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解説記事2003年05月05日 【商法解説】 平成14年商法改正の問題点と実務への影響 第1回連載 改正商法の株主総会実務への影響(2003年5月5号・№018)

実務解説

平成14年商法改正の問題点と実務への影響 第1回連載
改正商法の株主総会実務への影響

佐藤綜合法律事務所 弁護士 小磯孝二



 第一東京弁護士会・総合法律研究所会社法研究部会は、改正商法下でのより実践的な実務対応を検討すべく、平成15年2月24日、日本経団連会館ホールにおいて、「平成14年商法改正の問題点と実務への影響」と題したセミナーを開催いたしました。
 パネルディスカッションでは、商法、特に企業会計法がご専門の秋坂朝則氏(日本大学商学部助教授・公認会計士)、連結納税制度をはじめ企業実務に幅広く関係されている小畑良晴氏(社団法人日本経済団体連合会産業本部)、オリックス株式会社の委員会等設置会社への移行に検討段階から関係されている松  清氏(オリックス株式会社総務部課長代理(株式法務担当))をパネラーにお迎えし、辺見紀男弁護士(同研究部会部会長)のコーディネートのもと、白熱した議論をお届けすることができました。
 本連載は、当日の基調報告と配布レジュメをふまえて、基調報告担当者が新たに書き下ろしたものです。なお、パネルディスカッションにおけるパネラーの発言要旨を掲げた部分に関しては、発言内容自体はセミナー当時の情報を前提としておりますので、ご了解下さい。(同セミナー総合司会・弁護士武井洋一(同研究部会副部会長))
(肩書きはいずれもセミナー当時)


株主総会関係の改正のポイント


 全体的な特徴としては、株主総会の運営に関する実務の負担を軽減する方向での改正と評価できますが、取締役の報酬規制の合理化のように、慎重な実務対応を要するものもあります。

1 株主総会手続の簡素化
(a)譲渡制限会社においては、定款の定めをもって、株主総会の招集通知の発出期間を会日の2週間前から1週間前に短縮できる(商232①但書)。
(b)議決権を行使できる株主全員の同意がある場合には、招集手続を省略できる(商236)。
(c)議決権を行使できる株主全員が書面等をもって取締役または株主の提案に同意した場合には、その提案を可決する旨の株主総会決議があったものとみなされる(商253)。

 (b)(c)は、株主数が比較的少ない会社や、種類株主総会(商257の2③)を中心に利用されるでしょう。
 なお、(c)の書面決議制度は、条文上「決議の目的たる事項」を対象としており、株主総会の報告事項(商283①、商特16①など)については利用できません。


2 株主提案権の行使期限の繰上げ
 株主提案権の行使期限が、会日の6週間前から8週間前に繰り上げられた(商232の2①②)。

 株主総会の招集通知の発出期間(商232①)との関係上、従来は、株主提案権が行使されると、会社は実質的には4週間で対応しなければならず、時間的な余裕が乏しいとの指摘がありました。今回の改正は、株主提案権の行使期限を繰り上げることにより、これに応えたものです。
 なお、改正法附則4条に経過規定があり、平成15年5月28日以降に開催される株主総会につき、改正法の規定が適用されるものと思われます。

3 少数株主の株主総会招集請求への対応期間の伸長
 少数株主の株主総会招集請求への対応期間が、6週間から8週間に伸長された(商237③)。

 前項2と同様、時間的な余裕が乏しく実務上の対応が困難であるとの指摘があり、これに応えたものです。
 なお、平成15年3月31日以前に株主総会等の招集請求をした株主等が行う株主総会等の招集に関しては、改正前の規定が適用されます(改正法附則5)。

4 種類株主による取締役等の選解任制度の創設
 譲渡制限会社においては、定款の定めをもって、種類株主総会に取締役または監査役の選解任権を認めることができる(商222①Ⅵ②⑦、257の2~257の4、280)。

 この制度は、もっぱらベンチャー企業や合弁会社を念頭に置いたものです。

5 取締役の報酬規制の合理化
(a)取締役の報酬の定め方につき、従来の確定額による方法のほか、額が確定しない報酬(不確定額報酬)や金銭でない報酬についても定めることができるようになった(商269①)。
(b)不確定額報酬については具体的な算定方法を、金銭でない報酬については具体的な内容を、株主総会の決議によって定める必要がある(商269①)。
(c)不確定額報酬や金銭でない報酬を新設または改定する場合、株主総会においてその報酬を相当とする理由を開示する必要がある(商269②)。


