解説記事2004年12月20日 【ニュース特集】 「タックスハウス」の正体を探る!!(2004年12月20日号・№095)
ニュース特集
弥生、 NTTデータと業務提携!!
「タックスハウス」の正体を探る!!
株式会社エフアンドエム(以下、F&M)は12月7日と10日の両日、F&Mの主要事業である経理・記帳代行サービス、中小企業コンサル・マーケティングノウハウを、税理士・公認会計士に対し提供し、統一ブランドとして店舗展開する「TAXHOUSE」(以下、タックスハウス)事業説明会を東京および大阪で開催しました。また、12月14日には、このタックスハウス事業において、弥生株式会社並びに株式会社NTTデータと業務提携したことも明らかになりました。今回の特集は、業界内でにわかに話題となっている、税理士事務所のチェーン展開「タックスハウス」とはいかなるものか、その事業内容などについてご紹介します。
F&Mってどんな会社?
F&Mは、月額3,000円程度で記帳代行を請け負い、中国に入力部隊を持つなどして薄利多売を実現した「アウトソーシング事業」で収益を伸ばした企業。生命保険会社の営業職員を中心に、個人事業主や小規模法人など、全国に33,500顧客を抱えるまでに成長しています(年間売上約15億円)。
また、“総務部門で利益を”をコンセプトに、月額21,000円で、非生産部門である総務・管理部門での利益貢献をバックアップするコンサルティングサービス「エフアンドエムクラブ事業」(※下記参照)では、生命保険会社の営業職員と共に法人開拓を図り、現在、中小企業などを中心に全国に4,600顧客を抱えています(年間売上約15億円)。
この事業は、専門知識を持った人材を全国の中小企業で共同利用することによりコストを按分し、月額21,000円という低価格を実現したコンサルティングサービス。相談だけにとどまらず、実利を追求し、非生産部門で利益を生むことができるサービスラインナップが特徴です。具体的には、下記のようなサービスがあります。
「F&Mクラブ」のサービスラインナップ
タックスハウスのしくみは?
タックスハウス事業は、税理士事務所が既存の税理士業務に加えて、ボランタリーチェーン(下記「用語解説」参照)に加盟することで、F&Mがこれまで培ってきたノウハウの提供を受け、税理士事務所とF&M相互の顧客拡大を目指そうとするビジネスです(図1参照)。
タックスハウスが顧客に提供する主なサービスは、通常の税理士業務に加え、FPとして①年金分野の相談、②個人・法人の公的助成金、補助金情報の提供、③経理・記帳代行、④不動産活用・運用に関する助言・指導、⑤生損保の見直し及び情報提供、⑥住宅ローンの見直し、⑦その他金融商品の取り扱いなどが想定されています。
F&Mは、将来的には、銀行・保険・証券等の金融機関や税理士を中心とした弁護士・司法書士・社会保険労務士等の専門家とのネットワークを確立し、ワンストップ・ファイナンシャル・ショップを構築したいと考えているようです(図2参照)。
森中F&M社長は、「タックスハウスは税理士事務所のニューサービス(新規事業)として展開してもらいたい。税理士の本来業務ではなく、ファイナンシャルプランニングなど税理士の本来業務以外のサービスを目当てに移ってくる顧客を増やす方が、税理士事務所のマーケティングのあり方としていいかたちだと思っている。」などと話しています。
一方、税理士事務所のM&AについてF&M担当者に聞いてみると「法的にも難しい」としてM&Aへの興味を否定しています。あくまでも、マーケティングノウハウの提供が狙いのようです。
図1 タックスハウスのビジネスモデル
図2 ワンストップ・ファイナンシャル・ショップのイメージ

用語解説
ボランタリーチェーン…ボランタリーチェーンとは、フランチャイズシステムに比べ、統制の緩やかさが特長で、仕入れ、物流、マーケティング、販売促進の機能を各チェーンで共有化するシステムのことです。共有化することでスケールメリットを生み出し、仕入れ価格の引下げ、物流コストの削減、メーカーマーケティングとの連動、人材の育成、といった分野で共同の取り組みが可能になります。また、加盟金などの支払いの必要があっても、通常のフランチャイズシステムのように、売上に対する一定のロイヤリティ(使用料)を支払う必要はありません。さらに、ボランタリーチェーン展開によって、統一ブランドを確立できるというメリットがあります。
参加費用はどれくらいなの?
オープニングまでのステップは、大きく、加盟準備と、開店準備に分かれます(右表参照)。
また、ボランタリーチェーン参加に係る初期コストは、加盟金(エリア権・販売権)300万円、会計ソフト導入費用10~50万円(状況に応じて)、店舗リフォーム費用40~200万円(状況に応じて)。ランニングコストは、マーケティング指導料、システム利用料(10万円)、共同広告費用(10万円)の計20万円(月額)となっています(図3参照)。
つまり、タックスハウスに参加する際には、初期コストとして、350万円~550万円、ランニングコストとして、月額20万円が必要となります。
図3 参加費用
・初期コスト
加盟金(エリア権・販売権) 300万円
会計ソフト導入費用 10万円~50万円
店舗リフォーム費用 40万円~200万円
・ランニングコスト
マーケティング指導料、
システム利用料 月額10万円
共同広告費用 月額10万円
研修費用 別途実費
(全て税別)
・営業サポート体制
タックスハウス認定FPの派遣(別途実費)
職員への営業研修(別途実費)

