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コラム2004年11月22日 【士業の女たち】 第2回 会計士補 有馬加奈子さん(2004年11月22日号・№091)

士業の女たち
士業と呼ばれる職に就く女性にインタビューし、女性として働き続けることの苦労や将来の目標を伺った。しかし、その魅力の裏側には、性別を超えたメッセージがあった。

努力も天性のうち

資格は生きていくための手段
会計士変化期、何かの縁と思い「受けて立つ」


第2回 会計士補 有馬加奈子さん


地方自治体で「企業会計」意識
 有馬さんは、大学を卒業後、出版社に就職。出版社ながら、地方自治体のまちづくりに係るコンサルティング事業を担当した。地方自治体はその当時、挙って民間企業の経営手法を取り入れようとしていた。有馬さんは、地方自治体で「行政評価」や「バランスシート」など、企業会計にリンクする考え方に触れ、このことが公認会計士を目指すきっかけになったという。
 同時に、「組織に所属しない道があることも意識」するように。親戚に会計士がいることも後押しとなり、社会人2年目の冬、すっぱりと出版社を辞め、受験に専念することにした。
 有馬さんにとって資格とは何か?
 「生きていく手段としては対外的にも強い。受験勉強が仕事に直結するという魅力もあります。」

目標は、意識していれば叶う
 有馬さんは、クールな印象のある一方で、好奇心たっぷりのキラキラした表情が魅力的な人だ。受験時代は、その好奇心をすべて抑えて、勉強に集中していたという。 辛い受験に耐えたパワーの源は、「最後までやり抜きたいという“プライド”」と、「もう一度社会に戻りたい」という強い気持ち。
 有馬さんが受験時代に得たものは知識だけではなかった。「平常心を保つための自分管理術と、目標を意識し続けることの大切さ」を痛感したという。昨年10月、2年間の受験生活を終え、公認会計士第二次試験を突破、新日本監査法人に入所した。

変化期も「受けて立つ」心意気
 有馬さんは、平成18年、公認会計士法改正後初めて新試験に臨むことになる。公認会計士になるためには、新2次試験論文式試験の受験者と同じ科目(租税法と監査論)にパスしなければならない。更に、会計士協会が新たに「修了試験」を実施するという。
 有馬さんは、この変化期に新試験に臨まなければならないことについて、「前例がなく不安が大きい」と話しながらも、新試験制度の目指すところの「会計士の裾野の拡大には大いに共感する」と話している。変化期に戸惑いながらも、「これも何かの縁と思い受けて立つ」と前向きだ。

自由に、しなやかであるために
 仕事における男女差について聞くと、意外にも、メンタル面でのマイナスイメージはないという。むしろ、コミュニケーション能力は女性のほうが高く、客先にも女性が多いため「有利」に働いているとか。しかし、将来の方向性を伺ううちに、解決しようのない男女差があることに気付かされる。「監査業務は、体力的にタフでないとできません。」唯一感じる男女差は「体力」だという。
 有馬さんは、将来、監査業務にこだわらず、資格を「手段」に自分の適性にあった仕事に就きたいという。「あきっぽいから色んなことやりたい」と語り、「何事も、面白いことが一番」と奔放だ。「こうでなきゃいけない」という力みがまったくなく、人並みはずれた集中力でさりげなく武器を備える。
「天才なの?努力型なの?」と聞くと、「努力も天性のうち」と微笑んだ。人に頼る生き方よりも「自分で稼ぐ安心感を選びたい」と語りながら、「結婚したら子供はほしいかな」としなやかだ。


MNC部は海外に子会社を多くもつ企業を担当している

PROFILE
有馬加奈子
 会計士補
昭和51年生まれ
東京都出身
平成11年3月 東京大学教育学部卒業
平成11年4月 出版社入社
平成13年1月 同社退社
平成15年10月 公認会計士第二次試験合格
       新日本監査法人(MNC部)入所

取材を終えて
 「男女差」などという価値観すらないような、そこはかとない余裕が感じられる。取材する側からすれば、「もっと熱く語っていただいた方がやりやすいのですが…」などと感想を述べると、「“あるべき論”は大好きなんですよ、お酒を飲めば…」とはぐらかされる。感受性の豊かさと情緒的な魅力を漂わせていた。

Data Report
収入に対する満足度

 有馬さんが働く理由は、「経済的にも自由でいたいし、社会との接点を持ち続けたい」ということ。現在の収入にも、ある程度満足しているようだ。
 日本労働研究機構による「専門職における女性の就業と生活に関する調査」(2001年9~10月実施、分析対象者2,271名)の「収入に対する満足度」(左表参照)では、約6割が収入に対して満足していることがわかる。
しかし、監査法人における会計士の初任給は減額傾向。合格人員の増加で、就職することさえ、今後益々厳しくなるだろう。収入に関する業界全体の先行きは決して明るくはない。

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