る費用の額として計上する金額の換算に適用する為替相場
(3) 国外事業所等において納付する外国法人税 その納付すべきことが確定した日の属する連結事業年度の本支店合併損益計算書の作成の基準とする為替相場
(4) 外国子会社の配当等の額に係る事業年度の所得に対して課される外国法人税のうち当該外国子会社に係る連結法人が納付したとみなされるもの 次の区分に応じ、それぞれ次に掲げる為替相場
イ 外国子会社からの配当等を受ける日の属する当該連結法人の連結事業年度終了の日までに当該外国子会社に対して課された外国法人税の額のうち当該連結法人が納付したとみなされる部分の金額については、当該配当等の額の換算に適用する為替相場
ロ 同日後に当該外国子会社に対して課された外国法人税の額のうち当該連結法人が納付したとみなされる部分の金額については、その課された日の属する当該連結法人の連結事業年度終了の日の17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》に定める電信売買相場の仲値(以下19-3-57において同じ。)。ただし、継続適用を条件として、イの為替相場によることができる。
(注) 外国子会社に対して課された外国法人税の額のうち連結法人が納付したとみなされる部分の金額の計算は、当該外国子会社がその会計帳簿の作成に当たり使用する外国通貨表示の金額により行うものとする。
(5) 租税条約により納付したものとみなされる外国法人税 その外国法人税を納付したものとした場合に適用すべき(1) から(4) までに掲げる為替相場
(外国孫会社の外国法人税の換算)
19-3-56 外国子会社の本店所在地国の通貨と外国孫会社の本店所在地国の通貨とが異なる場合において、当該外国孫会社の所得に対して課された外国法人税の額のうち法第81条の15第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》の規定により当該外国子会社の所得に対して課されたものとみなされる外国法人税(以下19-3-58までにおいて「外国孫会社に係る外国法人税」という。)の額については、当該外国子会社が当該外国孫会社から受けた同項に規定する配当等の額の換算に適用した当該外国子会社の本店所在地国の外国為替の売買相場により換算した当該外国子会社の本店所在地国の外貨換算額による。
(注) 1
「外国孫会社に係る外国法人税の額」の計算は、当該外国孫会社がその会計帳簿の作成に当たり使用する外国通貨表示の金額により行うものとする。
2 外国子会社に対して課された外国法人税(外国孫会社に係る外国法人税を含む。)の額のうち当該外国子会社に係る連結法人が納付したとみなされる部分の金額の計算及び円換算は、19-3-55の(4) により行うものとする。
(外国子会社の外国法人税が減額された場合の換算)
19-3-57 連結法人が外国子会社から受けた配当等の額に係る当該外国子会社の外国法人税の額につき法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の規定の適用(同条第9項の規定によりみなして適用する場合を含む。)を受けた連結事業年度後の連結事業年度又は法第69条第8項《外国税額の間接控除》の規定の適用(同条第9項の規定によりみなして適用する場合を含む。)を受けた事業年度後の連結事業年度において当該外国法人税の額が減額されたため、これにつき令第 155条の40《連結法人の外国子会社の所得に対して課される外国法人税が減額された場合の特例》の規定の適用がある場合には、同条第1項の規定による個別減額控除対象外国法人税額とみなされる金額の計算は当該外国子会社がその会計帳簿の作成に当たり使用する外国通貨表示の金額により行うものとし、その計算された金額の円換算は、その減額があった日の電信売買相場の仲値によるものとする。
(注)
連結法人が納付した外国法人税の額が減額されたため、これにつき令第 155条の39《連結事業年度 において外国法人税が減額された場合の特例》の規定の適用を受ける場合におけるその減額に係る還付金の額の円換算は、17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》等に定めるところによるのであるから留意する。
(連結法人に係る外国孫会社の外国法人税が減額された場合の換算)
19-3-58 外国子会社の本店所在地国の通貨と外国孫会社の本店所在地国の通貨とが異なる場合において、当該外国子会社に係る連結法人が法第81条の15第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》の規定の適用(同条第12項の規定によりみなして適用する場合を含む。)を受けた連結事業年度において当該外国孫会社の外国法人税の額が減額されたため、これにつき令第 155条の41第6項《連結法人の外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定により読み替えて適用される令第 155条の40《連結法人の外国子会社の所得に対して課される外国法人税が減額された場合の特例》の規定の適用があるときにおける減額後の外国孫会社に係る外国法人税の額については、19-3-56の本文の取扱いを準用する。
(注) 連結法人が外国子会社から受けた配当等の額に係る当該外国子会社の外国法人税(外国孫会社に係る外国法人税を含む。)の額につき法第81条の15第11項の規定の適用(同条第12項の規定によりみなして適用する場合を含む。)を受けた連結事業年度後の連結事業年度又は法第69条第11項《外国孫会社に係る外国税額の間接控除》の規定の適用(同条第12項の規定によりみなして適用する場合を含む。)を受けた事業年度後の連結事業年度において当該外国法人税の額が減額されたため、これにつき令第 155条の41第6項の規定により読み替えて適用される令第 155条の40の規定の適用がある場合には、同条第1項の規定による個別減額控除対象外国法人税額とみなされる金額の計算及び円換算は、19-3-57により行うものとする。
(連結国外所得金額等の計算の明細書の添付)
19-3-59 連結法人が法第81条の15《連結事業年度における外国税額の控除》の規定の適用を受ける場合には、連結確定申告書に連結国外所得金額の計算に関する明細を記載した書類を添付するものとする。
令第 155条の36第2項第4号《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》(令第 155条の41第3項《連結法人の外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定により読み替えて準用される場合を含む。)に規定する外国子会社の所得の金額の計算の明細についても、同様とする。
(外国法人税を課されたことを証する書類及びその提出先)
19-3-60 規則第37条の6第8号及び第10号《外国税額控除を受けるための書類》の「税を課されたことを証する……その納付を証する書類」には、申告書の写し又は現地の税務官署が発行する納税証明書等のほか、更正若しくは決定に係る通知書、賦課決定通知書、納税告知書、源泉徴収の外国法人税に係る源泉徴収票その他これらに準ずる書類又はこれらの書類の写しが含まれる。
なお、これらの書類、これらの書類の写し及び同条第9号に規定する貸借対照表、損益計算書及び利益処分に関する計算書のうち、各連結子法人に係るものを、それぞれの連結子法人の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に対して提出する法第81条の25第1項《連結子法人の個別帰属額等の届出》に規定する個別帰属額等を記載した書類に添付した場合には、連結確定申告書に添付したものとして取り扱う。
(注) 外国法人税を課されたことを証する書類を個別帰属額等を記載した書類に添付して提出する場合には、当該連結確定申告書にその旨を記載した書類を添付するものとする。
第4節 連結所得金額の端数計算
(連結法人の年 800万円以下の連結所得金額の端数計算)
19-4-1 法第81条の12第4項《連結親法人事業年度が1年に満たない連結親法人の年 800万円以下の連結所得金額》に規定する連結親法人事業年度が1年に満たない連結親法人が、同条第2項《年 800万円以下の連結所得金額に対する軽減税率》の規定を適用する場合において、同条第4項に規定する「 800万円を12で除し、これに第4項に規定する連結親法人事業年度の月数を乗じて計算した金額」に 1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。ただし、当該切り捨てられる端数の金額が当該連結事業年度の連結所得金額について切り捨てられる金額より多いときは、これを切り上げる。
第20章 申告、納付及び還付
第1節 申告及び納付
(申請期限後に災害等が生じた場合の申告書の提出期限の延長)
20-1-1 連結法人の連結事業年度終了の日から45日を経過した日後災害その他やむを得ない理由の発生により連結法人の決算が確定しないため、当該連結法人に係る連結親法人が連結確定申告書の提出期限までに連結確定申告書を提出することができない場合には、法第81条の23第1項《連結確定申告書の提出期限の延長》の規定に準じて取り扱う。この場合には、連結確定申告書の提出期限延長の申請書は、当該理由の発生後直ちに提出するものとし、当該申請のあった日から15日以内に承認又は却下がなかったときは、当該申請に係る指定を受けようとする日を税務署長が指定した日としてその承認があったものとする。
(申告書の提出期限の延長の再承認)
20-1-2 連結確定申告書の提出期限の延長の承認を受けた連結親法人が指定された提出期限までに当該連結親法人又は当該連結親法人に係る連結子法人の決算が確定しないため連結確定申告書を提出できない場合には、当該連結親法人の申請によりその指定の日を変更することができる。
(通則法第11条による提出期限の延長との関係)
20-1-3 通則法第11条《災害等による期限の延長》の規定に基づき通則法令第3条第1項《地域指定による期限の延長》の規定による期限の延長があった場合において、災害その他やむを得ない理由により連結法人の決算が確定しないため当該連結法人に係る連結親法人が連結確定申告書をその延長された期限までに提出することができないと認められるときは、当該期限を法第81条の23第2項《連結確定申告書の提出期限の延長》の規定により準用される法第75条第2項《確定申告書の提出期限の延長》の規定による申請書の提出期限として法第81条の23(同条第2項の規定により準用される法第75条第5項を除く。)の規定を適用することができるものとする。この場合には、税務署長は遅滞なく延長又は却下の処分を行うものとし、また、法第81条の23第2項の規定により準用される法第75条第7項の規定の適用については、同項中「当該事業年度終了の日の翌日以後2月を経過した日から同項」とあるのは、「国税通則法施行令第3条第1項の規定により指定された期限の翌日から第1項」と読み替える。
(申告書の提出期限の延長の特例の適用がある場合)
20-1-4 法第81条の24第1項《連結確定申告書の提出期限の延長の特例》に規定する「その他これに類する理由により決算が確定しないため」とは、次のような理由により決算が確定しない場合をいう。
(1) 連結法人のうち会計監査人の監査を必要としないものが、定款において事業年度終了の日から3月以内に株主総会を開催する旨を定めていること
(2) 保険株式会社である連結法人が、保険業法第11条《株主名簿の閉鎖の期間等》の規定により、事業年度終了後4月以内に株主総会を開催することとしていること
(3) 合弁会社である連結親法人が、当該連結親法人の外国株主との関係で、決算確定までに日数を要すること
(4) 協同組合等である連結親法人が、当該連結親法人の支部又は加入者である単位協同組合等の数が多いこと、監督官庁の決算承認を要すること等のため、決算確定までに日数を要すること
(組織再編成に係る連結確定申告書の添付書類)
20-1-5 規則第37条の12第6号《連結確定申告書の添付書類》に規定する「資産、負債その他主要な事項に関する明細書」は、付表の書式(これに準ずる書式を含む。)による。
第2節 還 付
(還付金額の計算)
20-2-1 法第81条の31第1項《連結欠損金の繰戻しによる還付》の規定による連結所得に対する法人税の還付請求があった場合において、当該還付請求について還付すべき金額は、当該金額の算定を行う時において確定している還付所得連結事業年度の連結所得の金額及び連結所得に対する法人税の額並びに欠損連結事業年度の連結欠損金額(当該連結欠損金額が請求に係る還付金額の計算の基礎として連結親法人が還付請求書に記載した連結欠損金額を超える場合には、その記載した金額)を基礎として同条第1項の規定により計算した金額による。
(還付請求書だけが期限後に提出された場合の特例)
20-2-2 連結親法人が法第81条の22《連結確定申告》の規定による連結確定申告書を期限内に提出し、当該申告書に記載された連結欠損金額に基づいて連結所得に対する法人税の還付請求書を期限後に提出した場合において、その期限後の提出が錯誤に基づくものである等期限後の提出について税務署長が真にやむを得ない理由があると認めるときは、法第81条の31《連結欠損金の繰戻しによる還付》の規定を適用することができるものとする。
(更生手続の開始の意義)
20-2-3 法第81条の31第3項《連結欠損金の繰戻しによる還付の特例》に規定する「更生手続の開始」とは、会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続の開始の申立て(会社更生法第38条《手続開始の条件》等の規定により更生手続の開始の申立てが棄却された場合のその申立てを除く。)があったことをいうものとする。
付表 組織再編成に係る主要な事項の明細書
付表 組織再編成に係る主要な事項の明細書の記載の仕方
課審4-7
平成15年2月28日
国税局長
沖縄国税事務所長 殿
国税庁長官
連結納税基本通達の制定について(法令解釈通達)
連結納税基本通達を別冊のとおり定めたから、今後はこれによられたい。
(趣旨)
平成14年法律第79号「法人税法等の一部を改正する法律」により連結納税制度が創設されたことに伴い、連結確定申告書を提出する連結法人に係る法人税法に関する取扱いを定めたものである。
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「連結納税基本通達の制定について」(法令解釈通達)
(平15.2.28課法2-3他1課共同)
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例 言
1 連結納税基本通達の規定は、原則として連結法人が連結納税に係る申告を行うに際し、適用するものとする。
したがって、連結法人であっても各事業年度の所得に対する法人税に係る申告を行う法人については、法人税基本通達の定めによる。
2 連結納税基本通達において引用している法人税法の規定中、第2編第1章第1節第2款から第8款まで《各事業年度の所得の金額の計算》の各条項(法人税法第22条から第65条まで)のうち、法人税法第23条、第28条、第37条、第40条、第41条、第57条、第58条及び第61条の13を除く条項の規定は、当該通達の規定上、特に断りのない限り、連結法人が法人税法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合のこれらの条項の規定をいうものとする。
したがって、当該通達で引用する各条項の直前には、原則として「法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の」という文言が省略されていることに留意する。
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省 略 用 語 例
連結納税基本通達において使用した次の省略用語は、それぞれ次に掲げる法令等を示すものである。
法 ……………………… 法人税法
令 ………………………法人税法施行令
規則 ……………………法人税法施行規則
措置法 …………………租税特別措置法
措置法令 ………………租税特別措置法施行令
通則法 …………………国税通則法
通則法令 ………………国税通則法施行令
耐用年数省令 …………減価償却資産の耐用年数等に関する省令
旧資産流動化法 ……… 特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律(平成12年法律第97号)第1条の規定による改正前の特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律
第1章 総則
第1節 納税地及び納税義務
(被合併法人の法人税に係る納税地)
1-1-1法人が合併した場合において、当該合併に係る被合併法人のその合併の日以後における法人税の納税地は、当該合併に係る合併法人の納税地によるのであるから留意する。ただし、合併に係る被合併法人が連結親法人であり、かつ、合併法人が当該連結親法人との間に連結完全支配関係がない連結子法人である場合には、当該合併法人が連結申告法人でないものとしたときの当該合併法人の納税地となる。
(注) 合併に係る被合併法人が連結子法人である場合において、当該合併の日の前日の属する連結事業年度以前の連結事業年度の連結申告に係る法人税の納税地は、本文の取扱いにかかわらず、その連結申告に係る連結親法人の納税地となる。
(連結離脱法人の連帯納付責任)
1-1-2 連結子法人が、法第4条の5第1項若しくは第2項《連結納税の承認の取消し》の規定により法第4条の2《連結納税義務者》の承認を取り消され又は法第4条の5第3項《連結納税の取りやめの承認》の承認を受けた場合であっても、その取消し又は取りやめの承認に係る最終の連結事業年度以前の各連結事業年度の連結所得に対する法人税(当該連結子法人がその連結親法人との間に連結完全支配関係がある期間内に納税義務が成立したものに限る。)については、法第81条の28第1項《連結子法人の連帯納付の責任》の規定の適用があることに留意する。
第2節 完全支配関係
(他の内国法人の株主等に外国法人が含まれている場合の完全支配関係の判定)
1-2-1法第4条の2《連結納税義務者》に規定する他の内国法人の株主等に外国法人が含まれている場合には、同条に規定する完全支配関係(以下「完全支配関係」という。)は成立しないことに留意する。
(名義株がある場合の完全支配関係の判定)
1-2-2 法第4条の2《連結納税義務者》の規定の適用上、内国法人と他の内国法人との間に当該内国法人による完全支配関係があるかどうかは、当該他の内国法人の株主名簿又は社員名簿に記載されている株主等により判定するのであるが、その株主等が単なる名義人であって、当該株主等以外の者が実際の権利者である場合には、その実際の権利者が保有するものとして判定する。
(完全支配関係を有することとなった日の意義)
1-2-3 完全支配関係があるかどうかの判定における当該完全支配関係を有することとなった日とは、例えば、その有することとなった原因が次に掲げる場合には、それぞれ次に掲げる日となることに留意する。 (1) 株式の購入 当該購入に係る契約の成立した日
(2) 新たな法人の設立 当該法人の設立後最初の事業年度開始の日
(3) 株式交換 株式交換期日
(4) 合併(新設合併を除く。) 合併期日
(完全支配関係の判定における従業員持株会の範囲)
1-2-4 令第14条の3第1項第2号イ《連結納税における株式の保有関係等》に規定する組合は、民法第 667条第1項《組合》に規定する組合契約による組合に限られるのであるから、いわゆる証券会社方式による従業員持株会は、原則としてこれに該当するが、いわゆる信託銀行方式による従業員持株会はこれに該当しない。
(従業員持株会の構成員たる使用人の範囲)
1-2-5 令第14条の3第1項第2号イ《連結納税における株式の保有関係等》の「法人の使用人」は、当該法人の使用人に限られるのであるから、当該法人との間に当該法人による完全支配関係がある他方の法人の使用人は、これに含まれないことに留意する。 (注) 当該使用人には、法第35条第5項《使用人兼務役員の範囲》に規定する使用人としての職務を有する役員は含まれない。
(完全支配関係の判定における従業員持株会等に係る株式の保有割合の意義)
1-2-6 内国法人と他の内国法人との間の完全支配関係の判定上、令第14条の3第1項第2号《連結納税における株式の保有関係等》に規定する「割合」が5%未満かどうかは、当該割合が5%未満である状態が継続している場合をいうのであるから、例えば、連結子法人に係る当該割合が5%以上となったときには、当該連結子法人はその時において連結親法人との間に当該連結親法人による完全支配関係を有しないこととなることに留意する。
(最初連結事業年度開始の日に完全支配関係を有することとなった法人の取扱い)
1-2-7 法第4条の3第3項《連結納税の承認の処分》の規定により承認の処分があったとみなされる他の内国法人は、最初の連結事業年度としようとする期間の開始の時に同条第1項の内国法人との間に完全支配関係があるものに限られるのであるから、例えば、当該最初の連結事業年度としようとする期間の開始の日に当該内国法人によって設立された法人のように当該開始の日において当該内国法人との間に完全支配関係を有することとなった法人は、これに該当せず、同条第10項《連結納税への加入》の規定の適用があることに留意する。
(連結完全支配関係を有しなくなる事実)
1-2-8 法第4条の5第2項第5号《連結納税の承認のみなし取消し》に規定する「連結完全支配関係を有しなくなったこと」には、例えば、次に掲げる事実がこれに該当する。
(1) 連結子法人の発行済株式又は出資(以下1-2-8において「発行済株式等」という。)の全部又は一部が当該連結子法人との間に連結完全支配関係がない者に保有されることとなったこと
(2) 連結子法人の発行済株式等の全部又は一部を直接又は間接に保有する他の連結子法人(以下1-2-8及び1-3-3において「株式等保有連結子法人」という。)に次に掲げる事実が生じたことに基因して連結完全支配関係を有しなくなったこと
イ 株式等保有連結子法人の発行済株式等の全部又は一部が当該株式等保有連結子法人との間に連結完全支配関係のない者に保有されることとなったこと
ロ 解散(合併による解散を除く。)
ハ 合併による解散(当該株式等保有連結子法人との間に連結完全支配関係がある連結法人との合併による解散を除く。)
ニ 同条第1項《連結納税の承認の取消し》の規定により連結納税の承認を取り消されたこと
ホ 令第14条の3第1項第2号《連結納税における株式の保有関係等》に規定する「割合」が5%以上となったこと
(3) 連結親法人が法第4条の5第1項の規定により連結納税の承認を取り消されたこと
第3節 連結納税に係る承認申請等
(連結親法人及び連結子法人の意義)
1-3-1法第2条第12号の7の2《連結親法人の意義》に規定する「連結親法人」及び同条第12号の7の3《連結子法人の意義》に規定する「連結子法人」とは、法第4条の3第3項、第4項、第8項、第10項及び第11項《連結納税の承認等》の規定により承認を受けるとともに、それぞれの規定の承認の効力が生じている法人をいうことに留意する。
(最初連結親法人事業年度開始の時までの間に完全支配関係を有することとなった法人のみなし承認)
1-3-2 法第4条の2《連結納税義務者》に規定する他の内国法人が、既に法第4条の3第1項《連結納税の承認申請》の規定により申請を行った内国法人との間に、当該申請の時から最初連結親法人事業年度開始の時までの間に、新たに当該内国法人による完全支配関係を有することとなった場合において、当該内国法人に対して承認の処分があったときは、当該他の内国法人についても法第4条の3第3項《連結納税の承認の処分》の規定により承認の処分があったものとみなすことに留意する。
(最初連結事業年度開始の日の前日までの間に完全支配関係を有しなくなった法人の連結適用制限)
1-3-3 法第4条の2《連結納税義務者》に規定する他の内国法人が、既に法第4条の3第3項《連結納税の承認の処分》の承認の処分を受けた法第4条の2に規定する内国法人について当該承認の効力が生ずる前に当該内国法人との間に当該内国法人による完全支配関係を有しないこととなった場合には、法第4条の5第2項第5号《連結納税の承認のみなし取消し》に掲げる事実に該当しないのであるから、当該他の内国法人は令第14条の3第3項第4号《承認取消し等に係る連結適用制限》に掲げる法人に該当しないことに留意する。 (注) 法第4条の3第9項第2号又は第3号及び第11項第2号又は第3号《設立事業年度等の承認申請特例に係る承認の効力等》に規定する「他の内国法人」又は「前2号に掲げる法人以外の法人」が連結子法人となった場合には、たとえ同条第6項《設立事業年度等の申請期限特例》に規定する連結申請特例年度の終了の日までの間に当該内国法人との間に連結完全支配関係を有しないこととなったとき(株式等保有連結子法人が合併以外の事由による解散に基因して当該内国法人による連結完全支配関係を有しなくなった場合を除く。)であっても、令第14条の3第3項第4号に掲げる法人に該当することになるのであるから留意する。
(設立事業年度等の承認申請特例の不適用)
1-3-4 法第4条の2《連結納税義務者》に規定する内国法人が次のいずれかに該当する場合には、それぞれ次に掲げる事業年度については、法第4条の3第6項《設立事業年度等の申請期限特例》の規定の適用はないことに留意する。
(1) 当該内国法人の設立事業年度(同項に規定する設立事業年度をいう。以下1-3-4において同じ。)の期間が5月を超えない場合((2) に該当する場合を除く。) 設立事業年度
(2) 当該内国法人の設立事業年度開始の日から当該設立事業年度の翌事業年度終了の日までの期間が5月を超えない場合 設立事業年度及びその翌事業年度
(承認取消後5年経過前に連結子法人となる法人)
1-3-5 法第4条の5第2項第5号《連結納税の承認のみなし取消し》の規定により連結納税の承認を取り消された法人(1-2-8の(2) ロの事実に基因して承認を取り消された法人を除く。)は、その取消しの日以後5年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間(以下1-3-5において「適用制限期間」という。)を経過していない場合には当該取消しの直前におけるその連結親法人の連結子法人となることができないのであるが、当該適用制限期間中に当該連結親法人以外の連結親法人(以下1-3-5において「他の連結親法人」という。)との間に完全支配関係を有することとなった場合には、当該他の連結親法人の連結子法人となるのであるから留意する。
(連結納税の取りやめの承認事由)
1-3-6 法第4条の5第3項《連結納税の取りやめの承認》に規定する「やむを得ない事情があるとき」とは、例えば、連結納税の適用を継続することにより事務負担が著しく過重になると認められる場合をいうのであるから、単に税負担が軽減されることのみを理由として連結納税を適用しないこととする場合は、これに該当しないことに留意する。
第4節 事業年度及び連結事業年度
(設立第1回連結事業年度の開始の日)
1-4-1連結法人の設立後最初の事業年度が連結事業年度に該当する場合には、その設立後最初の連結事業年度の開始の日は、連結法人の設立の日による。この場合において、設立の日は、設立の登記により成立する連結法人にあっては設立の登記をした日、行政官庁の認可又は許可によって成立する連結法人にあってはその認可又は許可の日とする。
(組織変更の場合の連結事業年度)
1-4-2 連結法人が商法その他の法令の規定によりその組織を変更して他の種類の法人となった場合(当該連結法人が、組織変更後においても組織変更前の連結親法人との間に当該連結親法人による連結完全支配関係がある場合に限る。)には、組織変更前の連結法人の解散の登記、組織変更後の連結法人の設立の登記にかかわらず、その解散又は設立はなかったものとして取り扱う。したがって、当該連結法人の連結事業年度は、その組織変更によっては区分されず継続することに留意する。
(解散、継続、合併又は分割の日)
1-4-3 法第14条第1号、第10号及び第14号《みなし事業年度》の「解散の日」又は第19号の「継続の日」とは、株主総会その他これに準ずる総会等において解散又は継続の日を定めたときはその定めた日、解散又は継続の日を定めなかったときは解散又は継続の決議の日、解散事由の発生により解散した場合には当該事由発生の日をいう。
また、同条第2号、第11号及び第15号の「合併の日」とは、合併契約において合併期日として定めた日をいい、同条第3号及び第12号の「分割の日」とは、分割契約若しくは分割計画において分割期日として定めた日をいう。
(設立無効等の判決を受けた場合の清算)
1-4-4 連結法人が設立無効又は設立取消しの判決により商法の規定に従って清算をする場合には、当該判決の確定の日において解散したものとする。
第5節 連結同族会社
(議決権のない株式がある場合の連結同族会社の判定)
1-5-1法第2条第10号《同族会社の意義》に規定する「株式」及び「発行済株式」には、議決権のない株式が含まれる。
(名義株についての株主等の判定)
1-5-2 法第2条第10号《同族会社の意義》に規定する「株主等」は、株主名簿又は社員名簿に記載されている株主等によるのであるが、その株主等が単なる名義人であって、当該株主等以外の者が実際の権利者である場合には、その実際の権利者を株主等とする。
(生計を維持しているもの)
1-5-3 令第4条第1項第4号《同族関係者の範囲》に規定する「株主等から受ける金銭その他の資産によって生計を維持しているもの」とは、当該株主等から給付を受ける金銭その他の財産又は給付を受けた金銭その他の財産の運用によって生ずる収入を日常生活の資の主要部分としている者をいう。
(生計を一にすること)
1-5-4 令第4条第1項第5号《同族関係者の範囲》に規定する「生計を一にする」こととは、有無相助けて日常生活の資を共通にしていることをいうのであるから、必ずしも同居していることを必要としない。
(連結同族会社の判定の基礎となる株主等)
1-5-5 連結親法人が同族会社であるかどうかを判定する場合には、必ずしもその持株割合の大きいものから順にその判定の基礎となる株主等を選定する必要はないのであるから、例えば、その順に株主等を選定した場合には同族会社とならない場合であっても、その選定の仕方を変えて判定すれば同族会社となるときは、その会社は法第2条第10号《同族会社の意義》に規定する同族会社に該当することに留意する。
第6節 組織再編成
(組織再編成の日)
1-6-1連結法人が合併、分割、現物出資又は事後設立(以下1-6-1において「組織再編成」という。)を行った場合における当該組織再編成の日は、当該組織再編成により当該連結法人が合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人にその有する資産及び負債の移転をした日をいうのであるから、留意する。
(注) 合併又は分割の場合における当該移転をした日は、合併契約において合併期日として定めた日又は分割契約若しくは分割計画において分割期日として定めた日をいう。
(合併等に際し1株未満の株式の譲渡代金を被合併法人等の株主等に交付した場合の適格合併等の判定)
1-6-2 連結法人が行った合併が法第2条第12号の8《適格合併》に規定する適格合併に該当するかどうかを判定する場合において、合併法人が合併に際し被合併法人の株主等に交付する株式(出資を含む。以下1-6-3までにおいて同じ。)に1株未満の株式が生じたためその1株未満の株式の合計数に相当する株式を他に譲渡し、その譲渡代価を当該株主等に交付したときは、当該株主等に対してその1株未満の株式に相当する株式を交付したこととなることに留意する。
連結法人が行った分割が法第2条第12号の11《適格分割》に規定する適格分割に該当するかどうかを判定する場合も、同様とする。
(注) 当該1株未満の株式は、令第4条の2第3項第5号《適格合併の要件》及び同条第6項第6号《適格分割の要件》に規定する議決権のないものに該当する。
(名義株がある場合の適格合併等の判定)
1-6-3 法第2条第12号の8イ又はロ《適格合併》の規定の適用上、被合併法人と合併法人との間に一方の法人が他方の法人の株式を保有する関係があるかどうかは、株主名簿又は社員名簿に記載されている株主等により判定するのであるが、その株主等が単なる名義人であって、当該株主等以外の者が実際の権利者である場合には、その実際の権利者が保有するものとして判定する。
同条第12号の11イ若しくはロ《適格分割》又は第12号の14イ若しくはロ《適格現物出資》における判定についても、同様とする。
(従業者の範囲)
1-6-4 法第2条第12号の8ロ(1) 若しくは令第4条の2第3項第3号《適格合併の要件》、法第2条第12号の11ロ(2) 若しくは令第4条の2第6項第4号《適格分割の要件》又は法第2条第12号の14ロ(2) 若しくは令第4条の2第10項第4号《適格現物出資の要件》に規定する「従業者」とは、役員、使用人その他の者で、合併、分割又は現物出資の直前において被合併法人の合併前に営む事業、分割事業(同条第6項第1号に規定する分割事業をいう。以下この節において同じ。)又は現物出資事業(同条第10項第1号に規定する現物出資事業をいう。以下この節において同じ。)に現に従事する者をいうものとする。ただし、これらの事業に従事する者であっても、例えば日々雇い入れられる者で従事した日ごとに給与等の支払を受ける者について、法人が従業者の数に含めないこととしている場合は、これを認める。
同条第3項第2号、第6項第2号又は第10項第2号《共同事業要件》の従業者の範囲についても、同様とする。
(注)1出向により受け入れている者等であっても、被合併法人の合併前に営む事業、分割事業又は現物出資事業に現に従事する者であれば従業者に含まれることに留意する。
2 下請先の従業員は、例えば自己の工場内でその業務の特定部分を継続的に請け負っている企業の従業員であっても、従業者には該当しない。
3 分割事業又は現物出資事業とその他の事業とのいずれにも従事している者については、主として当該分割事業又は現物出資事業に従事しているかどうかにより判定する。
(主要な事業の判定)
1-6-5 被合併法人の合併前に営む事業が2以上ある場合において、そのいずれが法第2条第12号の8ロ(2) 《適格合併》に規定する「主要な事業」であるかは、それぞれの事業に属する収入金額又は損益の状況、従業者の数、固定資産の状況等を総合的に勘案して判定する。
(事業規模を比較する場合の売上金額等に準ずるもの)
1-6-6 令第4条の2第3項第2号《適格合併に係る共同事業要件》、第6項第2号《適格分割に係る共同事業要件》又は第10項第2号《適格現物出資に係る共同事業要件》に規定する「これらに準ずるものの規模」とは、例えば、金融機関における預金量等、客観的・外形的にその事業の規模を表すものと認められる指標をいう。 (注) 事業の規模の割合がおおむね5倍を超えないかどうかは、これらの号に規定するいずれか一の指標が要件を満たすかどうかにより判定する。
(特定役員の範囲)
1-6-7 令第4条の2第3項第2号《適格合併に係る共同事業要件》に規定する「これらに準ずる者」とは、役員又は役員以外の者で、社長、副社長、代表取締役、専務取締役又は常務取締役と同等に法人の経営の中枢に参画している者をいう。 (注) 専務取締役及び常務取締役の意義については8-2-2《専務取締役等の意義》による。
(主要な資産及び負債の判定)
1-6-8 法第2条第12号の11ロ(1) 若しくは令第4条の2第6項第3号《適格分割の要件》又は法第2条第12号の14ロ(1) 若しくは令第4条の2第10項第3号《適格現物出資の要件》の規定の適用上、分割事業又は現物出資事業に係る資産及び負債が主要なものであるかどうかは、分割法人又は現物出資法人が当該事業を営む上での当該資産及び負債の重要性のほか、当該資産及び負債の種類、規模、事業再編計画の内容等を総合的に勘案して判定するものとする。
(従業者が従事することが見込まれる業務)
1-6-9 法第2条第12号の8ロ(1) 《適格合併》に規定する「合併法人の業務」、同条第12号の11ロ(2) 《適格分割》に規定する「分割承継法人の業務」又は同条第12号の14ロ(2) 《適格現物出資》に規定する「被現物出資法人の業務」は、合併により移転した事業、分割事業又は現物出資事業に限らないことに留意する。
令第4条の2第3項第3号《適格合併の要件》、第6項第4号《適格分割の要件》又は第10項第4号《適格現物出資の要件》の判定についても、同様とする。
(出向により分割承継法人等の業務に従事する場合)
1-6-10 法第2条第12号の11ロ(2) 又は令第4条の2第6項第4号《適格分割の要件》に規定する「分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること」には、分割法人の分割の直前の従業者が出向により分割承継法人の業務に従事する場合が含まれることに留意する。
法第2条第12号の14ロ(2) 又は令第4条の2第10項第4号《適格現物出資の要件》の判定についても、同様とする。
(移転資産の範囲-借地権の設定)
1-6-11分割、現物出資又は事後設立による資産の移転には、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人を借地権者とする借地権の設定(令第 138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用がある設定に限る。)が含まれる。 (注) この場合における当該借地権に係る法第62条第2項《合併及び分割による資産等の時価による譲渡》若しくは第62条の5第1項《適格事後設立による資産等の時価による譲渡と株式の帳簿価額修正益又は帳簿価額修正損の益金又は損金算入》に規定する「原価の額」又は法第62条の2第1項《適格合併及び適格分割型分割による資産等の帳簿価額による引継ぎ》、第62条の3《適格分社型分割による資産等の帳簿価額による譲渡》若しくは第62条の4第1項《適格現物出資による資産等の帳簿価額による譲渡》に規定する「帳簿価額」は、当該借地権に係る土地につき令第 138条第1項の規定により損金の額に算入される金額に相当する金額をいう。
(国内にある事業所に属する資産又は負債の判定)
1-6-12 令第4条の2第7項《適格現物出資の要件》に規定する「国内にある事業所に属する資産又は負債」に該当するかどうかは、原則として、当該資産又は負債が国内にある事業所又は国外にある事業所のいずれの事業所の帳簿に記帳されているかにより判定するものとする。
ただし、国外にある事業所の帳簿に記帳されている資産又は負債であっても、実質的に国内にある事業所において経常的な管理が行われていたと認められる資産又は負債については、国内にある事業所に属する資産又は負債に該当することになるのであるから留意する。
(資産等の移転が設立の時から6月以内に行われなかったことについてのやむ得ない事情)
1-6-13 令第4条の2第13項第3号《適格事後設立の要件》に規定する「やむを得ない事情」とは、例えば、資産若しくは負債の移転又はその移転により行うこととなる営業につき行政庁の許認可等を必要とする場合において、当該許認可等の審査及び処理に要する期間が6月を超えることとなったことがこれに該当する。
(資産等の移転による譲渡の対価の額)
1-6-14 令第4条の2第13項第4号《適格事後設立の要件》に規定する「資産等の移転による譲渡の対価の額」とは、当該資産等の譲渡の時の時価をいうことに留意する。
第7節 資本等の金額及び資本等取引
(資本の増加の日)
1-7-1連結法人の資本又は出資の増加があった場合におけるその資本又は出資の増加の日は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に定める日による。
(1) 払込み又は現物出資による増資の場合((3) に該当する場合を除く。) 払込期日(現物出資の場合には、現物出資の目的となった財産の給付の期日)。ただし、株式会社にあっては、当該払込期日の翌日
(2) 利益若しくは準備金の資本組入れ又は再評価積立金の資本組入れによる増資の場合 当該組入れに関する取締役会又は株主総会若しくは社員総会の決議の日。ただし、その決議により増資の日として定められた日があるときは、その日
(3) 新株予約権及び新株予約権付社債に係る新株予約権の権利行使による増資の場合 払込みがあった日。ただし、権利行使があったときに代用払込みの請求があったものとみなす場合には、その権利行使の日
(加入金)
1-7-2 法第2条第17号の3《連結個別資本積立金額の意義》の規定により連結個別資本積立金額を計算する場合の同条第17号ハ《資本積立金額の意義》に規定する「加入金」とは、法令若しくは定款の定め又は総会の決議に基づき新たに組合員又は会員となる者から出資持分を調整するために徴収するもので、これを拠出しないときは、組合員又は会員たる資格を取得しない場合のその加入金をいう。
(利益準備金の資本組入れがあった場合の連結個別資本積立金額の減算)
1-7-3 連結法人が商法第 293条ノ3《準備金の資本組入れ》の規定により利益準備金の資本組入れを行った場合には、当該組み入れた金額に相当する金額につき連結個別利益積立金額を減算することなく連結個別資本積立金額を減算するのであるから、留意する。 (注) 当該減算する連結個別資本積立金額が当該組入れ前の連結個別資本積立金額を超える場合には、当該組入れ後における連結個別資本積立金額はマイナスとなることに留意する。
(資本等取引に該当する利益等の分配)
1-7-4 法第22条第5項《資本等取引の意義》の規定により資本等取引に該当する利益又は剰余金の分配には、連結法人が確定した決算において利益又は剰余金の処分により配当等としたものだけでなく、株主等に対しその出資者たる地位に基づいて供与した一切の経済的利益を含むものとする。
(外貨建ての転換社債型新株予約権付社債の権利行使があった場合の連結個別資本積立金額)
1-7-5 外貨建ての転換社債型新株予約権付社債に係る新株予約権の行使により株式を発行した場合において、これに伴いその連結個別資本積立金額とされる金額は、その行使の対象となった転換社債型新株予約権付社債の帳簿価額から当該株式の発行により資本に組み入れられた金額を控除した金額とする。 (注) 転換社債型新株予約権付社債とは、新株予約権の行使があったときに代用払込の請求があったものとみなす旨を決議した新株予約権付社債のうち、次のいずれかの事項があらかじめ社債要項等において明らかにされているものをいう。
(1) 新株予約権について消却事由を定めておらず、かつ、社債についても繰上償還を定めていないこと。
(2) 新株予約権について消却事由を定めている場合には、新株予約権が消却されたときに社債も同時に償還されること、かつ、社債について繰上償還を定めている場合には、社債が繰上償還されたときに新株予約権も同時に消却されること。
(新株の買取引受けに係る株式払込剰余金)
1-7-6 連結法人が増資新株をその発行価額で証券会社に買取引受けさせた場合におけるその発行価額のうち資本に組み入れなかった金額は法第2条第17号の3《連結個別資本積立金額の意義》の規定により連結個別資本積立金額を計算する場合の同条第17号イ《資本積立金額の意義》に掲げる金額に該当するのであるが、この場合に証券会社に支払う引受手数料の額は、たとえその買取引受けに係る増資新株の全部又は一部を最終的に当該証券会社が買い取って払い込んだときであっても、令第14条第1項第6号《新株発行費》に規定する新株発行費に該当する。
第8節 連結利益積立金額
(納付すべき道府県民税等の計算)
1-8-1連結利益積立金額を計算する場合において、留保している金額に含まれない道府県民税及び市町村民税(以下1-8-1において「道府県民税等」という。)の金額は、連結利益積立金額の計算を行う時までに確定している次の(1) 及び(2) に掲げる金額を基礎として計算した金額(実際の税率により計算することが困難である場合には、標準税率により計算した金額)の合計額による。この場合において、その後道府県民税等の申告、更正又は決定により過不足額が生じたときは、その過不足額は、当該申告、更正又は決定のあった日の属する連結事業年度開始の日において調整する。
(1) 各連結法人の各連結事業年度の連結所得に対する法人税の負担額として支出すべき金額として法第81条の18第1項《連結法人税の個別帰属額の計算》の規定により計算される金額を支払うこととなる場合のその支払うこととなる金額
(2) 各連結法人の各連結事業年度の連結所得に対する法人税の額の減少額として収入すべき金額として同項の規定により計算される金額を支払うこととなる場合のその支払うこととなる金額
(注) 被合併法人の最後連結事業年度若しくは分割型分割(連結親法人事業年度開始の日に行うものに限る。)に係る分割法人の分割の日の前日の属する連結事業年度又は法第24条第1項第3号から第6号まで《配当等の額とみなす金額》の規定によりみなし配当の計算が必要となる連結事業年度については、標準税率によらず適正額により計算の基礎となる連結事業年度の連結個別利益積立金額を計算することに留意する。
(連結子法人株式の帳簿価額の修正額)
1-8-2 令第9条の2第5項《連結利益積立金額の計算》において読み替えて準用される同条第2項《連結法人株式の帳簿価額修正》に規定する「連結法人株式の帳簿価額修正額」がマイナスとなる場合には、当該マイナスの金額が法第2条第18号の2チ《連結利益積立金額の加算額》の金額となるのであるから、この場合の令第 119条の3第3項又は第119 条の4第1項《連結個別利益積立金額の増加・減少があった場合の移動平均法又は総平均法による帳簿価額の算出》の規定により計算した有価証券の一単位当たりの帳簿価額は、マイナスの金額となる場合があることに留意する。
(連結子法人株式の帳簿価額の修正事由に係る譲渡)
1-8-3 令第9条の2第4項《連結利益積立金額の増加・減少が生ずる事由》において読み替えて準用される同条第1項第1号《利益積立金額の増加・減少が生ずる事由》の規定の適用上、連結法人の有する他の連結法人の株式の譲渡は、連結法人以外の者に対する譲渡に限られないのであるから、例えば、その譲渡が他の連結法人に対するもので、法第81条の10第1項《連結法人間取引の損益の調整》の規定の適用があるものであっても、これに含まれることに留意する。
第9節 仮決算における経理
(仮決算における損金経理の意義)
1-9-1法第81条の20第1項《仮決算をした場合の連結中間申告書の記載事項等》に規定する期間(以下「連結中間事業年度」という。)に係る決算における損金経理とは、株主又は出資者に報告する当該期間に係る決算書及びその作成の基礎となった帳簿に費用又は損失として記載することをいう。
(圧縮記帳等の経理方法)
1-9-2 圧縮記帳による圧縮額又は各種準備金の積立額を利益又は剰余金の処分により積み立てる連結法人が、連結中間事業年度においてその積立てをしようとする金額を株主又は出資者に報告する当該連結中間事業年度に係る損益計算書の脚注に表示した場合には、その表示した金額は利益又は剰余金の処分により積み立てたものとして取り扱う。
第2章 収益並びに費用及び損失の計算
第1節 収益等の計上に関する通則
第1款 棚卸資産の販売による収益
(棚卸資産の販売による収益の帰属の時期)
2-1-1 棚卸資産の販売による収益の額は、その引渡しがあった日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(棚卸資産の引渡しの日の判定)
2-1-2 2-1-1の場合において、棚卸資産の引渡しの日がいつであるかについては、例えば、出荷した日、相手方が検収した日、相手方において使用収益ができることとなった日、検針等により販売数量を確認した日等当該棚卸資産の種類及び性質、その販売に係る契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち連結法人が継続してその収益計上を行うこととしている日によるものとする。この場合において、当該棚卸資産が土地又は土地の上に存する権利であり、その引渡しの日がいつであるかが明らかでないときは、次に掲げる日のうちいずれか早い日にその引渡しがあったものとすることができる。
(1) 代金の相当部分(おおむね50%以上)を収受するに至った日
(2) 所有権移転登記の申請(その登記の申請に必要な書類の相手方への交付を含む。)をした日
(委託販売による収益の帰属の時期)
2-1-3 棚卸資産の委託販売による収益の額は、その委託品について受託者が販売をした日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、当該委託品についての売上計算書が売上の都度作成され送付されている場合において、連結法人が継続してその収益を当該売上計算書の到達した日の属する連結事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(注)
受託者が週、旬、月を単位として一括して売上計算書を作成している場合においても、それが継続して行われているときは、「売上の都度作成され送付されている場合」に該当する。
(販売代金の額が確定していない場合の見積り)
2-1-4 連結法人がその販売に係る棚卸資産を引き渡した場合において、その引渡しの日の属する連結事業年度終了の日までにその販売代金の額が確定していないときは、同日の現況によりその金額を適正に見積るものとする。この場合において、その後、確定した販売代金の額が見積額と異なるときは、その差額はその確定した日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額又は損金の額に算入する。
第2款 請負による収益
(請負による収益の帰属の時期)
2-1-5 請負による収益の額は、別に定めるものを除き、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の全部を完了した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(建設工事等の引渡しの日の判定)
2-1-6 2-1-5の場合において、請負契約の内容が建設、造船その他これらに類する工事(以下2-1-9までにおいて「建設工事等」という。)を行うことを目的とするものであるときは、その建設工事等の引渡しの日がいつであるかについては、例えば、作業を結了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収を完了した日、相手方において使用収益ができることとなった日等当該建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうち連結法人が継続してその収益計上を行うこととしている日によるものとする。
(工事代金の額が確定していない場合の見積り)
2-1-7 2-1-4は、当該連結事業年度において完成して引き渡した建設工事等に係る工事代金の額が当該連結事業年度終了の日までに確定していない場合について準用する。
(値増金の益金算入の時期)
2-1-8 連結法人が請け負った建設工事等に係る工事代金につき資材の値上がり等に応じて一定の値増金を収入することが契約において定められている場合には、その収入すべき値増金の額はその建設工事等の引渡しの日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるが、相手方との協議によりその収入すべきことが確定する値増金については、その収入すべき金額が確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(部分完成基準による収益の帰属時期の特例)
2-1-9 連結法人が請け負った建設工事等(法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用があるもの及び同条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用を受けるものを除く。以下2-1-9において同じ。)について次に掲げるような事実がある場合には、その建設工事等の全部が完成しないときにおいても、その連結事業年度において引き渡した建設工事等の量又は完成した部分に対応する工事収入をその連結事業年度の益金の額に算入する。
(1) 一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合
(2) 1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合
(機械設備等の販売に伴い据付工事を行った場合の収益の帰属時期の特例)
2-1-10 連結法人が機械設備等の販売(法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用があるもの及び同条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用を受けるものを除く。以下2-1-10において同じ。)をしたことに伴いその据付工事を行った場合において、その据付工事が相当の規模のものであり、その据付工事に係る対価の額を契約その他に基づいて合理的に区分することができるときは、機械設備等に係る販売代金の額と据付工事に係る対価の額とを区分して、それぞれにつき2-1-1又は2-1-5により収益計上を行うことができるものとする。
(注) 連結法人がこの取扱いによらない場合には、据付工事に係る対価の額を含む全体の販売代金の額について2-1-1による。
(不動産仲介あっせん報酬の帰属の時期)
2-1-11 土地、建物等の売買、交換又は賃貸借(以下2-1-11において「売買等」という。)の仲介又はあっせんをしたことにより受ける報酬の額は、原則としてその売買等に係る契約の効力が発生した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、連結法人が、売買又は交換の仲介又はあっせんをしたことにより受ける報酬の額について、継続して当該契約に係る取引の完了した日(同日前に実際に収受した金額があるときは、当該金額についてはその収受した日)の属する連結事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(技術役務の提供に係る報酬の帰属の時期)
2-1-12 設計、作業の指揮監督、技術指導その他の技術役務の提供を行ったことにより受ける報酬の額は、原則としてその約した役務の全部の提供を完了した日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるが、その技術役務の提供について次に掲げるような事実がある場合には、その支払を受けるべき報酬の額が確定する都度その確定した金額をその確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入するものとする。ただし、その支払を受けることが確定した金額のうち役務の全部の提供が完了するまで又は1年を超える相当の期間が経過するまで支払を受けることができないこととされている部分の金額については、その完了する日とその支払を受ける日とのいずれか早い日まで収益計上を見合わせることができる。
(1) 報酬の額が現地に派遣する技術者等の数及び滞在期間の日数等により算定され、かつ、一定の期間ごとにその金額を確定させて支払を受けることとなっている場合
(2) 例えば基本設計に係る報酬の額と部分設計に係る報酬の額が区分されている場合のように、報酬の額が作業の段階ごとに区分され、かつ、それぞれの段階の作業が完了する都度その金額を確定させて支払を受けることとなっている場合
(注) 技術役務の提供に係る契約に関連してその着手費用に充当する目的で相手方から収受する仕度金、着手金等の額は、後日清算して剰余金があれば返還することとなっているものを除き、その収受した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(運送収入の帰属の時期)
2-1-13 運送業における運送収入の額は、原則としてその運送に係る役務の提供を完了した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、連結法人が、運送契約の種類、性質、内容等に応じ、例えば、次に掲げるような方法のうちその運送収入に係る収益の計上基準として合理的であると認められるものにより継続してその収益計上を行っている場合には、これを認める。
(1) 乗車券、乗船券、搭乗券等を発売した日(自動販売機によるものについては、その集金をした時)にその発売に係る運送収入の額を収益計上する方法
(2) 船舶、航空機等が積地を出発した日に当該船舶、航空機等に積載した貨物又は乗客に係る運送収入の額を収益計上する方法
(3) 一の航海(船舶が発港地を出発してから帰港地に到着するまでの航海をいう。以下2-1-13において同じ。)に通常要する期間がおおむね4月以内である場合において、当該一の航海に係る運送収入の額を当該一の航海を完了した日に収益計上する方法
(4) 一の運送に通常要する期間又は運送を約した期間の経過に応じて日割又は月割等によりその運送収入の額を収益計上する方法
(注) 1 運送業を営む2以上の法人が運賃の交互計算又は共同計算を行っている場合における当該交互計算又は共同計算により当該2以上の法人のうち連結法人が配分を受けるべき収益の額については、その配分が確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入することができる。
2 海上運送業を営む連結法人が船舶による運送に関連して受払いする滞船料又は早出料については、その額が確定した日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入することができる。
第3款 固定資産の譲渡等による収益
(固定資産の譲渡による収益の帰属の時期)
2-1-14 固定資産の譲渡による収益の額は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、その固定資産が土地、建物その他これらに類する資産である場合において、連結法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日の属する連結事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(注) 本文の取扱いによる場合において、固定資産の引渡しの日がいつであるかについては、2-1-2の例による。
(農地の譲渡による収益の帰属時期の特例)
2-1-15 農地の譲渡があった場合において、当該農地の譲渡に関する契約が農地法上の許可を受けなければその効力を生じないものであるため、連結法人がその譲渡による収益の額をその許可のあった日の属する連結事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(注) 連結法人が農地の取得に関する契約を締結した場合において、農地法上の許可を受ける前に当該契約に基づく契約上の権利を他に譲渡したときにおけるその譲渡による収益の計上時期については、2-1-14による。この場合において、当該権利の譲渡に関する契約において農地法上の許可を受けることを当該契約の効力発生の条件とする旨の定めがあったとしても、当該定めは、当該許可を受けることができないことを契約解除の条件とする旨の定めであるものとして2-1-14のただし書を適用する。
(工業所有権等の譲渡等による収益の帰属の時期)
2-1-16 工業所有権等(特許権、実用新案権、意匠権及び商標権並びにこれらの権利に係る出願権及び実施権をいう。以下この節において同じ。)の譲渡又は実施権の設定により受ける対価(使用料を除く。以下2-1-16において同じ。)の額は、原則としてその譲渡又は設定に関する契約の効力発生の日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、その譲渡又は設定の効力が登録により生ずることとなっている場合において、連結法人がその登録の日の属する連結事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
(注) その対価の額がその契約の効力発生の日以後一定期間内に支払を受けるべき使用料の額に充当されることとなっている場合であっても、当該連結事業年度終了の日においていまだ使用料の額に充当されていない部分の金額を前受金等として繰り延べることはできないことに留意する。
(ノーハウの頭金等の帰属の時期)
2-1-17 ノーハウの設定契約に際して支払を受ける一時金又は頭金の額は、当該ノーハウの開示を完了した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、ノーハウの開示が2回以上にわたって分割して行われ、かつ、その一時金又は頭金の支払がほぼこれに見合って分割して行われることとなっている場合には、その開示をした都度これに見合って支払を受けるべき金額をその開示をした日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(注) 1 その一時金又は頭金の額がノーハウの開示のために現地に派遣する技術者等の数及び滞在期間の日数等により算定され、かつ、一定の期間ごとにその金額を確定させて支払を受けることとなっている場合には、その支払を受けるべき金額が確定する都度その確定した金額をその確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
2 ノーハウの設定契約の締結に先立って、相手方に契約締結の選択権を付与するために支払を受けるいわゆるオプション料の額については、その支払を受けた日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
3 2-1-16の (注) は、ノーハウの設定契約に際して支払を受ける一時金又は頭金について準用する。
(固定資産を譲渡担保に供した場合)
2-1-18 連結法人が債務の弁済の担保としてその有する固定資産を譲渡した場合において、その契約書に次のすべての事項を明らかにし、自己の固定資産として経理しているときは、その譲渡はなかったものとして取り扱う。この場合において、その後その要件のいずれかを欠くに至ったとき又は債務不履行のためその弁済に充てられたときは、これらの事実の生じたときにおいて譲渡があったものとして取り扱う。
(1) 当該担保に係る固定資産を当該連結法人が従来どおり使用収益すること。
(2) 通常支払うと認められる当該債務に係る利子又はこれに相当する使用料の支払に関する定めがあること。
(注) 形式上買戻条件付譲渡又は再売買の予約とされているものであっても、上記のような条件を具備しているものは、譲渡担保に該当する。
(共有地の分割)
2-1-19 連結法人が他の者と土地を共有している場合において、その共有に係る土地をその持分に応じて分割したときは、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。
(注) その分割に要した費用の額は、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(法律の規定に基づかない区画形質の変更に伴う土地の交換分合)
2-1-20 一団の土地の区域内に土地(土地の上に存する権利を含む。以下2-1-20において同じ。)を有する2以上の者が、その一団の土地の利用の増進を図るために行う土地の区画形質の変更に際し、相互にその区域内に有する土地の交換分合(土地区画整理法、都市再開発法等の法律の規定に基づいて行うものを除く。以下2-1-20において同じ。)を行った場合には、その交換分合が当該区画形質の変更に必要最小限の範囲内で行われるものである限り、その交換分合による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。この場合において、当該区域内にある土地の一部がその区画形質の変更に要する費用に充てるために譲渡されたときは、当該2以上の者が当該区域内に有していた土地の面積の比その他合理的な基準によりそれぞれその有していた土地の一部を譲渡したものとする。
(注) 1 その区画形質の変更に要した費用の額は、土地の取得価額に算入することに留意する。
2 この取扱いは、当該交換分合が、一団の土地の区画形質の変更に伴い行われる道路その他の公共施設の整備、不整形地の整理等に基因して行われるもので、四囲の状況からみて必要最小限の範囲内であると認められるものについて適用できることに留意する。
(道路の付替え)
2-1-21 連結法人が、自己の有する土地の利用上障害となっている既存の公道(他の者の有する私道を含む。以下2-1-21において同じ。)を移転する目的で当該土地の一部に当該公道に代わるべき道路を建設し、当該道路及びその敷地に係る土地と当該公道の敷地に係る土地とを交換した場合には、その交換による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う。
(注) その道路の建設及び交換に要した費用の額は、土地の取得価額に算入することに留意する。
第4款 有価証券の譲渡による損益
(有価証券の譲渡による損益の計上時期)
2-1-22 有価証券の譲渡による法第61条の2第1項《有価証券の譲渡損益の益金算入等》に規定する譲渡利益額又は譲渡損失額(以下2-1-25までにおいて「譲渡損益の額」という。)の計上は、同項の規定に基づき原則として譲渡に係る契約の成立した日に行うこととなるのであるから、次に掲げる場合には、それぞれ次に掲げる日に譲渡損益の額を計上する。
(1) 証券業者等に売却の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託又は売出しの取扱いの委託をしている場合 当該委託をした有価証券の売却に関する取引が成立した日
(2) 相対取引により有価証券を売却している場合 証券取引法第41条《取引報告書の交付》に規定する取引報告書に表示される約定日、売買契約書の締結日などの当該相対取引の約定が成立した日
(3) その譲渡損益の額が次によるものである場合 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める日
イ 資本若しくは出資の減少、株式(出資を含む。以下2-1-22において同じ。)の消却又は社員の退社若しくは脱退によるものについては、これらの事実があった日
ロ その連結法人の有していた株式を発行した法人の合併によるものについては、合併期日
ハ その連結法人の有していた株式を発行した法人の分割型分割によるものについては、分割期日
ニ 解散による残余財産の分配によるものについては、その分配の開始の日(その分配が数回に分割してされた場合には、それぞれの分配の開始の日)
ホ 株式交換又は株式移転によるものについては、株式交換期日又は株式移転期日
(有価証券の譲渡による損益の計上時期の特例)
2-1-23 有価証券の譲渡損益の額は、原則として譲渡に係る契約の成立した日に計上しなければならないのであるが、令第 119条の2第2項本文又は第3項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法》に規定する区分に応じ、連結法人が当該譲渡損益の額(連結事業年度終了の日において未引渡しとなっている有価証券に係る譲渡損益の額を除く。)をその有価証券の引渡しのあった日に計上している場合には、これを認める。
(注) 1 有価証券の取得についても、原則として取得に係る契約の成立した日に取得したものとしなければならないのであるが、その引渡しのあった日に取得したものとして経理処理をしている場合には、連結事業年度終了の日において未引渡しとなっている有価証券を除き、本文の譲渡の場合と同様に取り扱う。この場合、同条第1項の規定の適用についても、同様とする。
2 本文及び (注) 1の取扱いは、譲渡及び取得のいずれについてもこれらの取扱いを適用している場合に限り、継続適用を条件として認めるものとする。
(短期売買業務の廃止に伴う売買目的有価証券から満期保有目的等有価証券又はその他有価証券への区分変更)
2-1-24 令第 119条の11《有価証券の区分変更によるみなし譲渡》の表の第1号中欄のロに規定する短期売買業務の全部を廃止したことという事実は、反復継続して行う有価証券の売買を主たる業務として又は従たる業務として営んでいる連結法人が、その業務を行っている事業所、部署等の撤収、廃止等をし、当該連結法人が当該業務そのものを行わないこととしたことをいうのであるから、単に、保有する同号上欄に掲げる売買目的有価証券の売却を行わないこととしたことは上記の事実に該当しないことに留意する。
(注) 本文の適用は、事業所ごと、かつ、令第 119条の12第1号《売買目的有価証券の範囲》に規定する「専担者売買有価証券」、2-3-23に定める「短期売買有価証券」又は令第 119条の12第2号に規定する「信託財産に属する有価証券」の区分ごとに判定する。
(現渡しの方法による決済を行った場合の損益の計上時期)
2-1-25 法第61条の2第9項《信用取引等の譲渡利益額又は譲渡損失額》に規定する信用取引の方法により株式の売付けを行った場合において、いわゆる現渡しの方法による決済を行ったときは、当該取引に係る譲渡損益の額は、当該決済に係る約定が成立した日に計上する。
(売却及び購入の同時の契約等のある有価証券の取引)
2-1-26 同一の有価証券(法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券を除く。)が売却の直後に購入された場合において、その売却先から売却をした有価証券の買戻し又は再購入(証券業者等に売却の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託をしている場合の当該証券業者等からの購入又は当該証券業者等に購入の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託をしている場合の当該購入を含む。)をする同時の契約があるときは、当該売却をした有価証券のうち当該買戻し又は再購入をした部分はその売却がなかったものとして取り扱う。
(注) 1 同時の契約がない場合であっても、これらの契約があらかじめ予定されたものであり、かつ、売却価額と購入価額が同一となるよう売買価額が設定されているとき又はこれらの価額が売却の決済日と購入の決済日との間に係る金利調整のみを行った価額となるよう設定されているときは、同時の契約があるものとして取り扱う。
2 本文の適用を受ける取引に伴い支出する委託手数料その他の費用は、当該有価証券の取得価額に含めない。
3 購入の直後に売却が行われた場合の当該購入についても同様に取り扱う。
第5款 利子、配当、使用料等に係る収益
(貸付金利子等の帰属の時期)
2-1-27 貸付金、預金、貯金又は有価証券(以下2-1-27において「貸付金等」という。)から生ずる利子の額は、その利子の計算期間の経過に応じ当該連結事業年度に係る金額を当該連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、主として金融及び保険業を営む法人以外の連結法人が、その有する貸付金等(当該連結法人が金融及び保険業を兼業する場合には、当該金融及び保険業に係るものを除く。)から生ずる利子でその支払期日が1年以内の一定の期間ごとに到来するものの額につき、継続してその支払期日の属する連結事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。
(注) 1 例えば借入金とその運用資産としての貸付金、預金、貯金又は有価証券(信託財産に組み込まれたこれらの資産を含む。)がひも付きの見合関係にある場合のように、その借入金に係る支払利子の額と運用資産から生ずる利子の額を対応させて計上すべき場合には、その運用資産から生ずる利子の額については、ただし書の適用はないものとする。
2 資産の販売等に伴い発生する売上債権(受取手形を含む。)又はその他の金銭債権について、その現在価値と当該債権に含まれる金利要素とを区分経理している場合の当該金利要素に相当する部分の金額は、当該債権の発生の基となる資産の販売等に係る売上の額等に含まれることに留意する。
(相当期間未収が継続した場合等の貸付金利子等の帰属時期の特例)
2-1-28 連結法人の有する貸付金又は当該貸付金に係る債務者について次のいずれかの事実が生じた場合には、当該貸付金から生ずる利子の額(実際に支払を受けた金額を除く。)のうち当該連結事業年度に係るものは、2-1-27にかかわらず、当該連結事業年度の益金の額に算入しないことができるものとする。
(1) 債務者が債務超過に陥っていることその他相当の理由により、その支払を督促したにもかかわらず、当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該連結事業年度終了の日以前6月(当該連結事業年度終了の日以前6月以内に支払期日がないものは1年。以下2-1-28において「直近6月等」という。)以内にその支払期日が到来したもの(当該貸付金に係る金銭債権を売買等により取得した場合のその取得前の期間のものを含む。以下2-1-28において「最近発生利子」という。)の全額が当該連結事業年度終了の時において未収となっており、かつ、直近6月等以内に最近発生利子以外の利子について支払を受けた金額が全くないか又は極めて少額であること。
(2) 債務者につき会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続又は商法の規定による会社の整理その他これに類する法律上の整理手続が開始されたこと。
(3) 債務者につき債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しがないこと、当該債務者が天災事故、経済事情の急変等により多大の損失を蒙ったことその他これらに類する事由が生じたため、当該貸付金の額の全部又は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至ったこと。
(4) 会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生計画認可の決定、債権者集会の協議決定等により当該貸付金の額の全部又は相当部分について相当期間(おおむね2年以上)棚上げされることとなったこと。
(注) 1 この取扱いにより益金の額に算入しなかった利子の額については、その後これにつき実際に支払を受けた日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額に算入する。
2 連結法人の有する債券又は債券の発行者に上記(1) から(4) までと同様の事実が生じた場合にも、当該債券に係る利子につき同様に取り扱う。
(利息制限法の制限超過利子)
2-1-29 連結法人が利息制限法に定める制限利率(以下2-1-29において「制限利率」という。)を超える利率により金銭の貸付けを行っている場合におけるその貸付けに係る貸付金から生ずる利子の額の収益計上については、2-1-27及び2-1-28によるほか、次に定めるところによるものとする。
(1) 当該貸付金から生ずる利子の額のうち当該連結事業年度に係る金額は、原則としてその貸付けに係る約定利率により計算するものとするが、実際に支払を受けた利子の額を除き、連結法人が継続して制限利率によりその計算を行っている場合には、これを認める。
(2) 当該貸付金から生ずる利子の額のうち実際に支払を受けたものについては、その支払を受けた金額を利子として益金の額に算入する。
(3) (1) により当該連結事業年度に係る利子の額を計算する場合におけるその計算の基礎となる貸付金の額は、原則としてその貸付けに係る約定元本の額によるものとするが、連結法人が継続して既に支払を受けた利子の額のうち制限利率により計算した利子の額を超える部分の金額(貸金業の規制等に関する法律第43条第1項《任意に支払った場合のみなし弁済》の規定の適用を受けた金額を除く。)を元本の額に充当したものとして当該貸付金の額を計算している場合には、これを認める。
(注) この場合には、貸倒引当金の計算の基礎となる連結事業年度終了の時における金銭債権の帳簿価額についても斉一の方法によるものとする。
(利益の配当等の帰属の時期)
2-1-30 連結法人が他の法人から受ける利益の配当、中間配当(商法第 293条ノ5第1項《中間配当》、資産の流動化に関する法律第 102条第1項《中間配当》又は旧資産流動化法第 102条第1項《中間配当》に規定する金銭の分配をいう。以下同じ。)、剰余金の分配又は投資信託及び特定目的信託の収益の分配(以下2-1-34までにおいてこれらを「利益の配当等」という。)の額は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日の属する連結事業年度の収益とする。ただし、その利益の配当等の額が外国法人から受けるものである場合において、当該外国法人の本店又は主たる事務所の所在する国又は地域の利益の配当等に関する法令にその確定の時期につきこれと異なる定めがあるときは、当該法令に定めるところにより当該利益の配当等の額が確定したとされる日の属する連結事業年度の収益とする。
(1) 利益の配当又は剰余金の分配については、当該配当又は分配をする法人の株主総会その他正当な権限を有する機関において当該利益の配当又は剰余金の分配に関する決議のあった日
(注) 連結法人が、配当落ち日に未収配当金の見積計上をしている場合であっても、当該未収配当金の額は、未確定の収益として当該配当落ち日の属する連結事業年度の益金の額に算入しない。次の(2) において同じ。
(2) 中間配当については、当該中間配当に係る取締役会の決議又は取締役の決定のあった日。ただし、その決議又は決定により中間配当の請求権に関しその効力発生日として定められた日があるときは、その日
(3) 投資信託及び特定目的信託の収益の分配のうち信託の開始の時からその終了の時までの間におけるものについては、当該収益の計算期間の末日とし、投資信託及び特定目的信託の終了又は投資信託及び特定目的信託の一部の解約による収益の分配については、当該終了又は解約のあった日
(4) 法第24条《配当等の額とみなす金額》の規定によるみなし配当については、次に掲げる区分に応じ、それぞれに定める日
イ 合併(適格合併を除く。)によるものについては、合併期日又は合併登記の日
ロ 分割型分割(適格分割型分割を除く。)によるものについては、分割期日又は分割登記の日
ハ 資本若しくは出資の減少、株式(出資を含む。以下2-1-30において同じ。)の消却、自己の株式の取得又は社員の退社若しくは脱退によるものについては、これらの事実があった日
ニ 解散による残余財産の分配によるものについては、その分配の開始の日(その分配が数回に分割してされた場合には、それぞれの分配の開始の日)
(利益の配当等の帰属時期の特例)
2-1-31 連結法人が他の法人から受ける利益の配当等の額でその支払のために通常要する期間内に支払を受けるものにつき継続してその支払を受けた日の属する連結事業年度の収益としている場合には、2-1-30にかかわらず、これを認める。
(賃貸借契約に基づく使用料等の帰属の時期)
2-1-32 資産の賃貸借契約に基づいて支払を受ける使用料等の額は、前受けに係る額を除き、当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、当該契約について係争(使用料等の額の増減に関するものを除く。)があるためその支払を受けるべき使用料等の額が確定せず、当該連結事業年度においてその支払を受けていないときは相手方が供託をしたかどうかにかかわらず、その係争が解決して当該使用料等の額が確定し、その支払を受けることとなるまでその収益計上を見合わせることができるものとする。
(注) 使用料等の額の増減に関して係争がある場合には 本文の取扱いによるのであるが、この場合には、契約の内容、相手方が供託をした金額等を勘案してその使用料等の額を合理的に見積もるものとする。
(工業所有権等の使用料の帰属の時期)
2-1-33 工業所有権等又はノーハウを他の者に使用させたことにより支払を受ける使用料の額は、その額が確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、連結法人が継続して契約により当該使用料の額の支払を受けることとなっている日の属する連結事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。
(送金が許可されない利子、配当等の帰属時期の特例)
2-1-34 国外の者から支払を受ける貸付金の利子、利益の配当等又は工業所有権等若しくはノーハウの使用料(措置法第66条の6第1項《内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金算入》に規定する特定外国子会社等から受けるこれらのものを除く。以下2-1-34において「国外からの利子、配当等」という。)について、現地の外貨事情その他やむを得ない事由によりその送金が許可されないため、長期(おおむね2年以上)にわたりその支払を受けることができないと認められる事情がある場合には、その送金が許可されることとなる日までその収益計上を見合せることができるものとする。この場合において、その国外からの利子、配当等の額(その額が2以上あるときは、それぞれの額とする。以下2-1-34において同じ。)の一部につきその送金が許可されることとなり、かつ、その許可された金額の合計額が当該国外からの利子、配当等の額のおおむね50%以上の金額に達したときはその残額をその達した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(注) 国外からの利子、配当等の額の全部又は一部を現地における費用の支出(金銭債権以外の資産の取得を含む。)に充てた場合には、その充てた日にその充てた金額に相当する金額の送金が許可されたものとしてこの取扱いを適用する。
第6款 その他の収益等
(償還有価証券に係る調整差損益の計上)
2-1-35 令第 139条の2第1項《償還有価証券の調整差益又は調整差損の益金又は損金算入》に規定する償還有価証券(以下2-1-36までにおいて「償還有価証券」という。)をその償還金額に満たない価額で取得した場合又は償還金額を超える価額で取得した場合における同条の規定の適用に当たっては、次のことに留意する。
(1) 同項に規定する調整差益又は調整差損(以下2-1-35において「調整差損益」という。)は、償還有価証券の銘柄の異なるごとに、同条第2項から第5項までに規定する方法(定額法)により計算し、益金の額又は損金の額に算入する。
(2) 同条第5項の規定は継続適用を前提としてこれを適用する。
(3) 外貨建ての償還有価証券については、外国通貨表示の金額により算出した調整差損益を継続適用を条件として次のいずれかの外国為替の売買相場(以下この(3) において「為替相場」という。)により円換算を行う。ただし法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》の規定の適用がある場合には、当該償還有価証券の円換算に使用した為替相場により円換算を行う。
イ 当該連結事業年度における期中平均相場(当該連結事業年度の当該償還有価証券の保有期間又は当該連結事業年度における17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》に定める電信売買相場の仲値の平均値又は17-1-2に定める電信買相場の平均値をいう。)
ロ 17-2-5《期末時換算法-連結事業年度終了の時における為替相場》に定める為替相場
(注) 令第 119条の14《償還有価証券の帳簿価額の調整》に規定する帳簿価額は、外国通貨表示の金額により算出した調整差損益を法第61条の9第1項第2号ロ《償還有価証券の期末換算方法》に規定する「発生時換算法又は期末時換算法」により円換算した金額を加減算して算出する。
(4) 法第25条第1項《資産の評価益の益金不算入》に規定する法律の規定に従って行う評価換え、同項に規定する政令で定める評価換え又は法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》に規定する評価換えは、令第 119条の14の規定を適用した後の金額に基づき行う。
(5) 調整差損益を帳簿価額に加算又は減算した場合には、その有価証券の一単位当たりの帳簿価額についても、加算又は減算を行う。
(6) 法第61条の8第2項の規定の適用がある場合において、当該償還有価証券(令第 119条の2第2項第1号《満期保有目的有価証券の意義》に規定する有価証券に限る。)に係る調整差損益を法第61条の10第1項《為替予約差額の配分》に規定する為替予約差額の直先差額に含めて各連結事業年度の益金の額又は損金の額に配分しているときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(償還有価証券の範囲)
2-1-36 償還有価証券とは、その有価証券を保有する連結法人にとって当該有価証券の償還期限が確定しており、かつ、その償還期限における償還金額が確定しているものをいうのであるから、当該有価証券が償還有価証券に該当するか否かの判定に当たり、次に掲げるものは、それぞれ次による。
(1) 抽選償還条項が付されている債券等のように期限前償還の可能性のあるものであっても、そのような期限前償還は考慮しないところにより、償還有価証券か否かを判定する。
(2) コマーシャル・ペーパー、譲渡性預金証書並びに償還期限及び償還金額の定めのある償還株式は、償還有価証券に該当する。
(3) 2-3-38に定める複合有価証券等(有価証券に限る。)であっても、 2-3-38の組込デリバティブ取引と区分された部分(償還期限及び償還金額があるものに限り当該組込デリバティブ取引について2-3-38の (注) 3の適用を受ける場合を除く。)は、償還有価証券に該当する。
(4) 令第 119条の14《償還有価証券の帳簿価額の調整》に規定する転換社債の転換価額がその転換の対象となる株式の相場を大きく上回り、将来的にも全く転換請求の可能性がないと認められる場合の当該転換社債は、償還有価証券として取り扱うことができる。
(5) 確定した償還期限の定めのないいわゆる永久債(償還権を発行者が有し契約条項等からみて償還の実行の可能性が極めて高いもので、かつ、償還時期及び償還金額が合理的に予測可能なものを除く。)は、償還有価証券に該当しない。
(6) 償還金額が変動する株価リンク債、他社株転換社債等は、償還有価証券に該当しない。
(7) 次に掲げるものは、償還有価証券に該当しないものとして取り扱うことができる。
イ 1-7-5《外貨建ての転換社債型新株予約権付社債の権利行使があった場合の連結個別資本積立金額》に定める転換社債型新株予約権付社債以外の新株予約権付社債(新株予約権付社債に係る取得価額につき社債と新株予約権とに合理的に区分して経理している場合の社債部分を除く。)
ロ 2-1-28に掲げる事実が生じている場合の有価証券又は発行者の経営状態・資産状態の悪化等に伴い償還金額の一部の償還が明らかに見込まれないものとなっている場合の有価証券
ハ その償還の全部又は一部が6月以上延滞している場合の定時償還条項付債券(債券発行後一定期間据え置いた後、一定期間ごとに一定額以上の償還を規則的に行い、償還期限に未償還残高を償還することが定められている債券をいう。)
(注)1 上記(4) の令第 119条の14に規定する転換社債には、1-7-5に定める転換社債型新株予約権付社債が含まれるものとする。
2 上記(7) ロ及びハは、これらに掲げる事実がその有価証券の取得後に生じた場合における当該事実が生じた連結事業年度以後の当該有価証券の判定について、同様とする。
(債権の取得差額に係る調整差損益の計上)
2-1-37 金銭債権をその債権金額に満たない価額で取得した場合又は債権金額を超える価額で取得した場合において、その債権金額とその取得に要した価額との差額に相当する金額(実質的な贈与と認められる部分の金額を除く。以下2-1-37において「取得差額」という。)の全部又は一部が金利の調整により生じたものと認められるときは、当該金銭債権に係る支払期日までの期間の経過に応じ、利息法又は定額法に基づき当該取得差額の範囲内において金利の調整により生じた部分の金額(以下2-1-37において「調整差額」という。)を益金の額又は損金の額に算入する。
ただし、調整差額を算定することが困難である場合又は当該金銭債権につき2-1-36の(7) ロ及び (注) に掲げる事実がある場合には、この限りでない。
(注) 1 本文の取扱いは、本文の金銭債権に該当するもののすべてにつき同様の調整方法による計算を行わなければならないことに留意する。
2 2-1-35の(3) は、調整差額の計算を行う場合の取扱いにおいて準用する。
3 金融及び保険業を営む法人以外の連結法人が取得した金銭債権については当該金銭債権に係る支払期日(1年以内の一定の期間ごとに到来するものに限る。)が到来する都度その支払期日が到来した債権金額に応じて調整差額を益金の額又は損金の額に算入することができる。
4 利息法とは、調整差額を元本額の残高に対する利回りが一定となるように支払期日までの各期間に配分する方法をいい、定額法とは、調整差額を支払期日までの各期間の日数等に応じて当該各期間に均等に配分する方法をいう。
(デリバティブ取引に係る契約に基づく資産の取得による損益の計上)
2-1-38 法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》に規定するデリバティブ取引(以下2-1-39までにおいて「デリバティブ取引」という。)に係る契約に基づき金銭以外の資産を取得した場合の当該デリバティブ取引の決済によって生じた利益の額又は損失の額(以下2-1-39において「決済損益の額」という。)の計上は、同条第2項の規定に基づき当該資産の取得の日に行うこととなるのであるが、この場合の「取得の日」とは、デリバティブ取引に係る契約の決済が現物の受渡しにより行われることが確定した日(当該日に具体的な引渡物件及び受渡代金が確定していない場合には、これらが具体的に確定した日をいう。以下2-1-39までにおいて「受渡決済確定日」という。)をいうことに留意する。ただし、その取得される資産が金融商品(平成11年1月22日付「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」に示された「金融商品に係る会計基準」の適用対象となる資産、負債及びデリバティブ取引をいう。以下この章において同じ。)以外の資産(以下2-1-39までにおいて「非金融資産」という。)であり、かつ、当該非金融資産の受渡期日が受渡決済確定日から通常の受渡しに要する期間内に到来する場合において、連結法人がその受渡しの日を当該非金融資産の取得の日としているときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(注) 1 取引所に上場しているデリバティブ取引に係る同項に規定する「取得の時における当該資産の価額」は、当該取引に係る最終の清算値段等を取引所の定める規則に従って交換比率、品質格差等によって調整した価額に基づき算出することができる。
2 ただし書の取扱いにより、そのデリバティブ取引が連結事業年度終了の時において同条第1項に規定する「未決済デリバティブ取引」となる場合には、同項の規定の適用があることに留意する。
(デリバティブ取引に係る契約に基づく資産の譲渡による損益の計上)
2-1-39 デリバティブ取引に係る契約に基づき金銭以外の資産を譲渡した場合の決済損益の額の計上は、原則として受渡決済確定日に行うこととなるのであるが、その譲渡する資産が非金融資産であり、かつ、当該非金融資産の受渡期日が受渡決済確定日から通常の受渡しに要する期間内に到来する場合において、連結法人が継続して当該非金融資産の譲渡による決済損益の額をその受渡しの日に計上しているときは、これを認める。
(注) 当該デリバティブ取引に係る当該資産の譲渡の時における価額及び本文の適用を受ける場合の法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》の規定の適用については、2-1-38の (注) 1及び2の取扱いを準用する。
(有利な状況にある相対買建オプション取引について権利行使を行わなかった場合の取扱い)
2-1-40 連結法人が権利行使期日又は権利行使期間の末日(以下2-1-40において「権利行使期日等」という。)において有利な状況にある買建ての規則第27条の7第1項第8号、第9号及び第16号《デリバティブ取引》に掲げる取引並びにこれらの取引に類似する同項第20号に掲げる取引(相対取引により行われるものに限る。以下2-1-41までにおいて「相対オプション取引という。)について、合理的な理由もなく権利行使を行わなかった場合には、当該権利行使期日等において、権利行使により生ずることとなる当該買建ての相対オプション取引に係る利益の額に相当する金額をその取引の相手方に対して贈与したものとして取り扱うことに留意する。
(注) 1 「有利な状況にある」とは、例えば、有価証券をオプション対象物としたコール・オプションを買い建てている場合において、オプション対象物である有価証券の権利行使期日等における価格が当該コール・オプションの行使価格を上回っているときをいう。
2 「利益の額に相当する金額」とは、オプション対象物の権利行使期日等における価格と当該相対オプション取引に係る権利行使価格との差額に相当する金額をいう。
(不利な状況にある相対買建オプション取引について権利行使を行った場合の取扱い)
2-1-41 連結法人が不利な状況にある買建ての相対オプション取引について、合理的な理由もなく権利行使を行った場合には、当該権利行使を行った日において、当該相対オプション取引に係る損失の額に相当する金額をその取引の相手方に対して贈与したものとして取り扱うことに留意する。
(注) 1 「不利な状況にある」とは、例えば、有価証券をオプション対象物としたプット・オプションを買い建てている場合において、オプション対象物である有価証券の権利行使を行った日における価格が当該プット・オプションの行使価格を上回っているときをいう。
2 「損失の額に相当する金額」とは、当該相対オプション取引に係る権利行使価格とオプション対象物の権利行使を行った日における価格との差額に相当する金額をいう。
(商品引換券等の発行に係る収益の帰属の時期)
2-1-42 連結法人が商品の引渡し又は役務の提供(以下2-1-42において「商品の引渡し等」という。)を約した証券等(以下2-1-42において「商品引換券等」という。)を発行するとともにその対価を受領した場合における当該対価の額は、その商品引換券等を発行した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、連結法人が、商品引換券等(その発行に係る連結事業年度ごとに区分して管理するものに限る。)の発行に係る対価の額をその商品の引渡し等(商品引換券等に係る商品の引渡し等を他の者が行うこととなっている場合における当該商品引換券等と引換えにする金銭の支払を含む。以下2-1-42において同じ。)に応じてその商品の引渡し等のあった日の属する連結事業年度の収益に計上し、その発行に係る連結事業年度(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立(以下この章において「適格組織再編成」という。)により当該商品引換券等に係る契約の移転を受けたものである場合にあっては、当該移転をした法人の発行に係る事業年度)終了の日の翌日から3年を経過した日(同日前に有効期限が到来するものについては、その有効期限の翌日とする。)の属する連結事業年度終了の時において商品の引渡し等を了していない商品引換券等に係る対価の額を当該連結事業年度の収益に計上することにつきあらかじめ当該連結法人に係る連結親法人が所轄税務署長(当該連結親法人が国税局の調査課所管法人である場合には、所轄国税局長)の確認を受けるとともに、その確認を受けたところにより継続して収益計上を行っている場合には、この限りでない。
(将来の逸失利益等の補てんに充てるための補償金等の帰属の時期)
2-1-43 連結法人が他の者から営業補償金、経費補償金等の名目で支払を受けた金額については、当該金額の支払がたとえ将来の逸失利益又は経費の発生等当該連結事業年度後の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において生ずることが見込まれる費用又は損失の補てんに充てることを目的するものであるとしても、その支払を受けた日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。
(保証金等のうち返還しないものの額の帰属の時期)
2-1-44 資産の賃貸借契約等に基づいて保証金、敷金等として受け入れた金額であっても、当該金額のうち期間の経過その他当該賃貸借契約等の終了前における一定の事由の発生により返還しないこととなる部分の金額は、その返還しないこととなった日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。
(法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)
2-1-45 連結法人の支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補てんするために雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する連結事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該連結事業年度の益金の額に算入するものとする。
(注) 連結法人が定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったこと等によりこれらの法令の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(損害賠償金等の帰属の時期)
2-1-46 他の者から支払を受ける損害賠償金(債務の履行遅滞による損害金を含む。以下2-1-46において同じ。)の額は、その支払を受けるべきことが確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるが、連結法人がその損害賠償金の額について実際に支払を受けた日の属する連結事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。
(注) 当該損害賠償金の請求の基因となった損害に係る損失の額は、保険金又は共済金により補てんされる部分の金額を除き、その損害の発生した日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(金融資産の消滅を認識する権利支配移転の範囲)
2-1-47 連結法人が金融資産(金融商品である資産をいう。以下この章において同じ。)の売却等の契約をした場合において、当該契約により当該金融資産に係る権利の支配が他の者に移転したときは、当該金融資産の売却等による消滅を認識するのであるから、原則として、次に掲げる要件のすべてを満たしているときは、当該売却等に伴い収受する金銭等の額又は当該売却等の直前の当該金融資産の帳簿価額は、当該連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(1) 売却等を受けた者は、次のような要件が満たされていること等により、当該金融資産に係る権利を実質的な制約なしに行使できること。
イ 売却等をした者(以下2-1-47において「譲渡人」という。)は、契約又は自己の自由な意思により当該売却等を取り消すことができないこと。
ロ 譲渡人に倒産等の事態が生じた場合であっても譲渡人やその債権者(管財人を含む。)が売却等をした当該金融資産を取り戻す権利を有していない等、売却等がされた金融資産が譲渡人の倒産等のリスクから確実に引き離されていること。
(2) 譲渡人は、売却等をした金融資産を当該金融資産の満期日前に買い戻す権利及び義務を実質的に有していないこと。
(注) 新たに二次的な権利又は義務が発生する場合には、2-1-49の適用があることに留意する。
(金融負債の消滅を認識する債務引受契約等)
2-1-48 連結法人がその有する金融負債(金融商品である負債をいう。以下この章において同じ。)について債務引受契約の締結等をした場合において、当該債務引受契約の締結等により当該金融負債の債務者の地位(保証債務等の新たに発生する二次的な責任に係る地位を除く。)から免責されたときは、当該金融負債の消滅を認識し、当該債務引受け等に伴い支払う金銭等の額又は当該債務引受け直前の当該金融負債の帳簿価額は、当該連結事業年度の損金の額又は益金の額に算入する。
(注) 新たに二次的な権利又は義務が発生する場合には、2-1-49の適用があることに留意する。
(金融資産等の消滅時に発生する資産及び負債の取扱い)
2-1-49 金融資産等(金融商品である資産又は負債をいう。以下2-1-50において同じ。)の消滅を目的とした売却等の取引で、その取引により譲渡人、原債務者等に保証債務等の二次的な権利又は義務を発生させることとなるものを行った場合において、当該譲渡人、原債務者等である連結法人が、これらの潜在する二次的な権利又は義務に見合う金額として新たな資産又は負債を計上し、当該計上した金額を当該売却等の対価である受払金額に加算し、又は受払金額から控除して当該売却等に係る損益の額を計算しているときは、原則として、当該新たな資産又は負債として区分経理したものがないものとしたところにより、売却等に係る損益の額を計算する。
(金融資産等の利回りが一定でない場合等における損益の計上)
2-1-50 連結法人が金融資産等について利子の受領又は支払をする場合において、利子の計算期間ごとに異なる利率を適用していること又は据置期間があること等により当該利子の計算期間ごとに計算した利回りが一定でないとき(当該適用している利率が国内又は海外において代表的な利率又は指数として公表されているものにより決定されている場合を除く。)は、当該利子の総額につき利息法、定額法等の合理的な方法のうち連結法人が継続して適用している方法により計算した金額を、その利子の計算期間の経過に応じ当該連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(有価証券の空売りに係る利益相当額等の外貨換算)
2-1-51 法第61条の4第1項《有価証券の空売り等に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等》及び第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》に規定する利益の額又は損失の額に相当する金額の円換算は、当該連結事業年度終了の日の17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》に定める電信売買相場の仲値による。ただし、継続適用を条件として、当該利益の額に相当する金額については17-1-2に定める電信買相場、当該損失の額に相当する金額については17-1-2に定める電信売相場によることができるものとする。
第2節 費用及び損失の計算に関する通則
第1款 売上原価等
(売上原価等が確定していない場合の見積り)
2-2-1 法第22条第3項第1号《損金の額に算入される売上原価等》に規定する「当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価」(以下2-2-1において「売上原価等」という。)となるべき費用の額の全部又は一部が当該連結事業年度終了の日までに確定していない場合には、同日の現況によりその金額を適正に見積るものとする。この場合において、その確定していない費用が売上原価等となるべき費用かどうかは、当該売上原価等に係る資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供に関する契約の内容、当該費用の性質等を勘案して合理的に判断するのであるが、たとえその販売、譲渡又は提供に関連して発生する費用であっても、単なる事後的費用の性格を有するものはこれに含まれないことに留意する。
(造成団地の分譲の場合の売上原価の額)
2-2-2 連結法人が一団地の宅地を造成して2以上の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)にわたって分譲する場合のその分譲に係る売上原価の額の計算については、次による。ただし、連結法人がこれと異なる方法で売上原価の額を計算している場合であっても、その方法が、例えば分譲価額に応ずる方法である等合理的なものであると認められるときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(1) 分譲が完了する連結事業年度の直前の連結事業年度までの各連結事業年度 次の算式により計算した金額を当該連結事業年度の売上原価の額とする。
(算式)

