カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2005年04月04日 【最新判決研究】 任意組合を利用した航空機リースに係る不動産所得の損益通算と禁止措置(2005年4月4日号・№109)

任意組合を利用した航空機リースに係る不動産所得の損益通算と禁止措置

名古屋地裁平成15年(行ウ)第26号~第31号 平成16年10月28日判決

 品川 芳宣
 早稲田大学教授


一、事実

(1)X(原告)は、Xが組合員となっている民法上の組合が行った航空機リース事業による所得を不動産所得に当たるとし、平成9年~12年分所得税につき、当該事業に係る欠損金(リース料収入-減価償却費-支払利息-諸費用)を他の所得と損益通算して確定申告をした。
  これに対し、Y(被告)税務署長は、Xらの締結した組合契約(以下「本件組合契約」という。)は民法上の組合契約ではなく、利益配当契約に当たるから、当該所得は雑所得に当たり他の所得との損益通算はできないとする更正等の課税処分(以下「本件課税処分」という。)をした。Xは、本件課税処分の取消しを求めて、本訴を提起した。
(2)Xは、N会社の個人を対象とした民法上の組合(以下「本件組合」という。)による航空機リース業(以下「本件事業」という。)への参加勧誘に応じたものである。本件事業においては、本件組合が3660万ドル余の航空機を購入して約5年8月間リースし、リース終了時において2575万ドルで売却する場合について、本件組合の出資総額1070万ドル余、借入金総額2616万ドル余、月間リース料35万ドル余、マネージメントフィーが月間リース料の3%等となっている。
  この実例において、本件事業以外の年間課税所得が1億円である者が100万ドル出資した場合には、投資を行う前の所得税及び住民税を合わせた7年間分の合計税額が4億964万円であるのに対し、投資を行った場合のそれは3億6045万円余であり、賃貸事業からの受取現金1億4182万円余を加えると、税引後の受取現金は、前者が2億円余であるのに対し、後者は4億8136万円余であり、1億9100万円余増額となるが、このうち出資金1億1400万円(100万ドル)を控除した7700万円余が本件事業の投資効果となる。
  これらの投資効果は、主として、航空機の減価償却費と支払利息等が前倒しで計上できることと6年後の航空機の売却利益が長期譲渡所得として2分の1の課税の特例を受けることによる。
  
二、争点と当事者の主張

1 争点

 本件における主たる争点は、本件事業による不動産所得(減価償却費等の損失)と他の所得との損益通算の可否にあるが、具体的には、次の各点が問題とされた。
① 課税要件についての事実認定の在り方
② 本件事業の内容と経済的合理性
③ 本件組合契約の法的性質-民法上の組合契約か、利益配当契約か。
④ 本件組合契約が民法上の組合契約と認められたとしても、民法93条ただし書ないし同法94条1項に基づいて無効か。
⑤ 本件組合契約が匿名組合契約と認められたとしても、本件事業に係る所得は雑所得に当たるか。
⑥ 本件組合契約が民法上の組合契約と認められたとしても、本件事業に係る所得は雑所得に当たるか。
 なお、本訴においては、青色申告の承認取消処分の可否も争われているが、本稿では省略する。