COLUMN
辻・本郷税理士法人がタックスハウスをオープン
辻・本郷税理士法人は、F&Mと提携し、今月中にもタックスハウスを仙台にオープンさせる運びとなっています。これにともない、タックスハウス事業説明会には、辻・本郷税理士法人の理事長である本郷孔洋氏が訪れ、講演しました。
本郷氏は、「これまで私が手がけた様々な事業は、10のうち9は失敗だった。何が当たるかわからない時代だからこそ、タックスハウスをやってみようと思った。加盟料を捨てるつもりで参加すればいいと思う。」と話し、会場を沸かせた。
また、日本版SO法(会計不祥事を防止するため、監査業務とMAS業務を同一者が担ってはいけないとする規定)ができたことが中小会計事務所にとって大きなチャンスになっているとした上で、①チャンスを見過ごさず、"Do"(行動)しよう、②税理士の本来業務だけに頼るのはやめよう、③「何が当たるかわからない」業域拡大の時代だからこそ、新しいことを始めようなどと、タックスハウスへの参加を呼びかけた。
さらに、経営状態のよい事務所でも、「年間、一定割合のお客様が離れてしまうのが普通だ。毎年、離れていくお客様以上の新規顧客を獲得できないと維持できない。」と話し、積極的に新しい試みにチャレンジしていくことの重要性を訴えた。
弥生、 NTTデータと業務提携!!
「タックスハウス」の正体を探る!!
株式会社エフアンドエム(以下、F&M)は12月7日と10日の両日、F&Mの主要事業である経理・記帳代行サービス、中小企業コンサル・マーケティングノウハウを、税理士・公認会計士に対し提供し、統一ブランドとして店舗展開する「TAXHOUSE」(以下、タックスハウス)事業説明会を東京および大阪で開催しました。また、12月14日には、このタックスハウス事業において、弥生株式会社並びに株式会社NTTデータと業務提携したことも明らかになりました。今回の特集は、業界内でにわかに話題となっている、税理士事務所のチェーン展開「タックスハウス」とはいかなるものか、その事業内容などについてご紹介します。
F&Mってどんな会社?
F&Mは、月額3,000円程度で記帳代行を請け負い、中国に入力部隊を持つなどして薄利多売を実現した「アウトソーシング事業」で収益を伸ばした企業。生命保険会社の営業職員を中心に、個人事業主や小規模法人など、全国に33,500顧客を抱えるまでに成長しています(年間売上約15億円)。
また、“総務部門で利益を”をコンセプトに、月額21,000円で、非生産部門である総務・管理部門での利益貢献をバックアップするコンサルティングサービス「エフアンドエムクラブ事業」(※下記参照)では、生命保険会社の営業職員と共に法人開拓を図り、現在、中小企業などを中心に全国に4,600顧客を抱えています(年間売上約15億円)。
この事業は、専門知識を持った人材を全国の中小企業で共同利用することによりコストを按分し、月額21,000円という低価格を実現したコンサルティングサービス。相談だけにとどまらず、実利を追求し、非生産部門で利益を生むことができるサービスラインナップが特徴です。具体的には、下記のようなサービスがあります。
「F&Mクラブ」のサービスラインナップ
財務サポート | ●公的支援制度活用診断(助成金などの活用可能性を診断)● 役員報酬シミュレーション、● 従業員賃金シミュレーション、● 財務診断・資金繰り表作成サービス |
人材育成 | ● 適性診断、● 基礎能力診断、● リーダー育成定期診断プログラム ● 社員教育ビデオ(1回3本まで、何回でも使い放題) |
福利厚生支援 | ● F&M club Offサービス(各種宿泊施設を割引価格で) ● 社員専用お悩み相談(家族も相談可) |
情報提供・相談 | ● お客様サービスセンター・専門家FAX相談(人事・経営・経理・教育等総務の悩みにアドバイス) ● イー総務ドットコム(給与計算ソフトが100名分まで利用可能)、● 定期刊行物 |
リスクヘッジ | ● 与信情報提供サービス(信用力判断に必要な企業情報を提供) ● 保険管理台帳作成サービス(提携保険会社と共に提供) ● リスク管理コンサルティング、● 就業規則コンサルティング ● 文書管理コンサルティング(ISO規格を応用した管理表を作成) |
社内整備支援 | ● 就業規則雛形穴埋めサービス、● 諸規程雛形提供サービス、● 各種雛形提供サービス |
オプション (会員のみ利用可) | ・ 経営革新支援法申請代行(成功報酬262,500円) ・ ISOコンサルティングサービス(別途2,100,000円) ・ 人材サポートサービス(紹介から採用まで無料) |
タックスハウスのしくみは?
タックスハウス事業は、税理士事務所が既存の税理士業務に加えて、ボランタリーチェーン(下記「用語解説」参照)に加盟することで、F&Mがこれまで培ってきたノウハウの提供を受け、税理士事務所とF&M相互の顧客拡大を目指そうとするビジネスです(図1参照)。
タックスハウスが顧客に提供する主なサービスは、通常の税理士業務に加え、FPとして①年金分野の相談、②個人・法人の公的助成金、補助金情報の提供、③経理・記帳代行、④不動産活用・運用に関する助言・指導、⑤生損保の見直し及び情報提供、⑥住宅ローンの見直し、⑦その他金融商品の取り扱いなどが想定されています。
F&Mは、将来的には、銀行・保険・証券等の金融機関や税理士を中心とした弁護士・司法書士・社会保険労務士等の専門家とのネットワークを確立し、ワンストップ・ファイナンシャル・ショップを構築したいと考えているようです(図2参照)。
森中F&M社長は、「タックスハウスは税理士事務所のニューサービス(新規事業)として展開してもらいたい。税理士の本来業務ではなく、ファイナンシャルプランニングなど税理士の本来業務以外のサービスを目当てに移ってくる顧客を増やす方が、税理士事務所のマーケティングのあり方としていいかたちだと思っている。」などと話しています。
一方、税理士事務所のM&AについてF&M担当者に聞いてみると「法的にも難しい」としてM&Aへの興味を否定しています。あくまでも、マーケティングノウハウの提供が狙いのようです。
図1 タックスハウスのビジネスモデル