(注) 1 (1) の「分譲が完了する連結事業年度」、「直前の連結事業年度」及び算式の「当該連結事業年度前の各連結事業年度」は、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度とする。
2 算式の「工事原価の見積額」は、当該連結事業年度終了の時の現況によりその工事全体につき見積られる工事原価の額とする。
3 算式の「分譲総予定面積」には、当該連結法人の使用する土地の面積を含む。
(2) 分譲が完了した連結事業年度 全体の工事原価の額(当該連結法人の使用する土地に係る工事原価の額を除く。)から当該連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において売上原価として損金の額に算入した金額の合計額を控除した金額を当該連結事業年度の売上原価の額とする。
(注) 適格組織再編成が行われた場合の合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人(以下この章において「合併法人等」という。)における本通達の適用については、被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人(以下この章において「被合併法人等」という。)の本通達による計算を引き継ぐものとする。
(造成団地の工事原価に含まれる道路、公園等の建設費)
2-2-3 連結法人が一団地の宅地を造成して分譲する場合において、団地経営に必要とされる道路、公園、緑地、水道、排水路、街灯、汚水処理施設等の施設(その敷地に係る土地を含む。)については、たとえ当該連結法人が将来にわたってこれらの施設を名目的に所有し、又はこれらの施設を公共団体等に帰属させることとしているときであっても、これらの施設の取得に要した費用の額(当該連結法人の所有名義とする施設については、これを処分した場合に得られるであろう価額に相当する金額を控除した金額とする。)は、その工事原価の額に算入する。
(砂利採取地に係る埋戻し費用)
2-2-4 連結法人が他の者の有する土地から砂利その他の土石(以下2-2-4において「砂利等」という。)を採取して販売(原材料としての消費を含む。)する場合において、当該他の者との契約によりその採取後の跡地を埋め戻して土地を原状に復することを約しているため、その採取を開始した日の属する連結事業年度以後その埋戻しを行う日の属する連結事業年度の直前の連結事業年度までの各連結事業年度において、継続して次の算式により計算した金額を未払金に計上するとともに当該連結事業年度において当該土地から採取した砂利等の取得価額に算入しているときは、その計算を認めるものとする。
(算式)

(注) 1 本文の「採取を開始した日の属する連結事業年度」、「埋戻しを行う日の属する連結事業年度」、「直前の連結事業年度までの各連結事業年度」及び算式の「当該連結事業年度前の各連結事業年度」は、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度とする。
2 算式の「埋戻しに要する費用の額の見積額」及び「当該土地から採取する砂利等の予定数量」は、当該連結事業年度終了の時の現況により適正に見積るものとする。
3 適格組織再編成が行われた場合の合併法人等における本通達の適用については、被合併法人等の本通達による計算を引き継ぐものとする。
(請負収益に対応する原価の額)
2-2-5 請負による収益に対応する原価の額には、その請負の目的となった物の完成又は役務の履行のために要した材料費、労務費、外注費及び経費の額の合計額のほか、その受注又は引渡しをするために直接要したすべての費用の額が含まれることに留意する。
(注) 建設業を営む連結法人が建設工事等の受注に当たり前渡金保証会社に対して支払う保証料の額は、前渡金を受領するために要する費用であるから、当該建設工事等に係る工事原価の額には算入しないことができる。
(未成工事支出金勘定から控除する仮設材料の価額)
2-2-6 建設工事用の足場、型わく、山留用材、ロープ、シート、危険防止用金網のような仮設材料の取得価額を未成工事支出金勘定の金額に含めて経理している建設業者等が、建設工事等の完了の場合又は他の建設工事等の用に供するためこれらの資材を転送した場合において、当該未成工事支出金勘定の金額から控除すべき仮設材料の価額につき次に掲げる金額のいずれかによっているときは、その計算が継続している限り、これを認める。
(1) 当該仮設材料の取得価額から損耗等による減価の見積額を控除した金額
(2) 当該仮設材料の損耗等による減価の見積りが困難な場合には、工事の完了又は他の工事現場等への転送の時における当該仮設材料の価額に相当する金額
(3) 当該仮設材料の再取得価額に適正に見積った残存率を乗じて計算した金額
(注) この取扱いは、その転送した仮設材料のすべてについて適用することを条件とするのであるから留意する。
(木造の現場事務所等の取得に要した金額が未成工事支出金勘定の金額に含まれている場合の処理)
2-2-7 建設業者等が建設工事等の用に供した現場事務所、労務者用宿舎、倉庫等の仮設建物で木造のものの取得価額をその建設工事等に係る未成工事支出金勘定の金額に含めている場合には、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次の金額を当該未成工事支出金勘定の金額から控除する。この場合において、その控除すべき金額を未成工事支出金勘定の金額から控除することに代え雑収入等として経理したときは、これを認める。
(1) 当該建設工事等の完成による引渡しの日以前に当該仮設建物を他に譲渡し、又は他の用途に転用した場合 その譲渡価額に相当する金額又はその転用の時における価額に相当する金額
(2) 当該建設工事等が完成して引き渡された際に当該仮設建物が存する場合 その引渡しの時における価額に相当する金額(当該仮設建物が取り壊されるものである場合には、その取壊しによる発生資材の価額として見積られる金額)
(金属造りの移動性仮設建物の取得価額の特例)
2-2-8 建設業者等が建設工事等の用に供する金属造りの移動性仮設建物については、その償却費を工事原価に算入するのであるが、この場合における当該建物の償却計算の基礎となる取得価額は、当該建物の構成部分のうちその移設に伴い反復して組み立てて使用されるものの取得のために要した費用の額によることができる。
(注) 当該建物の組立て、撤去に要する費用及び電気配線等の附属設備で他に転用することができないと認められるものの費用は、当該建物を利用して行う工事の工事原価に算入する。
(技術役務の提供に係る報酬に対応する原価の額)
2-2-9 設計、作業の指揮監督、技術指導その他の技術役務の提供に係る報酬に対応する原価の額は、当該報酬の額を益金の額に算入する連結事業年度の損金の額に算入するのであるが、連結法人が継続してこれらの技術役務の提供のために要する費用のうち次に掲げるものの額をその支出の日の属する連結事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。
(1) 固定費(作業量の増減にかかわらず変化しない費用をいう。)の性質を有する費用
(2) 変動費(作業量に応じて増減する費用をいう。)の性質を有する費用のうち一般管理費に類するものでその額が多額でないもの及び相手方から収受する仕度金、着手金等(2-1-12の (注) の適用があるものに限る。)に係るもの
(運送収入に対応する原価の額)
2-2-10 運送業の運送収入に対応する原価の額は、当該運送収入の額を益金の額に算入する連結事業年度の損金の額に算入するのであるが、連結法人が継続してその行う運送のために要する費用(海上運送のために要する費用のうち貨物費、燃料費、港費その他その運送のために直接要するものを除く。)の額をその支出の日の属する連結事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。
(商品引換券等を発行した場合の引換費用)
2-2-11 連結法人が商品引換券等(2-1-42に定める商品引換券等をいう。以下2-2-11において同じ。)を発行するとともにその対価を受領した場合(その収益計上につき2-1-42のただし書又は法人税基本通達2-1-39のただし書《商品引換券等の発行に係る収益の帰属の時期》の適用を受ける場合を除く。)において、その発行に係る連結事業年度以後の各連結事業年度終了の時において商品の引渡し又は役務の提供(商品引換券等に係る商品の引渡し又は役務の提供を他の者が行うこととなっている場合における当該商品引換券等と引換えにする金銭の支払を含む。以下2-2-11において「商品の引渡し等」という。)を了していない商品引換券等(有効期限を経過したものを除く。以下2-2-11において「未引換券」という。)があるときは、その未引換券に係る商品の引渡し等に要する費用の額の見積額として、次の区分に応じそれぞれ次に掲げる金額に相当する金額を当該各連結事業年度の損金の額に算入することができるものとする。この場合において、その損金の額に算入した金額に相当する金額は、翌連結事業年度の益金の額に算入する。
(1) 未引換券をその発行に係る連結事業年度ごとに区分して管理する場合 次の算式により計算した金額
(算式)

(2) (1)以外の場合 次の算式により計算した金額
(算式)

(注) 1 本文の「発行に係る連結事業年度」及び「翌連結事業年度」並びに(1) 及び(2) の算式の「当該連結事業年度開始の日前3年以内に開始した各連結事業年度」は、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度とする。
2 (1) 及び(2) の算式の「原価率」は、次の区分に応じ、それぞれ次により計算した割合とする。
イ 商品の引渡し又は役務の提供を他の者が行うことになっている場合

ロ イ以外の場合

3 種類等を同じくする商品又は役務に係る商品引換券等のうちにその発行の時期によってその1単位当たりの発行の対価の額の異なるものがあるときは、当該商品引換券等をその1単位当たりの発行の対価の額の異なるものごとに区分して(1) 及び(2) の算式並びに原価率の計算を行うことができる。
4 適格組織再編成が行われた場合の合併法人等における本通達の適用については、被合併法人等の本通達による計算を引き継ぐものとする。
第2款 販売費及び一般管理費等
(債務の確定の判定)
2-2-12 法第22条第3項第2号《損金の額に算入される販売費等》の償却費以外の費用で当該連結事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件のすべてに該当するものとする。
(1) 当該連結事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2) 当該連結事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) 当該連結事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。
(損害賠償金)
2-2-13 連結法人が、その業務の遂行に関連して他の者に与えた損害につき賠償をする場合において、当該連結事業年度終了の日までにその賠償すべき額が確定していないときであっても、同日までにその額として相手方に申し出た金額(相手方に対する申出に代えて第三者に寄託した額を含む。)に相当する金額(保険金等により補てんされることが明らかな部分の金額を除く。)を当該連結事業年度の未払金に計上したときは、これを認める。
(注) 損害賠償金を年金として支払う場合には、その年金の額は、これを支払うべき日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の損金の額に算入する。
(短期の前払費用)
2-2-14 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該連結事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該連結事業年度の損金の額に算入されないのであるが、連結法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する連結事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。
(注) 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。
(消耗品費等)
2-2-15 消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する連結事業年度の損金の額に算入するのであるが、連結法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各連結事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。
(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。
第3款 損失
(前期損益修正)
2-2-16 当該連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてその収益の額を益金の額に算入した資産の販売又は譲渡、役務の提供その他の取引について当該連結事業年度において契約の解除又は取消し、値引き、返品等の事実が生じた場合でも、これらの事実に基づいて生じた損失の額は、当該連結事業年度の損金の額に算入するのであるから留意する。
第3節 有価証券の譲渡損益、時価評価損益等
第1款 有価証券の譲渡損益等
(自己株式の譲渡)
2-3-1 法第61条の2第5項《有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入》に規定する自己の株式の譲渡には、次の株式の交付が含まれるのであるから留意する。
(1) 連結法人が合併又は分割により当該連結法人の新株を発行することに代えて行う当該連結法人又は被合併法人若しくは分割法人が有していた当該連結法人の株式の交付
(2) 連結法人である特定親会社(措置法第68条の104第1項《株式交換又は株式移転に係る課税の特例》に規定する特定親会社をいう。)が商法第 352条第1項《株式交換》の株式交換(保険業法第92条の5第1項《組織変更における株式交換》の株式交換を含む。)により特定子会社(措置法第68条の104第1項に規定する完全子会社をいう。)の株主に新株を発行することに代えて行う自己の株式の交付
(信用取引等に係る売付け及び買付けに係る対価の額)
2-3-2 法第61条の2第9項《信用取引等の譲渡利益額又は譲渡損失額》に規定する譲渡利益額又は譲渡損失額の計算に当たり、同項に規定する信用取引又は発行日取引(以下2-3-3までにおいて「信用取引等」という。)の方法により株式の売付け又は買付けを行った者が、当該信用取引等に関し、証券業者等に支払う又は証券業者等から支払を受ける次に掲げるものは、それぞれ次による。ただし、売買委託手数料の額及び引受権価額に相当する金額を除き、これらのものを売付けに係る対価の額(同項第1号に規定する売付けに係る対価の額をいう。以下2-3-2において同じ。)又は買付けに係る対価の額(同項第2号に規定する買付けに係る対価の額をいう。以下2-3-2において同じ。)に含めず、その発生に応じ収益又は費用として益金の額又は損金の額に算入している場合には、継続適用を条件としてこれを認める。
(1) 売付けを行った者が証券業者等から支払を受ける金利に相当する額は、売付けに係る対価の額に含める。
(2) 売付けを行った者が証券業者等に支払う買委託手数料及び品貸料の額は買付けに係る対価の額に含める。
(3) 買付けを行った者が証券業者等に支払う買委託手数料、名義書換料及び金利に相当する額は、買付けに係る対価の額に含める。
(4) 買付けを行った者が証券業者等から支払を受ける品貸料の額は、売付けに係る対価の額に含める。
(5) 買付けを行った者が証券業者等から支払を受ける配当落調整額及び引受権価額に相当する額は、買付けに係る対価の額から控除し、売付けを行った者が証券業者等に支払う配当落調整額及び引受権価額に相当する額は、売付けに係る対価の額から控除する。
(注) 配当落調整額とは、信用取引等に係る株式につき配当が付与された場合において、証券業者等が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該配当に相当する金銭の額をいい、引受権価額とは、信用取引等に係る株式につき新株引受権が付与された場合において、証券業者等が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該引受権に相当する金銭の額をいう。
(信用取引等の決済約定日後に授受される配当落調整額)
2-3-3 信用取引等の決済に係る約定が成立した日後に配当落調整額の授受が行われると見込まれる場合における2-3-2の本文の適用は、次による。
(1) 当該配当落調整額は、当該決済に係る約定が成立した日の現況により適正に見積った金額とする。
(2) (1) により見積った配当落調整額と実際に授受された配当落調整額とが異なることとなった場合には、当該実際に授受された配当落調整額との差額は、当該差額を授受する日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額又は損金の額に算入する。
(低廉譲渡等の場合の譲渡に係る対価の額)
2-3-4 連結法人が無償又は低い価額で有価証券を譲渡した場合における法第61条の2第1項第1号《有価証券の譲渡損益の益金算入等》に規定する譲渡に係る対価の額の算定に当たっては、8-1-18《上場有価証券等の価額》並びに8-1-23及び8-1-24《上場有価証券等以外の株式の価額》の取扱いを準用する。
(注) 8-1-18の本文に定める「当該連結事業年度終了の日以前1月間の当該市場価格の平均額」は、適用しない。
第2款 有価証券の取得価額
(有価証券の購入のための付随費用)
2-3-5 令第 119条第1項第1号《購入した有価証券の取得価額》に規定する「その他その有価証券の購入のために要した費用」には、有価証券を取得するために要した通信費、名義書換料の額を含めないことができる。
外国有価証券の取得に際して徴収される有価証券取得税その他これに類する税についても、同様とする。
(新株予約権付社債に係る新株予約権の行使により取得した株式の取得価額)
2-3-6 新株予約権付社債に係る新株予約権の内容として定められている株式の発行価額が当該新株予約権付社債の発行時の発行法人の株式の価額を基礎として合理的に定められている場合における当該新株予約権の行使により取得した株式1株当たりの取得価額は、原則として次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める算式により計算した金額による。なお、連結法人が一単位当たりの帳簿価額の算出に当たり総平均法を選定している場合には、次の算式中の「新株予約権付社債の当該行使直前の帳簿価額」は、当該新株予約権付社債につき当該行使の時を連結事業年度終了の時とみなして計算した金額とする。
(1) 金銭により払込みを行った場合
(算式)

(注) 新株予約権(新株予約権付社債に係る取得価額につき社債と新株予約権とに合理的に区分して経理している場合の新株予約権部分を含む。)を有する場合には、算式中の「当該払込みに係る新株予約権付社債の当該行使直前の帳簿価額が当該払込みに係る新株予約権付社債の額面金額を超える場合のその超える部分の金額」を「当該新株予約権の当該行使直前の帳簿価額」と読み替える。
(2) 新株予約権付社債の発行価額をもって払込みがあったものとされた場合
(算式)

(有利な発行価額)
2-3-7 令第 119条第1項第3号《有利な発行価額で取得した有価証券の取得価額》に規定する「有利な発行価額」とは、当該新株の発行価額を決定する日の現況における当該発行法人の株式の価額に比して社会通念上相当と認められる価額を下回る価額をいう。
(注) 1 社会通念上相当と認められる価額を下回るかどうかは、当該株式の価額と発行価額の差額が当該株式の価額のおおむね10%相当額以上であるかどうかにより判定する。
2 発行価額を決定する日の現況における当該株式の価額とは、決定日の価額のみをいうのではなく、決定日前1月間の平均株価等、発行価額を決定するための基礎として相当と認められる価額をいう。
(株主として取得をしたものの意義)
2-3-8 令第 119条第1項第3号《有利な発行価額で取得した有価証券の取得価額》に規定する「株主等として取得をしたもの」とは、株主等としての地位に基づき平等に取得したものをいうことに留意する。
(有利な発行価額で新株等が発行された場合における有価証券の価額)
2-3-9 令第 119条第1項第3号《有利な発行価額で取得した有価証券の取得価額》に規定する有価証券の払込みに係る期日における1株当たりの価額は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 新株が令第 119条の13第1号から第3号まで《上場有価証券等の時価評価金額》に掲げる有価証券(以下2-3-9において「上場有価証券等」という。)である場合 その新株の払込期日における当該新株の8-1-18の本文の前段《上場有価証券等の価額》に定める価額
(2) 旧株は上場有価証券等であるが、新株は上場有価証券等でない場合 新株の払込期日における旧株の8-1-18の本文の前段に定める価額を基準として当該新株につき合理的に計算される価額
(3) (1) 及び(2) 以外の場合 その新株又は出資の払込期日において当該新株につき8-1-23及び8-1-24《上場有価証券等以外の株式の価額》に準じて合理的に計算される当該払込期日の価額
(公社債の経過利子)
2-3-10 連結法人が国債又は地方債若しくは社債(いわゆる金融債等会社以外の法人が特別の法律により発行する債券で利付きのものを含む。)をその利子の計算期間の中途において購入し、直前の利払期からその購入の時までの期間に応じてその債券の発行条件たる利率により計算される経過利子に相当する金額を支払った場合において、当該金額をこれらの債券の取得価額に含めないで当該債券の購入後最初に到来する利払期まで前払金として経理したときは、これを認める。
(政府保証債の応募予約料に相当する金額)
2-3-11 連結法人が新たに発行される政府保証債を引き受ける場合(証券業者等の募集に応じて引き受ける場合を含む。)において、その収入する応募予約料に相当する金額を発行価額から差し引いて払い込み、その払い込んだ金額を当該政府保証債の取得価額として経理しているときは、これを認める。
(注) 金融機関等が政府保証債を引き受けたことにより収入する引受責任料及び募集取扱料に相当する金額又は国債を引き受けたことにより収入する手数料の額は、その収入すべき日(引受契約の締結日を含む。)の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(新株予約権付社債に係る新株予約権を行使した場合の経過利子の取得価額算入)
2-3-12 連結法人が、新株予約権付社債をその利子の計算期間の中途において購入したため、2-3-10の取扱いを適用して経過利子に相当する金額を前払金として経理している場合において、その購入後最初に到来する利払期前に、代用払込みの方法により当該新株予約権付社債に係る新株予約権を行使して株式を取得したときは、当該前払金を株式の取得価額に算入する。ただし、当該経過利子に対応する期間について益金の額に算入されるべき利子の支払を受ける場合における当該前払金については、この限りでない。
(注) 同一銘柄の新株予約権付社債をその利子の計算期間の中途において2回以上にわたって購入し、それぞれの経過利子に相当する金額を前払金として経理している場合において、その購入後最初に到来する利払期前にその新株予約権付社債に係る新株予約権の一部を行使することにより株式を取得し、又は他に譲渡したときは、次の算式により当該前払金の合計額のうち株式の取得価額に算入し、又は譲渡に伴って損金の額に算入する金額を計算することができる。
(算式)

(信用取引等及びデリバティブ取引に係る契約に基づいて取得される有価証券の取得価額)
2-3-13 法第61条の4第2項《信用取引等に係る利益相当額の益金算入等》又は第61条の5第2項《デリバティブ取引に係る契約に基づき金銭以外の資産を取得した場合における益金算入等》の規定の適用がある場合において、その取得した有価証券の取得価額は、令第 119条第1項第8号《有価証券の取得価額》の規定に基づき、当該取得の時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額(当該有価証券の取得の時における価額に受渡決済に伴って新たに支出する委託手数料その他の費用の額を加算した金額をいう。)となることに留意する。
第3款 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法
(債権の現物出資により取得した株式の取得価額)
2-3-14 子会社等に対して債権を有する連結法人が、合理的な再建計画等の定めるところにより、当該債権を現物出資(法第2条第12号の14《適格現物出資》に規定する適格現物出資を除く。)することにより株式を取得した場合には、その取得した株式の取得価額は、令第 119条第1項第8号《有価証券の取得価額》の規定に基づき、当該取得の時における価額となることに留意する。
(注) 子会社等には、当該連結法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる。
(有価証券の種類)
2-3-15 令第 119条の5第1項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法の選定及びその手続》に規定する有価証券の種類は、おおむね証券取引法第2条第1項第1号から第11号まで(第9号を除く。)の各号及び第2項第1号《定義》ごとの区分によるものとし、外国又は外国法人の発行するもので同条第1項第1号から第6号まで、第7号の3又は第8号の性質を有するものは、これに準じて区分する。
ただし、新株予約権付社債は同項第4号の社債とは種類の異なる有価証券として区分することとし、外貨建ての有価証券と円貨建ての有価証券又は外国若しくは外国法人の発行する有価証券と国若しくは内国法人の発行する有価証券は、それぞれ種類の異なる有価証券として区分することができる。
(注) 連結法人が、新株予約権付社債に係る取得価額につき社債と新株予約権とに合理的に区分して経理しているときは、当該社債及び新株予約権については、それぞれ同項第4号の社債及び同項第6号の新株予約権に含まれる。
(信託をしている有価証券)
2-3-16 連結法人が信託(金銭の信託を除く。)をしている財産のうちに当該連結法人が有する有価証券と種類及び銘柄を同じくする有価証券がある場合には、当該信託に係る有価証券と当該連結法人が有する有価証券とを区分しないで令第 119条の2から第 119条の4まで《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法等》の規定を適用するのであるから留意する。
(注) 金銭の信託に係る有価証券には、次のようなものがある。
(1) 合同運用信託及び証券投資信託に係る有価証券
(2) 指定単独運用の金銭信託に係る有価証券
(原価法-期末時評価による評価損益を資本の部に計上している場合の期末帳簿価額)
2-3-17 連結事業年度終了の時(以下2-3-17において「期末時」という。)に有する法第61条の3第1項第2号《売買目的外有価証券の期末評価額》に規定する売買目的外有価証券(令第 119条の2第2項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法》に規定する「その他有価証券」に限る。以下2-3-17において同じ。)について、期末時における価額(当該連結事業年度終了の日以前1月間の価額の平均額を含む。)をもって当該売買目的外有価証券の当該期末時における評価額とし、かつ、当該評価によって生じた評価損益の金額(当該評価額と同号に規定する帳簿価額との差額をいう。)の全額をいわゆる洗替方式により資本の部に計上している場合であっても、当該有価証券の同号に規定する帳簿価額は、当該期末時の評価を行う前の金額となることに留意する。
(注) 上記の評価を行っている場合における次に掲げる事項は、それぞれ次によることに留意する。
(1) 当該売買目的外有価証券の令第 155条の8第1項第1号又は第2号《総資産の帳簿価額等》に規定する帳簿価額は、当該期末時の評価を行う前の金額となる。
(2) 資本の部に計上した評価損益に相当する金額は、法第2条第17号の3及び第18号の3《定義》に規定する連結個別資本積立金額及び連結個別利益積立金額に該当しない。
(3) 「評価損益の金額の全額をいわゆる洗替方式により資本の部に計上している場合」には、税効果会計に基づき、当該評価損益の金額の一部に相当する金額を繰延税金資産又は繰延税金負債として計上している場合が含まれる。
(その他これに準ずる関係のある者の範囲)
2-3-18 令第 119条の2第2項第2号《企業支配株式等の意義》に規定する「その他これに準ずる関係のある者」には、会社以外の法人で令第4条第2項各号及び第3項《特殊関係法人》に規定する特殊の関係のある者が含まれる。したがって、例えば、株主の1人及びこれと同条に規定する特殊の関係のある個人又は法人が有する会社以外の法人の出資の金額が当該法人の出資金額の50%以上に相当する場合における当該会社以外の法人はこれに該当する。
(棚卸資産の評価方法の選定に係る取扱いの準用)
2-3-19 売買目的有価証券(法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券をいう。)を保有する場合の当該売買目的有価証券に係る令第 119条の5第1項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法の選定及びその手続》の規定の適用に当たっては、5-2-20《評価方法の選定単位の細分》の取扱い(事業所別の評価方法の選定に係る取扱いに限る。)を準用し、有価証券の評価の方法について変更承認申請書の提出があった場合における令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》により読み替えて準用される令第 119条の6第3項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の変更の手続》の規定の適用に当たっては、5-2-21《評価方法の変更申請があった場合の「相当期間」》の取扱いを準用する。
第4款 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の特例等
(追加型株式投資信託に係る特別分配金の取扱い)
2-3-20 令第 119条の3第6項《追加型株式投資信託に係る特別分配金の支払があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》に規定する「元本の払戻しに相当する金銭の交付」とは、いわゆる個別元本方式による公社債投資信託以外の追加型証券投資信託に係る特別分配金の支払をいうのであるから留意する。
(注) 当該特別分配金は、元本の払戻しとしての性質を有するものであり、法第81条の4《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》の規定の適用の対象とならない。
(新株引受権を譲渡した場合等の原価)
2-3-21 連結法人が株主の地位に基づき金銭の払込みを要する増資により新株引受権の割当てを受けた場合において、当該新株引受権若しくは株式(以下2-3-21において「旧株」という。)をその金銭の払込み前に譲渡したとき又は令第 139条の3第1項各号《一株未満の株式の処理の場合等の所得計算の特例》に掲げる1株未満の旧株(端株原簿に記載されなかったものに限る。以下2-3-21において同じ。)につき代わり金の交付を受けたときの譲渡に係る原価の額は、次に掲げる区分に応じそれぞれ次による。
(1) 新株引受権又は旧株を譲渡したとき 次の算式により計算した金額を当該譲渡の対価に係る原価とする。
(算式)