2 当事者の主張
(1)争点①について
イ、Yの主張
  所得に対する課税は、司法上の行為によって現実に発生している経済効果に即して行われるものであるから、第一義的には私法の適用を受ける経済取引の存在を前提として行われるが、その意義内容については、契約書の記載等を単に表面的、形式的に判断するのは相当ではなく、契約当事者の真意とその実体に照らした真実の法律関係に立ち入って判断すべきであって、その結果、契約書の記載等の表面に現れた法律関係と異なる課税要件該当事実を認定し、課税が行われるのは当然のことである。
  殊に、契約書の記載等において、契約当事者の真意と異なる記載がされ、契約書等の記載内容と契約内容と契約当事者間における合意の実質が異なる場合(あるいは、租税回避を目的とする場合のように、意図的に、真に意図している経済関係とは異なる法形式を仮装した場合)には、租税負担の公平の見地からも、取引の経済実体を考慮した実質的な合意内容に従って契約等を解釈し、その真に意図している私法上の法律関係を前提として課税要件への当てはめを行うべきであり、かかる解釈・認定は、租税法律主義が要請する法的安定性、予測可能性に何ら反するものではない。
ロ、Xの主張
  課税は、私法上の行為によって現実に発生している経済効果に即してなされるものであり、それらの効果は第一次的には私法によって規律されるから、租税法規が課税要件として私法上におけると同じ概念を用いている場合、租税法律主義の要請たる法的安定性と予測可能性の観点から、特に別意に解すべきことが租税法規の明文又はその趣旨から明らかな場合を除き、当該課税要件の意義は私法上における同一の意義に解釈すべきである。また、当該行為の課税要件への該当性を判断する場合にも、その事実認定は私法上におけるそれと同一でなければならず、当事者が選択した法形式が私法上有効に成立しているにもかかわらず、課税庁が「事実認定」の名の下にこれを否認し、その経済的目的なりに即して他の法形式に引き直して課税することは、明文規定のない租税回避行為の否認を行うものとして許されない。
(2)争点②について
イ、Yの主張
  本件では、民法上の組合の体裁をとることによって、一般組合員が損益通算により他の所得に係る課税額の減少によって利益を得ることができれば、N会社ないしN関連会社は、最小のリスクで大きな利益を得ることができることになる。換言すれば、民法上の組合の体裁を採ることにより、本来他の所得に係る税額として、一般組合員が国に納めるはずであった税額を、N会社ないしN関連会社、一般組合員及び本件各金融機関等が分け合うことによって、税の納付を受けられなかった国を除き、本件各契約の関係者の全てが、大きな利益を得ようとしている。本件組合契約は、民法上の組合の外形を作出することによって、一般組合員に出資総額を大幅に上回る多額の借入金利子費用と巨額の減価償却費を「創出」し、これらを他の所得と損益通算することによって、これに由来する利益をNないしその関連会社などが享受するものであり、我が国の租税歳入を侵食するものである。
ロ、Xの主張
  そもそも、租税法律主義の下においては、租税の賦課・徴収は必ず法律の根拠に基づいて行われなければならず、その定める課税要件事実を充足した場合に限って適法となるものであるから、事業に経済的合理性を要求するYらの前記主張は、本件課税処分を基礎付ける法的根拠となり得るものではない。それにもかかわらず、Yがかかる主張を展開している目的は、裁判所に対し、本件事業が単なる租税回避目的の不合理な事業であるという先入観を植え付け、租税回避目的の行為は否認されても仕方がないという印象を与えようとするものである。
(3)争点③について
イ、Yの主張
  本件組合は、民法上の組合(任意組合)の形式を採っているが、当事者の意図及び実体を考慮すれば、Xらの締結した契約関係は、「共同ノ事業」を営むことを要件とする民法上の組合契約とは認められず、実質的には、N会社の子会社であって本件組合契約に基づいて業務執行を委ねられた本件各業務執行会社との間で締結された利益配当契約と認めるのが相当である。
ロ、Xの主張
  民法667条1項によれば、民法上の組合が成立するためには、2人以上の当事者が、①出資することと、②共同事業を営むことについて合意することが必要であり、かつ、これで足りる、こと等からすれば、本件各組合は、私法上の民法上の組合の成立要件を充足しており、民法上の組合として私法上有効に成立していることは明らかである。
(4)争点④について
イ、Yの主張
  仮に、本件各組合契約が民法上の組合契約と認められたとしても、契約当事者であり、「一般組合員」でもあるXら及び本件各業務執行会社は、真に組合契約を締結する意思(内心的効果意思)を欠くため、同各契約は心裡留保(民法93条ただし書)ないし、通謀虚偽表示(同法94条1項)として無効である。
ロ、Xの主張
  本件においては、心裡留保又は通謀虚偽表示の要件に該当する事実は一切存在せず、Yの前記主張には何らの根拠もない。
(5)争点⑤について
イ、Yの主張
  本件組合契約においては、Xら一般組合員の関心は、専ら本件各事業から得られる利益の分配にあり、同事業に参加する意思などなかったから、本件組合契約は、匿名組合契約とは認められないが、仮に、本件組合契約が匿名組合契約と認められたとしても、所得税基本通達の取扱い、従前の裁判例等に照らし、Xらが得る分配金は雑所得である。
ロ、Xの主張
  Yの主張は、当該営業者の営業の内容に従って所得の性質が定まる旨明文で規定する所得税基本通達36・37共-21第1文本文に反するものであり、通達の意味を没却し、法的安定性及び予測可能性を根底から覆す不当なものである。
(6)争点⑥について
イ、Yの主張
  所得税基本通達36・37共-20に当てはめてみるに、①本件事業は、N会社ないし本件各業務執行会社によって行われ、「一般組合員」は事業に関与せず、②組合財産たる本件各航空機は本件各業務執行会社の単独所有に帰し、「一般組合員」には所有権が認められない上、③「一般組合員」は、本件各ローン契約及び本件各リース契約のいずれについても、実質的に責任を負わないことなどに照らすと、④「一般組合員」の地位は、実質的には出資者・投資家としての地位と変わらず、当該所得の性質そのものに着目して所得区分を判断すべき場合に当たるから、Xらが得る「リース料分配金」は雑所得というべきである。
ロ Xの主張
  所得税法26条の規定に照らし、航空機の貸付けによる所得は不動産所得に当たることは明らかで、これが雑所得であると解する余地はない。