ア 通常の月額報酬
  通常の月額報酬については、従来、全取締役に支給すべき報酬の総額の上限を確定金額で定めて株主総会決議を取る方法が、多く見られました。改正法のもとでも、このような決議方法は、確定報酬額を定めたものとして適法とされています。
イ 業績連動型報酬
  不確定額報酬の具体例としては、業績連動型報酬が挙げられます。
  業績連動型報酬を導入する場合には、制度の合理性を確保するため、例えば、短期的な業績だけでなく、中長期的な業績の見通しを反映させるような制度設計をすることが考えられます。そして、このようにより精緻な制度を設計した場合には、株主総会において、専門知識のない一般株主を相手にいかに分かりやすく説明するか、工夫が必要になるでしょう。
ウ 役員退職慰労金
  役員退職慰労金は、従来、株主総会において、一定の基準に従って相当額の範囲内で贈呈するが、具体的な金額の決定については取締役会に一任する旨の決議を取る例が多く見られました。このような場合でも、贈呈すべき金額の上限がその基準によって明らかであれば、確定額報酬に該当すると解されます(なお、退職慰労金贈呈議案に関する参考書類の記載事項として、参考、商規(平成15年4月1日施行の改正規則。以下同じ)13①Ⅵ④⑤)。
パネルディスカッションより
 平成14年改正をきっかけとして、委員会等設置会社では利益処分による役員賞与の支給ができなくなりますので、委員会等設置会社への移行にあたってはこれに代わる業績連動型報酬の設計というものが必要になってくる。また、監査役制度会社の場合にも、不確定金額による報酬など、総会での説明が必要になってきますので、こういったことを背景として、企業では  今、役員の報酬制度全般に関して、抜本的に制度設計をし直そうという動きはかなりあるように聞いています。
役員退職慰労金については、かねてからカルパースに代表される海外の機関投資家から反対票を投じられていましたが、一昨年の高砂香料工業さん、昨年の野村ホールディングスさんや花王さんのように、役員退職慰労金制度自体を廃止する会社も出てきております。こうした役員退職慰労金制度を抜本的に見直すという流れは、平成14年の商法改正を背景として、想像以上にスピードアップするのではないかという気がしております。(松  清氏発言要旨)


パネルディスカッションより
 役員退職慰労金制度を廃止して、これを年間の役員報酬の中に事前に組み込むという制度設計をした場合、役員退職慰労金を受け取る役員の所得税法上の問題を検討しますと、給与所得と退職所得とでは、どちらかといえば退職所得の方が税法上有利となります。そうすると、受け取る側としては、退職金で支払いを受けた方がトータルでは税金の額が安く済むのではないかということも出てきます。(秋坂朝則氏発言要旨)

エ 金銭でない報酬
  金銭でない報酬の代表例としては、社宅を無償または低額の家賃で供与する場合が挙げられています。ただし、どのようなものが「金銭でない報酬」に該当してくるかは、一概に言えず、個別具体的な判断が必要となります。なお、例えば社用車やゴルフ会員権は、その使用が会社の業務の遂行上必要と認められる範囲に限定されていれば、商法269条による規制の対象外であると解されます。
パネルディスカッションより
 金銭以外の報酬につきまして、税法と商法は基本的に規制の目的が違うということで相違があろうかと思いますけれども、ただ、税務上役員報酬と見なされる場合(編注:法人税法または所得税法における現物給与課税との関係を指します)については、商法上も役員報酬にあたるとして株主総会決議を経る必要があるのではないか、という一つの目安になろうかと思います。(小畑良晴氏発言要旨)

オ ストックオプション
  ストックオプションは、これまで金銭でない報酬の代表例と考えられていましたが、平成13年11月の商法改正で、ストックオプションの付与は株主総会の特別決議事項とされました(商280の21)ので、商法269条による規制の対象外であると解されます。
カ 株主への開示
  会社は、不確定額報酬や金銭でない報酬の場合、株主総会において、報酬を相当とする理由を開示しなければなりません(商269②)。また、参考書類には、報酬額算定の基準または改定の理由を記載する必要があります(商規13①Ⅴ)(このほか報酬の開示に関する規定として、参照、商規13③~⑤、商規103①Ⅹ、商規107①ⅩⅠ)。