(注) 算式中の「新株1株当たりの払込金額」の控除は、新株引受権を譲渡した場合に限られる。
(2) 1株未満の旧株につき代わり金の交付を受けたとき 当該連結法人が当該1株未満の旧株に相当する株式の交付を受け直ちに譲渡したものとして法第61条の2《有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入》の規定を適用する。ただし、当該連結法人が当該代わり金に相当する金額を益金の額に算入している場合は、これを認める。
第5款 有価証券の時価評価損益
(専担者売買有価証券の意義)
2-3-22 令第 119条の12第1号《売買目的有価証券の範囲》に規定する専担者売買有価証券とは、いわゆるトレーディング目的で取得した有価証券をいうのであるから、基本的には、連結法人が特定の取引勘定を設けて当該有価証券の売買を行い、かつ、トレーディング業務を日常的に遂行し得る人材から構成された独立の専門部署(関係会社を含む。)により運用がされている場合の当該有価証券がこれに当たることに留意する。
(短期売買目的で取得したものである旨を表示したものの意義)
2-3-23 令第 119条の12第1号《売買目的有価証券の範囲》に規定する「短期売買目的で取得したものである旨……を帳簿書類に記載したもの(専担者売買有価証券を除く。)」(以下2-3-23において「短期売買有価証券」という。)とは、連結法人が規則第27条の5第1項《短期売買有価証券に該当する旨の記載の方法》の規定に基づき、当該有価証券の取得の日に当該有価証券を売買目的有価証券(法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券をいう。以下2-3-30までにおいて同じ。)に係る勘定科目により区分している場合の当該有価証券をいうことに留意する。
(注)
短期的に売買し、又は大量に売買を行っていると認められる場合の有価証券であっても、規則第27条の5第1項の規定に基づき区分していないものは、短期売買有価証券に該当しない。
(金銭の信託に属する有価証券)
2-3-24 令第 119条の12第2号《売買目的有価証券の範囲》の規定に基づく信託財産として短期売買目的の有価証券を取得する旨の帳簿書類への記載は、信託に係る契約を単位として行うことに留意する。
(注) その信託財産に属する有価証券を短期的に売買し、又は大量に売買していると認められる金銭の信託の信託財産に属する当該有価証券であっても、同号の規定に基づく帳簿書類への記載をしていない金銭の信託の信託財産に属する有価証券は、同号に掲げる売買目的有価証券に該当しない。
(上場有価証券等の区分及び時価評価金額)
2-3-25 売買目的有価証券に係る第 119条の13第1号から第3号まで《上場有価証券等の時価評価金額》に規定する有価証券(以下2-3-29において「上場有価証券等」という。)の区分及び法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する時価評価金額(以下2-3-25において「時価評価金額」という。)の算定に当たっては、それぞれ次のことに留意する。
(1) 令第 119条の13第1号に規定する「その売買が主として証券取引所……において行われている有価証券」であるかどうかは、その有価証券の売買取引が証券取引所(証券取引所に類するもので外国の法令に基づき設立されたものを含む。以下2-3-25において同じ。)において最も活発に行われているかどうかにより判定する。この場合、証券取引所において最も活発に行われているかどうか明らかでないものは、原則として、我が国における売買取引の状況により判定するものとするが、その有価証券が証券取引所に類するもので外国の法令に基づき設立されたものにおいて実際に取得されたものであるときは、同号に掲げる有価証券として取り扱って差し支えない。
(2) 同条第3号に規定する「その公表する価格がその有価証券の売買の価格の決定に重要な影響を与えている場合」とは、基本的には、ブローカー(銀行、証券会社等のように、金融資産の売買の媒介、取次ぎ若しくは代理の受託をする業者又は自己が買手若しくは売手となって店頭で金融資産の売買を成立させる業者をいう。以下この章において同じ。)の公表する価格又は取引システムその他の市場において成立した価格が公正評価額(第三者間で恣意性のない取引を行うと想定した場合の取引価格をいう。以下2-3-28までにおいて同じ。)として一般的に認められている状態にあることをいうのであるから、単に売買実例があることのみでは、当該重要な影響を与えている場合に該当しない。
(3) 同条第1号又は第3号の同一の区分に属する同一銘柄の有価証券について、当該各号に規定する価格が2以上の市場に存する場合には、当該取引が最も活発に行われている市場の価格をもって時価評価金額とする。ただし、当該連結法人が、当該有価証券の取引を実際に行った市場の価格又は実勢を最も反映していると判断される価格その他の公正評価額を入手するための市場としてあらかじめ定めている市場の価格をもって当該時価評価金額としているときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(4) その市場における当該有価証券の実際の売買事例が極めて少なく、その公表された価格が実勢を反映した公正評価額と認められない場合の当該有価証券の価格については、当該価格はないものとして取り扱うことができる。
(取引所売買有価証券の気配相場)
2-3-26 令第 119条の13第1号《取引所売買有価証券の時価評価金額》に規定する「取引所売買有価証券」の同号に規定する「最終の気配相場の価格」は、その日における最終の売り気配と買い気配の仲値とする。ただし、当該売り気配又は買い気配のいずれか一方のみが公表されている場合には、当該公表されている最終の売り気配又は買い気配とする。
(注) 連結法人が、転換社債型新株予約権付社債(1-7-5《外貨建ての転換社債型新株予約権付社債の権利行使があった場合の連結個別資本積立金額》に定める転換社債型新株予約権付社債をいう。)に係る最終の気配相場の価格として、取引所の定める基準値段(当該転換社債型新株予約権付社債について連結事業年度終了の日の翌日の呼値の制限値幅となる価格をいう。)を使用しているときは、これを認める。
(店頭売買有価証券の時価評価金額)
2-3-27 令第 119条の13第2号《店頭売買有価証券の時価評価金額》に規定する「店頭売買有価証券」の価格は、原則として証券取引法第79条の3《売買高及び価格の通知・公表》の規定により証券業協会が公表する「その日における最終の売買の価格」(当該価格の公表がない場合には、その日における最終の気配相場の価格)によるのであるが、連結事業年度終了の日において当該「その日における最終の売買の価格」がない場合において、連結法人が、株券、新株引受権証書、新株予約権証券又は新株予約権付社債券について、公表基準価格(これらの有価証券の売買の実績等に基づいて証券業協会が公表する基準価格をいう。)を当該「その日における最終の気配相場の価格」として使用しているときは、これを認める。
(注) 気配相場に係る価格の取扱いは、2-3-26の本文を準用する。
(公表する価格の意義)
2-3-28 令第 119条の13第3号《その他価格公表有価証券の時価評価金額》に規定する「当該事業年度終了の日における当該その他価格公表有価証券の最終の売買の価格」又は「最終の気配相場の価格」とは、同号に規定する価格公表者によって公表される次に掲げる価格をいうことに留意する。この場合、当該価格は、連結法人が、各連結事業年度において同一の方法により入手又は算出する価格によるものとし、その入手価格は通常の方法により入手可能なもので差し支えないものとする。
(1) 公正評価額を提供するため複数の店頭市場の情報を集計し、提供することを目的として組織化された業界団体が公表した連結事業年度終了の日における最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格(新株予約権付社債以外の公社債については、連結事業年度終了の日の気配値に基づいて証券業協会が公表する公社債店頭売買参考統計値の平均値又は中央値を含む。)
(2) 金融機関又は証券会社間の市場、ディーラー間の市場、電子媒体取引市場のように、当該連結法人が随時売買又は換金を行うことができる取引システムにおいて成立する連結事業年度終了の日における最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格
(3) ブローカーによって継続的に提示されている公正評価額のうち当該連結事業年度終了の日における最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格(株式以外の有価証券については、当該ブローカーが公正評価額として提示する合理的な方法により計算した価格を含む。)
(注) 気配相場に係る価格の取扱いは、2-3-26の本文を準用する。
(合理的に計算された価格の意義)
2-3-29 令第 119条の13第4号イ《合理的な方法により計算した売買目的有価証券の時価評価金額》に規定する「合理的な方法により計算した金額」とは、例えば次に掲げる価格をいうことに留意する。
(1) 上場有価証券等の市場価格(同条第1号から第3号までに掲げる有価証券の当該各号に規定する価格をいい、取得又は売却に要する付随費用を含まない価格をいう。以下2-3-30において同じ。)に基づき、利率、残存償還期間、当該債券の発行者の信用度等を勘案して算定する理論価格方式又は債券の種類ごとに類似した銘柄を選定し、業界団体が公表する連結事業年度終了の日の基準気配値の利回りを用いて算定する比準価格方式その他合理的な方法により算定した価格
(2) ブローカー又は情報ベンダー(投資に関する情報を提供することを業としている者で、時価情報等の提供を行っている者をいう。以下この章において同じ。)から入手する(1) の方法に基づいて算定された価格
(注) 2-1-36は、同条第4号イに規定する「償還期限及び償還金額の定めのある有価証券」の範囲について準用する。
(新株権利落ちのあった株式で新株の発行されていないものの価額)
2-3-30 新株権利落ちのあった売買目的有価証券である株式(新株の権利の価格に相当する金額を別の資産として計上している場合の当該株式を除く。)で連結事業年度終了の日において新株の発行が行われていない場合の当該株式の価額は、その市場価格に当該株式の権利の価格に相当する金額を加算した金額とする。
(注) 「株式の権利の価格に相当する金額」は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 新株に係る新株引受権証書の市場価格がある場合 当該市場価格に旧株1株について引き受ける新株の数を乗じて得た金額
(2) 新株の市場価格がある場合((1) に該当する場合及び新株の取引量が旧株に比して著しく少なく、新株の価格によっては株式の権利の価格に相当する金額が合理的に算定できないと認められる場合を除く。) 連結事業年度終了の日の市場価格から当該新株について払い込むべき金額を控除した金額に旧株1株について引き受ける新株の数を乗じて得た金額
(3) (1) 及び(2) に該当しない場合 連結事業年度終了の日の旧株の市場価格から当該新株について払い込むべき金額を控除した金額に旧株1株について引き受ける新株の数を乗じて得た金額
第6款 デリバティブ取引に係る損益等
(その他のデリバティブ取引の範囲)
2-3-31 規則第27条の7第1項第20号《その他のデリバティブ取引》に規定する取引(以下2-3-32までにおいて「その他のデリバティブ取引」という。)は、基本的には、以下に掲げる要件のすべてを満たす取引をいう。
(1) その価値が、特定の金利、有価証券の価格、現物商品の価格、外国為替相場、各種の価格又は率の指数、信用格付け、信用指数その他これらに類する変数(以下この節において「基礎数値」という。)の変化に反応して変化し、かつ、想定元本又は決済金額のいずれか又はその両方を有する取引であること。
(2) 当初純投資が不要であるか、又は同一の効果若しくは成果をもたらす類似の一般的な取引と比べ当初純投資をほとんど必要としない取引であること。
(3) 当該取引に係る契約の条項により純額決済を要求又は容認する取引(次の取引を含む。)であること。
イ 例えば市場において当該取引に係る契約の転売又は当該契約と反対の契約の締結が容易である場合のように、契約に定められている条項以外の方法で実質的な純額決済が容易にできる取引
ロ 資産等の引渡しを定めていても、例えば、当該資産等が市場において売買される有価証券又はデリバティブ取引(規則第27条の7第1項第1号から第19号まで《デリバティブ取引の範囲》に掲げる取引をいう。)である場合のように、その資産等が容易に換金できることによって、純額決済の取引と実質的に異ならない状態に置くことができる取引
(注) 1 想定元本とは、通貨の金額、株式の数、重量若しくは容積その他の単位の数値をいう。以下この章において同じ。
2 決済金額とは、基礎数値があらかじめ定めたように変動した場合に支払われることとされている固定又は変動の金額についての取決めに係る金額をいう。
3 本文の(1) から(3) までの要件のすべてを満たす有価証券の売買契約に係る取引であっても、約定日から受渡日までの期間がおおむねその受渡しに通常要する期間となっているときは、当該売買契約に係る取引は「その他のデリバティブ取引」に該当しないことに留意する。
4 いわゆるウェザー・デリバティブ取引(気温その他の気候の変動に係る数値を基礎数値とする取引をいう。)及びカタストロフィック・デリバティブ取引(地震その他の災害の発生に係る数値を基礎数値とする取引をいう。)は、「その他のデリバティブ取引」に該当する。
(受渡決済見込取引)
2-3-32 農産物、鉱物その他の商品の価格を基礎数値とし、かつ、受渡決済を行うことができる取引が、2-3-31に定める要件を満たす場合には、当該取引は、原則として「その他のデリバティブ取引」として取り扱うこととなるのであるが、当該取引の基礎数値に係る商品と同一の商品を通常棚卸資産である商品、原材料等として保有し販売又は費消する連結法人が、当該取引に係る契約の時に当該商品の受渡決済をあらかじめ決定していることが内部資料その他のものによって明らかなときは、当該取引は、「その他のデリバティブ取引」に該当しないものとして取り扱うことに留意する。
(注) 規則第27条の7第1項第5号《商品デリバティブ取引》に規定する商品デリバティブ取引は、同号に規定する「銀行法施行規則第13条の2第1項第5号」の規定により差金の授受によって決済される取引に限られているのであるから、商品の受渡決済を行うことができる取引は、当該商品デリバティブ取引に該当しない。
(未決済デリバティブ取引の意義)
2-3-33 法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》に規定する「デリバティブ取引のうち事業年度終了の時において決済されていないもの」とは、連結事業年度終了の時においてデリバティブ取引(同項に規定する「デリバティブ取引」をいう。以下この款において同じ。)に係る約定が成立しているもののうち、解約、譲渡、オプションの行使・消滅その他の手仕舞いに係る約定(以下この章において「手仕舞約定等」という。)が成立していないものをいうことに留意する。
(注) 2-1-38のただし書又は2-1-39の適用を受ける場合には、当該デリバティブ取引は、これらの通達に定める受渡しの日まで手仕舞約定等が成立していないものとして取り扱う。
(金利スワップ取引等の特例処理)
2-3-34 規則第27条の7第2項《金利スワップ取引等の特例処理》に規定する取引に該当するか否かの判定に当たっては、次のことに留意する。
(1) スワップ取引等(規則第27条の7第1項第7号《スワップ取引》に規定するスワップ取引及び同項第8号《オプション取引》に規定するオプション取引をいう。以下2-3-34において同じ。)の想定元本と当該スワップ取引等の対象とした資産又は負債の元本金額との差がおおむね5%以内である場合には、同条第2項第3号の要件を満たすこととなる。
(2) 次に掲げる取引は、同項第1号に規定する「金利変動損失額を減少させるために行ったもの」に含まれる。
イ 支払金利を対象とするいわゆる金利キャップ取引(対象金利が上限金利を上回った場合において、当該上回った部分に相当する金額を受け取ることとなるものに限る。以下2-3-34において同じ。)又は受取金利を対象とするいわゆる金利フロアー取引(対象金利が下限金利を下回った場合において、当該下回った部分に相当する金額を受け取ることとなるものに限る。以下2-3-34において同じ。)
ロ LIBOR、TIBOR等の種類の異なる変動金利同士を交換するいわゆるベーシス・スワップ取引が、資産に係る変動金利と負債に係る変動金利の種類を一致させることを目的とするものである場合(当該資産及び当該負債について同項第2号に規定する帳簿書類への記載を行ったものに限る。)の当該取引
(3) スワップ取引等に期限前解約オプション、金利キャップ取引又は金利フロアー取引が組み合わされた取引は、 同項に規定する「前項第7号及び第8号に掲げる取引」に該当するものとして取り扱う。
(注) スワップ取引等のうち同項に規定する要件を満たさないものであっても、法第61条の6第1項《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》の規定の適用に関する要件を満たすものは、同項の規定の適用がある。
(みなし決済金額)
2-3-35 連結法人がデリバティブ取引について法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》の規定を適用する場合において、連結事業年度終了の時において決済したものとみなしたところにより算出する利益の額又は損失の額に相当する金額(以下2-3-35までにおいて「みなし決済金額」という。)は、規則第27条の7第3項各号《みなし決済金額》に規定する金額となるのであるが、当該みなし決済金額の算出に当たり、連結法人が、次に掲げる取引の区分に応じ、それぞれ次によっている場合には、これを認める。この場合、当該みなし決済金額は、連結法人が各連結事業年度において同一の方法により入手又は算出する金額によるものとし、その入手価額は、通常の方法により入手可能なもので差し支えないものとする。
(1) 取引所に上場されているデリバティブ取引 当該取引が上場されている取引所において公表された連結事業年度終了の日の最終の取引成立価格(公表された同日における当該価格がない場合には、公表された同日における最終の気配値とし、公表された同日における当該価格及び当該気配値のいずれもない場合には、最終の取引成立価格又は最終の気配値が公表された日で当該連結事業年度終了の日に最も近い日におけるその最終の取引成立価格又は最終の気配値とする。)に基づき算出した金額をみなし決済金額とする。ただし、連結法人が、取引所の公表する清算価格(値洗いのために授受をする金銭の額の計算の基礎として用いられる金額をいう。)に基づき算出した金額を継続してみなし決済金額としているときは、これを認める。
(2) 取引システムの気配値があるデリバティブ取引 イ又はロの区分に応じ、それぞれイ又はロによる。
イ 当該デリバティブ取引について、インターバンク市場、ディーラー間市場、電子売買取引市場その他当該連結法人が随時決済又は換金ができる取引システムの気配値がある場合 当該システムの気配値に基づき算出した金額をみなし決済金額とする。
ロ 当該デリバティブ取引に類似するデリバティブ取引について、インターバンク市場、ディーラー間市場、電子売買取引市場その他当該連結法人が随時決済又は換金ができる取引システムの気配値がある場合 当該気配値に契約上の差異等を合理的に調整して算出した金額をみなし決済金額とする。
(3) (1) 及び(2) 以外のデリバティブ取引でみなし決済金額の算出が可能なもの デリバティブ取引のみなし決済金額を算出する専担者又は専担部署(関係会社を含む。)を有する等により常時みなし決済金額を算定している連結法人が行うデリバティブ取引についてはイ又はロに掲げる金額とし、それ以外の連結法人が行うデリバティブ取引についてはロに掲げる金額をみなし決済金額とする。
イ 当該デリバティブ取引の見積将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引く方法、オプション価格モデルを用いて算定する方法その他合理的な方法で、連結法人があらかじめ定めている方法により算出した金額
ロ 銀行、証券会社、情報ベンダー等から入手した金額(イの方法に基づいて算定されたこれらの者の提示価額に限る。)
(4) (1) 及び(2) 以外のデリバティブ取引でみなし決済金額の算出が困難なもの イ又はロの区分に応じ、 それぞれイ又はロによる。
イ 債務保証等類似デリバティブ取引 みなし決済金額はないものとする。この場合において、連結法人が債務保証等類似デリバティブ取引について支払を受ける又は支払うプレミアムの額は、期間の経過に応じて益金の額又は損金の額に算入する。
ロ イ以外のデリバティブ取引で、市場価格のない株式の価格に係る数値、信用リスクに係る数値、気温等の気候の変動に係る数値、地震等の災害の発生に係る数値その他の算定をすることが極めて困難な数値を基礎数値とするデリバティブ取引 みなし決済金額はないものとする。この場合において、当該デリバティブ取引については、授受をする金銭等の価額をもってその授受の都度資産又は負債に計上し、当該資産又は負債に計上した金額は、当該デリバティブ取引の消滅が確定した日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(注) 1
「取引所に上場しているデリバティブ取引」又は「取引システムの気配値があるデリバティブ取引」のみなし決済金額の算出において気配値を使用する場合には、当該気配値は、連結事業年度終了の日における最終の売り気配と買い気配の仲値とする。ただし、当該売り気配又は買い気配のいずれか一方のみが公表されている場合には、当該公表されている最終の売り気配又は買い気配とする。
2 みなし決済金額の算出においては、委託手数料その他取引に付随して発生する費用は加味しないことに留意する。
3 「取引所に上場しているデリバティブ取引」又は「取引システムの気配値があるデリバティブ取引」であっても、実際の取引事例が極めて少なく、その価格が公正評価額(第三者間で恣意性のない取引を行うと想定した場合の決済金額をいう。)と認められない場合のデリバティブ取引については、他の区分に属するデリバティブ取引として区分することができる。
(債務保証等類似デリバティブ取引の意義)
2-3-36 2-3-35の(4) イに定める「債務保証等類似デリバティブ取引」とは、当事者の一方が第三者の債務不履行、自然災害その他これらに類する特定の事実(以下2-3-37において「支払事由」という。)が生じた場合に一定の金銭を支払うことを約し、他方の当事者がその対価としてプレミアムを支払うことを約するデリバティブ取引をいう。
(債務保証等類似デリバティブ取引に係る支払事由の発生により授受する金銭等に係る損益の計上)
2-3-37 連結法人が債務保証等類似デリバティブ取引(2-3-36に定める債務保証等類似デリバティブ取引をいう。以下2-3-37において同じ。)を行った場合において、支払事由が生じたことにより支払を受ける又は支払う金銭の額については、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1) 支払事由が生ずると同時に支払金額が確定する場合 連結法人が当該支払事由の発生を知り得ることとなった日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(2) 支払事由が生じた後に支払金額が確定する場合 支払金額が確定した日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(注) 連結法人が支払事由が生じたことにより金銭を支払う場合において、当該金銭の支払と引き換えに債務保証等類似デリバティブ取引の対象とされた有価証券、金銭債権その他の資産の引渡しを受けるときは、当該金銭の額から当該資産の引渡しを受けた時の当該資産の価額を控除した残額を損金の額に算入する。ただし、当該資産の引渡しの時にその価額を算定することが困難な場合において、連結法人が当該資産の券面額、債権金額等をその価額としているときは、これを認める。
(有価証券等に組み込まれたデリバティブ取引の取扱い)
2-3-38 連結法人が、有価証券(法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券又は法第61条の7第1項《時価ヘッジ処理による売買目的外有価証券の評価益又は評価損の計上》の規定の適用を受ける同項に規定する売買目的外有価証券に該当するものを除く。)、金銭債権、金銭債務等(以下2-3-39までにおいて「有価証券等」という。)で、デリバティブ取引の組み込まれたもの(以下2-3-43までにおいて「複合有価証券等」という。)を取得し、又は発生させた場合において、継続的に、 当該複合有価証券等に係る取引を有価証券等に係る取引と当該デリバティブ取引(以下2-3-43までにおいて「組込デリバティブ取引」という。)とに区分し、 当該組込デリバティブ取引につき法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》の規定を適用しているときは、これを認める。
(注)
1 本文の「有価証券等に係る取引」とは、当該有価証券等が利付の有価証券等であるときは、当該有価証券等の元本の額とあらかじめ定められた一定の利率(あらかじめ定められた一定の利率がない場合には、 国内又は海外において代表的な利率又は指数として公表されているものにより決定される利率を含む。)に基づいて計算される利子の授受及び当該元本の授受に係る取引をいい、 当該有価証券等が割引債又はこれに類似するものであるときは、 当該割引債の発行価額相当額又はこれに相当するものの授受に係る取引をいう。
2 複合有価証券等に係る取引を有価証券等に係る取引と組込デリバティブ取引とに区分した場合には、有価証券等に係る取引と組込デリバティブ取引とがそれぞれ独立して行われたものとした場合に各連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入すべき金額を各連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、これらの取引に基づいて受け取る金銭の額(元本の償還又は弁済により受け取るものを除く。)については、区分しないこととして差し支えない。
3 連結法人が区分することとした組込デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額(法第61条の5第1項に規定する「利益の額又は損失の額に相当する金額」をいう。以下2-3-38において同じ。)を算出することが困難な場合において、複合有価証券等に係る評価益又は評価損の額(複合有価証券等を売買目的有価証券であるものとみなして計算した法第61条の3第2項《売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等》に規定する評価益又は評価損の額に相当する金額をいう。)を当該組込デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額としているときは、継続適用を条件としてこれを認める。
4 2-1-50は、組込デリバティブ取引を区分しない複合有価証券等又は組込デリバティブ取引を区分した複合有価証券等の当該組込デリバティブ取引以外の部分について準用する。この場合、「(当該適用している利率が国内又は海外において代表的な利率又は指数として公表されているものにより決定されている場合」は、「(当該適用している利率が国内若しくは海外において代表的な利率若しくは指数として公表されているものにより決定されている場合又は組み込まれたオプション取引に係るオプションの行使若しくは不行使によるものである場合」と読み替えて適用する。
5 区分することとした組込デリバティブ取引に係る契約に基づき金銭以外の資産を取得した場合には、法第61条の5第2項《デリバティブ取引に係る契約に基づき金銭以外の資産を取得した場合における益金算入等》の規定が適用されることに留意する。
(組込デリバティブ取引の区分の方法)
2-3-39 組込デリバティブ取引を複合有価証券等から区分する場合において、有価証券等に複数の組込デリバティブ取引が組み込まれているときは、すべての組込デリバティブ取引を区分するものとする。ただし、次に掲げる組込デリバティブ取引については、区分しないこととして差し支えない。
(1) ヘッジ目的組込デリバティブ取引(デリバティブ取引を組み込む対象となる有価証券等の価額の変動又は当該有価証券等について受払が予定される金銭の額の変動に伴って生ずるおそれのある損失の額を減少させる組込デリバティブ取引をいう。)
(2) 元本保証型組込デリバティブ取引(資産である有価証券等の元本の額又は償還金額を減少させるおそれのない組込デリバティブ取引をいい、当該組込デリバティブ取引について生ずる利益又は損失を相殺する関係にある他の組込デリバティブ取引を区分することとした場合の当該組込デリバティブ取引を除く。)
(3) リスク限定型組込デリバティブ取引(負債である有価証券等の元本の額若しくは償還金額を増加させ、又は当該有価証券等について支払う利子の額を著しく増加させるおそれのない組込デリバティブ取引をいい、当該組込デリバティブ取引について生ずる利益又は損失を相殺する関係にある他の組込デリバティブ取引を区分することとした場合の当該組込デリバティブ取引を除く。)
(注) ただし書の適用を受けて区分しないこととした場合の(1) から(3) までに掲げる組込デリバティブ取引は、2-3-38の (注) 2に定める有価証券等に係る取引に含めることに留意する。
(デリバティブ取引の手仕舞約定等に係る損益の計上)
2-3-40 デリバティブ取引の手仕舞約定等に係る損益の額は、 当該手仕舞約定等が成立した日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
第7款 ヘッジ処理による損益
(繰延ヘッジ処理の対象となる取引の範囲)
2-3-41 法第61条の6《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》の規定(以下この款において「繰延ヘッジ処理」という。)の適用は、連結事業年度終了の日の帳簿価額に反映されていない同項各号の「生ずるおそれのある損失」の額を減少させるためのデリバティブ取引等(同条第2項に規定する「デリバティブ取引等」をいう。以下この款において同じ。)に係る利益額又は損失額をその損失の発生時まで繰り延べるために行うものであるから、例えば、次に掲げる損失等を対象とした取引は同条第1項の規定の適用がないことに留意する。
(1) 令第28条第1項第2号《棚卸資産の評価の方法》に規定する低価法を適用している棚卸資産の価格の変動により生ずるおそれのある損失
(2) 満期保有目的債券(令第119条の2第2項第1号《満期保有目的有価証券の意義》に規定する有価証券に区分した有価証券をいう。)の金利の変動に基因する価格の変動により生ずるおそれのある損失
(ヘッジ手段の指定の単位)
2-3-42 繰延ヘッジ処理の適用を受けるデリバティブ取引等(以下この款において「繰延ヘッジ手段デリバティブ取引等」という。)は、原則として、当該デリバティブ取引等の契約又は当該デリバティブ取引等の想定元本の割合により区分した部分を単位として、繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類(規則第27条の8各項《繰延ヘッジ処理》に規定する事項を記載する帳簿書類をいう。以下2-3-55までにおいて同じ。)に記載して指定する。ただし、次に掲げる部分を除いたものをその指定の単位とすることを繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類に記載しているときは、これを認める。
(1) オプション取引の時間的価値に係る部分(オプション取引の価値に係る部分のうち、基礎数値の価格に基因する部分以外の部分をいう。)
(2) 先物取引又は先渡取引のプレミアム又はディスカウントに係る部分(先物取引又は先渡取引の価値に係る部分のうち、基礎数値の価格に基因する部分以外の部分をいう。)
(注) ただし書により指定から除いた部分の金額については、法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》に規定する「利益の額又は損失の額に相当する金額」として同条の規定の適用があることに留意する。
(売建オプション取引等の取扱い)
2-3-43 法第61条の6第1項《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》の規定の適用に当たり、単独で行われる売建オプション取引(規則第27条の7第1項第8号、第9号、第12号又は第16号《デリバティブ取引》に掲げるオプション取引及び同項第5号又は第6号の取引でオプション取引に類似する取引のうち、取引の相手方に権利を付与しているものをいう。)のように、その収益の額の限度が権利付与の対価に限られている一方、損失の額が当該対価の額に限られていないものは、法第61条の6第1項に規定する「ヘッジ対象資産等損失額」を減少させるために有効であるとされる繰延ヘッジ手段デリバティブ取引等とはならないことに留意する。
(注) 売建オプション取引であっても、次に掲げるものは、繰延ヘッジ手段デリバティブ取引等となる。
(1) いわゆる金利カラー取引のように、損失の発生のリスクが限定されるもので、支払オプション料が受取オプション料と同額又はそれ以上であるもの
(2) 複合有価証券等のうち組込デリバティブ取引を区分して経理しないものに含まれる買建オプションを相殺するもの
(有効性判定の方法)
2-3-44 令第 121条第1項《繰延ヘッジ処理におけるヘッジの有効性判定等》に規定する「有効性判定」(以下2-3-55までにおいて「有効性判定」という。)を行うに当たり、2-3-42の(1) 及び(2) に掲げる部分を当該有効性判定の要素から除くこととしているときは、当該事項を繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類にあらかじめ記載していることを条件として、これを認める。
(注) ヘッジ手段の指定につき2-3-42の本文の前段による指定を行っている場合も同様とする。
(有効性判定の時期)
2-3-45 有効性判定は、期末時(令第121条第1項《繰延ヘッジ処理におけるヘッジの有効性判定等》に規定する「期末時」をいう。)及びデリバティブ取引等の決済時(同項に規定する「決済時」をいう。以下2-3-45において同じ。)に行うのが原則であるが、連結法人が当該有効性判定を6か月に一度等規則性のある一連結事業年度以内の一定期間ごとに継続的に行うこととする旨を繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類に記載しているときは、これを認める。この場合、連結法人の選択した当該有効性判定の時に算出した有効性割合(令第121条の2《繰延ヘッジ処理に係るヘッジが有効であると認められる場合》に規定する割合をいう。以下2-3-47までにおいて同じ。)の事績に基づき、繰延ヘッジ処理を適用する。
(注) 本文の適用を受ける場合には、次に掲げることに留意する。
(1) デリバティブ取引等の決済時には、有効性判定を行わなければならない。この場合、 当該決済時とは、デリバティブ取引等について手仕舞約定等が成立した場合における当該手仕舞約定等に係る決済の時をいうのであるから留意する。
(2) 有効性割合の事績がおおむね 100分の80未満 又は100分の125超となるときは、当該事績に基づき、2-3-47の取扱いを適用することができる。
(有効性判定の数値が異常値と認められる場合の取扱い)
2-3-46 有効性判定を行った時に算出した有効性割合が、おおむね 100分の80未満又は 100分の125超となる場合であっても、それが法第61条の6第1項第1号《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》の価額の変動又は同項第2号のキャッシュ・フローの変動(以下この款において「相場等の変動」という。)の幅が小さいことによる一時的な状態を基因とするものであると認められるときは、当該繰延ヘッジ処理の適用を開始する前に行った有効性の確認の結果がおおむね100分の80から 100分の 125までとなっていた事績があることを条件として、繰延ヘッジ処理の適用を認める。
(注) この取扱いは、すべてのデリバティブ取引等の有効性判定に当たり継続して行わなければならないことに留意する。
(ヘッジとして有効である部分の金額の特例)
2-3-47 法第61条の6第1項《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》に規定する「ヘッジ対象資産等損失額を減少させるために有効である部分の金額」(以下この款において「繰延ヘッジ金額」という。)は、令第 121条の3第1項《デリバティブ取引等に係る利益額又は損失額のうちヘッジとして有効である部分の金額等》の規定に基づきその金額を算定するのであるが、有効性割合がおおむね100分の80から100分の 125までとなっていない場合において、連結法人が、 当該繰延ヘッジ金額のうち同条第4項に規定する「直近の有効性判定(前項に規定する場合において、当該内国法人が同項に規定する適格組織再編成の日の属する事業年度以後に行った有効性判定における有効性割合がおおむね 100分80から 100分の 125までとなっていないときは、同項に規定する被合併法人等が行った有効性判定でその有効性割合がおおむね100分80から100分の125までとなっていた直近の有効性判定)におけるそのデリバティブ取引等に係る同条第1項に規定する利益額又は損失額(第1項に規定する場合にあつては、その利益額又は損失額から第2項に規定する超過差額を控除した金額)」の金額をそのまま法第61条の6第1項第1号に規定する資産又は負債(以下2-3-53及び2-3-54において「繰延ヘッジ対象資産等」という。)の譲渡若しくは消滅又は同項第2号に規定する金銭につき受取若しくは支払がある時まで繰り延べ、次回以降の有効性判定を行わないこととしているときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(ヘッジ期間の満了による繰延ヘッジ処理の終了)
2-3-48 繰延ヘッジ処理に係るヘッジ期間(規則第27条の8第1項《繰延ヘッジ処理》に規定する「ヘッジ対象資産等損失額を減少させようとする期間」をいう。以下2-3-48において同じ。)が満了した場合には、当該ヘッジ期間満了の日において繰延ヘッジ手段デリバティブ取引等について手仕舞約定等が成立したものとみなすのであるから留意する。
(注) 確定したヘッジ期間を繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類に記載していない場合には、当該繰延ヘッジ手段デリバティブ取引等の存続期間をヘッジ期間とする。
(キャッシュ・フローの変動に係る損失の範囲)
2-3-49 法第61条の6第1項第2号《繰延ヘッジ処理によるキャッシュ・フローの変動に係る損失》に規定する損失は、履行確定取引(契約が成立し、当該契約により取引時期、取引物件、取引数量、取引価格等の主要な取引条件が確定しており、かつ、それが実行されることが確定している取引をいう。以下この款において同じ。)又は履行予定取引(契約は成立していないが、取引予定時期、取引予定物件、取引予定数量、取引予定価格等の主要な取引条件が合理的に予測可能であり、かつ、その取引の実行の可能性が極めて高い取引をいう。以下この款において同じ。)に伴って生じるおそれのある損失でなければならないことに留意する。
(履行確定取引及び履行予定取引の意義)
2-3-50 2-3-49に定める履行確定取引及び履行予定取引については、次のことに留意する。
(1) 履行確定取引に係る2-3-49に定める内容を有する取引であっても、当該取引に係る契約を解除する場合の対価が全く不要か又は極めて軽微であるものは履行確定取引として取り扱わない。ただし、当該取引が次の(3)のイからハまでに掲げる要件のすべてを満たす場合には、履行予定取引として取り扱う。
(2) 例えば、貸付金、預金、貯金又は有価証券から生ずる予定の受取利子及び借入金から生ずる予定の支払利子に係る取引も、履行確定取引に該当する。
(3)
履行予定取引とは、その取引の内容が2-3-49に定めるものをいうのであるから、基本的には、以下の要件のすべてを満たすことが必要となる。
イ 当該取引が次のいずれかの取引に該当するものであること。
①過去において同様のものを行った実績のある取引であること。
②実績のない取引であっても、その取引の準備が相当程度進捗しており、事業遂行上必要とされるものであること。
③確定した他の契約の履行に伴って必要とされる取引であること。
ロ 当該連結法人にその予定される取引の履行を行うことのできる財政的能力、法律的能力その他当該取引を行うために通常必要とする能力が備わっていること。
ハ 当該取引が記載されている事業計画又はこれに準ずるものが存在すること。
(予定取引が行われた場合の取扱い)
2-3-51 予定取引(履行確定取引又は履行予定取引をいう。以下この款において同じ。)の決済により金銭を受け取ることとなり又は支払うこととなった場合における繰延ヘッジ金額の処理は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 当該予定取引が、売上、仕入、利息その他の損益の発生を予定しているものである場合 令第 121条の5第1項《繰り延べたデリバティブ取引等の決済損益額の計上時期等》の規定に基づき益金の額又は損金の額に算入する繰延ヘッジ金額は、予定取引に係る損益と同一の科目により処理する。ただし、当該デリバティブ取引等が外国為替の売買相場の変動に伴って発生する損失を減少させるためのものである場合には、為替差損益として計上することができる。
(2) 当該予定取引が、資産の取得又は負債の発生を予定しているものである場合 その資産又は負債の取得価額に加算し、又は取得価額から減算する。ただし、当該予定取引が、貸付金その他の利付金融資産(利子の支払のあるものに限る。)の取得を予定しているものである場合又は借入金その他の利付金融負債の発生を予定しているものである場合には、当該金融資産又は金融負債の利子の計算期間の経過に応じ利息の調整勘定として各連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入することができる。
(予定取引の中止が確実となった場合等の繰延ヘッジ処理の不適用)
2-3-52 法第61条の6第1項《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》の規定の適用を受けた後に、予定取引が事情変更等により実行されないことが確実となったとき又は解約されたときは、以後、繰延ヘッジ処理の適用はないことに留意する。
(包括ヘッジ処理の要件)
2-3-53 連結法人が、複数の資産又は負債の集合体(以下2-3-55までにおいて「ポートフォリオ」という。)を一の資産又は負債として繰延ヘッジ処理をしている場合において、当該ポートフォリオを一の資産又は負債として取り扱う旨を繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類に記載し、かつ、当該ポートフォリオ構成資産等(ポートフォリオを構成する資産又は負債をいう。以下2-3-55までにおいて同じ。)の個々の資産又は負債が共通のリスク要因(金利の変動、為替相場の変動等の損失を発生させる要因をいう。)による共通の損失の発生の可能性にさらされていることが明らかであるときは、当該ポートフォリオは、一の資産又は負債として繰延ヘッジ対象資産等とすることができる。
(注) 例えば、ポートフォリオ構成資産等の個々の資産又は負債の相場変動等割合(繰延ヘッジ処理の適用を開始した時から当該繰延ヘッジ処理の有効性判定をした時までの相場等の変動の割合をいう。以下2-3-53において同じ。)がポートフォリオ全体の相場変動等割合に対して、おおむね上下10%の範囲内にあるような場合は、「共通の損失の発生の可能性にさらされていること」に該当する。
(包括ヘッジ処理における決済損益額の配分)
2-3-54 連結法人が、繰延包括ヘッジ処理(ポートフォリオを繰延ヘッジ対象資産等として指定した場合の繰延ヘッジ処理をいう。以下2-3-55までにおいて同じ。)の適用をしている場合において、当該繰延包括ヘッジ処理に係るデリバティブ取引等について手仕舞約定等が成立したときは、繰延ヘッジ処理に係る効果を反映する次に掲げる割合その他合理的な割合に基づき、当該繰延包括ヘッジ処理に係る繰延ヘッジ金額を各ポートフォリオ構成資産等に配分する。
(1) 繰延包括ヘッジ処理の適用を開始した時における各ポートフォリオ構成資産等の価額をその時のポートフォリオ全体の価額で除した割合
(2) 繰延包括ヘッジ処理に係るデリバティブ取引等について手仕舞約定等が成立した時における各ポートフォリオ構成資産等の価額をその時のポートフォリオ全体の価額で除した割合
(3) 繰延包括ヘッジ処理に係るデリバティブ取引等について手仕舞約定等が成立した時における各ポートフォリオ構成資産等の帳簿価額をその時のポートフォリオ全体の帳簿価額で除した割合
(4) 繰延包括ヘッジ処理の適用を開始した時から当該繰延包括ヘッジ処理に係るデリバティブ取引等について手仕舞約定等が成立した時までの期間における各ポートフォリオ構成資産等に係る価額の変動額を当該期間におけるポートフォリオ全体の価額の変動額で除した割合
(繰延ヘッジ処理の表示)
2-3-55 繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類には、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次のことを記載することに留意する。
(1) 規則第27条の8第1項及び第2項《繰延ヘッジ処理に係るヘッジ対象資産等の明細の記載》に規定する記載事項
イ 2-3-42に定める「指定の単位」の具体的な内容
ロ 2-3-44の取扱いの適用を受ける場合には、有効性判定から除いたものの内容
ハ 2-3-45の取扱いにより、一連結事業年度より短い周期で有効性判定を行う場合には、その有効性判定を行う周期
ニ 2-3-53の取扱いの適用を受ける場合には、ポートフォリオとして取り扱うものの明細
ホ 繰延包括ヘッジ処理を適用する場合には、2-3-54に定める繰延ヘッジ金額を各ポートフォリオ構成資産等に配分する基準
(2) 同条第3項及び第4項に規定する記載事項
令第 121条第2項《繰延ヘッジ処理におけるヘ ッジの有効性判定等》に規定する特定事由に係る部分を算出する方法
(注) 繰延ヘッジ処理に関する帳簿書類には、連結法人が、規則第27条の8各項に規定する事項及びこの取扱いに定める事項を一括して記載した帳簿書類(これらの事項のうち会計処理方針として定めたものを記載した帳簿書類を含む。)も含まれる。
(繰延ヘッジ処理等を適用している場合における負債利子の額の計算)
2-3-56 金利の変動に伴って生ずるおそれのある損失を減少させる目的で繰延ヘッジ処理又は特例金利スワップ取引等(規則第27条の7第2項《金利スワップ取引等の特例処理》に規定する取引をいう。以下2-3-56において同じ。)を行っている場合の法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する負債の利子及び令第 155条の28第6項《共通費用の配賦の規定の準用》の規定により準用される令第 142条第6項《共通費用の配賦》に規定する共通費用に含まれる負債の利子の計算は、当該繰延ヘッジ処理による繰延ヘッジ金額に係る損益の額又は特例金利スワップ取引等に係る受払額のうち、支払利子の額に対応する部分の金額を加算又は減算した後の金額を基礎とするのであるから留意する。
(時価ヘッジ処理に係る取扱い)
2-3-57 法第61条の7《時価ヘッジ処理による売買目的外有価証券の評価益又は評価損の計上》の規定(以下2-3-57において「時価ヘッジ処理」という。)の適用は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 令第 121条の6第1項第1号《時価ヘッジ処理における売買目的外有価証券の評価額と円換算額等》に規定する「売買目的外有価証券のそのデリバティブ取引等を行つた時における価額」及び「期末時又は決済時における価額」は、売買目的外有価証券(法第61条の3第1項第2号《売買目的外有価証券の期末評価額》に規定する売買目的外有価証券をいう。以下2-3-57において同じ。)について時価法(同項第1号に規定する時価法をいう。)により評価した金額とする。
(2) 連結法人が、有効性割合(令第 121条の8《時価ヘッジ処理に係るヘッジが有効であると認められる場合》に規定する割合をいう。)がおおむね 100分の80から 100分の 125までとなっていない場合において、次回以降の有効性判定(令第 121条の7第1項《時価ヘッジ処理におけるヘッジの有効性判定》に規定する有効性判定をいう。)を行わないこととし、かつ、洗替処理(令第 121条の11《時価ヘッジ処理における時価評価差額の翌事業年度における処理等》の規定による処理をいう。)を行わないこととしているときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(3) 2-3-42から2-3-46まで、2-3-48、2-3-53及び2-3-55((1) ホを除く。)は、時価ヘッジ処理の取扱いについて準用する。
第4節 収益及び費用の帰属時期の特例
第1款 長期割賦販売等
(賦払の方法)
2-4-1 法第63条第4項第1号《長期割賦販売等の要件》に規定する「月賦、年賦その他の賦払の方法」とは、対価の額につき支払を受けるべき金額の支払期日(以下この款において「履行期日」という。)が頭金の履行期日を除き、月、年等年以下の期間を単位としておおむね規則的に到来し、かつ、それぞれの履行期日において支払を受けるべき金額が相手方との当初の契約において具体的に確定している場合におけるその賦払の方法をいう。
(延払基準の適用がある資産の譲渡)
2-4-2 法第63条第1項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する「長期割賦販売等」には、次に掲げる金額の受領に係る取引で同条第4項に定める長期割賦販売等の要件に該当するものが含まれるものとする。
(1) 借地権又は地役権の設定の対価として支払を受ける権利金その他の一時金の額で令第138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用があるもの
(2) 建物の賃貸借契約に際して支払を受ける権利金その他の一時金の額
(3) ノーハウの設定契約に際して支払を受ける一時金又は頭金の額
(延払損益の計算の基礎となる手数料の範囲)
2-4-3 令第 124条第1項《延払基準の方法》に規定する手数料には、連結法人が外部に支払う販売手数料のほか、当該連結法人の使用人たる外交員等に対して支払う歩合給、手数料等で所得税法第 204条 《源泉徴収義務》に規定する報酬等に該当するものも含まれるが、その支払うべき手数料の額が賦払金の回収の都度その回収高に応じて確定することとなっている場合(頭金又は一定回数までの賦払金の回収を条件として手数料の額が確定することとなっている場合を除く。)における当該手数料を含まないものとする。
(注) この取扱いにより延払損益の計算の基礎となる手数料に含めないものの額は、その額が確定する都度その確定した日の属する連結事業年度の損金の額に算入するのであるから留意する。
(手数料の原価の額への加算)
2-4-4 長期割賦販売等に係る手数料の額が頭金若しくは一定回数までの賦払金が回収されることを条件として確定し、又は販売数量等に応じて逓増することとなっている等のため、当該連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてした長期割賦販売等に係る手数料につき、当該連結事業年度においてその支払うべきことが確定し、又は既に支払った手数料の額が増加した場合には、その確定し又は増加した手数料の額は、当該連結事業年度においてした長期割賦販売等に係る手数料に加算して当該長期割賦販売等に係る原価の額を計算することができる。
(延払基準の計算単位)
2-4-5 令第 124条第1項《延払基準の方法》の規定による延払基準の方法による収益の額及び費用の額の計算は、原則としてその長期割賦販売等をした資産の販売等(法第63条第1項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する「資産の販売等」をいう。以下2-4-11までにおいて同じ。)ごとに行うのであるが、長期割賦販売等のうち、月賦、年賦その他の賦払の方法により対価の支払を受けることを定型的に定めた約款に基づき行われる資産の販売等について、連結法人が継続して差益率のおおむね同じものごとその他合理的な区分ごとに一括してその計算を行っている場合には、これを認める。
(時価以上の価額で資産を下取りした場合の対価の額)
2-4-6 連結法人が長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行うに当たり、頭金等として相手方の有する資産を下取りした場合において、当該資産につきその取得の時における価額を超える価額を取得価額しているときは、その超える部分の金額については取得価額に含めないものとし、その販売等をした資産については、その超える部分の金額に相当する値引きをして販売等をしたものとして取り扱う。
(履行期日前に受領した手形)
2-4-7 長期割賦販売等に該当する資産の販売等の賦払金のうち当該連結事業年度後に履行期日の到来するものについて連結法人が手形を受領した場合には、その受領した手形の金額は、令第 124条第2項《賦払金割合》に規定する「支払を受けた金額」には含まれない。
(賦払金の支払遅延等により販売した資産を取り戻した場合の処理)
2-4-8 連結法人が長期割賦販売等に該当する資産の販売等をした後において、相手方の代金の支払遅延等の理由により契約を解除して賦払期間の中途において当該販売等をした資産を取り戻した場合には、原則としてその資産を取り戻した日の属する連結事業年度において、まだ支払の行われていない賦払金の額の合計額から当該金額のうちに含まれる延払損益を除外した金額をもって資産に計上するものとするが、連結法人が当該合計額又はその資産を取り戻した時における処分見込価額をもって資産に計上したときは、その計算を認めるものとする。
(契約の変更があった場合の取扱い)
2-4-9 法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第63条第1項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同項の規定を含む。)によりその収益の額及び費用の額の計上につき延払基準の方法を適用している長期割賦販売等に該当する資産の販売等についてその後契約の変更があり、賦払金の履行期日又は各履行期日ごとの賦払金の額が異動した場合における同項の規定の適用については、次による。
(1) その契約の変更後においてなおその資産の販売等が同項に規定する長期割賦販売等に該当するものである場合には、その変更後の履行期日及び各履行期日ごとの賦払金の額に基づいて同項の規定による延払基準の計算を行う。ただし、その変更前に既に履行期日の到来した賦払金の額については、この限りでない。
(2) その契約の変更によりその資産の販売等が長期割賦販売等に該当しないこととなった場合には、その資産の販売等に係る収益の額及び費用の額(当該連結事業年度前の各連結事業年度の連結所得の金額(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度の所得の金額)の計算上益金の額及び損金の額に算入されるものを除く。)は、その該当しないこととなった日の属する連結事業年度の益金の額及び損金の額に算入する。
(対価の額又は原価の額に異動があった場合の調整)
2-4-10 法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第63条第1項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同項の規定を含む。)によりその収益の額及び費用の額の計上につき延払基準の方法を適用している長期割賦販売等に係る対価の額又は原価の額につきその後値増し、値引き等があったため当該長期割賦販売等に係る対価の額又は原価の額に異動を生じた場合には、その異動を生じた日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下2-4-10において「異動年度」という。)以後の各連結事業年度における当該対価の額又は原価の額に係る延払基準の方法の適用については、その異動後の対価の額又は原価の額(異動年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において計上した部分の金額を除く。)及び異動年度開始の日以後に受けるべき賦払金の額の合計額を基礎として2-4-9によりその計算を行うものとする。ただし、連結法人が、その値増し、値引き等に係る金額をこれらの事実の生じた日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入するとともに、延払基準の方法についてはその異動前の契約に基づいてその計算を行うこととしているときは、これを認める。
(長期割賦販売等に係る収益の額に含めないことができる利息相当部分)
2-4-11 連結法人が法第63条第1項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った場合において、当該長期割賦販売等に係る契約により販売代価と割賦期間中の利息に相当する金額とが明確、かつ、合理的に区分されているときは、当該利息相当額を当該長期割賦販売等に係る収益の額に含めないことができることに留意する。
長期割賦販売等に該当しない割賦販売等についても、同様とする。
第2款 工事の請負
(工事の請負の範囲)
2-4-12 法第64条《工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する工事(製造を含む。以下この款において同じ。)の請負には、設計・監理又はソフトウェアの製作等の役務の提供のみの請負は含まれないのであるが、工事の請負と一体として請け負ったと認められるこれらの役務の提供の請負については、当該工事の請負に含まれることに留意する。
(契約の意義)
2-4-13 法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する「契約」とは、当事者間における請負に係る合意をいうのであるから、当該契約に関して契約書等の書面が作成されているかどうかを問わないことに留意する。
(長期大規模工事に該当するかどうかの判定単位)
2-4-14 請け負った工事が法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する長期大規模工事に該当するかどうかは、当該工事に係る契約ごとに判定するのであるが、複数の契約書により工事の請負に係る契約が締結されている場合であって、当該契約に至った事情等からみてそれらの契約全体で一の工事を請け負ったと認められる場合には、当該工事に係る契約全体を一の契約として長期大規模工事に該当するかどうかの判定を行うことに留意する。
(工事の目的物について個々に引渡しが可能な場合の取扱い)
2-4-15 工事の請負に係る一の契約においてその目的物について個々に引渡しが可能な場合であっても、当該工事が法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する長期大規模工事に該当するかどうかは、当該一の契約ごとに判定することに留意する。
ただし、その目的物の性質、取引の内容並びに目的物ごとの請負の対価の額及び原価の額の区分の状況などに照らして、個々に独立した契約が一の契約書に一括して記載されていると認められる工事の請負については、当該個々に独立した契約ごとに長期大規模工事の判定を行うことができる。
(長期大規模工事に該当しないこととなった場合の取扱い)
2-4-16 長期大規模工事に該当する工事について、請負の対価の額の減額や工事期間の短縮があったこと等により、その着工連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)後の連結事業年度において長期大規模工事に該当しないこととなった場合であって、その工事について工事進行基準の適用をしないこととしたときであっても、その適用しないこととした連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において計上した当該工事の請負に係る収益の額及び費用の額を既往にさかのぼって修正することはしないのであるから留意する。
(長期大規模工事の着手の日の判定)
2-4-17 令第 129条第7項《長期大規模工事に着手したかどうかの判定》に規定する「その請け負った工事の内容を完成するために行う一連の作業のうち重要な部分の作業」を開始した日がいつであるかについては、当該長期大規模工事の種類及び性質、その長期大規模工事に係る契約の内容、慣行等に応じその「重要な部分の作業」を開始した日として合理的であると認められる日のうち連結法人が継続して判定の基礎としている日によるものとする。
(契約において手形で請負の対価の額が支払われることになっている場合の取扱い)
2-4-18 令第 129条第2項《支払条件に係る長期大規模工事の判定》に規定する「支払われること」には、契約において定められている支払期日に手形により支払われる場合も含まれることに留意する。
(長期大規模工事以外の工事で再び工事進行基準の適用要件を満たした場合の取扱い)
2-4-19 法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第64条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同項の規定を含む。以下2-4-19において同じ。)によりその収益の額及び費用の額の計上につき工事進行基準の方法を適用している長期大規模工事以外の工事について、その目的物の引渡しの日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において同項第2号に掲げる場合に該当することとなった場合においても、その後当該工事につき再び利益が生ずると見込まれるに至る等同号に掲げる場合に該当しないこととなったときは、その該当しないこととなった連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)以後の連結事業年度については、当該工事に係る収益の額及び費用の額の計上につき再び工事進行基準の方法を適用することができるものとする
(注) 工事進行基準を適用している長期大規模工事以外の工事が同号に掲げる場合に該当することとなった場合でも、当該連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において計上した収益の額及び費用の額を既往にさかのぼって修正することはしないのであるから留意する。
(外貨建工事に係る契約の時における為替相場)
2-4-20 令第 129条第1項《長期大規模工事の判定》に規定する「契約の時における外国為替の売買相場による円換算額」は、その外貨建工事(請負の対価の額の支払が外国通貨で行われるべきこととされている工事をいう。以下2-4-22までにおいて同じ。)の請負の対価の額を17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》の本文及び (注) 1から3までに定める為替相場(当該外貨建工事の契約の日を同通達に定める取引日とした場合の為替相場をいう。)により円換算した金額とする。
(注) 契約の日までに当該外貨建工事の請負の対価の額の全部又は一部について先物外国為替契約等(法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》に規定する先物外国為替契約等をいう。)により円換算額を確定させている場合であっても、令第 129条第1項に規定する「契約の時における外国為替の売買相場による円換算額」は、本通達の本文により円換算した金額とすることに留意する。
(外貨建工事の請負の対価の額が増額又は減額された場合の取扱い)
2-4-21 外貨建工事について、契約後、値増しや追加工事等又は値引きや工事の削減等があったことによりその請負の対価の額が増額又は減額された場合における令第 129条第1項《長期大規模工事の判定》の規定の適用については、当該外貨建工事に係る当該増額後又は減額後の請負の対価の額を、当該外貨建工事に係る契約時の外国為替の売買相場(当該外貨建工事につき2-4-20による円換算に用いた外国為替の売買相場をいう。)により円換算した金額とすることに留意する。
(外貨建工事の工事進行基準の計算)
2-4-22 外貨建工事における令第 129条第3項《工事進行基準の方法》の規定による計算は、原則として、当該計算の基礎となる金額につきすべて円換算後の金額に基づき計算するものとするが、例えば、当該計算の基礎となる金額につきすべて外貨建ての金額に基づき計算した金額について円換算を行うなど、連結法人が当該外貨建工事につき継続して合理的に計算している場合にはこれを認める。
また、当該計算の基礎となる金額について円換算を行う場合には、17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》、17-1-3《多通貨会計を採用している場合の外貨建取引の換算》、17-1-4《先物外国為替契約等がある場合の収益、費用の換算等》及び17-1-5《前渡金等の振替え》によることに留意する。
(注) 同項に規定する「工事に係る進行割合」の計算については、工事の進行の度合を示すものとして合理的と認められるものに基づいて計算した割合によることができるのであるから留意する。
第5節 割 戻 し
第1款 売上割戻し
(売上割戻しの計上時期)
2-5-1 販売した棚卸資産に係る売上割戻しの金額の計上の時期は、次の区分に応じ、次に掲げる連結事業年度とする。
(1) その算定基準が販売価額又は販売数量によっており、かつ、その算定基準が契約その他の方法により相手方に明示されている売上割戻し 販売した日の属する連結事業年度。ただし、連結法人が継続して売上割戻しの金額の通知又は支払をした日の属する連結事業年度に計上することとしている場合には、これを認める。
(2) (1) に該当しない売上割戻し その売上割戻しの金額の通知又は支払をした日の属する連結事業年度。ただし、各連結事業年度終了の日までに、その販売した棚卸資産について売上割戻しを支払うこと及びその売上割戻しの算定基準が内部的に決定されている場合において、連結法人がその基準により計算した金額を当該連結事業年度の未払金として計上するとともに連結確定申告書の提出期限(法第81条の24《連結確定申告書の提出期限の延長の特例》の規定によりその提出期限が延長されている場合には、その延長された期限とする。)までに相手方に通知したときは、継続適用を条件としてこれを認める。
(一定期間支払わない売上割戻しの計上時期)
2-5-2 連結法人が売上割戻しの金額につき相手方との契約等により特約店契約の解約、災害の発生等特別な事実が生ずるときまで又は5年を超える一定の期間が経過するまで相手方名義の保証金等として預かることとしているため、相手方がその利益の全部又は一部を実質的に享受することができないと認められる場合には、その売上割戻しの金額については、2-5-1にかかわらず、これを現実に支払った日(その日前に実質的に相手方にその利益を享受させることとした場合には、その享受させることとした日)の属する連結事業年度の売上割戻しとして取り扱う。
(実質的に利益を享受することの意義)
2-5-3 2-5-2の「相手方がその利益を実質的に享受すること」とは、次に掲げるような事実があることをいう。
(1) 相手方との契約等に基づいてその売上割戻しの金額に通常の金利を付けるとともに、その金利相当額については現実に支払っているか、又は相手方からの請求があれば支払うこととしていること。
(2) 相手方との契約等に基づいて保証金等に代えて有価証券その他の財産を提供することができることとしていること。
(3) 保証金等として預かっている金額が売上割戻しの金額のおおむね50%以下であること。
(4) 相手方との契約等に基づいて売上割戻しの金額を相手方名義の預金又は有価証券として保管していること。
第2款 仕入割戻し
(仕入割戻しの計上時期)
2-5-4 購入した棚卸資産に係る仕入割戻しの金額の計上の時期は、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げる連結事業年度とする。
(1) その算定基準が購入価額又は購入数量によっており、かつ、その算定基準が契約その他の方法により明示されている仕入割戻し 購入した日の属する連結事業年度
(2) (1) に該当しない仕入割戻し その仕入割戻しの金額の通知を受けた日の属する連結事業年度
(一定期間支払を受けない仕入割戻しの計上時期)
2-5-5 2-5-2の適用がある売上割戻しに対応する仕入割戻しについては、2-5-4にかかわらず、現実に支払(買掛金等への充当を含む。)を受けた日(その日前に2-5-3により実質的にその利益を享受することとなった場合には、その享受することとなった日)の属する連結事業年度の仕入割戻しとして取り扱う。ただし、連結法人が棚卸資産を購入した日の属する連結事業年度又は相手方から通知を受けた日の属する連結事業年度の仕入割戻しとして経理している場合には、これを認める。
(連結法人が計上しなかった仕入割戻しの処理)
2-5-6 連結法人が購入した棚卸資産に係る仕入割戻しの金額につき2-5-4又は2-5-5に定める連結事業年度において計上しなかった場合には、その仕入割戻しの金額は、当該連結事業年度の総仕入高から控除しないで益金の額に算入する。
第6節 そ の 他
(決算締切日)
2-6-1 連結法人が、商慣習その他相当の理由により、各連結事業年度に係る収入及び支出の計算の基礎となる決算締切日を継続してその連結事業年度終了の日以前おおむね10日以内の一定の日としている場合には、これを認める。
(注) 法第二編第一章第一節第五款第一目から第四目まで《有価証券の譲渡等に係る利益額又は損失額の計算》の利益の額又は損失の額の計算の基礎となる日(法第12条第1項ただし書《合同運用信託等》に規定する信託以外の金銭の信託の信託財産に属するものに係る計算の締切日を含む。)を継続してその連結事業年度終了の日以前おおむね10日以内の一定の日としている場合においても、当該計算の基礎となる日とすることに相当の理由があると認められるときは、同様とする。
(連結法人の設立期間中の損益の帰属)
2-6-2 連結法人の設立期間中に当該設立中の連結法人について生じた損益は、当該連結法人のその設立後最初の連結事業年度の連結所得の金額の計算に含めて申告することができるものとする。ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の損益については、この限りでない。
(注) 本文の取扱いによって申告する場合であっても、当該連結法人の設立後最初の連結事業年度の開始の日は1-4-1《設立第1回連結事業年度の開始の日》によるのであるから留意する。
(合併等に係る連結法人の資産移転後の損益の帰属)
2-6-3 合併等(合併、分割又は現物出資をいう。以下2-6-3において同じ。)により設立した連結法人の当該合併等の日から当該連結法人の設立の日の前日までの期間中に生じた損益は、2-6-2の本文の取扱いにかかわらず、当該連結法人のその設立後最初の連結事業年度の連結所得の金額の計算に含めて申告することとなるのであるから留意する。
(質屋営業の利息及び流質物)
2-6-4 質屋営業における利息又は流質物の計上については、次による。
(1) 貸付金に対する利息で流質期限までに支払を受けないものについては、未収利息として計上することを要しない。
(2) 流質期限を経過したため取得した流質物については、その流質物の価額に相当する金額を益金の額に、貸付金の額に相当する金額を損金の額に算入するものとする。この場合において、流質物の価額を、貸付金の額に相当する金額によることとして差し支えない。
第3章 受取配当等
第1節 受取配当等の金額
(名義株等の配当)
3-1-1 連結法人が役員、使用人等の名義をもって所有している株式又は出資(連結法人の有する自己の株式又は出資を含む。)について受ける利益の配当又は剰余金の分配についても、法第81条の4《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》の規定の適用があることに留意する。
(名義書換え失念株の配当)
3-1-2 連結法人が、その有する株式を譲渡した場合において、譲受人がその名義書換えをしなかったため当該株式に係る利益の配当の額でその譲渡後に行われた配当決議に係るものを受けたときは、当該利益の配当の額は株主たる地位に基づいて受けたものではないから、これについて法第81条の4《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》の規定の適用はないものとする。ただし、配当権利落後配当決議の日までの間に譲渡した株式について当該配当決議に係る利益の配当の額を受けたときは、この限りでない。
(特定信託又は証券投資信託の一部の解約による収益の分配の意義)
3-1-3法第81条の4《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》に規定する配当等の額に係る令第19条の2第1項第2号《特定信託の収益の分配の額》に規定する「特定信託の一部の解約による収益の分配」又は令第19条の3第1項第2号《証券投資信託の収益の分配のうち配当等の額から成る部分の金額》に規定する「証券投資信託の一部の解約による収益の分配」とは、特定信託又は証券投資信託の委託者たる会社が受託者たる信託会社(信託業務を兼営する銀行を含む。)に対しその信託の一部を解約することにより当該委託者が受ける収益の分配及び受益者からの解約の実行の請求に基づき委託者が受託者に対してその信託の一部を解約することにより当該受益者が受ける収益の分配をいうのであるから、受益者である連結法人が委託者に対し解約の実行の請求をしないでその信託に係る受益証券を譲渡した場合には、最終的にその受益証券に係る信託の解約が行われる場合であっても、これに当たらないことに留意する。
(旧株と新株とがある場合の短期所有株式等の数の計算)
3-1-4 同一法人の発行する株式のうちに旧株と新株とがある場合の法第81条の4第2項《短期所有株式等の配当等の益金算入》の規定により益金の額に算入される配当の元本である旧株と新株との数は、その旧株と新株とを同一銘柄の株式とみなして令第 155条の7《益金に算入される配当等の元本たる株式等》の規定により計算した株式の数をその配当の計算期間の末日において有していた旧株と新株との数の比によりあん分した数とする。
(新株予約権付社債に係る新株予約権を行使した場合の短期所有株式等の判定)
3-1-5 新株予約権付社債に係る新株予約権を行使して株式を取得した場合における法第81条の4第2項《短期所有株式等の配当等の益金算入》に規定する株式等の判定に当たって、株式を配当等の額の計算の基礎となった期間の末日以前1月以内に取得したかどうかは、当該行使のあった日によらないで、新株予約権付社債を取得した日によって判定するものとする。
令第 155条の7第1項第1号ロ《益金に算入される配当等の元本たる株式等》に規定する「当該末日後2月以内」に新株予約権付社債につき新株予約権の行使があった場合における当該行使に係る株式等の取得の時期の判定についても、同様とする。
(受益証券の銘柄)
3-1-6 法第81条の4第2項《短期所有株式等の配当等の益金算入》の規定を適用する場合の証券投資信託の受益証券の銘柄の区分は、ユニット型の証券投資信託の受益証券についてはその設定の回ごとに、オープン型の証券投資信託の受益証券についてはその信託ごとに行うものとする。
(信用取引に係る配当落調整額)
3-1-7 証券取引法第156 条の24第1項《免許の申請》に規定する信用取引(以下「信用取引」という。)により株式の買付けを行った連結法人が、証券会社又は証券金融会社から支払を受ける配当落調整額(信用取引に係る株式につき配当が付与された場合において、証券会社又は証券金融会社が、売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該配当に相当する金銭の額をいう。)は、法第81条の4《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》に規定する配当等の額には含まれない。
(配当等の額の支払義務が確定する日)
3-1-8 令第 155条の7第2項《益金に算入される配当等の元本たる株式等》に規定する「配当等の額の支払義務が確定する日」とは、2-1-30《利益の配当等の帰属の時期》の(1) から(3) までに定める日をいうことに留意する。また、令第 155条の10第1項《関係法人株式等の範囲等》に規定する「配当等の額の支払義務が確定する日」(以下3-1-10までにおいて「配当等の支払義務確定日」という。)とは、2-1-30の(1) 、(2) 又は(4) に定める日をいうことに留意する。
(保有期間が6月に満たない関係法人株式等に係る配当等)
3-1-9 法第81条の4第1項《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》に規定する関係法人株式等に係る配当等(以下3-1-10までにおいて「関係法人株式等に係る配当等」という。)とは、他の同一法人に係る株式等の保有が令第 155条の10第1項及び第2項《関係法人株式等の範囲等》に規定する要件を満たしている場合の当該他の同一法人の株式等に係る配当等をいうのであるから、連結法人が有する他の同一法人の株式等の一部につきその保有期間が6月に満たないものがある場合であっても、当該他の同一法人の株式等の他の部分の保有が同条第1項及び第2項に規定する要件を満たすときは、当該他の同一法人の株式等に係る配当等のすべてが関係法人株式等に係る配当等に該当することに留意する。
(配当等の支払義務確定日が2以上ある場合の関係法人株式等の判定等)
3-1-10 連結法人が支払を受けた他の同一法人の発行する株式等に係る配当等が当該連結事業年度に2以上ある場合において、当該配当等が関係法人株式等に係る配当等に該当するかどうかは、それぞれの配当等の支払義務確定日において当該連結法人の有する株式等に基づいて判定することに留意する。
配当等が法第81条の4第1項《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》に規定する連結法人株式等に係る配当等に該当するかどうかについても、同様とする。
(その他資本剰余金の処分による配当)
3-1-11 連結法人が受ける利益の配当が、商法第 289条第2項《法定準備金の取崩し制限》の規定による資本準備金の取崩しにより生じたその他資本剰余金を原資として行われたものであっても、法第81条の4《連結事業年度における受取配当等の益金不算入》の規定の適用があることに留意する。
第2節 負債の利子の計算
第1款 支払利子
(支払利子の範囲)
3-2-1 法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する「支払う負債の利子」には、次に掲げるようなものを含むことに留意する。
(1) 受取手形の手形金額と当該受取手形の割引による受領金額との差額を手形売却損として処理している場合の当該差額(手形に含まれる金利相当額を会計上別処理する方式を採用している場合には、手形売却損として帳簿上計上していない部分を含む。)
(2) 買掛金を手形によって支払った場合において、相手方に対して当該手形の割引料を負担したときにおけるその負担した割引料相当額
(3) 従業員預り金、営業保証金、敷金その他これらに準ずる預り金の利子
(4) 金融機関の預金利息及び給付補てん備金繰入額(給付補てん備金繰入額に準ずる繰入額を含む。)
(5) 相互会社の支払う基金利息
(6) 相互掛金契約により給付を受けた金額が掛け込むべき金額の合計額に満たない場合のその差額に相当する金額
(7) 信用事業を営む連結親法人である協同組合等が支出する事業分量配当のうちその協同組合等が受け入れる預貯金(定期積金を含む。)の額に応じて分配するもの
(利子税又は延滞金)
3-2-2 利子税又は地方税の延滞金については、連結法人がこれらを法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する「支払う負債の利子」に含めないで計算した場合には、これを認める。
(割賦購入資産等の取得価額に算入しない利息相当額)
3-2-3割賦販売契約又は延払条件付譲渡契約(これらに類する契約を含む。)によって購入した資産に係る割賦期間分の利息に相当する金額については、連結法人がこれを当該資産の取得価額に含めないこととした場合に限り、法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する「支払う負債の利子」に含めるものとする。
(売上割引料)
3-2-4 売掛金又はこれに準ずる債権について支払期日前にその支払を受けたことにより支払う売上割引料は、法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する「支払う負債の利子」に該当しないものとする。
(輸入決済手形借入金利息)
3-2-5 貿易商社が支払う輸入決済手形借入金の利息は、それが委託買付契約に係るもので、その利息相当額を委託者に負担させることとしている場合であっても、法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する「支払う負債の利子」に該当する。この場合において、当該委託者がその負担する利息相当額を当該委託買付契約により取得した資産の取得価額に算入しているときは、当該委託者においては、当該利息相当額は同項に規定する「支払う負債の利子」の額に含めないことができる。
(原価に算入した負債の利子)
3-2-6 固定資産その他の資産の取得価額に算入した負債の利子又は繰延資産として経理した負債の利子であっても、当該連結事業年度において支払ったものは、法第81条の4第3項《負債利子の控除》に規定する「当該連結事業年度において支払う負債の利子」に含まれることに留意する。
(注) 社債発行差金については、その償却費を「当該連結事業年度において支払う負債の利子」に含める。
第2款 控除する負債の利子の計算
(総資産の帳簿価額の計算)
3-2-7 令第 155条の8第1項第1号《総資産の帳簿価額》に規定する総資産の帳簿価額(以下3-2-9までにおいて「総資産の帳簿価額」という。)の計算については、次に掲げるような場合には、それぞれ次による。 (1) 貸借対照表に計上されている繰越欠損金の額がある場合には、当該繰越欠損金の額に相当する金額は、総資産の帳簿価額に含まれない。
(2) 支払承諾見返勘定又は保証債務見返勘定のように単なる対照勘定として貸借対照表の資産及び負債の部に両建経理されている金額がある場合には当該資産の部に経理されている金額は、総資産の帳簿価額から控除する。
(3) 貸倒引当金勘定の金額が、金銭債権から控除する方法により取立不能見込額として貸借対照表に計上されている場合にはその控除前の金額を、注記の方法により取立不能見込額として貸借対照表に計上されている場合にはこれを加算した金額を、それぞれの金銭債権の帳簿価額とすることができる。
(4) 退職給付信託における信託財産の額が、退職給与引当金勘定の金額と相殺されて貸借対照表の資産の部に計上されず、注記の方法により貸借対照表に計上されている場合には、当該信託財産の額を加算した金額を総資産の帳簿価額とすることができる。
(5) 貸借対照表に計上されている返品債権特別勘定の金額(売掛金から控除する方法により計上されているものを含む。)がある場合には、これらの金額を控除した残額を売掛金の帳簿価額とする。
(6) 貸倒損失が金銭債権から控除する方法により取立不能見込額として貸借対照表に計上されている場合には、これを控除した残額を金銭債権の帳簿価額とする。
(7) 貸借対照表に計上されている補修用部品在庫調整勘定又は単行本在庫調整勘定の金額がある場合には、これらの金額を控除した残額を当該補修用部品在庫調整勘定又は単行本在庫調整勘定に係る棚卸資産の帳簿価額とする。
(8) 自己株式を貸借対照表の資本の部の控除項目として表示している場合には、当該自己株式の金額を加算した金額を総資産の帳簿価額とすることができる。
(税効果会計を適用している場合の総資産の帳簿価額)
3-2-8 連結法人が税効果会計を適用している場合において、貸借対照表に計上されている繰延税金資産の額があるときは、当該繰延税金資産の額は、総資産の帳簿価額に含まれることに留意する。
(税効果会計を適用している場合に総資産の帳簿価額から控除する金額)
3-2-9 連結法人が税効果会計を適用している場合には、総資産の帳簿価額から控除する利益又は剰余金の処分による圧縮積立金又は特別償却準備金の金額は、貸借対照表に計上されている圧縮積立金勘定又は特別償却準備金勘定の金額とこれらの勘定に係る繰延税金負債の額との合計額となることに留意する。
(注) 当該繰延税金負債が繰延税金資産と相殺されて貸借対照表に計上されている場合には、その相殺後の残額となることに留意する。この場合、その相殺については、圧縮積立金勘定又は特別償却準備金勘定に係る繰延税金負債の額が繰延税金資産の額とまず相殺されたものとして取り扱って差し支えない。
(あん分計算の基礎となる株式等の範囲)
3-2-10 令第 155条の8第1項第2号《連結法人株式等及び関係法人株式等以外の株式等の帳簿価額》に規定する「連結法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式及び出資」若しくは「証券投資信託の受益証券」又は同条第2項第2号《関係法人株式等の帳簿価額》に規定する「関係法人株式等」には、配当等の有無にかかわらずすべてのものが含まれることに留意する。ただし、信用取引により買い付けた株式で、その決済が未了のものはこれに含めないことができる。
(新株予約権付社債に係る新株予約権の行使があった場合の取扱い)
3-2-11 新株予約権付社債に係る新株予約権の行使があった場合において、商法第 341条ノ3第1項《発行事項に関する決定》の規定により、当該新株予約権付社債の発行に際し当該新株予約権の行使があった日の属する連結事業年度又はその直前の連結事業年度の終了の日において新株の発行があったものとみなして利益の配当を計算する旨を決議しているときにおける令第 155条の8第1項《株式等に係る負債の利子の額》の規定の適用については、その新株の発行があったものとみなされた連結事業年度終了の日(その日が当該新株予約権付社債の取得の日前である場合には、その取得の日)において株式の取得があったものとして取り扱う。
(他の連結法人に係る社債発行差金の計算)
3-2-12 連結法人の当該連結事業年度において支払う負債の利子が令第21条第1項《負債利子に準ずるもの》に規定する社債発行差金である場合で、当該社債発行差金に係る社債の一部を法第81条の4第3項《負債の利子の控除》に規定する他の連結法人が有しているときの同項の規定により負債の利子から除かれる社債発行差金の額は、当該連結事業年度の損金の額に算入される社債発行差金の償却費のうち当該他の連結法人が当該連結事業年度の期間内において有していた社債の額及びその有していた期間に対応する額として計算した金額によるものとする。
(連結法人間の負債利子の元本たる負債の額)
3-2-13令第 155条の8第1項第1号ホ《総資産の帳簿価額》に規定する「負債の利子の元本である負債の額」には、当該連結事業年度において利払期が到来しない等のため利子の支払がない負債であっても、その利子が連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人に支払う負債の利子に該当するときは、その負債の額が含まれることに留意する。
第4章 その他の益金等
第1節 資産の評価益
(時価を超える評価益の益金不算入)
4-1-1 連結法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を増額した場合において、その評価換えが法第25条第1項かっこ書《資産の評価益の益金不算入の適用除外》に規定する評価換えに該当するときにおいても、その評価換え後の資産の帳簿価額が評価換えをした時における当該資産の価額を超えるときは、その超える金額に相当する金額は益金の額に算入しないのであるから、当該資産の帳簿価額は、その超える部分の金額の増額がなされなかったことに留意する。
(取得価額の修正等と評価益の計上との関係)
4-1-2 次に掲げる事実に基づき生じた益金は、法第25条第1項《資産の評価益の益金不算入》に規定する資産の評価益には該当しないことに留意する。 (1) 減価償却資産として計上すべき費用の額を修繕費等として損金経理をした連結法人が減価償却資産として受け入れるに当たり、当該費用の額をもって減価償却資産の帳簿価額として計上したため、既往の償却費に相当する金額だけその増額が行われたこと。
(2) 圧縮記帳による圧縮額を引当金又は目的積立金として経理している連結法人が、その引当金又は目的積立金を取り崩したこと。
第2節 受贈益
第1款 広告宣伝用資産等の受贈益
(広告宣伝用資産等の受贈益)
4-2-1 販売業者等が製造業者等から資産(広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように専ら広告宣伝の用に供されるものを除く。)を無償又は製造業者等の当該資産の取得価額に満たない価額により取得した場合には、当該取得価額又は当該取得価額から販売業者等がその取得のために支出した金額を控除した金額を経済的利益の額としてその取得の日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、その取得した資産が次に掲げるような広告宣伝用のものである場合には、その経済的利益の額は、製造業者等のその資産の取得価額の3分の2に相当する金額から販売業者等がその取得のために支出した金額を控除した金額とし、当該金額(同一の製造業者等から2以上の資産を取得したときは当該金額の合計額)が30万円以下であるときは、経済的利益の額はないものとする。
(1) 自動車(自動三輪車及び自動二輪車を含む。)で車体の大部分に一定の色彩を塗装して製造業者等の製品名又は社名を表示し、その広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
(2) 陳列棚、陳列ケース、冷蔵庫又は容器で製造業者等の製品名又は社名の広告宣伝を目的としていることが明らかなもの
(3) 展示用モデルハウスのように製造業者等の製品の見本であることが明らかなもの
(注) 広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳のように、専ら広告宣伝の用に供される資産については、その取得による経済的利益の額はない。
(広告宣伝用資産の取得に充てるため金銭の交付を受けた場合の準用)
4-2-2 4-2-1は、販売業者等が製造業者等から広告宣伝用の資産の取得に充てるため金銭の交付を受けた場合について準用する。
第2款 未払賞与の免除益
(未払賞与を支払わないこととした場合の特例)
4-2-3 連結法人が未払賞与(連結所得の金額の計算上損金の額に算入されない賞与に限る。)につき取締役会等の決議に基づきその全部又は大部分の金額を支払わないこととした場合において、その支払わないことがいわゆる会社の整理、事業の再建及び業況不振のためのものであり、かつ、その支払われないこととなる金額がその支払を受ける金額に応じて計算されている等一定の基準によって決定されたものであるときは、その支払わないこととなった金額(その賞与について徴収される所得税額があるときは、当該税額を控除した金額)については、その支払わないことが確定した日の属する連結事業年度の益金の額に算入しないことができるものとする。 (注) 連結法人が未払配当金を支払わないこととした場合のその支払わないこととなった金額については、本文の取扱いの適用がないことに留意する。
第5章 棚卸資産の評価
第1節 棚卸資産の取得価額
第1款 購入した棚卸資産
(購入した棚卸資産の取得価額)
5-1-1 購入した棚卸資産の取得価額には、その購入の代価のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要したすべての費用の額が含まれるのであるが、次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。
(1) 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額
(2) 販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
(注) 1 (1) から(3) までに掲げる費用の額の合計額が少額かどうかについては、連結事業年度ごとに、かつ、種類等(種類、品質及び型の別をいう。以下5-2-18までにおいて同じ。)を同じくする棚卸資産(事業所別に異なる評価方法を選定している場合には、事業所ごとの種類等を同じくする棚卸資産とする。)ごとに判定することができる。
2 棚卸資産を保管するために要した費用(保険料を含む。)のうち(3)に掲げるもの以外のものの額は、その取得価額に算入しないことができる。
(棚卸資産の取得価額に算入しないことができる費用)
5-1-2 次に掲げるような費用の額は、たとえ棚卸資産の取得又は保有に関連して支出するものであっても、その取得価額に算入しないことができる。
(1) 不動産取得税の額
(2) 地価税の額
(3) 固定資産税及び都市計画税の額
(4) 特別土地保有税の額
(5) 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用の額
(6) 借入金の利子の額
(取得後の連結事業年度において購入代価が確定した場合の調整)
5-1-3 棚卸資産を取得した日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてその購入の代価が確定していないため見積価額で棚卸資産の取得価額を計算している場合において、その後の連結事業年度において購入の代価が確定したときは、その確定した金額と見積価額との差額に相当する金額は、その確定した日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、その差額が多額である場合には、その差額については、原価差額の調整方法に準じて調整する。
第2款 製造等に係る棚卸資産
(製造等に係る棚卸資産の取得価額)
5-1-4 自己の製造等に係る棚卸資産の取得価額には、その製造等のために要した原材料費、労務費及び経費の額の合計額のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額が含まれるのであるが、次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の製造原価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。
(1) 製造等の後において要した検査、検定、整理、選別、手入れ等の費用の額
(2) 製造場等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
(注)
1 (1) から(3) までに掲げる費用の額の合計額が少額かどうかについては、連結事業年度ごとに、かつ、種類等を同じくする棚卸資産(工場別に原価計算を行っている場合には、工場ごとの種類等を同じくする棚卸資産とする。)ごとに判定することができる。
2 棚卸資産を保管するために要した費用(保険料を含む。)のうち(3) に掲げるもの以外のものの額は、その取得価額に算入しないことができる。
(製造原価に算入しないことができる費用)
5-1-5 次に掲げるような費用の額は、製造原価に算入しないことができる。
(1) 使用人等に支給した賞与のうち、例えば創立何周年記念賞与のように特別に支給される賞与であることの明らかなものの額(通常賞与として支給される金額に相当する金額を除く。)
(2) 試験研究費のうち、基礎研究及び応用研究の費用の額並びに工業化研究に該当することが明らかでないものの費用の額
(3) 措置法に定める特別償却(同法第68条の37第1項《鉱業用坑道等の特別償却》の規定による特別償却を除く。)の規定の適用を受ける資産の償却費の額のうち特別償却限度額に係る部分の金額及び令第60条の2《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》の規定による陳腐化資産の償却費の額のうち陳腐化による償却費の額
(4) 工業所有権等について支払う使用料の額が売上高等に基づいている場合における当該使用料の額及び当該工業所有権等に係る頭金の償却費の額
(5) 工業所有権等について支払う使用料の額が生産数量等を基礎として定められており、かつ、最低使用料の定めがある場合において支払われる使用料の額のうち生産数量等により計算される使用料の額を超える部分の金額
(6) 複写して販売するための原本となるソフトウエアの償却費の額
(7) 棚卸資産の評価損の額(通常発生する不良品についての評価損に相当する金額を除く。)及び低価法によって評価している場合の原価法の評価額から時価による評価額を控除した金額
(8) 事業税の額
(9) 事業の閉鎖、事業規模の縮小等のため大量に整理した使用人に対し支給する退職給与の額
(10) 生産を相当期間にわたり休止した場合のその休止期間に対応する費用の額
(11) 償却超過額その他税務計算上の否認金の額
(12) 障害者の雇用の促進等に関する法律第26条第1項《障害者雇用納付金の徴収》に規定する障害者雇用納付金の額
(13) 工場等が支出した寄附金の額
(14) 借入金の利子の額
(製造間接費の製造原価への配賦)
5-1-6 連結法人の事業の規模が小規模である等のため製造間接費を製品、半製品又は仕掛品に配賦することが困難である場合には、その製造間接費を半製品及び仕掛品の製造原価に配賦しないで製品の製造原価だけに配賦することができる。
(賞与引当金と使用人賞与の原価算入の関係)
5-1-7 連結法人が賞与引当金勘定を設けた連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度) の翌連結事業年度において賞与を支給した場合には、その支給した賞与の額の原価算入については、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1) その支給した賞与のうち製造原価に算入すべきものの額が賞与引当金勘定の金額(製造原価に算入した金額に限る。)を超える場合には、その超える部分の金額については製造原価に算入し、当該賞与引当金勘定の金額に達するまでの金額については製造原価に算入しない。
(2) その支給した賞与の額で製造原価に算入すべきものが当該賞与引当金勘定の金額以下であるときは、その賞与の額は製造原価に算入しない。
(法令に基づき交付を受ける給付金等の額の製造原価からの控除)
5-1-8 連結法人が、その支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補てんするために雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき給付される給付金等の交付を受けた場合(2-1-45《法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期》の取扱いの適用がある場合を含む。)において、その給付の対象となった事実に係る休業手当、賃金、職業訓練費等の経費の額を製造原価に算入しているときは、その交付を受けた金額のうちその製造原価に算入した休業手当、賃金、職業訓練費等の経費の額に対応する金額を当該製造原価の額から控除することができる。
(副産物、作業くず又は仕損じ品の評価)
5-1-9 製品の製造工程から副産物、作業くず又は仕損じ品(以下5-1-9において「副産物等」という。)が生じた場合には、総製造費用の額から副産物等の評価額の合計額を控除したところにより製品の製造原価の額を計算するのであるが、この場合の副産物等の評価額は、継続して当該副産物等に係る実際原価として合理的に見積った価額又は通常成立する市場価額によるものとする。ただし、当該副産物等の価額が著しく少額である場合には、備忘価額で評価することができる。
第2節 棚卸資産の評価の方法
第1款 原価法
(個別法を選定することができる棚卸資産)
5-2-1 棚卸資産のうち、次に掲げるものについては、個別法(その評価額を基礎とする低価法を含む。)によりその評価額を計算することができるものとする。
(1) 商品の取得から販売に至るまでの過程を通じて具体的に個品管理が行われている場合又は製品、半製品若しくは仕掛品の取得から販売若しくは消費までの過程を通じて具体的に個品管理が行われ、かつ、個別原価計算が実施されている場合において、その個品管理を行うこと又は個別原価計算を実施することに合理性があると認められるときにおけるその商品又は製品、半製品若しくは仕掛品
(2) その性質上専ら(1) の製品又は半製品の製造等の用に供されるものとして保有されている原材料
(その都度後入先出法)
5-2-2 棚卸資産の払出しの都度、その払出し後に残る棚卸資産を当該払出しの日から最も遠い日において取得した棚卸資産から順次成るものとみなして当該連結事業年度終了の日における棚卸資産の取得価額を計算する方法は、後入先出法に該当するものとする。
(月別後入先出法等)
5-2-3 1月ごとに後入先出法、総平均法、移動平均法又は単純平均法により計算した価額を当該月末における棚卸資産の取得価額とみなし、翌月においてこれを繰越価額として順次計算することにより当該連結事業年度終了の日における棚卸資産の取得価額を計算する方法は、それぞれ後入先出法、総平均法、移動平均法又は単純平均法に該当するものとする。
(6月ごと後入先出法等)
5-2-4 6月ごとに後入先出法、総平均法、単純平均法又は売価還元法により棚卸資産の取得価額を計算する方法は、それぞれ後入先出法、総平均法、単純平均法又は売価還元法に該当するものとする。
(注) 6月ごと移動平均法は、移動平均法に該当しない。
(半製品又は仕掛品についての売価還元法)
5-2-5 製造業を営む連結法人が、原価計算を行わないため半製品及び仕掛品について製造工程に応じて製品売価の何割として評価する場合のその評価の方法は、売価還元法に該当するものとする。
(売価還元法の適用区分)
5-2-6 売価還元法により評価額を計算する場合には、その種類の著しく異なるものを除き、通常の差益の率がおおむね同じ棚卸資産はこれをその計算上の一区分とすることができるものとする。
(売価還元法により評価額を計算する場合の期中に販売した棚卸資産の対価の総額の計算)
5-2-7 売価還元法により評価額を計算する場合における令第28条第1項第1号チ《売価還元法》に規定する「当該事業年度において販売した当該棚卸資産の対価の総額」は、連結法人が当該連結事業年度において販売した棚卸資産の実際の販売価額の合計額によるのであるが、当該連結事業年度において使用人、株主、特定の顧客等特定の者に対する販売について値引きを行っている場合において、その者に対する販売状況が個別に管理されており、その値引きの額が明らかにされているときは、その値引きの額をその販売価額に加算して計算することができるものとする。
(売価還元法により評価額を計算する場合の通常の販売価額の総額の計算)
5-2-8 売価還元法により評価額を計算する場合における令第28条第1項第1号チ《売価還元法》に規定する「通常の販売価額の総額」は、連結法人が当該連結事業年度において販売した棚卸資産について値引き、割戻し等を行いそれを売上金額から控除しているような場合であっても、値引き、割戻し等を考慮しないところの販売価額の総額によることに留意する。
(原価の率が 100%を超える場合の売価還元法の適用)
5-2-9 売価還元法を適用する場合において、令第28条第1項第1号チ《売価還元法》に規定する原価の率が 100%を超えることとなったときでも、その率により期末棚卸資産の評価額を計算することに留意する。
(未着品の評価)
5-2-10 未着品(購入した棚卸資産で運送の途中にあるものをいう。以下5-2-14までにおいて同じ。)につきその取得のために通常要する引取運賃、荷役費その他の付随費用のうち当該連結事業年度終了の時までに支出がされていないためその取得価額に算入されていないものがある場合には、当該未着品については、これと種類等を同じくする棚卸資産があるときであっても、当該棚卸資産とは種類等が異なるものとして令第28条《棚卸資産の評価の方法》の規定を適用する。
第2款 低価法
(低価法における低価の事実の判定の単位)
5-2-11 低価法における低価の事実の判定は、棚卸資産の種類等の同じもの(棚卸資産を通常の差益の率の同じものごとに区分して売価還元法を選定している場合には、通常の差益の率の同じものとする。)について行うべきであるが、連結法人が事業の種類ごとに、かつ、令第29条第1項《たな卸資産の評価方法の選定単位》に規定する棚卸資産の区分ごとに一括して計算した場合には、これを認める。ただし、令第28条第2項《切放し低価法》の規定を適用している棚卸資産については、一括して計算することはできないものとする。
(原価差額の調整を一括して行っている場合の低価の事実の判定)
5-2-12 低価法により評価をしている棚卸資産について原価差額の調整を一括して行っている場合の低価の事実の判定は、原価差額の調整を行った区分に含まれる棚卸資産の時価の合計額と原価差額調整後の評価額の合計額とに基づいて行うこととなることに留意する。
(購入した棚卸資産の時価)
5-2-13 購入した棚卸資産について低価法を適用する場合における令第28条第1項第2号《低価法》に規定する「当該事業年度終了の時におけるその取得のために通常要する価額」(以下5-2-18までにおいて「期末の時価」という。)は、当該連結事業年度終了の時においてその棚卸資産の所在する場所でこれと種類等を同じくする棚卸資産について通常の取引方法により通常取引される数量を購入する場合の購入の代価にその付随費用を加算した金額による。
(未着品の時価)
5-2-14 連結法人が未着品について低価法を適用する場合において、その未着品につきその取得のために通常要する引取運賃、荷役費その他の付随費用のうち当該連結事業年度終了の時までに支出がされていないためその取得価額に算入されていないものがあるときは、当該未着品の期末の時価は、その算入されていない費用に相当する費用の額を含めないところで計算した金額による。
(製造等に係る棚卸資産の時価)
5-2-15 自己の製造等に係る棚卸資産について低価法を適用する場合における期末の時価は、当該連結事業年度終了の時においてその棚卸資産が製造等されたものと仮定した場合の製造原価の額にこれを消費し又は販売の用に供するために直接要する費用の額を加算した金額による。ただし、事業の規模が小であるため本文によることが困難である場合において、連結法人が継続して各連結事業年度終了の時において通常取引される棚卸資産の販売価額から通常の一般管理費、販売費及び利益の額(通常の利益の額を計算することが困難であるときは、その販売価額の5%相当額とする。)の見積額の合計額に相当する金額を控除した金額をその棚卸資産の期末の時価としているときは、これを認める。
(製品について控除法により評価する場合の半製品又は仕掛品の時価)
5-2-16 連結法人が製品について5-2-15のただし書により期末の時価を計算している場合には、当該製品に係る半製品又は仕掛品の期末の時価は、当該製品の期末の時価を基礎としてその進行又は完成の程度に応じて計算した金額による。
(建値と市中相場とがある棚卸資産の時価)
5-2-17 建値と市中相場とがある棚卸資産について低価法を適用する場合の期末の時価は、建値により取得したものについてはその建値、市中相場により取得したものについてはその市中相場に、それぞれの付随費用を加算した金額による。
(注) 各連結事業年度終了の時における棚卸資産がいずれの相場により取得されたものであるか明らかでない場合には、それぞれの期中取得数量の比その他適正な方法により区分する。
(輸入原材料等の時価)
5-2-18 輸入原材料等について低価法を適用する場合の期末の時価は、その輸入原材料等と種類等を同じくする原材料等を当該連結事業年度終了の時に国内において輸入により取得するために通常要する価額による。
第3款 棚卸資産の評価額の計算と評価換え等との関係
(期中に評価換えをした棚卸資産の帳簿価額及び評価額の計算)
5-2-19 連結法人が連結事業年度の中途において組織変更、更生手続の開始決定等により、その有する棚卸資産につき評価換えを行った場合には、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額は、その評価換えの時を連結事業年度終了の時とみなしてその選定している評価の方法によって計算した金額とし、その評価換えを行った棚卸資産の当該連結事業年度終了の時における評価額は、評価換えを行った時においてその評価換え後の金額によって取得したものとして計算するものとする。
第4款 評価の方法の選定及び変更
(評価方法の選定単位の細分)
5-2-20 連結法人は、棚卸資産の評価の方法につき、事業所別に、又は令第29条第1項《たな卸資産の評価の方法の選定単位》に定める棚卸資産の区分を更にその種類の異なるごとその他合理的な区分ごとに細分してそれぞれ異なる評価の方法を選定することができる。
(注) 同項に定める棚卸資産の区分又はその種類を同じくする棚卸資産のうちに個別法を選定することができるものがある場合には、これを区分して個別法を選定することができる。
(評価方法の変更申請があった場合の「相当期間」)
5-2-21 いったん採用した棚卸資産の評価の方法は特別の事情がない限り継続して適用すべきものであるから、連結法人が現によっている評価の方法を変更するために当該連結法人に係る連結親法人が令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第30条第2項《たな卸資産の評価の方法の変更手続》の規定に基づいてその変更承認申請書を提出した場合において、その現によっている評価の方法を採用してから3年を経過していないときは、その変更が合併や分割に伴うものである等その変更することについて特別な理由があるときを除き、同条第3項の相当期間を経過していないときに該当するものとする。
(注) その変更承認申請書の提出がその現によっている評価の方法を採用してから3年を経過した後になされた場合であっても、その変更することについて合理的な理由がないと認められるときは、その変更を承認しないことができる。
第3節 原価差額の調整
(原価差額の調整)
5-3-1 連結法人が各連結事業年度において製造等をした棚卸資産につき算定した取得価額が、令第32条第1項《棚卸資産の取得価額》に規定する取得価額に満たない場合には、その差額(以下この節において「原価差額」という。)のうち期末棚卸資産に対応する部分の金額は、当該期末棚卸資産の評価額に加算する。
(原価差額の範囲)
5-3-2 原価差額には、材料費差額、労務費差額、経費差額等のほか、内部振替差額を含むことに留意する。
(原価差額の調整期間)
5-3-3 連結事業年度が1年である連結法人の原価差額の調整は、継続適用を条件に、各連結事業年度を当該連結事業年度開始の日から連結中間事業年度終了の日までの期間(以下「上期」という。)と連結中間事業年度終了の日の翌日から連結確定事業年度(当該連結中間事業年度を含む連結事業年度をいう。以下同じ。)終了の日までの期間(以下「下期」という。)とに区分し、それぞれの期間について行うことができる。この場合、5-3-4及び5-3-5の適用に当たっては、上期及び下期のそれぞれの期間ごとに、その期間に発生した原価差額によりその調整の要否を判定することに留意する。
(原価差額の調整を要しない場合)
5-3-4 原価差額が少額(総製造費用のおおむね1%相当額以内の金額)である場合において、連結法人がその計算を明らかにした明細書を連結確定申告書に添付したときは、原価差額の調整を行わないことができるものとする。この場合において、総製造費用の計算が困難であるときは、連結法人の計算による製品受入高合計に仕掛品及び半製品の期末棚卸高を加算し、仕掛品及び半製品の期首棚卸高を控除して計算することができる。
(注) 原価差額が少額かどうかについては、事業の種類ごとに判定するものとするが、連結法人が製品の種類別に原価計算を行っている場合には、継続して製品の種類の異なるごとにその判定を行うことができる。
(原価差額の調整を工場ごとに行っている場合の調整の省略)
5-3-5 原価差額が事業の種類ごと又は製品の種類の異なるごとの総製造費用のおおむね1%相当額を超える場合においても、連結法人が原価差額の調整単位を更に工場ごとに細分しているときは、各工場における当該調整単位ごとの原価差額のうちそれぞれの総製造費用の1%相当額以内のものについては、5-3-4に準じて調整を行わないことができるものとする。
(原価差額の簡便調整方法)
5-3-6 連結法人が各連結事業年度において生じた原価差額を仕掛品、半製品及び製品の順に調整することをしないで、その原価差額を一括し、次に掲げる算式により計算した金額を期末棚卸資産に配賦したときは、これを認める。
(算式)

(注)
1 算式中の分母及び分子の金額は、連結法人の計算額による。
2 この算式は、事業の種類ごと(連結法人が原価差額が少額かどうかの判定を製品の種類の異なるごとに行うこととしている場合には、製品の種類の異なるごと)に適用する。
3 連結法人が直接原価計算制度を採用している場合には、この調整方法の適用はない。ただし、連結法人がこの調整方法を適用することについて、当該連結法人に係る連結親法人の所轄税務署長(当該連結親法人が国税局の調査課所管法人である場合には、所轄国税局長)が合理性があると認めて承認をした場合には、この限りではない。
(原価差額の簡便調整方法の特例)
5-3-7 5-3-3の適用を受けた連結法人が、下期に繰り越された個々の棚卸資産に原価差額を配賦しないで一括して処理している場合において、下期における原価差額の調整を5-3-6の方法により行うときは、同項の算式中「原価差額」とあるのは「下期に生じた原価差額に上期末の棚卸資産に一括配賦した原価差額を加算した金額」と、「売上原価」とあるのは「下期に係る売上原価」と、それぞれ読み替えて適用するものとする。
(内部振替差額の調整)
5-3-8 連結法人が内部振替差額の調整を他の原価差額と区分して、その内部振替差額に適合した合理的な調整方法により行ったときは、これを認める。
(原価差額を一括調整した場合の翌期の処理)
5-3-9 連結法人が原価差額を個々の棚卸資産に配賦しないで一括して処理している場合には、その一括して処理している金額は、翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の損金の額に算入することができる。
(原材料受入差額の処理の簡便計算方式)
5-3-10 連結法人が原材料の受入れについて見積原価等を採用している場合に生ずる原材料受入差額について、当期原材料払出高と期末原材料棚卸高とに適正に配賦し、期末原材料棚卸高に対応する部分の金額を個々の資産に配賦しないで一括して処理しているときは、これを認める。
(注) 当期原材料払出高に対応する原材料受入差額は当期の原価差額に、期末原材料棚卸高に対応する原材料受入差額は翌期の製造原価に含めることに留意する。
(申告調整できる貸方原価差額)
5-3-11 連結法人が棚卸資産につき算定した取得価額が令第32条第1項《棚卸資産の取得価額》に規定する取得価額を超える場合のその差額のうち、法又は措置法の規定により損金の額に算入されないため連結確定申告に際して自己否認した金額から成る部分の金額については、当該申告に係る申告書においてその調整を行うことができるものとする。
第4節 棚卸しの手続
(棚卸しの手続)
5-4-1 棚卸資産については各連結事業年度終了の時において実地棚卸しをしなければならないのであるが、連結法人が、その業種、業態及び棚卸資産の性質等に応じ、その実地棚卸しに代えて部分計画棚卸しその他合理的な方法により当該連結事業年度終了の時における棚卸資産の在高等を算定することとしている場合には、継続適用を条件としてこれを認める。
第6章 減価償却資産の償却等
第1節 減価償却資産の範囲
第1款 減価償却資産
(書画骨とう等)
6- 1-1 書画骨とう(複製のようなもので、単に装飾的目的にのみ使用されるものを除く。以下6-1-1において同じ。)のように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないのであるが、次に掲げるようなものは原則として書画骨とうに該当する。
(1) 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
(2) 美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等
(注) 書画骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができるものとする。
(貴金属の素材の価額が大部分を占める固定資産)
6- 1-2 ガラス繊維製造用の白金製溶解炉、光学ガラス製造用の白金製るつぼ、か性カリ製造用の銀製なべのように、素材となる貴金属の価額が取得価額の大部分を占め、かつ、一定期間使用後は素材に還元のうえ鋳直して再使用することを常態としているものは、減価償却資産には該当しない。この場合において、これらの資産の鋳直しに要する費用(地金の補給のために要する費用を含む。)の額は、その鋳直しをした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。 (注) 白金ノズルは減価償却資産に該当するのであるが、これに類する工具で貴金属を主体とするものについても、白金ノズルに準じて減価償却をすることができるものとする。
(稼働休止資産)
6- 1-3 稼働を休止している資産であっても、その休止期間中必要な維持補修が行われており、いつでも稼働し得る状態にあるものについては、減価償却資産に該当するものとする。 (注) 他の場所において使用するために移設中の固定資産については、その移設期間がその移設のために通常要する期間であると認められる限り、減価償却を継続することができる。
(建設中の資産)
6- 1-4 建設中の建物、機械及び装置等の資産は減価償却資産に該当しないのであるが、建設仮勘定として表示されている場合であっても、その完成した部分が事業の用に供されているときは、その部分は減価償却資産に該当するものとする。
(常備する専用部品の償却)
6- 1-5 例えば航空機の予備エンジン、電気自動車の予備バッテリー等のように減価償却資産を事業の用に供するために必要不可欠なものとして常備され、繰り返して使用される専用の部品(通常他に転用できないものに限る。)は、当該減価償却資産と一体のものとして減価償却をすることができる。
(工業所有権の実施権等)
6- 1-6 連結法人が他の者の有する工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権及び商標権をいう。以下同じ。)について実施権又は使用権を取得した場合におけるその取得のために要した金額については、当該工業所有権に準じて取り扱う。この場合において、その実施権又は使用権のその取得後における存続期間が当該工業所有権の耐用年数に満たないときは、当該存続期間の年数(1年未満の端数は切り捨てる。)をその耐用年数とすることができる。
(織機の登録権利等)
6- 1-7 繊維工業における織機の登録権利、許可漁業の出漁権、タクシー業のいわゆるナンバー権のように法令の規定、行政官庁の指導等による規制に基づく登録、認可、許可、割当て等の権利を取得するために支出する費用は、営業権に該当するものとする。 (注) 例えば当該権利に係る事業を廃止する者に対して残存業者が負担する補償金のように当該権利の維持又は保全のために支出する費用についても、営業権として減価償却をすることができる。
(無形減価償却資産の事業の用に供した時期)
6- 1-8 令第13条第8号《無形減価償却資産の範囲》に掲げる無形減価償却資産のうち、漁業権及び工業所有権については、その存続期間の経過により償却すべきものであるから、その取得の日から事業の用に供したものとして取り扱う。
(温泉利用権)
6- 1-9 連結法人が温泉を湧出する土地を取得した場合におけるその取得に要した金額から当該土地に隣接する温泉を湧出しない土地の価額に比準して計算した土地の価額を控除した金額又は温泉を利用する権利を取得するために要した金額については、水利権に準じて取り扱う。ただし、温泉を利用する権利だけを取得した場合において、その利用につき契約期間の定めがあるもの(契約期間を延長しない旨の明らかな定めのあるものに限る。)については、その契約期間を耐用年数として償却することができる。
(公共下水道施設の使用のための負担金)
6- 1-10 連結法人が、下水道法第2条第3号《公共下水道の定義》に規定する公共下水道を使用する排水設備を新設し、又は拡張する場合において、公共下水道管理者に対してその新設又は拡張により必要となる公共下水道の改築に要する費用を負担するときは、その負担金の額については、水道施設利用権に準じて取り扱う。
(研究開発のためのソフトウエア)
6- 1-11 連結法人が、特定の研究開発にのみ使用するため取得又は製作をしたソフトウエア(研究開発のためのいわば材料となるものであることが明らかなものを除く。)であっても、当該ソフトウエアは減価償却資産に該当することに留意する。 (注) 当該ソフトウエアが耐用年数省令第2条第4号《特殊の減価償却資産の耐用年数》に規定する開発研究の用に供されている場合には、耐用年数省令別表第八に掲げる耐用年数が適用されることに留意する。
(電気通信施設利用権の範囲)
6- 1-12 令第13条第8号ソ《電気通信施設利用権》に規定する電気通信施設利用権とは、電気通信事業法施行規則第3条第2項《電気通信役務の種類》の表に掲げる役務の提供を受ける権利のうち電話加入権(加入電話契約に基づき加入電話の提供を受ける権利をいう。)及びこれに準ずる権利を除くすべての権利をいうのであるから、例えば、「電信役務」、「専用役務」、「データ通信役務」、「デジタルデータ伝送役務」、「無線呼出し役務」等の提供を受ける権利は、これに該当する。
(社歌、コマーシャルソング等)
6- 1 -13 社歌、コマーシャルソング等の制作のために要した費用の額は、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
第2款 少額の減価償却資産等
(少額の減価償却資産又は一括償却資産の取得価額の判定)
6- 1 -14 令第 133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》又は第 133条の2《一括償却資産の損金算入》の規定を適用する場合において、取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えばまくら木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては一の工事等ごとに判定する。
(使用可能期間が1年未満の減価償却資産の範囲)
6- 1 -15 令第 133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》の使用可能期間が1年未満である減価償却資産とは、連結法人の属する業種(例えば紡績業、鉄鋼業、建設業等の業種)において種類等を同じくする減価償却資産の使用状況、補充状況等を勘案して一般的に消耗性のものとして認識されている減価償却資産で、その連結法人の平均的な使用状況、補充状況等からみてその使用可能期間が1年未満であるものをいう。この場合において、種類等を同じくする減価償却資産のうちに材質、型式、性能等が著しく異なるため、その使用状況、補充状況等も著しく異なるものがあるときは、当該材質、型式、性能等の異なるものごとに判定することができる。
(注) 平均的な使用状況、補充状況等は、おおむね過去3年間の平均値を基準として判定する。
(一括償却資産につき滅失等があった場合の取扱い)
6- 1 -16 連結法人が令第 133条の2第1項《一括償却資産の損金算入》に規定する一括償却資産につき同項の規定の適用を受けている場合には、その一括償却資産を事業の用に供した連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)後の各連結事業年度においてその全部又は一部につき滅失、除却等の事実が生じたときであっても、当該各連結事業年度においてその一括償却資産につき損金の額に算入される金額は、同項の規定に従い計算される損金算入限度額に達するまでの金額となることに留意する。
(注) 一括償却資産の全部又は一部を譲渡した場合についても、同様とする。
第2節 減価償却の方法
(部分的に用途を異にする建物の償却)
6-2-1 一の建物が部分的にその用途を異にしている場合において、その用途を異にする部分がそれぞれ相当の規模のものであり、かつ、その用途の別に応じて償却することが合理的であると認められる事情があるときは、当該建物につきそれぞれその用途を異にする部分ごとに異なる償却の方法を選定することができるものとする。
(特別な償却の方法の選定単位)
6-2-2 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第48条の2第1項《減価償却資産の特別な償却の方法》の規定による特別な償却の方法の選定は、令第51条第1項《減価償却資産の償却の方法の選定》に定める区分ごとに行うべきものであるが、連結法人が減価償却資産の種類(その種類につき構造若しくは用途、細目又は設備の種類の区分が定められているものについては、その構造若しくは用途、細目又は設備の種類の区分)ごとに、かつ、耐用年数の異なるものごとに選定した場合には、これを認める。
(特別な償却の方法の承認)
6-2-3 連結法人の申請に係る特別な償却の方法について当該連結法人に係る連結親法人から申請書の提出があった場合には、その申請に係る償却の方法が、申請に係る減価償却資産の種類、構造、属性、使用状況等からみてその減価償却資産の償却につき適合するものであるかどうか、償却限度額の計算の基礎となる残存価額、償却率、生産高等が合理的に算定されているかどうか等を勘案して承認の適否を判定する。この場合において、その方法が次に掲げる条件に該当するものであるときは、これを承認する。
(1) その方法が算術級数法のように定率法又は定額法に類するものであるときは、その償却年数が法定耐用年数より短くなく、残存価額が取得価額の10%相当額以上であること。
(2) その方法が生産高、使用時間、使用量等を基礎とするものであるときは、その方法がその減価償却資産の償却につき定率法又は定額法より合理的なものであり、かつ、その減価償却資産に係る総生産高、総使用時間、総使用量等が合理的に計算されるもので、その残存価額が取得価額の10%相当額以上であること。
(3) その方法が取替法に類するものであるときは、申請に係る減価償却資産の属性、取替状況等が取替法の対象となる減価償却資産に類するものであり、その取得価値の50%相当額に達するまで定率法等により償却することとされていること。
(償却方法の変更申請があった場合の「相当期間」)
6-2-4 いったん採用した減価償却資産の償却の方法は特別の事情がない限り継続して適用すべきものであるから、連結法人が現によっている償却の方法を変更するために令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第52条第2項《減価償却資産の償却の方法の変更手続》の規定に基づいて当該連結法人に係る連結親法人がその変更承認申請書を提出した場合において、その現によっている償却の方法を採用してから3年を経過していないときは、その変更が合併や分割に伴うものである等その変更することについて特別な理由があるときを除き、同条第3項の相当期間を経過していないときに該当するものとする。 (注)
その変更承認申請書の提出がその現によっている償却の方法を採用してから3年を経過した後になされた場合であっても、その変更することについて合理的な理由がないと認められるときは、その変更を承認しないことができる。
第3節 固定資産の取得価額等
第1款 固定資産の取得価額
(高価買入資産の取得価額)
6-3-1 連結法人が不当に高価で買い入れた固定資産について、その買入価額のうち実質的に贈与をしたものと認められた金額がある場合には、買入価額から当該金額を控除した金額を取得価額とすることに留意する。
(借入金の利子)
6-3-2 固定資産を取得するために借り入れた借入金の利子の額は、たとえ当該固定資産の使用開始前の期間に係るものであっても、これを当該固定資産の取得価額に算入しないことができるものとする。
(注) 借入金の利子の額を建設中の固定資産に係る建設仮勘定に含めたときは、当該利子の額は固定資産の取得価額に算入されたことになる。
(割賦購入資産等の取得価額に算入しないことができる利息相当部分)
6- 3-3 割賦販売契約(延払条件付譲渡契約を含む。)によって購入した固定資産の取得価額には、契約において購入代価と割賦期間分の利息及び売手側の代金回収のための費用等に相当する金額とが明らかに区分されている場合のその利息及び費用相当額を含めないことができる。
(固定資産の取得に関連して支出する地方公共団体に対する寄附等)
6-3-4 連結法人が都道府県又は市町村からその工場誘致等により土地その他の固定資産を取得し、購入の代価のほかに、その取得に関連して都道府県若しくは市町村又はこれらの指定する公共団体等に寄附金又は負担金の名義で金銭を支出した場合においても、その支出した金額が実質的にみてその資産の代価を構成すべきものと認められるときは、その支出した金額はその資産の取得価額に算入する。
(固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示)
6-3-5 次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。
(1) 次に掲げるような租税公課等の額
イ 不動産取得税又は自動車取得税
ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
ハ 新増設に係る事業所税
二 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
(2) 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用の額
(3) いったん締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約金の額
(土地についてした防壁、石垣積み等の費用)
6-3-6 埋立て、地盛り、地ならし、切土、防壁工事その他土地の造成又は改良のために要した費用の額はその土地の取得価額に算入するのであるが、土地についてした防壁、石垣積み等であっても、その規模、構造等からみて土地と区分して構築物とすることが適当と認められるものの費用の額は、土地の取得価額に算入しないで、構築物の取得価額とすることができる。
上水道又は下水道の工事に要した費用の額についても、同様とする。
(注) 専ら建物、構築物等の建設のために行う地質調査、地盤強化、地盛り、特殊な切土等土地の改良のためのものでない工事に要した費用の額は、当該建物、構築物等の取得価額に算入する。
(土地、建物等の取得に際して支払う立退料等)
6-3-7 連結法人が土地、建物等の取得に際し、当該土地、建物等の使用者等に支払う立退料その他立退きのために要した金額は、当該土地、建物等の取得価額に算入する。
(土地とともに取得した建物等の取壊費等)
6-3-8 連結法人が建物等の存する土地(借地権を含む。以下6-3-8において同じ。)を建物等とともに取得した場合又は自己の有する土地の上に存する借地人の建物等を取得した場合において、その取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手する等、当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、当該建物等の取壊しの時における帳簿価額及び取壊費用の合計額(廃材等の処分によって得た金額がある場合は、当該金額を控除した金額)は、当該土地の取得価額に算入する。
(事後的に支出する費用)
6-3-9 新工場の落成、操業開始等に伴って支出する記念費用等のように減価償却資産の取得後に生ずる付随費用の額は、当該減価償却資産の取得価額に算入しないことができるものとするが、工場、ビル、マンション等の建設に伴って支出する住民対策費、公害補償費等の費用(6-3-14の(2) 及び(3) に該当するものを除く。)の額で当初からその支出が予定されているもの(毎年支出することとなる補償金を除く。)については、たとえその支出が建設後に行われるものであっても、当該減価償却資産の取得価額に算入する。
(借地権の取得価額)
6-3-10 借地権の取得価額には、土地の賃貸借契約又は転貸借契約(これらの契約の更新及び更改を含む。以下6-3-10において「借地契約」という。)に当たり借地権の対価として土地所有者又は借地権者に支払った金額のほか、次に掲げるような金額を含むものとする。ただし、(1) に掲げる金額が建物等の購入代価のおおむね10%以下の金額であるときは、強いてこれを区分しないで建物等の取得価額に含めることができる。
(1) 土地の上に存する建物等を取得した場合におけるその建物等の購入代価のうち借地権の対価と認められる部分の金額
(2) 賃借した土地の改良のためにした地盛り、地ならし、埋立て等の整地に要した費用の額
(3) 借地契約に当たり支出した手数料その他の費用の額
(4) 建物等を増改築するに当たりその土地の所有者等に対して支出した費用の額
(治山工事等の費用)
6-3-11 天然林を人工林に転換するために必要な地ごしらえ又は治山の工事のために支出した金額(構築物の取得価額に算入されるものを除く。)は、林地の取得価額に算入する。
(公有水面を埋め立てて造成した土地の取得価額)
6-3-12 連結法人が公有水面を埋め立てて取得した土地の取得価額には、当該埋立てに要した費用の額のほか、公有水面埋立法第12条《免許料》の規定により徴収された免許料及び同法第6条《権利者に対する補償、損害防止施設》の規定による損害の補償に要する金額その他公有水面の埋立てをする権利の取得のために要した費用(以下6-3-13においてこれらの費用を「埋立免許料等」という。)の額が含まれることに留意する。
(残し等により埋め立てた土地の取得価額)
6-3-13 連結法人がその事業から生ずる残し(滓)等によって造成した埋立地の取得価額は、その残し等の処理のために要した運搬費、築石費、捨石工事費等(埋立免許料等を含む。以下6-3-13において「埋立費」という。)の額の合計額(当該合計額が埋立工事が完了した日の埋立地の価額を超える場合には、その超える金額を控除した金額)による。ただし、連結法人が次のいずれかの方法によっているときは、これを認める。
(1) 埋立工事中の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において支出した埋立費を埋立地の原価の額に算入し、連結事業年度終了の日における原価の合計額が、その埋立地が同日に完成したものとした場合におけるその埋立地の価額を超えるに至った場合において、その連結事業年度において支出した埋立費の額のうち、その超える金額を損金の額に算入して計算した原価の額をその取得価額とする方法
(2) 埋立費のうち埋立免許料等並びに残し等の処理のための築石費及び捨石工事費の額を埋立地の原価の額に算入し、その残し等の処理のために要した運搬費のような築石費及び捨石工事費以外の費用の額をその支出の都度損金の額に算入するとともに、連結法人がその埋立地の所有権を取得した時(所有権を取得する前にその埋立地に工作物を設置する等埋立地を使用するに至ったときのその使用部分については、使用の時)においてその取得時の埋立地の価額(当該価額が埋立費の合計額を超えるときは、当該合計額)をその取得価額として修正する方法
(宅地開発等に際して支出する開発負担金等)
6-3-14 連結法人が固定資産として使用する土地、建物等の造成又は建築等(以下6-3-14において「宅地開発等」という。)の許可を受けるために地方公共団体に対してその宅地開発等に関連して行われる公共的施設等の設置又は改良の費用に充てるものとして支出する負担金等(これに代えて提供する土地又は施設を含み、純然たる寄附金の性質を有するものを除く。以下6-3-14において同じ。)の額については、その負担金等の性質に応じそれぞれ次により取り扱うものとする。
(1) 例えば、団地内の道路、公園又は緑地、公道との取付道路、雨水調整池(流下水路を含む。)等のように直接土地の効用を形成すると認められる施設に係る負担金等の額は、その土地の取得価額に算入する。
(2) 例えば、上水道、下水道、工業用水道、汚水処理場、団地近辺の道路(取付道路を除く。)等のように土地又は建物等の効用を超えて独立した効用を形成すると認められる施設で当該連結法人の便益に直接寄与すると認められるものに係る負担金等の額は、それぞれその施設の性質に応じて無形減価償却資産の取得価額又は繰延資産とする。
(3) 例えば、団地の周辺又は後背地に設置されるいわゆる緩衝緑地、文教福祉施設、環境衛生施設、消防施設等のように主として団地外の住民の便益に寄与すると認められる公共的施設に係る負担金等の額は、繰延資産とし、その償却期間は8年とする。
(土地の取得に当たり支出する負担金等)
6-3-15 連結法人が地方公共団体等が造成した土地を取得するに当たり土地の購入の代価のほかに6-3-14に定める負担金等の性質を有する金額でその内容が具体的に明らかにされているものを支出した場合には、6-3-14に準じて取り扱うことができるものとする。
(埋蔵文化財の発掘費用)
6-3-16 連結法人が工場用地等の造成に伴い埋蔵文化財の発掘調査等をするために要した費用の額は、土地の取得価額に算入しないで、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。ただし、文化財の埋蔵されている土地をその事情を考慮して通常の価額より低い価額で取得したと認められる場合における当該発掘調査等のために要した費用の額については、この限りでない。
(私道を地方公共団体に寄附した場合)
6-3-17 連結法人が専らその有する土地の利用のために設置されている私道を地方公共団体に寄附した場合には、当該私道の帳簿価額を当該土地の帳簿価額に振り替えるものとし、その寄附をしたことによる損失はないものとする。
(集中生産を行う等のための機械装置の移設費)
6-3-18 集中生産又はよりよい立地条件において生産を行う等のため一の事業場の機械装置を他の事業場に移設した場合又はガスタンク、鍛圧プレス等多額の据付費を要する機械装置を移設した場合(措置法第68条の73《収用換地等の場合の連結所得の特別控除》に規定する収用換地等に伴い移設した場合を除く。)には、運賃、据付費等その移設に要した費用(解体費を除く。以下6-3-18において「移設費」という。)の額はその機械装置の取得価額に算入し、当該機械装置の移設直前の帳簿価額のうちに含まれている据付費(以下6-3-18において「旧据付費」という。)に相当する金額は損金の額に算入する。この場合において、その移設費の額の合計額が当該機械装置の移設直前の帳簿価額の10%に相当する金額以下であるときは、旧据付費に相当する金額を損金の額に算入しないで、当該移設費の額をその移設をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(注) 主として新規の生産設備の導入に伴って行う既存の生産設備の配置換えのためにする移設は、原則として集中生産又はよりよい立地条件において生産を行う等のための移設には当たらない。
(山林立木の取得価額)
6-3-19 植栽のための地ごしらえ費、種苗費、植栽費(通常の補植に要する費用を含む。)、ぶ育費、間伐費及び管理費等植栽のための地ごしらえから成林に至るまでの造林に要する一切の費用の金額は、山林立木の取得価額に算入する。ただし、おおむね毎年(将来にわたる場合を含む。)輪伐を行うことを通例とする連結法人の造林に要する費用のうち、ぶ育費、間伐費及び管理費については、その支出の日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。 (注) この取扱いによると、原則として間伐費は山林立木の取得価額に算入されるので、間伐材を譲渡した場合には譲渡原価はなく、その収益の全額が益金の額に算入されることになるが、連結法人がその譲渡による収益を益金の額に算入するとともに、間伐費及びその間伐に係る山林立木の帳簿価額のうち間伐材に対応する金額の合計額(当該収益の額を限度とする。)を譲渡原価として損金の額に算入しているときは、これを認める。
(工業所有権の取得価額)
6-3-20 連結法人が自己の行った試験研究に基づいて工業所有権を取得した場合には、その取得の時において繰延資産として計上されている試験研究費の額は、当該工業所有権の取得価額に算入する。 (注) 自己の行った試験研究に基づく工業所有権の出願料、特許料その他登録のために要する費用の額は、取得価額に算入しないことができる。
(出願権を取得するための費用)
6-3-21 連結法人が他から出願権(工業所有権に関し特許又は登録を受ける権利をいう。)を取得した場合のその取得の対価については、無形固定資産に準じて当該出願権の目的たる工業所有権の耐用年数により償却することができるが、その出願により工業所有権の登録があったときは、当該出願権の未償却残額(工業所有権を取得するために要した費用があるときは、その費用の額を加算した金額)に相当する金額を当該工業所有権の取得価額とする。
(自己の製作に係るソフトウエアの取得価額等)
6-3-22 自己の製作に係るソフトウエアの取得価額については、令第54条第1項第2号《自己の建設等に係る減価償却資産の取得価額》の規定に基づき、当該ソフトウエアの製作のために要した原材料費、労務費及び経費の額並びに当該ソフトウエアを事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額となることに留意する。
この場合、その取得価額については適正な原価計算に基づき算定することとなるのであるが、連結法人が、原価の集計、配賦等につき、合理的であると認められる方法により継続して計算している場合には、これを認めるものとする。
(注) 他の者から購入したソフトウエアについて、そのソフトウエアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用の額は、当該ソフトウエアの取得価額に算入することに留意する。
(ソフトウエアの取得価額に算入しないことができる費用)
6-3-23 次に掲げるような費用の額は、ソフトウエアの取得価額に算入しないことができる。
(1) 自己の製作に係るソフトウエアの製作計画の変更等により、いわゆる仕損じがあったため不要となったことが明らかなものに係る費用の額
(2) 研究開発費の額(自社利用のソフトウエアについては、その利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかなものに限る。)
(3) 製作等のために要した間接費、付随費用等で、その費用の額の合計額が少額(その製作原価のおおむね3%以内の金額)であるもの
(電話加入権の取得価額)
6-3-24 電話加入権の取得価額には、第一種電気通信事業者との加入電話契約に基づいて支出する工事負担金のほか、屋内配線工事に要した費用等電話機を設置するために支出する費用(当該費用の支出の目的となった資産を自己の所有とする場合のその設置のために支出するものを除く。)が含まれることに留意する。
(減価償却資産以外の固定資産の取得価額)
6-3-25 減価償却資産以外の固定資産の取得価額については、別に定めるもののほか、令第54条《減価償却資産の取得価額》及び第55条《資本的支出があった場合の減価償却資産の取得価額の特例》の規定並びにこれらに関する取扱いの例による。
(固定資産の原価差額の調整)
6-3-26 連結法人が棚卸資産に係る原価差額の調整を要する場合において、原材料等の棚卸資産を固定資産の製作又は建設(改良を含む。)のために供したとき又は自己生産に係る製品を固定資産として使用したときは、当該固定資産に係る原価差額は、その取得価額に配賦するものとする。
(固定資産について値引き等があった場合)
6-3-27 連結法人の有する固定資産について値引き、割戻し又は割引(以下6-3-27において「値引き等」という。)があった場合には、その値引き等のあった日の属する連結事業年度の確定した決算において次の算式により計算した金額の範囲内で当該固定資産の帳簿価額を減額することができるものとする。
(算式)

