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解説記事2004年03月01日 【ニュース特集】 総務省の外形標準課税基本Q&Aを読み解く(純支払利子編)(2004年3月1日号・№056)

外形標準課税施行間近!
報酬給与額等の留意点が明らかに!
総務省の外形標準課税基本Q&Aを読み解く
純支払利子編


 資本金1億円超の法人を対象とする法人事業税への外形標準課税が平成16年4月1日開始事業年度から導入されます。これに先立ち総務省では「「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)」の一部改正案」(以下、取扱通知案)及び外形標準課税基本Q&Aを公表しています。今回の特集では前回特集の「報酬給与額」に続いて、取扱通知案及び外形標準課税基本Q&Aを基に、「純支払利子」にフォーカスして解説していきます。

純支払利子の算定例
 純支払利子は支払利子から受取利子を控除して算定します。支払利子及び受取利子について、通常の事業会社を前提にP/Lの営業外項目等を用いて例示すると次のようになります。


純支払利子算定のポイント
 支払利子は、原則として法人税の所得の計算上損金に算入される額のうち、「支払う負債の利子」に該当するものをいい、また、受取利子は法人税の所得の計算上益金に算入される額のうち、「支払を受ける利子」に該当するものをいいます。もっとも、次のようなポイントに注意する必要があります。

Point①
 取扱通知案によると、支払利子がP/L計上されず、棚卸資産、繰延資産、無形固定資産、建設仮勘定などとして、当該事業年度においてB/Sの資産の部に新たに計上されるものについては、計上時に支払利子に含めることとされています。もっとも、社債発行差金の場合、支払利子に該当するのは、新たに計上することとなった額(前ページの例では50)ではなく、その償却費(前ページの例では10)である旨、政令で手当される見込です。

Point②
 売上割引は支払利子に含まれません。これについて外形標準課税基本Q&AのQ22では、「元々当該法人が負債を有していてこれについて利息として支払うものではなく、単に期限前に支払いをしてくれたことに対する報奨金的なものであって、法的にも利子に当たるということはできないことなどから、支払利子に含まれない」と説明されています。また、仕入割引も同様の理由から受取利子に含まれません。

Point③
 手形売却損(手形割引料)は支払利子に含まれます。これについて、外形標準課税基本Q&AのQ21では、「受取手形を支払期日前に現金化することにより金融機関等から割り引かれるものであって、借入金に対する利息に相当するため、支払利子に含まれる」と説明されています。

Point④
 支払利子から受取利子を控除して純支払利子を算定します。仮に、受取利子の額の合計額が支払利子の額の合計額を超える場合は、純支払利子はマイナスとはならずゼロとなります。


支払利子と受取利子の具体例

・資金の貸付(借入)及び預金

 借入金の支払利息は支払利子に、また、貸付金の受取利息は受取利子に該当します。また、銀行等から受け取る預金利息や郵便局から受け取る貯金利息及び定期積金の利息(給付補てん金)は受取利子に該当します。

・社債
 社債(会社以外の法人が特別の法律により発行する債券で利付きのものを含む)の支払利息(社債利息)は支払利子に、また、社債の受取利息(有価証券利息)は受取利子に該当します。国債、地方債の場合も同様です。

(端数利息はどう扱う?)
 取扱通知案によると、社債、国債又は地方債をその利息の計算期間の中途において購入した法人が支払った直前の利払期からその購入の時までの期間に応じてその債券の発行条件たる利率により計算される経過利息に相当する金額(いわゆる端数利息)は、支払利子に含まれないとされています。もっとも、端数利息は通常、有価証券利息勘定の借方に記入するため、問題とはなりません。
 なお、経過利息に相当する金額を受け取った法人が、当該金額を利息として経理した場合には、当該金額は受取利子に含まれます。

・手形割引
 手形売却損は支払利子に含められます(42ページのことばのコンビニ参照)。
 なお、受取手形に含まれる金利相当額を会計上別処理する方式(金融商品実務指針設例16における方式2又は3のように、利息法又は定額法に基づき、(借)受取手形(貸)受取利息という会計処理により利息を認識するとともに受取手形の金額を増額する会計処理)を採用している場合であっても、受取手形の手形金額と当該受取手形の割引による受領金額との差額を支払利子に含めることとなります。その場合、手形売却損として帳簿上計上していない部分(受取利息の未認識部分)であっても支払利子に含められる点に留意が必要です。
 また、買掛金を手形によって支払った場合において、相手方に対して当該手形の割引料を負担したときにおける当該負担した割引料相当額は支払利子に該当するとともに、当該相手方では受取利子に含めることになります。