6 株主総会等の特別決議の定足数の緩和
(a)株主総会の特別決議の定足数が、定款の定めをもって、総株主の議決権の3分の1まで引き下げることが可能となった(商343)。
(b)社債権者集会の決議事項のうち、従来株主総会の特別決議の決議要件を準用していたものにつき、定足数が法律上当然に総社債権者の議決権の3分の1とされた(商324但書)。


 個人株主や外国人株主の増加により、会社によっては株主総会において過半数という定足数を確保することが困難であるとの指摘があり、今回の改正でこれに応えたものです。

7 資本減少手続等の合理化

 資本減少手続や法定準備金減少手続の合理化の一環として、株主総会決議事項が明確化された(商375①、289②)。

 これにより、期中の欠損填補が可能であることが条文上明らかにされました。

委員会等設置会社における株主総会の権限の変更

1 各委員会を組織する取締役等の選解任
 委員会等設置会社においては、各委員会を組織する取締役や執行役の選解任について、取締役会の権限とされている(商特21の8⑤、21の13①⑥)。


2 取締役等の報酬の決定 
 委員会等設置会社においては、取締役および執行役の報酬の決定について、取締役で構成される報酬委員会の権限とされている(商特21の8③、21の11。商269は商特21の36④で排除)。


ア 株主への開示
  委員会等設置会社は、取締役等の報酬に関して、営業報告書や附属明細書を通じて、取締役等が受ける個人別の報酬の内容の決定に関する方針(商特21の11④)や、取締役等に支払った報酬その他の職務執行の対価(使用人部分を含む。)である財産上の利益の額(商規104Ⅲ、107①ⅩⅠ)を、株主に対して開示するものとされています。
イ 業績連動型報酬
  委員会等設置会社においては、株主総会における利益処分としての役員賞与の支給ができない(商特21の31②)ので、これに代わるものとして、業績連動型報酬の導入を検討する必要があるでしょう。
ウ ストックオプション
  委員会等設置会社においても、取締役等に対するストックオプションの付与は、株主総会の特別決議事項です(商280の21①)。また、取締役等に対してストックオプションを付与する旨の議案の内容を決定する権限は、取締役会(商280の20②)またはその委任を受けた執行役(商特21の7③)にあり、報酬委員会にはありません。

3 利益処分案等の承認
 委員会等設置会社においては、貸借対照表、損益計算書および利益処分案または損失処理案について、一定の場合に、取締役会の承認があったときに株主総会の承認を得たものとみなし、定時総会に対しては報告事項となる(商特21の31。商特16は、商特21の36④で排除)。


パネルディスカッションより
 委員会等設置会社においては、会社の業務執行者である執行役や監督者である監査委員の決定が株主総会から取締役会に移行して、株主は少々距離を置かれたことになります。業務を執行しない取締役の選任決議は信任投票みたいなもので、会社の営業成績等が事前に株主に開示されている必要がありますし、商法施行規則改正案(編注:本セミナー開催時は改正案の段階)でも営業報告書の記載事項の充実が図られているように思われます。そうすると、委員会等設置会社における株主総会というのは、株主に対する報告の場、IRの場という性格がこれまで以上に強くなるのではないでしょうか。(秋坂朝則氏発言要旨)


委員会等設置会社の定款記載例

 最後に、委員会等設置会社の定款記載例(委員会等設置会社に特有または特徴的な規定のうち、特に重要なもの)を掲げます。なお、本稿の記載例は、法律上の論点を理解しやすいように、あえて実務上一般に見られるスタイルで記載していない部分があります。

1 制度設計の重要性

 委員会等設置会社を導入する場合、取締役と執行役をそれぞれ何名置くか、執行役を兼任する取締役を何名とするか、執行役について執行役会や常務会のように何らかの会議体を設けるかなど、制度設計に際して、各社の特色が出てくると思われます。
 定款の作成にあたっては、まず、各社の沿革や実情、委員会等設置会社導入の目的をふまえたうえで、制度設計をするという作業が必要になるでしょう。

2 定款の構成

 本稿では、「各委員会」と「執行役」を別立てにしていますが、このほか、「委員会等設置会社」という章を立てるか、あるいは端的に「各委員会および執行役」という章を立てて「各委員会」と「執行役」を1つの章にまとめる方法、委員会のメンバーが取締役であることから「取締役、取締役会および各委員会」という章を立てる方法などが考えられます。

3 総則
(A1)委員会等設置会社特例規定の適用
『当会社は、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第2章第4節(委員会等設置会社に関する特例)に規定する特例の適用を受けるものとする。』(商特1の2③)