(注) 1 当該固定資産が法又は措置法の規定による圧縮記帳の適用を受けたものであるときは、算式の分母及び分子の金額はその圧縮記帳後の金額によることに留意する。
2 当該固定資産についてその値引き等のあった日の属する連結事業年度の直前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)から繰り越された特別償却不足額(特別償却準備金の積立不足額を含む。以下6-3-27において同じ。)があるときは、当該特別償却不足額の生じた連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてその値引き等があったものとした場合に計算される特別償却限度額を基礎として当該繰り越された特別償却不足額を修正するものとする。
第2款 耐用年数の短縮
(耐用年数短縮の承認事由の判定)
6-3-28 連結法人の有する減価償却資産が令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第57条第1項各号《耐用年数の短縮》に掲げる事由に該当するかどうかを判定するときにおいて、当該各号の「その使用可能期間が法定耐用年数に比して著しく短いこと」とは、当該減価償却資産の使用可能期間がその法定耐用年数に比しておおむね10%以上短い年数となったことをいうものとする。
(耐用年数の短縮の対象となる資産の単位)
6-3-29 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第57条第1項《耐用年数の短縮》の規定は、減価償却資産の種類(その種類につき構造若しくは用途、細目又は設備の種類の区分が定められているものについては、その構造若しくは用途、細目又は設備の種類の区分)ごとに、かつ、耐用年数の異なるものごとに適用する。ただし、次に掲げる減価償却資産については、それぞれ次によることができる。
(1) 機械及び装置 2以上の工場に同一の種類に属する設備を有するときは、工場ごと
(2) 建物、建物附属設備、構築物、船舶、航空機又は無形減価償却資産 個々の資産ごと
(3) 他に貸与している減価償却資産 その貸与している個々の資産(当該個々の資産が借主における一の設備を構成する機械及び装置の中に2以上含まれているときは、当該2以上の資産)ごと
(注) 1 (1) の「2以上の工場に同一の種類に属する設備を有するとき」には、2以上の工場にそれぞれ一の設備の種類を構成する機械及び装置が独立して存在するときが該当し、2以上の工場の機械及び装置を合わせて一の設備の種類が構成されているときは、これに該当しない。
2 一の設備を構成する機械及び装置の中に他から貸与を受けている資産があるときは、当該資産を含めないところにより同項の規定を適用する。
(機械及び装置以外の減価償却資産の使用可能期間の算定)
6-3-30 機械及び装置以外の減価償却資産について令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第57条第1項《耐用年数の短縮》に規定する「使用可能期間」は、同項各号に掲げる事由に該当することとなった減価償却資産の取得後の経過年数とこれらの事由に該当することとなった後の見積年数との合計年数(1年未満の端数は切り捨てる。)とする。この場合における見積年数は、当該減価償却資産につき使用可能期間を算定しようとする時から通常の維持補修を加え、通常の使用条件で使用するものとした場合において、通常予定される効果をあげることができなくなり更新又は廃棄されると見込まれる時期までの年数による。
(機械及び装置の使用可能期間の算定)
6-3-31 機械及び装置について令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第57条第1項《耐用年数の短縮》に規定する「使用可能期間」は、設備の種類を同じくする機械及び装置に属する個々の資産の取得価額(再評価を行った資産については、その再評価額。ただし、申請の事由が規則第37条《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により準用される規則第16条第2号《特掲されていない設備の耐用年数の短縮》に掲げる事由又はこれに準ずる事由に該当するものである場合には、その再取得価額)を償却基礎価額とし6-3-30に準じて算定した使用可能期間(当該機械及び装置に属する個々の資産のうち同項各号に掲げる事由に該当しないものについては、当該機械及び装置の法定耐用年数の基礎となった個別年数)を当該個々の資産の耐用年数として、機械及び装置の耐用年数の算定式に従いその機械及び装置の全部を総合して算定した年数(1年未満の端数は切り捨てる。)による。
(耐用年数短縮の承認があった後に取得した資産の耐用年数)
6-3-32 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第57条第1項《耐用年数の短縮》の規定による耐用年数の短縮の承認に係る減価償却資産が規則第37条《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により準用される規則第16条第2号《特掲されていない設備の耐用年数の短縮》に掲げる事由又はこれに準ずる事由に該当するものである場合において、その後その承認の対象となった資産と種類を同じくする資産を取得したときは、その取得した資産についても承認に係る耐用年数を適用する。
第4節 償却限度額等
第1款 通則
(改定耐用年数が 100年を超える場合の定率法の償却限度額)
6-4-1 耐用年数省令第4条第2項《償却率》の規定を適用して計算した改定耐用年数が 100年を超える場合の減価償却資産の償却限度額は、当該減価償却資産について定められている耐用年数省令別表の耐用年数に応じ、その帳簿価額に別表第九の償却率を乗じて算出した金額に当該連結事業年度の月数(連結事業年度の中途で事業の用に供した減価償却資産については、当該連結事業年度の月数のうち事業の用に供した後の月数)を乗じ、これを12で除して計算した金額による。
(転用資産の償却限度額)
6-4-2 減価償却資産を連結事業年度の中途において従来使用されていた用途から他の用途に転用した場合において、連結法人が転用した資産の全部について転用した日の属する連結事業年度開始の日から転用後の耐用年数により償却限度額を計算したときは、これを認める。
第2款 償却方法を変更した場合の償却限度額
(定額法を定率法に変更した場合の償却限度額の計算)
6-4-3 減価償却資産の償却方法を定額法から定率法に変更した場合には、その後の償却限度額は、その変更した連結事業年度開始の日における帳簿価額を基礎とし、当該減価償却資産について定められている耐用年数に応ずる償却率により計算するものとする。
(注) 当該減価償却資産について繰越控除される償却不足額があるときは、その償却不足額は、変更をした連結事業年度開始の日における帳簿価額から控除する。
(定率法を定額法に変更した場合の償却限度額の計算)
6-4-4 減価償却資産の償却方法を定率法から定額法に変更した場合には、その後の償却限度額は、次の(1) に定める取得価額及び残存価額を基礎とし、次の(2) に定める年数に応ずる償却率により計算するものとする。
(1) その変更した連結事業年度開始の日における帳簿価額を取得価額とみなし、実際の取得価額の10%相当額を残存価額とする。
(2) 耐用年数は、減価償却資産の種類の異なるごとに、連結法人の選択により、次のイ又はロに定める年数による。
イ 当該減価償却資産について定められている耐用年数
ロ 当該減価償却資産について定められている耐用年数から経過年数(その変更をした連結事業年度開始の日における帳簿価額を実際の取得価額をもって除して得た割合に応ずる当該耐用年数に係る未償却残額割合に対応する経過年数)を控除した年数(その年数が2年に満たない場合には、2年)
(注) 1 ロに定める経過年数の計算は、規則第18条《種類等を同じくする減価償却資産の償却限度額》の規定により一の償却計算単位として償却限度額を計算する減価償却資産ごとに行う。
2 当該減価償却資産について償却不足額があるときは、6-4-3の (注) による。
(定率法を定額法に変更した後に資本的支出をした場合)
6-4-5 償却方法を定率法から定額法に変更した後の償却限度額の計算の基礎となる耐用年数につき6-4-4の(2) のロによっている減価償却資産について資本的支出をした場合には、その後における当該減価償却資産の償却限度額の計算の基礎となる耐用年数は、次の場合に応じそれぞれ次に定める年数によるものとする。
(1) その資本的支出の金額が当該減価償却資産の再取得価額の50%に相当する金額以下の場合 当該減価償却資産につき現に適用している耐用年数
(2) (1) 以外の場合 当該減価償却資産について定められている耐用年数
第3款 増 加 償 却
(増加償却の適用単位)
6-4-6 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第60条《通常の使用時間を超えて使用される機械及び装置の償却限度額の特例》の規定は、連結法人の有する機械及び装置につき耐用年数省令に定める設備の種類(細目の定めのあるものは、細目)ごとに適用する。ただし、2以上の工場に同一の種類に属する設備を有する場合には、工場ごとに適用することができる。 (注) 本文ただし書の「2以上の工場に同一の種類に属する設備を有する場合」の意義は、6-3-29の (注) による。
(連結中間事業年度で増加償却を行った場合)
6-4-7 連結法人が、連結中間事業年度において令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第60条《通常の使用時間を超えて使用される機械及び装置の償却限度額の特例》の規定により増加償却の適用を受けている場合であっても、連結確定事業年度においては、改めて当該連結確定事業年度を通じて増加償却割合を計算し、同条の規定を適用することに留意する。
(貸与を受けている機械及び装置がある場合の増加償却)
6-4-8 連結法人の有する機械及び装置につき1日当たりの超過使用時間を計算する場合において、一の設備を構成する機械及び装置の中に他から貸与を受けている資産が含まれているときは、当該資産の使用時間を除いたところによりその計算を行う。
第4款 陳腐化償却
(陳腐化の意義)
6-4-9 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により準用される令第60条の2《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》に定める減価償却資産の陳腐化とは、連結法人の有する減価償却資産が現実に旧式化し当該減価償却資産の使用によってはコスト高、生産性の低下等により経済的に採算が悪化すること、流行の変遷、経済的環境の変化等により製品、サービス等に対する需要が減退し、当該減価償却資産の経済的価値が低下すること等のため、その更新又は廃棄が必要とされる状況になったことをいうものとする。
(著しい陳腐化の意義)
6-4-10 令第155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第60条の2第1項《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》に定める減価償却資産が著しく陳腐化した場合とは、連結法人の有する減価償却資産が陳腐化したことにより、その減価償却資産の使用可能期間がその減価償却資産の償却につき採用している耐用年数(法定耐用年数より短い年数を採用している場合には、法定耐用年数)に比しておおむね10%以上短くなった場合をいうものとする。
(陳腐化償却の計算単位)
6-4-11 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第60条の2第1項《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》の規定による陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例の適用単位については、6-3-29に準ずる。
(陳腐化償却の場合の使用可能期間)
6-4-12 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第60条の2第1項《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》に規定する「使用可能期間」の計算については、6-3-30又は6-3-31に準ずる。この場合において、当該減価償却資産の更新又は廃棄の時期が具体的な資金計画、設備投資計画等において明らかにされており、かつ、その計画等が連結法人の業種、業態、規模等に照らして妥当なものであると認められるときは、その計画等に基づきその使用可能期間を算定する。
(陳腐化資産に資本的支出がある場合の修正帳簿価額の計算)
6-4-13 令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第60条の2第1項《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》の規定を適用する場合において、陳腐化した減価償却資産につきその取得後同項の規定を適用する連結事業年度(以下この款において「適用年度」という。)前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下6-4-13において「各適用前事業年度」という。)において資本的支出があるときは、その減価償却資産に係る同項第2号に掲げる帳簿価額は、次のいずれかに掲げる額又はこれらの額の計算方法に類する方法により計算される額によることができる。
(1) 次のイ及びロに掲げる額の合計額
イ 当初の取得価額につき使用可能期間を基礎として計算される未償却残額
ロ 各適用前事業年度ごとに、その支出された資本的支出の額の合計額を一の資本的支出の額とし、かつ、その資本的支出の額が当該各適用前事業年度開始の日において支出されたものとした場合において、その資本的支出の額につき使用可能期間を基礎として計算される未償却残額の合計額
(2) 次のロに対するイの割合を未償却残額割合とした場合におけるその連結法人が採用している耐用年数に係る未償却残額割合に対応する経過年数を計算し、次にその減価償却資産の使用可能期間についてその経過年数を経過したものとしたときに計算される未償却残額割合をその減価償却資産の取得価額(各適用前事業年度に支出された資本的支出の額がある場合には、その資本的支出の額の合計額を加算した金額。以下6-4-13において同じ。)に乗じて計算した金額 イ 適用年度開始の日における陳腐化した減価償却資産の帳簿価額
ロ その減価償却資産の取得価額
(注) 未償却残額割合は、その計算された割合に近い未償却残額割合のいずれかを選択することができる。
(陳腐化資産の償却超過額等)
6-4-14 陳腐化した減価償却資産につき、令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の適用》の規定により読み替えて準用される令第60条の2第1項《陳腐化した減価償却資産の償却限度額の特例》の規定の適用がある場合には、その減価償却資産について生じていた償却超過額又は評価損の否認金の額は、適用年度の損金の額に算入する。
第5款 償却可能限度額まで償却した資産
(償却可能限度額まで償却した資産に資本的支出をした場合)
6-4-15 連結法人が、帳簿価額が取得価額の5%相当額に達した減価償却資産について資本的支出をした場合には、その資本的支出をした後の取得価額及び帳簿価額を基礎として再び減価償却を行うことができるのであるから留意する。
(償却可能限度額まで償却した資産の改良後の減価償却)
6-4-16 連結法人が令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第61条第2項《減価償却資産の償却可能限度額の特例》の規定による償却をしている資産について資本的支出をした場合には、その後の償却限度額の計算は、次による。
(1) 資本的支出をした後の帳簿価額が資本的支出後の当該資産の取得価額の5%相当額に満たないときは、当該帳簿価額を基礎とし、新たにその時から使用不能となると認められる日までの期間を基礎とし適正に見積った月数により計算する。
(2) 資本的支出をした後の帳簿価額が資本的支出後の当該資産の取得価額の5%相当額を超えるときは、5%相当額に達するまでは法定耐用年数によりその償却限度額を計算し、5%相当額に達したときは、改めて同項の規定により税務署長の認定を受けた月数により計算する。
第5節 償却費の損金経理
(償却費として損金経理をした金額の意義)
6-5-1 法第31条第1項《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》に規定する「償却費として損金経理をした金額」には、連結法人が償却費の科目をもって経理した金額のほか、損金経理をした次に掲げるような金額も含まれるものとする。
(1) 令第54条第1項《減価償却資産の取得価額》の規定により減価償却資産の取得価額に算入すべき付随費用の額のうち原価外処理をした金額
(2) 減価償却資産について法又は措置法の規定による圧縮限度額を超えてその帳簿価額を減額した場合のその超える部分の金額
(3) 減価償却資産について支出した金額で修繕費として経理した金額のうち令第 132条《資本的支出》の規定により損金の額に算入されなかった金額
(4) 無償又は低い価額で取得した減価償却資産につきその取得価額として連結法人の経理した金額が令第54条第1項の規定による取得価額に満たない場合のその満たない金額
(5) 減価償却資産について計上した除却損又は評価損の金額のうち損金の額に算入されなかった金額
(6) 少額な減価償却資産(おおむね60万円以下)又は耐用年数が3年以下の減価償却資産の取得価額を消耗品費等として損金経理をした場合のその損金経理をした金額
(申告調整による償却費の損金算入)
6-5-2 連結法人が減価償却資産の取得価額の全部又は一部を資産に計上しないで損金経理をした場合(6-5-1により償却費として損金経理をしたものと認められる場合を除く。)又は贈与により取得した減価償却資産の取得価額の全部を資産に計上しなかった場合において、これらの資産を事業の用に供した連結事業年度の連結確定申告書又は修正申告書(更正又は決定があるべきことを予知して提出された期限後申告書及び修正申告書を除く。)に添付した明細書(令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第63条《減価償却に関する明細書の添付》の明細書をいう。)にその計上しなかった金額を記載して申告調整をしているときは、その記載した金額は、償却費として損金経理をした金額に該当するものとして取り扱う。
(注) 贈与により取得した減価償却資産が、令第 133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》の規定によりその取得価額の全部を損金の額に算入することができるものである場合には、損金経理をしたものとする。
第6節 特殊な資産についての償却計算
第1款 鉱業用減価償却資産の償却
(土石採取業の採石用坑道)
6-6-1 土石採取業における採石用の坑道は、令第48条第1項第3号《鉱業用減価償却資産の償却の方法》に規定する鉱業用減価償却資産に該当することに留意する。
(採掘権の取得価額)
6-6-2 連結法人がその有する試掘権の目的となっている鉱物に係る鉱区につき採掘権を取得した場合には、当該試掘権の未償却残額に相当する金額と当該採掘権の出願料、登録免許税その他その取得のために直接要した費用の額の合計額を当該採掘権の取得価額とする。
(鉱業用土地の償却)
6-6-3 石炭鉱業におけるぼた山の用に供する土地のように鉱業経営上直接必要な土地で鉱業の廃止により著しくその価値が減少するものについて、連結法人が、その取得価額から鉱業を廃止した場合において残存すると認められる価額を控除した金額につき当該土地に係る鉱業権について選定している償却の方法に準じて計算される金額以内の金額を損金の額に算入したときは、これを認める。
(土石採取用土地等の償却)
6-6-4 土石又は砂利を採取する目的で取得した土地については、連結法人がその取得価額のうち土石又は砂利に係る部分につき生産高比例法に準ずる方法により計算される金額以内の金額を損金の額に算入したときは、これを認める。
(鉱業用減価償却資産の償却限度額の計算単位)
6-6-5 鉱業用減価償却資産に係る生産高比例法による償却限度額は、鉱業権については1鉱区ごと、坑道についてはその坑道ごと、その他の鉱業用減価償却資産については1鉱業所ごとに計算する。
(生産高比例法を定額法に変更した場合の償却限度額の計算)
6-6-6 鉱業用減価償却資産の償却方法を生産高比例法から定額法に変更した場合には、その後の償却限度額は、次の(1) に定める取得価額及び残存価額を基礎とし、次の(2) に定める年数に応ずる償却率により計算するものとする。
(1) その変更をした連結事業年度開始の日における帳簿価額を取得価額とみなし、実際の取得価額の10%相当額(鉱業権及び坑道については、零)を残存価額とする。
(2) 耐用年数は、次の資産の区分に応じ、それぞれ次に定める年数による。
イ 鉱業権(試掘権を除く。)及び坑道 その変更をした連結事業年度開始の日以後における採掘予定数量を基礎として耐用年数省令第1条第2項第1号、第3号又は第4号《鉱業権及び坑道の耐用年数》の規定により、税務署長が認定した年数
ロ イ以外の鉱業用減価償却資産 その資産について定められている耐用年数又は次の算式により計算した年数(その年数が2年に満たない場合には、2年)
(算式)

(生産高比例法を定率法に変更した場合の償却限度額の計算)
6-6-7 鉱業用減価償却資産の償却方法を生産高比例法から定率法に変更した場合には、その後の償却限度額は、6-4-3に準じて計算する。
(定額法又は定率法を生産高比例法に変更した場合の償却限度額の計算)
6-6-8 鉱業用減価償却資産の償却方法を定額法又は定率法から生産高比例法に変更した場合には、その後の償却限度額は、その変更をした連結事業年度開始の日における帳簿価額を取得価額とみなし、実際の取得価額の10%相当額(鉱業権及び坑道については、零)を残存価額として当該減価償却資産の残存耐用年数(当該減価償却資産の属する鉱区の当該変更をした連結事業年度開始の日以後における採掘予定年数がその残存耐用年数より短い場合には、当該鉱区の当該採掘予定年数)を基礎として計算する。
(注) 当該減価償却資産の残存耐用年数は、6-4-4の(2)のロ及び6-4-5の例による。
第2款 取替資産についての償却
(取替法における取替え)
6-6-9 令第49条第2項第2号《取替法》の取替えとは、取替資産が通常使用に耐えなくなったため取り替える場合のその取替えをいうのであるから、規模の拡張若しくは増強のための取替え又は災害その他の事由により滅失したものの復旧のための取替えは、これに該当しないことに留意する。
(残存価額となった取替資産)
6-6-10 取替資産の償却限度額の計算につき取替法を採用している場合において、当該資産に係る令第49条第2項第1号《取替法》の金額の累計額がその資産の取得価額の50%相当額に達したかどうかは、規則第10条各号《取替資産の範囲》に掲げる資産の区分ごと(その規模の拡張があった場合には、更にその拡張ごと)に判定する。
(撤去資産に付ける帳簿価額)
6-6-11 取替資産が使用に耐えなくなったため取り替えられた場合には、その取替えによる撤去資産については帳簿価額を付けないことができる。この場合において、例えば、取り替えられた軌条をこ線橋、乗降場及び積卸場の上屋等の材料として使用したときのように新たに資産価値を認められる用に供したときは、その用に供した時において、次のいずれか低い金額を下らない金額を新たな資産の取得価額に算入するものとする。
(1) 当該撤去資産の取得価額(取得価額が不明であるときは、当該資産と種類等を同じくする新品の価額)の5%相当額
(2) 当該撤去資産をその用に供した時の時価
第3款 特別な償却率を適用する資産の償却
(償却限度額の計算)
6-6-12 特別な償却率による償却限度額は、その償却率の異なるものごとに計算する。
第4款 生物の償却
(成熟の年齢又は樹齢)
6-6-13 連結法人の有する令第13条第9号《牛馬果樹等》に掲げる生物の減価償却は、当該生物がその成熟の年齢又は樹齢に達した月(成熟の年齢又は樹齢に達した後に取得したものについては、取得の月)から行うことができる。この場合におけるその成熟の年齢又は樹齢は次によるものとするが、次表に掲げる生物についてその判定が困難な場合には、次表に掲げる年齢又は樹齢によることができる。
(1) 牛馬等については、通常事業の用に供する年齢とする。ただし、現に事業の用に供するに至った年齢がその年齢後であるときは、現に事業の用に供するに至った年齢とする。
(2) 果樹等については、当該果樹等の償却額を含めて通常の場合におおむね収支相償うに至ると認められる樹齢とする。
種 類 | 用 途 | 細 目 | 成熟の年齢又は樹齢 |
牛 | 農業使役用 | 満 2 歳 | |
小運搬使役用 | 〃 2 | ||
繁殖用 | 役肉用牛 乳用牛 | 〃 2 〃 2 | |
種付用 | 役肉用牛 乳用牛 | 〃 2 〃 2 | |
その他用 | 〃 2 | ||
馬 | 農業使役用 | 満 2 歳 | |
小運搬使役用 | 〃 4 | ||
繁殖用 | 〃 3 | ||
種付用 | 〃 4 | ||
競争用 | 〃 2 | ||
その他用 | 〃 2 | ||
綿 羊 | 種付用 | 満 2 歳 | |
一般用 | 〃 2 | ||
豚 | 種付用 | 満 2 歳 | |
繁殖用 | 〃 1 | ||
かんきつ樹 | 温 州 | 満 15 年 | |
その他 | 〃 15 | ||
りんご樹 | 満 10 年 | ||
ぶどう樹 | 〃 6 | ||
なし樹 | 〃 8 | ||
桃 樹 | 〃 5 | ||
桜 桃 樹 | 〃 8 | ||
び わ 樹 | 〃 8 | ||
栗 樹 | 〃 8 | ||
梅 樹 | 〃 7 | ||
か き 樹 | 〃 10 | ||
あんず樹 | 〃 7 | ||
すもも樹 | 〃 7 | ||
いちじく樹 | 〃 5 | ||
茶 樹 | 〃 8 | ||
オリーブ樹 | 〃 8 | ||
桑 樹 | 根刈、中刈及び 高刈 | 〃 3 | |
立 通 | 〃 7 | ||
こうりやなぎ | 〃 3 | ||
みつまた | 〃 4 | ||
こうぞ | 〃 3 | ||
ラミー | 〃 3 | ||
ホップ | 〃 3 |
(転用後の償却限度額の計算)
6-6-14 牛、馬、綿羊及びやぎを耐用年数省令別表第四に掲げる一の用途から他の用途に転用した場合の転用後の償却限度額は、その転用した日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の翌連結事業年度開始の日の帳簿価額を取得価額とし、転用後の残存使用可能期間に応ずる償却率により計算する。この場合において、その残存使用可能期間が明らかでないときは、牛については8年、馬については10年、綿羊及びやぎについては6年からそれぞれの転用の時までの満年齢(1年未満の端数は切り捨てる。)を控除した年数をその残存使用可能期間とするものとする。
第5款 国外リース資産の償却
(再リース期間)
6-6-15 令第48条第1項第7号《リース期間定額法》に規定する「賃貸借の期間」には、リース取引(同号に規定するリース取引をいう。以下6-6-17までにおいて同じ。)のうち再リースすることが明らかなものにおける当該再リースに係る賃貸借期間を含むものとする。
(見積残存価額)
6-6-16 連結法人が、令第48条第2項《見積残存価額等の意義》に規定する見積残存価額について、リース料の算定に当たって国外リース資産(同条第1項第7号《リース期間定額法》に規定する国外リース資産をいう。以下6-6-17までにおいて同じ。)の取得価額及びその取引に係る付随費用(国外リース資産の取得に要する資金の利子、固定資産税、保険料等その取引に関連して賃貸人が支出する費用をいう。)の額の合計額からリース料として回収することとしている金額の合計額を控除した残額としている場合は、これを認める。
(転貸リース)
6-6-17 賃貸人がリース資産(リース取引の目的とされている減価償却資産をいう。以下6-6-17において同じ。)を居住者又は内国法人に対して賃貸した後、更に当該居住者又は内国法人が非居住者又は外国法人(以下6-6-17において「非居住者等」という。)に対して当該リース資産を賃貸した場合(非居住者等の専ら国内において行う事業の用に供されている場合を除く。)において、当該リース資産の使用状況及び当該賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に賃貸人から非居住者等に対して直接賃貸したと認められるときは、当該賃貸人の所有する当該リース資産は国外リース資産に該当することに留意する。
第7節 除却損失等
第1款 除却損失等の損金算入
(取り壊した建物等の帳簿価額の損金算入)
6-7-1 連結法人がその有する建物、構築物等でまだ使用に耐えうるものを取り壊し新たにこれに代わる建物、構築物等を取得した場合(6-3-8に該当する場合を除く。)には、その取り壊した資産の取壊し直前の帳簿価額(取り壊した時における廃材等の見積額を除く。)は、その取り壊した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(有姿除却)
6-7-2 次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。
(1) その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
(2) 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
(ソフトウエアの除却)
6-7-3 ソフトウエアにつき物理的な除却、廃棄、消滅等がない場合であっても、次に掲げるように当該ソフトウエアを今後事業の用に供しないことが明らかな事実があるときは、当該ソフトウエアの帳簿価額(処分見込価額がある場合には、これを控除した残額)を当該事実が生じた日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(1) 自社利用のソフトウエアについて、そのソフトウエアによるデータ処理の対象となる業務が廃止され、当該ソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合、又はハードウエアやオペレーティングシステムの変更等によって他のソフトウエアを利用することになり、従来のソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合
(2) 複写して販売するための原本となるソフトウエアについて、新製品の出現、バージョンアップ等により、今後、販売を行わないことが社内りん議書、販売流通業者への通知文書等で明らかな場合
第2款 総合償却資産の除却価額等
(総合償却資産の除却価額)
6-7-4 連結法人の有する総合償却資産の一部について除却、廃棄、滅失又は譲渡(以下この節において「除却等」という。)があった場合における当該除却等による損益の計算の基礎となる帳簿価額は、その除却等に係る個々の資産の取得価額の5%相当額によるものとする。
(償却額の配賦がされていない場合の除却価額の計算の特例)
6-7-5 総合償却資産の一部について除却等があった場合における当該除却等による損益の計算の基礎となる帳簿価額につき、連結法人が継続して次の(1) 又は(2) のいずれかの金額によっている場合には、これを認める。この場合において、除却等に係る資産の一部にその計算が困難であるもの等があるときは、当該資産についてはその取得価額の5%相当額によることができる。
(1) 除却等に係る個々の資産の個別耐用年数を基礎として計算される除却等の時における未償却残額に相当する金額
(2) 除却等に係る個々の資産が含まれていた総合償却資産の総合耐用年数を基礎として計算される除却等の時における未償却残額に相当する金額
(注) 1
(1) 又は(2)の金額による場合において、除却等に係る個々の資産が特別償却、割増償却又は増加償却の規定の適用を受けたものであるときは、当該資産のこれらの償却に係る償却限度額に相当する金額についても、償却があったものとして未償却残額を計算することに留意する。
2 個々の資産の個別耐用年数は、機械及び装置については「機械装置の個別年数と使用時間表」の「機械及び装置の細目と個別年数」の「同上算定基礎年数」をいい、構築物については昭和45年5月25日付直法4-25ほか1課共同「『耐用年数の適用等に関する取扱通達』の制定について」通達付表3又は付表4に定める個別耐用年数をいう。ただし、個々の資産の個別耐用年数がこれらの表に掲げられていない場合には、当該資産と種類等を同じくする資産又は当該資産に類似する資産の個別耐用年数を基礎として見積られる耐用年数とする。
なお、個々の資産の属する総合償却資産について耐用年数の短縮の承認を受けているものがある場合には、その承認を受けた耐用年数の算定の基礎となった個々の資産の耐用年数とする。
(償却額の配賦がされている場合の除却価額の計算の特例)
6-7-6 連結法人が各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下6-7-7において同じ。)において計上した総合償却資産の償却費の額を、それに含まれる個々の資産に合理的基準に基づいて配賦し、その帳簿価額を基礎として当該個々の資産の除却等による損益の計算をしている場合には、これを認める。
(注) 総合償却資産の償却費の額を個々の資産につき総合耐用年数を基礎として計算される償却限度額に応じて配賦することは、合理的基準に基づく配賦に該当する。
(償却可能限度額まで償却した資産の除却価額の計算の特例)
6-7-7 連結法人が各連結事業年度において計上した総合償却資産の償却費の額をこれに含まれる個々の資産に配賦し、当該個々の資産の帳簿価額が明らかにされている場合において、その帳簿価額が個々の資産の取得価額の5%相当額に達したときは、当該個々の資産はじ後減価償却の対象とならないのであるから、その取得価額及び帳簿価額は、当該総合償却資産の償却限度額の計算の基礎となる取得価額及び帳簿価額から除くものとする。
(帳簿価額が明らかでない資産で定額法等を採用しているものの除却価額の計算の特例)
6-7-8 定額法又は生産高比例法により償却費の額を計算している総合償却資産については、これに含まれる個々の資産の帳簿価額が明らかにされていない場合においても、当該資産につき償却費の配賦がされていたとすればその帳簿価額が取得価額の5%相当額に達したと認められるときは、その時において当該資産の取得価額及びその5%相当額は、当該総合償却資産の償却限度額の計算の基礎となる取得価額及び帳簿価額から除くものとする。この場合において、取得価額の5%相当額に達したかどうかは、当該資産の取得後の経過年数、既往における償却の実施状況(償却不足額の有無、特別償却、割増償却等の実施の状況)等を勘案し合理的に判定する。
第3款 個別償却資産の除却価額等
(個別償却資産の除却価額)
6-7-9 減価償却資産の種類、構造若しくは用途、細目又は耐用年数が同一であるため規則第18条《種類等を同じくする減価償却資産の償却限度額》の規定により一の償却計算単位として償却限度額を計算している2以上の減価償却資産について、その一部の資産の除却等があった場合におけるその除却等による損益の計算の基礎となる帳簿価額は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1) 償却費の額が個々の資産に合理的に配賦されている場合 除却等があった資産の除却等の時の帳簿価額
(2) 償却費の額が個々の資産に配賦されていない場合 除却等があった資産につきその法定耐用年数を基礎として計算される除却等の時の未償却残額
(注) 個別償却資産については、その償却額を個々の資産に合理的に配賦すべきものであるが、工具、器具及び備品のようにその配賦が困難なものもあり、これらについては(2)の適用がある。
(償却可能限度額まで償却した資産の除却価額等についての準用)
6-7-10 6-7-9の(1) に該当する場合において、個々の資産のうちその帳簿価額がその取得価額の5%相当額に達したものがあるときの取得価額等の除外については、6-7-7を準用する。
(取得価額等が明らかでない少額の減価償却資産等の除却価額)
6-7-11 少額の減価償却資産等(取得価額が20万円未満の減価償却資産で令第 133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》及び第 133条の2《一括償却資産の損金算入》の規定の適用を受けなかったものをいう。以下6-7-12において同じ。)の一部について除却等があったときにおいてその除却等をした資産の取得時期及び取得価額が明らかでないため6-7-9の(2) によることができないときは、その除却等による損益の計算の基礎となる帳簿価額は、その除却等をした資産と種類等を同じくするものの前連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)における取得価額の平均額の5%相当額による。
(除却数量が明らかでない貸与資産の除却価額)
6-7-12 連結法人の有する少額の減価償却資産等が著しく多量であり、かつ、その相当部分が貸与されており、その貸与されているものの実在、除却等の状況を個別的に管理することができないため各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において除却等をしたものの全部を確認することができない場合において、連結法人がその除却等の数量を過去における実績を基礎とする等合理的な方法により推定し、その数量につき6-7-11により除却等による損益を計算しているときは、これを認める。
(個別管理が困難な少額資産の除却処理等の簡便計算)
6-7-13 連結法人が、その取得価額が少額(おおむね40万円未満)で個別管理が困難な工具又は器具及び備品について、例えば、次に掲げるような方法により継続してその減価償却費の額及び除却価額の計算を行っている場合には、これを認める。
(1) 種類、構造又は用途及び細目の区分(以下6-7-13において「種類等の区分」という。)ごとの計算が可能で、その除去数量が明らかにされているものについて、その種類等の区分を同じくするものごとに一括して減価償却費の額の計算をするとともに、その取得の時期の古いものから順次除却するものとして計算した場合の未償却残額によりその除却価額を計算する方法
(2) 個数管理が困難で、その除却数量が明らかでなく、通常使用可能期間が経過すれば現物の廃棄等がされると認められるものについて、種類等の区分を同じくするものをその取得をした連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)ごとに区分してその区分ごとに一括して減価償却費の額の計算をし、その帳簿価額が取得価額の5%相当額に達した連結事業年度と耐用年数を経過する日の属する連結事業年度とのいずれか遅い連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の翌連結事業年度において除却処理する方法
第8節 資本的支出と修繕費
(資本的支出の例示)
6-8-1 連結法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となるのであるから、例えば、次に掲げるような金額は、原則として資本的支出に該当する。
(1) 建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額
(2) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額
(3) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額
(注) 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。
(修繕費に含まれる費用)
6-8-2 連結法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となるのであるが、次に掲げるような金額は、修繕費に該当する。
(1) 建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。
(2) 機械装置の移設(6-3-18の本文の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額
(3) 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額。ただし、次に掲げる場合のその地盛りに要した費用の額を除く。
イ 土地の取得後直ちに地盛りを行った場合
ロ 土地の利用目的の変更その他土地の効用を著しく増加するための地盛りを行った場合
ハ 地盤沈下により評価損を計上した土地について地盛りを行った場合
(4) 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の侵害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。
(5) 現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額
(少額又は周期の短い費用の損金算入)
6-8-3 一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等(以下6-8-5までにおいて「一の修理、改良等」という。)が次のいずれかに該当する場合には、その修理、改良等のために要した費用の額については6-8-1にかかわらず、修繕費として損金経理をすることができるものとする。
(1) その一の修理、改良等のために要した費用の額(その一の修理、改良等が2以上の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)にわたって行われるときは、各連結事業年度ごとに要した金額。以下6-8-5までにおいて同じ。)が20万円に満たない場合
(2) その修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかである場合
(注) 本文の「同一の固定資産」は、一の設備が2以上の資産によって構成されている場合には当該一の設備を構成する個々の資産とし、送配管、送配電線、伝導装置等のように一定規模でなければその機能を発揮できないものについては、その最小規模として合理的に区分した区分ごととする。以下6-8-5までにおいて同じ。
(形式基準による修繕費の判定)
6-8-4 一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、その金額が次のいずれかに該当するときは、修繕費として損金経理をすることができるものとする。
(1) その金額が60万円に満たない場合
(2) その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合
(資本的支出と修繕費の区分の特例)
6-8-5 一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額(6-8-3又は6-8-4の適用を受けるものを除く。)がある場合において、連結法人が、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める。
(災害の場合の資本的支出と修繕費の区分の特例)
6-8-6 災害により被害を受けた固定資産(当該被害に基づき法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定による評価損を計上したものを除く。以下6-8-6において「被災資産」という。)について支出した次に掲げる費用に係る資本的支出と修繕費の区分については、6-8-1から6-8-5までの取扱いにかかわらず、それぞれ次による。 (1) 被災資産につきその原状を回復するために支出した費用は、修繕費に該当する。
(2) 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用について、連結法人が、修繕費とする経理をしているときは、これを認める。
(3) 被災資産について支出した費用(上記(1) 又は(2) に該当する費用を除く。)の額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでないものがある場合において、連結法人が、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これを認める。
(注) 1
連結法人が、被災資産の復旧に代えて資産の取得をし、又は特別の施設(被災資産の被災前の効用を維持するためのものを除く。)を設置する場合の当該資産又は特別の施設は新たな資産の取得に該当し、その取得のために支出した金額は、これらの資産の取得価額に含めることに留意する。
2 上記の固定資産に係る災害の場合の資本的支出と修繕費の区分の特例は、令第 114条《固定資産に準ずる繰延資産》に規定する繰延資産に係る他の者の有する固定資産につき、災害により損壊等の被害があった場合について準用する。
(ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費)
6-8-7 連結法人が、その有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当することに留意する。
(注) 既に有しているソフトウエア、購入したパッケージソフトウエア等の仕様を大幅に変更して、新たなソフトウエアを製作するための費用は、原則として取得価額となることに留意する。
(機能復旧補償金による固定資産の取得又は改良)
6-8-8 連結法人が、その有する固定資産について電波障害、日照妨害、風害、騒音等による機能の低下があったことによりその原因者からその機能を復旧するための補償金の交付を受けた場合において、当該補償金をもってその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をしたときは、その取得又は改良に充てた補償金の額のうちその機能復旧のために支出したと認められる部分の金額に相当する金額は、修繕費等として損金の額に算入することができる。
当該補償金の交付に代えて、その原因者から機能復旧のための固定資産の交付を受け、又は当該原因者が当該固定資産の改良を行った場合についても、同様とする。
(注) 当該補償金の交付を受けた日の属する連結事業年度終了の時までにその機能復旧のための固定資産の取得又は改良をすることができなかった場合においても、その後速やかにその取得又は改良をすることが確実であると認められるときは、当該補償金の額のうちその取得又は改良に充てることが確実と認められる部分の金額に限り、その取得又は改良をする時まで仮受金として経理することができる。
(地盤沈下による防潮堤、防波堤等の積上げ費)
6-8-9 連結法人が地盤沈下に起因して防潮堤、防波堤、防水堤等の積上げ工事を行った場合において、数年内に再び積上げ工事を行わなければならないものであると認められるときは、その積上げ工事に要した費用を一の減価償却資産として償却することができる。
(耐用年数を経過した資産についてした修理、改良等)
6-8-10 耐用年数を経過した減価償却資産について修理、改良等をした場合であっても、その修理、改良等のために支出した費用の額に係る資本的支出と修繕費の区分については、一般の例によりその判定を行うことに留意する。
第9節 劣化資産
(劣化資産の意義)
6-9-1 劣化資産とは、生産設備の本体の一部を構成するものではないがそれと一体となって繰り返し使用される資産で、数量的に減耗し、又は質的に劣化するものをいい、例えば、次に掲げるものは、劣化資産に該当する。
(1) 冷媒
(2) 触媒
(3) 熱媒
(4) 吸着材及び脱着材
(5) 溶剤及び電解液
(6) か性ソーダ製造における水銀
(7) 鋳物製造における砂
(8) 亜鉛鉄板製造における溶融鉛
(9) アルミニューム電解用の陽極カーボン及び氷晶石
(10) 発電用原子炉用の重水及び核燃料棒
(棚卸資産とする劣化資産)
6-9-2 劣化資産のうち製造工程において生産の流れに参加し、かつ、中間生産物の物理的又は化学的組成となるものについては、連結法人がこれを棚卸資産として経理している場合には、これを認める。 (注) 6-9-1の(5)又は(6)に掲げるものがこれに該当する。
(劣化等により全量を一時に取り替える劣化資産)
6-9-3 劣化資産(6-9-2により棚卸資産として経理したものを除く。以下この節において同じ。)のうち、主として質的に劣化する等のため、一の設備に使用されている数量の全部を一時に取り替えるものについては、次による。
(1) 事業の開始又は拡張のために取得したものについては、その取得価額を資産に計上し、その取得価額から取替えの時における処分見込価額を控除した金額を、その投入の時から取替えの時までの期間を基礎として定額法又は生産高比例法に準じて償却する。
(2) 一の設備に使用されている数量の全部を取り替えた場合には、その取り替えたものの取得価額を資産に計上して、(1) により償却し、その取り除いたものの帳簿価額からその取替えの時における処分見込価額を控除した金額を損金の額に算入する。
(3) 劣化等による減耗分の補充をした場合には、その補充のために要した金額を支出の都度損金の額に算入する。
(全量を一時に取り替えないで随時補充する劣化資産)
6-9-4 劣化資産のうち、主として数量的に減耗し、その減耗分を補充することにより長期間にわたりおおむね同様な状態において事業の用に供することができるものについて、連結法人が次のいずれかの方法により継続して経理しているときは、これを認める。
(1) 事業の開始又は拡張のために取得したものの取得価額を資産に計上し、その資産の減耗分の補充のために要した金額をその支出の都度損金の額に算入する方法
(2) 事業の開始又は拡張のために取得したものの取得価額を資産に計上し、その取得価額の50%相当額に達するまで減耗率により計算した償却額を各連結事業年度の損金の額に算入するとともに、その資産の減耗分の補充のために要した金額をその支出の都度損金の額に算入する方法
(3) 事業の開始又は拡張のために取得したものの取得価額を資産に計上し、その資産の減耗分の補充をしたときは、その補充のために要した金額を資産に計上するとともに、その資産の帳簿価額のうち減耗分に対応する金額を損金の額に算入する方法
(4) 各連結事業年度終了の時において有する劣化資産を棚卸資産の評価方法に準じて評価する方法
(少額な劣化資産の損金算入)
6-9-5 一の設備に通常使用される劣化資産でその取得価額が少額(おおむね60万円未満)なものは、事業の用に供した都度損金の額に算入することができる。
第7章 繰延資産の償却
第1節 繰延資産の意義及び範囲等
(定款記載を欠く設立費用)
7-1-1 連結法人がその設立のために通常必要と認められる費用を支出した場合において、当該費用を当該連結法人の負担とすべきことがその定款等で定められていないときであっても、当該費用は令第14条第1項第1号《創業費》に規定する「法人の設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきもの」に該当するものとする。
(資源の開発のために特別に支出する費用)
7-1-2 令第14条第1項第5号《開発費》に規定する「資源の開発のために特別に支出する費用」には、例えば、新鉱床の探鉱のための地質調査、ボーリング又は坑道の堀さく等に要する費用のように資源の開発のために直接要した費用のほか、その開発に要する資金に充てるために特別に借り入れた借入金の利子が含まれるものとする。
(注)
固定資産を取得するために借り入れた借入金の利子は、たとえ当該固定資産の使用開始前の期間に係るものであっても、同項各号に規定する繰延資産に該当しないことに留意する。
(公共的施設の設置又は改良のために支出する費用)
7-1-3 令第14条第1項第9号イ《公共的施設等の負担金》に規定する「自己が便益を受ける公共的施設の設置又は改良のために支出する費用」とは、次に掲げる費用をいう。
(1) 連結法人が自己の必要に基づいて行う道路、堤 防、護岸、その他の施設又は工作物(以下7-1-3において「公共的施設」という。)の設置又は改良(以下7-1-3において「設置等」という。)のために要する費用(自己の利用する公共的施設につきその設置等を国又は地方公共団体(以下7-1-3において「国等」という。)が行う場合におけるその設置等に要する費用の一部の負担金を含む。)又は連結法人が自己の有する道路その他の施設又は工作物を国等に提供した場合における当該施設又は工作物の価額に相当する金額
(2) 連結法人が国等の行う公共的施設の設置等により著しく利益を受ける場合におけるその設置等に要する費用の一部の負担金(土地所有者又は借地権を有する連結法人が土地の価格の上昇に基因して納付するものを除く。)
(3) 連結法人(鉄道業又は軌道業を営む連結法人を除く。)が、鉄道業を営む法人の行う鉄道の建設に当たり支出するその施設に連絡する地下道等の建設に要する費用の一部の負担金
(共同的施設の設置又は改良のために支出する費用)
7-1-4 令第14条第1項第9号イ《公共的施設等の負担金》に規定する「自己が便益を受ける共同的施設の設置又は改良のために支出する費用」とは連結法人がその所属する協会、組合、商店街等の行う共同的施設の建設又は改良に要する費用の負担金をいう。この場合において、共同的施設の相当部分が貸室に供される等協会等の本来の用以外の用に供されているときは、その部分に係る負担金は、協会等に対する寄附金となることに留意する。
(資産を賃借するための権利金等)
7-1-5 次のような費用は、令第14条第1項第9号ロ《資産を賃借するための権利金等》に規定する繰延資産に該当する。
(1) 建物を賃借するために支出する権利金、立退料その他の費用
(2) 電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する引取運賃、関税、据付費その他の費用
(注) 建物の賃借に際して支払った仲介手数料の額は、その支払った日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(ノーハウの頭金等)
7-1-6 ノーハウの設定契約に際して支出する一時金又は頭金の費用は、令第14条第1項第9号ハ《役務の提供を受けるための権利金等》に規定する繰延資産に該当する。ただし、ノーハウの設定契約において、頭金の全部又は一部を使用料に充当する旨の定めがある場合又は頭金の支払により一定期間は使用料を支払わない旨の定めがある場合には、当該頭金の額のうちその使用料に充当される部分の金額又はその支払わないこととなる使用料の額に相当する部分の金額は、これを繰延資産としないで前払費用として処理することができる。
(注) 前払費用として処理した頭金の額についてその使用料に充当すべき期間又は使用料を支払わない期間を経過してなお残額があるときは、その残額は当該期間を経過した日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用)
7-1-7 令第14条第1項第9号ニ《広告宣伝用資産を贈与した費用》に規定する「製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用」とは、連結法人がその特約店等に対し自己の製品等の広告宣伝等のため、広告宣伝用の看板、ネオンサイン、どん帳、陳列棚、自動車のような資産(展示用モデルハウスのように見本としての性格を併せ有するものを含む。以下7-1-7において同じ。)を贈与した場合(その資産を取得することを条件として金銭を贈与した場合又はその贈与した資産の改良等に充てるために金銭等を贈与した場合を含む。)又は著しく低い対価で譲渡した場合における当該資産の取得価額又は当該資産の取得価額からその譲渡価額を控除した金額に相当する費用をいう。
(スキー場のゲレンデ整備費用)
7-1-8 積雪地帯におけるスキー場(その土地が主として他の者の所有に係るものに限る。)においてリフト、ロープウェイ等の索道事業を営む連結法人が当該スキー場に係る土地をゲレンデとして整備するために立木の除去、地ならし、沢の埋立て、芝付け等の工事を行った場合には、その工事に要した費用の額は、令第14条第1項第9号ホ《その他自己が便益を受けるための費用》に規定する繰延資産に該当するものとする。
当該スキー場において旅館、食堂、土産物店等を経営する連結法人が当該費用の額の全部又は一部を負担した場合のその負担した額についても、同様とする。
(注) 1
既存のゲレンデについて支出する次のような費用の額は、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(1) おおむねシーズンごとに行う傾斜角度の変更その他これに類する工事のために要する費用
(2) 崩落地の修復、補強等の工事のために要する費用
(3) シーズンごとに行うブッシュの除去、芝の補植その他これらに類する作業のために要する費用
2 自己の土地をスキー場として整備するための土工工事(他の者の所有に係る土地を有料のスキー場として整備するための土工工事を含む。)に要する費用の額は、構築物の取得価額に算入する。
(出版権の設定の対価)
7-1-9 著作権法第79条第1項《出版権の設定》に規定する出版権の設定の対価として支出した金額は、令第14条第1項第9号ホ《その他自己が便益を受けるための費用》に規定する繰延資産に該当するものとする。
(注) 例えば、漫画の主人公を商品のマーク等として使用する等他人の著作物を利用することについて著作権者等の許諾を得るために支出する一時金の費用は、出版権の設定の対価に準じて取り扱う。
(同業者団体等の加入金)
7-1-10 連結法人が同業者団体等(社交団体を除く。)に対して支出した加入金(その構成員としての地位を他に譲渡することができることになっている場合における加入金及び出資の性質を有する加入金を除く。)は、令第14条第1項第9号ホ《その他自己が便益を受けるための費用》に規定する繰延資産に該当するものとする。
(注) 構成員としての地位を他に譲渡することができることとなっている場合における加入金及び出資の性質を有する加入金については、その地位を他に譲渡し、又は当該同業者団体等を脱退するまで損金の額に算入しないものとする。
(職業運動選手等の契約金等)
7-1-11 連結法人が職業運動選手等との専属契約をするために支出する契約金等は、令第14条第1項第9号ホ《その他自己が便益を受けるための費用》に規定する繰延資産に該当するものとする。
(注) セールスマン、ホステス等の引抜料、支度金等の額は、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(簡易な施設の負担金の損金算入)
7-1-12 国、地方公共団体、商店街等の行う街路の簡易舗装、街灯、がんぎ等の簡易な施設で主として一般公衆の便益に供されるもののために充てられる負担金は、これを繰延資産としないでその負担金を支出する日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(移転資産等と密接な関連を有する繰延資産)
7-1-13 令第66条《移転資産等と密接な関連を有する繰延資産の範囲》に規定する「その他これらに類するもの」とは、例えば次の繰延資産をいう。
(1) 適格分割型分割、適格分社型分割、適格現物出資又は適格事後設立(以下7-1-14までにおいて「適格分割型分割等」という。)によりノーハウの設定契約を移転した場合における7-1-6に定めるノーハウの頭金等
(2) スキー場においてリフト、ロープウエイ等の索道事業を営む連結法人が適格分割型分割等により当該事業に係る資産等(法第32条第2項《適格分社型分割等により引き継ぐ繰延資産に係る期中損金経理額の損金算入》に規定する資産等をいう。7-1-14において同じ。)を移転した場合における7-1-8に定めるスキー場のゲレンデ整備費用
(3) 適適格分割型分割等により職業運動選手等との専属契約を移転した場合における7-1-11に定める契約金等
(双方に関連を有する繰延資産の引継ぎ)
7-1-14 適格分割型分割等により移転する資産等と移転しない資産等の双方に関連を有する繰延資産については、当該繰延資産の金額を合理的にあん分した金額を引き継ぐことができるものとする。
第2節 繰延資産の償却期間
(効果の及ぶ期間の測定)
7-2-1 令第64条第1項第2号《繰延資産の償却限度額》に規定する「繰延資産となる費用の支出の効果の及ぶ期間」は、この節に別段の定めのあるもののほか、固定資産を利用するために支出した繰延資産については当該固定資産の耐用年数、一定の契約をするに当たり支出した繰延資産についてはその契約期間をそれぞれ基礎として適正に見積った期間による。
(繰延資産の償却期間の改訂)
7-2-2 固定資産を利用するために支出した繰延資産で当該固定資産の耐用年数を基礎として支出の効果の及ぶ期間(以下この節において「償却期間」という。)を算定しているものにつき、その後当該固定資産の耐用年数が改正されたときは、その改正された連結事業年度以後の当該繰延資産の償却期間は、改正後の耐用年数を基礎として算定した年数による。
(繰延資産の償却期間)
7-2-3 令第14条第1項第9号《公共的施設の負担金等の繰延資産》に掲げる繰延資産のうち、次の表に掲げるものの償却期間は、次による。
該当条項 | 種 類 | 細 目 | 償却期間 |
令第十四条第一項第九号イ《公共的施設等の負担金》に掲げる費用 | 公共的施設の設置又は改良のために支出する費用(7-1-3) | (1) その施設又は工作物がその負担した者に専ら使用されるものである場合 | その施設又は工作物の耐用年数の7/10に相当する年数 |
(2) (1)以外の施設又は工作物の設置又は改良の場合 | その施設又は工作物の耐用年数の4/10に相当する年数 | ||
共同的施設の設置又は改良のために支出する費用(7-1-4) | (1) その施設がその負担者又は構成員の共同の用に供されるものである場合又は協会等の本来の用に供されるものである場合 | イ 施設の建設又は改良に充てられる部分の負担金については、その施設の耐用年数の7/10に相当する年数 ロ 土地の取得に充てられる部分の負担金については、45年 | |
(2) 商店街等における共同のアーケード、日よけ、アーチ、すずらん灯等負担者の共同の用に供されるとともに併せて一般公衆の用にも供されるものである場合 | 5年(その施設について定められている耐用年数が5年未満である場合には、その耐用年数) | ||
令第十四条第一項第九号ロ《資産を賃借するための権利金等》に掲げる費用 | 建物を賃借するために支出する権利金等(7-1-5(1)) | (1) 建物の新築に際しその所有者に対して支払った権利金等で当該権利金等の額が当該建物の賃借部分の建設費の大部分に相当し、かつ、実際上にその建物の存続期間中賃借できる状況にあると認められるものである場合 | その建物の耐用年数の7/10に相当する年数 |
(2) 建物の賃借に際して支払った(1)以外の権利金等で、契約、慣習等によってその明渡しに際して借家権として転売できることになっているものである場合 | その建物の賃借後の見積残存耐用年数の7/10に相当する年数 | ||
(3) (1)及び(2)以外の権利金等の場合 | 5年(契約による賃借期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び権利金等の支払を要することが明らかであるときは、その賃借期間) | ||
電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する費用(7-1-5(2)) | その機器の耐用年数の7/10に相当する年数(その年数が契約による賃借期間を超えるときは、その賃借期間) | ||
令第十四条第一項第九号ハ《役務の提供を受けるための権利金等》に掲げる費用 | ノーハウの頭金等(7-1-6) | 5年(設定契約の有効期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び一時金又は頭金の支払を要することが明らかであるときは、その有効期間の年数) | |
令第十四条第一項第九号ニ《広告宣伝用資産を贈与した費用》に掲げる費用 | 広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用(7-1-7) | その資産の耐用年数の7/10に相当する年数(その年数が5年を超えるときは、5年) | |
第十四条第一項第九号ホ《その他自己が便益を受けるための費用》に掲げる費用 | スキー場のゲレンデ整備費用(7-1-8) | 12年 | |
出版権の設定の対価(7-1-9) | 設定契約に定める存続期間(設定契約に存続期間の定めがない場合には、3年) | ||
同業者団体等の加入金(7-1-10) | 5年 | ||
職業運動選手等の契約金等(7-1-11) | 契約期間(契約期間の定めがない場合には、3年) |
(注) 1 連結法人が道路用地をそのまま、又は道路として舗装の上国又は地方公共団体に提供した場合において、その提供した土地の価額(舗装費を含む。)が繰延資産となる公共施設の設置又は改良のために支出する費用に該当するときは、その償却期間の基礎となる「その施設又は工作物の耐用年数」は15年としてこの表を適用する。
2 償却期間に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。
(港湾しゅんせつ負担金等の償却期間の特例)
7-2-4 公共的施設の設置又は改良のために支出する費用のうち企業合理化促進法(昭和27年法律第5号)第8条《産業関連施設の整備》の規定に基づき負担する港湾しゅんせつに伴う受益者負担金及び共同的施設の設置又は改良のために支出する費用のうち負担者又は構成員の属する協会等の本来の用に供される会館等の建設又は改良のために負担する負担金については、7-2-3に定める償却期間が10年を超える場合には、当分の間、7-2-3にかかわらず、その償却期間を10年とするものとする。
(公共下水道に係る受益者負担金の償却期間の特例)
7-2-5 地方公共団体が都市計画事業その他これに準ずる事業として公共下水道を設置する場合において、その設置により著しく利益を受ける土地所有者が都市計画法その他の法令の規定に基づき負担する受益者負担金については、7-2-3にかかわらずその償却期間を6年とする。 (注)
連結法人が下水道法第19条《工事負担金》の規定により負担する負担金の取扱いは、6-1-10《公共下水道施設の使用のための負担金》によることに留意する。
第3節 償却費の計算
(固定資産を公共的施設として提供した場合の計算)
7-3-1 連結法人がその有する固定資産を自己が便益を受ける公共的施設として提供した場合におけるその提供に係る繰延資産の額は、当該固定資産のその提供の直前における帳簿価額に相当する金額によることができる。
(償却費として損金経理をした金額)
7-3-2 連結法人が、繰延資産となるべき費用を支出した場合において、その全部又は一部を償却費以外の科目をもって損金経理をしているときにおいても、その損金経理をした金額は、法第32条第1項《繰延資産の償却費の損金算入》に規定する「償却費として損金経理をした金額」に含まれるものとする。
(分割払の繰延資産)
7-3-3 連結法人が令第14条第1項第9号《公共的施設の負担金等の繰延資産》に掲げる繰延資産となるべき費用の額を分割して支払うこととしている場合には、たとえその総額が確定しているときであっても、その総額を未払金に計上して償却することはできないものとする。ただし、その分割して支払う期間が短期間(おおむね3年以内)である場合には、この限りでない。
(長期分割払の負担金の損金算入)
7-3-4 連結法人が公共的施設又は共同的施設の設置又は改良に係る負担金で繰延資産となるべきものを支出した場合において、当該負担金が次のいずれにも該当するものであるときは、その負担金として支出した金額は、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができるものとする。
(1) その負担金の額が、その負担金に係る繰延資産の償却期間に相当する期間以上の期間にわたり分割して徴収されるものであること。
(2) その分割して徴収される負担金の額がおおむね均等額であること。
(3) その負担金の徴収がおおむねその支出に係る施設の工事の着工後に開始されること。
(固定資産を利用するための繰延資産の償却の開始の時期)
7-3-5 連結法人が繰延資産となるべき費用を支出した場合において、当該費用が固定資産を利用するためのものであり、かつ、当該固定資産の建設等に着手されていないときは、その固定資産の建設等に着手した時から償却する。
(繰延資産の支出の対象となった資産が滅失した場合等の未償却残額の損金算入)
7-3-6 繰延資産とされた費用の支出の対象となった固定資産又は契約について滅失又は解約等があった場合には、その滅失又は解約等があった日の属する連結事業年度において当該繰延資産の未償却残額を損金の額に算入する。
(繰延資産の償却額の計算単位)
7-3-7 繰延資産の償却限度額は、費目の異なるごとに、かつ、その償却期間の異なるごとに計算する。
(注) 連結法人が継続して7-2-3の表の種類及び細目欄の区分ごとに、かつ、その償却期間の異なるごとに繰延資産を区分してその償却限度額を計算している場合には、これを認める。
(支出する費用の額が20万円未満であるかどうかの判定)
7-3-8 令第 134条《繰延資産となる費用のうち少額のものの損金算入》の規定を適用する場合において、支出する金額が20万円未満であるかどうかは、令第14条第1項第9号イ《公共的施設の負担金等の繰延資産》に掲げる費用については一の設置計画又は改良計画につき支出する金額(2回以上に分割して支出する場合には、その支出する時において見積られる支出金額の合計額)、同号ロ及びハに掲げる費用については契約ごとに支出する金額、同号ニに掲げる費用についてはその支出の対象となる資産の1個又は1組ごとに支出する金額により判定する。
第8章 その他の損金
第1節 資産の評価損
第1款 通則
(評価損の判定の単位)
8-1-1 連結法人がその有する資産について評価損を計上した場合において、その評価損の額の是否認の額を計算する単位は、次に掲げる資産についてはおおむね次の区分によるものとし、その他の資産についてはこれらに準ずる合理的な基準によるものとする。
(1) 土地(土地の上に存する権利を含む。) 一筆ごと
(2) 建物 一棟ごと
(3) 電話加入権(特殊な番号に係る電話加入権を除く。) 電話局の異なるものごと
(4) 棚卸資産 種類等の異なるものごと、かつ、令第68条第1号《棚卸資産の評価損の計上ができる事実》に掲げる事実の異なるものごと
(5) 有価証券 銘柄ごと
(評価損否認金等のある資産について評価損を計上した場合の処理)
8 -1-2 連結法人が評価損否認金又は償却超過額のある資産につき令第68条各号《資産の評価損の計上ができる場合》に掲げる事実が生じたため当該評価損否認金又は償却超過額の全部又は一部を申告調整により損金の額に算入した場合には、その損金の額に算入した金額は、評価損として損金経理をしたものとして取り扱う。
(時 価)
8 -1-3 法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定を適用する場合における「評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額」は、当該資産が使用収益されるものとしてその時において譲渡される場合に通常付される価額による。
第2款 棚卸資産の評価損
(棚卸資産の著しい陳腐化の例示)
8-1-4 令第68条第1号ロ《評価損の計上ができる著しい陳腐化》に規定する「当該資産が著しく陳腐化したこと」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいうのであるから、例えば商品について次のような事実が生じた場合がこれに該当する。
(1) いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること。
(2) 当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと。
(棚卸資産について評価損の計上ができる「準ずる特別の事実」の例示)
8-1-5 令第68条第1号ニ《棚卸資産の評価損の計上ができる事実》に規定する「イからハまでに準ずる特別の事実」とは、例えば次のような事実をいう。
(1) 破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになったこと。
(2) 民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったことにより、棚卸資産につき評価換えをする必要が生じたこと。
(棚卸資産について評価損の計上ができない場合)
8-1-6 棚卸資産の時価が単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情によって低下しただけでは、令第68条第1号《棚卸資産の評価損の計上ができる事実》に掲げる事実に該当しないことに留意する。
(補修用部品在庫調整勘定の設定)
8-1-7 連結法人が法令の規定、行政官庁の指導、業界の申合せ等に基づき製品の製造を中止した後一定期間保有することが必要と認められる当該製品に係る補修用の部品を相当数量一時に取得して保有する場合には、保有開始年度(その製品の製造を中止した連結事業年度の翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)をいう。以下8-1-7において同じ。)以後の各連結事業年度において、当該連結事業年度終了の時における補修用の部品の帳簿価額の合計額が次の算式により計算した金額を超えるときにおけるその超える部分の金額に相当する金額以下の金額を損金経理により補修用部品在庫調整勘定に繰り入れることができるものとする。
(算式)

保有期間の年数 経過年数 | 2年 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
1年 | 0.784 | 0.885 | 0.922 | 0.942 | 0.953 | 0.961 | 0.967 | 0.971 | 0.974 |
2 | 0.100 | 0.636 | 0.784 | 0.849 | 0.885 | 0.907 | 0.922 | 0.933 | 0.942 |
3 | 0.100 | 0.538 | 0.702 | 0.784 | 0.832 | 0.863 | 0.885 | 0.900 | |
4 | 0.100 | 0.469 | 0.636 | 0.727 | 0.784 | 0.822 | 0.849 | ||
5 | 0.100 | 0.419 | 0.582 | 0.678 | 0.741 | 0.784 | |||
6 | 0.100 | 0.380 | 0.538 | 0.636 | 0.702 | ||||
7 | 0.100 | 0.350 | 0.501 | 0.599 | |||||
8 | 0.100 | 0.326 | 0.469 | ||||||
9 | 0.100 | 0.306 | |||||||
10 | 0.100 | ||||||||
(備考) 1 この表の率は、次によって求めたものである。 ![]() 2 連結事業年度の期間が1年に満たない場合その他経過年数に1年未満の端数がある場合の求める率は、次の例による。 |
(注)
1 算式の「保有開始年度開始の時における補修用の部品の帳簿価額の合計額」は、保有開始年度以後の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において取得した当該製品に係る補修用の部品がある場合には、その取得価額の合計額を加算した金額とする。
2 算式及び表の「保有期間の年数」は、当該補修用の部品が、法令の規定又は行政官庁の指導に基づき保有されているものである場合には当該法令の規定又は行政官庁の指導により保有すべきこととされている年数とし、業界の申合せその他の事由に基づき保有されているものである場合には、当該連結法人のその保有すべき年数につき、あらかじめ当該連結法人に係る連結親法人が所轄税務署長(当該連結親法人が国税局の調査課所管法人である場合には、所轄国税局長)の確認を受けた年数とする。
3 算式及び表の「経過年数」は、保有開始年度開始の日以後当該連結事業年度終了の日までの期間に係る年数とし、1月未満の端数は1月とする。
(補修用部品在庫調整勘定の金額の益金算入)
8-1-8 補修用部品在庫調整勘定の金額は、その繰入れをした連結事業年度の翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額に算入する。
(補修用部品在庫調整勘定の明細書の添付)
8-1-9 補修用部品在庫調整勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う連結事業年度の連結確定申告書に補修用部品在庫調整勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付しなければならないものとする。
(適格分社型分割等に係る期中補修用部品在庫調整勘定の設定等)
8-1-10 連結法人が適格分社型分割等(適格分社型分割、適格現物出資又は適格事後設立をいう。以下この章において同じ。)により分割承継法人等(分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人をいう。以下この章において同じ。)に補修用部品在庫調整勘定の設定の対象となる補修用部品を移転する場合において、当該移転をする補修用部品について当該適格分社型分割等の直前の時を連結事業年度終了の時とした場合に8-1-7の定めにより繰り入れることができる金額につき補修用部品在庫調整勘定に相当するもの(以下8-1-12までにおいて「期中補修用部品在庫調整勘定」という。)へ繰り入れたときは、当該繰り入れた金額は当該適格分社型分割等の日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
なお、この取扱いは、当該連結法人に係る連結親法人が、当該適格分社型分割等の日以後2月以内に期中補修用部品在庫調整勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を所轄税務署長へ提出した場合に限り、適用するものとする。
(適格組織再編成に係る補修用部品在庫調整勘定等の引継ぎ)
8-1-11 連結法人が適格組織再編成(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立をいう。以下この章において同じ。)を行った場合には、次に掲げる適格組織再編成の区分に応じ、それぞれ次に定める補修用部品在庫調整勘定の金額又は期中補修用部品在庫調整勘定の金額は、当該適格組織再編成に係る合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人(以下この章において「合併法人等」という。)に引き継ぐものとする。
(1) 適格合併 8-1-7により当該適格合併の日の前日の属する連結事業年度において繰り入れをした補修用部品在庫調整勘定の金額
(2) 適格分割型分割 8-1-7により当該適格分割型分割の日の前日の属する連結事業年度において繰り入れをした補修用部品在庫調整勘定の金額のうち当該適格分割型分割に係る分割承継法人に移転する補修用部品在庫調整勘定の設定の対象となる補修用部品の当該連結事業年度終了の時における帳簿価額に対応する部分の金額
(3) 適格分社型分割等 8-1-10により当該適格分社型分割等の日の属する連結事業年度において繰り入れをした期中補修用部品在庫調整勘定の金額
(注) (2) により分割承継法人に引き継いだ金額は、8-1-8の適用がないのであるから留意する。
(適格組織再編成により引継ぎを受けた補修用部品在庫調整勘定等の益金算入)
8-1-12 8-1-11により合併法人等が引継ぎを受けた補修用部品在庫調整勘定の金額又は期中補修用部品在庫調整勘定の金額は、当該合併法人等の適格組織再編成の日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(単行本在庫調整勘定の設定)
8-1-13 出版業を営む連結法人が各連結事業年度終了の時において有する単行本のうちにその最終刷後6か月以上を経過したもの(取次業者又は販売業者に寄託しているものを除く。以下8-1-16までにおいて「売れ残り単行本」という。)がある場合には、次の算式により計算した金額に相当する金額以下の金額を当該連結事業年度において損金経理により単行本在庫調整勘定に繰り入れることができるものとする。
(算式)

