コラム2003年12月01日 【国際対応専門委員会の傍聴席から】 曲がり角を迎えた議題が頻出(2003年12月 1日号・№045)
ASBJ
Accounting Standards Board of Japan
国際対応専門委員会の傍聴席から 7
曲がり角を迎えた議題が頻出
業績報告に関する議論の方向性は泣き別れ
企業会計基準委員会・ASBJ(委員長:斎藤静樹明治学院大学教授)は11月11日、国際対応専門委員会・IISC(専門委員長:西川郁生ASBJ副委員長)を開催した。今回は11月17~21日にロンドンで開かれる国際会計基準審議会(IASB)に向けて、リース、業績報告、保険等について議論された。
リース
これまで研究レベルで検討が進められてきた英国ASBとの共同プロジェクトであるリース会計について、今回はリース契約により発生する資産・負債を分析するための概念的なモデルの基礎について議論するためのペーパーが用意されている。概念的なモデルの開発は、かつてG4+1(米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、IASCで構成され、自国の基準設定の参考にするために意見交換等を行うことを目的とした非公式な集まり)による検討が行われたことがあるが、今後の検討は、すべての論点について最初から検証し、いかなる結論も事前に決定されたものは無いことが明確にされている。しかし、最有力候補であるものの、まだ正式にIASBのアジェンダとして取り上げられていないため、今回は来年4月以降の正式な議論に向けた頭出しという位置付けと考えられている。
業績報告
10月23日にトロントで開催されたIASBとFASB(米国の会計基準設定主体)の合同会議において、その時点までの業績報告に関するFASBの決定事項として、「その他包括利益」項目とリサイクリングの継続が明確にされ、IASBの議論と異なる方向性が打ち出された。これを受け、IASBとFASBは今後、共同のワーキング・グループを設置することとしている。一方、今回の資料ではトニー・コープ理事より、サンセット・レビューを行った結果として、プロジェクト自体は継続し、今後は本件の共同プロジェクトのパートナーであるASB(英国の会計基準設定主体)とIASBが、ディスカッション・ペーパーを作成するよう提案している。山田理事の説明によると、これは、IASBとASBが、FASBと異なる方向性で進めることを合意した上で関係者との対話を図り、コミュニケーションを改善する目的でペーパーを出すようである。
IISCでは、「本件はサンセット・レビューの対象項目に該当したくらいなので、最低限、検討チームの変更や、パートナーシップを組む国を変える程度の見直しが必要である」、「IASBが議論を進める上では、実現利益が長い間有用として使われてきた事実を分析し、現状で何が問題であるかを問い質すべきであり、それをしないで実現利益をどう変えるべきかという議論だけをしても意味が無い」といった批判が相次いだ。
保険
保険Phase2についても、サンセット・レビューの結果が報告される予定であり、来年5月以降、2006年6月の公開草案作成を目指す優先順位の高いプロジェクトとして、基礎的な研究を進めることとされている。また、各国設定主体とボードメンバーによる専門家の研究機関等も設置される予定である。
Accounting Standards Board of Japan
国際対応専門委員会の傍聴席から 7
曲がり角を迎えた議題が頻出
業績報告に関する議論の方向性は泣き別れ
企業会計基準委員会・ASBJ(委員長:斎藤静樹明治学院大学教授)は11月11日、国際対応専門委員会・IISC(専門委員長:西川郁生ASBJ副委員長)を開催した。今回は11月17~21日にロンドンで開かれる国際会計基準審議会(IASB)に向けて、リース、業績報告、保険等について議論された。
リース
これまで研究レベルで検討が進められてきた英国ASBとの共同プロジェクトであるリース会計について、今回はリース契約により発生する資産・負債を分析するための概念的なモデルの基礎について議論するためのペーパーが用意されている。概念的なモデルの開発は、かつてG4+1(米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、IASCで構成され、自国の基準設定の参考にするために意見交換等を行うことを目的とした非公式な集まり)による検討が行われたことがあるが、今後の検討は、すべての論点について最初から検証し、いかなる結論も事前に決定されたものは無いことが明確にされている。しかし、最有力候補であるものの、まだ正式にIASBのアジェンダとして取り上げられていないため、今回は来年4月以降の正式な議論に向けた頭出しという位置付けと考えられている。
業績報告
10月23日にトロントで開催されたIASBとFASB(米国の会計基準設定主体)の合同会議において、その時点までの業績報告に関するFASBの決定事項として、「その他包括利益」項目とリサイクリングの継続が明確にされ、IASBの議論と異なる方向性が打ち出された。これを受け、IASBとFASBは今後、共同のワーキング・グループを設置することとしている。一方、今回の資料ではトニー・コープ理事より、サンセット・レビューを行った結果として、プロジェクト自体は継続し、今後は本件の共同プロジェクトのパートナーであるASB(英国の会計基準設定主体)とIASBが、ディスカッション・ペーパーを作成するよう提案している。山田理事の説明によると、これは、IASBとASBが、FASBと異なる方向性で進めることを合意した上で関係者との対話を図り、コミュニケーションを改善する目的でペーパーを出すようである。
IISCでは、「本件はサンセット・レビューの対象項目に該当したくらいなので、最低限、検討チームの変更や、パートナーシップを組む国を変える程度の見直しが必要である」、「IASBが議論を進める上では、実現利益が長い間有用として使われてきた事実を分析し、現状で何が問題であるかを問い質すべきであり、それをしないで実現利益をどう変えるべきかという議論だけをしても意味が無い」といった批判が相次いだ。
保険
保険Phase2についても、サンセット・レビューの結果が報告される予定であり、来年5月以降、2006年6月の公開草案作成を目指す優先順位の高いプロジェクトとして、基礎的な研究を進めることとされている。また、各国設定主体とボードメンバーによる専門家の研究機関等も設置される予定である。
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