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資料2005年01月12日 【税務通達等】 質疑応答事例(財産の評価関係)宅地以外の土地の評価単位等

(宅地以外の土地の評価単位等)
1 土地の評価単位-地目の異なる土地を一団として評価する場合
2 土地の評価単位-市街地農地等
3 市街地農地等の評価単位
4 一団の雑種地の判定
5 借地権の意義
6 区分地上権に準ずる地役権の意義
7 占用権の意義
8 がけ地補正率を適用するがけ地等を有する宅地
9 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(1)
10 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(2)
11 倍率方式によって評価する土地の実際の面積が台帳地積と異なる場合の取扱い
12 固定資産税評価額が付されていない土地の評価
13 私道の用に供されている宅地の評価
14 不特定多数の者の通行の用に供されている私道
15 土地区画整理事業施行中の宅地の評価
16 造成中の宅地の評価
17 一般定期借地権の目的となっている宅地の評価-簡便法(1)
18 一般定期借地権の目的となっている宅地の評価-簡便法(2)
19 区分地上権の目的となっている宅地の評価
20 区分地上権に準ずる地役権の目的となっている宅地の評価
21 貸家が空き家となっている場合の貸家建付地の評価
22 貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲
23 従業員社宅の敷地の評価
24 借地権の及ぶ範囲
25 構築物の賃借人の土地に対する権利の評価
26 農地の評価上の分類
27 市街地農地等を宅地比準方式で評価する場合の形状による条件差
28 農地法の許可を受けないで他人に耕作させている農地の評価
29 市民農園として貸し付けている農地の評価
30 雑種地の賃借権の評価
31 貸駐車場として利用している土地の評価
32 臨時的な使用に係る賃借権の評価
33 一時使用のための借地権の評価
34 公開空地のある宅地の評価

土地の評価単位――地目の異なる土地を一団として評価する場合

【 照会要旨】
 市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域において、市街地農地、市街地山林、市街地原野及び宅地と状況が類似する雑種地のいずれか2以上の地目が隣接している場合で、全体を一団として評価することが合理的と認められる場合とは、具体的にはどのような場合ですか。

【 回答要旨】
 以下の事例①~④のような場合に、農地、山林及び雑種地の全体を一団として評価することが合理的と認められます。なお、事例⑤のような場合はそれぞれを地目の別に評価します。



( 理由)
宅地化が進展している地域のうちに介在する市街地農地等及び宅地と状況が類似する雑種地が隣接しており、その規模、形状、位置関係等から一団の土地として価格形成がなされるものもあります。また、これらの土地は、近隣の宅地の価額の影響を強く受けるため、原則としていわゆる宅地比準方式により評価することとしており、基本的な評価方法はいずれも同一であることから、地目の別に評価する土地の評価単位の例外として、その形状、地積の大小、位置等からみて一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の土地ごとに評価します。

 (事例①)の場合、標準的な宅地規模を考えた場合にはA土地は地積が小さく、形状を考えた場合には、B土地は単独で評価するのではなくA土地と合わせて評価するのが妥当と認められます。また、位置を考えた場合には、C土地は道路に面していない土地となり、単独で評価するのは妥当でないと認められることから、A、B及びC土地全体を一団の土地として評価することが合理的であると認められます。
 (事例②)の場合、山林のみで評価することとすると、形状が間口狭小、奥行長大な土地となり、また、山林部分のみを宅地として利用する場合には、周辺の標準的な宅地と比較した場合に宅地の効用を十分に果たし得ない土地となってしまいます。同様に(事例③)では、各地目の地積が小さいこと、(事例④)では山林部分が道路に面していないことから、やはり宅地の効用を果たすことができない土地となります。これらのような場合には、土地取引の実情からみても隣接の地目を含めて一団の土地を構成しているものとみるのが妥当であることから、全体を一団の土地として評価します。
 また、このように全体を一団の土地として評価するときに、その一団の土地がその地域における標準的な宅地の地積に比して著しく広大となる場合には、財産評価基本通達24-4(広大地の評価)、同40-2(広大な市街地農地等の評価)、同49-2(広大な市街地山林の評価)及び同58-4(広大な市街地原野の評価)を適用します。
 しかし、(事例⑤)のように農地と山林をそれぞれ別としても、その形状、地積の大小、位置等からみても宅地の効用を果たすと認められる場合には、一団としては評価しません。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達7

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

土地の評価単位――市街地農地等

【 照会要旨】
 宅地に比準して評価する市街地農地等及び宅地と状況が類似する雑種地について、一団の土地として評価する場合とは、具体的にはどのような場合をいうのでしょうか。

【 回答要旨】

( 事例1)市街地農地等

 市街地農地、市街地山林及び市街地原野(以下市街地農地等といいます。)の価額は、付近の宅地の価格形成要因の影響を受けるため、宅地比準方式により評価することとしています。
 図のような市街地農地等について、1枚又は1筆ごとに評価することとすると、宅地の効用を果たさない規模や形状で評価することとなり、隣接宅地と同じような規模及び形状であるにもかかわらず、価額が異なることとなるため、利用の単位となっている一団の土地を評価単位とします。
 なお、農地については、市街地農地のほか、市街地周辺農地及び生産緑地についてもそれぞれごとに「利用の単位となっている一団の農地」を判定します。