(A2)みなし大会社特例規定の適用
『当会社は、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第2章第2節(監査等に関する特例)に規定する特例の適用を受けるものとする。』(商特1の2③Ⅱ、2②)


 (A1)は、委員会等設置会社であることを宣言する規定です。なお、このような宣言規定を設けない方法も提案されています(参照、旬刊商事法務1642号39頁)。また、(A2)は、商法特例法上のいわゆる中会社が委員会等設置会社になろうとする場合にのみ、必要となります。

4 株主総会
(B1)招集権者
『株主総会は、代表執行役がこれを招集する。代表執行役に事故があるときは、取締役会においてあらかじめ定めた順序に従い、他の執行役が招集する。』


 株主総会の招集は業務執行の一環であるため、取締役は株主総会を招集できません(商特21の6②。なお、株主総会の招集の決定は取締役会の専権事項です(商特21の7③Ⅸ)。)。ただし実際には、取締役を兼任する(代表)執行役が、執行役としての地位に基づき招集する例も多いと思われます。
 本記載例は、代表執行役が1人であることを前提としています。代表執行役が複数選任されている場合には、代表執行役間の順位付けに関する定めが必要となります。あるいは、例えば、『(代表)執行役社長がこれを招集する。』と役職名を付して特定する方法が考えられます。
(B2)議長
『株主総会の議長は、代表執行役がこれにあたる。代表執行役に事故があるときは、取締役会においてあらかじめ定めた順序に従い、他の取締役または執行役がこれにあたる。』

 (B1)と異なり、取締役も株主総会の議長に就任することができます。したがって、執行役を兼任しない取締役が議長に就任して議事運営にあたり、(代表)執行役は株主からの質問に対する回答に専念することも考えられます。
 本記載例は、代表執行役が1人であることを前提としています。代表執行役が複数選任されている場合の注意点は、(B1)と同様です。
(B3)議事録
『株主総会における議事の経過の要領およびその結果については、これを議事録に記載し、議長および出席した取締役がこれに署名または記名押印する。』

 議事録に署名義務があるのは議長(たる執行役)と出席取締役であり(商244③)、議長以外の出席執行役は署名義務を負わないので、定款の文言上は特に変更を要しないでしょう。

5 取締役および取締役会
(C1)員数
『当会社の取締役は、3名以上○名以内とする。』

(C2)取締役の任期
『取締役の任期は、就任後1年以内の最終の決算期に関する定時総会の終結の時までとする。』(商特21の6①)

(C3)代表取締役の選任
『(削除)』(商特21の36④で商261の適用を排除)

(C4)役付取締役の選任
『取締役会の決議により、取締役会長1名を定める。』

 役付役員を取締役と執行役にどのように振り分けるかは、各社の実情にあわせた検討を要する事項でしょう(参照、(E5))。

(C5)取締役会の招集権者
『(1)取締役会は、あらかじめ取締役会において定めた取締役が招集する。
(2)前項の規定にかかわらず、委員会を組織する取締役であってその所属する委員会が指名する者は、取締役会を招集することができる。』((1)につき、商特21の7③ⅩⅢ、商259①但書。(2)につき、商特21の9②)

 執行役は、取締役会を招集できません(例外的に招集できる場合として、商特21の14③④、商259④)。(代表)執行役を兼任する取締役が取締役としての地位に基づき招集することができる点は、(B1)と同様です。なお、(C4)で取締役会長を定めた場合、取締役会長が取締役会を招集し、議長に就任することも多いと思われます。
(C6)議長
『取締役会の議長は、あらかじめ取締役会において定めた取締役がこれにあたる。』

(C7)報酬
『取締役の報酬は、報酬委員会の決議により定める。』(商特21の8③)

(C8)取締役の責任免除
『当会社は、商法特例法第21条の17第1項の行為に関する取締役の責任につき、その取締役が職務を行うにつき善意にしてかつ重大な過失がない場合には、取締役会の決議により、法令の定める限度内でこれを免除することができる。』(商特21の17④)

(C9)社外取締役の責任免除
『当会社は、社外取締役との間で、商法特例法第21条の17第1項の行為に関する取締役の責任につき、その社外取締役が職務を行うにつき善意にしてかつ重大な過失がない場合には、金○○円以上であらかじめ定める額と法令の定める額のいずれか高い額を限度として責任を負担する旨の契約を締結することができる。』(商特21の17⑤)