三、判決要旨

請求一部認容。


1 争点①について 
(1)我が国の憲法84条は、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と規定し、他の近代憲法と同様、国民は法律の根拠に基づくことなく租税を賦課されることはないとの租税法律主義の原則を宣明しているが、その重要な機能は、国民に対して経済活動における法的安定性と予測可能性を与えることにあることはいうまでもない。
  その観点からすれば、租税賦課の根拠となるべき法令すなわち租税法は、国法秩序の一部を構成するものであるから、そこで用いられている概念は、基本的には他の国法のそれと整合する意味内容が与えられるべきであり、租税法における目的論的解釈の名の下に、一般法の概念と矛盾・抵触するものであってはならないというべきである。そうすると、租税法は国民の私的経済活動ないし経済現象を課税対象とするものであるが、これらについては、第一次的に私法によって規律されているから、その意味内容も、まず私法によって解釈されなければならない。
(2)ところで、国民が一定の経済的目的を達成しようとする場合、私法上は複数の手段、形式が考えられる場合があるが、私的自治の原則ないし契約自由の原則が存在する以上、当該国民は、どのような法的手段、法的形式を用いるかについて、選択の自由を有するというべきである。このことは、他の法的手段、形式を選択すれば税負担を求められるのに、選択の結果、これを免れる場合であっても基本的には同様というべきである。
  もっとも、特段の合理的理由がないのに、通常は用いられることのない法的手段、形式を選択することによって、所期の経済的効果を達成しつつ、通常用いられる法律行為に対応する課税要件の充足を免れ、税負担を減少させあるいは排除する場合には、租税回避行為としてその有効性が問題となり得るが、前記の租税法律主義の観点からは、このような場合であっても、当該法的手段、形式が私法上は有効であることを前提としつつ、租税法上はこれを有効と扱わず、同一の経済目的を達成するために通常用いられる法的手段、形式に対応する課税要件が充足したものとして扱うためには、これを許容する法律上の根拠を要すると解すべきである。
(3)一般論としては、法律行為の解釈とは当事者の合理的意思の所在を探求するものであるから、通常は用いられることのない契約類型の内容を把握するに当たっては、契約条項を個々的に検討するだけでなく、他の条項と関連づけて検討しなければ、契約全体としての意味を正確に理解することができない場合が稀ではなく、そのような場合には、明示的な文言にもかかわらず、これを制限的に解釈し、あるいは逆に条項と条項の「行間」に明示されていない合意内容を読み込む必要が生ずることもあり得るというべきである。また、契約書等の外形的資料は、それらが唯一絶対的な判断材料というわけではないから、隠された当事者の合意内容がどのようなものであるか(この場合、契約書は処分証書としての性格を有しないことになる。)、あるいは表示行為から推測される効果意思と真の内心的効果意思との異同を明らかにする必要を生ずる場合もあり得るというべきである。以上のような作業は、Yらの主張するとおり、当事者の真意の所在を明らかにするという事実認定の問題であり、これに即して課税要件の充足を検討するものであるから、租税法律主義に反するものでないことは明らかである。
  しかしながら、このことは、動機、意図などの主観的事情によって、通常は用いられることのない契約類型であるか否かを判断することを相当とするものではなく、まして、税負担を伴わないあるいは税負担が軽減されること(本件組合契約がこのような場合に該当するかについては、後に検討するとおりである。)を根拠に、直ちに通常は用いられることのない契約類型と判断した上、税負担を伴うあるいは税負担が重い契約類型こそが当事者の真意であると認定することを許すものでもない。なぜなら、現代社会における合理的経済人にとって、税負担を考慮することなく法的手段、形式を選択することこそ経済原則に反するものであり、何らかの意味で税負担を考慮するのがむしろ通常であると考えられるから、このような検討結果を経て選択した契約類型が真意に反するものと認定されるのであれば、それは事実認定の名の下に、法的根拠のない法律行為の否認を行うのと異ならないとの非難を免れ難いというべきである。
  したがって、選択された契約類型における「当事者の真意の探求」は当該契約類型や契約内容自体に着目し、それが当事者が達成しようとした法的・経済的目的を達成する上で、社会通念上著しく複雑、迂遠なものであって、到底その合理性を肯認できないものであるか否かの客観的な見地から判断した上で、行われるべきものである。