( 事例2)市街地的形態を形成している地域における宅地と状況が類似する雑種地

 宅地と状況が類似する雑種地は、宅地の価格形成要因の影響を受けるため、宅地比準方式により評価することとしていますが、A、B及びCそれぞれを利用の単位となっている一団ごとに評価した場合に、宅地の効用を果たさない規模や形状で評価することになります。
 このため、それぞれの利用単位となっている雑種地の形状、地積の大小、位置等からみて全体を一団の雑種地として評価することが合理的な場合には、全体を一の評価単位とします。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達7-2

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

市街地農地等の評価単位

【 照会要旨】
 市街地農地及び市街地周辺農地(以下、市街地農地等という。)の評価単位は、「利用の単位となっている一団の農地」とされていますが、この「利用の単位」とは、具体的にはどのように判定するのでしょうか。

【 回答要旨】
 市街地農地等は、利用の単位となっている一団の農地を評価単位とするのですが、具体的には、次のように判定します。
(1)  所有している農地を自ら使用している場合には、耕作の単位にかかわらず、その全体をその利用の単位となっている一団の農地とします。
(2)  所有している農地を自ら使用している場合において、その一部が生産緑地である場合には、生産緑地とそれ以外の部分をそれぞれ利用の単位となっている一団の農地とします。
(3)  所有する農地の一部について、永小作権又は耕作権を設定させ、他の部分を自ら使用している場合には、永小作権又は耕作権が設定されている部分と自ら使用している部分をそれぞれ利用の単位となっている一団の農地とします。
(4)  所有する農地を区分して複数の者に対して永小作権又は耕作権を設定させている場合には、同一人に貸し付けられている部分ごとに利用の単位となっている一団の農地とします。
  なお、市街地山林及び市街地原野の評価単位についても同様の考え方により判定します。

( 理由)
 市街地農地等の価額は、宅地の価額の影響を強く受けることから宅地比準方式により評価することとしており、これとの整合性を図るため、評価の単位についても宅地としての効用を果たす規模での評価を行う必要があります。したがって、市街地農地等については、1枚又は1筆ごとといった評価単位によらず、利用の単位となっている一団の農地を評価単位とすることが相当と考えられます。
 利用の単位とは、一体として利用される範囲を指し、自用の土地であれば、他人の権利による制約がないので、その全体が一体として利用されるものであり、他人の権利が存する土地とは区分されます。したがって、自用の土地は、その全体を利用の単位として評価することとなります。また、他人の権利の存する土地について、貸付先がそれぞれ異なっている場合には、利用についてもそれぞれ異なっているので、同一人に貸し付けられている部分ごとに利用の単位とします。
 なお、生産緑地は農地等として管理しなければならないという制約があることから、市街地農地と隣接しているような場合であっても、それぞれを「利用の単位となっている一団の農地」としています。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達7-2

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

一団の雑種地の判定

【 照会要旨】
 雑種地を評価する場合の「一団の雑種地」はどのように判定するのでしょうか。

【 回答要旨】
 雑種地の価額は、利用の単位となっている一団の雑種地(同一の目的に供されている雑種地)ごとに評価することとしていますが、この場合の「一団の雑種地」の判定は、物理的一体性を有しているか否かで行うことになります。
 したがって、その雑種地が不特定多数の者の通行の用に供される道路、河川等により分離されている場合には、その分離されている部分ごとに一団の雑種地として評価します。
 なお、雑種地でいずれの用にも供されていないものについては、その全体を一団の雑種地として評価します。
 また、市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成している地域において、宅地と状況が類似する雑種地が2以上の利用の単位により隣接しており、その形状、地積の大小、位置関係等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、それらを一団の雑種地として評価します。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達7-2

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

借地権の意義

【 照会要旨】
 構築物の所有を目的とする土地の賃借権は、所得税法や法人税法の借地権に含まれていますが、財産評価基本通達上の借地権には、構築物の所有を目的とする賃借権も含まれるのでしょうか。

【 回答要旨】
 財産評価基本通達上の借地権は、借地借家法第2条に規定する借地権すなわち建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権に限られますことから構築物の所有を目的とする賃借権は含まれません。

( 理由)
 建物の所有を目的とする借地権は、地域的な格差はあるとしても、その権利の内容がおおむね一様であることから、その価額の評価の方法については、自用地としての価額にその地域における一定の借地権割合を乗じて算出するのに対し、構築物の所有を目的とする賃借権については、その構築物の種類が雑多であり、かつ、その構築物の所有を目的とする賃借権の権利の態様も一様ではないことから、建物の所有を目的とする借地権とは区別してその賃借権又は地上権の権利の内容に応じて個別に評価することを目的として、借地権の範囲には構築物の所有を目的とする賃借権又は地上権は含まない取扱いとしています。
 したがって、所得税法や法人税法で規定する借地権とは異なり、構築物の所有を目的とする賃借権は、財産評価基本通達上の借地権には該当しません。
 なお、構築物の所有を目的とする賃借権の価額は、財産評価基本通達87(賃借権の評価)の定めにより評価することになります。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達9、86、87
 所得税法施行令第79条、
 法人税法施行令第137条、第138条、第139条