・営業保証金
 従業員預り金、営業保証金、敷金その他これらに準ずる預り金の利息は支払利子に該当します。一方、営業保証金、敷金その他これらに準ずる預け金の利息は受取利子に該当します。


・リース
 金銭貸借とされるリース取引(法人税法施行令第136条の3第2項)の場合、各事業年度のリース料の額のうち通常の金融取引における元本と利息の区分計算の方法に準じて合理的に計算された利息相当額は支払利子及び受取利子に含まれることになります。この場合において、取扱改正案では、リース料の額のうちに元本返済額が均等に含まれているものとして利息相当額を計算しても差し支えないものとされています。
 なお、資産の売買があったものとされるリース取引(法人税法施行令第136条の3第1項)については、リース料の額の合計額のうち利息相当額は、契約書等において当該リース資産の賃貸人における取得価額と当該利息相当額とが明確かつ合理的に区分されているときは、支払利子及び受取利子に含まれることになります。

・税
 約定利息の性質を有する税、すなわち、利子税並びに法人の道府県民税に係る納期限の延長の場合の延滞金(地法65条)、法人の事業税に係る納期限の延長の場合の延滞金(地法72条の45の2)及び法人の市町村民税に係る納期限の延長の場合の延滞金(地法327条)の規定により徴収される延滞金は支払利子に該当します。なお、延滞税等は遅延利息に相当するため支払利子に該当しないことがポイントです。
 一方、還付加算金は受取利子に該当します。


その他の留意点
 支払利子の額は当該事業年度の法人税の所得計算上損金の額に算入されるものがベースとなります。そこで、短期の前払利息は、継続して支払時点で損金に算入している場合には、支払利子に含まれます(法基通2-2-14)。受取利子も同様の取扱いとなります。
 また、割賦販売契約又は延払条件付譲渡契約(これらに類する契約を含む。)によって購入又は販売した資産に係る割賦期間分の利息相当額は、契約書等において購入代価又は販売代価と割賦期間分の利息相当額とが明確かつ合理的に区分されているときは、支払利子及び受取利子に含まれます。
 なお、金利の変動に伴って生ずるおそれのある損失を減少させる目的で法人税法第61条の6の規定により繰延ヘッジ処理を行っている場合又は特例金利スワップ取引等(法人税法施行規則第27条の7第2項に規定する取引をいう)を行っている場合の支払利子又は受取利子の計算は、当該繰延ヘッジ処理による繰延ヘッジ金額に係る損益の額又は特例金利スワップ取引等に係る受払額のうち、当該繰延ヘッジ処理又は特例金利スワップ取引等の対象となった資産等に係る支払利子の額又は受取利子の額に対応する部分の金額を加算又は減算した後の金額を基礎とすることに留意する必要があります。
 また、貿易商社が支払う輸入決済手形借入金の利息については、それが委託買付契約に係るもので、その利息相当額を委託者に負担させることとしている場合であっても、利息の支払と利息相当額の徴収は別の取引と考えられるため、当該貿易商社の支払利子に含まれることとなります。この場合、当該委託買付契約において当該利息相当額が明確かつ合理的に区分されているときは、当該利息相当額は当該委託者の支払利子及び当該貿易商社の受取利子に含まれることとなります。
 以上に掲げた支払利子・受取利子以外にも、その他の支払利子・受取利子の具体例として次のようなものが取扱通知案にあげられています。支払利子については、法人税法上の受取配当等の益金不算入の算定に用いられる「負債利子の控除」の範囲(法基通3-2-1)をベースとしており、受取利子も原則的に支払利子と範囲を同じくするというのがポイントです。

その他の支払利子の具体例
a コマーシャル・ペーパーの券面価額から発行価額を控除した金額に相当する金額
b 金融機関における預金利息及び給付補てん備金繰入額(給付補てん備金繰入額に準ずる繰入額を含む。)
c コールマネーの利息
d 信用取引に係る利息
e 現先取引及び現金担保付債券貸借取引に係る利息相当額

その他の受取利子の具体例
a コマーシャル・ペーパーの券面価額から発行価額を控除した金額に相当する金額
b コールローンの利息
c 信用事業を営む協同組合等から受ける事業分量配当のうち当該協同組合等が受け入れる預貯金(定期  積金を含む。)の額に応じて分配されるもの
d 相互会社から支払いを受ける基金利息
e 生命保険契約(共済契約で当該保険契約に準ずるものを含む。)に係る据置配当及び未収の契約者配  当の額に付されている利息に相当する金額
f 損害保険契約のうち保険期間の満了後満期返戻金を支払う旨の特約がされているもの(共済契約で当該  保険契約に準ずるものを含む。)に係るeの金額に準ずる金額
g 信用取引に係る利息
h 現先取引及び現金担保付債券貸借取引に係る利息相当額


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