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コラム2003年11月10日 【ML耳より情報】 合併後の株価計算(2003年11月10日号・№042)

ML耳より情報

件名:合併後の株価計算


  合併後の株価算定は純資産価額で
 組織再編税制によって合併や会社分割を行う会社が増えてきましたが、その後の株価算定方法について大きな問題が浮上しています。合併直後については純資産価額方式のみによって株価を算定すべきと、国税担当者が解説(国税速報7月3日第5528号「財産評価実務上の重点事項」)していることです。
 取引相場のない株式の評価は、小会社であっても50%、中会社の場合は60%~90%、大会社は100%の類似業種比準価額の併用が可能なのですが、合併を行なったことにより、これが適用できなくなるかもしれないのです。

  合算方式の問題点を指摘
 実務においては、これまで、合併会社と被合併会社の「配当・利益・純資産」の3要素を合算する方法が批判なく採用され、この方法が市販の問答集や解説書に紹介されていました。しかし、今回の解説は、次のような理由から、課税時期が「合併事業年度」または「翌事業年度」の場合には、類似業種比準方式による株式評価は採用できない場合があると指摘しています。
①「配当金額」について、被合併会社が無配の場合は、合併によって相対的に株価を引き下げることが可能であることと、合併によって会社実態が大きく変化する(1+1が2以上のものとなる)ことがあること。
②「利益金額」について、仮に被合併会社が欠損である場合は、ゼロとして計算し、または、合併会社の利益金額と通算する場合のいずれにおいても、利益金額を低下させることが可能であること。
③「純資産額」について、合併によって増加すべき資本の額等は純資産額の範囲内で任意に定めることが可能であること。
 これらの理由から、合併直後、あるいはその翌年における株価の算定については純資産方式のみを適用すべきとしているのですが、説明するまでもなく、これは納税者に不利益な結果になります。

  適正時価についての考え方
 類似業種比準価額の算定には、「配当・利益・純資産」の三要素の算定が不可欠であり、合併によって、これが適正に算定できない場合が生じてしまうことは指摘されるとおりです。
 しかし、無配の会社と合併し、あるいは欠損の会社と合併することによって、それら指数が相対的に低下してしまうのは、それが合併の実態である以上は当然のことであり、非難の対象になるとは思えません。それに、合併によって「1+1が2以上のものとなる」との指摘については、企業経営について楽観的すぎるとの批判がありそうです。
 しかし、課税庁担当者による解説が一人歩きし、これが実務の運用に取り入れられてしまうのが税務の実態ですので、合併、あるいは会社分割を計画する場合は、その後の株価算定についても配慮しての意思決定が必要になりそうです。
 taxMLグループ(税理士 江崎一恵)

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