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

区分地上権に準ずる地役権の意義

【 照会要旨】
 財産評価基本通達上の区分地上権に準ずる地役権とは、どのようなものをいうのでしょうか。

【 回答要旨】
 財産評価基本通達上の区分地上権に準ずる地役権とは、特別高圧架空電線の架設、高圧のガスを通ずる導管の敷設、飛行場の設置、建築物の建築その他の目的のため地下又は空間について上下の範囲を定めて設定された地役権で、建造物の設置を制限するものをいい、登記の有無は問いません。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達9
 地価税法施行令第2条第1項

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

占用権の意義

【 照会要旨】
 財産評価基本通達上の占用権とは、どのようなものをいうのでしょうか。

【 回答要旨】
 財産評価基本通達上の占用権とは、①河川法第24条の規定による河川区域内の土地の占用の許可に基づく権利で、ゴルフ場、自動車練習所、運動場その他の工作物(対価を得て他人の利用に供するもの又は専ら特定の者の用に供するものに限ります。)の設置を目的とするもの、②道路法第32条第1項の規定による道路の占用の許可又は都市公園法第6条第1項の規定による都市公園の占用の許可に基づく経済的利益を生ずる権利で駐車場、建物その他の工作物(対価を得て他人の利用に供するもの又は専ら特定の者の用に供するものに限ります。)の設置を目的とするものをいいます。
 ①の代表的な例として河川敷ゴルフ場、②の代表的な例として地下街が挙げられます。
 なお、占用権の価額は、上記のような施設の完成後評価することとしていますので、占用許可を得ていても施設の建築中である場合には評価しないこととして差し支えありません。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達9
 地価税法施行令第2条第2項

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

がけ地補正率を適用するがけ地等を有する宅地

【 照会要旨】
 がけ地補正率を適用して評価するがけ地等を有する宅地とは、どのような宅地をいうのでしょうか。

【 回答要旨】
 がけ地等を有する宅地とは、平たん部分とがけ地部分等が一体となっている宅地であり、例えば、ヒナ段式に造成された住宅団地に見られるような、擁壁部分(人工擁壁と自然擁壁とを問いません。)を有する宅地です。
 このような宅地のがけ部分等は、採光、通風等による平たん宅地部分への効用増に寄与すると認められるものの通常の用途に供することができないため、全体を通常の用途に供することができる宅地に比し減価があると認められますので、がけ地補正率表によるがけ地補正を行うものです。
 このように、がけ地補正率が適用されるがけ地等を有する宅地とは、平たん部分とがけ地部分等が一体となっている宅地をいい、平たん部分である宅地とそれ以外の部分(山林、雑種地等)を別の評価単位として評価すべき場合はこれに該当しません。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達20-4

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(1)

【 照会要旨】
 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価に当たり、減額割合の計算を行う場合に適用する容積率は、指定容積率と基準容積率とのいずれによるのでしょうか。

【 回答要旨】
 指定容積率と基準容積率とのいずれか小さい方の容積率によります。

( 理由)
 建築基準法は、道路、公園、上下水道等の公共施設と建築物の規模との均衡を図り、その地域全体の環境を守るために、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度を定めており、この割合を「容積率」といいます。
 容積率には、都市計画にあわせて指定されるもの(指定容積率)と建築基準法独自のもの(基準容積率)とがあり、実際に適用される容積率は、これらのうちいずれか小さい方です。財産評価基本通達20-5において適用する容積率もいずれか小さい方であり、この場合の基準容積率は、建築基準法第52条第1項の規定によるものをいいます。
(注)  この取扱いは、減額調整方法としての統一基準を定めたものであることから、減額割合の計算上は、容積率の制限を緩和する特例を定めた建築基準法第52条第6項から第9項に規定する基準容積率(①特定道路との関係による容積率の制限の緩和、②都市計画道路がある場合の特例、③壁面線の指定がある場合の特例、④一定の条件を備えた建築物の場合の特例)は関係ありません。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達20-5

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(2)

【 照会要旨】
 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価をする場合の留意事項は何でしょうか。

【 回答要旨】
 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価についての留意事項は以下のとおりです。

1  1画地の宅地の正面路線に接する部分の容積率が2以上であるが、その正面路線に接する部分の容積率と異なる容積率の部分がない場合には、財産評価基本通達20-5による容積率の格差による減額調整を行いません。

2  その宅地の正面路線に接する部分の容積率が2以上である場合で、その正面路線に接する部分の容積率と異なる容積率の部分がある場合には、異なる容積率の部分との違いによる減額調整を行います。

(注)  この場合の調整計算に当たっては、容積率500%地域は容積率400%地域と一体であるものとして取扱い、容積率400%地域と容積率300%地域との格差の調整計算とします。

