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解説記事2005年02月21日 【ニュース特集】 中小企業のための会社法改正のポイント(2005年2月21日号・№103)

会社法制の現代化要綱が決定
中小企業のための会社法改正のポイント


 法制審議会は2月9日、「会社法制の現代化に関する要綱」を法務大臣に答申しました。商法第2編、有限会社法等の各規定をまとめて一つの法典(会社法)としてまとめるもの。3月中旬を目処に商法改正案を国会に提出する予定。平成18年4月1日からの施行を目指すとしています。今回の特集では、会社法制の現代化に関する要綱に盛り込まれた項目のうち、中小企業で使える制度を中心にそのポイントをいくつか紹介します。なお、要綱案の原文については、法務省のホームページ又はT&Amasterの速報NewsWaveにて掲載されています。

最低資本金規制がなくなるのですか?

 現行は、株式会社1,000万円、有限会社は300万円の最低資本金が必要ですが、これが廃止されます。したがって、1円の資本金でも株式会社を設立することが可能です。しかし、資本金の額にかかわらず、純資産額が300万円未満の場合には、剰余金があっても配当することができません。なお、会社法施行後は有限会社を設立することができません(既存の有限会社は存続可能)。
(関連記事:No.79・4頁、No.86・34頁参照)

商号登記規制は廃止されるのですか?

 商号登記に関する現行の商法19条・商業登記法27条による規制(登記された商号について、同一市町村内においては同一の目的(定款記載事項・登記事項である「目的」)のために他の者がこれと同一・類似の商号を登記することができないものとする規制)が廃止されます。これにより、会社の「目的」について包括的な記載が可能となります。
(関連記事:No.101・42頁参照)

要綱案からの変更点は?
 今回公表された会社法制の現代化に関する要綱と昨年の12月8日に会社法(現代化関係)部会がまとめた要綱案からの内容の変更はありません。1点だけ、破産法改正に伴い、取締役の欠格事由について、「破産の宣告を受け復権していない者」を欠格事由から外す点について、要綱では、「破産手続開始の決定を受け復権していない者」と文言が修正されるにとどまっています。

払込金保管証明制度は廃止されるのですか?
 現行では、株主による出資を担保するために、発起人は銀行又は信託会社を払込取扱金融機関として設定し、発起人又は株式申込人は発行価額の全額の払込みを払込取扱金融機関に対してなすこととされています。改正後は、発起設立については、払込金保管証明制度が廃止され、払込があることの証明手段として、残高証明によればよいことになります。一度振込が行われれば、設立登記前でも出資金の引き出しが可能になります。ただし、募集設立は、引き続き、払込金保管証明制度が維持されます。

取締役の数は1名でも可能ですか?

 株式会社では、最低3名の取締役が必要ですが、譲渡制限株式会社は、家族や知人が株主であることも多いため、取締役の員数を1人とする機関設計も可能となります。
(関連記事:No.79・5頁参照)

取締役会を設置してなくてもよいのですか?

 株式会社は、取締役会の設置が義務付けられていますが、譲渡制限株式会社では、株主が限られ、経営者に対するチェックが比較的容易であることから、取締役会の設置は任意となります。また、譲渡制限株式会社の場合は、監査役の設置も任意とすることが可能です。
(関連記事:No.79・5頁参照)

取締役・監査役の任期は何年まで延長できますか?

 株式会社では、取締役の任期は2年、監査役の任期は4年ですが、譲渡制限株式会社は株主構成がほとんど変動せず、取締役会の構成メンバーも長期間固定しているため、取締役・監査役の任期は、定款で最大10年まで延長できます。
(関連記事:No.96・6頁)

会計参与を設置する義務はありますか?
 新しく会計専門家が取締役と共同して計算書類の作成を行うことにより計算書類の信頼性を高める会計参与制度が導入されます。会計参与は、税理士(税理士法人を含む)、公認会計士(監査法人を含む)がなることができ、株主総会で選任することになります。会計参与は任意の制度ですが、取締役会を設置した会社では会計参与を設置することで監査役に代えることができます。
(関連記事:No.70・4頁、No.91・34頁参照)

取締役会の書面決議ができるのですか?

 取締役会決議は、会議の物理的な開催が前提となっていますが、IT関係の技術が普及している状況下では、取締役全員が集まって取締役会を開催することは実益に乏しい面もあります。
 このため、取締役全員が同意し、かつ、業務監査権限を有する監査役が設置されている場合で各監査役が特に意見を述べることがないケースでは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる旨を定款で定めることができます。
(関連記事:No.92・12頁参照)

期中でも自己株式の取得はできますか?

 現在、自己株式を買い受けるには、決議後最初の決算期に関する定時総会の終結の時までに取得する株式の種類、数、取得価額の総額を定時総会で決議する必要があります。 しかし、改正後は臨時総会においても、買い取りに必要な取得総額等の取締役会への授権決議を行うことができます。

相続でも株式移転を制限できるようになるのですか?

 現行では、株式移転について制限できるのは譲渡の場合だけとされており、相続や合併時の地位の包括承継による移転については制限する手段がないのが現状です。
 しかし、改正後は、株式の拡散防止のため、譲渡制限会社においては、定款の定めにより、譲渡以外の事由(相続・合併)による株式移転を会社が承認しないこととすることができます。
(関連記事:No.96・4頁参照)

議決権制限株式の発行総数制限が廃止されるのですか?
 現行では、譲渡制限株式会社では、発行済株式総数の2分の1以下でなければ議決権制限株式を発行することができませんが、今後は、この発行総数制限が廃止されることになります。
 その他、従来は、利益配当や議決権は各株主の株数に応じて配分されることとされていますが、特殊決議(総株主の半数以上、かつ総株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要)により定款で定めれば、議決権や配当について特段の定めを置くことができます。特段の定めとは、例えば、株数に関係なく利益配当を全員同額とするといったことや特定の株主を株数以上の割合で優遇するといったことができるようになります。
(関連記事:No.96・6頁)

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