売上比率 | 発 行 部 数 | |||
2,000部未満 | 2,000部以上5,000部未満 | 5,000部以上 | ||
以 上 | 未 満 | 繰 入 率 | ||
% | % | % | % | % |
20%以上 | 0 | 0 | 0 | |
15 | 20 | 50 | 0 | 0 |
10 | 15 | 60 | 50 | 0 |
8 | 10 | 70 | 60 | 50 |
7 | 8 | 80 | 60 | 60 |
5 | 7 | 80 | 70 | 60 |
4 | 5 | 90 | 70 | 70 |
2 | 4 | 90 | 80 | 70 |
1 | 2 | 100 | 90 | 80 |
0.5 | 1 | 100 | 100 | 90 |
0.5未満 | 100 | 100 | 100 | |
(備考) 1 「売上比率」とは、発行部数に対する当該連結事業年度終了の日以前6月間に販売された部数から当該期間において返品された部数を控除した部数の割合をいう。 2 「発行部数」とは、当該連結事業年度終了の日前6月以前における最終刷の部数をいう。 |
(注) 繰入率 100%を適用する場合には、算式により計算した金額は、当該金額から当該売れ残り単行本の当該連結事業年度終了の時における処分見込価額を控除した金額とする。
(単行本在庫調整勘定の金額の益金算入)
8-1-14 単行本在庫調整勘定の金額は、その繰入れをした連結事業年度の翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額に算入する。
(単行本在庫調整勘定の明細書の添付)
8-1-15 単行本在庫調整勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う連結事業年度の連結確定申告書に単行本在庫調整勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付しなければならないものとする。
(適格組織再編成に係る単行本在庫調整勘定の設定等)
8-1-16 8-1-10から8-1-12までの取扱いは、連結法人が適格分社型分割等により分割承継法人等に売れ残り単行本を移転する場合及び適格組織再編成により合併法人等に単行本在庫調整勘定を引き継ぐ場合についてそれぞれ準用する。
第3款 有価証券の評価損
(上場有価証券等の著しい価額の低下の判定)
8-1-17 令第68条第2号イ《上場有価証券等の評価損の計上ができる場合》に規定する「有価証券の価額が著しく低下したこと」とは、当該有価証券の当該連結事業年度終了の時における価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれないことをいうものとする。
(注)
1 同号イに規定する「第 119条の13第1号から第3号まで《売買目的有価証券の時価評価金額》に掲げる有価証券」は、法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券か否かは問わないことに留意する。
2 本文の回復可能性の判断は、過去の市場価格の推移、発行法人の業況等も踏まえ、当該連結事業年度終了の時に行うのであるから留意する。
(上場有価証券等の価額)
8-1-18 法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定の適用に当たり、令第68条第2号イ《上場有価証券等の評価損が計上できる場合》に掲げる有価証券(同号イのかっこ書に規定する株式又は出資を含む。以下この節において「上場有価証券等」という。)に係る同項に規定する資産の価額は、8-1-25の適用を受けるものを除き、令第 119条の13第1号から第3号まで《上場有価証券等の時価評価金額》及びこれらの規定に係る取扱いである2-3-26から2-3-30まで《上場有価証券等の時価評価金額の取扱い》により定められている価額(以下8-1-18において「市場価格」という。)による。この場合、法第61条の3第1項第2号《売買目的外有価証券の期末評価額》に規定する売買目的外有価証券(以下この節において「売買目的外有価証券」という。)については、当該連結事業年度終了の日以前1月間の当該市場価格の平均額によることも差し支えない。
(注) 1
本文の後段を適用する場合において、当該売買目的外有価証券が当該1月間に新株の権利落ちのあった株式であり、かつ、当該連結事業年度終了の日までに新株の発行がされたものであるときにおける権利落ち前の当該売買目的外有価証券の市場価格は、本文の前段に定める価額から当該株式の権利の価格に相当する金額を控除した金額とする。この場合、「当該株式の権利の価格に相当する金額」は、当該連結事業年度終了の日以前1月間(当該連結事業年度終了の日以前1月以前に権利落ちとなった場合には、その権利落ちとなった日から当該連結事業年度終了の日までの期間とする。)における旧株の毎日の市場価格の平均額から、当該新株について払い込むべき金額を控除した金額に旧株1株について引き受ける新株の数を乗じて得た金額による。
2 令第68条第2号イのかっこ書《企業支配株式等》に規定する株式又は出資である上場有価証券等は、同号ロに規定する事実が生じた場合に限り、法第33条第2項の規定の適用があることに留意する。
(上場有価証券等以外の有価証券の発行法人の資産状態の判定)
8-1-19 令第68条第2号ロ《上場有価証券等以外の有価証券の評価損の計上ができる場合》に規定する「有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化した」ことには、次に掲げる事実がこれに該当する。
(1) 当該有価証券を取得して相当の期間を経過した後に当該発行法人について次に掲げる事実が生じたこと。
イ 商法の規定による会社の整理開始の命令又は特別清算の開始の命令があったこと。
ロ 破産法の規定による破産の宣告があったこと。
ハ 民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったこと。
ニ 会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続開始の決定があったこと。
(2) 当該連結事業年度終了の日における当該有価証券の発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額が当該有価証券を取得した時の当該発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額に比しておおむね50%以上下回ることとなったこと。
(注) (2) の場合においては、次のことに留意する。
1 当該有価証券の取得が2回以上にわたって行われている場合又は当該発行法人が増減資等を行っている場合には、その取得又は増減資等があった都度、その増加又は減少した当該有価証券の数及びその取得又は増減資等の直前における1株又は1口当たりの純資産価額を加味して当該有価証券を取得した時の1株又は1口当たりの純資産価額を修正し、これに基づいてその比較を行う。
2 当該発行法人が債務超過の状態にあるため1株又は1口当たりの純資産価額が負(マイナス)であるときは、当該負の金額を基礎としてその比較を行う。
(外国有価証券の発行法人の資産状態の判定)
8-1-20 外国法人の発行する有価証券につき8-1-19の(2) により当該有価証券の発行法人の資産状態が著しく悪化したかどうかを判定する場合には、原則として、当該有価証券を取得した日における当該発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額(当該発行法人がその会計帳簿の作成に当たり使用する外国通貨表示の金額により計算した金額とする。以下8-1-20において同じ。)と当該連結事業年度終了の日における当該発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額(以下8-1-20においてこれらを「比較純資産額」という。)の金額に基づいてその比較を行う。
ただし、当該発行法人が物価の変動が著しいと認められる国に本店又は主たる事務所を有するものであるときは、当該有価証券を取得した時と当該連結事業年度終了の日との間における当該国及び我が国の物価変動率を合理的に勘案したところによりその比較を行うことができるものとする。この場合において、当該物価変動率を勘案した比較が困難であるときは、課税上弊害がない限り、比較純資産額を当該有価証券を取得した日及び当該連結事業年度終了の日における17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》に定める電信売買相場の仲値により円換算した金額に基づいてその比較を行って差し支えない。
(注) 本文の「純資産価額」は、当該発行法人が資産再評価を行っている場合であっても、その再評価価額が通常の市場価額を表わしていると認められない限り、当該再評価価額にはよらないことに留意する。
(上場有価証券等以外の有価証券に係る著しい価額の低下の判定)
8-1-21 8-1-17は、令第68条第2号ロ《上場有価証券等以外の有価証券の評価損の計上ができる場合》に掲げる有価証券の価額が著しく低下したことの判定について準用する。 (注) 連結法人の有する有価証券が当該連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人の株式(出資を含む。)である場合には、令第9条の2第1項第2号《連結子法人株式の帳簿価額の修正事由》に掲げる事由が生じたものとして同条第2項の規定により当該有価証券の帳簿価額の修正額の計算を行ったものとしたときに算出される金額をもって8-1-17に定める「その時の帳簿価額」とする。
(増資払込み後における株式の評価損)
8-1-22 株式(出資を含む。以下8-1-22において同じ。)を有している連結法人が当該株式の発行法人の増資に係る新株を引き受けて払込みをした場合には、仮に当該発行法人が増資の直前において債務超過の状態にあり、かつ、その増資後においてなお債務超過の状態が解消していないとしても、その増資後における当該発行法人の株式については令第68条第2号ロ《上場有価証券等以外の有価証券の評価損の計上ができる場合》に掲げる事実はないものとする。ただし、その増資から相当の期間を経過した後において改めて当該事実が生じたと認められる場合には、この限りでない。
(上場有価証券等以外の株式の価額)
8-1-23 上場有価証券等以外の株式につき法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定を適用する場合の当該株式の価額は、次の区分に応じ、それぞれ次による。 (1) 売買実例のあるもの 当該連結事業年度終了の日前6月間において売買の行われたもののうち適正と認められるものの価額
(2) 公開途上にある株式(証券取引所が内閣総理大臣に対して株式の上場の届出を行うことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式及び日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式)で、当該株式の上場又は登録に際して株式の公募又は売出し(以下8-1-23において「公募等」という。)が行われるもの((1) に該当するものを除く。) 証券取引所又は日本証券業協会の内規によって行われる入札により決定される入札後の公募等の価格等を参酌して通常取引されると認められる価額
(3) 売買実例のないものでその株式を発行する法人と事業の種類、規模、収益の状況等が類似する他の法人の株式の価額があるもの((2) に該当するものを除く。) 当該価額に比準して推定した価額
(4) (1) から(3) までに該当しないもの 当該連結事業年度終了の日又は同日に最も近い日におけるその株式の発行法人の事業年度終了の時における1株当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額
(上場有価証券等以外の株式の価額の特例)
8-1-24 連結法人が、上場有価証券等以外の株式(8-1-23の(1) 及び(2) に該当するものを除く。)について法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定を適用する場合において、連結事業年度終了の時における当該株式の価額につき昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17「財産評価基本通達」(以下8-1-24において「財産評価基本通達」という。)の 178から 189-7まで《取引相場のない株式の評価》の例によって算定した価額によっているときは、課税上弊害がない限り、次によることを条件としてこれを認める。
(1) 当該株式の価額につき財産評価基本通達179の例により算定する場合(同通達189-3の(1) において同通達179に準じて算定する場合を含む。)において、当該連結法人が当該株式の発行会社にとって同通達188の(2) に定める「中心的な同族株主」に該当するときは、当該発行会社は常に同通達178に定める「小会社」に該当するものとしてその例によること。
(2) 当該株式の発行会社が土地(土地の上に存する権利を含む。)又は証券取引所に上場されている有価証券を有しているときは、財産評価基本通達 185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、これらの資産については当該連結事業年度終了の時における価額によること。
(3) 財産評価基本通達 185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、同通達 186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。
(企業支配株式等の時価)
8-1-25 連結法人の有する企業支配株式等(令第 119条の2第2項第2号《企業支配株式等の意義》に規定する株式又は出資をいう。以下8-1-25において同じ。)の取得がその企業支配株式等の発行法人の企業支配をするためにされたものと認められるときは、当該企業支配株式等の価額は、当該株式等の通常の価額に企業支配に係る対価の額を加算した金額とする。
第4款 固定資産の評価損
(固定資産について評価損の計上ができる「準ずる特別の事実」の例示)
8-1-26 令第68条第3号ヘ《固定資産の評価損の計上ができる事実》に規定する「イからホまでに準ずる特別の事実」とは、例えば、次のような事実をいう。
(1) 連結法人の有する固定資産がやむを得ない事情によりその取得の時から1年以上事業の用に供されないため、当該固定資産の価額が低下したと認められること。
(2) 民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったことにより、固定資産につき評価換えをする必要が生じたこと。
(固定資産について評価損の計上ができない場合の例示)
8-1-27 固定資産の評価損が損金の額に算入されるのは、当該固定資産について令第68条第3号《固定資産の評価損の計上ができる事実》に掲げる事実がある場合に限られるのであるから、当該固定資産の価額の低下が次のような事実に基づく場合には、法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定の適用がないことに留意する。
(1) 過度の使用又は修理の不十分等により当該固定資産が著しく損耗していること。
(2) 当該固定資産について償却を行わなかったため償却不足額が生じていること。
(3) 当該固定資産の取得価額がその取得の時における事情等により同種の資産の価額に比して高いこと。
(4) 機械及び装置が製造方法の急速な進歩等により旧式化していること。
(土地の賃貸をした場合の評価損)
8-1-28 連結法人がその有する土地の賃貸に際して賃借人から権利金その他の一時金(賃借人に返還する旨の特約のあるものを除く。)を収受するとともに長期間にわたって当該土地を使用させることとしたため、当該賃貸後の価額がその帳簿価額に満たないこととなった場合には、令第 138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用がないときであっても、その満たない部分に相当する金額をその賃貸をした日の属する連結事業年度においてその帳簿価額から減額することができる。
(減価償却資産の時価)
8-1-29 連結法人が、令第13条第1号から第7号まで《有形減価償却資産》に掲げる減価償却資産について法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定を適用する場合において、連結事業年度終了の時における当該資産の価額につき当該資産の再取得価額を基礎としてその取得の時から当該連結事業年度終了の時まで定率法により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額によっているときは、これを認める。
第2節 報酬、給料、賞与及び退職給与等
第1款 役員等の範囲
(役員の範囲)
8-2-1 令第7条第1号《役員の範囲》に規定する「使用人以外の者でその法人の経営に従事しているもの」には、相談役、顧問その他これらに類する者でその法人内における地位、その行う職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものが含まれることに留意する。
(専務取締役等の意義)
8-2-2 令第71条第1項第1号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる専務取締役、専務理事、常務取締役及び常務理事(以下8-2-2において「専務取締役等」という。)とは、定款等の規定又は総会若しくは取締役会の決議等により専務取締役等としての職制上の地位が付与された役員をいう。
(使用人としての職制上の地位)
8-2-3 法第35条第5項《使用人兼務役員》に規定する「その他法人の使用人としての職制上の地位」とは、支店長、工場長、営業所長、支配人、主任等法人の機構上定められている使用人たる職務上の地位をいう。したがって、取締役等で総務担当、経理担当というように使用人としての職制上の地位でなく、連結法人の特定の部門の職務を統括しているものは、使用人兼務役員には該当しない。
(連結法人の機構上職制を定めていない場合の特例)
8-2-4 事業内容が単純で使用人が少数である等の事情により、連結法人がその使用人について特に機構としてその職務上の地位を定めていない場合には、当該連結法人の役員(法第35条第5項かっこ書《使用人兼務役員とされない役員》に定める役員を除く。)で、常時従事している職務が他の使用人の職務の内容と同質であると認められるものについては、8-2-3にかかわらず、使用人兼務役員として取り扱うことができるものとする。
(使用人兼務役員とされない同族会社の役員)
8-2-5 令第71条第1項第4号《使用人兼務役員とされない同族会社の役員》に規定する同族会社の役員には、自らは当該会社の株式又は出資を有しないが、その役員と法第2条第10号《同族会社の定義》に規定する特殊の関係のある個人又は法人が当該会社の株式又は出資を有している場合における当該役員が含まれることに留意する。 (注) 令第71条第1項第4号に規定する株主グループの持株割合の計算については、1-5-5《連結同族会社の判定の基礎となる株主等》に準ずる。
(同順位の株主グループ)
8-2-6 令第71条第1項第4号《使用人兼務役員とされない同族会社の役員》の規定を適用する場合において、第1順位の株主グループと同順位の株主グループがあるときは当該同順位の株主グループを含めたものが第1順位の株主グループに該当し、これに続く株主グループが第2順位の株主グループに該当することに留意する。 (注) 例えば、A株主グループ及びB株主グループの持株割合がそれぞれ20%、C株主グループ及びD株主グループの持株割合がそれぞれ15%の場合には、A株主グループ及びB株主グループが第1順位の株主グループに該当しその持株割合は40%となり、C株主グループ及びD株主グループが第2順位の株主グループに該当しその持株割合は30%となる。
(議決権のない株式がある場合の使用人兼務役員の判定)
8-2-7 令第71条第2項《持株割合等の意義》に規定する「株式」及び「発行済株式」には、議決権のない株式が含まれる。
第2款 役員に対する報酬
(役員に対して支給した報酬の額の範囲)
8-2-8 令第69条第1号《過大な役員報酬の額》に規定する「その役員に対して支給した報酬の額」には、いわゆる役員報酬のほか、当該役員が使用人兼務役員である場合に当該役員に対して支給するいわゆる使用人分の給料、手当等を含むことに留意する。
(使用人としての職務に対するものを含めないで役員報酬の支給限度額を定めている連結法人)
8-2-9 令第69条第2号《支給限度額を超える役員報酬の額》に規定する「使用人としての職務に対するものを含めないで当該限度額を定めている法人」とは、定款又は株主総会、社員総会若しくはこれらに準ずるものにおいて役員報酬の支給限度額に使用人兼務役員の使用人分の報酬を含めない旨を定め又は決議している法人をいう。
(使用人分の報酬の適正額)
8-2-10 使用人兼務役員に対する使用人分の報酬を令第69条第2号《支給限度額を超える役員報酬の額》に定める役員報酬の支給限度額に含めていない連結法人が、使用人兼務役員に対して使用人分の報酬を支給した場合には、その使用人分の報酬の額のうち当該使用人兼務役員が現に従事している使用人の職務とおおむね類似する職務に従事する使用人に対して支給した給料の額(その給料の額が特別の事情により他の使用人に比して著しく多額なものである場合には、その特別の事情がないものと仮定したときにおいて通常支給される額)に相当する金額は、原則として、これを使用人分の報酬として相当な金額とする。この場合において、当該使用人兼務役員が現に従事している使用人の職務の内容等からみて比準すべき使用人として適当とする者がいないときは、当該使用人兼務役員が役員となる直前に受けていた給料の額、その後のベースアップ等の状況、使用人のうち最上位にある者に対して支給した給料の額等を参酌して適正に見積った金額によることができる。
(使用人兼務役員に対する経済的な利益)
8-2-11 連結法人が使用人兼務役員に対して供与した経済的な利益(住宅等の貸与をした場合の経済的な利益を除く。)が他の使用人に対して供与されている程度のものである場合には、その経済的な利益は使用人としての職務に係るものとする。
(海外在勤役員に対する滞在手当等)
8-2-12 連結法人が海外にある支店、出張所等に勤務する役員に対して支給する滞在手当等の金額を令第69条第2号《支給限度額を超える役員報酬の額》に定める役員報酬の支給限度額に含めていない場合には、同条の規定の適用については、当該滞在手当等の金額のうち相当と認められる金額は、これを当該役員に対する報酬の額に含めないものとする。
(役員報酬の支給限度額の増額に伴う一括支給額)
8-2-13 既往にそ及して役員報酬の支給限度額を増額改訂することについて株主総会等における決議が行われた場合において、その決議が定時に開催される株主総会、社員総会その他これらに準ずるものにおいて行われ、かつ、その増額改訂がその決議の日の属する事業年度(連結法人が各事業年度の所得の金額を計算するものとした場合の事業年度をいう。)開始の日以後に行われることになっているときは、その決議に基づきそ及して適用される期間に係る報酬の増額分として一括して支給される金額は、役員報酬として取り扱う。
第3款 経済的な利益の供与
(債務の免除による利益その他の経済的な利益)
8-2-14 法第34条第3項《役員報酬》、法第35条第4項《賞与》及び法第36条の2《過大な使用人給与の損金不算入》に規定する「債務の免除による利益その他の経済的な利益」とは、次に掲げるもののように、連結法人がこれらの行為をしたことにより実質的にその役員等(役員及び同条に規定する特殊関係使用人をいう。以下8-2-15までにおいて同じ。)に対して給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすもの(明らかに株主等の地位に基づいて取得したと認められるもの及び病気見舞、災害見舞等のような純然たる贈与と認められるものを除く。)をいう。
(1) 役員等に対して物品その他の資産を贈与した場合におけるその資産の価額に相当する金額
(2) 役員等に対して所有資産を低い価額で譲渡した場合におけるその資産の価額と譲渡価額との差額に相当する金額
(3) 役員等から高い価額で資産を買い入れた場合におけるその資産の価額と買入価額との差額に相当する金額
(4) 役員等に対して有する債権を放棄し又は免除した場合(貸倒れに該当する場合を除く。)におけるその放棄し又は免除した債権の額に相当する金額
(5) 役員等から債務を無償で引き受けた場合におけるその引き受けた債務の額に相当する金額
(6) 役員等に対してその居住の用に供する土地又は家屋を無償又は低い価額で提供した場合における通常取得すべき賃貸料の額と実際徴収した賃貸料の額との差額に相当する金額
(7) 役員等に対して金銭を無償又は通常の利率よりも低い利率で貸付けをした場合における通常取得すべき利率により計算した利息の額と実際徴収した利息の額との差額に相当する金額
(8) 役員等に対して無償又は低い対価で(6) 及び(7) に掲げるもの以外の用役の提供をした場合における通常その用役の対価として収入すべき金額と実際に収入した対価の額との差額に相当する金額
(9) 役員等に対して機密費、接待費、交際費、旅費等の名義で支給したもののうち、その連結法人の業務のために使用したことが明らかでないもの
(10) 役員等のために個人的費用を負担した場合におけるその費用の額に相当する金額
(11) 役員等が社交団体等の会員となるため又は会員となっているために要する当該社交団体の入会金、経常会費その他当該社交団体の運営のために要する費用で当該役員等の負担すべきものを連結法人が負担した場合におけるその負担した費用の額に相当する金額
(12) 連結法人が役員等を被保険者及び保険金受取人とする生命保険契約を締結してその保険料の額の全部又は一部を負担した場合におけるその負担した保険料の額に相当する金額
(給与としない経済的な利益)
8-2-15 連結法人が役員等に対し8-2-14に掲げる経済的な利益の供与をした場合において、それが所得税法上経済的な利益として課税されないものであり、かつ、当該連結法人がその役員等に対する給与として経理しなかったものであるときは、給与として取り扱わないものとする。
第4款 賞与
(使用人に対する賞与の支給時期に支給する場合の意義)
8-2-16 法第35条第2項《使用人分賞与の損金算入》に規定する「使用人に対する賞与の支給時期に支給する場合」とは、連結法人が使用人兼務役員に対してその使用人としての職務に対する賞与を当該連結法人の使用人に対する賞与の支給時期に同時に支給する場合をいうのであるから、当該賞与を使用人に対する賞与の支給時期に支給しないで未払金として経理し、利益処分による役員賞与の支給時期に支給したような場合は、これに該当しないことに留意する。
(定期の給与)
8-2-17 法第35条第4項《賞与》に規定する「定期の給与」とは、あらかじめ定められた支給基準(慣習によるものを含む。)に基づいて、毎日、毎週、毎月のように月以下の期間を単位として規則的に反覆又は継続して支給される給与をいう。ただし、これらの給与であっても、通常行われる給与の増額以外において特定の月だけ増額支給された場合における当該給与については、当該特定の月において支給された額のうち各月において支給される額を超える部分の金額は臨時的な給与とする。
(注) 1 例えば毎月支給される役員報酬の額が前月の売上高に応じて増減するように定められているような場合には、その役員報酬として支給する給与の額のうち売上高のいかんにかかわりなく支給されることとされている金額を超える部分の金額は、定期の給与に該当しない。
2 例えば役員に対して支給する報酬の額を年額又は半年額等として定め、その範囲内で、各月ごとにおおむね定額の報酬を支給するほか、特定の月だけ増額して支給した場合には、たとえその年額等として定められた金額が当該役員に対する報酬の額として相当な金額の範囲内のものであるとしても、その特定の月において支給された額のうち各月において支給される額を超える部分の金額は、定期の給与に該当しない。
(年俸等として毎年所定の時期に支給される給与)
8-2-18 法第35条第4項《賞与》に規定する「他に定期の給与を受けていない者に対し継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づいて支給されるもの」とは、例えば、非常勤役員に対し年俸又は事業年度(連結法人が各事業年度の所得の金額を計算するものとした場合の事業年度をいう。)の期間俸を年1回又は年2回所定の時期に支給するようなものをいうのであるから、定期の給与の他に盆、暮に支給される給与は、たとえその支給時期及び金額が一定していても同項に規定する臨時的な給与に該当することに留意する。
(役員の歩合給若しくは能率給又は超過勤務手当)
8-2-19 連結法人がその役員に対して月俸、年俸等の固定給のほかに歩合給若しくは能率給又は超過勤務手当(使用人兼務役員に対する超過勤務手当に限る。)を支給している場合において、これらの支給が使用人に対する支給基準と同一の基準によっているときは、これらの給与は法第35条第4項《賞与》に定める臨時的な給与としないで定期の給与とする。
(経済的な利益についての報酬と賞与との区分)
8-2-20 連結法人がその役員に対して支給した給与が報酬となるか賞与となるかは、当該給与が定期の給与に該当するかどうかにより判定するのであるから、経済的な利益のうち次に掲げるものは報酬となることに留意する。
(1) 8-2-14の(1) 、(2) 又は(8) に掲げる金額でその額が毎月おおむね一定しているもの
(2) 8-2-14の(6) 又は(7) に掲げる金額
(3) 8-2-14の(9) に掲げる金額で毎月定額により支給される渡切交際費に係るもの
(4) 8-2-14の(10)に掲げる金額で毎月負担する住宅の光熱費、家事使用人給料等
(5) 8-2-14の(11)及び(12)に掲げる金額で経常的に負担するもの
(使用人兼務役員に対する使用人賞与の適正額)
8-2-21 連結法人が使用人兼務役員に対して支給した使用人分の賞与の適正額の判定については、8-2-10を準用する。
(使用人が役員となった直後に支給される賞与等)
8-2-22 使用人であった者が役員となった場合又は使用人兼務役員であった者が令第71条第1項各号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる役員となった場合において、その直後にその者に対して支給した賞与の額のうちその使用人又は使用人兼務役員であった期間に係る賞与の額として相当であると認められる部分の金額は、使用人又は使用人兼務役員に対して支給した賞与の額として認める。
第5款 退職給与
(役員に対する退職金の損金算入の時期)
8-2-23 退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する連結事業年度とする。ただし、連結法人がその退職給与の額を支給した日の属する連結事業年度においてその支給した額につき損金経理をした場合には、これを認める。
(退職年金の損金算入の時期)
8-2-24 連結法人が退職した役員又は使用人に対して支給する退職年金は、当該年金を支給すべき時の損金の額に算入すべきものであるから、当該退職した役員又は使用人に係る年金の総額を計算して未払金等に計上した場合においても、退職の際に退職給与引当金勘定の金額を取り崩しているといないとにかかわらず、当該未払金等に相当する金額を損金の額に算入することはできないことに留意する。
(注)
連結法人が、退職した役員に対して支給する退職年金の総額を未払金等に計上した場合において、退職年金を支給する都度その未払金等の全部又は一部を取り崩してその支給した退職年金の額に充てる経理をするとともに連結確定申告書において損金の額に算入したときは、その退職年金の額については損金経理をしたものとして取り扱う。
(具体的に確定する前に未払計上をした役員退職給与)
8-2-25 連結法人が退職した役員に対して支給する退職給与の額につきその額が具体的に確定する日の属する連結事業年度前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において取締役会等で内定した金額を損金経理により未払金に計上した場合には、その未払金に計上した金額は損金の額に算入されないのであるが、その後その退職給与の額が確定した日の属する連結事業年度又はその額を支給した日の属する連結事業年度においてその確定し、又は支給した額につき連結確定申告書において損金の額に算入したときは、その退職給与の額については損金経理をしたものとして取り扱う。
(仮払経理した役員退職給与の損金不算入)
8-2-26 連結法人が、退職した役員に対する退職給与をその額が具体的に確定した日の属する連結事業年度以後の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)において支給した場合において、その支給した額につきその支給をした日の属する連結事業年度において仮払金等として経理したときは、その後の連結事業年度において当該仮払金等を損金経理により消却したときであっても、その消却した金額は損金の額に算入されないことに留意する。
(使用人兼務役員に支給した退職給与)
8-2-27 連結法人が退職した使用人兼務役員に対して支給すべき退職給与を役員分と使用人分とに区分して支給した場合においても、法第36条《過大な役員退職給与の損金不算入》の規定の適用については、その合計額によりその支給額が不相当に高額であるかどうかを判定する。
(厚生年金基金からの給付等がある場合)
8-2-28 退職した役員が、その退職した連結法人から退職給与の支給を受けるほか、既往における使用人兼務役員としての勤務に応ずる厚生年金基金からの給付、確定給付企業年金法第3条第1項《確定給付企業年金の実施》に規定する確定給付企業年金に係る規約(以下この章において「確定給付企業年金規約」という。)に基づく給付、確定拠出年金法第4条第3項《承認の基準等》に規定する企業型年金規約(以下この章において「確定拠出企業型年金規約」という。)に基づく給付又は適格退職年金契約に基づく給付を受ける場合には、当該給付を受ける金額(厚生年金基金からの給付額については、厚生年金保険法第 132条第2項《年金給付の基準》に掲げる額を超える部分の金額に限る。)をも勘案してその退職給与の額が不相当に高額であるかどうかの判定を行うものとする。
(役員の分掌変更等の場合の退職給与)
8-2-29 連結法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与については、その支給が、例えば、次に掲げるような事実があったことによるものであるなど、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができる。
(1) 常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその連結法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと。
(2) 取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその連結法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその連結法人の株主等で令第71条第1項第4号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件のすべてを満たしている者を除く。)になったこと。
(3) 分掌変更等の後における報酬が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。
(被合併法人の役員に対する退職給与の損金算入)
8-2-30 合併に際し退職した当該合併に係る被合併法人の役員に支給する退職給与の額が合併承認総会において確定されない場合において、被合併法人が退職給与として支給すべき金額を合理的に計算し、合併の日の前日の属する連結事業年度において未払金として損金経理したときは、これを認める。
(合併法人の役員となった被合併法人の役員等に対する退職給与)
8-2-31 8-2-30は、被合併法人の役員であると同時に合併法人の役員を兼ねている者又は被合併法人の役員から合併法人の役員となった者に対し、合併により支給する退職給与について準用する。
(退職給与の打切支給)
8-2-32 連結法人が、中小企業退職金共済制度又は適格退職年金制度への移行、定年の延長等に伴い退職給与規程を制定又は改正し、使用人(定年延長の場合にあっては、旧定年に到達した使用人をいう。)に対して退職給与を打切支給した場合において、その支給をしたことにつき相当の理由があり、かつ、その後は既往の在職年数を加味しないこととしているときは、その支給した退職給与の額は、その支給した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(注) この場合の打切支給には、連結法人が退職給与を打切支給したこととしてこれを未払金等に計上した場合は含まれない。
(使用人が役員となった場合の退職給与)
8-2-33 連結法人の使用人がその連結法人の役員となった場合において、当該連結法人がその定める退職給与規程に基づき当該役員に対してその役員となった時に使用人であった期間に係る退職給与として計算される金額を支給したときは、その支給した金額は、退職給与としてその支給をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(注) 1
8-2-32の (注) は、この取扱いを適用する場合について準用する。
2
使用人兼務役員が令第71条第1項各号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる役員となった場合にその使用人兼務役員であった期間に係る退職給与として支給した金額があるときは、たとえその額がその使用人としての職務に対する退職給与の額として計算されているときであっても、その支給した金額は、当該役員に対する賞与とする。
(使用人から役員となった者に対する退職給与の特例)
8-2-34 連結法人が、新たに退職給与規程を制定し又は従来の退職給与規程を改正して使用人から役員となった者に対して退職給与を支給することとした場合において、その制定等の時にすでに使用人から役員になっている者の全員に対してそれぞれの使用人であった期間に係る退職給与として計算される金額をその制定等の時に支給し、これを損金の額に算入したときは、その支給が次のいずれにも該当するものについては、これを認める。
(1) 既往において、これらの者に対し使用人であった期間に係る退職給与の支給(8-2-32に該当するものを除く。)をしたことがないこと。
(2) 支給した退職給与の額が、その役員が役員となった直前に受けていた給与の額を基礎とし、その後のベースアップの状況等を参酌して計算されるその退職給与の額として相当な額であること。
(個人事業当時の在職期間に対応する退職給与の損金算入)
8-2-35 連結法人が個人事業を引き継いで設立された法人であり、その個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職により退職給与を支給した場合において、その退職が設立後相当期間経過後に行われたものであるときは、その支給した退職給与の額を損金の額に算入する。
第5款 退職給与
(役員に対する退職金の損金算入の時期)
8-2-23 退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する連結事業年度とする。ただし、連結法人がその退職給与の額を支給した日の属する連結事業年度においてその支給した額につき損金経理をした場合には、これを認める。
(退職年金の損金算入の時期)
8-2-24 連結法人が退職した役員又は使用人に対して支給する退職年金は、当該年金を支給すべき時の損金の額に算入すべきものであるから、当該退職した役員又は使用人に係る年金の総額を計算して未払金等に計上した場合においても、退職の際に退職給与引当金勘定の金額を取り崩しているといないとにかかわらず、当該未払金等に相当する金額を損金の額に算入することはできないことに留意する。
(注) 連結法人が、退職した役員に対して支給する退職年金の総額を未払金等に計上した場合において、退職年金を支給する都度その未払金等の全部又は一部を取り崩してその支給した退職年金の額に充てる経理をするとともに連結確定申告書において損金の額に算入したときは、その退職年金の額については損金経理をしたものとして取り扱う。
(具体的に確定する前に未払計上をした役員退職給与)
8-2-25 連結法人が退職した役員に対して支給する退職給与の額につきその額が具体的に確定する日の属する連結事業年度前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において取締役会等で内定した金額を損金経理により未払金に計上した場合には、その未払金に計上した金額は損金の額に算入されないのであるが、その後その退職給与の額が確定した日の属する連結事業年度又はその額を支給した日の属する連結事業年度においてその確定し、又は支給した額につき連結確定申告書において損金の額に算入したときは、その退職給与の額については損金経理をしたものとして取り扱う。
(仮払経理した役員退職給与の損金不算入)
8-2-26 連結法人が、退職した役員に対する退職給与をその額が具体的に確定した日の属する連結事業年度以後の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)において支給した場合において、その支給した額につきその支給をした日の属する連結事業年度において仮払金等として経理したときは、その後の連結事業年度において当該仮払金等を損金経理により消却したときであっても、その消却した金額は損金の額に算入されないことに留意する。
(使用人兼務役員に支給した退職給与)
8-2-27 連結法人が退職した使用人兼務役員に対して支給すべき退職給与を役員分と使用人分とに区分して支給した場合においても、法第36条《過大な役員退職給与の損金不算入》の規定の適用については、その合計額によりその支給額が不相当に高額であるかどうかを判定する。
(厚生年金基金からの給付等がある場合)
8-2-28 退職した役員が、その退職した連結法人から退職給与の支給を受けるほか、既往における使用人兼務役員としての勤務に応ずる厚生年金基金からの給付、確定給付企業年金法第3条第1項《確定給付企業年金の実施》に規定する確定給付企業年金に係る規約(以下この章において「確定給付企業年金規約」という。)に基づく給付、確定拠出年金法第4条第3項《承認の基準等》に規定する企業型年金規約(以下この章において「確定拠出企業型年金規約」という。)に基づく給付又は適格退職年金契約に基づく給付を受ける場合には、当該給付を受ける金額(厚生年金基金からの給付額については、厚生年金保険法第 132条第2項《年金給付の基準》に掲げる額を超える部分の金額に限る。)をも勘案してその退職給与の額が不相当に高額であるかどうかの判定を行うものとする。
(役員の分掌変更等の場合の退職給与)
8-2-29 連結法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与については、その支給が、例えば、次に掲げるような事実があったことによるものであるなど、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができる。
(1) 常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその連結法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと。
(2) 取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその連結法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその連結法人の株主等で令第71条第1項第4号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件のすべてを満たしている者を除く。)になったこと。
(3) 分掌変更等の後における報酬が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。
(被合併法人の役員に対する退職給与の損金算入)
8-2-30 合併に際し退職した当該合併に係る被合併法人の役員に支給する退職給与の額が合併承認総会において確定されない場合において、被合併法人が退職給与として支給すべき金額を合理的に計算し、合併の日の前日の属する連結事業年度において未払金として損金経理したときは、これを認める。
(合併法人の役員となった被合併法人の役員等に対する退職給与)
8-2-31 8-2-30は、被合併法人の役員であると同時に合併法人の役員を兼ねている者又は被合併法人の役員から合併法人の役員となった者に対し、合併により支給する退職給与について準用する。
(退職給与の打切支給)
8-2-32 連結法人が、中小企業退職金共済制度又は適格退職年金制度への移行、定年の延長等に伴い退職給与規程を制定又は改正し、使用人(定年延長の場合にあっては、旧定年に到達した使用人をいう。)に対して退職給与を打切支給した場合において、その支給をしたことにつき相当の理由があり、かつ、その後は既往の在職年数を加味しないこととしているときは、その支給した退職給与の額は、その支給した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(注) この場合の打切支給には、連結法人が退職給与を打切支給したこととしてこれを未払金等に計上した場合は含まれない。
(使用人が役員となった場合の退職給与)
8-2-33 連結法人の使用人がその連結法人の役員となった場合において、当該連結法人がその定める退職給与規程に基づき当該役員に対してその役員となった時に使用人であった期間に係る退職給与として計算される金額を支給したときは、その支給した金額は、退職給与としてその支給をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(注) 1
8-2-32の (注) は、この取扱いを適用する場合について準用する。
2 使用人兼務役員が令第71条第1項各号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる役員となった場合にその使用人兼務役員であった期間に係る退職給与として支給した金額があるときは、たとえその額がその使用人としての職務に対する退職給与の額として計算されているときであっても、その支給した金額は、当該役員に対する賞与とする。
(使用人から役員となった者に対する退職給与の特例)
8-2-34 連結法人が、新たに退職給与規程を制定し又は従来の退職給与規程を改正して使用人から役員となった者に対して退職給与を支給することとした場合において、その制定等の時にすでに使用人から役員になっている者の全員に対してそれぞれの使用人であった期間に係る退職給与として計算される金額をその制定等の時に支給し、これを損金の額に算入したときは、その支給が次のいずれにも該当するものについては、これを認める。
(1) 既往において、これらの者に対し使用人であった期間に係る退職給与の支給(8-2-32に該当するものを除く。)をしたことがないこと。
(2) 支給した退職給与の額が、その役員が役員となった直前に受けていた給与の額を基礎とし、その後のベースアップの状況等を参酌して計算されるその退職給与の額として相当な額であること。
(個人事業当時の在職期間に対応する退職給与の損金算入)
8-2-35 連結法人が個人事業を引き継いで設立された法人であり、その個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職により退職給与を支給した場合において、その退職が設立後相当期間経過後に行われたものであるときは、その支給した退職給与の額を損金の額に算入する。
第6款 使用人給与
(生計の支援を受けているもの)
8-2-36 令第72条の2第3号《特殊関係使用人の範囲》に規定する「役員から生計の支援を受けているもの」とは、当該役員から給付を受ける金銭その他の財産又は給付を受けた金銭その他の財産の運用によって生ずる収入を生活費に充てている者をいう。
(生計を一にすること)
8-2-37 連結法人が令第72条の2第4号《特殊関係使用人の範囲》により特殊関係使用人の判定を行う場合については、1-5-4《生計を一にすること》を準用する。
(厚生年金基金からの給付等がある場合の不相当に高額な部分の判定)
8-2-38 連結法人が法第36条の3《過大な使用人退職給与の損金不算入》の規定により特殊関係使用人に対して支給する退職給与の額のうち不相当に高額な部分の金額を判定する場合において、退職した特殊関係使用人が、その退職した連結法人から退職給与の支給を受けるほか、厚生年金基金からの給付、確定給付企業年金規約に基づく給付、確定拠出企業型年金規約に基づく給付若しくは適格退職年金契約に基づく給付又は勤労者退職金共済機構若しくは所得税法施行令第74条第5項《特定退職金共済団体》に規定する特定退職金共済団体が行う退職金共済契約に基づく給付等を受ける場合には、当該給付を受ける金額(厚生年金基金からの給付額については、厚生年金保険法第132条第2項《年金給付の基準》に掲げる額を超える部分の金額に限る。)をも勘案して法第36条の3に規定する不相当に高額な部分の金額であるかどうかの判定を行うものとする。
(支給額の通知)
8-2-39 連結法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、令第 134条の2第2号イ《使用人賞与の損金算入時期》の支給額の通知には該当しないことに留意する。
(同時期に支給を受けるすべての使用人)
8-2-40 連結法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマー又は臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除く。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに令第 134条の2第2号イ《使用人賞与の損金算入時期》の支給額の通知を行ったかどうかを判定することができるものとする。
第7款 転籍、出向者に対する給与等
(出向先法人が支出する給与負担金)
8-2-41 法人の使用人が他の法人に出向した場合において、その出向した使用人(以下「出向者」という。)に対する給与を出向元法人(出向者を出向させている法人をいう。以下同じ。)が支給することとしているため、出向先法人(出向元法人から出向者の出向を受けている法人をいう。以下同じ。)が自己の負担すべき給与に相当する金額(以下8-2-42までにおいて「給与負担金」という。)を出向元法人に支出したときは、当該給与負担金の額は、出向先法人におけるその出向者(出向先法人において役員に就任している場合には、その役員)に対する給与として取り扱うものとする。
(注) この取扱いは、出向先法人が実質的に給与負担金の性質を有する金額を経営指導料等の名義で支出する場合にも適用がある。
(出向先法人が支出する給与負担金に係る報酬と賞与の区分)
8-2-42 出向者が出向先法人において役員となっている場合において、出向先法人が支出した当該役員に係る給与負担金の額が報酬と賞与のいずれに該当するかは、次の場合に応じ、それぞれ次による。
(1) 当該給与負担金の額が出向元法人が当該出向者に給与を支給する都度その支給額の範囲内で支出されるものである場合 出向元法人の支給する給与が定期の給与か臨時の給与かの別による。
(2) 当該給与負担金の額が一定期間内に出向元法人が当該出向者に支給する給与の合計額を基礎としてその範囲内で毎月又は一括して支出されるものである場合 当該給与負担金の額のうち出向元法人が当該期間内に当該出向者に支給した定期の給与の額に達するまでの金額は報酬とし、これを超える部分の金額は賞与とする。
(注) (2) の場合において、出向先法人が給与負担金として支出した金額が出向元法人が当該出向者に支給する給与の額を超える場合のその超える部分の金額については、出向先法人にとって給与負担金としての性格はないことに留意する。
(出向者に対する給与の較差補てん)
8-2-43 出向元法人が出向先法人との給与条件の較差を補てんするため出向者に対して支給した給与の額(出向先法人を経て支給した金額を含む。)は、当該出向元法人の損金の額に算入する。
(注) 出向元法人が出向者に対して支給する次の金額は、いずれも給与条件の較差を補てんするために支給したものとする。
1 出向先法人が経営不振等で出向者に賞与を支給することができないため出向元法人が当該出向者に対して支給する賞与の額
2 出向先法人が海外にあるため出向元法人が支給するいわゆる留守宅手当の額
(出向先法人が支出する退職給与の負担金)
8-2-44 出向先法人が、出向者に対して出向元法人が支給すべき退職給与の額に充てるため、あらかじめ定めた負担区分に基づき、当該出向者の出向期間に対応する退職給与の額として合理的に計算された金額を定期的に出向元法人に支出している場合には、その支出する金額は、たとえ当該出向者が出向先法人において役員となっているときであっても、その支出をする日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(出向者が出向元法人を退職した場合の退職給与の負担金)
8-2-45 出向者が出向元法人を退職した場合において、出向先法人がその退職した出向者に対して出向元法人が支給する退職給与の額のうちその出向期間に係る部分の金額を出向元法人に支出したときは、その支出した金額は、たとえ当該出向者が出向先法人において引き続き役員又は使用人として勤務するときであっても、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(出向先法人が出向者の退職給与を負担しない場合)
8-2-46 出向先法人が出向者に対して出向元法人が支給すべき退職給与の額のうちその出向期間に係る部分の金額の全部又は一部を負担しない場合においても、その負担しないことにつき相当な理由があるときは、これを認める。
(出向者に係る適格退職年金契約の掛金等)
8-2-47 出向元法人が適格退職年金契約を締結している場合において、出向先法人があらかじめ定めた負担区分に基づきその出向者に係る掛金又は保険料(過去勤務債務等に係る掛金又は保険料を含む。)の額を出向元法人に支出したときは、その支出した金額は、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(転籍者に対する退職給与)
8-2-48 転籍した使用人(以下「転籍者」という。)に係る退職給与につき転籍前の法人における在職年数を通算して支給することとしている場合において、転籍前の法人及び転籍後の法人がその転籍者に対して支給した退職給与の額(相手方である法人を経て支給した金額を含む。)については、それぞれの法人における退職給与とする。ただし、転籍前の法人及び転籍後の法人が支給した退職給与の額のうちにこれらの法人の他の使用人に対する退職給与の支給状況、それぞれの法人における在職期間等からみて明らかに相手方である法人の支給すべき退職給与の額の全部又は一部を負担したと認められるものがあるときは、その負担したと認められる部分の金額は、相手方である法人に贈与したものとする。
第8款 株式譲渡請求権に係る自己株式の譲渡
(株式譲渡請求権の意義)
8-2-49 令第 136条の4第1項《株式譲渡請求権の行使があった場合の所得の計算》に規定する株式譲渡請求権は、商法等の一部を改正する等の法律(平成13年法律第79号)第1条《商法の一部改正》の規定による改正前の商法第 210条ノ2第2項《取締役又は使用人に譲渡するための自己株式の取得》の決議に基づいて付与したものに限られるのであるから、商法上有効な決議に基づかず付与された株式譲渡請求権及び商法上有効な決議の内容に従わないで付与された株式譲渡請求権に基づく権利行使については、令第 136条の4の規定の適用がないことに留意する。
第3節 保険料等
(退職金共済掛金等の損金算入の時期)
8-3-1 連結法人が支出する令第 135条各号《確定給付企業年金等の掛金等の損金算入》に掲げる掛金、保険料、事業主掛金、信託金等又は預入金等の額は、現実に納付(中小企業退職金共済法第2条第5項《特定業種退職金共済契約》に規定する特定業種退職金共済契約に係る掛金については共済手帳への退職金共済証紙のはり付け)又は払込みをしない場合には、未払金として損金の額に算入することができないことに留意する。
(注) 勤労者退職金共済機構の退職金共済契約の場合にも、その契約に係る被共済者には、その連結法人の役員で部長、支店長、工場長等のような使用人としての職務を有している者が含まれる。
(社会保険料の損金算入の時期)
8-3-2 連結法人が納付する次に掲げる保険料等の額のうち当該連結法人が負担すべき部分の金額は、それぞれ次に掲げる日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(1) 健康保険法第71条《保険料の徴収》若しくは厚生年金保険法第81条《保険料》の規定により徴収される保険料、同法第138条《掛金》の規定により徴収される掛金又は同法第140条《徴収金》の規定により徴収される徴収金 当該保険料、掛金又は徴収金の額の計算の対象となった月の末日
(2) 健康保険法附則第3条《特別保険料の徴収》の規定により徴収される特別保険料 当該特別保険料に係る賞与等の支払をした日
(労働保険料の損金算入の時期等)
8-3-3 連結法人が、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第15条《概算保険料の納付》の規定によって納付する概算保険料の額又は同法第19条《確定保険料》の規定によって納付し、又は充当若しくは還付を受ける確定保険料に係る過不足額の損金算入の時期等については、次による。
(1) 概算保険料 概算保険料の額のうち、被保険者が負担すべき部分の金額は立替金等とし、その他の部分の金額は当該概算保険料に係る同法第15条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第3項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)又はこれを納付した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(2) 確定保険料に係る不足額 概算保険料の額が確定保険料の額に満たない場合のその不足額のうち当該連結法人が負担すべき部分の金額は、同法第19条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第4項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)又はこれを納付した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。ただし、当該連結事業年度終了の日以前に終了した同法第2条第4項《定義》に規定する保険年度に係る確定保険料について生じた不足額のうち当該連結法人が負担すべき部分の金額については、当該申告書の提出前であっても、これを未払金に計上することができるものとする。
(3) 確定保険料に係る超過額 概算保険料の額が確定保険料の額を超える場合のその超える部分の金額のうち当該連結法人が負担した概算保険料の額に係る部分の金額については、同法第19条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第4項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(養老保険に係る保険料)
8-3-4 連結法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする養老保険(被保険者の死亡又は生存を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含むが、8-3-6に定める定期付養老保険を含まない。以下8-3-8までにおいて同じ。)に加入してその保険料(令第 135条《確定給付企業年金等の掛金等の損金算入》の規定の適用があるものを除く。以下8-3-4において同じ。)を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。
(1) 死亡保険金(被保険者が死亡した場合に支払われる保険金をいう。以下8-3-5までにおいて同じ。)及び生存保険金(被保険者が保険期間の満了の日その他一定の時期に生存している場合に支払われる保険金をいう。以下8-3-4において同じ。)の受取人が当該連結法人である場合 その支払った保険料の額は、保険事故の発生又は保険契約の解除若しくは失効により当該保険契約が終了する時までは資産に計上するものとする。
(2) 死亡保険金及び生存保険金の受取人が被保険者又はその遺族である場合 その支払った保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(3) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が当該連結法人である場合 その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は(1) により資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入する。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該残額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(定期保険に係る保険料)
8-3-5 連結法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期保険(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含む。以下8-3-8までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。
(1) 死亡保険金の受取人が当該連結法人である場合 その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入する。
(2) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合 その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入する。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(定期付養老保険に係る保険料)
8-3-6 連結法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期付養老保険(養老保険に定期保険を付したものをいう。以下8-3-8までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。
(1) 当該保険料の額が生命保険証券等において養老保険に係る保険料の額と定期保険に係る保険料の額とに区分されている場合 それぞれの保険料の額について8-3-4又は8-3-5の例による。
(2) (1) 以外の場合 その保険料の額について8-3-4の例による。
(傷害特約等に係る保険料)
8-3-7 連結法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする傷害特約等の特約を付した養老保険、定期保険又は定期付養老保険に加入し、当該特約に係る保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入することができる。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを傷害特約等に係る給付金の受取人としている場合には、当該保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(保険契約の転換をした場合)
8-3-8 連結法人がいわゆる契約転換制度によりその加入している養老保険又は定期付養老保険を他の養老保険、定期保険又は定期付養老保険(以下8-3-8において「転換後契約」という。)に転換した場合には、資産に計上している保険料の額(以下8-3-8において「資産計上額」という。)のうち、転換後契約の責任準備金に充当される部分の金額(以下8-3-8において「充当額」という。)を超える部分の金額をその転換をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができるものとする。この場合において、資産計上額のうち充当額に相当する部分の金額については、その転換のあった日に保険料の一時払いをしたものとして、転換後契約の内容に応じて8-3-4から8-3-6までの例による。
(払済保険へ変更した場合)
8-3-9 連結法人が既に加入している生命保険をいわゆる払済保険に変更した場合には、原則として、その変更時における解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険料の額(以下8-3-9において「資産計上額」という。)との差額を、その変更した日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、既に加入している生命保険の保険料の全額(傷害特約等に係る保険料の額を除く。)が役員又は使用人に対する給与となる場合は、この限りでない。
(注)
1 養老保険、終身保険及び年金保険(定期保険特約が付加されていないものに限る。)から同種類の払済保険に変更した場合に、本文の取扱いを適用せずに、既往の資産計上額を保険事故の発生又は解約失効等により契約が終了するまで計上しているときは、これを認める。
2 本文の解約返戻金相当額については、その払済保険へ変更した時点において当該変更後の保険と同一内容の保険に加入して保険期間の全部の保険料を一時払いしたものとして、8-3-4から8-3-6までの例により処理するものとする。
3 払済保険が復旧された場合には、払済保険に変更した時点で益金の額又は損金の額に算入した金額を復旧した日の属する連結事業年度の損金の額又は益金の額に、また、払済保険に変更した後に損金の額に算入した金額は復旧した日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(契約者配当)
8-3-10 連結法人が生命保険契約(適格退職年金契約に係るものを含む。)に基づいて支払いを受ける契約者配当の額については、その通知(据置配当については、その積立てをした旨の通知)を受けた日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるが、当該生命保険契約が8-3-4の(1) に定める場合に該当する場合(8-3-6の(2) により8-3-4の(1) の例による場合を含む。)には、当該契約者配当の額を資産に計上している保険料の額から控除することができるものとする。
(注)
1 契約者配当の額をもっていわゆる増加保険に係る保険料の額に充当することになっている場合には、その保険料の額については、8-3-4から8-3-6までに定めるところによる。
2 据置配当又は未収の契約者配当の額に付される利子の額については、その通知のあった日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。
(長期の損害保険契約に係る支払保険料)
8-3-11 連結法人が、保険期間が3年以上で、かつ、当該保険期間満了後に満期返戻金を支払う旨の定めのある損害保険契約(これに類する共済に係る契約を含む。以下8-3-14までにおいて「長期の損害保険契約」という。)について保険料(共済掛金を含む。以下8-3-14までにおいて同じ。)を支払った場合には、その支払った保険料の額のうち、積立保険料に相当する部分の金額は保険期間の満了又は保険契約の解除若しくは失効の時までは資産に計上するものとし、その他の部分の金額は期間の経過に応じて損金の額に算入する。
(注) 支払った保険料の額のうち、積立保険料に相当する部分の金額とその他の部分の金額との区分は、保険料払込案内書、保険証券添付書類等により区分されているところによる。
(賃借建物等を保険に付した場合の支払保険料)
8-3-12 連結法人が賃借している建物等(役員又は使用人から賃借しているもので当該役員又は使用人に使用させているものを除く。)に係る長期の損害保険契約について保険料を支払った場合には、当該保険料については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 連結法人が保険契約者となり、当該建物等の所有者が被保険者となっている場合 8-3-11による。
(2) 当該建物等の所有者が保険契約者及び被保険者となっている場合 保険料の全部を当該建物等の賃借料とする。
(役員又は使用人の建物等を保険に付した場合の支払保険料)
8-3-13 連結法人がその役員又は使用人の所有する建物等(8-3-12のかっこ書に該当する建物等を含む。)に係る長期の損害保険契約について保険料を支払った場合には、当該保険料については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 連結法人が保険契約者となり、当該役員又は使用人が被保険者となっている場合 保険料の額のうち、積立保険料に相当する部分の金額は資産に計上し、その他の部分の金額は当該役員又は使用人に対する給与とする。ただし、その他の部分の金額で所得税法上経済的な利益として課税されないものについて連結法人が給与として経理しない場合には、給与として取り扱わない。
(2) 当該役員又は使用人が保険契約者及び被保険者となっている場合 保険料の額の全部を当該役員又は使用人に対する給与とする。
(保険事故の発生による積立保険料の処理)
8-3-14 連結法人が長期の損害保険契約につき資産に計上している積立保険料に相当する部分の金額は、保険事故の発生により保険金の支払を受けた場合においても、その支払により当該損害保険契約が失効しないときは損金の額に算入されないことに留意する。
第4節 寄附金
第1款 寄附金の範囲等
(子会社等を整理する場合の損失負担等)
8-4-1 連結法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下8-4-1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
(注) 子会社等には、当該連結法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる(以下8-4-2において同じ。)。
(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)
8-4-2 連結法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下8-4-2において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば、業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
(注) 合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。
(個人の負担すべき寄附金)
8-4-3 連結法人が損金として支出した寄附金で、その連結法人の役員等が個人として負担すべきものと認められるものは、その負担すべき者に対する給与とする。
(仮払経理した寄附金)
8-4-4 連結法人が各連結事業年度において支払った寄附金の額を仮払金等として経理した場合には、当該寄附金はその支払った連結事業年度において支出したものとして法第81条の6第2項又は第3項《連結事業年度における寄附金の損金不算入》の規定を適用することに留意する。
(手形で支払った寄附金)
8-4-5 令第 155条の15第1項《支出した寄附金の額》に規定する「支払」とは、連結法人がその寄附金を現実に支払ったことをいうのであるから、当該寄附金の支払のための手形の振出し(裏書譲渡を含む。)は、現実の支払には該当しないことに留意する。
(利益処分経理による指定寄附金等)
8-4-6 連結法人が法第81条の6第4項各号《指定寄附金等》(同項第3号を同条第5項において読み替えて適用する場合を含む。)に規定する寄附金の額につき、その確定した決算において利益又は剰余金の処分による経理により支出することとした場合であっても、現実にその支払がされるまでの間は、令第 155条の15第1項《支出した寄附金の額》の規定の適用があることに留意する。
第2款 国等に対する寄附金
(国等に対する寄附金)
8-4-7 法第81条の6第4項第1号《連結事業年度における国等に対する寄附金》に規定する法第37条第4項第1号《国等に対する寄附金》の国又は地方公共団体に対する寄附金とは、国又は地方公共団体(以下この款において「国等」という。)において採納されるものをいうのであるが、国立又は公立の学校等の施設の建設又は拡張等の目的をもって設立された後援会等に対する寄附金であっても、その目的である施設が完成後遅滞なく国等に帰属することが明らかなものは、これに該当する。
(最終的に国等に帰属しない寄附金)
8-4-8 国等に対して採納の手続を経て支出した寄附金であっても、その寄附金が特定の団体に交付されることが明らかである等最終的に国等に帰属しないと認められるものは、国等に対する寄附金には該当しないことに留意する。
(公共企業体等に対する寄附金)
8-4-9 日本道路公団、日本政策投資銀行等のように全額政府出資により設立された法人又は地方公共団体の全額出資により設立された法人に対する寄附金は、法第81条の6第4項第1号《連結事業年度における国等に対する寄附金》に規定する法第37条第4項第1号《国等に対する寄附金》の国等に対する寄附金には該当しないことに留意する。
第3款 被災者に対する義援金等
(災害救助法の規定の適用を受ける地域の被災者のための義援金等)
8-4-10 連結法人が、災害救助法第2条《被救助者》の規定に基づき都道府県知事が救助を実施する区域として指定した区域の被災者のための義援金等の募集を行う募金団体(日本赤十字社、新聞・放送等の報道機関等)に対してきょ出した義援金等については、その義援金等が最終的に義援金配分委員会等(災害対策基本法第40条又は第42条《地域防災計画》に規定する地域防災計画に基づき地方公共団体が組織する義援金配分委員会その他これと目的を同じくする組織で地方公共団体が組織するものをいう。)に対してきょ出されることが募金趣意書等において明らかにされているものであるときは、法第81条の6第4項第1号《連結事業年度における国又は地方公共団体に対する寄附金》に規定する法第37条第4項第1号《国又は地方公共団体に対する寄附金》の地方公共団体に対する寄附金に該当するものとする。
(注) 海外の災害に際して、募金団体から最終的に日本赤十字社に対してきょ出されることが募金趣意書等において明らかにされている義援金等については、特定公益増進法人である日本赤十字社に対する寄附金となることに留意する。
(災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等)
8-4-11 連結法人が、災害を受けた得意先等の取引先(以下8-4-12までにおいて「取引先」という。)に対してその復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間(災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいう。以下8-4-12において同じ。)内に売掛金、未収請負金、貸付金その他これらに準ずる債権の全部又は一部を免除した場合には、その免除したことによる損失の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
既に契約で定められたリース料、貸付利息、割賦販売に係る賦払金等で災害発生後に授受するものの全部又は一部の免除を行うなど契約で定められた従前の取引条件を変更する場合及び災害発生後に新たに行う取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様とする。
(注) 「得意先等の取引先」には、得意先、仕入先、下請工場、特約店、代理店等のほか、商社等を通じた取引であっても価格交渉等を直接行っている場合の商品納入先など、実質的な取引関係にあると認められる者が含まれる。
(災害の場合の取引先に対する低利又は無利息による融資)
8-4-12 連結法人が、災害を受けた取引先に対して低利又は無利息による融資をした場合において、当該融資が取引先の復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間内に行われたものであるときは、当該融資は正常な取引条件に従って行われたものとする。
(自社製品等の被災者に対する提供)
8-4-13 連結法人が不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
第4款 その他
(特定公益増進法人の主たる目的である業務に関連する寄附金であるかどうかの判定)
8-4-14 法第81条の6第4項第3号《連結事業年度における特定公益増進法人に対する寄附金》に規定する法第37条第4項第3号《特定公益増進法人に対する寄附金》の「当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金」であるかどうかは、当該法人の募金趣意書、事業計画書、募金計画書の写し等を総合勘案して判定する。
(資産を帳簿価額により寄附した場合の処理)
8-4-15 連結法人が金銭以外の資産をもって寄附金を支出した場合には、その寄附金の額は支出の時における当該資産の価額によって計算するのであるが、連結法人が金銭以外の資産をもって支出した法第81条の6第4項各号《指定寄附金等》に定める寄附金につき、その支出した金額を帳簿価額により計算し、かつ、連結確定申告書に記載した場合には、連結法人の計上した寄附金の額が当該資産の価額より低いためその一部につき当該連結確定申告書に記載がないこととなるときであっても、その記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めて同項の規定を適用することができる。
第5節 租税公課
第1款 租税
(租税の損金算入の時期)
8-5-1 連結法人が納付すべき国税及び地方税(連結法人の各連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入されないものを除く。)については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める連結事業年度の損金の額に算入する。
(1) 申告納税方式による租税 納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日(その年分の地価税に係る納税申告書が地価税法第25条《申告》に規定する申告期間の開始の日前に提出された場合には、当該納税申告書に記載された税額については当該申告期間の開始の日)の属する連結事業年度とし、更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する連結事業年度とする。ただし、次に掲げる場合には、それぞれ次による。
イ 収入金額又は棚卸資産の評価額のうちに申告期限未到来の納付すべき酒税等に相当する金額が含まれている場合又は製造原価、工事原価その他これらに準ずる原価のうちに申告期限未到来の納付すべき事業に係る事業所税若しくは地価税に相当する金額が含まれている場合において、連結法人が当該金額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした連結事業年度とする。
ロ 連結法人が、申告に係る地価税につき地価税法第28条第1項及び第3項《納付》並びに同条第5項の規定により読み替えて適用される通則法第35条第2項《申告納税方式による納付》に定めるそれぞれの納期限の日又は実際に納付した日の属する連結事業年度において損金経理をした場合には、当該連結事業年度とする。
(2) 賦課課税方式による租税 賦課決定のあった日の属する連結事業年度とする。ただし、連結法人がその納付すべき税額について、その納期の開始の日(納期が分割して定められているものについては、それぞれの納期の開始の日とする。)の属する連結事業年度又は実際に納付した日の属する連結事業年度において損金経理をした場合には、当該連結事業年度とする。
(3) 特別徴収方式による租税 納入申告書に係る税額についてはその申告の日の属する連結事業年度とし、更正又は決定による不足税額については当該更正又は決定があった日の属する連結事業年度とする。ただし、申告期限未到来のものにつき収入金額のうち納入すべき金額が含まれている場合において、連結法人が当該金額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした連結事業年度とする。
(4) 利子税並びに地方税法第65条第2項、第72条の45の2又は第327条第2項《法人の道府県民税等に係る納期限の延長の場合の延滞金》の規定により徴収される延滞金納付の日の属する連結事業年度とする。ただし、連結法人が当該連結事業年度の期間に係る未納の金額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした連結事業年度とする。
(事業税の損金算入の時期の特例)
8-5-2 当該連結事業年度の直前の連結事業年度(以下8-5-2において「直前年度」という。)分の事業税の額(8-5-1により直前年度の損金の額に算入される部分の金額を除く。)については、8-5-1にかかわらず、当該連結事業年度終了の日までにその全部又は一部につき申告、更正又は決定がされていない場合であっても、当該連結事業年度の損金の額に算入することができるものとする。
(適格合併の場合の被合併法人の最後事業年度分の事業税の損金算入)
8-5-3 適格合併に係る被合併法人の合併の日の前日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に係る事業税は、合併法人においてその額が具体的に確定した連結事業年度の損金の額に算入する。
(強制徴収等に係る源泉所得税)
8-5-4 連結法人がその支払う配当、給料等について源泉徴収に係る所得税を納付しなかったことにより、所得税法第221 条《源泉徴収に係る所得税の徴収》の規定により所得税を徴収された場合において、その徴収された所得税を租税公課等として損金経理をしたときは、その徴収の基礎となった配当、給料等の区分に応じてその追加支払がされたものとする。
連結法人がその配当、給料等について所得税を源泉徴収しないでその所得税を納付した場合におけるその納付した所得税についても、同様とする。 (注) 連結法人がその徴収され又は納付した所得税を仮払金等として経理し求償することとしている場合には、その経理を認める。
(道府県民税等の減免に代えて交付を受けた補助金等)
8-5-5 連結法人が道府県又は市町村から工場誘致条例又はこれに準ずる条例に基づいて補助金、奨励金等の交付を受けた場合において、当該補助金、奨励金等が実質的に道府県民税及び市町村民税の減免に代えて交付されたものであることが明らかであるときは、当該補助金、奨励金等は、その交付を受けた日の属する連結事業年度の益金の額に算入しない。
第2款 罰科金
(役員等に対する罰科金等)
8-5-6 連結法人がその役員又は使用人に対して課された罰金若しくは科料、過料又は交通反則金を負担した場合において、その罰金等が連結法人の業務の遂行に関連してされた行為等に対して課せられたものであるときは連結法人の損金の額に算入しないものとし、その他のものであるときはその役員又は使用人に対する給与とする。
(外国等が課する罰金又は科料に相当するもの)
8-5-7 法第38条第2項第5号《法人税額等の損金不算入》に規定する外国又はこれに準ずる者として政令で定める者が課する罰金又は科料に相当するものとは、裁判手続(刑事訴訟手続)を経て外国又は外国の地方公共団体により課されるものをいう。
(注) いわゆる司法取引により支払われたものも、裁判手続(刑事訴訟手続)を経て課された罰金又は科料に相当するものに該当することに留意する。
第3款 第二次納税義務による納付税額
(第二次納税義務により納付し又は納入した金額の返還を受けた場合の益金不算入)
8-5-8 連結法人が法第39条第1項各号及び第2項各号《第二次納税義務に係る納付税額の損金不算入等》に掲げる国税又は地方税を納付し又は納入したことにより生じた損失の額が同条の規定により損金の額に算入されなかった場合において、その後の連結事業年度において求償により金銭その他の資産の給付を受けたときは、その給付を受けた資産の価額(同条第2項ただし書に規定する場合に該当して当該損失の額のうち損金の額に算入されたものがあるときは、その損金の額に算入された金額に相当する部分の金額を除く。)に相当する金額は、その給付を受けた日の属する連結事業年度の益金の額に算入しないものとする。
第4款 賦課金、納付金等
(賦課金、納付金等の損金算入の時期)
8-5-9 連結法人が納付すべき次に掲げる賦課金等については、それぞれ次に定める日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(1) 公害健康被害の補償等に関する法律第52条第1項《汚染負荷量賦課金の徴収》に規定する汚染負荷量賦課金 当該汚染負荷量賦課金の額につき、汚染負荷量賦課金申告書が提出された日(決定に係る金額については、当該決定の通知があった日)
(2) 公害健康被害の補償等に関する法律第62条第1項《特定賦課金の徴収》に規定する特定賦課金 当該特定賦課金の額につき、決定の通知があった日
(3) 障害者の雇用の促進等に関する法律第26条第1項《障害者雇用納付金の徴収》に規定する障害者雇用納付金 当該障害者雇用納付金の額につき、障害者雇用納付金申告書が提出された日(告知に係る金額については、当該告知があった日)
第6節 貸倒損失
第1款 金銭債権の貸倒れ
(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)
8-6-1 連結法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうちそれぞれ次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する連結事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。
(1) 会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生計画認可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(2) 商法の規定による特別清算に係る協定の認可若しくは整理計画の決定又は破産法の規定による強制和議の認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額
イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額
(回収不能の金銭債権の貸倒れ)
8-6-2 連結法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった連結事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。
(注) 保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。
(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)
8-6-3 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下8-6-3において同じ。)について連結法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。
(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
(2) 連結法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき
(注) (1) の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば、不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。
第2款 返品債権特別勘定
(返品債権特別勘定の設定)
8-6-4 出版業を営む連結法人で法第53条《返品調整引当金》により返品調整引当金勘定を設けることのできるものが、雑誌(週刊誌、旬刊誌、月刊誌等の定期刊行物をいう。以下この款において同じ。)の販売に関し、その取次業者又は販売業者(以下この款においてこれらの者を「販売業者」という。)との間に、次の(1) 及び(2) に掲げる事項を内容とする特約を結んでいる場合には、その販売した連結事業年度において8-6-5に定める繰入限度額以下の金額を損金経理により返品債権特別勘定に繰り入れることができる。
(1) 各連結事業年度終了の時においてその販売業者がまだ販売していない雑誌(当該連結事業年度終了の時の直前の発行日に係るものを除く。以下この款において「店頭売れ残り品」という。)に係る売掛金に対応する債務を当該時において免除すること。
(2) 店頭売れ残り品を当該連結事業年度終了の時において自己に帰属させること。
(返品債権特別勘定の繰入限度額)
8-6-5 返品債権特別勘定の繰入限度額は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる金額とする。
(1) 当該連結法人が返品調整引当金勘定への繰入限度額を令第 101条第1項第1号《売掛金基準》の方法により計算している場合 当該連結事業年度終了の時における雑誌の販売に係る売掛金(当該連結事業年度終了の時の直前の発行日に係るものを除く。)の帳簿価額の合計額に同号に規定する返品率を乗じて計算した金額から店頭売れ残り品の当該連結事業年度終了の時における価額に相当する金額を控除した金額
(2) 当該連結法人が返品調整引当金勘定への繰入限度額を同項第2号《販売高基準》の方法により計算している場合又は返品調整引当金勘定を設けていない場合 当該連結事業年度終了の日以前2月間における雑誌の販売の対価の額(当該連結事業年度終了の時の直前の発行日に係るものを除く。)の合計額に同号に規定する返品率を乗じて計算した金額から店頭売れ残り品の当該連結事業年度終了の時における価額に相当する金額を控除した金額
(返品債権特別勘定の金額の益金算入)
8-6-6 返品債権特別勘定の金額は、その繰り入れた連結事業年度の翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額に算入する。
(明細書の添付)
8-6-7 返品債権特別勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う連結事業年度の連結確定申告書に返品債権特別勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付しなければならないものとする。
(適格組織再編成に係る返品債権特別勘定の設定等)
8-6-8 8-1-10から8-1-12までの取扱いは、8-6-4に定める連結法人が適格分社型分割等により分割承継法人等に返品債権特別勘定の設定の対象となる8-6-4の(1) 及び(2) に定める特約を結んでいる売掛金を移転する場合並びに適格組織再編成により合併法人等に返品債権特別勘定を引き継ぐ場合についてそれぞれ準用する。
第7節 負担金
(負担金の使用期間)
8-7-1 令第 136条《特定の損失等に充てるための負担金の損金算入》に規定する「公益法人等の当該業務に係る資金のうち短期間に使用されるもの」とは、当該公益法人等の定款、業務方法書等において、5年以内の期間を業務計画期間とし、当該期間内に使用されることが予定されている資金をいうものとする。
(注)
1 業務計画期間が経過した場合において、引き続き同条の規定の適用を受けようとするときは、改めて同条に規定する指定を受ける必要があることに留意する。
2 5年を超える期間に使用されることが予定されているものについては措置法第68条の95《特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例》の規定により、財務大臣の指定を必要とすることに留意する。
(特定の損失又は費用を補てんするための業務の範囲)
8-7-2 令第 136条《特定の損失等に充てるための負担金の損金算入》に規定する「その他の特定の損失又は費用を補てんするための業務」には、例えば、次のようなものが含まれることに留意する。
(1) 水産物又は配合飼料の価格の変動による損失の補てんに係る業務
(2) 行政指導等に基づき公益法人等が行う構造改善事業
(3) 海面の油濁による損失の補てんに係る業務
(負担金の損金算入時期)
8-7-3 連結法人が令第 136条《特定の損失等に充てるための負担金の損金算入》に規定する負担金を支出した場合における当該負担金の損金算入時期は、当該連結法人が当該負担金を現実に支払った日(国税庁長官の指定前に支払ったものについては、その指定のあった日)の属する連結事業年度となることに留意する。
(注) 1 当該負担金の支払のための手形の振出し(裏書譲渡を含む。)の日は現実に支払った日に該当しない。
2 国税庁長官の指定前に支払ったものについては、当該指定の日までの間は仮払金として処理することとなる。
第8節 その他の経費
第1款 商品等の販売に要する景品等の費用
(抽選券付販売に要する景品等の費用)
8-8-1 連結法人が商品等の抽選券付販売により当選者に金銭若しくは景品を交付し、又は旅行、観劇等に招待することとしている場合には、これらに要する費用の額は、当選者から抽選券の引換えの請求があった日又は旅行等を実施した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。ただし、当選者からの請求を待たないで、連結法人が金銭又は景品を送付することとしている場合には抽選の日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(金品引換券付販売に要する費用)
8-8-2 連結法人が商品等の金品引換券付販売により金品引換券と引換えに金銭又は物品を交付することとしている場合には、その金銭又は物品の代価に相当する額は、その引き換えた日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(金品引換費用の未払金の計上)
8-8-3 連結法人が商品等の金品引換券付販売をした場合において、その金品引換券が販売価額又は販売数量に応ずる点数等で表示されており、かつ、たとえ1枚の呈示があっても金銭又は物品と引き換えることとしているものであるときは、8-8-2にかかわらず、次の算式により計算した金額をその販売の日の属する連結事業年度において損金経理により未払金に計上することができる。
(算式)