3  1画地の宅地が2以上の路線に面する場合において、正面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額について容積率の格差による減額調整を行った価額が、正面路線以外の各路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額のいずれかを下回る場合には、容積率の格差による減額調整を適用せず、正面路線以外の路線の路線価について、それぞれ奥行価格補正率を乗じて計算した価額のうち最も高い価額となる路線を当該画地の正面路線とみなして、財産評価基本通達15(奥行価格補正)から20-4(がけ地等を有する宅地の評価)までの定めにより計算した価額によって評価します。

(1)  正面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額に容積率の格差による減額調整を行った価額
 600,000円×1.00-(600,000円×1.00×0.167)=499,800円
(2)  裏面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額
 500,000円×1.00=500,000円
(3)  (1)<(2)となるので、容積率の格差による減額調整の適用はなく、裏面路線を正面路線とみなして、当該画地の評価額を求めます。
 なお、この場合、宅地の価額は最も高い効用を有する路線から影響を強く受けることから、正面路線とみなされた路線(裏面路線)の路線価の地区区分に応じた補正率を適用することに留意してください。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達20-5

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

倍率方式によって評価する土地の実際の面積が台帳地積と異なる場合の取扱い

【 照会要旨】
 固定資産課税台帳に登録されている地積が実際の面積と異なる土地を倍率方式で評価する場合には、具体的にはどのように計算するのでしょうか。

【 回答要旨】
 土地の価額は、課税時期における実際の面積に基づいて評価します。ところで、固定資産課税台帳に登録されている地積は、原則として、登記簿地積とされていますから、実際の面積と異なる場合があります。このような土地を倍率方式により評価する場合には、土地の実際の面積に対応する固定資産税評価額を仮に求め、その金額に倍率を乗じて計算した価額で評価する必要があります。
 この場合、仮に求める固定資産税評価額は、特に支障のない限り次の算式で計算して差し支えありません。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達8、21

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

固定資産税評価額が付されていない土地の評価

【 照会要旨】
 倍率方式により評価する土地について、課税時期の直前に払下げがあったこと等により固定資産税評価額が付されていない場合には、どのように評価するのでしょうか。
 また、課税時期直前に地目変更等があり現況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合には、どのように評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
 倍率方式により評価する土地について、課税時期において、固定資産税評価額が付されていない場合及び地目の変更等により現況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合には、その土地の現況に応じ、状況が類似する付近の土地の固定資産税評価額を基とし、付近の土地とその土地との位置、形状等の条件差を考慮して、その土地の固定資産税評価額に相当する額を算出し、その額に評価倍率を乗じて評価します。
 ただし、相続税等の申告書の提出期限までに、その土地に新たに固定資産税評価額が付された場合には、その付された価額を基として評価します。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達21

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

私道の用に供されている宅地の評価

【 照会要旨】
(1)  倍率地域にある私道の用に供されている宅地はどのように評価するのでしょうか。
(2)  専用利用している路地状敷地についてはどのように評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
(1)  専ら特定の者の通行の用に供されている宅地(私道)の価額は、その宅地が私道でないものとして評価した価額の30%相当額で評価します。
 この場合、私道の固定資産税評価額が私道であることを考慮して付されている場合には、その宅地が私道でないものとした場合の固定資産税評価額に倍率を乗じて評価した価額の30%相当額で評価します。
 なお、その私道が不特定多数の者の通行の用に供されているときは、その私道の価額は評価しません。

(2)  次の図のAの部分のように、宅地Bへの通路として専用利用している路地状敷地については、私道として評価することはせず、隣接する宅地Bとともに1画地の宅地として評価します。


【 関係法令通達】
 財産評価基本通達24

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

不特定多数の者の通行の用に供されている私道

【 照会要旨】
1  私道が不特定多数の者の通行の用に供されているときは、その私道の価額は評価しないこととなっていますが、具体的にはどのようなものをいうのでしょうか。
2  幅員2メートル程度で通り抜けのできる私道は財産評価基本通達24に定める不特定多数の者の通行の用に供されている私道に該当しますか。

【 回答要旨】
1  「不特定多数の者の通行の用に供されている」例を具体的に挙げると、次のようなものがあります。
イ  公道から公道へ通り抜けできる私道
ロ  行き止まりの私道であるが、その私道を通行して不特定多数の者が地域等の集会所、地域センター及び公園などの公共施設や商店街等に出入りしている場合などにおけるその私道
ハ  私道の一部に公共バスの転回場や停留所が設けられており、不特定多数の者が利用している場合などのその私道
2  不特定多数の者の通行の用に供されている私道とは、上記のようにある程度の公共性が認められるものであることが必要ですが、道路の幅員の大小によって区別するものではありません。