2 争点②について
(1)Yの経済的(不)合理性に関する主張の法律的な意味は必ずしも明確とはいえないが、要するに、本件組合契約は、租税回避の目的でなされた異常な契約類型であり、隠された当事者の合意内容ないし真意を探求すれば、民法上の組合契約としては不成立ないし無効であって、その実体は利益配当契約と認めるべきものであるとの主張と理解できるから、民法上の組合契約としての本件組合契約の不成立ないし無効を基礎付ける間接事実の主張に位置づけるのが相当である。
  そこで、①本件事業は、キャッシュ・フロー・ベースでは、利益を上げることが困難であり、課税上の利益を考慮することによって初めて成立する経済的合理性を欠くものであるか、②本件事業を行うに当たり、民法上の組合契約という法形式は、通常は用いられない契約類型であるかについて検討を加えることとする。
(2)前記認定事実のとおり、「ご案内」には、リース期間満了時における飛行機の売却想定価格として、2950万ドル、2575万ドル、2250万ドル、1900万ドル、1550万ドル、1329万8130ドルの例を挙げて、予想される為替レートの変動による投資効果が試算された表が添付されているところ、これによれば、リース期間満了時における為替相場が1ドル114円であることを前提にすると、売却額が2250万ドルの場合には損益通算を考慮しなければ出資額の約5パーセントの損失が生じること、2575万ドルの場合には同じく約24.4パーセントの利益が生じること、さらに、1550万ドルの場合には同じく約68.5パーセントの損失が生ずるが、その場合でも、出資者に本件事業以外の年間課税所得が1億円あれば、損益相殺により4.8パーセントの経済的利益を得られることが示されている。
  もっとも、この試算結果は、リース期間終了時における航空機の市場、為替相場、本件組合契約以後の出資者の課税所得の多寡によって大きく影響を受けるものであり、一般論としては、損益通算の対象となる他の課税所得が多ければ、出資者に損失が生じる可能性は低くなるが、条件次第では、キャッシュ・フロー・ベースでも高額の利益を得ることが可能であることを示している。
  そうすると、本件事業においては、キャッシュ・フロー・ベースでは、損失が生じる可能性が相当ある一方、高額の利益を得る可能性もあるから、それ自体でも、投資としての経済的合理性が存在することを否定できず、Yの主張するように他の課税所得との損益通算を考慮して初めて成立するものと断定することはできない。
  もっとも、前記のとおり、航空機については、我が国における法定耐用年数が経済的なそれと比較してかなり短期間に定められているため、各年度の償却金額が経済的な資産価値の減少を上回ることが常態となっているが、その差額は、所有者に確定的に帰属するものではなく、最終的な処分時において譲渡所得という形で清算され得ることが明らかである。また、他の所得との損益通算についても、税制のあり方として何ら不当なものとはいえない。
  そうすると、合理的経済人が、減価償却費と損益通算による所得の減少を考慮して、事業計画を策定することは、ごく自然なことと考えられる上、上記のとおり、いったんは課税の対象から外れた経済的利益も、最終的には課税の対象となるものであり、ただ、現実の納税額の総額が減少するのは、前記の所得税法が採っている累進課税制度、長期譲渡所得の優遇措置などを適用した結果にすぎないというべきである。
(3)Xら一般組合員が本件事業に参加した主目的は、リース料や本件各航空機の売却益を持分に応じて取得し、さらに、本件各航空機の減価償却費等の費用を損益通算することによる利益を得ることにあると推認することができるところ、課税上の利益の点を除けば、同様の効果は、Xらが本件各業務執行会社利益を出資の割合に応じて配当する旨の利益配当契約によって達成することが可能と考えられる。また、法形式だけに着目するのであれば、民法上の組合契約の法形式は、利益配当契約と比較して、やや迂遠ないし複雑であるとの印象を受けることは否定できない。
  しかしながら、前記のとおり、一定の経済的目的を達成する上で、複数の法形式が考えられる場合に、税制上のメリットを考慮してその選択を行うこと自体は、何ら異常、不当なことではないというべきである。
  そうすると、本件事業が経済的合理性を欠き、これを達成する上で、民法上の組合契約の法形式は通常は用いられないものであるとは到底いえないから、本件契約の内容を検討するに当たっては、使用された文言に則した文理解釈を中心として行うのが相当である。

