会計ニュース2003年12月19日 栃木県が足利銀行問題で監査法人に質問状を提出 監査法人側は突然の変更方針ではないと主張
継続企業の前提に関する注記なく「突然死」した足利銀行の監査を巡って、栃木県と中央青山監査法人の対立が続いている。監査法人の対応に不信感を抱いた県側は、副知事が12月2日に同行の監査人である中央青山監査法人に質問書を提出する事態に。
質問は全部で3つ。これに対して、中央青山監査法人は「公認会計士法による守秘義務により、回答に当たり詳細な内容をお答えできない」旨断りつつ、次のような回答を寄せている。
質問1
「足利銀行は、平成15年3月期決算におきましては、貴職の監査により1,387億円の繰延税金資産が認められ、自己資本比率が4.54%となりました。しかし、同年9月期中間決算においては、繰延税金資産の算入がまったく認められず、自己資本比率が△3.72%になったと聞いています。このような取扱いの変化についてご説明ください。」
質問1に対する中央青山監査法人の回答
「繰延税金資産については、それぞれの時点の状況に基づいて回収可能性を判断することになっており、その回収可能性について、中間期を含め毎期見直しを行うことが必要とされている。平成15年3月期については、将来の課税所得の見積額に基づいて計上された繰延税金資産について、監査の時点で入手された情報により検討した結果、一般に公正妥当と認められた会計基準に準拠した取扱いであると判断した。
一方、平成15年9月中間期においては、金融庁検査の結果を受けて作成された中間決算案を検討した結果、多額の損失計上等による状況の変化を勘案し、繰延税金資産の計上に関する当監査法人の見解を銀行に伝えた。」
質問2
「通例、法人の決算については、監査法人と企業が協議を進め決定するものと理解しています。しかし、足利銀行の場合、それまで繰延税金資産を1,200億円程度とするということで協議が進んでいたところ、平成15年11月27日になって、突然繰延税金資産を認められないとの方針に変更されたと聞いております。このような取扱いの変化につきましてご説明ください。」
質問2に対する中央青山監査法人の回答
「当監査法人では、監査意見の形成にあたり、重要な監査判断を要する事項については必ず審議会に付議することとしている。このことは従来の監査においても同様であり、従前より銀行側にも十分にご認識していただいていた。本件の銀行が作成した平成15年9月中間決算案に含まれる繰延税金資産の回収可能性に関しては、極めて重要な監査判断を要する事項であることから、当監査法人の審議会に付議する必要があることを、あらかじめ銀行に対して説明していた。繰延税金資産に関する監査の作業を行っている間も、当監査法人では銀行の主張している繰延税金資産計上額について、これを承認したものではなく、当監査法人としての見解は審議会が終了するまでは決定されない旨を、繰り返し銀行側に伝えてきたところである。」
質問3
「足利銀行の預金保険法第102条第1項第3号認定は、県民の生活や本県経済にはかり知れない影響を及ぼすものでありますが、その上で、先述の1及び2のような取扱いをされましたことについてご説明ください。」
質問3に対する中央青山監査法人の回答
「当監査法人の責任は、会計及び監査に関する独立した職業的専門家としての立場から、足利銀行が作成した財務諸表に対して、会計基準及び監査基準に従い、監査意見を表明することにある。今般の銀行法24条に基づく報告にあたって、当監査法人は、銀行が検査結果を踏まえて作成した平成15年9月中間決算案に関して、その時点における監査人としての見解を述べることを求められた。そこで当監査法人は、この中間決算案に対して、会計基準及び監査基準に基づいて、その時点での見解を申し述べた。
当監査法人としても、銀行が国から預金保険法第102条第1項第3号に該当するものと認定された場合の、貴県の県民の方々の生活や貴県経済への影響については認識していた。しかしながら、私ども監査法人に課せられた任務は、会計基準及び監査基準に従い、公正不偏の立場から財務諸表の適正性に関する見解を申し述べることにある。このことについてはご理解ください。」