【 関係法令通達】

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

土地区画整理事業施行中の宅地の評価

【 照会要旨】
 土地区画整理事業の施行地区内にある土地について、仮換地の指定を受けています。この場合の土地の価額は、どのように評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
 土地区画整理事業の施行地区内にある宅地について、土地区画整理法第98条(仮換地の指定)の規定に基づき仮換地が指定されている場合には、その宅地の価額は、仮換地の価額に相当する価額によって評価します。
 ただし、その仮換地の造成工事が施行中で、当該工事が完了するまでの期間が1年を超えると見込まれる場合の仮換地の価額に相当する価額は、その仮換地について造成工事が完了したものとして、路線価方式又は倍率方式によって評価した価額の100分の95に相当する価額によって評価します。
 この場合において、換地処分により徴収又は交付されることとなる清算金のうち、課税時期において確実と見込まれるものがあるときには、その金額を評価上考慮して、徴収されるものは仮換地の価額から減算し、交付されるものは加算して評価します。
 なお、仮換地が指定されている場合であっても、次の事項のいずれにも該当するときには、従前の宅地の価額により評価します。
1  仮換地について使用又は収益を開始する日を別に定めるとされているため、当該仮換地について使用又は収益を開始することができないこと
2  仮換地の造成工事が行われていないこと

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達24-2

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

造成中の宅地の評価

【 照会要旨】
 課税時期において、評価する土地が宅地造成工事中である場合には、どのように評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
 造成中の宅地の価額は、その土地の造成工事着手直前の地目により評価した課税時期における価額とその宅地の造成に要した費用現価の80%相当額との合計額によって評価します。
 この場合の費用現価とは、課税時期までに投下した造成費用(例えば、埋立て費、土盛り費、土止め費、地ならし費等)の額を課税時期の価額に引き直した額の合計額をいいます。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達24-3

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

一般定期借地権の目的となっている宅地の評価――簡便法(1)

【 照会要旨】
 個別通達「一般定期借地権の目的となっている宅地の評価に関する取扱いについて」(平成10年8月25日付課評2-8外)に定める底地割合の適用は、財産評価基本通達27-2(定期借地権等の評価)の原則的評価方法と選択できるのでしょうか。

【 回答要旨】
 財産評価基本通達27-2の原則的評価方法と選択はできません。

( 理由)
 個別通達における一般定期借地権の目的となっている宅地の評価方法は、財産評価基本通達27-2の原則的評価に代えて適用することとしたものですが、納税者の便宜を考慮して定めたものであり、評価の安全性にも配慮しているので、いずれか有利な方を選択することはできません。
 例えば、普通借地権割合のE(借地権割合50%)地域にある定期借地権の目的となっている宅地(底地)について、実際の保証金等の割合が2割であっても、その底地については80%をベースとして評価することはできず、65%をベース(底地割合)として評価することになります。
 なお、これは、物納申請を行う場合にも同様です。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達27-2
 平成10年8月25日付課評2-8外「一般定期借地権の目的となっている宅地の評価に関する取扱いについて」

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

一般定期借地権の目的となっている宅地の評価――簡便法(2)

【 照会要旨】
 個別通達「一般定期借地権の目的となっている宅地の評価に関する取扱いについて」(平成10年8月25日付課評2-8外)に定める、「課税上弊害がある」ものとされている親族等の範囲は具体的にはどのような範囲ですか。

【 回答要旨】
「課税上弊害がある」ものとされている親族等の範囲は、具体的には次のとおりです。

通達該当番号 範 囲
(1) 「親族」~民法第725条参照
①  6親等内の血族
②  配偶者
③  3親等内の姻族
(2)
①  借地権設定者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
②  ①の親族でその者と生計を一にしているもの
(3)
①  借地権設定者の使用人
②  使用人以外の者で借地権設定者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの
③  ①又は②の親族でその者と生計を一にしているもの
(4)  借地権設定者が会社役員となっている場合の当該会社。この場合の会社役員とは、次の①又は②の者をいう。
①  法人の取締役、監査役、理事、監事及び清算人
②  ①以外の者で法人の経営に従事している者のうち、次に掲げる者(法令7)
イ  法人の使用人以外の者でその法人の経営に従事しているもの(法基通9-2-1参照)
⇒  相談役、顧問その他これに類する者で、その法人内における地位、職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事している者
⇒  使用人としての職制上の地位のみを有する営業所長、支配人、主任等は含まれない。
ロ  同族会社の使用人のうち、特定株主に該当する場合
(注) 上記法人は、②ロ以外、同族、非同族を問わない。
(5)  借地権設定者、その親族、上記(2)及び(3)に掲げる者並びにこれらの者と特殊の関係にある法人を判定の基礎とした場合に「同族会社」に該当する法人(法令4②)
(6)  上記(4)又は(5)に掲げる法人の役員又は使用人
(7)
①  借地権設定者が、他人とともに借地人となる場合に限り、自己を借地人として借地権を設定する場合
②  借地権設定者が、他にも土地所有者以外の借地権者が存する場合で、後発的に借地権者となった場合(中古定期借地権を取得した場合)