(注) 1 算式中「1枚又は1点について交付する金銭の額」は、物品だけの引換えをすることとしている場合には、1枚又は1点について交付する物品の購入単価(2以上の物品のうちその一つを選択することができることとしている場合には、その最低購入単価)による。
2 算式中「その連結事業年度において発行した枚数又は点数」には、その連結事業年度において発行した枚数又は点数のうち、その連結事業年度終了の日までに引換えの済んだもの及び引換期間の終了したものは含まない。
(金品引換費用の未払金の益金算入)
8-8-4 8-8-3により損金の額に算入した未払金の額は、その翌連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、引換期間の定めのあるものでその期間が終了していないものの未払金の額は、その引換期間の末日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(注) 上記の「翌連結事業年度」及び「引換期間の末日の属する連結事業年度」は、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度とする。
(明細書の添付)
8-8-5 8-8-3により未払金の計上を行う場合には、その計上を行う連結事業年度の連結確定申告書に未払金の額の計算の基礎及び金品引換券の引換条件等に関する事項を記載した明細書を添付しなければならないものとする。
第2款 海外渡航費
(海外渡航費)
8-8-6 連結法人がその役員又は使用人の海外渡航に際して支給する旅費(支度金を含む。以下この款において同じ。)は、その海外渡航が当該連結法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のための通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての連結法人の経理を認める。したがって、連結法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航の旅費の額はもちろん、連結法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であってもその旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則として、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(注)
その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ、明らかに連結法人の業務の遂行上必要と認められるものである場合には、その海外渡航のために支給する旅費は、社会通念上合理的な基準によって計算されている等不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費として経理することができる。
(業務の遂行上必要な海外渡航の判定)
8-8-7 連結法人の役員又は使用人の海外渡航が連結法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定するものとするが、次に掲げる旅行は、原則として連結法人の業務の遂行上必要な海外渡航に該当しないものとする。
(1) 観光渡航の許可を得て行う旅行
(2) 旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行
(3) 同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの
(同伴者の旅費)
8-8-8 連結法人の役員が連結法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航に際し、その親族又はその業務に常時従事していない者を同伴した場合において、その同伴者に係る旅費を連結法人が負担したときは、その旅費はその役員に対する給与とする。ただし、その同伴が例えば次に掲げる場合のように、明らかにその海外渡航の目的を達成するために必要な同伴と認められるときは、その旅行について通常必要と認められる費用の額は、この限りでない。
(1) その役員が常時補佐を必要とする身体障害者であるため補佐人を同伴する場合
(2) 国際会議への出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合
(3) その旅行の目的を遂行するため外国語にたんのうな者又は高度の専門的知識を有する者を必要とするような場合に、適任者が連結法人の使用人のうちにいないためその役員の親族又は臨時に委嘱した者を同伴するとき
(業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行と併せて行った場合の旅費)
8-8-9 連結法人の役員又は使用人が海外渡航をした場合において、その海外渡航の旅行期間にわたり連結法人の業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行とを併せて行ったものであるときは、その海外渡航に際して支給する旅費を連結法人の業務の遂行上必要と認められる旅行の期間と認められない旅行の期間との比等によりあん分し、連結法人の業務の遂行上必要と認められない旅行に係る部分の金額については、当該役員又は使用人に対する給与とする。ただし、海外渡航の直接の動機が特定の取引先との商談、契約の締結等連結法人の業務の遂行のためであり、その海外渡航を機会に観光を併せて行うものである場合には、その往復の旅費(当該取引先の所在地等その業務を遂行する場所までのものに限る。)は、連結法人の業務の遂行上必要と認められるものとして、その海外渡航に際して支給する旅費の額から控除した残額につき本文の規定を適用する。
(業務の遂行上必要と認められない海外渡航の旅費の特例)
8-8-10 連結法人の役員又は使用人の海外渡航が8-8-7に掲げる旅行に該当する場合であっても、その海外渡航の旅行期間内における旅行先、行った仕事の内容等からみて連結法人の業務にとって直接関連のあるものがあると認められるときは、連結法人の支給するその海外渡航に要する旅費のうち、連結法人の業務にとって直接関連のある部分の旅行について直接要した費用の額は、旅費として損金の額に算入する。
第3款 会費及び入会金等の費用
(ゴルフクラブの入会金)
8-8-11 連結法人がゴルフクラブに対して支出した入会金については、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1) 法人会員として入会する場合 入会金は資産として計上するものとする。ただし、記名式の法人会員で名義人たる特定の役員又は使用人が専ら連結法人の業務に関係なく利用するためこれらの者が負担すべきものであると認められるときは、当該入会金に相当する金額は、これらの者に対する給与とする。
(2) 個人会員として入会する場合 入会金は個人会員たる特定の役員又は使用人に対する給与とする。ただし、無記名式の法人会員制度がないため個人会員として入会し、その入会金を連結法人が資産に計上した場合において、その入会が連結法人の業務の遂行上必要であるため連結法人の負担すべきものであると認められるときは、その経理を認める。
(注) この入会金は、ゴルフクラブに入会するために支出する費用であるから、他人の有する会員権を購入した場合には、その購入代価のほか他人の名義を変更するためにゴルフクラブに支出する費用も含まれる。
(資産に計上した入会金の処理)
8-8-12 連結法人が資産に計上した入会金については償却を認めないものとするが、ゴルフクラブを脱退してもその返還を受けることができない場合における当該入会金に相当する金額及びその会員たる地位を他に譲渡したことにより生じた当該入会金にかかる譲渡損失に相当する金額については、その脱退をし、又は譲渡をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(注) 預託金制ゴルフクラブのゴルフ会員権については、退会の届出、預託金の一部切捨て、破産宣告等の事実に基づき預託金返還請求権の全部又は一部が顕在化した場合において、当該顕在化した部分については、金銭債権として貸倒損失及び貸倒引当金の対象とすることができることに留意する。
(年会費その他の費用)
8-8-13 連結法人がゴルフクラブに支出する年会費、年決めロッカー料その他の費用(その名義人を変更するために支出する名義書換料を含み、プレーする場合に直接要する費用を除く。)については、その入会金が資産として計上されている場合には交際費とし、その入会金が給与とされている場合には会員たる特定の役員又は使用人に対する給与とする。
(注) プレーする場合に直接要する費用については、入会金を資産に計上しているかどうかにかかわらず、その費用が連結法人の業務の遂行上必要なものであると認められる場合には交際費とし、その他の場合には当該役員又は使用人に対する給与とする。
(レジャークラブの入会金)
8-8-14 8-8-11及び8-8-12の取扱いは、連結法人がレジャークラブ(宿泊施設、体育施設、遊技施設その他のレジャー施設を会員に利用させることを目的とするクラブでゴルフクラブ以外のものをいう。以下8-8-14において同じ。)に対して支出した入会金について準用する。ただし、その会員としての有効期間が定められており、かつ、その脱退に際して入会金相当額の返還を受けることができないものとされているレジャークラブに対して支出する入会金(役員又は使用人に対する給与とされるものを除く。)については、繰延資産として償却することができるものとする。 (注) 年会費その他の費用は、その使途に応じて交際費等又は福利厚生費若しくは給与となることに留意する。
(社交団体の入会金)
8-8-15 連結法人が社交団体(ゴルフクラブ及びレジャークラブを除く。以下8-8-16において同じ。)に対して支出する入会金については、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1) 法人会員として入会する場合 入会金は支出の日の属する連結事業年度の交際費とする。
(2) 個人会員として入会する場合 入会金は個人会員たる特定の役員又は使用人に対する給与とする。ただし、法人会員制度がないため個人会員として入会した場合において、その入会が連結法人の業務の遂行上必要であると認められるときは、その入会金は支出の日の属する連結事業年度の交際費とする。
(社交団体の会費等)
8-8-16 連結法人がその入会している社交団体に対して支出した会費その他の費用については、次の区分に応じ、それぞれ次による。
(1) 経常会費については、その入会金が交際費に該当する場合には交際費とし、その入会金が給与に該当する場合には会員たる特定の役員又は使用人に対する給与とする
(2) 経常会費以外の費用については、その費用が連結法人の業務の遂行上必要なものであると認められる場合には交際費とし、会員たる特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められる場合には当該役員又は使用人に対する給与とする。
(ロータリークラブ及びライオンズクラブの入会金等)
8-8-17 連結法人がロータリークラブ又はライオンズクラブに対する入会金又は会費等を負担した場合には、次による。
(1) 入会金又は経常会費として負担した金額については、その支出をした日の属する連結事業年度の交際費とする。
(2) (1) 以外に負担した金額については、その支出の目的に応じて寄附金又は交際費とする。ただし、会員たる特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められる場合には、当該負担した金額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。
(同業団体等の会費)
8-8-18 連結法人がその所属する協会、連盟その他の同業団体等(以下8-8-19までにおいて「同業団体等」という。)に対して支出した会費の取扱いについては、次による。
(1) 通常会費(同業団体等がその構成員のために行う広報活動、調査研究、研修指導、福利厚生その他同業団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用の分担額として支出する会費をいう。以下8-8-18において同じ。)については、その支出をした日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。ただし、当該同業団体等においてその受け入れた通常会費につき不相当に多額の剰余金が生じていると認められる場合には、当該剰余金が生じた時以後に支出する通常会費については、当該剰余金の額が適正な額になるまでは、前払費用として損金の額に算入しないものとする。
(2) その他の会費(同業団体等が次に掲げるような目的のために支出する費用の分担額として支出する会費をいう。以下8-8-18において同じ。)については、前払費用とし、当該同業団体等がこれらの支出をした日にその費途に応じて当該連結法人がその支出をしたものとする。
イ 会館その他特別な施設の取得又は改良
ロ 会員相互の共済
ハ 会員相互又は業界の関係先等との懇親等
ニ 政治献金その他の寄附
(注) 1 通常会費として支出したものであっても、その全部又は一部が当該同業団体等において(2)に掲げるような目的のための支出に充てられた場合には、その会費の額のうちその充てられた部分に対応する部分の金額については、その他の会費に該当することに留意する。ただし、その同業団体等における支出が当該同業団体等の業務運営の一環として通常要すると認められる程度のものである場合には、この限りでない。
2 (1) の場合において、同業団体等の役員又は使用人に対する賞与又は退職給与の支給に充てるために引き当てられた金額で適正と認められるものは、剰余金の額に含めないことができる。
(災害見舞金に充てるために同業団体等へ搬出する分担金等)
8-8-19 連結法人が、その所属する協会、連盟その他の同業団体等の構成員の有する事業用資産について災害により損失が生じた場合に、その損失の補てんを目的とする構成員相互の扶助等に係る規約等(災害の発生を機に新たに定めたものを含む。)に基づき合理的な基準に従って当該災害発生後に当該同業団体等から賦課され、搬出した分担金等は、8-8-18の取扱いにかかわらず、その支出した日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
第4款 その他
(連結法人が支出した役員等の損害賠償金)
8-8-20 連結法人の役員又は使用人がした行為等によって他人に与えた損害につき連結法人がその損害賠償金を支出した場合には、次による。
(1) その損害賠償金の対象となった行為等が連結法人の業務の遂行に関連するものであり、かつ、故意又は重過失に基づかないものである場合には、その支出した損害賠償金の額は給与以外の損金の額に算入する。
(2) その損害賠償金の対象となった行為等が、連結法人の業務の遂行に関連するものであるが故意又は重過失に基づくものである場合又は連結法人の業務の遂行に関連しないものである場合には、その支出した損害賠償金に相当する金額は当該役員又は使用人に対する債権とする。
(損害賠償金に係る債権の処理)
8-8-21 連結法人が、8-8-20の(2) に定める債権につき、その役員又は使用人の支払能力等からみて求償できない事情にあるため、その全部又は一部に相当する金額を貸倒れとして損金経理をした場合(8-8-20の(2) の損害賠償金相当額を債権として計上しないで損金の額に算入した場合を含む。)には、これを認める。ただし、当該貸倒れ等とした金額のうちその役員又は使用人の支払能力等からみて回収が確実であると認められる部分の金額については、これを当該役員又は使用人に対する給与とする。
(自動車による人身事故に係る内払の損害賠償金)
8-8-22 自動車による人身事故(死亡又は傷害事故をいう。)に伴い、損害賠償金(8-8-20の(2) に係る損害賠償金を除く。)として支出した金額は、示談の成立等による確定前においても、その支出の日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができるものとする。この場合には、当該損金の額に算入した損害賠償金に相当する金額(その人身事故について既に益金の額に算入した保険金がある場合には、その累積額を当該人身事故に係る保険金見積額から控除した残額を限度とする。)の保険金は益金の額に算入する。
(注) 保険金見積額とは、当該連結法人が自動車損害賠償責任保険契約又は任意保険契約を締結した保険会社に対して保険金の支払を請求しようとする額をいう。
(社葬費用)
8-8-23 連結法人が、その役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出した日の属する連結事業年度の損金の額に算入することができるものとする。
(注) 会葬者が持参した香典等を連結法人の収入としないで遺族の収入としたときは、これを認める。
(費途不明の交際費等)
8-8-24 連結法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭でその費途が明らかでないものは、損金の額に算入しない。
第9章 圧縮記帳
第1節 圧縮記帳の通則
(特別勘定の経理)
9-1-1 法第43条及び第48条《国庫補助金等に係る特別勘定の金額の損金算入等》に規定する特別勘定の経理は、損金経理により引当金勘定に繰り入れる方法又は確定した決算において利益若しくは剰余金の処分により目的積立金として積み立てる方法のいずれによってもよいのであるが、これらの方法のほか、仮受金等として経理する方法によることもできるものとする。
(資産につき除却等があった場合の引当金等の取崩し)
9-1-2 圧縮記帳による圧縮額を引当金又は目的積立金として経理している資産につき除却、廃棄、滅失又は譲渡(以下9-1-2において「除却等」という。)があった場合には、当該引当金勘定の金額又は目的積立金の額(当該資産の一部につき除却等があった場合には、その除却等があった部分に係る金額)を取り崩してその除却等のあった日の属する連結事業年度の益金の額に算入するのであるから留意する。
(注) 当該譲渡には、適格分社型分割、適格現物出資又は適格事後設立による資産の移転は含まれないのであるから留意する。
(引当金等の任意取崩しの場合の償却超過額等の処理)
9-1-3 圧縮記帳による圧縮額を引当金又は目的積立金として経理している連結法人が当該引当金勘定の金額又は目的積立金の額の全部又は一部を取り崩して益金の額に算入した場合において、その取り崩した引当金又は目的積立金の設定の基礎となった資産に係る償却超過額又は評価損の否認金(当該連結事業年度において生じた償却超過額又は評価損の否認金を含む。)があるときは、その償却超過額又は評価損の否認金の額のうち益金の額に算入した引当金勘定の金額又は目的積立金の額に達するまでの金額は、当該連結事業年度の損金の額に算入する。
(圧縮記帳の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合の取得価額)
9-1-4 合併法人等(合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被事後設立法人をいう。以下この章において同じ。)が適格組織再編成(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格事後設立をいう。以下この章において同じ。)により被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人をいう。以下この章において同じ。)において圧縮記帳の適用を受けた固定資産の移転を受けた場合には、当該固定資産に係る引当金又は目的積立金の金額の引継ぎを受けたかどうかにかかわらず、当該被合併法人等において当該固定資産の取得価額に算入されなかった金額は、当該固定資産の取得価額に算入されないことに留意する。
第2節 国庫補助金等で取得した資産の圧縮記帳
(返還が確定しているかどうかの判定)
9-2-1 連結法人が交付を受けた国庫補助金等について次のような一般的条件が付されていることは、法第42条第1項(同条第5項を含む。)、第43条第1項(同条第2項、第6項若しくは第8項を含む。)又は第44条第1項(同条第4項を含む。)《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入等》の規定の適用上、当該国庫補助金等につき返還を要しないことが確定しているかどうかの判定には関係がないものとする。
(1) 交付の条件に違反した場合には返還しなければならないこと。
(2) 一定期間内に相当の収益が生じた場合には返還しなければならないこと。
(注) 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第15条《補助金等の額の確定等》の規定により交付すべき補助金等の額が確定し、その旨の通知を受けた国庫補助金等は、返還を要しないことが確定した国庫補助金等に該当する。
(資本的支出がある場合の圧縮限度額)
9-2-2 固定資産につき令第82条《特別勘定を設けた場合の国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮限度額》の規定により圧縮限度額を計算する場合において、当該固定資産の取得又は改良(以下この章において「取得等」という。)の後国庫補助金等の返還を要しないことが確定した日までの間に当該固定資産につき資本的支出を行っているときの同条の規定の適用については、当初の取得価額及びその取得価額に係る帳簿価額(改良の場合にはその改良に係る部分のこれらの金額)を基礎として計算するのであるが、連結法人が同条の規定を適用する時における当該固定資産の資本的支出後の取得価額及び帳簿価額を基礎として計算している場合には、これを認める。
(固定資産の取得等の後に国庫補助金等を受けた場合の圧縮記帳)
9-2-3 連結法人が国庫補助金等の交付を受けた日の属する連結事業年度前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてその交付の目的に適合する固定資産の取得等をしている場合には、その交付を受けた連結事業年度において当該固定資産につき法第42条第1項又は第5項《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定を適用することができる。この場合における圧縮限度額は、これらの規定にかかわらず、令第82条《特別勘定を設けた場合の国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮限度額》の規定に準じて計算した金額による。
(注)
1 特別償却準備金の積立ての対象とした固定資産についてその積み立てた連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)後の連結事業年度において国庫補助金等の交付を受け、又はその返還を要しないことが確定した場合における法第42条第1項若しくは第5項又は第44条第1項若しくは第4項《特別勘定を設けた場合の国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入等》の規定の適用上、その圧縮限度額は、次の算式により計算した金額によるものとする。

2 当該固定資産について国庫補助金等の交付を受け、又はその返還を要しないことが確定した日の属する連結事業年度の直前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)から繰り越された特別償却不足額(特別償却準備金の積立不足額を含む。以下9-2-3において同じ。)があるときは、当該特別償却不足額の生じた連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において圧縮記帳をしたものとした場合に計算される特別償却限度額を基礎として当該繰り越された特別償却不足額を修正するものとする。
(地方公共団体から土地等を時価に比して著しく低い価額で取得した場合の圧縮記帳)
9-2-4 連結法人が工場誘致等のために都道府県又は市町村から土地その他の固定資産をその時価に比して著しく低い価額で取得し、当該価額(その取得に要した費用があるときは、当該費用の額を加算した金額)を帳簿価額とした場合には、当該資産については法第42条《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定により圧縮記帳をしたものとして取り扱う。
(地方税の減免に代えて交付を受けた補助金等)
9-2-5 連結法人が都道府県又は市町村から工場誘致条例又はこれに準ずる条例に基づいて補助金、奨励金等の交付を受けた場合において、当該補助金、奨励金等が実質的に税の減免に代えて交付されたものであることが明らかであると認められるときは、当該補助金、奨励金等は、法第42条第1項《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する国庫補助金等には該当しない。
(山林の取得等に充てるために交付を受けた国庫補助金等)
9-2-6 連結法人が山林の取得又は改良に充てるため、国又は地方公共団体から交付を受けた補助金は、法第42条第1項《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する国庫補助金等に該当するものとする。
第3節 工事負担金で取得した資産の圧縮記帳
(受益者の範囲)
9-3-1 法第45条第1項《工事負担金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する「受益者」には、例えば不動産業者等が、その開発した団地に必要な施設で同項に規定するものに係る工事負担金を同項各号に掲げる事業を営む法人に交付し、当該工事負担金に相当する金額を当該団地に係る土地等の購入者に負担させることとしている場合における当該不動産業者等が含まれる。
(固定資産の取得の後に工事負担金を受けた場合の圧縮記帳)
9-3-2 連結法人が工事負担金の交付を受けた日の属する連結事業年度前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてその交付の目的に適合する固定資産を取得している場合には、その交付を受けた連結事業年度において当該固定資産につき法第45条第1項又は第5項《工事負担金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定を適用することができる。この場合における圧縮限度額は、これらの規定にかかわらず、次の算式により計算した金額による。

(工事負担金を受けた連結事業年度において固定資産が取得できない場合の仮受経理等)
9-3-3 法第45条第1項各号《工事負担金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に掲げる事業を営む連結法人が、その事業に必要な施設を設けるため同項に規定する受益者から金銭又は資材の提供を受けた場合において、その提供を受けた連結事業年度終了の日までに、その施設を構成する固定資産を取得することができなかったときは、その提供を受けた金銭又は資材の価額に相当する金額を仮勘定として経理し、当該固定資産の取得をした日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてこれを取り崩して益金の額に算入することを認める。この場合において、当該固定資産については、法第45条第1項又は第5項の規定に準じて圧縮記帳をすることができる。
第4節 非出資組合が賦課金で取得した資産の圧縮記帳
(2以上の連結事業年度にわたり納付金が納付される場合の圧縮記帳)
9-4-1 法第46条第1項《非出資組合が賦課金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の非出資組合が2以上の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)にわたり納付金を納付させることとしている場合において、その納付金の全額を納付させる前にその目的となった固定資産の取得等をし、その固定資産について、次のいずれかの方法により圧縮記帳をしているときは、これを認める。
(1) その固定資産について、納付金の納付の都度、9-3-2(その納付金の納付を受けた日の属する事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、法人税基本通達10-3-2《固定資産の取得の後に工事負担金を受けた場合の圧縮記帳》)に準じて圧縮記帳をする方法
(2) その固定資産の取得等をした連結事業年度後に納付させる納付金の額を未収入金に計上し、その連結事業年度において圧縮記帳をする方法
(納付金の納付があった連結事業年度において固定資産の取得等をすることができない場合の仮受経理等)
9-4-2 9-3-3は、非出資組合が納付金の納付があった連結事業年度においてその目的となった固定資産の取得等をすることができなかった場合について準用する。
第5節 保険金等で取得した資産等の圧縮記帳
(保険金等の範囲)
9-5-1 連結法人が支払を受ける保険金、共済金又は損害賠償金(以下この節において「保険金等」という。)で法第47条第1項又は第5項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定の適用があるのは、同条第1項に規定する所有固定資産(以下この節において「所有固定資産」という。)の滅失又は損壊(以下この節において「滅失等」という。)に基因して受けるものに限られるのであるから、たとえ所有固定資産の滅失等に関連して支払を受けるものであっても、次に掲げるような保険金等についてはこれらの規定の適用がないことに留意する。
(1) 棚卸資産の滅失等により受ける保険金等
(2) 所有固定資産の滅失等に伴う休廃業等により減少し、又は生ずることとなる収益又は費用の補てんに充てるものとして支払を受ける保険金等
(立竹木の保険金等に係る圧縮記帳)
9-5-2 連結法人が、その有する立竹木の滅失等により支払を受けた法第47条第1項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する保険金等をもってその滅失等をした立竹木に代替する立竹木を取得した場合には、当該立竹木につき同項又は第5項の規定の適用を受けることができるものとする。ただし、次に掲げる立竹木の滅失等により支払を受けた保険金等をもって取得した立竹木に代替する資産については、これらの規定の適用はないものとする。
(1) 連結法人が、保険金等の支払の基因となる滅失等のあった日(以下9-5-2において「基因日」という。)前1年以内に他から購入した立竹木で販売計画等からみてその購入後おおむね1年以内に転売又は伐木されることが確実と認められるもの
(2) 原木販売業、製材業、製紙業、パルプ製造業等を営む連結法人が、基因日前1年以内に他から購入した立竹木((1) に該当する立竹木を除き、その購入をした日において通常の伐期に達していたものに限る。)
(圧縮記帳をする場合の滅失損の計上時期)
9-5-3 所有固定資産の滅失等があった場合において、その滅失等により支払を受ける保険金等の額につき、法第47条から第49条まで《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入等》の規定の適用を受けようとするときは、当該滅失等による損失の額(当該滅失等により支出した経費の額を含む。)は、保険金等の額を見積り計上する場合を除き、当該保険金等の額が確定するまでは仮勘定として損金の額に算入しないものとする。ただし、その支払を受ける保険金等が損害賠償金のみである場合には、この限りでない。 (注) 適格組織再編成に係る被合併法人等が有する固定資産の滅失等があった場合において、その滅失等により支払を受ける保険金等の額につき、当該適格組織再編成に係る合併法人等が法第47条から第49条までの規定の適用を受けようとするときの被合併法人等においても、同様とする。
(同一種類かどうかの判定)
9-5-4 法第47条第1項又は第5項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定の適用上、連結法人が取得等をした所有固定資産がその滅失等をした固定資産と同一種類の固定資産であるかどうかは、耐用年数省令別表第一に掲げる減価償却資産にあっては同表に掲げる種類の区分が同じであるかどうかにより、同別表第二に掲げる減価償却資産にあっては同表に掲げる設備の種類の区分が同じであるか又は類似するものであるかどうかによる。
(代替資産の範囲)
9-5-5 法第47条第1項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する代替資産は、所有固定資産が滅失等をしたことによりこれに代替するものとして取得等をされる固定資産に限られるのであるから、例えば、滅失等のあった時において現に自己が建設、製作、製造又は改造中であった資産は代替資産に該当しないことに留意する。
(滅失等により支出した経費の範囲)
9-5-6 令第85条第1項第1号《保険金等の額》に規定する「所有固定資産の滅失又は損壊により支出する経費」には、その滅失等があった所有固定資産の取壊費、焼跡の整理費、消防費等のように当該所有固定資産の滅失等に直接関連して支出される経費が含まれるが、類焼者に対する賠償金、けが人への見舞金、被災者への弔慰金等のように当該所有固定資産の滅失等に直接関連しない経費はこれに含まれないものとする。
(2以上の種類の資産の滅失等により支出した共通経費)
9-5-7 例えば工場用建物と機械設備が滅失等をした場合のように2以上の所有固定資産が滅失等をした場合において、これらの資産の滅失等により支出した共通の経費があるときは、その共通の経費の額については、保険金等の額の比その他合理的な基準によりこれらの資産に配賦するものとする。
(所有固定資産の滅失等により支出した経費の見積り)
9-5-8 連結法人が所有固定資産の滅失等により保険金等の支払を受けた場合において、まだ焼跡の整理に着手していない等のため当該所有固定資産の滅失等により支出すべき経費の額が確定していないときは、その経費の額を見積って令第85条第1項第1号《保険金等の額》の金額を計算し、当該所有固定資産の滅失等により支出すべき経費の額が確定した場合に、その額が確定した日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)においてその確定した経費の額により調整する。
(注) 本文の取扱いにより所有固定資産の滅失等により支出すべき経費の額を見積って圧縮記帳の規定の適用をした固定資産を適格組織再編成により移転した場合には、当該固定資産の移転を受けた合併法人等においてその経費の額が確定したときに、その額が確定した日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)でその確定した経費の額により調整する。
(先行取得した代替資産等についての圧縮額の損金算入)
9-5-9 連結法人が保険金等の額が確定する前にその滅失等をした所有固定資産に係る代替資産の取得等をした場合において、当該代替資産につきその保険金等の額が確定した日の属する連結事業年度において法第47条第1項又は第5項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》の規定を適用するときは、その圧縮限度額は、令第85条第1項《保険金等で取得した代替資産等の圧縮限度額》の規定にかかわらず、次の算式により計算した金額とする。

第6節 交換により取得した資産の圧縮記帳
(遊休資産の交換)
9-6-1 法第50条第1項又は第5項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定は、現に事業の用に供していない固定資産を交換した場合にも適用があるものとする。
(建設中の期間)
9-6-2 法第50条第1項又は第5項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定を適用する場合において、その交換の対象となった資産を1年以上有していたかどうかの判定については、建物等の建設中の期間はその所有期間に含めない。
(交換の対象となる土地の範囲)
9-6-3 法第50条第1項第1号《交換の対象となる資産》に規定する土地には、立木その他独立して取引の対象となる土地の定着物は含まれないのであるが、その土地が宅地である場合には、庭木、石垣、庭園(庭園に附属する亭、庭内神し(祠)その他これらに類する附属設備を含む。)その他これらに類するもののうち宅地と一体として交換されるもの(同項第2号に該当するものを除く。)は含まれる。
(交換の対象となる耕作権の範囲)
9-6-4 法第50条第1項第1号《交換の対象となる資産》に規定する「農地法第2条第1項に規定する農地の上に存する耕作に関する権利」とは、耕作を目的とする地上権、永小作権又は賃借権で、これらの権利の移転、これらの権利に係る契約の解除等をする場合には、同法第3条第1項、第5条第1項又は第20条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限等》の規定の適用があるものをいう。
(交換の対象となる建物附属設備等)
9-6-5 法第50条第1項第2号かっこ書《交換の対象となる建物附属設備》に規定する建物に附属する設備及び構築物は、その建物と一体となって交換される場合に限り建物として同条の規定の適用があるのであるから、建物に附属する設備又は構築物は、それぞれ単独には同条の規定の適用がないことに留意する。
(借地権の交換等)
9-6-6 例えば自己の有する土地に新たに借地権を設定(令第 138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用のある設定に限る。)し、その設定の対価として相手方から土地等を取得する場合のように、実質的には固定資産の交換であるが手続上は権利の設定等の方法によらざるを得ないものについても法第50条第1項又は第5項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定を適用することができるものとする。
(2以上の種類の資産を交換した場合の交換差金等)
9-6-7 連結法人が2以上の種類の固定資産を同時に交換した場合、例えば、土地及び建物と土地及び建物とを交換した場合には、土地は土地と建物は建物とそれぞれ交換したものとする。この場合において、これらの資産は全体としては等価であるが、土地と土地、建物と建物とはそれぞれの時価が異なっているときは、それぞれの交換の時における価額の差額は交換差金等となることに留意する。
(資産の一部を交換とし他の部分を譲渡とした場合の交換の特例の適用)
9-6-8 連結法人がその有する固定資産を交換する場合において、一体となって同じ効用を有する同種の資産のうち、その一部については交換とし、他の部分については譲渡としているときは、法第50条《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定の適用については、当該他の部分を含めて交換があったものとし、その譲渡代金は交換差金等とする。
(交換資産の時価)
9-6-9 例えば交換の当事者が通常の取引価額が異なる2以上の固定資産を相互に等価であるものとして交換した場合においても、その交換がその交換をするに至った事情に照らし正常な取引条件に従って行われたものであると認められるときは、法第50条《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定の適用上、これらの資産の価額は当該当事者間において合意されたところによるものとする。
(譲渡資産の譲渡直前の用途)
9-6-10 法第50条第1項又は第5項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》に規定する譲渡資産の譲渡直前の用途は、連結法人が当該譲渡資産を他の用途に供するために改造に着手している等改造して他の用途に供することとしている場合には、この改造後の用途をいう。
(取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したかどうかの判定)
9-6-11 連結法人が固定資産を交換した場合において、取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したかどうかは、その資産の種類に応じ、おおむね次に掲げる区分により判定する。
(1) 土地にあっては、その現況により、宅地、田畑、鉱泉地、池沼、山林、牧場又は原野、その他の区分
(2) 建物にあっては、居住の用、店舗又は事務所の用、工場の用、倉庫の用、その他の用の区分
(3) 機械及び装置にあっては、その機械及び装置の属する耐用年数省令別表第二に掲げる設備の種類の区分
(4) 船舶にあっては、漁船、運送船(貨物船、油槽船、薬品槽船、客船等をいう。)、作業船(しゅんせつ船及び砂利採取船を含む。)、その他の区分
(注) (2) の適用については、店舗又は事務所と住宅とに併用されている家屋は、居住専用又は店舗専用若しくは事務所専用の家屋と認めて差し支えない。
(取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供する時期)
9-6-12 連結法人がその有する固定資産を交換した場合において、取得資産をその交換の日の属する連結事業年度の連結確定申告書の提出期限(法第81条の24《連結確定申告書の提出期限の延長の特例》の規定によりその提出期限が延長されている場合には、その延長された期限とする。以下9-6-12において同じ。)までに譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供したときは、法第50条第1項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定を適用することができるものとする。この場合において、取得資産が譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供するため改造等を要するものであるときは、連結法人が当該提出期限までにその改造等の発注をするなどその改造等に着手し、かつ、相当期間内にその改造等を了する見込みであるときに限り、当該提出期限までに同一の用途に供されたものとして取り扱う。
(譲渡資産の譲渡に要した経費)
9-6-13 令第92条第1項《交換により生じた差益金の額》の「譲渡資産の譲渡に要した経費の額」には、交換に当たり支出した譲渡資産に係る仲介手数料、取外費、荷役費、運送保険料その他その譲渡に要した経費の額のほか、土地の交換に関する契約の一環として、又は当該交換のために当該土地の上に存する建物等につき取壊しをした場合におけるその取壊しにより生じた損失の額(その取壊しに伴い借家人に対して支払った立退料の額を含む。)が含まれる。
(交換により取得した資産の圧縮記帳の経理の特例)
9-6-14 法第50条第1項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定を適用する場合において、連結法人が同項に規定する取得資産につき、その帳簿価額を損金経理により減額しないで、同項に規定する譲渡資産の令第92条《交換により生じた差益金の額》に規定する譲渡直前の帳簿価額とその取得資産の取得のために要した経費との合計額に相当する金額を下らない金額をその取得価額としたときは、これを認める。この場合においても、法第50条第3項の規定の適用があることに留意する。
第10章 引当金
第1節 通則
(貸倒引当金等の差額繰入れ等の特例)
10-1-1 連結法人が貸倒引当金その他法に規定する引当金につき当該連結事業年度の取崩額と当該連結事業年度の繰入額との差額を損金経理により繰り入れ又は取り崩して益金の額に算入している場合においても、連結確定申告書に添付する明細書にその相殺前の金額に基づく繰入れ等であることを明らかにしているときは、その相殺前の金額によりその繰入れ及び取崩しがあったものとして取り扱う。
第2節 貸倒引当金
第1款 通則
(取立不能見込額として表示した貸倒引当金)
10-2-1 連結法人が貸倒引当金勘定への繰入れの表示に代えて取立不能見込額として表示した場合においても、当該取立不能見込額の表示が財務諸表の注記等により確認でき、かつ、貸倒引当金勘定への繰入れであることが総勘定元帳及び連結確定申告書において明らかにされているときは、当該取立不能見込額は、貸倒引当金勘定への繰入額として取り扱う。
第2款 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金
(個別評価金銭債権に係る貸倒引当金と一括評価金銭債権に係る貸倒引当金との関係)
10-2-2 法第52条第1項《貸倒引当金》に規定する個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算と同条第2項に規定する一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算は、それぞれ別に計算することとされていることから、例えば、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入額に繰入限度超過額があり、他方、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入額が繰入限度額に達していない場合であっても、当該繰入限度超過額を当該一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入額として取り扱うことはできないことに留意する。
(複数の連結法人が同一債務者に対する金銭債権を有する場合の個別評価金銭債権の判定)
10-2-3 法第52条《貸倒引当金》の規定の適用に当たって、連結法人及び他の連結法人が同一の債務者に対して金銭債権を有しているときには、各連結法人ごとにその有する金銭債権が同条第1項《個別評価金銭債権》に規定する個別評価金銭債権に該当するかどうかを判定することに留意する。
(貸倒損失の計上と個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入れ)
10-2-4 法第52条第1項《貸倒引当金》の規定の適用に当たり、連結確定申告書に「個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書」が添付されていない場合であっても、それが貸倒損失を計上したことに基因するものであり、かつ、当該連結確定申告書の提出後に当該明細書が提出されたときは、同条第4項の規定を適用し、当該貸倒損失の額を当該債務者についての個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入れに係る損金算入額として取り扱うことができるものとする。
(注) 本文の適用は、同条第1項の規定に基づく個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入れに係る損金算入額の認容であることから、同項の規定の適用に関する疎明資料の保存がある場合に限られる。
(貸倒れに類する事由)
10-2-5 法第52条第1項《貸倒引当金》に規定する「貸倒れその他これに類する事由」には、売掛金、貸付金その他これらに類する金銭債権の貸倒れのほか、例えば、保証金や前渡金等について返還請求を行った場合における当該返還請求債権が回収不能となったときがこれに含まれる。
(裏書譲渡をした受取手形)
10-2-6 連結法人がその有する金銭債権について取得した受取手形で当該金銭債権に係る債務者が振り出し、又は引き受けたものを裏書譲渡(割引を含む。以下10-2-6において同じ。)した場合には、当該受取手形に係る既存債権を法第52条第1項《貸倒引当金》に規定する金銭債権に該当するものとして取り扱う。
(注) この取扱いは、その裏書譲渡された受取手形の金額が財務諸表の注記等において確認できる場合に適用する。
(担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額)
10-2-7 令第96条第1項第1号及び第3号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額とは、質権、抵当権、所有権留保、信用保険等によって担保されている部分の金額をいうことに留意する。
(相当期間の意義)
10-2-8 令第96条第1項第2号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する「債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続し、かつ、その営む事業に好転の見通しがないこと」における「相当期間」とは、「おおむね1年以上」とし、その債務超過に至った事情と事業好転の見通しをみて、同号に規定する事由が生じているかどうかを判定するものとする。
(人的保証に係る回収可能額の算定)
10-2-9 令第96条第1項第2号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する「当該個別評価金銭債権の一部の金額につきその取立て等の見込みがないと認められる場合」における「当該一部の金額に相当する金額」とは、その金銭債権の額から担保物の処分による回収可能額及び人的保証に係る回収可能額などを控除して算定するのであるが、次に掲げる場合には、人的保証に係る回収可能額の算定上、回収可能額を考慮しないことができる。
(1) 保証債務の存否に争いのある場合で、そのことにつき相当の理由のあるとき
(2) 保証人が行方不明で、かつ、当該保証人の有する資産について評価額以上の質権、抵当権(以下10-2-9において「質権等」という。)が設定されていること等により当該資産からの回収が見込まれない場合
(3) 保証人について同項第3号に掲げる事由が生じている場合
(4) 保証人が生活保護を受けている場合(それと同程度の収入しかない場合を含む。)で、かつ、当該保証人の有する資産について評価額以上の質権等が設定されていること等により当該資産からの回収が見込まれないこと。
(5) 保証人が個人であって、次のいずれにも該当する場合
イ 当該保証人が有する資産について評価額以上の質権等が設定されていること等により、当該資産からの回収が見込まれないこと。
ロ 当該保証人の年収額(その連結事業年度終了の日の直近1年間における収入金額をいう。)が当該保証人に係る保証債務の額の合計額(当該保証人の保証に係る金銭債権につき担保物がある場合には当該金銭債権の額から当該担保物の価額を控除した金額をいう。以下10-2-9において同じ。)の5%未満であること。
(注)1 当該保証人に係る保証債務の額の合計額には、当該保証人が他の債務者の金銭債権につき保証をしている場合には、当該他の債務者の金銭債権に係る保証債務の額の合計額を含めることができる。
2 上記ロの当該保証人の年収額については、その算定が困難であるときは、当該保証人の前年(当該連結事業年度終了の日を含む年の前年をいう。)分の収入金額とすることができる。
(担保物の処分以外に回収が見込まれない場合等の個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入れ)
10-2-10 令第96条第1項第2号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する「その他の事由が生じていることにより、当該個別評価金銭債権の一部の金額につきその取立て等の見込みがないと認められる場合」には、次に掲げる場合が含まれることに留意する。この場合において、同号に規定するその取立て等の見込みがないと認められる金額とは、当該回収できないことが明らかになった金額又は当該未収利息として計上した金額をいう。
(1) 連結法人の有するその金銭債権の額のうち担保物の処分によって得られると見込まれる金額以外の金額につき回収できないことが明らかになった場合において、その担保物の処分に日時を要すると認められるとき
(2) 貸付金又は有価証券(以下この(2) において「貸付金等」という。)に係る未収利息を資産に計上している場合において、当該計上した連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)終了の日(当該貸付金等に係る未収利息を2以上の連結事業年度において計上しているときは、これらの連結事業年度のうち最終の連結事業年度終了の日)から2年を経過した日の前日を含む連結事業年度終了の日までの期間に、各種の手段を活用した支払の督促等の回収の努力をしたにもかかわらず、当該期間内に当該貸付金等に係る未収利息(当該資産に計上している未収利息以外の利息の未収金を含む。)につき、債務者が債務超過に陥っている等の事由からその入金が全くないとき
(実質的に債権とみられない部分)
10-2-11 令第96条第1項第3号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する「当該個別評価金銭債権の額のうち、当該債務者から受け入れた金額があるため実質的に債権とみられない部分の金額」とは、次に掲げるような金額がこれに該当する。
(1) 同一人に対する売掛金又は受取手形と買掛金がある場合のその売掛金又は受取手形の金額のうち買掛金の金額に相当する金額
(2) 同一人に対する売掛金又は受取手形と買掛金がある場合において、当該買掛金の支払のために他から取得した受取手形を裏書譲渡したときのその売掛金又は受取手形の金額のうち当該裏書譲渡した手形(支払期日の到来していないものに限る。)の金額に相当する金額
(3) 同一人に対する売掛金とその者から受け入れた営業に係る保証金がある場合のその売掛金の額のうち保証金の額に相当する金額
(4) 同一人に対する売掛金とその者から受け入れた借入金がある場合のその売掛金の額のうち借入金の額に相当する金額
(5) 同一人に対する完成工事の未収金とその者から受け入れた未成工事に対する受入金がある場合のその未収金の額のうち受入金の額に相当する金額
(6) 同一人に対する貸付金と買掛金がある場合のその貸付金の額のうち買掛金の額に相当する金額
(7) 使用人に対する貸付金とその使用人から受け入れた預り金がある場合のその貸付金の額のうち預り金の額に相当する金額
(8) 専ら融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計上した場合のその受取手形の金額のうち借入金の額に相当する金額
(9) 同一人に対する未収地代家賃とその者から受け入れた敷金がある場合のその未収地代家賃の額のうち敷金の額に相当する金額
(第三者の振り出した手形)
10-2-12 令第96条第1項第3号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》の規定を適用する場合において、連結法人が債務者から他の第三者の振り出した手形(債務者の振り出した手形で第三者の引き受けたものを含む。)を受け取っている場合における当該手形の金額に相当する金額は、取立て等の見込みがあると認められる部分の金額に該当することに留意する。
(手形交換所の取引停止処分)
10-2-13 連結法人の各連結事業年度終了の日までに債務者の振り出した手形が不渡りとなり、当該連結事業年度分に係る連結確定申告書の提出期限(法第81条の24《連結確定申告書の提出期限の延長の特例》の規定によりその提出期限が延長されている場合には、その延長された期限)までに当該債務者について規則第25条の3《更生手続開始の申立て等に準ずる事由》に規定する手形交換所による取引停止処分が生じた場合には、当該連結事業年度において令第96条第1項第3号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》の規定を適用することができる。
(国外にある債務者)
10-2-14 国外にある債務者について、令第96条第1項第1号又は第3号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に掲げる事由に類する事由が生じた場合には、これらの規定の適用があることに留意する。
(中央銀行の意義)
10-2-15 令第96条第1項第4号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する「中央銀行」とは、金融機関でその本店又は主たる事務所の所在する国において、通貨の調節、金融の調整又は信用制度の保持育成の業務その他これに準ずる業務を行うものをいう。
(繰入れ対象となる公的債務者に対する個別評価金銭債権)
10-2-16 令第96条第1項第4号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に掲げる個別評価金銭債権は、次に掲げる金銭債権とする。
ただし、債務者が外国の地方公共団体である場合において、その金銭債権の元本の返済及び利息等の支払に係る債務不履行の原因が当該地方公共団体の属する国の外貨準備高の不足によるものであることが明らかなときは、当該地方公共団体に対する金銭債権については、この限りでない。
(1) 債務者たる外国の政府、中央銀行及び地方公共団体(以下10-2-17までにおいて「公的債務者」という。)に対して有する金銭債権につき債務不履行が生じたため、当該公的債務者との間の金銭債権に係る契約において定められているところに従い、当該連結法人が当該公的債務者に対して債務不履行宣言を行った場合で、次に掲げる要件のすべてを満たすとき 当該公的債務者に対して有する金銭債権の額
イ 当該債務不履行宣言を行った日以後その連結事業年度終了の日までの間において、当該債務不履行の状態が継続し、かつ、当該連結法人が、当該公的債務者に対する融資又は当該公的債務者との間で金銭債権に係る債務の履行期限の延長に関する契約の締結若しくは物品販売等の取引を行っていないこと。
ロ その連結事業年度終了の日において、当該連結法人が、当該公的債務者に対する融資又は当該公的債務者との間で金銭債権に係る債務の履行期限の延長に関する契約の締結若しくは物品販売等の取引を行う具体的な計画を有していないこと。
(注)1 債務不履行宣言とは、債務者に対する金銭債権につき債務不履行が生じた場合に、当該金銭債権に係る期限の利益の喪失を目的として債権者が行う宣言をいう。
2 当該連結法人以外の者が外国の公的債務者に対して債務不履行宣言を行った場合において、当該債務不履行宣言の効果が当該連結法人に及ぶことが金銭債権に係る契約書において定められているときであっても、当該連結法人の当該公的債務者に対して有する金銭債権につき債務不履行が生じていないときは、同号に掲げる事由に該当しないことに留意する。
(2) 外国の公的債務者が次に掲げるすべての要件を満たす場合 当該公的債務者に対して有する金銭債権のうち元本等の返済及び利息等の支払に係る債務不履行の期間(当該金銭債権が適格組織再編成により移転を受けたものである場合にあっては、当該適格組織再編成に係る被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人における債務不履行の期間を含む。)がその連結事業年度終了の日以前3年以上の期間にわたっているものの金額
イ その連結事業年度終了の日以前3年間(以下10-2-16において「期末以前3年間」という。)において、当該公的債務者に対する金銭債権につき元本等の返済及び利息等の支払がないこと。
ロ 当該連結法人(その金銭債権が適格組織再編成により移転を受けたものである場合にあっては、当該適格組織再編成に係る被合併法人、分割法人、現物出資法人又は事後設立法人を含む。)が、期末以前3年間において、当該公的債務者に対する融資又は当該公的債務者との間で金銭債権に係る債務の履行期限の延長に関する契約の締結若しくは物品販売等の取引を行っていないこと。
ハ その連結事業年度終了の日において、当該連結法人が、当該公的債務者に対する融資又は当該公的債務者との間で金銭債権に係る債務の履行期限の延長に関する契約の締結若しくは物品販売等の取引を行う具体的な計画を有していないこと。
(取立て等の見込みがあると認められる部分の金額)
10-2-17 令第96条第1項第4号かっこ書《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する「取立て等の見込みがあると認められる部分の金額」とは、次に掲げる金額をいう。 (1) 当該個別評価金銭債権につき他の者(当該連結法人の当該他の者に対する金銭債権につき債務不履行が生じている者を除く。以下(4) において同じ。)により債務の保証が付されている場合の当該保証が付されている部分に相当する金額
(2) 当該個別評価金銭債権につき債務の履行不能によって生ずる損失をてん補する保険が付されている場合の当該保険が付されている部分に相当する金額
(3) 当該個別評価金銭債権につき質権、抵当権、所有権留保等によって担保されている場合の当該担保されている部分の金額
(4) 当該公的債務者から他の者が振り出した手形(当該公的債務者の振り出した手形で他の者の引き受けたものを含む。)を受け取っている場合のその手形の金額に相当する金額等実質的に債権と認められない金額
第3款 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金
(売掛金、貸付金に準ずる債権)
10-2-18 法第52条第2項《貸倒引当金》に規定する「その他これらに準ずる金銭債権」には、次のような債権が含まれる。
(1) 未収の譲渡代金、未収加工料、未収請負金、未収手数料、未収保管料、未収地代家賃等又は貸付金の未収利子で、益金の額に算入されたもの
(2) 他人のために立替払をした場合の立替金(10-2-20の(4) に該当するものを除く。)
(3) 未収の損害賠償金で益金の額に算入されたもの
(4) 保証債務を履行した場合の求償権
(5) 法第81条の18第1項《連結法人税の個別帰属額の計算》に規定する「法人税の負担額」又は「法人税の減少額」として収入すべき金額に係る未収金(当該連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人に対して有するものを除く。)
(注) 連結法人がその有する売掛金、貸付金等の債権について取得した先日付小切手を同項に規定する金銭債権に含めている場合には、その計算を認める。
(裏書譲渡をした受取手形)
10-2-19 連結法人がその有する売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権(以下この款において「売掛債権等」という。)について取得した受取手形につき裏書譲渡(割引を含む。以下10-2-19において同じ。)をした場合には、当該売掛金、貸付金等の既存債権を売掛債権等に該当するものとして取り扱う。したがって、裏書により取得した受取手形(手形法(昭和7年法律第20号)第18条第1項《取立委任裏書》本文又は第19条第1項《質入裏書》本文に規定する裏書により取得したものを除く。)で、その取得の原因が売掛金、貸付金等の既存債権と関係のないものについて更に裏書譲渡をした場合には、その受取手形の金額は売掛債権等の額に含まれないことに留意する。
(注) この取扱いは、その裏書譲渡された受取手形の金額が財務諸表の注記等において確認できる場合に適用する。
(売掛債権等に該当しない債権)
10-2-20 次に掲げるようなものは、売掛債権等には該当しない。
(1) 預貯金及びその未収利子、公社債の未収利子、未収配当その他これらに類する債権
(2) 保証金、敷金(借地権、借家権等の取得等に関連して無利息又は低利率で提供した建設協力金等を含む。)、預け金その他これらに類する債権
(3) 手付金、前渡金等のように資産の取得の代価又は費用の支出に充てるものとして支出した金額
(4) 前払給料、概算払旅費、前渡交際費等のように将来精算される費用の前払として一時的に仮払金、立替金等として経理されている金額
(5) 金融機関における他店為替貸借の決済取引に伴う未決済為替貸勘定の金額
(6) 証券会社又は証券金融会社に対し、借株の担保として差し入れた信用取引に係る株式の売却代金に相当する金額
(7) 雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定に基づき交付を受ける給付金等の未収金
(8) 仕入割戻しの未収金
(9) 保険会社における代理店貸勘定(外国代理店貸勘定を含む。)の金額
(10) 法第61条の5第1項《デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等》に規定する未決済デリバティブ取引に係る差金勘定等の金額
(11) 連結法人がいわゆる特定目的会社(SPC)を用いて売掛債権等の証券化を行った場合において、当該特定目的会社の発行する証券等のうち当該連結法人が保有することとなったもの
(注) 仮払金等として計上されている金額については、その実質的な内容に応じて売掛債権等に該当するかどうかを判定することに留意する。
(割賦未収金等)
10-2-21 連結法人が長期割賦販売等に該当する資産の販売等に係る収益について延払基準を適用している場合には、当該長期割賦販売等により生じた割賦未収金等は売掛債権等に該当するものとする。この場合において、連結法人が各連結事業年度終了の時において履行期日の到来しない部分を割賦未収金等としないで棚卸資産等として経理しているときであっても、その棚卸資産等の帳簿価額に相当する金額は売掛債権等の額に該当するものとする。
(注) 平成10年改正法附則第9条《割賦販売等に関する経過措置》の規定の適用を受けた割賦販売等に係る割賦未収金等についても、同様とする。
(工事進行基準を適用した場合の未収金)
10-2-22 連結法人が工事(製造を含む。以下10-2-22において同じ。)の収益について法第64条第1項又は第2項《工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する工事進行基準を適用している場合には、たとえ当該収益に対応する工事収入金を未収金として計上しているときであっても、当該工事の目的物の引渡しがあるまでは当該未収金は売掛債権等に該当しないことに留意する。
(返品債権特別勘定を設けている場合の売掛債権等の額)
10-2-23 出版業を営む連結法人が返品債権特別勘定を設けている場合の売掛債権等の金額は、当該連結事業年度終了の時における売掛債権等の金額から当該返品債権特別勘定の金額に相当する金額を控除した金額によることに留意する。
(貸倒損失の範囲-返品債権特別勘定の繰入額等)
10-2-24 次に掲げるような金額は、令第96条第2項第2号イ《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に規定する売掛債権等の貸倒れによる損失の額には含まれない。
(1) 8-6-4《返品債権特別勘定の設定》により返品債権特別勘定に繰り入れた金額
(2) 外貨建ての債権の換算による損失の額
(3) 売掛債権等の貸倒れによる損失の額のうち保険金等により補てんされた部分の金額
第3節 返品調整引当金
(既製服の製造業の範囲)
10-3-1 令第99条第3号《医薬品等の製造業》に掲げる既製服の製造業には、背広服、制服、婦人子供服等一般に既製服と称されているものの製造業のほか、既製和服、メリヤス製婦人服、スポーツウェアその他通常外衣として着用される既製の衣服の製造業が含まれるものとする。
(磁気音声再生機用レコードの製造業の意義)
10-3-2 令第99条第3号《医薬品等の製造業》に掲げる磁気音声再生機用レコードの製造業とは、いわゆる録音済みのカセットテープの製造業のように、磁気音声再生機用レコードをマザーテープ等から複製により多量に製造する事業をいう。
(注) 磁気音声再生機用レコードとは、いわゆるカーステレオ、テープレコーダー等により音声を再生することのできる磁気テープ、磁気シート等で録音済みのものをいう。
(特約を結んでいる連結法人の範囲)
10-3-3 令第99条《返品調整引当金勘定を設定することができる事業の範囲》に掲げる事業(以下この節において「対象事業」という。)を営む連結法人が、その販売先との間に文書により令第 100条《返品調整引当金勘定の設定要件》に掲げる事項を内容とする特約を結んでいない場合であっても、慣習によりその販売先との間に同条に掲げる事項につき特約があると認められるときは、当該連結法人は法第53条第1項《返品調整引当金》の特約を結んでいるものに該当するものとする。
(売掛金の範囲)
10-3-4 令第 101条第1項第1号《売掛金基準》の売掛金には、その売掛金について取得した受取手形(割引又は裏書譲渡をしたものを含む。)を含むものとする。 (注) 10-2-19の (注) は、この取扱いを適用する場合について準用する。
(割戻しがある場合の棚卸資産の販売の対価の額の合計額等の計算)
10-3-5 連結法人が対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額につき割戻しをした金額がある場合において、次の金額を計算するときは、それぞれ次による。
(1) 令第 101条第1項第2号《販売高基準》に規定する「各事業年度終了の日以前2月間における対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額」の合計額は、次の算式により計算した金額を控除した金額による。
(算式)

(2)同条第2項第1号《返品率》に規定する「当該対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額の合計額」は、同項柱書きに規定する「買戻事業年度」において割戻しをした金額を控除しないところの金額による。
(3) 同条第3項《売買利益率》に規定する「当該事業年度における当該対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額の合計額」は、当該連結事業年度において割戻しをした金額を控除した金額による。
(注) 同条第1項第1号《売掛金基準》の規定を適用する場合において、当該連結事業年度終了の時に未払金に計上している割戻しの金額があるときにおいても、当該割戻しの金額は、同号に規定する売掛金の帳簿価額の合計額の計算に関係させないことができる。
(特約に基づく買戻しがある場合の期末前2月間の棚卸資産の販売の対価の額の合計額)
10-3-6 令第 101条第1項第2号《販売高基準》に規定する「各事業年度終了の日以前2月間における対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額」の合計額は、その対象事業につき特約に基づく棚卸資産の買戻しに係る対価の額がある場合であっても、当該対価の額を控除しないで計算するものとする。
(買戻しに係る対価の額の計算)
10-3-7 令第 101条第2項第2号《返品率》に規定する「棚卸資産の買戻しに係る対価の額の合計額」には、販売した棚卸資産について受け入れた物的なかしに基づく返品の額は含まれないのであるが、返品が物的なかしに基づくものであるかどうか明らかでない場合において、連結法人がその返品の額を当該合計額に含めているときは、これを認める。
(低価法を採用している場合の売上原価の計算)
10-3-8 棚卸資産の評価額の計算について低価法を採用している連結法人が当該棚卸資産の時価が原価法による原価より低いため時価を評価額としている場合において、当該原価と時価との差額を営業外費用として経理しているときは、その差額は、令第 101条第3項《売買利益率》の売上原価に含めるものとする。
(売買利益率の計算における広告料収入)
10-3-9 出版業を営む連結法人が令第 101条第3項《売買利益率》に規定する売買利益率を計算する場合において、その出版業に係る広告料収入があるときは、その広告料収入及びその原価の額は、当該出版業に係る棚卸資産の販売の対価の額の合計額及びその売上原価の額に含めないのであるが、その広告料収入に係る原価の額を区分することが困難である場合には、広告料収入及びその原価の額をそれぞれ出版業に係る棚卸資産の販売の対価の額の合計額及びその売上原価の額に含めて計算することができる。
(売買利益率の計算の基礎となる販売手数料の範囲)
10-3-10 令第 101条第3項《売買利益率》に規定する販売手数料には、当該連結法人の使用人たる外交員等に対して支払う歩合給、手数料等で所得税法第 204条《源泉徴収義務》に規定する報酬等に該当するものも含まれる。
(返品債権特別勘定を設けている場合の期末売掛金等)
10-3-11 連結法人が返品債権特別勘定を設けている場合には、令第 101条第1項第1号《売掛金基準》に規定する売掛金の帳簿価額には8-6-5の(1) 《返品債権特別勘定の繰入限度額》の雑誌の販売に係る売掛金の帳簿価額を、同項第2号《販売高基準》の対価の額には8-6-5の(2) の雑誌の販売の対価の額を、それぞれ含めないことに留意する。
第11章 繰越連結欠損金
第1節 連結事業年度の連結欠損金
(繰越連結欠損金の損金算入の順序)
11-1-1 法第81条の9第1項《連結欠損金の繰越し》の規定による連結欠損金額の損金算入は、当該連結事業年度に繰り越された連結欠損金額が2以上の連結事業年度において生じたものからなる場合には、そのうち最も古い連結事業年度において生じた連結欠損金額に相当する金額から順次損金算入を行うものであることに留意する。
(連結事業年度に複数の分割型分割を行った場合の欠損金額相当額の損金算入)
11-1-2 連結法人を分割法人とする分割型分割(連結親法人事業年度開始の日に行うものを除く。以下11-1-2において「第1分割」という。)を行った場合において、当該第1分割の日から同日の属する連結親法人事業年度終了の日までの間に、当該連結法人を分割法人とする分割型分割(以下11-1-2において「第2分割」という。)を行ったときにおける第1分割前事業年度(第1分割の日の前日の属する事業年度をいう。以下11-1-2において同じ。)及び第2分割前事業年度(第2分割の日の前日の属する事業年度をいう。以下11-1-2において同じ。)に生じた欠損金額の取扱いは、次による。
(1) 第1分割前事業年度において生じた欠損金額は、令第 112条第11項《分割前事業年度に生じた欠損金額の損金算入》の規定により第2分割前事業年度の損金の額に算入する。
(2) 第2分割前事業年度において生じた欠損金額は、法第81条の9第4項《分割前事業年度に生じた欠損金額の損金算入》の規定により第2分割の日の属する連結事業年度の損金の額に算入する。
(注) 第1分割前事業年度において生じた欠損金額については第2分割の日の属する連結事業年度において同項の規定の適用はないのであるから留意する。
第2節 私財提供等があった場合の繰越連結欠損金
(整理開始の命令に準ずる事実等)
11-2-1 令第 117条第4号《整理開始の命令に準ずる事実等》に規定する「前3号に掲げる事実に準ずる事実」とは、次に掲げる事実をいう。
(1) 同条第1号から第3号までに掲げる事実以外において法律の定める手続による資産の整理があったこと。
(2) 主務官庁の指示に基づき再建整備のための一連の手続を織り込んだ一定の計画を作成し、これに従って行う資産の整理があったこと。
(3) (1)及び(2)以外の資産の整理で、例えば、親子会社間において親会社が子会社に対して有する債権を単に免除するというようなものでなく、債務の免除等が多数の債権者によって協議の上決められる等その決定についてし意性がなく、かつ、その内容に合理性があると認められる資産の整理があったこと。
第12章 組織再編成に係る連結所得の金額の計算
第1節 通則
(被合併法人等から引継ぎ等を受けた帳簿価額の修正)
12-1-1 適格合併により合併法人が被合併法人から移転を受けた資産又は負債につき、合併後被合併法人の合併の日の前日の属する連結事業年度以前に終了する各連結事業年度分の調査により税務上の否認金の額があることが判明した場合には、当該合併法人の当該合併の日の資産及び負債の帳簿価額は当該否認金に相当する金額を加算又は減算した金額となることに留意する。
適格分割、適格現物出資又は適格事後設立により分割法人、現物出資法人又は事後設立法人から移転を受けた資産又は負債についても、同様とする。
(注)1 適格合併又は適格分割に係る被合併法人又は分割法人に繰越欠損金がある場合において、合併法人又は分割承継法人がその繰越欠損金の全部又は一部に相当する金額を営業権として受け入れているときであっても、当該営業権については移転がなかったことになるのであるから留意する。
2 「合併の日の前日の属する連結事業年度」及び「各連結事業年度」は、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度とする。
(資産等の引継ぎに関する書類の提出)
12-1-2 連結法人が、当該連結法人を分割法人とする適格分割型分割(連結親法人事業年度開始の日に行うものに限る。)を行った場合において、当該連結法人(当該連結法人が連結子法人である場合には、当該連結子法人の連結親法人)が法第81条の24《連結確定申告書の提出期限の延長の特例》に規定する連結確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受けているときであっても、令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される次に掲げる規定の適用を受けるときは、これらの規定に規定する書類の提出は、当該適格分割型分割の日以後2月以内に行わなければならないことに留意する。
(1) 法第32条第5項《移転する資産等と関連を有する繰延資産の引継ぎに係る届出》
(2) 法第43条第9項《国庫補助金等に係る特別勘定の引継ぎに係る届出》
(3) 法第48条第9項《保険差益等に係る特別勘定の引継ぎに係る届出》
(4) 令第 133条の2第7項《一括償却資産の引継ぎに係る届出》
(5) 令第 139条の4第12項《繰延消費税額等の引継ぎに係る届出》
(抱き合わせ株式に株式等を割り当てなかった場合)
12-1-3 連結法人が合併法人となる合併又は分割承継法人となる分割型分割を行った場合に、当該連結法人が被合併法人の株式(出資を含む。以下12-1-3において同じ。)又は分割法人の株式を有しているときにおける法第61条の2第4項《合併及び分割型分割による株式割当等がない場合の譲渡利益額又は譲渡損失額の計算》に規定する株式割当等を受けたものとみなされる自己の株式につき、法第2条第17号の2《定義》の規定により同条第17号ムの規定に準じて計算するときの「自己の株式の帳簿価額に相当する金額」は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる価額となることに留意する。
(1) 適格合併又は適格分割型分割の場合 法第61条の2第2項《有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入》に規定する「合併の直前の帳簿価額に相当する金額」又は同条第3項に規定する「分割型分割の直前の分割純資産対応帳簿価額」
(2) 適格合併に該当しない合併又は適格分割型分割に該当しない分割型分割で合併法人の株式又は分割承継法人の株式のみが交付される場合 (1) に掲げる金額と法第24条第1項《配当等の金額とみなす金額》の規定により計算される利益の配当等とみなす金額との合計額
(3) (1)又は(2)以外の場合 当該株式割当等を受けたものとみなされる自己の株式の法第62条第1項後段《合併及び分割による資産等の時価による譲渡》の規定による合併又は分割の時の価額
第2節 特定資産に係る譲渡等損失額
(名義株がある場合の特定資本関係の判定)
12-2-1 被合併法人等(被合併法人、分割法人又は現物出資法人をいう。)と合併法人等(合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人をいう。以下この章において同じ。)との間に法第62条の7第1項(同条第3項において読み替えて準用される場合を含む。以下この章において同じ。)《特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入》に規定する特定資本関係(以下この章において「特定資本関係」という。)があるかどうかを判定する場合において、一方の法人が他方の法人の株式(出資を含む。)を保有する関係かどうかは、株主名簿又は社員名簿に記載されている株主等により判定するのであるが、その株主等が単なる名義人であって、当該株主等以外の者が実際の権利者である場合にはその実際の権利者が保有するものとして判定する。
(共同で事業を営むための適格合併等の判定)
12-2-2 法第62条の7第1項《特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入》に規定する「共同で事業を営むための適格合併、適格分割又は適格現物出資」に該当するかどうかの判定に当たっては、1-6-4《従業者の範囲》から1-6-7《特定役員の範囲》までの取扱いを準用する。
(圧縮記帳を適用している資産に係る帳簿価額又は取得価額)
12-2-3 合併法人等が法第62条の7第1項《特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入》に規定する特定適格合併等により特定資本関係法人(同項に規定する特定資本関係法人をいう。以下12-2-5において同じ。)において圧縮記帳の適用を受けた資産の移転を受けた場合において、当該資産が令第 123条の8第6項第3号《特定引継資産から除かれる資産》に掲げる帳簿価額又は取得価額が 1,000万円に満たない資産に該当するかどうかの判定を行うときは、当該資産に係る引当金又は目的積立金の金額の引継ぎを受けたかどうかにかかわらず、当該固定資産の帳簿価額又は取得価額は、圧縮記帳に係る規定の適用を受けた後の金額になることに留意する。
(資産の評価損の損金算入の規定の適用がある場合の帳簿価額)
12-2-4 連結法人がその有する資産の評価換えにより生じた損失の額について法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定の適用を受けている場合に、当該損失の額につき法第62条の7《特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入》の規定が適用されたときであっても、当該資産の帳簿価額は当該評価換え後の帳簿価額となることに留意する。
13-2-1《連結法人が他の連結グループに加入する場合の資産に係る時価評価》の場合において、法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》の規定により損金の額に算入した評価損の金額につき法第62条の7の規定が適用された場合についても、同様とする。
(特定適格合併等に係る特定資本関係法人が2以上ある場合の特定資本関係が生じた日の判定)
12-2-5 連結法人が2以上の特定資本関係法人との間で当該連結法人を合併法人等とする法第62条の7第1項《特定資産に係る譲渡損失額の損金不算入》に規定する特定適格合併等を行った場合における同項の規定の適用上、同項に規定する特定資本関係の生じた日がいつであるかは、当該連結法人と各特定資本関係法人(当該連結法人との間において令第 123条の8第4項《共同で事業を営むための適格合併等》に規定する要件を満たしている場合の当該特定資本関係法人を除く。)との間において特定資本関係が生じた日のうち最も遅い日をいうことに留意する。
第13章 連結納税への加入等に伴う連結所得の金額の計算
第1節 時価評価法人
(連結事業年度における時価評価法人の判定)
13-1-1 法人が、株式移転により連結親法人であった法人(以下13-1-1において「旧連結親法人」という。)の株式の全部を保有した上で、法第4条の3第6項《設立事業年度等の申請期限特例》の規定により連結納税の申請を行う場合には、当該株式移転の時まで旧連結親法人との間に当該旧連結親法人による連結完全支配関係があった法人(法第61条の11第1項第4号《時価評価を要しない法人》の規定に該当するものを除く。)については、当該法人の法第4条の3第9項第1号《連結申請特例年度における承認の効力》に規定する連結申請特例年度開始の日の前日の属する連結事業年度終了の時において、同号の時価評価資産等を有するかどうかにより同号の時価評価法人に該当するか否かの判定を行う必要があることに留意する。
(注) 旧連結親法人は法第61条の11第1項第1号《時価評価を要しない法人》に掲げる法人に該当することから、当該時価評価法人には該当しないこととなる。
(時価評価資産等の判定における資本等の金額)
13-1-2 13-1-1の場合において、連結法人が法第4条の3第9項第1号《連結申請特例年度における承認の効力》に規定する時価評価資産等を有するかどうかを判定する場合における令第 122条の12第1項第4号《時価評価資産から除かれる資産の範囲》に規定する「資本等の金額」は、法第4条の3第9項第1号に規定する連結申請特例年度開始の日の前日の属する当該連結法人の連結事業年度終了の時の連結個別資本等の金額となることに留意する。
同条第11項第1号《連結申請特例年度に加入する法人の承認の効力》の規定の適用における連結法人の「資本等の金額」については、同号に規定する完全支配関係を有することとなった日の前日の属する連結法人の連結事業年度終了の時の連結個別資本等の金額となる。
第2節 連結納税への加入等に伴う資産の時価評価損益
(連結法人が他の連結グループに加入する場合の資産に係る時価評価)
13-2-1 連結親法人の発行済株式の全部が他の連結グループ(他の連結親法人及び当該他の連結親法人との間に当該他の連結親法人による連結完全支配関係を有する法人によって構成されたグループをいう。以下13-2-1において同じ。)に属する連結法人に有されることとなったことにより、当該連結親法人及びその連結子法人が当該他の連結親法人との間に当該他の連結親法人による連結完全支配関係を有することとなった場合において、当該連結親法人及びその連結子法人が当該連結完全支配関係を有することとなった日の前日に有する法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》に規定する時価評価資産については、同項の規定に基づき、当該前日の属する連結事業年度においてその時価評価資産に係る評価益又は評価損を益金の額又は損金の額に算入することとなることに留意する。
(注) 連結子法人の発行済株式の全部が連結事業年度開始の日に他の連結グループに属する連結法人に有されることとなったことにより、当該連結子法人が他の連結親法人との間に当該他の連結親法人による連結完全支配関係を有することとなった場合の当該連結子法人及び当該連結子法人との間に当該連結子法人による完全支配関係のある連結法人が当該開始の日の前日に有する時価評価資産についても、同様とする。
(連結納税への加入に伴う時価評価資産に係る時価の意義)
13-2-2 13-2-1の場合において、連結法人が法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》の規定を適用するときにおける「時価評価資産のその時の価額」は、当該時価評価資産が使用収益されるものとしてその時において譲渡されるときに通常付される価額によるのであるが、次に掲げる時価評価資産について、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる方法その他合理的な方法により当該時価評価資産のその時の価額を算定しているときは、課税上弊害がない限り、これを認める。
(1) 減価償却資産
イ 令第13条第1号から第7号まで《有形減価償却資産》に掲げる減価償却資産 8-1-29《減価償却資産の時価》に定める方法により計算される未償却残額に相当する金額をもって当該減価償却資産の価額とする方法
ロ 同条第8号《無形減価償却資産》及び第9号《生物》に掲げる減価償却資産 当該減価償却資産の取得価額を基礎としてその取得の時から法第61条の12第1項に規定する連結加入直前事業年度(以下13-2-2において「連結加入直前事業年度」という。)終了の時まで定額法により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額をもって当該減価償却資産の価額とする方法
(2) 土地 当該土地につきその近傍類地の売買実例を基礎として合理的に算定した価額又は当該土地につきその近傍類地の公示価格等(地価公示法第8条《不動産鑑定士等の土地についての鑑定評価の準則》に規定する公示価格又は国土利用計画法施行令第9条第1項《基準地の標準価格》に規定する標準価格をいう。)から合理的に算定した価額をもって当該土地の価額とする方法
(3) 有価証券 8-1-18、8-1-23、8-1-24又は8-1-25《有価証券の価額》に定める方法に準じた方法によって算定した価額をもって当該有価証券の価額とする方法
(4) 金銭債権
イ その一部につき貸倒れその他これに類する事由による損失が見込まれる金銭債権 当該金銭債権の額から当該金銭債権につき法第52条第1項《貸倒引当金》の規定を適用した場合に同項の規定により計算される個別貸倒引当金繰入限度額に相当する金額を控除した金額をもって当該金銭債権の価額とする方法
ロ イ以外の金銭債権 当該金銭債権の帳簿価額をもって当該金銭債権の価額とする方法
(5) 繰延資産
イ 令第14条第1項第1号から第7号まで《繰延資産の範囲》に掲げる繰延資産 当該繰延資産の帳簿価額をもって当該繰延資産の価額とする方法
ロ 同項第8号及び第9号に掲げる繰延資産 当該繰延資産の額を基礎としてその支出の時から連結加入直前事業年度終了の時まで令第64条第1項第2号《繰延資産の償却限度額》の規定により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額をもって当該繰延資産の価額とする方法
(注) この場合における償却期間は、7-2-1から7-2-5《繰延資産の償却期間》に定める償却期間による。
(最初連結親法人事業年度に離脱した連結法人の時価評価損益等)
13-2-3 13-2-1の場合において、連結法人が、最初連結親法人事業年度(当該法人が法第4条の3第11項第1号《連結申請特例年度における承認の効力》の規定の適用を受ける法人である場合には、その翌連結親法人事業年度)において、法第4条の5第2項《連結納税の承認のみなし取消し》の規定によりその承認を取り消されたため連結法人でなくなった場合であっても、法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》の規定により連結加入直前の連結事業年度において益金の額又は損金の額に算入した時価評価資産の評価益又は評価損は、当該連結加入直前の連結事業年度又はその後の各事業年度のいずれにおいても修正は行わないことに留意する。
(注) 法第63条第2項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》の収益の額及び費用の額についても、同様とする。
(一括償却資産に係る時価評価益の計算)
13-2-4 13-2-1の場合において、連結法人の有する資産が令第 122条の12第1項第4号《時価評価資産から除かれる資産の範囲》に掲げる資産に該当するかどうかを判定するときには、当該資産が令第 133条の2第1項《一括償却資産の損金算入》の適用を受けているものであるときであっても、当該資産を同号に規定する単位に区分した後のそれぞれの資産ごとに判定することに留意する。
(注) この場合において、同号に規定する帳簿価額は零として同号に規定する差額の計算を行うこととなる。
(時価評価時に時価評価資産から除かれる資産を判定する場合の資本等の金額)
13-2-5 13-2-1の場合において、連結法人が法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》に規定する時価評価資産を有するかどうかを判定するときにおける令第 122条の12第1項第4号《時価評価資産から除かれる資産の範囲》に規定する「資本等の金額」は、連結加入直前の連結事業年度終了の時の連結個別資本等の金額となることに留意する。
(時価評価資産から除かれる資産の範囲)
13-2-6 令第 122条の12第1項第1号《時価評価資産から除かれる資産の範囲》の規定の適用上、同号ハに掲げる規定の適用を受けた減価償却資産には、9-3-3《工事負担金を受けた連結事業年度において固定資産が取得できない場合の仮受経理等》後段の取扱いにより圧縮記帳をした減価償却資産が含まれる。
第3節 連結納税への加入等に伴う長期割賦販売等に係る収益及び費用の処理
(繰延長期割賦損益額が 1,000万円に満たないかどうかの判定単位)
13-3-1 13-1-1の場合における令第14条の5第2号イ《時価評価資産等の範囲》の繰延長期割賦損益額が 1,000万円に満たないかどうかの判定については、法第63条第1項《長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する長期割賦販売等に該当する資産の販売等に係る契約ごとの繰延長期割賦損益額により行うことに留意する。この場合において、連結法人が、長期割賦販売等に該当する資産の販売等につき2-4-5《延払基準の計算単位》の取扱いにより合理的な区分ごとに一括して延払基準を適用しているときは、その契約の属する区分の差益率を基として、当該契約に係る繰延長期割賦損益額を計算している場合には、これを認める。
(特別勘定の金額が 1,000万円に満たないかどうかの判定単位)
13-3-2 13-1-1の場合の令第14条の5第3号イ《時価評価資産等から除かれる特別勘定》に規定する特別勘定の金額が 1,000万円に満たないかどうか は、その特別勘定の対象となる譲渡した資産のそれぞれの特別勘定の金額ごとに判定することに留意する。
(他の連結グループへの加入に伴う繰延長期割賦損益額の判定)
13-3-3 13-2-1の場合において、連結法人が有する令第 125条の2第1号《連結納税の開始等に伴う長期割賦販売等に係る収益及び費用の処理に関する規定の不適用》に規定する繰延長期割賦損益額が 1,000万円に満たないかどうかの判定については、13-3-1の取扱いを準用する。
第14章 連結法人間取引の損益調整
第1節 通則
(譲渡損益調整額の計算における「対価の額」の意義)
14-1-1 連結法人が譲渡損益調整額を計算する場合における法第81条の10第1項《連結法人間取引の損益の調整》に規定する「譲渡に係る対価の額」とは、同項に規定する譲渡損益調整資産の譲渡の時の価額をいうことに留意する。
(注) 譲渡損益調整額とは、同項又は法第61条の13第1項《分割前事業年度等における連結法人間取引の損益の調整》の規定により譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額が損金の額又は益金の額に算入される場合のその算入される金額をいう。以下この章において同じ。
(譲渡損益調整額の計算における「原価の額」の意義)
14-1-2 法第81条の10第1項《連結法人間取引の損益の調整》に規定する「原価の額」とは、同項に規定する譲渡損益調整資産の譲渡直前の帳簿価額をいうのであるから、例えば、不動産売買又は有価証券の譲渡に係る手数料など譲渡に付随して発生する費用は、これに含まれないことに留意する。
(譲渡した連結法人の株式等が譲渡損益調整資産に該当するかどうかの判定)
14-1-3 連結法人が、当該連結法人以外の連結法人に対し、当該連結法人との間に連結完全支配関係を有する他の連結法人の株式(出資を含む。以下14-1-3において同じ。)を譲渡した場合において、当該譲渡した株式の令第 122条の14第1項第3号《譲渡損益調整資産から除かれる資産の範囲》に規定する「その譲渡の直前の帳簿価額」は、令第 119条の3第3項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》又は第 119条の4第1項《評価換え等があった場合の総平均法の適用の特例》の規定により算出される金額にその譲渡をした株式の数を乗じた金額となることに留意する。
(圧縮記帳をした譲渡損益調整資産に係る譲渡損益調整額の計算)
14-1-4 令第 155条の22第3項《譲渡損益調整額の戻入れ計算》の規定の適用上、同項第5号ハに掲げる規定の適用を受けた譲渡損益調整資産には、9-3-3《工事負担金を受けた連結事業年度において固定資産が取得できない場合の仮受経理等》の後段の取扱いにより圧縮記帳をした譲渡損益調整資産が含まれる。
第2節 譲渡損益調整資産に係る譲渡損益額の調整
(連結法人間取引の損益の調整を行わない取引)
14-2-1 連結法人が法第81条の10第1項《連結法人間取引の損益の調整》に規定する譲渡損益調整資産を他の連結法人に譲渡した場合には、次に掲げるようなものは含まれない。
(1) 当該他の連結法人が法第2条第17号ネ《資本積立金額》に規定する株式の消却を行った場合における、その消却の対象となった株式の譲渡
(2) 当該他の連結法人を借地権者とする借地権の設定(令第 138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定の適用があるものを除く。)
(譲渡損益調整資産の譲渡に伴い特別勘定を設定した場合の譲渡損益調整額の計算)
14-2-2 連結法人が譲渡損益調整資産の譲渡に伴い次に掲げる規定に基づき特別勘定を設定した場合には、法第81条の10第1項《連結法人間取引の損益の調整》又は第61条の13第1項《分割前事業年度等における連結法人間取引の損益の調整》に規定する譲渡利益額は、当該特別勘定の金額に相当する金額を控除した後の金額となるのであるが、連結事業年度において代替資産を取得できなかったこと等の理由により当該連結事業年度開始の時に有する当該特別勘定の金額の全部又は一部が益金の額に算入されることとなった場合であっても、当該益金の額に算入される特別勘定の金額について譲渡損益調整額として損金の額に算入しないのであるから留意する。
(1) 措置法第64条の2《収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(2) 措置法第65条《換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》
(3) 措置法第65条の8《特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(4) 措置法第65条の12《大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(5) 措置法第65条の14《認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(6) 措置法第68条の71《収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(7) 措置法第68条の72《換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》
(8) 措置法第68条の79《特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(9) 措置法第68条の83《大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(10) 措置法第68条の85《認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(11) 阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(以下14-2-2において「震災特例法」という。)第21条《特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
(12) 震災特例法第26条の6《連結法人の特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例》
第3節 譲渡損益調整額の戻入れ
(譲渡損益調整額の戻入れ事由)
14-3-1 令第 155条の22第2項第1号《連結法人間取引の損益の調整》に規定する「その他これらに類する事由が生じた場合」には、例えば、次に掲げる譲渡損益調整資産につき、それぞれ次に掲げる事由が生じた場合が該当する。
(1) 金銭債権 その譲渡を受けた連結法人(以下14-3-1及び14-3-3において「譲受法人」という。)においてその全額が回収された場合又は2-1-37《債権の取得差額に係る調整差損益の計上》の取扱いの適用を受けた場合
(2) 償還有価証券 譲受法人においてその全額が償還期限前に償還された場合
(3) 固定資産 譲受法人において災害等により滅失した場合
(注) 同号の「譲渡」には、次の場合が含まれる。
1 令第119条の11の表の第2号の上欄《有価証券の区分変更によるみなし譲渡》に掲げる満期保有目的等有価証券又は同表の第3号の上欄に掲げるその他有価証券について、当該各号の中欄に掲げる事実が生じたことにより譲受法人が当該有価証券を譲渡したものとみなされた場合
2 令第 119条の11の2第1項《分離適格振替有価証券の元利分離等によるみなし譲渡等》に規定する次の有価証券について、その譲受法人がそれぞれ次の事実に該当することになったことにより当該有価証券を譲渡したものとみなされた場合
(1) 分離適格振替有価証券 その譲受法人が当該有価証券について同項に規定する元利分離を行ったこと
(2) 分離元本振替有価証券又は分離利息振替有価証券 その譲受法人がこれらの有価証券について同条第2項に規定する統合を行ったこと
(契約の解除等があった場合の譲渡損益調整額)
14-3-2 連結法人が当該連結事業年度前の各連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)において行った譲渡損益調整資産の譲渡について、当該連結事業年度に次に掲げる事由が生じた場合には、それぞれ次による。
(1) 契約の解除若しくは取消し又は返品 これらの事由が生じた資産に係る当該連結事業年度開始の時における期首譲渡損益調整額を益金の額又は損金の額に算入する。
(2) 譲渡利益額が生じた譲渡に係る値引き
イ 値引額が当該連結事業年度開始の時における期首譲渡損益調整額以内の場合 期首譲渡損益調整額のうち値引額に相当する金額を益金の額に算入する。
ロ 値引額が当該連結事業年度開始の時における期首譲渡損益調整額を超える場合 当該期首譲渡損益調整額の全額を益金の額に算入するとともに、当該超える部分の金額を新たに譲渡損益調整額として益金の額に算入する。
(3) 譲渡損失額が生じた譲渡に係る値引き 値引額に相当する金額を新たに譲渡損益調整額として益金の額に算入する。
(注) 期首譲渡損益調整額とは、譲渡損益調整額から既に令第 155条の22第3項、第5項若しくは第8項《譲渡損益調整額の戻入れ計算》又は第 122条の14第4項、第6項若しくは第9項《譲渡損益調整額の戻入れ計算》の規定により益金の額又は損金の額に算入された金額を控除した金額をいう。以下14-3-3において同じ。
(債権の取得差額に係る調整差損益を計上した場合の譲渡損益調整額の戻入れ計算)
14-3-3 連結法人が譲渡した金銭債権につき譲受法人において2-1-37《債権の取得差額に係る調整差損益の計上》の取扱いを適用している場合に、当該連結法人が法第81条の10第2項《譲渡損益調整額の戻入れ計算》の規定により益金の額又は損金の額に算入する金額は、例えば、次に掲げる当該連結法人の連結事業年度の区分に応じ、それぞれ次により計算した金額とする等合理的な方法により計算した金額とする。
(1) 当該金銭債権を譲渡した連結事業年度 当該金銭債権に係る譲渡損益調整額に当該譲渡した日から当該金銭債権の最終の支払期日までの期間のうちに当該譲渡した日から当該連結事業年度終了の日までの期間の占める割合を乗じて計算した金額
(2) 当該金銭債権の最終の支払期日の属する連結事業年度 当該連結事業年度開始の時における期首譲渡損益調整額
(3) (1)及び(2)以外の連結事業年度 当該金銭債権に係る譲渡損益調整額に当該譲渡した日から当該金銭債権の最終の支払期日までの期間のうちに当該連結事業年度の期間の占める割合を乗じて計算した金額
(金銭債権の一部が貸倒れとなった場合の譲渡損益調整額の戻入れ計算)
14-3-4 連結法人が他の連結法人に対して譲渡した譲渡損益調整資産である金銭債権について、当該他の連結法人において8-6-1《金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ》の取扱いにより当該金銭債権の一部が貸倒れとなった場合の当該連結法人における法第81条の10第2項《譲渡損益調整額の戻入れ計算》の規定により損金の額に算入する金額は、例えば、当該金銭債権に係る譲渡損益調整額に当該他の連結法人の当該金銭債権の取得価額のうちに当該貸倒れによる損失の額の占める割合を乗じて計算した金額とする等合理的な方法により計算した金額とする。
(注) 債権金額に満たない価額で取得した債権の一部について8-6-1の事実が生じたことにより貸倒れとして損金の額に算入される金額は、この事実が生じた後においてなお有することとなる債権金額が取得価額を下回る場合のその下回る部分の金額となる。
(土地の一部譲渡に係る譲渡損益調整額の戻入れ計算)
14-3-5 連結法人が他の連結法人に譲渡した譲渡損益調整資産である土地について、当該他の連結法人がその一部を譲渡した場合の当該連結法人における法第81条の10第2項《譲渡損益調整額の戻入れ計算》の規定により益金の額又は損金の額に算入する金額は、当該土地に係る譲渡損益調整額のうち当該他の連結法人が譲渡した土地に係るものとして、例えば、当該譲渡損益調整額を当該連結法人が譲渡した土地の面積と当該他の連結法人が譲渡した土地の面積の比に応じて区分する等合理的な方法により計算した金額とする。
(同一銘柄の有価証券を2回以上譲渡した後の譲渡に伴う譲渡損益調整額の戻入れ計算)
14-3-6 連結法人が譲渡損益調整資産である銘柄を同じくする有価証券を2回以上にわたって他の連結法人に対し譲渡した後に当該他の連結法人が当該有価証券を譲渡した場合には、当該連結法人における譲渡損益調整額の戻入れ計算は、当該他の連結法人が当該連結法人から最も早く取得したものから順次譲渡したものとみなして、令第 155条の22第3項第6号《譲渡損益調整額の戻入れ計算》の規定を適用する。
(譲渡損益調整額の戻入れ計算における簡便法の選択適用)
14-3-7 令第 155条の22第5項《譲渡損益調整額の戻入れ計算の簡便法》の規定の適用については、連結法人が連結事業年度において他の連結法人に対し複数の減価償却資産(当該他の連結法人において減価償却資産に該当することとなるものに限る。以下14-3-7において同じ。)を譲渡した場合であっても、個々の減価償却資産ごとに同項の規定を適用をすることができる。
連結法人が当該連結事業年度において他の連結法人に対し複数の繰延資産の譲渡を行った場合についても、同様とする。
(簡便法を適用した他の連結法人を被合併法人等とする適格合併等をした場合の譲渡損益調整額の戻入れ計算)
14-3-8 法第81条の10第3項《譲渡損益調整額の戻入れ》の規定により連結法人が譲渡したものとみなされた譲渡損益調整資産のうち、同項の被合併法人又は分割法人が令第 122条の14第6項《譲渡損益調整額の戻入れ計算の簡便法》又は第 155条の22第5項《譲渡損益調整額の戻入れ計算の簡便法》の規定の適用を受けたものについては、合併法人又は分割承継法人である当該連結法人において同項又は第8項の規定の適用があることに留意する。
(譲渡損益調整資産の耐用年数を短縮した場合の簡便法による戻入れ計算)
14-3-9 連結法人が令第 155条の22第8項《譲渡損益調整額の戻入れ計算の簡便法》の規定を適用するに当たり、同項に規定する譲渡損益調整資産を譲り受けた他の連結法人が当該譲渡損益調整資産についてその譲受日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下14-3-9において「連結事業年度等」という。)後の連結事業年度等において、令第57条《耐用年数の短縮》の規定により当該減価償却資産の耐用年数を短縮することの承認を受けたときには、当該承認を受けた日の属する当該連結法人の連結事業年度及びその後の連結事業年度等における令第 155条の22第5項第1号ロ(令第 122条の14第6項第1号ロ《譲渡損益調整額の戻入れ計算の簡便法》の規定を含む。)の耐用年数は、当該承認に基づく耐用年数となることに留意する。
第15章 リース取引
第1節 リース取引の意義
(解除をすることができないものに準ずるものの意義)
15-1-1 第 136条の3第3項第1号《リース取引の定義》に規定する「これに準ずるもの」とは、例えば、次に掲げるものをいう。
(1) 資産の賃貸借に係る契約に解約禁止条項がない場合であって、賃借人が契約違反をした場合又は解約をする場合において、賃借人が、当該賃貸借に係る賃貸借期間のうちの未経過期間に対応するリース料の額の合計額のおおむね全部(原則として 100分 の90以上)を支払うこととされているもの
(2) 資産の賃貸借に係る契約において、当該賃貸借期間中に解約をする場合の条項として次のような条件が付されているもの
イ 賃貸借資産(当該賃貸借の目的となる資産をいう。以下15-1-3までにおいて同じ。)を更新するための解約で、その解約に伴いより性能の高い機種又はおおむね同一の機種を同一の賃貸人から賃貸を受ける場合は解約金の支払を要しないこと。
ロ イ以外の場合には、未経過期間に対応するリース料の額の合計額(賃貸借資産を処分することができたときは、その処分価額の全部又は一部を控除した額)を解約金とすること。
(資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきことの意義)
15-1-2 令第 136条の3第3項第2号《リース取引の定義》に規定する「当該資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこと」とは、その賃貸借期間中に賃借人が支払うリース料の額の合計額が、賃貸人における賃貸借資産の取得価額及びその取引に係る付随費用(賃貸借資産の取得に要する資金の利子、固定資産税、保険料等その取引に関連して賃貸人が支出する費用をいう。以下15-1-3において同じ。)の額の合計額のおおむね全部(原則として 100分の90以上)とされていることをいう。
(おおむね全部の判定)
15-1-3 15-1-1及び15-1-2に定める「おおむね全部」の判定に当たって、次の点については、次のとおり取り扱うことに留意する。
(1) 資産の賃貸借に係る契約等において、賃借人が賃貸借資産を購入する権利を有し、当該権利の行使が確実であると認められる場合には、当該権利の行使により購入するときの購入価額をリース料の額に加算する。この場合、その契約書等に当該購入価額についての定めがないときは、残価に相当する金額を購入価額とする。
(注) 残価とは、賃貸人におけるリース料の額の算定に当たって賃貸借資産の取得価額及びその取引に係る付随費用の額の合計額からリース料として回収することとしている金額の合計額を控除した残額をいう。以下この章において同じ。
(2) 資産の賃貸借に係る契約等において、中途解約に伴い賃貸借資産を賃貸人が処分し、未経過期間に対応するリース料の額からその処分価額の全部又は一部を控除した額を賃借人が支払うこととしている場合には、当該全部又は一部に相当する金額を賃借人が支払うこととなる金額に加算する。
第2節 売買とされるリース取引
第1款 売買とされるリース取引の意義
(売買とされる取引に準ずるものの意義)
15-2-1 令第 136条の3第1項《売買とされるリース取引》に規定する「これらに準ずるもの」とは、例えば、次に掲げるものをいう。
(1) リース期間(同項第1号に規定するリース期間をいう。以下この章において同じ。)の終了後、無償と変わらない名目的な再リース料によって再リースすることがリース契約(同条第3項《リース取引の定義》に規定するリース取引(以下この章において「リース取引」という。)に係る契約をいう。以下この章において同じ。)において定められているリース取引(リース契約書上そのことが明示されていないリース取引であって、事実上、当事者間においてそのことが予定されていると認められるものを含む。)
(2) 賃貸人に対してそのリース取引の目的となる資産(以下この章において「リース資産」という。)の取得資金の全部又は一部を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れ、当該資金をして当該賃借人のリース料等の債務のうち当該賃貸人の借入金の元利に対応する部分の引受けをする構造になっているリース取引
(3) リース期間が令第56条《減価償却資産の耐用年数、償却率及び残存価額》に規定する財務省令で定める耐用年数(以下この章において「耐用年数」という。)に比して相当の差異がない場合であっても、残価を高く設定するなどの方法によりそのリース取引が専ら賃貸人の当該リース期間の前半における損失の計上を目的としていると認められるものなど、著しく課税上の弊害があると認められるリース取引
(著しく有利な価額)
15-2-2 リース期間の終了の時又はリース期間の中途においてリース資産を買い取る権利が与えられているリース取引について、賃借人がそのリース資産を買い取る権利に基づき当該リース資産を購入する場合の対価の額が、当該リース資産につき耐用年数を基礎として定率法により計算したその購入時における未償却残額に相当する金額以上の金額とされているときは、当該対価の額が当該権利行使時の公正な市場価額に比し著しく下回るものでない限り、当該対価の額は令第 136条の3第1項第2号《売買とされるリース取引》に規定する「著しく有利な価額」に該当しないものとする。
(専属使用のリース資産)
15-2-3 次に掲げるリース取引は、令第 136条の3第1項第3号《売買とされるリース取引》に規定する「その使用可能期間中当該賃借人によってのみ使用されると見込まれるもの」に該当することに留意する。
(1) 土地、建物、建物附属設備又は構築物(建設工事等の用に供する簡易建物、広告用の構築物等で移設が比較的容易に行い得るもの又は賃借人におけるそのリース資産と同一種類のリース資産に係る既往のリース取引の状況、当該リース資産の性質その他の状況からみて、リース期間の終了後に当該リース資産が賃貸人に返還されることが明らかなものを除く。)を対象とするリース取引
(2) 機械装置等で、その主要部分が賃借人における用途、その設置場所の状況等に合わせて特別な仕様により製作されたものであるため、当該賃貸人が当該リース資産の返還を受けて再び他に賃貸又は譲渡することが困難であって、その使用可能期間を通じて当該賃借人においてのみ使用されると認められるものを対象とするリース取引
(専用機械装置等に該当しないもの)
15-2-4 次に掲げる機械装置等を対象とするリース取引は、15-2-3の(2)に定めるリース取引には該当しないものとする。
(1) 一般に配付されているカタログに示された仕様に基づき製作された機械装置等
(2) その主要部分が一般に配付されているカタログに示された仕様に基づき製作された機械装置等で、その附属部分が特別の仕様を有するもの
(3) (1) 及び(2) に掲げる機械装置等以外の機械装置等で、改造を要しないで、又は一部改造の上、容易に同業者等において実際に使用することができると認められるもの
(形式基準による専用機械装置等の判定)
15-2-5 機械装置等を対象とするリース取引が、当該リース取引に係るリース資産の耐用年数の 100分の80に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)以上の年数をリース期間とするものである場合は、当該リース取引は令第 136条の3第1項第3号《売買とされるリース取 引》に規定する「その使用可能期間中当該賃借人によってのみ使用されると見込まれるもの」には該当しないものとして取り扱うことができる。
(識別困難なリース資産)
15-2-6 令第 136条の3第1項第3号《売買とされるリース取引》に規定する「リース資産の識別が困難であると認められるもの」かどうかは、賃貸人及び賃借人において、そのリース資産の性質及び使用条件等に適合した合理的な管理方法によりリース資産が特定できるように管理されているかどうかにより判定するものとする。
(相当の差異の意義)
15-2-7 令第 136条の3第1項第4号《売買とされるリース取引》に規定する「相当の差異があるもの」とは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定めるものとする。
(1) リース期間が耐用年数に比して短い場合 当該リース期間がリース資産の耐用年数の 100分の70(耐用年数が10年以上のリース資産については、100分の60)に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)を下回る期間であるもの
(2) リース期間が耐用年数に比して長い場合 当該リース期間(再リースすることが明らかなものについては、当該再リースに係るリース期間を含む。)がリース資産の耐用年数の 100分の 120に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り上げる。)を上回る期間であるもの
(注) 一のリース取引において耐用年数の異なる数種の資産を取引の対象としている場合(当該数種の資産について、同一のリース期間を設定している場合に限る。)において、それぞれの資産の耐用年数を加重平均した年数(リース料の額の合計額又は賃貸人における取得価額をそれぞれの資産ごとに区分した上で、その金額ウェイトを計算の基礎として算定した年数をいう。)により、上記の判定を行っているときは、これを認めるものとする。
(税負担を著しく軽減することになると認められないもの)
15-2-8 次に掲げるリース取引については、令第 136条の3第1項第4号《売買とされるリース取引》に規定する「当該賃貸人又は当該賃借人の法人税又は所得税の負担を著しく軽減することになると認められるもの」には該当しないことに留意する。
(1) リース期間が耐用年数に比して短い場合
イ リース期間の月数にその見込まれる再リース期間の月数を加えた月数をリース期間とするリース取引が行われたと仮定した場合に、貸借人が各連結事業年度において支払うリース料の額のうち当該リース期間を基礎として計算した適正リース料の額を超える部分の金額につき前払費用として処理しているもの
ロ 賃借人におけるそのリース資産と同一種類のリース資産に係る既往のリース取引の状況、当該リース資産の性質その他の状況からみて、リース期間の終了後に当該リース資産が賃貸人に返還されることが明らかなもの
(2) リース期間が耐用年数に比して長い場合
イ 賃貸人におけるリース資産の償却費の額について、当該リース期間にわたって当該リース料の額に応じて損金の額に算入しているもの
ロ リース契約の中に、賃借人が公正な市場価額でリース資産を購入する旨の条項(以下15-2-8において「公正市場価額条項」という。)が付されているもの
(注) リース契約の中に公正市場価額条項が付されている賃貸借であっても、次のすべての要件を満たすものでない場合は、公正市場価額条項が付されていないものとして取り扱う。
1 リース資産のリース期間終了時における公正な市場価額が残価を上回る可能性が高いと認められること。
2 賃借人がリース資産を購入する権利を有する場合において、当該権利の行使をするに当たって、残価と公正な市場価額との差額についていかなる清算又は調整をもしないことが明らかであること。
3 リース期間がリース資産の使用可能期間よりも相当短いこと。
(適正リース料の額)
15-2-9 15-2-8の(1) のイの場合において、適正リース料の額とは、各連結事業年度のうちに含まれるリース期間に対応するリース料の額(当該連結事業年度の中途でリース期間が終了したため当該連結事業年度に含まれる再リース期間がある場合には、当該リース料の額と当該再リース期間に対応する再リース料の額との合計額とする。)のうち次の算式により計算した金額をいう。
なお、再リース期間の推定が困難である場合は、そのリース資産の耐用年数の 100分の70(耐用年数が10年以上のリース資産については、 100分の60に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てる。)を月数に換算し、その月数からリース期間の月数を控除した期間を再リース期間としてその計算を行うものとする。
(算式)