6 各委員会
(D1)委員会の種類
『当会社には、指名委員会、監査委員会および報酬委員会を置く。』(商特21の5①)

(D2)委員会の権限
『指名委員会、監査委員会および報酬委員会の各委員会は、それぞれ法令に定めのある事項を決定するほか、その職務を行うために必要な権限を行使する。』(商特21の8①②③)

(D3)委員会の構成員
『(1)各委員会は、それぞれ取締役3名以上○名以内で組織し、その過半数は社外取締役であって当会社の執行役でないものとする。ただし、監査委員会を組織する取締役(監査委員)は、当会社もしくはその子会社の執行役もしくは支配人その他の使用人、または当該子会社の業務を執行する取締役を兼ねることができない。
(2)各委員会を組織する取締役は、それぞれ取締役会の決議により定める。』((1)につき、商特21の8④⑦。(2)につき、商特21の8⑤)

(D4)委員会の招集権者
『各委員会は、その委員会を組織する各取締役の中から、あらかじめ委員会を招集するものを定めることができる。ただし、その委員会を組織する他の取締役が招集することを妨げない。』(商特21の9⑥は商259①本文のみ準用し、同条項但書を準用していない。)


 実際には、『各委員会の委員長は、その委員会を組織する取締役の互選をもって定める。』としたうえで、『各委員会は、その委員長が招集する。』というような規定を設ける(委員長は、同時に、商法特例法21条の9②③で指名されるべき取締役となる。)例も多いと予想されます。

(D5)議長
『各委員会の議長は、委員会を招集した取締役がこれにあたる。』


 このほか、例えば、『各委員会の議長は、あらかじめ各委員会において定めた取締役がこれにあたる。』とする方法や、委員長を互選したうえで『各委員会の議長は、委員長がこれにあたる。』とする方法が考えられます。
(D6)委員会の招集通知
『(1)委員会の招集通知は、会日の○日前までに委員会を組織する各取締役に対して発する。ただし、緊急の必要があるときは、この期間を短縮することができる。
(2)委員会を組織する取締役の全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで委員会を開くことができる。』((1)につき、商特21の9⑥で準用する商259の2。(2)につき、商特21の9⑥で準用する商259の3)

 監査委員は監査委員会以外の委員会出席権を有しないので、監査委員に対して監査委員会以外の委員会の招集通知を発する必要はありません(対照、商259の2)。
(D7)委員会の議決方法
『委員会の決議は、その委員会を組織する取締役の過半数が出席し、出席取締役の過半数で行う。』(商特21の9⑥で準用する商260の2①)

(D8)委員会の議事録
『委員会における議事の経過の要領およびその結果については、これを議事録に記載し、委員会を組織する取締役のうち出席したものがこれに署名または記名押印する。』(商特21の9⑥で準用する商260の4)


7 執行役
(E1)員数
『当会社の執行役は、○○名以内とする。』(商特21の5①Ⅳ)

(E2)執行役の選任
『執行役は、取締役会の決議により選任する。』(商特21の13①)

(E3)執行役の任期
『執行役の任期は、就任後1年以内の最終の決算期に関する定時総会が終結した後最初に開催される取締役会の終結の時までとする。』(商特21の13③)

(E4)代表執行役の選任
『代表執行役は、取締役会の決議により選任する。』(商特21の15①)

(E5)役付執行役の選任
『取締役会の決議により、執行役社長1名並びに執行役副社長、専務執行役および常務執行役各若干名を定めることができる。』

(E6)報酬
『執行役の報酬は、報酬委員会の決議により定める。』(商特21の8③)

(E7)執行役の責任免除
『当会社は、商法特例法第21条の17第1項の行為に関する執行役の責任につき、その執行役が職務を行うにつき善意にしてかつ重大な過失がない場合には、取締役会の決議により、法令の定める限度内でこれを免除することができる。』(商特21の17⑥)





小磯孝二(こいそこうじ)
弁護士(第一東京弁護士会所属)
佐藤綜合法律事務所(http://sato-law.jp/)にて主に会社法、企業法務、債権回収、倒産関連法の諸分野を取り扱う。
第一東京弁護士会総合法律研究所 会社法研究部会員、同倒産法研究部会員、同スポーツ法学研究部会員。
(著書)
「Q&A平成14年改正商法」「Q&A平成13年改正商法」(いずれも新日本法規出版、共著)ほか

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