【 関係法令通達】
 平成10年8月25日付課評2-8外「一般定期借地権の目的となっている宅地の評価に関する取扱いについて」

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

区分地上権の目的となっている宅地の評価

【 照会要旨】
 本来地上8階地下2階のビルが建築できるのですが、地下鉄のトンネルの所有を目的とする区分地上権が設定されていることにより、地上5階地下1階の建物しか建築できない土地(自用地価額50億円)があります。このような土地の価額は、どのように評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
 区分地上権の目的となっている宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から財産評価基本通達27-4((区分地上権の評価))の定めにより評価したその区分地上権の価額を控除した金額によって評価します。
 この場合、区分地上権の価額は、その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、その区分地上権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(区分地上権の割合)を乗じて計算した金額によって評価します。
 仮に、この土地の階層別利用率が次の図のようであるとした場合には、次のように評価します。


 なお、地下鉄等のずい道の所有を目的として設定した区分地上権を評価するときにおける区分地上権の割合は、100分の30とすることができます。

(注)  「土地利用制限率」は、土地の利用が防げられる程度に応じて適正に定めた割合であり、公共用地の取得に伴う損失補償基準規則別記2で定められています。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達25(4)、27-4

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

区分地上権に準ずる地役権の目的となっている宅地の評価

【 照会要旨】
 特別高圧架空電線の架設を目的とする地役権が設定されている次の図のような宅地の価額はどのように評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
 地役権が設定されている宅地の価額は、承役地である部分も含め全体を1画地の宅地として評価した価額から、その承役地である部分を1画地として計算した自用地価額を基に、土地利用制限率を基に評価した区分地上権に準ずる地役権の価額を控除して評価します。この場合、区分地上権に準ずる地役権の価額は、その承役地である宅地についての建築制限の内容により、自用地価額に次の割合を乗じた金額によって評価することができます。
(1)  家屋の建築が全くできない場合…………… 50%と承役地に適用される借地権割合とのいずれか高い割合
(2)  家屋の構造、用途等に制限を受ける場合… 30%

 図の場合において、区分地上権に準ずる地役権の割合を30%とすると、次のように評価します。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達25(5)、27-5

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

貸家が空き家となっている場合の貸家建付地の評価

【 照会要旨】
 借家人が立ち退いた後空き家となっている家屋(独立家屋)の敷地についても、貸家建付地として評価することができますか。

【 回答要旨】
 貸家建付地の評価をする宅地は、借家権の目的となっている家屋の敷地の用に供されているものに限られます。したがって、以前は貸家であっても空き家となっている家屋の敷地の用に供されている宅地は、自用地価額で評価します。また、その家屋がもっぱら賃貸用として新築されたものであっても、課税時期において現実に貸し付けられていない家屋の敷地については、自用地としての価額で評価します。

( 理由)
 家屋の借家人は家屋に対する権利を有するほか、その家屋の敷地についても、家屋の賃借権に基づいて、家屋の利用の範囲内で、ある程度支配権を有していると認められ、逆にその範囲において地主は、利用についての受忍義務を負うこととなっています。そこで、貸家の敷地である貸家建付地の価額は、その宅地の自用地としての価額から、その価額にその宅地に係る借地権割合とその貸家に係る借家権割合との相乗積を乗じて計算した価額を控除した価額によって評価することとしています。
 しかし、たとえその家屋がもっぱら賃貸用として建築されたものであっても、課税時期において現実に貸し付けられていない家屋の敷地については、土地に対する制約がなく、したがって、貸家建付地としての減価を考慮する必要がないことから、自用地としての価額で評価します。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達26

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲

【 照会要旨】
 学生専用の賃貸アパートの半分程度の部屋が空室でしたが、この空室部分は、3月上旬まで入居していた学生が卒業のため退去した部分で、新しく入居する学生を募集しており、3月末には全部の部屋が実際に賃貸されています。例年、このような状況の中、たまたま空室が多い時が課税時期となっていますが、この賃貸アパートとその敷地はどのように評価すればよいですか。

【 回答要旨】
 課税時期において、アパートの一部に借家人がいることから、貸家及び貸家建付地として評価します。
 貸家及び貸家建付地の価額は、それぞれ次の算式により評価します。この場合において、賃貸割合は、原則として、課税時期において実際に賃貸されている部分の床面積に基づいて算定しますが、一時的に空室となっている部分の床面積を実際に賃貸されている部分の床面積に加えて算定して差し支えありません。

( 説明)
1  取扱いの概要
 借家権の目的となっている家屋は貸家として、その貸家の敷地の用に供されている宅地は貸家建付地として評価することとなり、それらの価額は、上記の算式により評価します。
 これら算式における「賃貸割合」は、その貸家が構造上区分された数個の部分(各独立部分)からなっている場合において、次の算式により算定します。

 この割合の算定に当たって、継続的に賃貸されてきたもので、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められる各独立部分がある場合には、その各独立部分の床面積を、賃貸されている各独立部分の床面積(B)に加えて賃貸割合を計算して差し支えありません。

2  「継続的に賃貸されてきたもので、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められる」部分の範囲

 アパート等の一部に空室がある場合の一時的な空室部分が、「継続的に賃貸されてきたもので、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められる」部分に該当するかどうかは、その部分が、①各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか、②賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか、③空室の期間、他の用途に供されていないかどうか、④空室の期間が課税時期の前後の例えば1ケ月程度であるなど一時的な期間であったかどうか、⑤課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうかなどの事実関係から総合的に判断します。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達26