(注)1 再リース期間を含む全体のリース期間の見積りは、店舗用設備等でその連結法人における過去の設備更新の状況が明らかなものを対象とするリース取引については、その個別の事情に基づいてこれを行い、ガソリンスタンドの洗車設備に係るリース契約のように、一般にそのリース取引におけるリース期間(再リース期間を含む。)がおおむね一定しており、かつ、そのリース期間の終了後に賃貸人に返還されることが明らかな資産を対象とするリース取引については、そのリース期間による。
2 リース契約において再リース料の額が定められていない場合には、そのリース取引に係る再リース料の額は、一般のリース取引における再リース料の額を参酌して合理的に見積もる。
(期間経過に伴う前払費用の損金算入)
15-2-10 15-2-8の(1) のイにより前払費用とされた金額(法人税基本通達12の5-2-8の(1) のイ《税負担を著しく軽減することになると認められないもの》により前払費用とされた金額を含む。以下15-2-11において同じ。)は、再リース期間の属する連結事業年度において、次の算式により計算した金額を限度として損金の額に算入する。
(算式)

(注)1
当該連結事業年度の中途でリース期間が終了した場合には、当該連結事業年度の当該リース期間に対応するリース料の額を算式中「当該連結事業年度のうちに含まれる再リース期間に対応する再リース料の額」に含める。
2 再リース料の額は、再リース期間の経過に応じて損金の額に算入する。
(リース資産を購入した場合の前払費用の処理)
15-2-11 賃借人がリース期間の中途又はリース期間の終了後にそのリース資産を購入した場合において、その購入の時に15-2-8の(1)のイにより前払費用とされている金額があるときは、その前払費用とされている金額をその資産の取得価額に含めるものとする。
(リース資産を返還した場合の前払費用の処理)
15-2-12 賃借人がリース期間の中途又はリース期間の終了後にそのリース資産を賃貸人に返還した場合には、その返還した日において前払費用とされている金額は、同日の属する連結事業年度において損金の額に算入する。
(リース料の額の収益計上時期)
15-2-13 賃貸人が各連結事業年度において収受すべきリース料の額は、賃借人においてその支払うリース料の額の一部が前払費用とされている場合においても、当該連結事業年度の益金の額に算入する。ただし、賃貸人が、各連結事業年度において収受すべきリース料の額のうち15-2-9の算式に準じて計算した金額を超える部分の金額につき、当該各連結事業年度において前受収益として経理するとともに、当該前受収益として経理した金額につき、再リース期間の属する各連結事業年度において15-2-10に準じて計算した金額を益金の額に算入している場合には、これを認めるものとする。
(リース資産の返還があった場合の前受収益の処理)
15-2-14 賃貸人においてそのリース料の額の一部を前受収益として経理している場合において、リース期間の中途又はリース期間の終了後にリース資産が賃借人から返還されたときは、その返還があった日において前受収益として経理している金額は、同日の属する連結事業年度において益金の額に算入する。
第2款 賃借人の処理
(リース資産の取得価額)
15-2-15 令第 136条の3第1項《売買とされるリース取引》の規定の適用によりリース資産の売買があったものとされた場合において、賃借人における当該リース資産の取得価額は、原則として、そのリース期間中に支払うべきリース料の額の合計額による。ただし、そのリース取引に係る契約書等により、そのリース料の額の合計額のうち賃貸人におけるそのリース資産の取得価額から成る部分の金額を区分することができる場合には、その賃貸人におけるリース資産の取得価額から成る部分の金額を当該リース資産の取得価額とすることができる。
(注)1 再リース料の額は、リース資産の取得価額に算入しない。
2 リース資産を事業の用に供するために賃借人が支出する付随費用の額は、リース資産の取得価額に含まれる。
3 リース期間の終了後に当該リース資産を賃借人が購入した場合における賃借人が支払う購入代価の額は、その購入をした時に当該リース資産の取得価額に加算する。
(償却費として損金経理をしたものとするリース料の額)
15-2-16 令第 136条の3第1項《売買とされるリース取引》の規定の適用によりリース資産の売買があったものとされた場合において、賃借人が、支払うべきリース料の額をその支払うべき日の属する連結事業年度において賃借料等として損金経理をしているときには、当該リース料の額(15-2-15のただし書によっている場合には、当該リース料の額のうち賃貸人におけるそのリース資産の取得価額から成る部分の金額に対応する金額に限る。)は、法第31条第1項《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》に規定する「償却費として損金経理をした金額」に含まれるものとする。
(注) 賃借人が15-2-15のただし書によってリース資産の取得価額を計算している場合には、当該リース資産に係るリース料の額のうちその取得価額に算入しなかった金額に対応する金額は、リース期間の経過に応じて損金の額に算入する。
第3款 賃貸人の処理
(延払基準を適用する場合の譲渡の対価の額)
15-2-17 令第 136条の3第1項《売買とされるリース取引》の規定の適用によりリース資産の売買があったものとされた場合において、当該リース取引が法第63条第4項《長期割賦販売等の要件》に規定する要件を満たすときは、賃貸人はそのリース取引に係る収益の額及び費用の額の計算につき、同条の規定を適用することができる。この場合には、そのリース期間中に収受すべきリース料の額の合計額を令第124条《延払基準の方法》に規定する「長期割賦販売等の対価の額」として取り扱う。
(注)1
そのリース取引が行われた日の属する連結事業年度後の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)において当該リース取引について売買があったものとして処理すべきことが明らかになった場合には、当該明らかになった日の属する連結事業年度前の各連結事業年度についての当該リース取引(法第63条第4項に規定する要件を満たすものに限る。)に係る収益の額及び費用の額は、原則として令第 124条に規定する延払基準の方法により計算した収益の額及び費用の額とする。
2 再リース料の額は、長期割賦販売等の対価の額に含めないで、その収受すべき日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
3 本文及び1の取扱いは、法第63条第3項の適用がない場合に限られるのであるから、留意する。
第3節 金銭の貸借とされるリース取引
第1款 金銭の貸借とされるリース取引の判定
(金銭の貸借とされるリース取引の判定)
15-3-1 令第 136条の3第2項《金銭の貸借とされるリース取引》に規定する「一連の取引」が同項に規定する「実質的に金銭の貸借であると認められるとき」に該当するかどうかは、取引当事者の意図、リース資産の内容等から、そのリース資産を担保とする金融取引を行うことを目的とするものであるかどうかにより判定する。したがって、例えば、次に掲げるようなものは、これに該当しないものとする。
(1) 譲渡人が資産を購入し、当該資産をリース契約により賃借するために譲受人に譲渡する場合において、譲渡人が譲受人に代わり資産を購入することに次に掲げるような相当な理由があり、かつ、当該資産につき、立替金、仮払金等の仮勘定で経理し、譲渡人の購入価額により譲受人に譲渡するもの
イ 多種類の資産を導入する必要があるため、譲渡人において当該資産を購入した方が事務の効率化が図られること
ロ 輸入機器のように通関事務等に専門的知識が必要とされること
ハ 既往の取引状況に照らし、譲渡人が資産を購入した方が安く購入できること
(2) 連結法人が事業の用に供している資産について、当該資産の管理事務の省力化等のために行われるもの
第2款 譲渡人の処理
(借入金として取り扱う売買代金の額)
15-3-2 令第 136条の3第2項《金銭の貸借とされるリース取引》の規定の適用がある場合において、その資産の売買により譲渡人が譲受人から受け入れた金額は、借入金の額として取り扱い、譲渡人がリース期間中に支払うべきリース料の額の合計額のうちその借入金の額に相当する金額については、当該借入金の返済をすべき金額(以下15-3-3までにおいて「元本返済額」という。)として取り扱う。この場合において、譲渡人が各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に支払うリース料の額に係る元本返済額とそれ以外の金額との区分は、通常の金融取引における元本と利息の区分計算の方法に準じて合理的にこれを行うのであるが、譲渡人が当該リース料の額のうちに元本返済額が均等に含まれているものとして処理しているときは、これを認める。
(償却費として損金経理をしたものとするリース料の額)
15-3-3 令第 136条の3第2項《金銭の貸借とされるリース取引》の規定の適用がある場合において、譲渡人が、支払うべきリース料の額をその支払うべき日の属する連結事業年度において賃借料等として損金経理をしているときには、当該リース料の額のうち元本返済額に相当する部分の金額については、法第31条第1項《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》に規定する「償却費として損金経理をした金額」に含まれるものとする。
第3款 譲受人の処理
(貸付金として取り扱う売買代金の額)
15-3-4 令第 136条の3第2項《金銭の貸借とされるリース取引》の規定の適用がある場合において、その資産の売買により譲受人が譲渡人に支払う金額は、貸付金の額として取り扱い、譲受人がリース期間中に収受すべきリース料の額の合計額のうちその貸付金の額とした金額に相当する金額については、当該貸付金の返済を受けた金額として取り扱う。この場合において、譲受人が各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に収受するリース料の額に係る貸付金の返済を受けたものとされる金額とそれ以外の金額との区分は、通常の金融取引における元本と利息の区分計算の方法に準じて合理的にこれを行うのであるが、譲受人が、当該リース料の額のうち貸付金の返済を受けたものとされる金額が均等に含まれているものとして処理しているときは、これを認める。
第16章 借地権の設定等に伴う連結所得の金額の計算
(他人に借地権に係る土地を使用させる行為の範囲)
16-1-1 令第 137条《土地の使用に伴う対価についての所得の計算》に規定する「他人に借地権に係る土地を使用させる行為」には、例えば、借地権に係る土地の地下に地下鉄等の構築物の建設をさせるためその土地の地下を使用させる行為又は特別高圧架空電線の架設等をさせるためその土地の上の空間を使用させる行為が該当する。
(使用の対価としての相当の地代)
16-1-2 連結法人が借地権の設定等(借地権又は地役権の設定により土地を使用させ、又は借地権の転貸その他他人に借地権に係る土地を使用させる行為をいう。以下この章において同じ。)により他人に土地を使用させた場合において、これにより収受する地代の額が当該土地の更地価額(権利金を収受しているとき又は特別の経済的な利益の額があるときは、これらの金額を控除した金額)に対しておおむね年8%程度のものであるときは、その地代は令第 137条《土地の使用に伴う対価についての所得の計算》に規定する相当の地代に該当するものとする。
(注)1 「土地の更地価額」は、その借地権の設定等の時における当該土地の更地としての通常の取引価額をいうのであるが、この取扱いの適用上は課税上弊害がない限り、当該土地につきその近傍類地の公示価格等(地価公示法第8条《不動産鑑定士等の土地についての鑑定評価の準則》に規定する公示価格又は国土利用計画法施行令第9条第1項《基準地の標準価格》に規定する標準価格をいう。)から合理的に算定した価額又は昭和39年4月25日付直資56・直審(資)17「財産評価基本通達」第2章《土地及び土地の上に存する権利》の例により計算した価額によることができるものとする。この場合において、本文のかっこ書により土地の更地価額から控除すべき金額があるときは、当該金額は、次の算式により計算した金額によるものとする。
(算式)

2 借地権の転貸の場合には、「土地の更地価額」とあるのは「借地権の価額」と、「当該土地の更地としての通常の取引価額」とあるのは「当該借地権の通常の取引価額」と、それぞれ読み替えるものとする。
(相当の地代に満たない地代を収受している場合の権利金の認定)
16-1-3 連結法人が借地権の設定等により他人に土地を使用させた場合において、これにより収受する地代の額が16-1-2に定める相当の地代の額に満たないときは、16-1-7の取扱いによる場合を除き、次の算式により計算した金額から実際に収受している権利金の額及び特別の経済的な利益の額を控除した金額を借地人等に対して贈与(当該借地人等が当該連結法人の役員又は使用人である場合には、給与の支給とする。以下16-1-14までにおいて同じ。)したものとする。
(算式)

(注)1 算式の「16-1-2に定める相当の地代の年額」は、実際に収受している権利金の額又は特別の経済的な利益の額がある場合であっても、これらの金額がないものとして計算した金額による。
2 算式により計算した金額が通常収受すべき権利金の額を超えることとなる場合には、当該権利金の額にとどめる。
(相当の地代を引き下げた場合の権利金の認定)
16-1-4 連結法人が借地権の設定等により他人に土地を使用させ、これにより相当の地代を収受した場合においても、その後その地代を引き下げたときは、その引き下げたことについて相当の理由があると認められるときを除き、原則としてその引き下げた時においてその時における当該土地の価額を基礎として16-1-3の算式に準じて計算した金額(既に権利金の一部を収受している場合又は16-1-3若しくは法人税基本通達13-1-3《相当の地代に満たない地代を収受している場合の権利金の認定》により贈与があったものとして計算された金額がある場合には、これらの金額を控除した金額)に相当する金額を借地人等に対して贈与したものとする。
(通常権利金を授受しない土地の使用)
16-1-5 連結法人が権利金を収受することなしに他人に土地を使用させた場合において、これにより収受する地代の額が16-1-2に定める相当の地代の額に満たないときにおいても、その土地の使用の目的が単に物品置場、駐車場等として土地を更地のまま使用し、又は仮営業所、仮店舗等の簡易な建物の敷地として使用するものであるなどその土地の使用が通常権利金の授受を伴わないものであると認められるときは、16-1-3にかかわらず、権利金の認定は行わないことに留意する。
(注) この場合、連結法人が実際に収受している地代の額がその土地の使用の目的に照らして通常収受すべき地代の額に満たないときは、その満たないことにつき相当の理由があると認められるときを除き、その満たない部分の金額を借地人等に対して贈与したものとする。
(共同ビルの建築の場合)
16-1-6 一団の土地の区域内に土地を有する2以上の者が、当該一団の土地の上に共同で建物を建築し、当該建物を区分所有する場合において、各人の所有する部分の床面積の比(当該建物の階その他の部分ごとに利用の効用が異なるときは、当該部分ごとに、その異なる効用に係る適正な割合を勘案して算定した床面積の比とする。以下16-1-6において同じ。)が当該各人の所有地の面積の比又は価額の比とおおむね等しいときは、相互に借地権の設定等はなかったものとして取り扱う。
当該2以上の者が当該建物を共有する場合についても、同様とする。
(注) 各人の所有する部分の床面積の比が当該各人の所有地の面積の比又は価額の比と相当程度以上異なる場合には、その差に対応する部分の土地につき借地権の設定等があったものとして取り扱うのであるから留意する。
(権利金の認定見合せ)
16-1-7 連結法人が借地権の設定等により他人に土地を使用させた場合(権利金を収受した場合又は特別の経済的な利益を受けた場合を除く。)において、これにより収受する地代の額が16-1-2に定める相当の地代の額に満たないとき(16-1-5の取扱いの適用があるときを除く。)であっても、その借地権の設定等に係る契約書において将来借地人等がその土地を無償で返還することが定められており、かつ、その旨を借地人等との連名の書面により遅滞なく当該連結法人に係る連結親法人が納税地の所轄税務署長(当該連結親法人が国税局の調査課所管法人である場合には、所轄国税局長。以下16-1-14までにおいて同じ。)に届け出たときは、16-1-3にかかわらず、当該借地権の設定等をした日の属する連結事業年度以後の各連結事業年度において、16-1-2に準じて計算した相当の地代の額から実際に収受している地代の額を控除した金額に相当する金額を借地人等に対して贈与したものとして取り扱うものとする。
使用貸借契約により他人に土地を使用させた場合(16-1-5の取扱いの適用がある場合を除く。)についても、同様とする。
(注)1 本文の取扱いを適用する場合における相当の地代の額は、おおむね3年以下の期間ごとにその見直しを行うものとする。この場合において、16-1-2の (注) 1中「借地権の設定等の時」とあるのは「当該連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)開始の時」と読み替えるものとする。
2 当該連結法人が法人税基本通達13-1-7《権利金の認定見合せ》の取扱いによる届出を行っていた場合についても、本通達の適用がある。
(相当の地代の改訂)
16-1-8 連結法人が、借地権の設定等により他人に土地を使用させた場合(16-1-5又は16-1-7の取扱いの適用がある場合を除く。)において、これにより16-1-2に定める相当の地代を収受することとしたときは、その借地権の設定等に係る契約書においてその後当該土地を使用させている期間内に収受する地代の額の改訂方法につき次の(1) 又は(2) のいずれかによることを定めるとともに、その旨を借地人等との連名の書面により遅滞なく当該連結法人に係る連結親法人が納税地の所轄税務署長に届け出るものとする。この場合において、その届出がないときは、(2) の方法を選択したものとする。
(1) その借地権の設定等に係る土地の価額の上昇に応じて順次その収受する地代の額を相当の地代の額(上昇した後の当該土地の価額を基礎として16-1-2に定めるところに準じて計算した金額をいう。)に改訂する方法
(2) (1) 以外の方法
(注) 16 -1-7の (注) は、連結法人が(1) の方法を選択した場合について準用する。
(建物等の区分所有に係る借地権割合の計算)
16-1-9 令第 138条第1項第2号《建物等の区分所有に係る借地権割合》に掲げる割合は、連結法人が建物又は構築物の区分所有を目的とする借地権の設定によりその所有する土地を使用させた場合のその区分所有部分の借地権割合をいうのであるから、同号ロに定める残額は、その区分所有部分に対応する土地について計算することに留意する。
(借地権の設定等に伴う保証金等)
16-1-10 連結法人が借地権の設定等に当たり保証金、敷金等の名義による金銭を受け入れた場合においても、その受け入れた金額がその土地の存する地域において通常収受される程度の保証金等の額(その額が明らかでないときは、借地権の設定契約による地代の3月分相当額とする。)以下であるときは、当該受け入れた金額は、令第 138条第2項《特別の経済的な利益》に規定する「特に有利な条件による金銭の貸付け」には該当しないものとする。
(複利の方法による現在価値に相当する金額の計算)
16-1-11 令第 138条第3項《特別の経済的な利 益の額の計算》に規定する「通常の利率」は年 3.0%、「貸付けを受ける期間」は1年を単位として計算した期間(1年未満の端数があるときは切り捨てて計算した期間)、複利の方法で現在価値を計算する場合の「複利現価率」は小数点以下第3位まで計算した率(第4位を切り上げる。)による。
(土地の価額が増加する事由)
16-1-12 令第 138条第4項《特別の経済的な利益を返還した場合の土地等の帳簿価額》に規定する「その他土地等の価値の増加があったとき」には、その土地に係る賃貸借契約に基づく借地権の存続期間の満了等による建物等の買取り又は地役権の解除等の事実が該当する。
(更新料等)
16-1-13 連結法人が、借地権の設定等に係る契約の更新又は更改をする場合において、当該借地権に係る土地の存する地域において通常いわゆる更新料又は更改料を授受する取引上の慣行があることが明らかでないためその授受をしなかったときは、これを認める。
(借地権の無償譲渡等)
16-1-14 連結法人が借地の上に存する自己の建物等を借地権の価額の全部又は一部に相当する金額を含めない価額で譲渡した場合又は借地の返還に当たり、通常当該借地権の価額に相当する立退料その他これに類する一時金(以下16-1-16までにおいて「立退料等」という。)を授受する取引上の慣行があるにもかかわらず、その額の全部又は一部に相当する金額を収受しなかった場合には、原則として通常収受すべき借地権の対価の額又は立退料等の額と実際に収受した借地権の対価の額又は立退料等の額との差額に相当する金額を相手方に贈与したものとして取り扱うのであるが、その譲渡又は借地の返還に当たり通常収受すべき借地権の対価の額又は立退料等の額に相当する金額を収受していないときであっても、その収受をしないことが次に掲げるような理由によるものであるときは、これを認める。
(1) 借地権の設定等に係る契約書において将来借地を無償で返還することが定められていること又はその土地の使用が使用貸借契約によるものであること(いずれも16-1-7に定めるところによりその旨が所轄税務署長に届け出られている場合に限る。)。
(2) 土地の使用の目的が、単に物品置場、駐車場等として土地を更地のまま使用し、又は仮営業所、仮店舗等の簡易な建物の敷地として使用するものであること。
(3) 借地上の建物が著しく老朽化したことその他これに類する事由により、借地権が消滅し、又はこれを存続させることが困難であると認められる事情が生じたこと。
(相当の地代で賃借した土地に係る借地権の価額)
16-1-15 16-1-14の場合において、借地人である連結法人が16-1-2に定める相当の地代により賃借した土地に係る借地権を譲渡し、又は当該土地を地主へ返還したときに通常収受すべき借地権の対価の額又は立退料等の額は、原則として次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額によるものとする。
(1) その支払うべき地代の額の改訂方法につき16-1-8の(1) に掲げる方法によっている場合 零。ただし、当該借地権の設定等に当たり支払った権利金又は供与した特別の経済的な利益がある場合には、当該権利金の額又は特別の経済的な利益の額に相当する金額とする。
(2) (1) 以外の場合 次の区分に応じ、それぞれ次の金額
イ その支払っている地代の額が一般地代の額(通常支払うべき権利金を支払った場合に当該土地の価額の上昇に応じて通常支払うべき地代の額をいう。)に相当する金額となる時前にその譲渡又は返還が行われたとき その譲渡又は返還の時における当該土地の更地価額を基礎として16-1-3に定める算式に準じて計算した金額
ロ イ以外のとき その譲渡又は返還の時における当該土地の更地価額を基礎として通常取引される借地権の価額
(注) この取扱いは、連結法人が借地人から貸地の返還を受けるに当たり、(1) 又は(2) に掲げる金額の立退料等のほかにその返還に伴い借地人において生ずる費用又は損失の補てんに充てるために合理的な金額を支払うことを妨げるものではないことに留意する。
(貸地の返還を受けた場合の処理)
16-1-16 連結法人が貸地の返還を受けた場合には、次のいずれの場合に該当するかに応じ、それぞれに掲げる金額をその返還を受けた土地の帳簿価額に加算する。
(1) 無償で返還を受けた場合 その土地について借地権の設定等に当たり、法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別損金額を計算する場合の令第 138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》又は法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の令第 138条第1項又は法第33条第2項の規定を含む。)により損金の額に算入した金額があるときは、その損金の額に算入した金額
(2) 立退料等(その他立退きに要する費用を含む。以下16-1-16において同じ。)だけを支払った場合 その支払った立退料等と(1) に掲げる金額とのうちいずれか多い金額
(3) 立退料等を支払うとともに土地の上に存する建物等を買い取った場合 その支払った立退料等と当該建物等の買取価額のうち当該建物等の価額を超える部分の金額との合計額と(1) に掲げる金額とのいずれか多い金額
(注) 連結法人が貸地の返還を受けるに当たり通常支払うべき立退料等の額の全部又は一部に相当する金額を支払わなかった場合においても、原則としてこれによる経済的利益の額はないものとして取り扱う。
第17章 外貨建取引の換算等
第1節 外貨建取引に係る会計処理等
(いわゆる外貨建て円払いの取引)
17-1-1 法第61条の8第1項《外貨建取引の換算》に規定する外貨建取引(以下この章において「外貨建取引」という。)は、その取引に係る支払が外国通貨で行われるべきこととされている取引をいうのであるから、例えば、債権債務の金額が外国通貨で表示されている場合であっても、その支払が本邦通貨により行われることとされているものは、ここでいう外貨建取引には該当しないことに留意する。
(外貨建取引及び発生時換算法の円換算)
17-1-2 法第61条の8第1項《外貨建取引の換算》及び第61条の9第1項第1号イ《発生時換算法の意義》の規定に基づく円換算(法第61条の8第2項の規定の適用を受ける場合の円換算を除く。)は、その取引を計上すべき日(以下この章において「取引日」という。)における対顧客直物電信売相場(以下この章において「電信売相場」という。)と対顧客直物電信買相場(以下この章において「電信買相場」という。)の仲値(以下この章において「電信売買相場の仲値」という。)による。ただし、継続適用を条件として、売上その他の収益又は資産については取引日の電信買相場、仕入その他の費用(原価及び損失を含む。以下この章において同じ。)又は負債については取引日の電信売相場によることができるものとする。
(注)1 本通達の本文の電信売相場、電信買相場及び電信売買相場の仲値については、原則として、その連結法人の主たる取引金融機関のものによることとするが、連結法人が、同一の方法により入手等をした合理的なものを継続して使用している場合には、これを認める。
2 上記の円換算に当たっては、継続適用を条件として、当該外貨建取引の内容に応じてそれぞれ合理的と認められる次のような外国為替の売買相場(以下この章において「為替相場」という。)も使用することができる。
(1) 取引日の属する月若しくは週の前月若しくは前週の末日又は当月若しくは当週の初日の電信買相場若しくは電信売相場又はこれらの日における電信売買相場の仲値
(2) 取引日の属する月の前月又は前週の平均相場のように1月以内の一定期間における電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場の平均値
3 円換算に係る当該日(為替相場の算出の基礎とする日をいう。以下この (注) 3において同じ。)の為替相場については、次に掲げる場合には、それぞれ次によるものとする。以下この章において同じ。
(1) 当該日に為替相場がない場合には、同日前の最も近い日の為替相場による。
(2) 当該日に為替相場が2以上ある場合には、その当該日の最終の相場(当該日が取引日である場合には、取引発生時の相場)による。ただし、取引日の相場については、取引日の最終の相場によっているときも、これを認める。
4 本邦通貨により外国通貨を購入し直ちに資産を取得し若しくは発生させる場合の当該資産、又は外国通貨による借入金(社債を含む。以下この (注) 4において同じ。)に係る当該外国通貨を直ちに売却して本邦通貨を受け入れる場合の当該借入金については、現にその支出し、又は受け入れた本邦通貨の額をその円換算額とすることができる。
5 法第61条の9第1項《外貨建資産等の換算額》に規定する外貨建資産等(以下この章において「外貨建資産等」という。)の取得又は発生に係る取引は、当該取得又は発生の時における支払が本邦通貨により行われている場合であっても、本通達の本文及び (注) 2から4までを適用し、当該外貨建資産等の円換算を行う。
6 いわゆる外貨建て円払いの取引は、当該取引の円換算額を外貨建取引の円換算の例に準じて見積もるものとする。この場合、その見積額と当該取引に係る債権債務の実際の決済額との間に差額が生じたときは、その差額は、17-1-11により益金の額又は損金の額に算入される部分の金額を除き、当該債権債務の決済をした日(同日前にその決済額が確定する場合には、その確定した日)の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(多通貨会計を採用している場合の外貨建取引の換算)
17-1-3 連結法人が外貨建取引を取引発生時には外国通貨で記録し、各月末、連結事業年度終了の時等一定の時点において本邦通貨に換算するといういわゆる多通貨会計を採用している場合において、法第61条の8第1項《外貨建取引の換算》の規定の適用に当たり、各月末等の規則性を有する1月以内の一定期間ごとの一定の時点において本邦通貨への換算を行い、当該一定の時点を当該外貨建取引に係る取引発生時であるものとして17-1-2の取扱いを適用しているときは、これを認める。この場合、円換算に係る為替相場については、当該一定期間を基礎として計算した平均値も使用することができるものとする。
(注) 法第61条の9第1項《外貨建資産等の換算額》に規定する期末時換算法を選定している場合の連結事業年度終了の時において有する外貨建資産等の円換算は、17-2-5の為替相場による。
(先物外国為替契約等がある場合の収益、費用の換算等)
17-1-4 外貨建取引に係る売上その他の収益又は仕入その他の費用につき円換算を行う場合において、その計上を行うべき日までに、当該収益又は費用の額に係る本邦通貨の額を先物外国為替契約等(法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》に規定する先物外国為替契約等をいう。以下この章において同じ。)により確定させているとき(当該先物外国為替契約等の締結の日において、当該連結法人の帳簿書類に規則第27条の11第2項《先物外国為替契約等により円換算額が確定している旨の記載の方法》に規定する記載事項に準ずる事項の記載があるときに限る。)は、その収益又は費用の額については、17-1-2(17-1-3により準用して適用する場合を含む。以下この章において同じ。)にかかわらず、その確定させている本邦通貨の額をもってその円換算額とすることができる。この場合、その収益又は費用の額が先物外国為替契約等により確定しているかどうかは、原則として個々の取引ごとに判定するのであるが、外貨建取引の決済約定の状況等に応じ、包括的に先物外国為替契約等を締結してその予約額の全部又は一部を個々の取引に比例配分するなど合理的に振り当てているときは、これを認める。
(注)1 連結事業年度終了の時において、この取扱いの適用を受けた外貨建取引に係る外貨建資産等で決済時の円換算額を確定させたものを有する場合には、当該外貨建資産等に係る法第61条の10第1項《為替予約差額の配分》に規定する為替予約差額に相当する金額を法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第61条の10第1項から第3項までの規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合のこれらの規定を含む。)に基づき各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に配分することに留意する。この場合、当該連結事業年度終了の日における当該為替予約差額に相当する金額の計上は、課税上弊害がない限り、為替差損益の調整勘定として処理することができるものとする。
2 法第61条の6《繰延ヘッジ処理による利益額又は損失額の繰延べ》又は第61条の7《時価ヘッジ処理による売買目的外有価証券の評価益又は評価損の計上》の規定の適用を受ける場合には、当該連結法人の帳簿書類に規則第27条の11第2項に規定する記載を行わず、規則第27条の8第2項《繰延ヘッジ処理》又は第27条の9第2項《時価ヘッジ処理》に規定する記載を行うことになる。
(前渡金等の振替え)
17-1-5 17-1-2により円換算を行う場合において、その取引に関して受け入れた前受金又は支払った前渡金があるときは、当該前受金又は前渡金に係る部分については、17-1-2にかかわらず、当該前受金又は前渡金の帳簿価額をもって収益又は費用の額とし、改めてその収益又は費用の計上日における為替相場による円換算を行わないことができるものとする。
(延払基準の適用)
17-1-6 令第 124条《延払基準の方法》の規定による延払基準の方法を適用する長期割賦販売等(以下17-1-7において「長期割賦販売等」という。)の対価の一部につき前受金を受け入れている場合において、その対価の全額につき17-1-2により円換算を行い、これを基として延払基準を適用しているときは、当該前受金の帳簿価額と当該前受金についての円換算額との差額に相当する金額は、当該長期割賦販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入し、同条第2項に規定する賦払金割合の算定に含めることに留意する。
(長期割賦販売等に係る債権等につき為替差損益を計上した場合の未実現利益繰延額の修正)
17-1-7 長期割賦販売等に該当する資産の販売等について債権総額を計上するとともにその未実現利益を繰延計上する経理を行っている連結法人が、当該資産の販売等に係る外貨建債権(法第61条の9第1項第1号《外貨建資産等の換算額》に規定する外貨建債権をいう。以下この章において同じ。)を当該連結事業年度終了の時の為替相場により円換算を行った場合において、その円換算による為替差損益を計上しているときは、繰延経理をした当該未実現利益の額を調整するものとする。
(注) 長期割賦販売等に該当する資産の販売等に係る短期外貨建債権(令第 122条の4第1号《短期外貨建債権債務》に規定する短期外貨建債権をいう。以下この章において同じ。)につき計上した為替差損益に対応する未実現利益の額を連結法人が継続して調整しないこととしているときは、本文にかかわらずこれを認める。
(海外支店等の資産等の換算の特例)
17-1-8 連結法人が国外に支店等を有する場合において、当該支店等の外国通貨で表示されている財務諸表を本店の財務諸表に合算する場合における円換算額については、当該支店等の財務諸表項目のすべてについて当該連結事業年度終了の時の為替相場による円換算額を付すことができるものとする。
(注) 上記の円換算に当たっては、継続適用を条件として、収益及び費用(前受金等の収益性負債の収益化額及び前払金等の費用性資産の費用化額を除く。)の換算につき、取引日の属する月若しくは半期又は当該連結事業年度の一定期間内における電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場の平均値も使用することができる。この場合、当該国外支店等に係る当期利益の額又は当期損失の額の円換算額は、当該国外支店等に係る貸借対照表に計上されている金額の円換算額となることに留意する。
(為替差益を計上した場合の資産の取得価額の不修正)
17-1-9 資産の取得に要した法第61条の9第1項第1号《外貨建資産等の換算額》に規定する外貨建債務(以下この章おいて「外貨建債務」という。)を当該連結事業年度終了の時の為替相場により円換算を行ったため為替差益が生じた場合であっても、当該資産の取得価額を減額することはできないことに留意する。
(外貨建てで購入した原材料の受入差額)
17-1-10 連結法人が、外貨建てで購入した原材料についての仕入金額の換算を社内レートによって行う等17-1-2及び17-1-4に定める方法によって行っていない場合には、17-1-2又は17-1-4に定める方法によって換算した金額と当該連結法人が計上した金額との差額は、原材料受入差額に該当する。
(注) 当該差額については5-3-10《原材料受入差額の処理の簡便計算方式》を適用することができる。
(製造業者等が負担する為替損失相当額等)
17-1-11 製造業者等が商社等を通じて行った輸出入等の取引に関して生ずる為替差損益の全部又は一部を製造業者等に負担させ又は帰属させる契約を締結している場合における商社等及び製造業者等の取扱いについては、次による。
(1) 商社等 外貨建債権又は外貨建債務(以下この章において「外貨建債権債務」という。)について法第61条の9第1項第1号ロ《外貨建資産等の換算額》に規定する期末時換算法(以下この章において「期末時換算法」という。)を選定している場合(同号イに規定する発生時換算法(以下この章において「発生時換算法」という。)を選定している外貨建債権債務につき令第 122条の3《外国為替の売買相場が著しく変動した場合の外貨建資産等の期末時換算》の規定の適用を受けたときを含む。)において、当該契約に係る外貨建債権債務につき当該連結事業年度終了の時にその決済が行われたものと仮定した場合において製造業者等に負担させ又は帰属させることとなる金額(当該外貨建債権債務に係る換算差額又は法第61条の10第1項から第3項まで《為替予約差額の配分》の規定により各連結事業年度に配分すべき金額に相当する金額のうち、負担させ又は帰属させることとなる金額に限る。)を当該連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(2) 製造業者等 すべての商社等に対する当該契約に係る金銭債権及び金銭債務につき当該連結事業年度終了の時にその決済が行われたものと仮定した場合において負担し又は帰属することとなる金額(当該金銭債権及び金銭債務につき外貨建債権債務を有するとした場合において当該外貨建債権債務に係る換算差額又は同条第1項から第3項までの規定により各連結事業年度に配分すべき金額に相当する金額のうち、負担し又は帰属することとなる金額に限る。)を当該連結事業年度の損金の額又は益金の額に算入しているときは、継続適用を条件として、これを認める。
第2節 外貨建資産等の換算等
(前渡金、未収収益等)
17-2-1 外貨建取引に関して支払った前渡金又は収受した前受金で資産の売買代金に充てられるものは、外貨建債権債務に含まれない。ただし、外貨建取引に係る未収収益又は未払費用は、外貨建債権債務に該当するものとして取り扱う。
(工事進行基準を適用した場合の未収金)
17-2-2 連結法人が外貨建工事(2-4-20《外貨建工事に係る契約の時における為替相場》に定める外貨建工事をいう。以下17-2-2において同じ。)の収益について、法第64条第1項又は第2項《工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に規定する工事進行基準を適用している場合には、たとえ当該収益に対応する工事収入金を未収金として計上しているときであっても、当該外貨建工事の目的物の引渡しがあるまでは当該未収金は外貨建債権に該当しないことに留意する。
(先物外国為替契約等の範囲-選択権付為替予約)
17-2-3 連結法人が、選択権付為替予約をしている場合において、当該選択権付為替予約に係る選択権の行使をしたときは、その選択権の行使をした日が法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》に規定する先物外国為替契約等の締結の日となることに留意する。この場合、オプション料に相当する金額は、法第61条の10第1項《為替予約差額の配分》に規定する為替予約差額の直先差額に含めて各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額又は損金の額として配分する。
(発生時換算法-期末時換算による換算差額を資本の部に計上している場合の取扱い)
17-2-4 連結事業年度終了の時(以下17-2-4において「期末時」という。)に有する法第61条の9第1項第2号ロ及びハ《外貨建資産等の換算額》に規定する有価証券について、期末時における為替相場により換算した金額をもって当該有価証券の当該期末時における円換算額とし、かつ、当該換算によって生じた換算差額の金額の全額をいわゆる洗替方式により資本の部に計上している場合の当該換算の方法は、発生時換算法として取り扱うのであるから留意する。
(注) 上記の円換算を行っている場合における次に掲げる事項は、それぞれ次によることに留意する。
(1) 当該有価証券の令第22条第1項第1号又は第2号《総資産の帳簿価額等》に規定する帳簿価額は、当該期末時の換算を行う前の金額となる。
(2) 資本の部に計上した換算差額に相当する金額は、法第2条第17号の3及び第18号の3《定義》に規定する連結個別資本積立金額及び連結個別利益積立金額に該当しない。
(3) 「換算差額の金額の全額をいわゆる洗替方式により資本の部に計上している場合」には、税効果会計に基づき、当該換算差額の金額の一部に相当する金額を繰延税金資産又は繰延税金負債として計上している場合が含まれる。
(期末時換算法-連結事業年度終了の時における為替相場)
17-2-5 連結法人が期末時換算法により円換算を行う場合(法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》の規定の適用を受ける場合を除く。)の為替相場は、連結事業年度終了の日の電信売買相場の仲値による。ただし、継続適用を条件として、外国通貨の種類の異なるごとに当該外国通貨に係る外貨建資産等のすべてについて、外貨建ての資産については電信買相場により、外貨建ての負債については電信売相場によることができる。
(注)1 当該連結事業年度終了の日の電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場は、継続適用を条件として、当該連結事業年度終了の日を含む1月以内の一定期間におけるそれぞれの平均値によることができる。
2 当該連結事業年度終了の日の電信買相場又は電信売相場が異常に高騰し、又は下落しているため、これらの相場又はその仲値によることが適当でないと認められる場合も、 (注) 1の平均値を使用することができる。
(先物外国為替契約等がある外貨建資産・負債の換算)
17-2-6 法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》に規定する「資産又は負債の金額」又は令第 122条《先物外国為替契約により発生時の外国通貨の円換算額を確定させた外貨建資産・負債の換算等》に規定する「外貨建取引に伴って支払い、又は受け取る外国通貨の金額」の円換算額が先物外国為替契約等により確定しているときは、これらの規定に基づき、当該先物外国為替契約等により確定している円換算額をもってこれらの規定に規定する資産又は負債(以下この章において「外貨建資産・負債」という。)の円換算額とするのであるが、当該外貨建資産・負債につき先物外国為替契約等を締結しているかどうかは、原則として個々の外貨建資産・負債ごとに判定することに留意する。ただし、連結法人が、その取引の決済約定の状況等に応じ、包括的に先物外国為替契約等を締結しているような場合には、当該外貨建資産・負債に係る同項に規定する円換算額は、その予約額の全部又は一部を個々の取引に比例配分するなど合理的に振り当てて算出するものとする。
(注) 法第61条の8第2項の規定は、令第 122条の規定に優先して適用されることに留意する。
(外貨建資産等につき通貨スワップ契約を締結している場合の取扱い)
17-2-7 外貨建資産等につき規則第27条の11第1項第1号又は第2号《外貨建資産等の決済時の円換算額を確定させる先物外国為替契約等》のいずれかの要件を満たす同項に規定する「金銭の支払を相互に約する取引に係る契約」(以下17-2-7において「通貨スワップ契約」という。)を締結している場合の当該外貨建資産等に係る先物外国為替契約等により確定している円換算額(以下17-2-7において「通貨スワップ換算元本額」という。)は、当該通貨スワップ契約により元本の額として授受すべき本邦通貨の額とする。この場合、通貨スワップ契約により授受をする契約上の受取利子又は支払利子の総額は、利息法又は定額法に基づき各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に配分する。ただし、当該受取利子又は支払利子に係るスワップレート(当該受取利子又は支払利子に係る本邦通貨の額を当該利子の外国通貨表示の金額で除して計算した金額をいう。)が、当該連結法人が当該連結法人の主たる取引金融機関との間で為替予約をするとした場合のものと同等と認められるときは、当該通貨スワップ契約により授受をする契約上の受取利子又は支払利子の額を上記の配分額に代わる各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の利子相当額とすることができる。
(注) 外貨建資産等につき通貨スワップ契約によって生ずる換算差額相当額(当該外貨建資産等の取得時又は発生時の為替相場による円換算額と通貨スワップ換算元本額との差額をいう。)は、法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第61条の10第1項から第3項まで《為替予約差額の配分》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合のこれらの規定を含む。)により各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に配分することに留意する。
(2以上の先物外国為替契約等を締結している場合の契約締結日の特例)
17-2-8 連結法人が当該連結事業年度において外貨建資産等につき2以上の先物外国為替契約等を締結した場合において、当該2以上の先物外国為替契約等の締結した日の属する月が異なるときは、当該2以上の先物外国為替契約等のすべてにつき当該連結事業年度開始の日以後6月(当該連結事業年度の月数が12月に満たない場合には、6に当該連結事業年度の月数を乗じてこれを12で除して計算した月数)を経過した日において締結したものとして法第61条の10第1項から第3項まで《為替予約差額の配分》の規定を適用することができるものとする。
(注)1 当該月数は、暦に従って計算し、1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とする。
2 令第 122条の9第3項《為替予約差額の月数あん分の特例》の規定に基づく月数によるあん分は継続適用を前提として認められているものであるが、本文の適用は、同項の規定の適用を受けている場合に限られないことに留意する。
(期末時換算法-為替差損益の一括表示)
17-2-9 連結法人が外貨建資産等につき期末時換算法を選定している場合の為替差損益を個々の外貨建資産等の額に加算又は減算しないで、いわゆる洗替方式により売掛金、借入金等のそれぞれの項目に一括して加算又は減算している場合であっても、その計算を認めるものとする。この場合、貸倒引当金の計算の基礎となる金銭債権の額は、当該金銭債権の額に対応する為替差損益に相当する金額を加算又は減算して計算することに留意する。
(為替相場の著しい変動があった場合の外貨建資産等の換算)
17-2-10 連結事業年度終了の時において有する個々の外貨建資産等(令第 122条の3《外国為替の売買相場が著しく変動した場合の外貨建資産等の期末時換算》に規定する外貨建資産等に限る。以下17-2-10において同じ。)につき次の算式により計算した割合がおおむね15%に相当する割合以上となるものがあるときは、当該外貨建資産等については、同条に規定する「外国為替の売買相場が著しく変動した場合」に該当するものとして当該外貨建資産等の額(帳簿価額として付されている金額の外貨表示金額をいう。)につき同条の規定に基づく円換算を行うことができる。
(算式)