なお、足利銀行の監査を巡っては、1月14日に衆議院財務金融委員会で中央青山監査法人理事長の上野紘志氏が参考人招致されている。
質問は全部で3つ。これに対して、中央青山監査法人は「公認会計士法による守秘義務により、回答に当たり詳細な内容をお答えできない」旨断りつつ、次のような回答を寄せている。
質問1
「足利銀行は、平成15年3月期決算におきましては、貴職の監査により1,387億円の繰延税金資産が認められ、自己資本比率が4.54%となりました。しかし、同年9月期中間決算においては、繰延税金資産の算入がまったく認められず、自己資本比率が△3.72%になったと聞いています。このような取扱いの変化についてご説明ください。」
質問1に対する中央青山監査法人の回答
「繰延税金資産については、それぞれの時点の状況に基づいて回収可能性を判断することになっており、その回収可能性について、中間期を含め毎期見直しを行うことが必要とされている。平成15年3月期については、将来の課税所得の見積額に基づいて計上された繰延税金資産について、監査の時点で入手された情報により検討した結果、一般に公正妥当と認められた会計基準に準拠した取扱いであると判断した。
一方、平成15年9月中間期においては、金融庁検査の結果を受けて作成された中間決算案を検討した結果、多額の損失計上等による状況の変化を勘案し、繰延税金資産の計上に関する当監査法人の見解を銀行に伝えた。」
質問2
「通例、法人の決算については、監査法人と企業が協議を進め決定するものと理解しています。しかし、足利銀行の場合、それまで繰延税金資産を1,200億円程度とするということで協議が進んでいたところ、平成15年11月27日になって、突然繰延税金資産を認められないとの方針に変更されたと聞いております。このような取扱いの変化につきましてご説明ください。」
質問2に対する中央青山監査法人の回答
「当監査法人では、監査意見の形成にあたり、重要な監査判断を要する事項については必ず審議会に付議することとしている。このことは従来の監査においても同様であり、従前より銀行側にも十分にご認識していただいていた。本件の銀行が作成した平成15年9月中間決算案に含まれる繰延税金資産の回収可能性に関しては、極めて重要な監査判断を要する事項であることから、当監査法人の審議会に付議する必要があることを、あらかじめ銀行に対して説明していた。繰延税金資産に関する監査の作業を行っている間も、当監査法人では銀行の主張している繰延税金資産計上額について、これを承認したものではなく、当監査法人としての見解は審議会が終了するまでは決定されない旨を、繰り返し銀行側に伝えてきたところである。」
質問3
「足利銀行の預金保険法第102条第1項第3号認定は、県民の生活や本県経済にはかり知れない影響を及ぼすものでありますが、その上で、先述の1及び2のような取扱いをされましたことについてご説明ください。」
質問3に対する中央青山監査法人の回答
「当監査法人の責任は、会計及び監査に関する独立した職業的専門家としての立場から、足利銀行が作成した財務諸表に対して、会計基準及び監査基準に従い、監査意見を表明することにある。今般の銀行法24条に基づく報告にあたって、当監査法人は、銀行が検査結果を踏まえて作成した平成15年9月中間決算案に関して、その時点における監査人としての見解を述べることを求められた。そこで当監査法人は、この中間決算案に対して、会計基準及び監査基準に基づいて、その時点での見解を申し述べた。
当監査法人としても、銀行が国から預金保険法第102条第1項第3号に該当するものと認定された場合の、貴県の県民の方々の生活や貴県経済への影響については認識していた。しかしながら、私ども監査法人に課せられた任務は、会計基準及び監査基準に従い、公正不偏の立場から財務諸表の適正性に関する見解を申し述べることにある。このことについてはご理解ください。」
なお、足利銀行の監査を巡っては、1月14日に衆議院財務金融委員会で中央青山監査法人理事長の上野紘志氏が参考人招致されている。
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