税務ニュース2004年01月19日 最高裁、一括支払システム契約の代物弁済条項の無効を判示(2004年1月19日号・№050) 国税徴収法の適用を回避しようとする合意の効力を認めず
最高裁、一括支払システム契約の代物弁済条項の無効を判示
国税徴収法の適用を回避しようとする合意の効力を認めず
最高裁判所第二小法廷(梶谷玄裁判長)は、平成15年12月19日、「一括支払システム」の代物弁済条項につき国税債権者との関係における同条項(合意)の効力の有無について、当該代物弁済条項(合意)は、国税徴収法24条5項の趣旨に反して無効であると判示し、第2次納税義務告知処分を容認し、金融機関である第2次納税義務者の請求(上告)を棄却した(第2次納税義務告知処分取消請求事件、平成10年(行ツ)第149号)。
広く行われている一括支払システム契約
一括支払システム契約は、手形の交付に代わる売掛代金債権等の支払方法として広く普及してきたが、代金債権者が国税を滞納している場合に、国税徴収法24条(譲渡担保権者の物的納税責任)に基づく税務署長からの告知が発せられたときは、融資金債権の弁済期が到来し、譲渡担保債権は代物弁済に充当されるとの条項が置かれている。
また、国税徴収法24条第5項は、譲渡担保権者への納税告知後に納税者の財産の譲渡により担保される債権が債務不履行その他弁済以外の理由により消滅した場合においても、なお譲渡担保財産として存続するものとみなして、同条第3項(譲渡担保権者を第2次納税義務者とみなし、その譲渡担保財産への滞納処分の執行)を適用すると規定している。
譲渡担保権者に対し、物的納税責任を求める場合には譲渡担保権者に対する告知が要件とされ(同条2項)、告知は譲渡担保権者への到達した時点を意味するため、告知が発せられた時点における代物弁済条項が有効となれば、常に譲渡担保財産が消滅していると考えられ、国税の徴収が及ばないことになる。
司法は一貫して「合意の効果を主張できない。」と判示
本件の第1審となる東京地裁の判決(平9.3.12東京地裁民事3部判決、平成7年(行ウ)第244号)においても、「本件条項は、(徴収)法の規定に反し、私人間の合意によって、国税の徴収が及ばない譲渡担保財産を創出するものであり、(中略)少なくとも国税債権者との関係では、合意の効果を主張して物的納税責任の追及を免れることはできない。」と判示しており、控訴審判決(平10.2.19東京高裁第4民事部判決、平成9年(行コ)第42号)も第1審を支持し、今回の上告審も下級審判決を追認したことになる。
2裁判官は補足意見で信義則に言及
租税法的には、本最高裁判決で2人の判事が「信義則」違反と解する余地があったのではないかとの補足意見を明らかにしていることも注目されるだろう。
国税徴収法の適用を回避しようとする合意の効力を認めず
最高裁判所第二小法廷(梶谷玄裁判長)は、平成15年12月19日、「一括支払システム」の代物弁済条項につき国税債権者との関係における同条項(合意)の効力の有無について、当該代物弁済条項(合意)は、国税徴収法24条5項の趣旨に反して無効であると判示し、第2次納税義務告知処分を容認し、金融機関である第2次納税義務者の請求(上告)を棄却した(第2次納税義務告知処分取消請求事件、平成10年(行ツ)第149号)。
広く行われている一括支払システム契約
一括支払システム契約は、手形の交付に代わる売掛代金債権等の支払方法として広く普及してきたが、代金債権者が国税を滞納している場合に、国税徴収法24条(譲渡担保権者の物的納税責任)に基づく税務署長からの告知が発せられたときは、融資金債権の弁済期が到来し、譲渡担保債権は代物弁済に充当されるとの条項が置かれている。
また、国税徴収法24条第5項は、譲渡担保権者への納税告知後に納税者の財産の譲渡により担保される債権が債務不履行その他弁済以外の理由により消滅した場合においても、なお譲渡担保財産として存続するものとみなして、同条第3項(譲渡担保権者を第2次納税義務者とみなし、その譲渡担保財産への滞納処分の執行)を適用すると規定している。
譲渡担保権者に対し、物的納税責任を求める場合には譲渡担保権者に対する告知が要件とされ(同条2項)、告知は譲渡担保権者への到達した時点を意味するため、告知が発せられた時点における代物弁済条項が有効となれば、常に譲渡担保財産が消滅していると考えられ、国税の徴収が及ばないことになる。
司法は一貫して「合意の効果を主張できない。」と判示
本件の第1審となる東京地裁の判決(平9.3.12東京地裁民事3部判決、平成7年(行ウ)第244号)においても、「本件条項は、(徴収)法の規定に反し、私人間の合意によって、国税の徴収が及ばない譲渡担保財産を創出するものであり、(中略)少なくとも国税債権者との関係では、合意の効果を主張して物的納税責任の追及を免れることはできない。」と判示しており、控訴審判決(平10.2.19東京高裁第4民事部判決、平成9年(行コ)第42号)も第1審を支持し、今回の上告審も下級審判決を追認したことになる。
2裁判官は補足意見で信義則に言及
租税法的には、本最高裁判決で2人の判事が「信義則」違反と解する余地があったのではないかとの補足意見を明らかにしていることも注目されるだろう。
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