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解説記事2004年03月29日 【ニュース特集】 総務省の外形標準課税基本Q&Aを読み解く(純支払賃借料編)(2004年3月29日号・№060)

外形標準課税施行間近!
純支払賃借料の留意点が明らかに!
総務省の外形標準課税基本Q&Aを読み解く(純支払賃借料編)

 資本金1億円超の法人を対象とする法人事業税への外形標準課税が平成16年4月1日開始事業年度から導入されます。これに先立ち総務省では「「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)」の一部改正案」及び外形標準課税基本Q&A(以下、Q&A)を公表しています。今回の特集では「報酬給与額」(2月23日号)、「純支払利子」(3月1日号)に続いて、収益配分額の構成要素である「純支払賃借料」にフォーカスして、取扱い改正案及び外形標準課税基本Q&Aを基に、解説していきます。

純支払賃借料はどうやって算定する?

 純支払賃借料は次の算式で算定します。計算結果がマイナスであればゼロと扱うのは純支払利子と同じです。


「土地又は家屋」とは?
 「土地又は家屋」とは、土地、住宅、店舗、工場、倉庫その他の建物をいい、これらと一体となって効用を果たす構築物及び附属設備を含みます(土地又は家屋の賃貸借契約と構築物等の賃貸借契約とが別個の独立した契約である場合は別)。よって、立体駐車場のような設備で固定資産税においては家屋に該当しないようなものであっても、その賃借料は外形標準課税の算定上、支払賃借料及び受取賃借料に含まれます。
 また、事業者が土地を駐車場として利用させた場合、消費税においては、それが施設の貸付けとなるか、または、土地の貸付けとなるかといったことが、課税対象となるか否かを左右するため、重要な要素となります。もっとも、法人事業税の外形標準課税においては、駐車場の貸付けは消費税の課税・非課税の区別に関係なく、「土地又は家屋」の使用収益を目的とする権利として、支払賃借料及び受取賃借料に含まれることとなります。

「使用又は収益を目的とする権利」の具体例は?
 「使用又は収益を目的とする権利」とは、土地又は家屋(住宅、店舗、工場、倉庫その他の建物をいい、これらと一体となって効用を果たす構築物及び附属設備を含む)の賃借権、地上権、地役権、永小作権、土地又は家屋に係る行政財産を使用する権利等をいいます。鉱業権、土石採取権、温泉利用権、質権、留置権、抵当権等は該当しません。

 なお、自動車や機械設備のような土地又は家屋以外のものの賃借料は支払賃借料及び受取賃借料に含まれません。ただし、当該賃借が法人税法上のリース取引に該当する場合には、利子相当額が支払利子の対象となります(Q&AのQ25)。これについては56号の6ページを参照下さい。

「存続期間が1月以上」はどう判定する?
 土地又は家屋の賃借権等の対価の額は、当該土地又は家屋を使用又は収益できる期間が連続して1月以上であるものに限ります。
 もっとも、使用又は収益できる期間が連続して1月に満たない場合であっても、実質的に当該使用又は収益することのできる期間が連続して1月以上となっていると認められる場合には、純支払賃借料の対象となります。
 例えば、1年契約で毎週日曜日に限り、事務所を借りる契約をしているため、その日数の合計が30日を超えている場合であっても、連続して1月以上となっていないため、当該賃借料は支払賃借料に含まれません(Q&AのQ26)。
 もっとも、3月末で事業年度が終了する法人が、事務所を賃借する場合に、3月中のある日から当該事業年度末までの賃貸借契約をし、別途4月1日から1年間の賃貸借契約をしている場合には、3月中の賃借料それだけをみると、事務所を使用できる期間が契約上連続して1月に満たないのですが、実質的に使用又は収益できる期間が連続して1月以上となっているため、3月中の賃借料は賃貸借契約をした事業年度の支払賃借料に含まれるとされています(Q&AのQ27)。
 では、法人が土地を1年契約で賃借し、当該土地をコインパーキングとして利用している場合は、どのように考えればよいのでしょうか。この点Q&AのQ31によると、コインパーキングのように不特定多数の利用者に1ヶ月未満の期間で使用させている場合の使用料は受取賃借料には含まれないとされており注意が必要です(下図参照)。もちろん、地主へ支払う賃借料は、1年契約であるため存続期間の要件をみたし、支払賃借料に該当します。


賃借権等に係る役務の提供の対価はどう判断する?
 賃借権等に係る役務の提供の対価は賃借権等の対価そのものではないため、支払賃借料及び受取賃借料に含まれません。もっとも、賃借権等に係る役務の提供の対価の額が当該賃借権等の対価の額と区分して定められていない場合は、当該賃借権等に係る役務の提供の対価は支払賃借料または受取賃借料に含まれます。この点、Q&AのQ34では、「法人が貸倉庫を賃貸借する契約をし、当該契約に荷物の出入庫サービスや警備料が含まれている場合」が例示されています。そのような場合には、貸倉庫の賃貸借の対価の額と出入庫サービス料や警備料といった役務の提供の対価の額が契約等において明確かつ合理的に区分されていなければ、契約に基づいて支払う出入庫サービス料等相当額を含めた賃借料が支払賃借料及び受取賃借料となり、一方、明確かつ合理的に区分されていれば出入庫サービス料等を除いた額が支払賃借料となります。
 なお、倉庫会社に対して支払う荷物の保管料については、当該荷物の保管が土地又は家屋以外の場所で行われること(例えば船舶において保管されること)が契約等において明示されていない限り、支払賃借料及び受取賃借料に含まれます。


社宅を賃借したケースはどうなる?
 法人がアパート等を賃借し、社宅として従業員や役員に賃貸する場合、法人が支払う賃借料は支払賃借料に、従業員等から支払いを受ける賃借料は受取賃借料に、それぞれ含まれることとなります。

 なお、所得税においては、従業員への賃貸料次第で、社宅についての経済的利益として給与課税されることがあります。この点、当該経済的利益は「報酬給与額」と「受取賃借料」の双方に含まれないことに注意が必要です(55号6頁を参照して下さい。「受取賃借料」に含まれない結果、その分だけ純支払賃借料が増えることとなります。これをもって東京都庁のHPでは社宅の経済的利益が報酬給与額に含まれない理由として「純支払賃借料に算入されるため」と説明しています)。

敷金や更新料はどう扱う?

 賃貸借契約時に支払った権利金は借地権や借家権の設定に関する対価であり、また、敷金や保証金は一種の預り金に過ぎないため、地代や家賃とは別個のものであるとして、支払賃借料または受取賃借料には含められません(契約により地代や家賃の前払分が含まれているものは別:Q&AのQ28)。賃貸借契約の更新時に支払う更新料も同様です。もっとも、支払うべき賃借料を滞納した場合などの債務の不履行により、敷金等から控除された金額については、支払賃借料に含まれることとなります(Q&AのQ28)。また、土地又は家屋の明渡しの遅滞により生じた違約金等で、地代や家賃等の性質を有するものについては、支払賃借料及び受取賃借料に含まれます。

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