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

従業員社宅の敷地の評価

【 照会要旨】
 従業員社宅の敷地の用に供されている宅地の価額については、貸家建付地の価額で評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
 貸家建付地評価をする宅地は、借家権の目的となっている家屋の敷地の用に供されている宅地をいいます。ところで、社宅は、通常社員の福利厚生施設として設けられているものであり、一般の家屋の賃貸借と異なり賃料が極めて低廉であるなどその使用関係は従業員の身分を保有する期間に限られる特殊の契約関係であるとされています。そしてこのことから、社宅については、一般的に借地借家法の適用はないとされています。
 したがって、社宅の敷地の用に供されている宅地については、貸家建付地の評価は行いません。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達26

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

借地権の及ぶ範囲

【 照会要旨】
 郊外にあるレストランやパチンコ店のように、賃借した広い土地を建物の敷地と駐車場用地とに一体として利用している場合には、その土地全体に借地権が及ぶものとして評価してよいのでしょうか。

【 回答要旨】
 借地権の及ぶ範囲については、必ずしも建物敷地に限られるものではなく、一律に借地権の及ぶ範囲を定めることは実情に沿いません。借地権の及ぶ範囲は、借地契約の内容、例えば、権利金や地代の算定根拠、土地利用の制限等に基づいて判定することが合理的であると考えられます。
 なお、建物の敷地と駐車場用地とが、不特定多数の者の通行の用に供されている道路等により物理的に分離されている場合には、それぞれの土地に存する権利を別個に判定することとなります。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達27

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

構築物の賃借人の土地に対する権利の評価

【 照会要旨】
 野球場、ゴルフ練習場、プール等の構築物を賃借している場合には、建物の賃借人がその建物の敷地に対して有する権利と同様に、構築物の敷地に対して有する権利を考慮する必要があるのでしょうか。

【 回答要旨】
 建物の賃貸借については、借地借家法の適用があり、財産評価基本通達では借家人がその借家の敷地である宅地等に有する権利の評価方法を定めています(ただし、その権利が権利金等の名称をもって取引される慣行のない地域にあるものについては、評価しないこととしています。)。
 しかし、構築物の賃貸借については法律上の特別の保護を与えられたものでないこと等から、原則として、構築物の賃借人の構築物の敷地に対する権利は評価しません。
 また、構築物の賃借人の構築物に対する権利についても同様とします。
 なお、貸し付けられている構築物の敷地の価額は、自用地価額で評価します。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達31

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

農地の評価上の分類

【 照会要旨】
 農地を評価する場合には、どのような基準によりどのように分類するのでしょうか。

【 回答要旨】
 農地は、農地法及び都市計画法等との関係によって、次の「評価上の分類」のいずれかに分類して評価します。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達34、36、36-2、36-3、36-4

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

市街地農地等を宅地比準方式で評価する場合の形状による条件差

【 照会要旨】
 市街地農地や市街地周辺農地の価額を付近の宅地の価額を基に、その宅地との位置、形状等の条件の差を考慮して評価する場合に、形状の条件差については、路線価方式における奥行価格補正率等の画地調整率によってよろしいですか。

【 回答要旨】
 路線価地域にある市街地農地や市街地周辺農地を宅地比準方式により評価する場合のその農地と付近の宅地との形状による条件の差については、評価する農地の所在する地区について定められている画地調整率を参考として計算して差し支えありません。また、倍率地域にあるものについては、普通住宅地区の画地調整率を参考とすることができます。市街地山林及び市街地原野の価額を宅地比準方式により評価する場合についても同様です。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達40

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

農地法の許可を受けないで他人に耕作させている農地の評価

【 照会要旨】
 農地法の許可を受けないで、長期間にわたり他人に耕作させていた農地は小作地として評価してよろしいですか。

【 回答要旨】
 農地に賃借権等の権利を設定するためには農地法第3条の定めるところにより都道府県知事(現行原則として農業委員会)の許可を受けなければならないので、いわゆるやみ小作については耕作権を認めることはできません。
 したがって、自用農地として評価します。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達41
 農地法第3条

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

市民農園として貸し付けている農地の評価

【 照会要旨】
 生産緑地地区内の農地を、いわゆる特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律の定めるところにより地方公共団体に市民農園として貸し付けていますが、このような農地はどのように評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
 照会の借地方式による市民農園は、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律に規定する特定農地貸し付けの用に供するためのものであり、農地所有者と農地の借手である地方公共団体との間で行われる賃貸借及び当該地方公共団体と市民農園の借手である住民との間で行われる賃貸借については、農地法第20条に定める賃貸借の解約制限の規定の適用はないものとされています。したがって、当該市民農園の用に供されている農地は耕作権の目的となっている農地には該当しません。このため、当該市民農園は、生産緑地としての利用制限に係る斟酌と賃貸借契約の期間制限に係る斟酌とを行うことになります。
 この場合、賃貸借契約の期間制限に係る斟酌は、原則として、財産評価基本通達87(賃借権の評価)(2)の定めに準じて、賃借権の残存期間に応じ、その賃借権が地上権であるとした場合に適用される法定地上権割合の2分の1に相当する割合とされます。
 ただし、次の要件の全てを満たす市民農園の用に供されている農地については、残存期間が20年以下の法定地上権割合に相当する20%の斟酌をすることとして差し支えありません。