(注)1 算式中の「当該連結事業年度終了の日の為替相場」は、17-2-5に定めるところによる。
2 多数の外貨建資産等を有するため、個々の外貨建資産等ごとに算式による割合の計算を行うことが困難である場合には、外国通貨の種類を同じくする外貨建債権、外貨建債務、外貨建有価証券、外貨預金又は外国通貨のそれぞれの合計額を基礎としてその計算を行うことができるものとする。
3 外国通貨の種類を同じくする外貨建資産等につき上記の算式により計算した割合がおおむね15%に相当する割合以上となるものが2以上ある場合には、その一部についてのみ同条の規定による円換算を行うことはできないことに留意する。
(適正な円換算をしていない場合の処理)
17-2-11 連結法人が当該連結事業年度終了の時において有する外貨建資産等につきそのよるべきものとされる方法による円換算を行っていない場合には、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上そのよるべきものとされる方法により換算した金額とその帳簿価額との差額は、益金の額又は損金の額に算入する。ただし、その差額を損金の額に算入しなかったことにつき法第 129条第2項《更正に関する特例》の規定の適用があると認められる場合には、この限りでない。
(期限徒過の外貨建債権)
17-2-12 外貨建債権で既にその支払期限を経過し支払が延滞しているものは、短期外貨建債権に該当しないものとして取り扱う。
(自社発行の新株予約権証券及び転換社債型新株予約権付社債)
17-2-13 自社発行の外貨建ての新株予約権証券及び行使期間満了前の外貨建ての1-7-5《外貨建ての転換社債型新株予約権付社債の権利行使があった場合の連結個別資本積立金額》に定める転換社債型新株予約権付社債の円換算に当たっては、原則としてこれらのものを金銭債務である外貨建債務に該当しないものとして取り扱うのであるが、当該転換社債型新株予約権付社債(償還日が当該連結事業年度終了の日の翌日から1年以内に到来するものに限る。)の行使価格が、当該連結事業年度終了の時にその行使の対象となる株式の相場を大きく上回り、行使の請求の可能性がないと認められる場合には、 当該転換社債型新株予約権付社債は、短期外貨建債務(令第 122条の4第1項第1号《短期外貨建債権債務》に規定する短期外貨建債務をいう。)に該当することに留意する。
(注) 連結法人の保有する外貨建ての新株予約権証券及び転換社債型新株予約権付社債は、 外貨建有価証券に該当する。
(届出の効力)
17-2-14 連結法人が令第 122条の4《外貨建資産等の期末換算方法の選定の方法》の規定に基づき同条各号に掲げる外貨建資産等の区分ごとに外貨建資産等の換算の方法を届け出ている場合において、その届出後届出をしたいずれかの区分に属する外貨建資産等を有しないこととなっても、当該区分に属する外貨建資産等の換算方法に係る届出は引き続きその効力を有することに留意する。
令第 122条の10第1項《為替予約差額の一括計上の方法の選定の手続》の規定に基づき、法第61条の10第3項《為替予約差額の一括計上》の方法を外国通貨の種類の異なるごとに届け出ているときも、同様とする。
(注) その後当該区分又は当該外国通貨の種類に属する外貨建資産等の取得又は発生があった場合において、その外貨建資産等につき当該届出による方法以外の方法により円換算等をしようとするときは、令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第 122条の6《外貨建資産等の期末換算の方法の変更の手続》又は令第 122条の11《為替予約差額の一括計上の方法の変更の手続》の規定の適用がある。
(換算方法の変更申請があった場合等の「相当期間」)
17-2-15 いったん採用した外貨建資産等の換算の方法は特別の事情がない限り継続して適用すべきものであるから、連結法人の現によっている換算の方法を変更するために令第 155条の6《個別益金額又は個別損金額の計算における届出等の規定の準用》の規定により読み替えて準用される令第 122条の6第2項《外貨建資産等の期末換算の方法の変更の手続》の規定に基づいて連結親法人がその変更承認申請書を提出した場合において、その現によっている換算の方法を採用してから3年を経過していないときは、その変更が合併や分割に伴うものである等その変更することについて特別な理由があるときを除き、同条第3項の相当期間を経過していないときに該当するものとする。
令第 155条の6の規定により読み替えて準用される令第 122条の11《為替予約差額の一括計上の方法の変更の手続》の規定に基づきその選定した方法を変更する場合も、同様とする。
(注) その変更承認申請書の提出がその現によっている換算の方法を採用してから3年を経過した後になされた場合であっても、その変更することについて合理的な理由がないと認められるときは、その変更を承認しないことができる。
(先物外国為替契約等の解約等があった場合の取扱い)
17-2-16 法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同項の規定を含む。以下17-2-16において同じ。)の適用を受けた外貨建資産等に係る先物外国為替契約等につき解約(解除を含む。以下17-2-16において同じ。)があった場合には、その解約があった日の属する連結事業年度(以下17-2-16において「解約連結事業年度」という。)の連結所得の金額の計算上、当該外貨建資産等に係る為替予約差額(法第61条の10第1項《為替予約差額の配分》に規定する為替予約差額(以下17-2-18において「為替予約差額」という。)をいい、令第 122条の9第1項の表の第1号上欄に掲げる場合にあっては、当該為替予約差額から同号中欄のイに規定する差額に相当する金額を控除した金額をいう。)を当該先物外国為替契約等の締結の日(その日が当該外貨建資産等の取得の日又は発生の日前である場合には、その取得の日又は発生の日)から当該外貨建資産等に係る債権債務の当初の支払の日までの期間の月数又は日数で除し、これに解約連結事業年度開始の日から当該先物外国為替契約等の解約の日までの期間の月数又は日数を乗じて計算した金額に相当する金額を益金の額又は損金の額に算入する。
(注) 月数又は日数は、暦に従って計算し、月数につき1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とする。
(外貨建資産等に係る契約の解除があった場合の調整)
17-2-17 法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第61条の8第2項《先物外国為替契約等により円換算額を確定させた外貨建取引の換算》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同項の規定を含む。)の適用を受けた外貨建資産等の取得又は発生に係る契約につき解除があった場合(再売買と認められる場合を除く。)には、その解除があった日の属する連結事業年度(以下17-2-17において「契約解除連結事業年度」という。)の連結所得の金額の計算上、当該契約解除連結事業年度の前連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)までの間に当該外貨建資産等につき法第81条の3第1項の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の法第61条の10第1項から第3項まで《為替予約差額の配分》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同条第1項から第3項までの規定を含む。)により益金の額又は損金の額に算入した金額の合計額を損金の額又は益金の額に算入する。
(外貨建資産等の支払の日等につき繰延べ等があった場合の取扱い)
17-2-18 法第81条の3第1項《個別益金額又は個別損金額の益金又は損金算入》の規定により同項の個別益金額又は個別損金額を計算する場合の令第 122条の9第1項《為替予約差額の配分》の規定(各事業年度の所得の金額を計算する場合の同項の規定を含む。)の適用を受ける外貨建資産等に係る債権債務の支払の日又は当該外貨建資産等に係る先物外国為替契約等の履行の日につき繰延べ(繰上げを含む。以下17-2-18において「繰延べ等」という。)が行われた場合においても当該外貨建資産等につき円換算額(当該繰延べ等により円換算額に異動が生じたときは、異動後の円換算額)が確定しているときは、その繰延べ等が行われた日の属する連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下17-2-18において「繰延年度」という。)以後の連結事業年度の連結所得の金額の計算上、当該外貨建資産等に係る為替予約差額の残額(当該外貨建資産等に係る為替予約差額から当該繰延年度の前連結事業年度までの各連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)において益金の額又は損金の額に算入した金額を控除して得た残額をいい、その繰延べ等に伴い当該外貨建資産等に係る先物外国為替契約等の内容が変更されたことにより、その円換算額に異動が生じたときは、異動後の円換算額に基づく再計算後の残額をいう。以下17-2-18において同じ。)を当該繰延年度開始の日から当該外貨建資産等に係る債権債務の繰延べ等後の支払の日までの期間の月数又は日数で除し、これに当該連結事業年度の月数又は日数を乗じて計算した金額に相当する金額を益金の額又は損金の額に算入する。
(注)1 当該連結事業年度が当該外貨建資産等に係る債権債務の支払の日の属する連結事業年度である場合には、当該為替予約差額の残額から当該連結事業年度の前連結事業年度(繰延年度以後の連結事業年度に限り、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)までの間に益金の額又は損金の額に算入した金額を控除して得た金額に相当する金額を益金の額又は損金の額に算入することに留意する。
2 月数又は日数は、暦に従って計算し、月数につき1月に満たない端数を生じたときは、これを1月とする。
3 外貨建資産等に係る債権債務の支払の日又は当該外貨建資産等に係る先物外国為替契約等の履行の日につき繰延べ等が行われたことに伴い、当該外貨建資産等に係る円換算額が確定しないこととなった場合には、17-2-16の取扱いによる。
第18章 特殊な損益の計算
第1節 特殊な団体の損益
第1款 組合事業による損益
(任意組合から受ける利益等の帰属の時期)
18-1-1 連結法人が組合員となっている組合の利益金額又は損失金額のうち組合契約又は民法第 674条《損益分配の割合》の規定により利益の分配を受けるべき金額又は損失の負担をすべき金額は、たとえ現実に利益の分配を受け又は損失の負担をしていない場合であっても、当該組合の計算期間の終了の日の属する当該連結法人の連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、組合が毎年1回以上一定の時期において組合事業の損益を計算しない場合には、当該連結法人の各連結事業年度の期間に対応する組合事業の損益を計算して当該連結法人の当該連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(注) 同業者の組織する団体で営業活動を行わないものは、この取扱いの適用はない。
(任意組合から分配を受ける利益等の額の計算)
18-1-2 連結法人が、組合員となっている組合から分配を受けるべき利益の額又は負担すべき損失の額を18-1-1により各連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する場合において、次のいずれか一の方法により継続してその利益の額又は損失の額を計算しているときは、これを認める。
(1) 当該組合について計算される利益の額又は損失の額をその分配割合に応じて各組合員に分配又は負担させることとする方法
この方法による場合には、各組合員は、当該組合の取引等について、受取配当等の益金不算入、所得税額の控除、引当金の繰入れ、準備金の積立て等の規定の適用はない。
(2) 当該組合の収入金額、その収入金額に係る原価の額及び費用の額並びに損失の額をその分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法
この方法による場合には、各組合員は、当該組合の取引等について受取配当等の益金不算入、所得税額の控除等の規定の適用はあるが、引当金の繰入れ、準備金の積立て等の規定の適用はない。
(3) 当該組合の収入金額、支出金額、資産、負債等をその分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法
(注) 1
(1) の方法による場合において、当該組合の支出金額のうちに寄附金又は交際費の額があるときは、当該組合を資本又は出資を有しない法人とみなして法第37条《寄附金の損金不算入》又は措置法第61条の4《交際費等の損金不算入》の規定を適用するものとしたときに計算される利益の額又は損失の額を基としてその分配又は負担させる金額の計算を行うものとする。
2 (2) 又は(3) の方法による場合には、組合員に係るものとして計算される収入金額、支出金額、資産、負債等の額は、組合員における固有のこれらの金額に含めないで別個に計算することができる。
(匿名組合契約に係る損益)
18-1-3 連結法人が匿名組合員である場合におけるその匿名組合営業について生じた利益の額又は損失の額については、現実に利益の分配を受け、又は損失の負担をしていない場合であっても、匿名組合契約によりその分配を受け又は負担をすべき部分の金額をその計算期間の末日の属する連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入し、連結法人が営業者である場合におけるその匿名組合営業について生じた利益の額又は損失の額については、その利益の額又は損失の額から匿名組合契約により匿名組合員に分配すべき利益の額又は負担させるべき損失の額を控除した残額を当該連結事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
(注)
18-1-2の (注) 1は、この取扱いを適用する場合について準用する。
第2款 従業員団体の損益
(福利厚生等を目的として組織された従業員団体の損益の帰属)
18-1-4 連結法人の役員又は使用人をもって組織した団体が、これらの者の親ぼく、福利厚生に関する事業を主として行っている場合において、その事業経費の相当部分を当該連結法人が負担しており、かつ、次に掲げる事実のいずれか一の事実があるときは、原則として、当該事業に係る収益、費用等については、その全額を当該連結法人の収益、費用等に係るものとして計算する。
(1) 当該連結法人の役員又は使用人で一定の資格を有する者が、その資格において当然に当該団体の役員に選出されることになっていること。
(2) 当該団体の事業計画又は事業の運営に関する重要案件の決定について、当該連結法人の許諾を要する等当該連結法人がその業務の運営に参画していること。
(3) 当該団体の事業に必要な施設の全部又は大部分を当該連結法人が提供していること。
(従業員負担がある場合の従業員団体の損益帰属の特例)
18-1-5 18-1-4に該当する従業員団体について、その団体等の損益等が、例えば、当該連結法人から拠出された部分と構成員から収入した会費等の部分とであん分する等18-1-2の方法に準じて適正に区分経理されている場合には、18-1-4にかかわらずその区分されたところにより当該連結法人に帰属すべき収益、費用等の額を計算することができる。
第2節 協同組合等の事業分量配当等及び特別の賦課金
第1款 事業分量配当等
(事業分量配当の対象となる剰余金)
18-2-1 法第61条第1項第1号《事業分量分配金》に規定する事業分量に応ずる分配は、その剰余金が連結親法人である協同組合等と組合員その他の構成員との取引及びその取引を基礎として行われた取引により生じた剰余金から成る部分の分配に限るのであるから、固定資産の処分等による剰余金、自営事業を営む協同組合等の当該自営事業から生じた剰余金のように組合員その他の構成員との取引に基づかない取引による剰余金の分配は、これに該当しないことに留意する。
(注) 事業分量配当又は従事分量配当に該当しない剰余金の分配は、組合員等については配当に該当する。
(従事分量配当の対象となる剰余金)
18-2-2 法第61条第1項第2号《従事分量配当》に規定する従事分量に応ずる分配は、その剰余金が農業、漁業又は林業の経営により生じた剰余金から成る部分の分配に限るのであるから、固定資産の処分等により生じた剰余金の分配は、これに該当しないことに留意する。
(漁業協同組合等の組合員以外の者に対する剰余金の分配)
18-2-3 連結親法人である漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会が組合員以外の者に対して支出する剰余金の分配については、法第61条第1項《協同組合等の事業分量配当等の損金算入》の規定の適用がないのであるが、その分配金が、当該者の事業の利用量に応じ、かつ、組合員に対する分配金とおおむね同様の基準により計算されている等のため、事業の利用者に対する利用料等の割戻しと認められる場合には、当該分配金相当額は、その計算の基礎となった剰余金の生じた連結事業年度の損金の額に算入することができる。
(農業協同組合の組合員の家族等に対する剰余金の分配)
18-2-4 連結親法人である農業協同組合が農業協同組合法第10条第1項第3号《組合員の貯金等の受入》に掲げる事業に関し、同条第29項《利用制限の除外》の規定により組合員とみなされる者に対し当該者の事業の利用量に応じて行う剰余金の分配については、組合員に対して事業の利用量に応じて行う剰余金の分配と同様に法第61条第1項《協同組合等の事業分量配当等の損金算入》の規定の適用があるものとする。
(消費生活協同組合剰余金割戻積立金の損金算入)
18-2-5 連結親法人である消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会(以下この款において「消費生活協同組合等」という。)が消費生活協同組合財務処理規則(以下この款において「財務処理規則」という。)第23条第8項《利用分量割戻金の積立》の規定により積み立てた利用分量割戻金(以下この款において「割戻積立金」という。)は、当該割戻積立金が各組合員別に計算されているといないとにかかわらず、その積み立てた連結事業年度の損金の額に算入する。ただし、その積み立てた金額のうちに同条第11項《割戻積立金の利益算入》の規定により利益金に算入した割戻積立金から成る部分の金額が含まれている場合には、当該含まれている部分の金額は、損金の額に算入しない。
(割戻積立金の益金算入)
18-2-6 割戻積立金を積み立てている連結親法人である消費生活協同組合等が次に掲げる場合に該当することとなった場合には、その積み立てている割戻積立金のうち次に掲げる金額に相当する金額は、その該当することとなった日の属する連結事業年度の益金の額に算入する。
(1) 財務処理規則第23条第9項《割戻しの期限》の規定による割戻積立金の取崩しを行わずに利用分量割戻しを行った場合 その利用分量割戻しをした金額
(2) 割戻積立金を利用分量割戻しの支出以外の目的で取り崩した場合 その取り崩した金額
(3) 割戻積立金を積み立てた連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)終了の日の翌日から2年を経過した日の前日において当該割戻積立金残額がある場合 その割戻積立金残額
(利用分量割戻しの基準に該当するかどうかの判定)
18-2-7 財務処理規則第23条第7項《利用分量割戻しの基準》に規定する「領収書等によって確認することのできる利用分量の総額が当該組合の事業総額の5割以上」であるかどうかは、その事業(同項かっこ書に規定する事業別に計算する場合には、それぞれの事業)のうちの一部について割戻しをしないものがあっても、その割戻しをしない部分の利用分量を利用分量の総額及び事業総額に含めて判定するのであるが、その事業のうち米穀類の販売業又はたばこの販売業についてその利用分量分配をしない場合には、その部分の利用量を利用分量の総額及び事業総額の双方から除外して計算することができる。
(領収書等の交付の省略)
18-2-8 組合員の利用の対価を組合員の勤務先の給与から差引決済する等掛売りの方法を採用している等のため、領収書等を組合員に交付しないでも組合員の利用量が確認できることとなっている連結親法人である消費生活協同組合等については、売掛台帳等により確認された利用分量により財務処理規則第23条第7項《利用分量割戻しの基準》の基準の判定及び第23条第10項《利用分量の確認》の利用分量の確認を行うことができる。
第2款 特別の賦課金
(協同組合等の特別の賦課金)
18-2-9 連結親法人である協同組合等が、組合員に対し教育事業又は指導事業の経費の支出に充てるために賦課金を賦課した場合において、その賦課の目的となった事業の全部又は一部が翌連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下18-2-9において同じ。)に繰り越されたため当該賦課金につき剰余が生じたときにおいても、その剰余の額の全部又は一部をその目的に従って翌連結事業年度中に支出することが確実であるため、その支出することが確実であると認められる部分の金額を当該連結事業年度において仮受金等として経理したときは、これを認める。
第3節 会社更生法又は更生特例法の適用に伴う損益
第1款 更生会社等の損益等
(更生会社等である連結親法人の連結事業年度)
18-3-1 更生会社等(会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(以下この節において「更生特例法」 という。)の適用を受けている法人をいう。以下この節において同じ。)である連結親法人の連結事業年度は、会社更生法第 269条第2項《事業年度の特例》又は更生特例法第 149条第2項若しくは第 160条の 139第2項《事業年度の特例》の規定により、更生計画認可の時又は更生手続終了の日に終了するのであるが、この場合において、更生手続終了の日とは、次に掲げる日をいうものとする。
(1) 会社更生法第51条《開始決定の取消》又は更生特例法第40条若しくは第 160条の23《開始決定の取消し》の規定による更生手続開始決定の取消しの決定があった日
(2) 会社更生法第 232条第1項《更生計画の認否》又は更生特例法第 123条第1項若しくは第 160条の 106第1項《更生計画の認否》の規定による更生計画の不認可の決定があった日
(3) 会社更生法第 273条から第 274条まで《更生計画認可前の廃止》又は更生特例法第 153条若しくは第 160条の 143及び第 154条若しくは第 160条の 144《更生計画認可前の廃止》の規定による更生手続の廃止の決定があった日
(注) 更生計画認可の決定後における更生会社等である連結親法人の連結事業年度は、会社更生法第 272条《更生手続の終結》若しくは更生特例法第 152条若しくは第 160条の 142《更生手続の終結》の規定による更生手続の終結の決定又は会社更生法第 277条《更生計画認可後の廃止》若しくは更生特例法第 155条若しくは第 160条の 145《更生計画認可後の廃止》の規定による更生手続の廃止の決定とは関係なく、当該連結親法人の定款に定める事業年度終了の日において終了することに留意する。
(財産の評価換えによる益金)
18-3-2 会社更生法第 269条第3項《債務免除益等の課税の特例》又は更生特例法第 149条第3項若しくは第 160条の 139第3項《債務免除益等の課税の特例》に規定する財産の評価換えによる益金とは、会社更生法第 178条《財産目録及び貸借対照表の作成》及び第 181条《その後の報告等》又は更生特例法第90条若しくは第 160条の71《財産の価額の評定等》の規定により更生手続開始の時並びに更生計画認可の時及び裁判所の定める時期において作成される貸借対照表に記載された会社更生法第 177条《財産の価額の評定》又は更生特例法第90条若しくは第 160条の71の規定による資産の評価額を基礎として計算される評価益(当該貸借対照表に記載された資産の評価額を基礎として計算される評価損がある場合には、当該評価損に相当する金額を控除した金額をいう。)をいうのであるから留意する。
(債務の消滅による益金)
18-3-3 会社更生法第 269条第3項《債務免除益等の課税の特例》又は更生特例法第 149条第3項若しくは第 160条の 139第3項《債務免除益等の課税の特例》に規定する債務の消滅による益金には、認可決定を受けた更生計画に定められた債務の免除又は切捨てによるもののほか、更生債権として指定された期限までに裁判所に届出がなかったため債務が消滅したことによる益金も含まれるが、更生計画の定めるところにより更生債権者等に交付した新株引受権又は出資引受権若しくは基金の拠出の引受権について払込期日までに払込みがなかったため債務が消滅したことによる益金は含まれない。
(更生会社等である連結法人が受ける私財提供)
18-3-4 更生会社等である連結法人がその認可された更生計画に基づき役員若しくは株主等である者又はこれらであった者から金銭その他の資産の贈与を受けることとなった場合には、その贈与による益金の額は、会社更生法第 269条第3項《債務免除益等の課税の特例》又は更生特例法第 149条第3項若しくは第 160条の 139第3項《債務免除益等の課税の特例》に規定する債務の消滅による益金の額に含まれるものとする。
(更生手続開始前の連結欠損金の損金算入)
18-3-5 更生会社等である連結法人につき会社更生法第 269条第3項《債務免除益等の課税の特例》又は更生特例法第 149条第3項若しくは第 160条の 139第3項《債務免除益等の課税の特例》の規定を適用する場合において、財産の評価換え又は債務の消滅による益金(以下18-3-5において「評価益等」という。)の生じた日の属する連結事業年度に繰り越された既往の連結欠損金額のうちに更生手続開始前から繰り越されたもの(法第81条の9第1項《連結欠損金の繰越し》の規定の適用を受けるものを除く。)があるときは、当該連結欠損金額のうち当該連結法人に帰せられる金額は、当該評価益等の金額の範囲内で損金の額に算入するものとする。
第2款 債権者等の損益
(債権の弁済に代えて取得した新株又は出資若しくは基金の取得価額)
18-3-6 更生会社等に対して債権を有する連結法人(以下この款において「債権法人」という。)が、更生計画の定めるところにより、新たに払込みをしないで当該更生会社等の新株(新法人の株式を含む。)の取得又は出資若しくは基金の拠出(新法人の出資又は基金の拠出を含む。)の引受けをした場合には、その取得又は引受けの時における価額を当該新株又は出資若しくは基金の取得価額とする。
(注) 「新法人」とは、更生計画の定めるところにより設立された法人で、合併法人、分割承継法人、被現物出資法人若しくは被事後設立法人又は株式移転により設立された法人以外の法人をいう。
(非更生債権等の処理)
18-3-7 債権法人が更生会社等に対して有する債権で指定された期限までに裁判所に届け出なかったため更生債権とされなかったものについては、その金額を更生計画認可の決定のあった日において貸倒れとすることができる。
更生計画の定めるところにより交付を受けた新株引受権又は出資引受権若しくは基金の拠出の引受権について払込期日までに払込みをしなかったことにより消滅することとなった債権についても、同様とする。
第19章 税額の計算
第1節 連結同族会社の特別税率
第1款 特別税率の適用を受ける連結同族会社の範囲
(特別税率を適用されない同族会社の範囲)
19-1-1 法第81条の13第1項《連結同族会社の特別税率》の規定の適用に当たり、法第67条第1項《同族会社の特別税率》に規定する「同族会社でない法人」には、非同族会社を同族会社であるかどうかの判定の基礎となる株主等に選定したことによって同族会社となる場合のその同族会社(以下19-1-1において「非同族会社の子会社」という。)、当該非同族会社の子会社を同族会社であるかどうかの判定の基礎となる株主等に選定したために同族会社となる場合のその同族会社(以下19-1-1において「非同族会社の孫会社」という。)、当該非同族会社の孫会社を同族会社であるかどうかの判定の基礎となる株主等に選定したために同族会社となる場合のその同族会社等非同族会社の直接又は間接の同族会社も含まれる。
(相互に株式を持ち合っている場合の連結留保金課税)
19-1-2 同族会社である連結親法人が他の法人と相互に株式又は出資を持ち合っており、当該他の法人を当該連結親法人の同族会社の判定の基礎となる株主等に含めて判定する場合において、次のいずれにも該当するときは、当該連結親法人について法第81条の13第1項《連結同族会社の特別税率》の規定を適用する。
(1) 当該連結親法人が当該他の法人以外の法人で法第67条第1項《同族会社の特別税率》の「同族会社でない法人」に該当するものを同族会社の判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合において同族会社となること。
(2) 当該他の法人が当該連結親法人以外の法人で同項「同族会社でない法人」に該当するものを同族会社の判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合において同族会社となること。
第2款 連結留保金額の計算
(賞与を受ける者ごとに債務の確定していない賞与の処分)
19-1-3 法第81条の13第2項《連結留保金額》の当該連結事業年度の期間に係る確定した決算において利益の処分による経理をした賞与のうちにその利益の処分の確定した日において当該賞与を受ける者ごとに債務の確定していないものの額は、当該連結事業年度における連結利益積立金額に含まれることとし、当該連結事業年度後の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度。以下19-1-3において同じ。)において当該賞与を受ける者ごとに債務が確定したときは、その確定した日の属する連結事業年度の利益処分において当該賞与の額の社外流出処分があったものとする。
(還付金額が連結所得等の金額に算入される時期)
19-1-4 法第81条の13《連結同族会社の特別税率》の規定を適用する場合において、法第81条の29若しくは第78条《所得税額等の還付》の規定による所得税額等の還付金額又は法第81条の31若しくは第80条《連結欠損金繰戻しによる還付等》の規定による法人税額の還付金額は、その額が確定した日の属する連結事業年度の連結所得等の金額に含まれる。
(注) 所得税額等の還付金額で、確定申告によるものはその連結確定申告書又は確定申告書の提出の日、更正によるものはその更正のあった日にその額が確定する。
(期末連結利益積立金額)
19-1-5 連結法人が連結事業年度の中途において利益の配当又は剰余金の分配を行い連結個別利益積立金額が減算した場合又は連結法人の当該連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において損金の額に算入されなかった償却超過額、引当金、準備金の繰入額等を当該連結事業年度において損金の額に算入した場合には、その減算した金額又は損金の額に算入した金額は、法81条の13第3項第3号《積立金基準額》に規定する「当該連結事業年度の連結所得等の金額に係る部分の金額」に該当する。したがって、当該連結事業年度終了の時における連結利益積立金額は、合併、分割、資本若しくは出資の減少、株式の消却、自己の株式の取得、社員の退社若しくは脱退又は連結法人による他の連結法人の株式の譲渡等があったことにより法第2条第18号の2《連結利益積立金額》の規定に基づき加算又は減算する連結個別利益積立金額がある場合を除き、連結親法人事業年度終了の日の属する各連結法人の連結事業年度開始の時のそれぞれの連結個別利益積立金額の合計額と同額となることに留意する。
(連結利益積立金額がマイナスである場合の連結留保金額の計算)
19-1-6 法第81条の13第3項《連結留保控除額》の規定により連結留保控除額を計算する場合において、当該連結事業年度終了の時における連結親法人の資本の金額又は出資金額の25%相当額から控除すべきその時における連結利益積立金額が負(マイナス)であるときは、同項第3号に規定する金額は当該資本の金額又は出資金額の25%相当額とその負(マイナス)の金額との差額に相当する金額となることに留意する。
(注) 例えば、連結親法人の資本の金額の25%相当額が 1,000万円で、連結利益積立金額がマイナスの 500万円である場合には、同号に規定する金額は 1,500万円となる。
(連結留保金額の端数計算)
19-1-7 法第81条の13《連結同族会社の特別税率》の規定を適用する場合における端数計算については、次による。
(1) 課税の対象となる連結留保金額に 1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。
(2) 法第15条の2第1項《連結事業年度の意義》に規定する連結親法人事業年度の期間が1年に満たない場合において、年1億円に相当する金額に 1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。ただし、当該切り捨てられる端数の金額が(1) により切り捨てられる端数の金額より多いときは、これを切り上げる。
第2節 所得税額の控除
(利払期前の公債等を売却した場合の控除)
19-2-1 連結法人が利払期前の公債又は社債を売却した場合において、その所有した期間の利子に対する所得税に相当する金額を事実上負担したときにおいても、当該連結法人が所得税を納付したのではないから、当該所得税に相当する金額は、連結所得に対する法人税額からは控除しない。
(名義書換え失念株の配当に対する所得税の控除)
19-2-2 連結法人が、その有する株式を譲渡した場合において、譲受人が名義書換えをしなかったため当該株式に係る利益の配当の額でその譲渡後に行われた配当決議に係るものを受けたときは、当該利益の配当の額は株主たる地位に基づいて受けたものではないから、これについて課された所得税の額については、当該連結法人において法第81条の14《連結事業年度における所得税額の控除》の規定の適用はないものとする。ただし、配当権利落後配当決議の日までの間に譲渡した株式につき当該配当決議に係る利益の配当の額を受けたときにおける当該利益の配当の額について課された所得税の額については、この限りでない。
(未収利子又は未収配当等に対する所得税の控除)
19-2-3 連結法人が各連結事業年度終了の日までに支払を受けていない法第81条の14《連結事業年度における所得税額の控除》に規定する利子及び配当等を当該連結事業年度の確定した決算において収益として計上し、当該利子及び配当等(利子等については、当該連結事業年度終了の日までにその利払期の到来しているものに限る。)につき納付すべき所得税の額を当該連結事業年度の法人税の額から控除し、又はその控除しきれない額に相当する所得税の還付を請求した場合には、その控除又は請求を認める。
(支払請求に基づき支払った所得税の控除)
19-2-4 連結法人がその連結事業年度開始の日前に支払を受けた法第81条の14《連結事業年度における所得税額の控除》に規定する利子及び配当等に対する所得税に相当する金額につき、所得税法第 222条《不徴収税額の支払金額からの控除及び支払請求等》の規定による控除又は支払の請求を受けた場合におけるその控除された又はその請求に対し支払をした所得税の額については、その控除又は支払をした日の属する連結事業年度又は事業年度において、法第81条の14又は第68条《所得税額の控除》の規定を適用する。
(1年決算法人からの配当に係る所得税控除額の所有期間あん分)
19-2-5 連結法人が、商法第 293条ノ5第1項《中間配当》、資産の流動化に関する法律第 102条第1項《中間配当》又は旧資産流動化法第 102条第1項《中間配当》の規定によりその定款において中間配当をする旨を定めている法人から利益の配当の支払を受けた場合における当該利益の配当に係る令第 155条の26第2項《連結法人税額から控除する所得税額の計算》に規定する「配当等の計算の基礎となった期間」は、当該中間配当をする旨を定めている法人が当該利益の配当をした事業年度において中間配当の支払をしなかった場合であっても、同項に規定する一定の日の翌日から当該連結事業年度終了の日までの期間となることに留意する。
(国外公社債等の利子等、国外投資信託等の配当等及び国外株式の配当等に係る所得税控除額の所有期間あん分)
19-2-6 措置法第3条の3第2項《国外で発行された公社債等の利子所得の分離課税等》、同法第8条の3第2項《国外で発行された投資信託等の収益の分配に係る配当所得の分離課税等》又は同法第9条の2第1項《国外で発行された株式の配当所得の源泉徴収等の特例》の規定により課された国外公社債等の利子等、国外投資信託等の配当等及び国外株式の配当等に対する所得税の額について、法第81条の14《連結事業年度における所得税額の控除》の規定を適用する場合には、当該所得税の額のうち令第 155条の26第2項又は第3項《連結法人税額から控除する所得税額の計算》の規定により計算したその元本の所有期間に対応する部分の金額が控除の対象となることに留意する。
(利子計算期間の中途で記載又は記録された公社債に係る控除所得税額の計算)
19-2-7 措置法第8条第1項《金融機関等の受ける利子所得に対する源泉徴収の不適用》に規定する金融機関及び同条第2項に規定する証券業者等 (以下19-2-7及び19-2-10において「金融機関等」という。)が、同条第1項第1号に規定する振替口座簿に記載又は記録された公社債につき利子の支払を受ける場合において、当該公社債がその利子の計算期間の中途において取得され、かつ、記載又は記録されたものであるときは、連結所得に対する法人税の額から控除する所得税の額で当該公社債に係るものは、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1) 当該公社債の記載又は記録がその取得の日においてされたものである場合には、その利子の計算期間のうちその取得の日前の期間について課される所得税の額は、令第155条の26第2項かっこ書《元本を所有していなかった期間の所得税額の除外》の規定により、連結所得に対する法人税の額から控除する所得税の額に含めない。
(2) 当該公社債の記載又は記録がその取得の日後にされている場合には、連結所得に対する法人税の額から控除する所得税の額で当該公社債に係るものは、その利子の計算期間に係る利子に対する所得税の額を次のイに掲げる日数で除し、これにロに掲げる日数を乗じて計算した金額とする。
イ その利子の計算期間の開始の日からその記載又は記録がされた日の前日までの期間の日数
ロ その取得した日からその記載又は記録がされた日の前日までの期間の日数
(注)
金融機関等が措置法令第2条の2第5項《国外発行公社債等の利子等に対する源泉徴収の不適用》の規定により保管の委託をした同条第9項に規定する国外発行公社債等につき利子等の支払を受ける場合において、当該国外発行公社債等がその利子等の計算期間の中途において取得され、かつ、保管の委託がされたものであるときについても、同様とする。
(割引債に係る利子の計算期間)
19-2-8 連結法人がその有する割引債の償還 (買入消却を含む。)を受けた場合において、措置法第41条の12第4項《償還差益に対するみなし源泉所得税》の規定により償還時に徴収される所得税とみなされる額があるときは、措置法令第26条の11第1項《償還差益に対する所得税額の法人税額からの控除》及び令第 155条の26《連結法人税額から控除する所得税額の計算》の規定により連結所得に対する法人税の額から控除する所得税の額を計算するのであるが、この場合における当該割引債がいわゆる1年ものであるときは、同条第2項の「利子配当等の計算の基礎となった期間の月数」は、これを12月として計算するものとする。
(証券投資信託の収益の計算期間)
19-2-9 証券投資信託 (日々決算を行い、その都度その決算収益の全額を未払収益分配金勘定に振り替えることとされているものを除く。)の収益の分配に対する所得税額につき令第 155条の26第2項又は第3項《連結法人税額から控除する所得税額の計算》の規定を適用する場合におけるこれらの項の利子配当等の計算の基礎となった期間は、次の期間をいう。この場合、(4) の追加型証券投資信託と他の証券投資信託とは区分して同条第3項の規定を適用することができるものとする。
(1) 信託期間中における決算分配金の分配については、その計算期間。
(2) 信託の一部の解約による収益の分配については、当該信託の開始の日からその解約の日までの期間。ただし、信託約款により、各計算期間ごとのいわゆる収益分配可能額(収益調整金の原資に相当する部分を除く。)の全額をそれぞれ各計算期間に係る決算分配金として分配することを定めている証券投資信託(以下19-2-9において「追加型公社債投資信託等」という。)の第2計算期間以後の解約による収益の分配については、直前の決算分配金に係る計算期間の末日の翌日から当該解約の日までの期間。
(3) 信託の終了による収益の分配については、当該信託の開始の日から終了の日までの期間。ただし、追加型公社債投資信託等の終了による収益の分配については、直前の決算分配金に係る計算期間の末日の翌日から当該終了の日までの期間。
(4) 追加型証券投資信託(公社債投資信託を除く。)の収益の分配については、(1) から(3) までにかかわらず、(1) の分配は、当該信託の当該受益証券に係る設定日(追加設定の日を含む。以下19-2-9において「元本の設定日」という。)からその決算分配金に係る計算期間の末日までの期間(元本の設定日が当該決算分配金の計算期間の開始の日前である場合には、当該計算期間)、(2) の分配は、元本の設定日から信託の解約の日までの期間、(3) の分配は、元本の設定日から信託の終了の日までの期間。
(注)
日々決算を行い、その都度その決算収益の全額を未払収益分配金勘定に振り替えることとされている証券投資信託の収益の分配金について課された所得税の額は、常にその全額が同条第1項において読み替えて準用される令第 140条の2第1項第1号《法人税額から控除する所得税額の計算》に掲げる「その元本を所有していた期間に対応するものとして計算される所得税の額」に該当する。
(記載又は記録をされた公社債等がある場合の控除所得税額の簡便計算)
19-2-10 公債及び社債の利子並びに投資信託及び特定目的信託の収益の分配に係る所得税につき令第 155条の26第3項《控除所得税額の簡便計算》の規定により控除すべき所得税の額を計算する場合において、金融機関等の有する公債若しくは社債又は投資信託若しくは特定目的信託の受益証券のうちにその利子又は収益の分配の計算期間の中途において振替口座簿に記載若しくは記録をされたもの又は登録若しくは保管の委託をしたもの (19-2-7の適用を受けるものに限る。)があるときは、その記載若しくは記録をされ又は登録若しくは保管の委託をした公債若しくは社債又は投資信託若しくは特定目的信託の受益証券以外のものについて同項の規定を適用する。
(新株予約権付社債に係る新株予約権の行使により取得した株式の所有期間)
19-2-11 連結法人が、新株予約権付社債(利益の配当につき商法第 341条ノ3第1項《発行事項に関する決定》の規定によりその行使があった日の属する発行法人に係る事業年度の直前の事業年度終了の日に新株の発行があったものとみなすこととしているものに限る。)に係る新株予約権の行使により株式を取得した場合において、その行使をした日の属する当該発行法人の事業年度に係る利益の配当について課された所得税の額につき法第81条の14《連結事業年度における所得税額の控除》の適用を受けるときは、その新株の発行があったものとみなされた日(その日が当該新株予約権付社債の取得の日前である場合には、その取得の日)からその行使により取得した株式を所有していたものとして令第 155条の26《連結法人税額から控除する所得税額の計算》の規定を適用する。
(信用取引等による買付株式がある場合の控除所得税額の簡便計算)
19-2-12 配当等に係る所得税につき令第 155条の26第3項《控除所得税額の簡便計算》の規定により控除すべき所得税の額を計算する場合において、連結法人の有する株式のうちに証券取引法第 161条の2第1項《信用取引等における保証金の預託》の規定による信用取引又は発行日取引の方法により買付けをした株式でその決済が未了のものがあるときは、当該株式の数は令第155条の26第3項各号に規定する「元本の数」に含めないものとする。
(注)
連結法人が信用取引又は発行日取引の方法により買付けをした株式を現物で引き取ることによって決済をした場合は、当該株式をその買付けをした時から所有しているものとして令第155条の26第2項又は第3項の規定を適用することができる。
(連結法人税額から控除する所得税額の計算)
19-2-13 令第 155条の26第3項《控除所得税額の簡便計算》の規定による計算は、各連結法人が有する利子配当等のすべての元本について同項に規定する「3種類」及び「期間が1年を超えるものと1年以下のもの」ごとの6つに区分し、その区分に属するすべての元本について、その銘柄ごとに行うのであるから、例えば、同一の区分に属する株式を複数の連結法人が有する場合には、その一部の連結法人が有するもののみについて同項の規定を適用することはできないことに留意する。
第3節 外国税額の控除
第1款 通 則
(外国法人税の一部につき控除申告をした場合の取扱い)
19-3-1 連結法人が当該連結事業年度において納付する外国法人税の額 (法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》に規定する個別控除対象外国法人税の額に限る。以下19-3-1において同じ。)の一部につき同条の規定の適用を受ける場合であっても、法第81条の8第1項《連結法人税額から控除する外国税額の損金不算入》の規定により、すべての連結法人が当該連結事業年度において納付する外国法人税の額の全部が損金の額に算入されないことに留意する。
(注)
連結法人が当該連結事業年度において納付する外国法人税の一部につき法第81条の15の規定を適用し、他の外国法人税につき同条の規定を適用しないで損金の額に算入して申告した場合において、その申告をしたことが当該損金の額に算入した外国法人税につき同条第1項に規定する外国法人税に該当するかどうか明らかでなかったことによるものであると認められるときは、同条第17項に規定する「やむを得ない事情」があるものとして取り扱うことができる。
(使用人の範囲)
19-3-2 令第 155条の28第3項第2号《連結国外所得金額の計算》に規定する「使用人」の範囲については、次のことは次による。
(1) 使用人は、常用であると日々雇い入れるものであるとを問わないが、使用人兼務役員は含まれない。
(2) いわゆる駐在員事務所、買付事務所、情報収集事務所等で同号に規定する国外事業所等 (以下この節において「国外事業所等」という。)に該当しない施設に就労する使用人は、国外事業所等の使用人に該当しない。
(3) 国外事業所等を通じて行う事業に帰せられる国外源泉所得(同項に規定する国外源泉所得をいう。以下この節において同じ。)につき外国法人税を課さないこととしている国又は地域にある国外事業所等に就労する使用人は、国外事業所等の使用人に該当する。
(4) 法第 141条第3号《外国法人に係る各事業年度の所得に対する法人税の課税標準》に規定する代理人等に相当する者で国外に置かれているものは、国外事業所等の使用人に該当する。
(国外使用人割合の計算の特例)
19-3-3 令第 155条の28第3項第2号《連結国外所得金額の計算》に規定する国外使用人割合は、その連結事業年度終了の時における各連結法人の国外事業所等の使用人の数及び各連結法人の使用人の総数に基づいて計算するのであるが、各連結法人がこれらの人数につき、当該連結事業年度における延人員等当該連結事業年度において従事した使用人の数に基づく合理的な人数によっている場合には、各連結法人ごとに継続適用を条件としてこれを認める。
第2款 外国法人税の直接控除
(源泉徴収の外国法人税等)
19-3-4 我が国における利子、配当等に対する所得税のように、所得に代えて収入金額又はこれに一定の割合を乗じて計算した金額を課税標準として源泉徴収される税は、法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》に規定する外国法人税に含まれる令第 141条第2項第3号《外国法人税の範囲等》に掲げる税に該当するが、例えば、シンガポール共和国又はマレーシアにおける配当所得に対するいわゆる源泉控除のように、外国法人から利益の配当又は剰余金の分配 (以下この節において「配当等」という。)の支払を受けるに当たり、当該外国法人の当該配当等の額の支払の基礎となった所得の金額に対して課される外国法人税の額に充てるために当該配当等の額から控除される金額は、同号に掲げる税に該当しないことに留意する。
(注)
いわゆる源泉控除により配当等の額から控除される金額がある場合には、その控除後の金額が法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》に規定する配当等の額となることに留意する。
(外国税額控除の適用時期)
19-3-5 連結法人の法第81条の15第1項又は第2項《連結事業年度における外国税額の控除》の規定による外国税額の控除の適用時期については、各連結法人が外国法人税を納付することとなる日の属する連結事業年度となるのであるが、その適用時期を各連結法人がそれぞれ継続してその納付することが確定した外国法人税の額を費用として計上した日(その計上した日が外国法人税を納付した日その他の税務上認められる合理的な基準に該当する場合に限る。)の属する連結事業年度としている場合には、これを認める。
(予定納付等をした外国法人税についての税額控除の適用時期)
19-3-6 連結法人がいわゆる予定納付又は見積納付等(以下この節において「予定納付等」という。)をした外国法人税の額についても19-3-5に定める連結事業年度において法第81条の15第1項又は第2項《連結事業年度における外国税額の控除》の規定を適用することとなるのであるが、各連結法人が、それぞれ継続して、当該外国法人税の額をその予定納付等に係る事業年度の外国法人税について確定申告又は確定賦課等があるまでは仮払金等として経理し、その確定申告、確定賦課等があった日の属する連結事業年度をこれらの項に規定する外国税額の控除の適用時期としている場合には、これを認める。
(国外からの利子、配当等について送金が許可されない場合の外国税額の控除)
19-3-7 国外の者から支払を受ける利子、配当等又は使用料 (以下19-3-7において「国外からの利子、配当等」という。)につき、その送金が許可されないため、2-1-34《送金が許可されない利子、配当等の帰属時期の特例》によりその送金が許可されるまで収益計上を見合わせることとしている場合には、当該国外からの利子、配当等につき課される外国法人税の額については、その後送金が許可されたことその他の理由により当該国外からの利子、配当等の額を収益として計上することとなる日までは損金の額に算入しないものとし、かつ、法第81条の15第1項及び第2項《連結事業年度における外国税額の控除》の規定の適用はないものとする。
(注)
国外の者から支払を受ける配当等の額につき本文の取扱いを適用する場合には、同条第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の規定(法第69条第8項《外国税額の間接控除》の規定を含む。)の適用年度もその配当等の額を収益として計上することとなる日の属する連結事業年度以後の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)となることに留意する。
(租税条約による限度税率超過税額)
19-3-8 連結法人が我が国と租税条約を締結している国に源泉のある所得を有する場合において、当該所得につき当該租税条約に定める限度税率(租税条約において居住者又は内国法人に対する相手国の課税につき一定の税率又は一定の割合で計算した金額を超えないものとしている場合におけるその一定の税率又は一定の割合をいう。以下19-3-8において同じ。)を超える税率により外国法人税を課されたときは、当該外国法人税の額のうち限度税率によって計算した税額を超える部分の金額については、原則としてその還付を受けるまでは仮払金等として損金の額に算入しないものとし、かつ、法第81条の15第1項又は第2項《連結事業年度における外国税額の控除》の規定の適用はないものとする。
(連結国外所得金額の計算)
19-3-9 法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》に規定する連結控除限度個別帰属額の計算の基礎となる令第 155条の28第1項《連結控除限度額の計算》に規定する当該連結事業年度の連結国外所得金額(以下この節において「連結国外所得金額」という。)は、現地における外国法人税の課税上その課税標準とされた所得の金額そのものではなく、当該連結事業年度において生じた法第 138条《国内源泉所得》に規定する国内源泉所得(以下この節において「国内源泉所得」という。)以外の所得に係る当該連結事業年度の国外所得の金額 (当該連結事業年度において生じた国外源泉所得に係る所得の計算につき法(措置法その他法人税に関する法令で法以外のものを含む。)の規定を適用して計算した場合における当該連結事業年度の課税標準となるべき所得の金額をいう。)に令第155条の28第3項かっこ書及びただし書の規定による調整をした後の金額をいうことに留意する。
(連結国外所得金額の計算における連結欠損金の繰越控除の不適用)
19-3-10 連結国外所得金額は、法第81条の9《連結欠損金の繰越し》の規定を適用しないで計算したところの金額による。
(国際海上運輸業における運送原価の配賦)
19-3-11 国内及び国外にわたる船舶による運送の事業(以下19-3-11において「国際海上運輸業」という。)を営む連結法人の連結国外所得金額の計算上損金の額に算入する運送の原価の額は、原則として個々の運送ごとに計算するのであるが、その計算が困難であると認められる連結法人については、各連結法人ごとに継続して次の算式により計算した金額を当該運送の原価の額とすることができる。

(注) 1 算式の「当該連結事業年度の運送の原価の額の合計額」には、その運送のために要した費用の額のうち当該連結法人が2-2-10《運送収入に対応する原価の額》によりその支出の日の属する連結事業年度の損金として計算した金額が含まれる。
2 この運送原価の額の計算は連結法人ごとに行うのであるから、2以上の連結法人がこの方法により計算する場合に、当該2以上の連結法人の合計額をもって一括計算することはできない。
(販売費、一般管理費等の配賦)
19-3-12 当該連結事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(法に規定する引当金勘定への繰入額及び措置法に規定する準備金の積立額を除く。以下19-3-12において同じ。)のうち令第 155条の28第6項《連結国外所得金額の計算》の規定により読み替えて準用される令第 142条第6項《共通費用の配賦》に規定する共通費用(負債の利子を除く。以下19-3-14までにおいて「共通費用」という。)の額を同項の規定により国内源泉所得に係る所得を生ずべき業務 (以下この節において「国内業務」という。)と国外源泉所得に係る所得を生ずべき業務(以下この節において「国外業務」という。)とに配分する場合において、個々の費目ごとにその計算をすることが困難であると認められる連結法人については、原則として、各連結法人ごとに、すべての共通費用を一括して、当該各連結法人の当該連結事業年度の売上総利益の額 (利子、配当等及び使用料については、その収入金額とする。以下19-3-12において同じ。)のうちに国外業務に係る売上総利益の額の占める割合を用いて国外業務に係る損金の額として配分すべき金額を計算するものとする。
(注)
連結法人(金融及び保険業を主として営む連結法人を除く。)の国外業務に係る収入金額の全部又は大部分が利子、配当等又は使用料であり、かつ、当該連結法人の当該連結事業年度の個別所得金額(法第81条の18第1項《連結法人税の個別帰属額の計算》に規定する「個別所得金額」をいう。)のうちに個別国外所得金額(令第 155条の30第1号《連結控除限度個別帰属額の計算》に規定する「個別国外所得金額」をいう。)の占める割合が低いなどのため課税上弊害がないと認められる場合には、当該連結事業年度の販売費、一般管理費その他の費用のうち国外業務に関連することが明らかな費用(例えば国外の関連会社を管理する部門の人件費、国外の子会社への出向者に係る給与の較差補てん金等)のみが共通費用であるものとして国外業務に係る損金の額として配分すべき金額を計算することができる。
(負債利子の配賦)
19-3-13 当該連結事業年度において生じた負債の利子(社債発行差金の償却額、手形の割引料、貿易商社における輸入決済手形借入金の利息等を含む。以下19-3-13において同じ。)のうち国外事業所等における国外業務のために直接関連して生じた負債の利子 (以下19-3-13において「直接利子」という。)に該当するもの以外のもの (以下19-3-14までにおいて「共通利子」という。)の額については、原則として、その各連結法人の営む主たる事業が次のいずれに該当するかに応じ、それぞれ各連結法人ごとに次により国内業務と国外業務に適正に配分するものとする。
(1) 卸売業及び製造業 次の算式により計算した金額を国外業務に係る損金の額とする。

(2) 銀行業 次の算式により計算した金額を国外業務に係る損金の額とする。

(3) その他の事業 その事業の性質に応じ、(1)又は(2)に掲げる方法に準ずる方法により計算した金額を国外業務に係る損金の額とする。
(注) 1
算式の「国外業務に係る資産」及び「国外源泉所得の発生の源泉となる貸付金、有価証券等」には、当該連結事業年度において収益に計上すべき利子、配当等の額がなかった貸付金、有価証券等を含めないことができる。
2 算式の「当該連結事業年度の直前連結事業年度」が、連結事業年度に該当しない場合には「当該連結事業年度の直前事業年度」と読み替えて計算を行う。
3 算式の「総資産の帳簿価額」は、令第22条第1項第1号《株式等に係る負債の利子の計算》の規定の例により計算した金額に同号ホに規定する他の連結法人に支払う負債の利子の元本である負債の額に相当する金額を加算した金額による。
4 算式の「自己資本の額」は、確定した決算に基づく貸借対照表の資本の部に計上されている金額によるものとし、また、「固定資産の帳簿価額」は、当該貸借対照表に計上されている法第2条第22号《固定資産の定義》に規定する固定資産の帳簿価額による。
(確認による共通費用等の配賦方法の選択)
19-3-14 連結法人が、当該連結事業年度の共通費用の額又は共通利子の額のうち国外業務に係る損金の額として配分すべき金額を計算する場合において、19-3-12又は19-3-13によることがその連結法人の業務の内容等に適合しないと認められるときは、あらかじめ当該連結法人に係る連結親法人が所轄税務署長 (当該連結親法人が国税局の調査課所管法人である場合には、所轄国税局長)の確認を受けて、当該共通費用の額又は共通利子の額の全部又は一部につき収入金額、直接経費の額、資産の価額、使用人の数その他の基準のうちその業務の内容等に適合すると認められる基準によりその計算をすることができるものとする。
(引当金の繰入額等の配賦)
19-3-15 法に規定する引当金勘定への繰入額及び措置法に規定する準備金(特別償却準備金を含む。以下19-3-16までにおいて同じ。)の積立額のうち連結国外所得金額の計算上損金の額に算入すべき金額の計算は、おおむね次に掲げるところによるものとする。
(1) 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金勘定への繰入額は、その対象となった金銭債権の額のうち国外事業所等に属するもの(国内の事業所等に属する金銭債権で国外源泉所得の発生の源泉となるものを含む。以下19-3-15において同じ。)の額に係る部分の金額とし、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金勘定への繰入額は、その対象となった金銭債権の額のうち国外事業所等に属するものの額の比により計算した金額とする。
(注) 国内の事業所等に属する国外の者への貸付金のうち当該連結事業年度において収益に計上すべき利子の額がないものに対応する貸倒引当金勘定への繰入額は、当該連結事業年度の連結国外所得金額の計算上損金の額に算入しないことができる。
(2) 海外投資等損失準備金の積立額は、国外事業所等に属する特定株式等(措置法第68条の43第1項《海外投資等損失準備金》に規定する特定株式等をいう。)について積み立てた金額とする。
(3) (1)及び(2)に掲げる引当金又は準備金以外の引当金又は準備金の繰入額又は積立額については、その引当金又は準備金の性質又は目的に応ずる合理的な基準により計算した金額を連結国外所得金額の計算上の損金の額とする。
(引当金の取崩額等の配賦)
19-3-16 当該連結事業年度前の各連結事業年度においてその繰入額又は積立額を連結国外所得金額の計算上損金の額に算入した引当金又は準備金の取崩し等による益金算入額がある場合には、当該益金算入額のうちその繰入れをし、又は積み立てをした連結事業年度において連結国外所得金額の計算上損金の額に算入した金額に対応する部分の金額を当該取崩し等に係る連結事業年度の連結国外所得金額計算上の益金の額とするのであるから留意する。
(注) 1 当該連結事業年度において適格組織再編成により被合併法人等から引継ぎを受けた引当金又は準備金の取崩し等による益金算入額がある場合には、当該益金算入額のうち当該被合併法人等においてその繰入れをし、又は積み立てをした連結事業年度の連結国外所得金額の計算上損金の額に算入した金額に対応する部分の金額についても、同様とする。
2 本文の「当該連結事業年度前の各連結事業年度」並びに本文及び1の「その繰入れをし、又は積み立てをした連結事業年度」は、その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には当該事業年度とする。この場合の「連結国外所得金額」は、令第 142条第3項《国外所得金額の計算》に規定する国外所得金額とする。
(評価損等の配賦)
19-3-17 次に掲げる金額は、連結国外所得金額の計算上損金の額又は益金の額に算入する。
(1) 国外事業所等に属する資産について法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定に基づき評価換えをしたことにより生じた損失の額 (補修用部品在庫調整勘定への繰入額を含む。)
(2) 国外事業所等に係る外貨建資産等(法第61条の9第1項《外貨建資産等の換算額》に規定する外貨建資産等をいう。)について生じた為替差損益の額
(3) 国外事業所等に係る時価評価資産(法第61条の11第1項《連結納税の開始に伴う資産の時価評価損益》に規定する時価評価資産をいう。)について法第61条の12第1項《連結納税への加入に伴う資産の時価評価損益》の規定の適用により生じた評価益又は評価損
(4) 国外事業所等に属する金銭債権について生じた貸倒損失の額
(技術等海外取引所得の特別控除額の配賦)
19-3-18 措置法第68条の60第1項《技術等海外取引に係る連結所得の特別控除》の規定により当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入する金額がある場合には、当該損金の額に算入する金額のうち同条第1項に規定する技術等海外取引による指定期間内の収入金額(措置法令第39条の87第1項《技術等海外取引に係る連結所得の特別控除額の計算等》に規定する収入金額を除く。)で国外源泉所得に係るものに対応する部分の金額は、当該連結事業年度の連結国外所得金額の計算上も損金の額に算入するのであるから留意する。
(損金の額に算入されない寄附金、交際費等)
19-3-19 当該連結事業年度において支出した寄附金の額のうちに法第81条の6第2項又は第3項《連結事業年度における寄附金の損金不算入》の規定により損金の額に算入されない金額がある場合には、当該金額のうち国外業務に係る寄附金の額に対応する部分の金額は、当該連結事業年度の連結国外所得金額の計算上も損金の額に算入しない。
当該連結事業年度の交際費等の額のうちに措置法第68条の66第1項《交際費等の損金不算入》の規定により損金の額に算入されない金額がある場合についても、同様とする。
(欠損金の繰戻しによる還付があった場合の処理)
19-3-20 当該連結事業年度前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において法第81条の15第1項から第5項まで《連結事業年度における外国税額の控除》の規定(法第69条第1項から第5項まで《外国税額の控除》の規定を含む。)の適用の対象とした外国法人税の額(適格組織再編成により事業の全部又は一部の移転を受けている場合にあっては、当該適格組織再編成に係る被合併法人等が当該事業に基因して納付した外国法人税の額のうちこれらの規定の適用の対象としたものを含む。)の全部又は一部が法第80条第1項《欠損金の繰戻しによる還付》の規定に類する制度に基づいて還付された場合には、その還付されることとなった日の属する連結事業年度において当該外国法人税の額につき減額があったものとして法第26条第2項《還付金等の益金不算入》及び第81条の15第10項の規定を適用する。
(外国法人税を課さないことの意義)
19-3-21 令第 155条の28第5項各号《外国法人税が課されない国外源泉所得》に規定する「外国法人税を課さないこととしていること」には、令第 155条の27第3項《個別控除対象外国法人税の額とされないもの》に規定するみなし納付外国法人税の額がある場合を除き、租税条約等の規定により外国法人税が課されないこととされている場合が含まれることに留意する。
(外国法人税額の高率負担部分の判定)
19-3-22 連結法人が納付することとなる外国法人税の額のうちに令第 155条の27第1項《個別控除対象外国法人税の額とされないもの》に規定する「所得に対する負担が高率な部分の金額」(以下19-3-23において「高率負担部分」という。)があるかどうかは、一の外国法人税ごとに、かつ、当該外国法人税の課税標準とされる金額ごとに判定するのであるから留意する。
(予定納付等をした場合の高率負担部分の判定)
19-3-23 連結法人が予定納付等をした外国法人税の額については、19-3-22にかかわらず、当該外国法人税の額に係る高率負担部分はないものとして法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》の規定を適用するものとする。この場合において、当該予定納付等をした外国法人税(適格組織再編成により事業の全部又は一部の移転を受けている場合にあっては、当該適格組織再編成に係る被合併法人等が当該事業に係る所得に基因して予定納付等をした外国法人税のうち同項又は法第69条第1項《連結事業年度における外国税額の控除等》の規定を適用したものを含む。)に係る確定申告又は確定賦課等により納付する金額につき法第81条の15第1項の規定の適用を受けるときは、当該確定申告又は確定賦課等により確定した外国法人税の額(予定納付等をした外国法人税の額を控除する前の金額をいう。以下19-3-23において同じ。)に基づき令第 155条の27第1項《個別控除対象外国法人税の額とされないもの》の規定を適用する。
(注) この取扱いを適用することにより、当該確定した外国法人税の額につき高率負担部分の金額が生じ、かつ、当該高率負担部分の金額が確定申告又は確定賦課等により納付する金額を超えるときは、当該超える部分の金額については、当該金額が令第 155条の39第1項《連結事業年度において外国法人税が減額された場合の特例》に規定する個別減額控除対象外国法人税額であるものとして、同条の規定を適用する。
(高率負担部分の判定をする場合の総収入金額の計算における連結法人株式の帳簿価額修正額の取扱い)
19-3-24 令第 155条の27第2項第1号《利子等に係る外国法人税の額のうち個別控除対象外国法人税の額とされないもの》及び規則第37条の4第1項第1号《個別控除対象外国法人税の額とされないものの計算に係る総収入金額等》に規定する当該株式の譲渡の直前の帳簿価額は、当該資産の譲渡が令第9条の2第4項《連結法人株式の帳簿価額修正》の規定により読み替える同条第1項第1号の他の連結法人の株式の譲渡に該当するときには、令第 119条の3第3項《移動平均法を適用する有価証券について評価換え等があった場合の一単位当たりの帳簿価額の算出の特例》又は第 119条の4第1項《評価換え等があった場合の総平均法の適用の特例》の規定により算出される金額にその譲渡した株式の数を乗じた金額となることに留意する。
(高率負担部分の判定をする場合の総収入金額の計算における譲渡損益調整額の取扱い)
19-3-25 令第 155条の27第2項第1号《利子等に係る外国法人税の額のうち個別控除対象外国法人税の額とされないもの》の譲渡に係る収入金額とみなされる金額の計算上、法第81条の10第1項《連結法人間取引の損益の調整》の規定の適用がある有価証券又は固定資産の譲渡に係る譲渡損益調整額は、影響しないことに留意する。
規則第37条の4第1項第1号《個別控除対象外国法人税の額とされないものの計算に係る総収入金額等》の計算についても、同様とする。
(注) 譲渡損益調整額とは、14-1-1の (注) 《譲渡損益調整額の計算における「対価の額」の意義》に定める譲渡損益調整額をいう。
(外国法人税額に増額等があった場合)
19-3-26 連結法人が外国法人税の額につき法第81条の15第1項から第5項まで《連結事業年度における外国税額の控除》の規定(法第69条第1項から第5項まで《外国税額の控除》の規定を含む。)の適用を受けた場合(適格組織再編成により事業の全部又は一部の移転を受けている場合にあっては、当該適格組織再編成に係る被合併法人等が当該事業に係る所得に基因して納付した外国法人税の額につきこれらの規定の適用を受けた場合を含む。)において、その適用を受けた連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)後の連結事業年度において、当該外国法人税の額の増額があり、かつ、法第81条の15第1項から第3項までの規定の適用を受けるときは、当該外国法人税につき、その増額後の金額に基づいて同条第1項に規定する個別控除対象外国法人税の額 (以下この節において「個別控除対象外国法人税額」という。)の再計算を行うものとし、増額した個別控除対象外国法人税額は、当該外国法人税の額の増額のあった日の属する連結事業年度において新たに生じたものとして同条の規定を適用する。この場合において、次に掲げる場合にあっては、それぞれ次による。
(1) 増加することとなった個別控除対象外国法人税額が増加した外国法人税の額以下である場合 増加することとなった個別控除対象外国法人税額に相当する金額は、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入しない。
(2) 増加することとなった個別控除対象外国法人税額が増加した外国法人税の額を超える場合 増加することとなった個別控除対象外国法人税額のうち、増加した外国法人税の額に相当する金額は当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入しないものとし、当該増加した外国法人税の額に相当する金額を超える部分の金額については、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上益金の額に算入する。
(注) 外国法人税の額の減額があった場合において、当該外国法人税につき、減額された外国法人税の額を超えて個別控除対象外国法人税額を減額することとなるときは、当該超える部分の個別控除対象外国法人税額に相当する金額については、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入する。
(貸付金に準ずるもの)
19-3-27 令第 155条の27第2項本文かっこ書《利子等の範囲》に規定する「貸付金その他これに準ずるもの」には、次に掲げるようなものが含まれることに留意する。
(1) 預け金のうち預貯金以外のもの
(2) 保証金、敷金その他これらに類する債権
(3) 前渡金その他これに類する債権
(4) 他人のために立替払をした場合の立替金
(5) 取引の対価に係る延払債権
(6) 保証債務を履行したことに伴って取得した求償権
(7) 損害賠償金に係る延払債権
(8) 当座貸越に係る債権
(外国法人税の額から控除されるもの)
19-3-28 令第 155条の27第2項《利子等に係る個別控除対象外国法人税の額とされないもの》に規定する利子等の収入金額を課税標準として源泉徴収の方法に類する方法により課される外国法人税 (以下19-3-28において「源泉徴収外国法人税」という。)のうち、当該源泉徴収外国法人税が課される国又は地域において法第68条《所得税額の控除》の規定に類する制度により税額控除又は損金算入のいずれかを選択適用することとされているものについては、当該源泉徴収外国法人税につき損金の額に算入しているときであっても、令第 155条の27第2項の規定は適用しないものとする。
(事業の区分)
19-3-29 連結法人の主として営む事業が令第 155条の27第2項第1号から第3号まで《利子等に係る個別控除対象外国法人税の額とされないもの》に掲げる事業に該当するかどうかは、おおむね日本標準産業分類 (総務省)の分類を基準として判定する。この場合において、当該法人が2以上の事業を兼営しているときは、それぞれの事業に属する収入金額等事業の規模を表わす事実によって判定する。
(注)
日本標準産業分類の「大分類K金融・保険業」の「中分類67保険業(保険媒介代理業、保険サービス業を含む)」のうち「 673共済事業」を営む法人は、生命共済事業及び損害共済事業に属する収入金額の合計額等、これらの共済事業の規模を表わす事実によって同項第2号及び第3号に掲げる生命保険事業及び損害保険事業を主として営む法人であるかどうかを判定する。この場合において、当該法人が生命共済事業及び損害共済事業を兼営しているときは、当該法人に係る同項第1号に規定する総収入金額の合計額に相当する金額は、次の算式により計算する。

(所得率等が変動した場合の取扱い)
19-3-30 連結法人が外国法人税の額につき法第81条の15第1項から第3項まで《連結事業年度における外国税額の控除》の規定の適用を受けた場合において、その適用を受けた連結事業年度(以下19-3-30において「適用連結事業年度」という。)に係る所得率又は利子収入割合について異動が生じたこと等により当該外国法人税の額に係る個別控除対象外国法人税額に異動が生じたとき(19-3-26の適用がある場合を除く。)は、当該適用連結事業年度において当該外国法人税の額につき、その異動後の個別控除対象外国法人税額に基づいて法第81条の15の規定を適用することに留意する。
(注) 1
連結法人が外国法人税の額につき法第69条第1項から第3項まで《外国税額の控除》の規定の適用を受けた場合において、その適用を受けた事業年度に係る所得率又は利子収入割合について異動が生じたこと等により控除対象外国法人税額(法第69条第1項に規定する控除対象外国法人税の額をいう。)に異動が生じたときの異動後の控除対象外国法人税額についても、同様とする。
2 本文及び1の所得率とは、令第 155条の27第2項《利子等に係る個別控除対象外国法人税の額とされないもの》又は第 142条の3第2項《利子等に係る控除対象外国法人税の額とされないもの》に規定する所得率をいい(以下19-3-32までにおいて同じ。)、利子収入割合とは、令第 155条の27第2項第4号かっこ書又は第 142条の3第2項第4号かっこ書に規定する割合をいう。
(総収入金額)
19-3-31 所得率の計算の基礎となる令第 155条の27第2項第1号《利子等に係る個別控除対象外国法人税の額とされないもの》に規定する納付連結事業年度及び前2年内連結事業年度の総収入金額 (以下19-3-32において「総収入金額」という。)とは、令第 155条の27第2項及び規則第37条の4第1項若しくは第2項《個別控除対象外国法人税の額とされないものの計算に係る総収入金額等》並びにこの節において別段の定めのあるものを除き、当該納付連結事業年度及び前2年内連結事業年度において益金の額に算入されるべき収入金額の合計額をいうことに留意する。
(内部取引による益金の額の収入金額からの除外)
19-3-32 所得率を計算する場合において、引当金勘定又は準備金勘定の取崩しによる益金算入額、法第48条《保険差益等に係る特別勘定の金額の損金算入》の規定による特別勘定の益金算入額、措置法第68条の78第4項又は第12項《特定資産の買換えの場合の課税の特例》の規定による買換資産を事業の用に供しない場合の益金算入額等の内部取引に関する益金算入額並びに会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続開始の決定に伴いこれらの法律の規定に従って行う評価換え及び令第24条各号《資産の評価益の計上ができる評価換え》に掲げる資産の評価換えによる益金の額は、規則第37条の4第1項又は第2項《総収入金額の合計額に相当する金額の計算》に定めるものを除き、総収入金額に算入しない。
(資産の売却に係る収入金額)
19-3-33 令第 155条の27第2項第1号及び規則第37条の4第1項第1号《金融業等に係る総収入金額の計算等》に規定する有価証券及び固定資産 (以下19-3-33において「資産」という。)の売却に係る収入金額には、次のものが含まれる。
(1) 法第50条第1項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》に規定する取得資産の価額 (当該取得資産とともに取得した令第92条第2項第1号《交換により生じた差益金の額》に規定する交換差金等の金額を含む。)
(2) 措置法第68条の70第1項若しくは第68条の72第1項《収用換地等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》に規定する補償金若しくは清算金 (収用等の対価に該当するものに限る。)の金額又は代替資産若しくは交換取得資産の価額
(3) 措置法第68条の80《特定の資産を交換した場合の課税の特例》の規定により、交換の日におけるその資産の価額に相当する金額をもって譲渡したものとみなされる同条第1号に規定する交換譲渡資産の価額
(4) 借地権の譲渡対価の額
(5) 令第 138条第1項《借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入》の規定に該当する場合における借地権の設定等に伴って収受する権利金等の金額
(6) 措置法第68条の86第1項《共同で現物出資をした場合の課税の特例》に規定する特定共同出資により取得した株式(出資を含む。)のうち、現物出資をした有価証券及び固定資産に係るものの取得の時における価額の合計額
(注) 1
法第47条第1項《保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》に規定する保険金等の金額は、資産の売却に係る収入金額に含まれない。
2 不動産売買業を営む法人の有する土地又は建物であっても、当該連結法人が使用し若しくは他に貸し付けているもの (販売の目的で所有しているもので一時的に使用し又は他に貸し付けているものを除く。)又は当該連結法人が使用することを予定して長期間にわたり所有していることが明らかなものは、固定資産に該当する。
(棚卸資産の販売による収入金額)
19-3-34 規則第37条の4第3項《個別控除対象外国法人税の額とされないものの計算に係る売上総利益の額》に規定する「棚卸資産の販売による収入金額」には、棚卸資産の販売に係る契約が解除されたことにより収受する違約金の額は含まれないことに留意する。
(棚卸資産の販売以外の事業に係る収入金額)
19-3-35 規則第37条の4第3項かっこ書《個別控除対象外国法人税の額とされないものの計算に係る売上総利益の額》に規定する「当該事業に係る収入金額」は、同項に規定する売上総利益の額の計算の基礎となる収入金額に限られるのであるから、営業外損益及び特別損益に属する収入金額は、これに含まれない。
(個別欠損金額を有する連結法人の連結控除限度個別帰属額)
19-3-36 法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》に規定する「連結控除限度個別帰属額」とは、令第 155条の28第1項《連結控除限度額の計算》に規定する連結控除限度額に、同条第3項《連結控除限度額の計算》の連結国外所得金額につき各連結法人に帰せられる金額が零を超えるもの(以下19-3-36において「個別国外所得金額」という。)の合計額のうちに当該各連結法人の個別国外所得金額の占める割合を乗じて計算した金額をいうのであるから、例えば、法第81条の18第1項《連結法人税の個別帰属額の計算》に規定する個別欠損金額を有する連結法人であっても、個別国外所得金額がある場合には、連結控除限度個別帰属額の計算を行うことに留意する。
(前3年内連結事業年度において外国法人税額を損金算入した場合の個別控除余裕額の取扱い)
19-3-37 令第 155条の32第2項《個別繰越控除限度額等》の規定の適用に当たり、同項に規定する「当該連結事業年度以前の各連結事業年度の国税の個別控除余裕額及び地方税の個別控除余裕額」は、同項の前3年内連結事業年度のうちいずれかの連結事業年度において各連結法人が納付することとなった個別控除対象外国法人税の額を連結所得の金額の計算上損金の額に算入した場合にその個別控除対象外国法人税の額が帰属する各連結法人の国税の個別控除余裕額及び地方税の個別控除余裕額だけではなく、すべての連結法人の国税の個別控除余裕額及び地方税の個別控除余裕額となることに留意する。
令第 155条の33第2項《個別繰越控除対象外国法人税額等》の規定の適用についても、同様となる。
第3款 外国子会社に係る外国法人税の間接控除
(配当等に含まれるもの)
19-3-38 法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の「外国子会社から受ける利益の配当又は剰余金の分配」には、商法第 293条ノ5第1項《中間配当》に規定する金銭の分配に類するもの (以下この節において「中間配当」という。)及び法第24条《配当等の額とみなす金額》の規定により配当等の額とみなされるもの (以下19-3-46において「みなし配当」という。)が含まれる。
(外国子会社の要件のうち「その状態が継続していること」の意義)
19-3-39 令第 155条の35第1項《連結法人に係る外国子会社の要件》の配当等の額の支払義務が確定する日以前6月以上継続しているかどうかの判定において、同項第1号の各連結法人が当該配当等の額の支払義務が確定する日以前6月以上の期間(以下19-3-40において「株式保有期間」という。)継続して連結法人であったかどうかは問わないことに留意する。
(租税条約の適用がある場合の外国子会社の判定)
19-3-40 連結法人に係る法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》に規定する外国子会社の判定において、その判定の対象となる外国法人が租税条約によりその外国法人の同項に規定する発行済株式の総数又は出資金額(その有する自己の株式又は出資を除く。)に係る保有割合が軽減されている相手国の外国法人である場合には、各連結法人が保有している当該外国法人の発行済株式又は出資の金額を合計した数又は金額の保有割合が25%未満であっても、当該連結法人が当該租税条約に定める保有割合以上の株式又は出資を株式保有期間を通じて有するときは、当該連結法人については同項の規定の適用があることに留意する。
(当該連結事業年度前の事業年度において受領した配当等に係る間接控除の取扱い)
19-3-41 連結法人が、当該連結事業年度前の各事業年度において法第69条第8項《外国税額の間接控除》に規定する外国子会社に該当しない外国法人から同項に規定する配当等の額を受けている場合には、当該外国法人の当該配当等の額に係る事業年度の所得に対して外国法人税が課された日が当該連結事業年度であり、当該課された日において、連結法人及び当該連結法人との間に連結完全支配関係を有する他の連結法人が当該外国法人の発行済株式の総数又は出資金額(その有する自己の株式又は出資を除く。)の25%以上を保有しているときであっても、当該連結事業年度において法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の規定の適用はないのであるから留意する。
(本店所在地国以外の国又は地域で課された外国法人税)
19-3-42 法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の「外国子会社の所得に対して課される外国法人税の額」には、同項に規定する外国子会社 (以下19-3-43までにおいて「外国子会社」という。)がその本店又は主たる事務所の所在する国又は地域 (以下19-3-42において「本店所在地国」という。)において課された外国法人税の額のほか、当該本店所在地国以外の国又は地域において課された外国法人税の額 (以下19-3-42において「本店所在地国以外の国の外国法人税の額」という。)が含まれる。この場合において、当該外国子会社が当該本店所在地国における外国法人税の課税上、当該本店所在地国以外の国の外国法人税の額につき同条の規定に類する制度に基づいて税額控除の適用を受けているときは、その控除後の税額が当該本店所在地国において課された外国法人税の額となることに留意する。
(注)
本文の「本店所在地国以外の国の外国法人税の額」には、当該外国子会社が納付する我が国の法人税、所得税、道府県民税及び市町村民税 (都民税を含み、均等割に係るものを除く。)の額が含まれるものとする。
(配当等を受けることとなる日)
19-3-43 法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の規定は、外国子会社から配当等を受けることとなる日の属する連結事業年度以後の連結事業年度において適用があるのであるが、この場合の配当等を受けることとなる日は、2-1-30又は2-1-31《利益の配当等の帰属の時期等》により当該配当等の額を収益として計上することとなる日による。ただし、連結法人が、外国子会社から中間配当を受けた場合には、当該中間配当を受けた日の属する連結事業年度においては当該中間配当の額につき同項の規定を適用しないで、当該中間配当の額に係る外国子会社の事業年度の所得からされる利益の配当又は剰余金の分配 (以下19-3-44までにおいて「確定配当」という。)を受けることとなる日の属する連結事業年度以後の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において、当該中間配当の額と当該確定配当の額との合計額を同項又は法第69条第8項《外国税額の間接控除》に規定する配当等の額とし、かつ、当該中間配当に係る外国源泉税の額(令第 155条の36第1項第1号ロ《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》に規定する外国源泉税の額をいう。以下19-3-43において同じ。)と当該確定配当に係る外国源泉税の額との合計額を法第81条の15第8項又は第69条第8項に規定する配当等の額に係る外国源泉税の額としてこれらの規定の適用を受けることとしているときは、これを認める。
(注)1 本文ただし書による場合においても、当該中間配当の額は、その受けることとなる日の属する連結事業年度において生じた国外源泉所得として法第81条の15第1項《連結事業年度における外国税額の控除》に規定する連結控除限度個別帰属額の計算に含めることに留意する。
2 本文ただし書の取扱いは、当該中間配当を受けた日の属する事業年度が連結事業年度に該当せず、かつ、当該事業年度において当該中間配当の額につき法第69条第8項の規定を適用しなかった場合も、同様とする。
(中間配当があった場合の配当事業年度)
19-3-44 連結法人が当該連結事業年度において法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》に規定する外国子会社から受ける中間配当の額につき同項の規定の適用を受ける場合又は当該連結事業年度前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において同項又は法第69条第8項《外国税額の間接控除》に規定する外国子会社から受けた中間配当の額につき法第81条の15第8項又は第69条第8項の規定の適用を受け、かつ、当該連結事業年度においてその中間配当の額に係る当該外国子会社の事業年度の所得からされた確定配当の額につき法第81条の15第8項の規定の適用を受ける場合における令第 155条の36《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定の適用については、次のことは次による。
(1) 中間配当については、当該中間配当の額の計算の基礎となった期間を同条第2項第1号イに規定する配当事業年度 (以下この節において「配当事業年度」という。)とし、当該期間について予定納付等をした外国法人税の額を同条第1項第1号に規定する配当等の額に係る事業年度の外国法人税の額とする。
(2) 確定配当については、当該確定配当の額と当該中間配当の額との合計額につき当該合計額の計算の基礎となった期間を当該合計額に係る配当事業年度として同条第3項《配当等の額に係る事業年度に2以上の外国法人税が課された場合等の調整》の規定を適用する。
(配当等に充てることができる部分の金額)
19-3-45 令第 155条の36第2項第1号イ《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の「配当等の額に充てることができる部分の金額」とは、同項第4号の規定により計算した配当等の額に係る事業年度の所得の金額から次に掲げるような金額を控除した金額をいう。
(1) 当該所得の金額に対して課される外国法人税の額
(2) 同項第3号に規定する優先配当の額
(3) 損金の額に算入されない租税公課の額で外国法人税以外のもの、損金の額に算入されない役員賞与の額その他当該所得の金額から社外に流出する金額(配当等の額を除く。)
(4) 当該外国子会社に係る関係会社等の所得の全部又は一部が当該外国子会社の所得であるものとみなされたことにより当該所得の金額が増加した場合におけるその増加した部分の金額
(みなし配当に係る配当事業年度)
19-3-46 連結法人が法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》に規定する外国子会社(以下19-3-59までにおいて「外国子会社」 という。)からみなし配当を受けた場合における当該みなし配当の額に係る配当事業年度は、当該外国子会社の当該みなし配当の額に係る2-1-30の(4) 《利益の配当等の帰属の時期》に定める日の属する事業年度の直前の事業年度とする。
(配当等の額に係る事業年度の所得の金額)
19-3-47 令第 155条の36第1項《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》に規定する当該事業年度の所得の金額を計算する場合における同条第2項第4号の規定の適用については、次のことは次による。
(1) 同号の「外国子会社が当該配当等の額を算出する基礎として計算した所得の金額」は、当該外国子会社がその決算において計上した利益の額 (当該利益の額の計算上費用として控除した法人税に相当する税の額がある場合には、当該税の額に相当する金額を加算した金額とする。)とする。
(2) 同号の「本店所在地国の外国法人税に関する法令により計算される当該事業年度の所得の金額」は、当該所得の金額の計算上法第57条から第59条まで《青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し等》の規定に類する制度により損金の額に算入された欠損金額がある場合には、当該欠損金額に相当する金額を加算した金額とする。
(3) 同号イ及び(1) の「法人税に相当する税」には、外国法人税のほか、外国法人税に附帯して課される附帯税に相当する税その他これに類する税が含まれる。
(4) 同号ロの「外国法人税を課さないこととされた所得」には、非課税所得のほか、益金の額に算入されないこととされた配当等の額が含まれる。
第4款 外国孫会社に係る外国法人税の間接控除
(間接控除における外国孫会社の判定)
19-3-48 連結法人が法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の規定を適用する場合において、当該連結法人に係る外国法人が外国子会社に該当するかどうかの株式保有割合の判定は、各連結法人が保有する当該外国法人の株式又は出資を合計した数又は金額(以下19-3-48において「株式等の合計数」という。)が、当該外国法人の発行済株式の総数又は出資金額(その有する自己の株式又は出資を除く。以下19-3-48において「発行済株式等」という。)の25%以上であるかどうかにより行うのであるが、外国法人が同条第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》に規定する外国孫会社に該当するかどうかの判定は、各連結法人が一の外国子会社を通じて間接に保有する当該外国法人の株式等の合計数が、当該外国法人の発行済株式等の25%以上であるかどうかにより行うのであるから留意する。
(外国孫会社の外国法人税の額)
19-3-49 19-3-42は、法第81条の15第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》の「外国孫会社の所得に対して課される外国法人税の額」の取扱いについて準用する。
(外国孫会社から配当等の額を受ける日)
19-3-50 令第 155条の41第5項《連結法人の外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》に規定する「配当等の額を受ける日」とは、外国子会社が連結法人であるとした場合に2-1-30又は2-1-31《利益の配当等の帰属の時期等》により当該配当等の額を収益として計上することとなる日による。
(中間配当があった場合の外国孫会社の配当事業年度等)
19-3-51 19-3-44は、外国子会社が外国孫会社(法第81条の15第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》に規定する外国孫会社をいう。以下この節において同じ。)から中間配当の額と当該中間配当の額に係る当該外国孫会社の事業年度の所得からされた確定配当の額とを受ける場合における令第 155条の41第2項及び第3項《連結法人の外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定により読み替えて準用される令第 155条の36第2項《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定の適用について準用する。
(外国孫会社の配当等に充てることができる部分の金額)
19-3-52 19-3-45は、令第 155条の41第3項《連結法人の外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定により読み替えて準用される令第 155条の36第2項第1号イ《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の「配当等の額に充てることができる部分の金額」の取扱いについて準用する。
(外国孫会社のみなし配当に係る配当事業年度)
19-3-53 外国子会社が外国孫会社からみなし配当(法第81条の15第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》に規定する利益の配当又は剰余金の分配の額に含まれる令第 150条の3第2項《外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定により利益の配当又は剰余金の分配の額とみなされるものをいう。以下19-3-53において同じ。)を受けた場合における当該みなし配当の額に係る配当事業年度は、当該外国孫会社の当該みなし配当の額に係る2-1-30の(4) のイ、ロ又はハ《利益の配当等の帰属の時期》に定める日の属する事業年度の直前の事業年度とする。
(外国孫会社の配当の額に係る事業年度の所得の金額)
19-3-54 19-3-47は、令第 155条の41第2項 《連結法人の外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》に規定する当該事業年度の所得の金額を計算する場合における同条第3項の規定により読み替えて準用される令第 155条の36第2項第4号《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定の適用について準用する。
第5款 そ の 他
(外国法人税の換算)
19-3-55 法第81条の15《連結事業年度における外国税額の控除》の規定を適用する場合の外国法人税の額については、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げる外国為替の売買相場 (17-1-3《多通貨会計を採用している場合の外貨建取引の換算》の適用を受ける場合の相場を含む。以下19-3-55において「為替相場」という。)により換算した円換算額による。
(1) 源泉徴収に係る外国法人税 ((3) に該当するものを除く。) 次の区分に応じ、それぞれ次に掲げる為替相場
イ 利子、配当等を収益に計上すべき日の属する連結事業年度終了の日までに当該利子、配当等に対して課された外国法人税(次のロに該当するものを除く。)は、当該利子、配当等の額の換算に適用する為替相場(一の計算期間に係る利子を2以上の連結事業年度(それらの事業年度のうち連結事業年度に該当しないものがある場合には、当該事業年度)にわたって収益に計上する場合には、当該2以上の連結事業年度のうちその外国法人税を課された日の属する連結事業年度に係る利子の額の換算に適用する為替相場)
ロ 利子、配当等に課された外国法人税でその課された日の属する連結事業年度において費用(仮払経理を含む。以下19-3-55において同じ。)の額として計上するものは、その費用の額の換算に適用する為替相場
(2) 国内から送金する外国法人税 ((3) に該当するものを除く。) その納付すべきことが確定した日の属する連結事業年度において外貨建ての取引に係る費用の額として計上する金額の換算に適用する為替相場
(3) 国外事業所等において納付する外国法人税 その納付すべきことが確定した日の属する連結事業年度の本支店合併損益計算書の作成の基準とする為替相場
(4) 外国子会社の配当等の額に係る事業年度の所得に対して課される外国法人税のうち当該外国子会社に係る連結法人が納付したとみなされるもの 次の区分に応じ、それぞれ次に掲げる為替相場
イ 外国子会社からの配当等を受ける日の属する当該連結法人の連結事業年度終了の日までに当該外国子会社に対して課された外国法人税の額のうち当該連結法人が納付したとみなされる部分の金額については、当該配当等の額の換算に適用する為替相場
ロ 同日後に当該外国子会社に対して課された外国法人税の額のうち当該連結法人が納付したとみなされる部分の金額については、その課された日の属する当該連結法人の連結事業年度終了の日の17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》に定める電信売買相場の仲値(以下19-3-57において同じ。)。ただし、継続適用を条件として、イの為替相場によることができる。
(注) 外国子会社に対して課された外国法人税の額のうち連結法人が納付したとみなされる部分の金額の計算は、当該外国子会社がその会計帳簿の作成に当たり使用する外国通貨表示の金額により行うものとする。
(5) 租税条約により納付したものとみなされる外国法人税 その外国法人税を納付したものとした場合に適用すべき(1) から(4) までに掲げる為替相場
(外国孫会社の外国法人税の換算)
19-3-56 外国子会社の本店所在地国の通貨と外国孫会社の本店所在地国の通貨とが異なる場合において、当該外国孫会社の所得に対して課された外国法人税の額のうち法第81条の15第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》の規定により当該外国子会社の所得に対して課されたものとみなされる外国法人税(以下19-3-58までにおいて「外国孫会社に係る外国法人税」という。)の額については、当該外国子会社が当該外国孫会社から受けた同項に規定する配当等の額の換算に適用した当該外国子会社の本店所在地国の外国為替の売買相場により換算した当該外国子会社の本店所在地国の外貨換算額による。
(注) 1
「外国孫会社に係る外国法人税の額」の計算は、当該外国孫会社がその会計帳簿の作成に当たり使用する外国通貨表示の金額により行うものとする。
2 外国子会社に対して課された外国法人税(外国孫会社に係る外国法人税を含む。)の額のうち当該外国子会社に係る連結法人が納付したとみなされる部分の金額の計算及び円換算は、19-3-55の(4) により行うものとする。
(外国子会社の外国法人税が減額された場合の換算)
19-3-57 連結法人が外国子会社から受けた配当等の額に係る当該外国子会社の外国法人税の額につき法第81条の15第8項《連結事業年度における外国税額の間接控除》の規定の適用(同条第9項の規定によりみなして適用する場合を含む。)を受けた連結事業年度後の連結事業年度又は法第69条第8項《外国税額の間接控除》の規定の適用(同条第9項の規定によりみなして適用する場合を含む。)を受けた事業年度後の連結事業年度において当該外国法人税の額が減額されたため、これにつき令第 155条の40《連結法人の外国子会社の所得に対して課される外国法人税が減額された場合の特例》の規定の適用がある場合には、同条第1項の規定による個別減額控除対象外国法人税額とみなされる金額の計算は当該外国子会社がその会計帳簿の作成に当たり使用する外国通貨表示の金額により行うものとし、その計算された金額の円換算は、その減額があった日の電信売買相場の仲値によるものとする。
(注)
連結法人が納付した外国法人税の額が減額されたため、これにつき令第 155条の39《連結事業年度 において外国法人税が減額された場合の特例》の規定の適用を受ける場合におけるその減額に係る還付金の額の円換算は、17-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》等に定めるところによるのであるから留意する。
(連結法人に係る外国孫会社の外国法人税が減額された場合の換算)
19-3-58 外国子会社の本店所在地国の通貨と外国孫会社の本店所在地国の通貨とが異なる場合において、当該外国子会社に係る連結法人が法第81条の15第11項《連結法人の外国孫会社に係る外国税額の間接控除》の規定の適用(同条第12項の規定によりみなして適用する場合を含む。)を受けた連結事業年度において当該外国孫会社の外国法人税の額が減額されたため、これにつき令第 155条の41第6項《連結法人の外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定により読み替えて適用される令第 155条の40《連結法人の外国子会社の所得に対して課される外国法人税が減額された場合の特例》の規定の適用があるときにおける減額後の外国孫会社に係る外国法人税の額については、19-3-56の本文の取扱いを準用する。
(注) 連結法人が外国子会社から受けた配当等の額に係る当該外国子会社の外国法人税(外国孫会社に係る外国法人税を含む。)の額につき法第81条の15第11項の規定の適用(同条第12項の規定によりみなして適用する場合を含む。)を受けた連結事業年度後の連結事業年度又は法第69条第11項《外国孫会社に係る外国税額の間接控除》の規定の適用(同条第12項の規定によりみなして適用する場合を含む。)を受けた事業年度後の連結事業年度において当該外国法人税の額が減額されたため、これにつき令第 155条の41第6項の規定により読み替えて適用される令第 155条の40の規定の適用がある場合には、同条第1項の規定による個別減額控除対象外国法人税額とみなされる金額の計算及び円換算は、19-3-57により行うものとする。
(連結国外所得金額等の計算の明細書の添付)
19-3-59 連結法人が法第81条の15《連結事業年度における外国税額の控除》の規定の適用を受ける場合には、連結確定申告書に連結国外所得金額の計算に関する明細を記載した書類を添付するものとする。
令第 155条の36第2項第4号《連結法人の外国子会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》(令第 155条の41第3項《連結法人の外国孫会社の配当等に係る外国法人税額の計算等》の規定により読み替えて準用される場合を含む。)に規定する外国子会社の所得の金額の計算の明細についても、同様とする。
(外国法人税を課されたことを証する書類及びその提出先)
19-3-60 規則第37条の6第8号及び第10号《外国税額控除を受けるための書類》の「税を課されたことを証する……その納付を証する書類」には、申告書の写し又は現地の税務官署が発行する納税証明書等のほか、更正若しくは決定に係る通知書、賦課決定通知書、納税告知書、源泉徴収の外国法人税に係る源泉徴収票その他これらに準ずる書類又はこれらの書類の写しが含まれる。
なお、これらの書類、これらの書類の写し及び同条第9号に規定する貸借対照表、損益計算書及び利益処分に関する計算書のうち、各連結子法人に係るものを、それぞれの連結子法人の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に対して提出する法第81条の25第1項《連結子法人の個別帰属額等の届出》に規定する個別帰属額等を記載した書類に添付した場合には、連結確定申告書に添付したものとして取り扱う。
(注) 外国法人税を課されたことを証する書類を個別帰属額等を記載した書類に添付して提出する場合には、当該連結確定申告書にその旨を記載した書類を添付するものとする。
第4節 連結所得金額の端数計算
(連結法人の年 800万円以下の連結所得金額の端数計算)
19-4-1 法第81条の12第4項《連結親法人事業年度が1年に満たない連結親法人の年 800万円以下の連結所得金額》に規定する連結親法人事業年度が1年に満たない連結親法人が、同条第2項《年 800万円以下の連結所得金額に対する軽減税率》の規定を適用する場合において、同条第4項に規定する「 800万円を12で除し、これに第4項に規定する連結親法人事業年度の月数を乗じて計算した金額」に 1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。ただし、当該切り捨てられる端数の金額が当該連結事業年度の連結所得金額について切り捨てられる金額より多いときは、これを切り上げる。
第20章 申告、納付及び還付
第1節 申告及び納付
(申請期限後に災害等が生じた場合の申告書の提出期限の延長)
20-1-1 連結法人の連結事業年度終了の日から45日を経過した日後災害その他やむを得ない理由の発生により連結法人の決算が確定しないため、当該連結法人に係る連結親法人が連結確定申告書の提出期限までに連結確定申告書を提出することができない場合には、法第81条の23第1項《連結確定申告書の提出期限の延長》の規定に準じて取り扱う。この場合には、連結確定申告書の提出期限延長の申請書は、当該理由の発生後直ちに提出するものとし、当該申請のあった日から15日以内に承認又は却下がなかったときは、当該申請に係る指定を受けようとする日を税務署長が指定した日としてその承認があったものとする。
(申告書の提出期限の延長の再承認)
20-1-2 連結確定申告書の提出期限の延長の承認を受けた連結親法人が指定された提出期限までに当該連結親法人又は当該連結親法人に係る連結子法人の決算が確定しないため連結確定申告書を提出できない場合には、当該連結親法人の申請によりその指定の日を変更することができる。
(通則法第11条による提出期限の延長との関係)
20-1-3 通則法第11条《災害等による期限の延長》の規定に基づき通則法令第3条第1項《地域指定による期限の延長》の規定による期限の延長があった場合において、災害その他やむを得ない理由により連結法人の決算が確定しないため当該連結法人に係る連結親法人が連結確定申告書をその延長された期限までに提出することができないと認められるときは、当該期限を法第81条の23第2項《連結確定申告書の提出期限の延長》の規定により準用される法第75条第2項《確定申告書の提出期限の延長》の規定による申請書の提出期限として法第81条の23(同条第2項の規定により準用される法第75条第5項を除く。)の規定を適用することができるものとする。この場合には、税務署長は遅滞なく延長又は却下の処分を行うものとし、また、法第81条の23第2項の規定により準用される法第75条第7項の規定の適用については、同項中「当該事業年度終了の日の翌日以後2月を経過した日から同項」とあるのは、「国税通則法施行令第3条第1項の規定により指定された期限の翌日から第1項」と読み替える。
(申告書の提出期限の延長の特例の適用がある場合)
20-1-4 法第81条の24第1項《連結確定申告書の提出期限の延長の特例》に規定する「その他これに類する理由により決算が確定しないため」とは、次のような理由により決算が確定しない場合をいう。
(1) 連結法人のうち会計監査人の監査を必要としないものが、定款において事業年度終了の日から3月以内に株主総会を開催する旨を定めていること
(2) 保険株式会社である連結法人が、保険業法第11条《株主名簿の閉鎖の期間等》の規定により、事業年度終了後4月以内に株主総会を開催することとしていること
(3) 合弁会社である連結親法人が、当該連結親法人の外国株主との関係で、決算確定までに日数を要すること
(4) 協同組合等である連結親法人が、当該連結親法人の支部又は加入者である単位協同組合等の数が多いこと、監督官庁の決算承認を要すること等のため、決算確定までに日数を要すること
(組織再編成に係る連結確定申告書の添付書類)
20-1-5 規則第37条の12第6号《連結確定申告書の添付書類》に規定する「資産、負債その他主要な事項に関する明細書」は、付表の書式(これに準ずる書式を含む。)による。
第2節 還 付
(還付金額の計算)
20-2-1 法第81条の31第1項《連結欠損金の繰戻しによる還付》の規定による連結所得に対する法人税の還付請求があった場合において、当該還付請求について還付すべき金額は、当該金額の算定を行う時において確定している還付所得連結事業年度の連結所得の金額及び連結所得に対する法人税の額並びに欠損連結事業年度の連結欠損金額(当該連結欠損金額が請求に係る還付金額の計算の基礎として連結親法人が還付請求書に記載した連結欠損金額を超える場合には、その記載した金額)を基礎として同条第1項の規定により計算した金額による。
(還付請求書だけが期限後に提出された場合の特例)
20-2-2 連結親法人が法第81条の22《連結確定申告》の規定による連結確定申告書を期限内に提出し、当該申告書に記載された連結欠損金額に基づいて連結所得に対する法人税の還付請求書を期限後に提出した場合において、その期限後の提出が錯誤に基づくものである等期限後の提出について税務署長が真にやむを得ない理由があると認めるときは、法第81条の31《連結欠損金の繰戻しによる還付》の規定を適用することができるものとする。
(更生手続の開始の意義)
20-2-3 法第81条の31第3項《連結欠損金の繰戻しによる還付の特例》に規定する「更生手続の開始」とは、会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続の開始の申立て(会社更生法第38条《手続開始の条件》等の規定により更生手続の開始の申立てが棄却された場合のその申立てを除く。)があったことをいうものとする。
付表 組織再編成に係る主要な事項の明細書
付表 組織再編成に係る主要な事項の明細書の記載の仕方
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