図2 ワンストップ・ファイナンシャル・ショップのイメージ

用語解説
ボランタリーチェーン…ボランタリーチェーンとは、フランチャイズシステムに比べ、統制の緩やかさが特長で、仕入れ、物流、マーケティング、販売促進の機能を各チェーンで共有化するシステムのことです。共有化することでスケールメリットを生み出し、仕入れ価格の引下げ、物流コストの削減、メーカーマーケティングとの連動、人材の育成、といった分野で共同の取り組みが可能になります。また、加盟金などの支払いの必要があっても、通常のフランチャイズシステムのように、売上に対する一定のロイヤリティ(使用料)を支払う必要はありません。さらに、ボランタリーチェーン展開によって、統一ブランドを確立できるというメリットがあります。
参加費用はどれくらいなの?
オープニングまでのステップは、大きく、加盟準備と、開店準備に分かれます(右表参照)。
また、ボランタリーチェーン参加に係る初期コストは、加盟金(エリア権・販売権)300万円、会計ソフト導入費用10~50万円(状況に応じて)、店舗リフォーム費用40~200万円(状況に応じて)。ランニングコストは、マーケティング指導料、システム利用料(10万円)、共同広告費用(10万円)の計20万円(月額)となっています(図3参照)。
つまり、タックスハウスに参加する際には、初期コストとして、350万円~550万円、ランニングコストとして、月額20万円が必要となります。
図3 参加費用
・初期コスト
加盟金(エリア権・販売権) 300万円
会計ソフト導入費用 10万円~50万円
店舗リフォーム費用 40万円~200万円
・ランニングコスト
マーケティング指導料、
システム利用料 月額10万円
共同広告費用 月額10万円
研修費用 別途実費
(全て税別)
・営業サポート体制
タックスハウス認定FPの派遣(別途実費)
職員への営業研修(別途実費)

COLUMN
辻・本郷税理士法人がタックスハウスをオープン
辻・本郷税理士法人は、F&Mと提携し、今月中にもタックスハウスを仙台にオープンさせる運びとなっています。これにともない、タックスハウス事業説明会には、辻・本郷税理士法人の理事長である本郷孔洋氏が訪れ、講演しました。
本郷氏は、「これまで私が手がけた様々な事業は、10のうち9は失敗だった。何が当たるかわからない時代だからこそ、タックスハウスをやってみようと思った。加盟料を捨てるつもりで参加すればいいと思う。」と話し、会場を沸かせた。
また、日本版SO法(会計不祥事を防止するため、監査業務とMAS業務を同一者が担ってはいけないとする規定)ができたことが中小会計事務所にとって大きなチャンスになっているとした上で、①チャンスを見過ごさず、"Do"(行動)しよう、②税理士の本来業務だけに頼るのはやめよう、③「何が当たるかわからない」業域拡大の時代だからこそ、新しいことを始めようなどと、タックスハウスへの参加を呼びかけた。
さらに、経営状態のよい事務所でも、「年間、一定割合のお客様が離れてしまうのが普通だ。毎年、離れていくお客様以上の新規顧客を獲得できないと維持できない。」と話し、積極的に新しい試みにチャレンジしていくことの重要性を訴えた。
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