(1)  地方自治法第244条の2の規定により条例で設置される市民農園であること
(2)  土地の賃貸借契約に次の事項が定められ、かつ、相続税及び贈与税の課税時期後において引き続き市民農園として貸し付けられること。
①  貸付期間が20年以上であること
②  正当な理由がない限り貸付けを更新すること
③  農地所有者は、貸付けの期間の中途において正当な事由がない限り土地の返還を求めることはできないこと。

【 関係法令通達】
 特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律
 財産評価基本通達41

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

雑種地の賃借権の評価

【 照会要旨】
 雑種地の賃借権の価額は、どのように評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
 雑種地の賃借権の価額は、原則として、その賃貸借契約の内容、利用の状況等を勘案して評価しますが、次のように評価することができます。

(1)  地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権
 雑種地の自用地価額×法定地上権割合と借地権割合とのいずれか低い割合
(2)  (1)以外の賃借権
 雑種地の自用地価額×法定地上権割合×1/2
(注)1  「地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権」には、例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどが該当します。
2  法定地上権割合とは、その賃借権が地上権であるとした場合に適用される相続税法第23条に定められた割合をいいます。この場合、その契約上の残存期間がその賃借権の目的となっている雑種地の上に存する構築物等の残存耐用年数、過去の契約更新の状況等からみて契約が更新されることが明らかであると認められる場合には、その契約上の残存期間に更新によって延長されると見込まれる期間を加算した期間をもってその貸借権の残存期間とします。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達87
 相続税法第23条

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

貸駐車場として利用している土地の評価

【 照会要旨】
 月極めの駐車場の用に供している土地の価額は、どのように評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
 土地の所有者が、自らその土地を月極め等の貸駐車場として利用している場合には、その土地の自用地としての価額により評価します。
( 理由)
 土地の所有者が貸駐車場を経営することは、その土地で一定の期間、自動車を保管することを引き受けることであり、このような自動車を保管することを目的とする契約は、土地の利用そのものを目的とした賃貸借契約とは本質的に異なる契約関係ですから、この場合の駐車場の利用権は、その契約期間に関係なく、その土地自体に及ぶものではないと考えられるためです。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達86、87

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

臨時的な使用に係る賃借権の評価

【 照会要旨】
 臨時的な使用に係る賃借権や賃貸借期間が1年以下の賃借権の価額については、どのように評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
 臨時的な使用に係る賃借権及び賃貸借期間が1年以下の賃借権(賃借権の利用状況に照らして賃貸借契約の更新が見込まれるものを除く。)については、その経済的価値が極めて小さいものと考えられることから、このような賃借権の価額は評価しません。また、この場合の賃借権の目的となっている雑種地の価額は、自用地価額で評価します。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達86、87

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

一時使用のための借地権の評価

【 照会要旨】
 甲は、建設現場に近接した土地について、工事事務所用の簡易建物の所有を目的とし、契約期間を2年とする土地の賃貸借契約を締結しています。この場合の借地権についても、その借地権の目的となっている土地の自用地としての価額に借地権割合を乗じて計算した金額により評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
 建設現場、博覧会場、一時的興行場等、その性質上一時的な事業に必要とされる臨時的な設備を所有することを目的とするいわゆる一時使用のための借地権については、存続期間及びその更新、建物買取請求、借地条件の変更、増改築などについて、借地借家法の適用がなく、期間の満了とともに消滅することとされており、他の法定更新される借地権に比較しその権利は著しく弱いということがいえます。このような一時使用のための借地権の価額は、通常の借地権の価額と同様にその借地権の所在する地域について定められた借地権割合を自用地価額に乗じて評価することは適当でないので、雑種地の賃借権の評価方法に準じて評価します。

【 関係法令通達】
 財産評価基本通達87
 借地借家法第25条

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

公開空地のある宅地の評価

【 照会要旨】
 いわゆる総合設計制度により容積率の割増しを受け建物を建築する場合には、敷地内に一定の空地を設け、日常一般に公開することが許可の基準となっています。このようないわゆる公開空地として利用されている宅地については、何らかのしんしゃくをして評価するのでしょうか。

【 回答要旨】
 特にしんしゃくしません。
 建築基準法第59条の2のいわゆる総合設計制度により日常一般に公開することになっている空地であっても、建物を建てるために必要な敷地を構成するものであり、建築基準法上建ぺい率や容積率の計算に当たっては、その宅地を含めて算定するものであること等からみて、一般の建物の敷地と何ら異なりません。
 したがって、いわゆる公開空地として利用されていることについては評価上のしんしゃくは行いません。

【 関係法令通達】
 建築基準法第59条の2

注記
 平成16年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

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