3 争点③について
(1)民法667条1項は、組合契約が有効に成立するためには、①2人以上の当事者の存在、②各当事者が出資をすることを合意したこと、③各当事者が共同の事業を営むことについて合意したことの各要件が必要であることを明らかにしている。このうち、本件各組合が①と②の要件を満たしていることは、前記認定のとおり、明らかである。
  ところで、③の合意が認められるためには、隍共同で営む事業の内容(組合の目的)についての合意と、隘その事業を共同で営むことについての合意とを要するところ、隍の事業内容の合意については、前記認定のとおり、本件組合契約によってその存在を認めることができるが、隘「事業を共同で営む」というためには、まず、(i)各当事者が当該組合の事業の遂行に関与し得る権利を持つことが必要というべきであるから、同法673条に基づいて組合の業務や財産状況を検査する権利と、業務執行を1人又は数人の組合員に委任したときに、正当の事由がある場合には同法672条1項に基づいて業務執行組合員を解任する権利を有している必要があると解されるし、次に、(ii)各当事者が事業の成功に何らかの利害関係を有することが必要であるから、例えば、営利事業を目的とする団体が、これによる利益を特定の者だけで配分し、他の者が全くこれに関与しない場合(いわゆる獅子組合)は、共同事業性が否定されるから、民法上の組合としての性格を有しないといわざるを得ない。
  したがって、本件組合契約が民法上の組合契約の性質を有するかは、Xらを含む一般組合員らが上記の検査権及び解任権を有するか否か並びに事業の成功に利害関係を有するか否かに係るというべきところ、Yは共同事業性を否定しているので、この点を判断する。
(2)本件組合契約においては、一般組合員による検査権が排除されているとのYの前記主張は当該契約内容からみて採用の余地がないから、Xら一般組合員は、前記検査権を保有していると認めるのが相当である。
  また、本件契約においては、当該契約内容からみて、Xら一般組合員が本件各業務執行会社の解任権を認めておらず、仮に法的には認めていたとしても、否定している場合と同視すべきである旨のYの主張は採用できない。
(3)以上の検討結果によれば、本件組合契約は、民法上の組合契約の成立要件を充足しており、これとは契約類型の異なる利益配当契約と認めることはできないので、本件組合は、民法上の組合に当たると判断するのが相当である。

4 争点④について
 民法93条ただし書又は同法94条1項に基づいて当該意思表示が無効となるためには、表示上の(表示行為から推測される)効果意思と内心的効果意思が一致しないことを要するところ、前記判断のとおり、民法上の組合契約の成立において必要とされる効果意思は、①共同出資を行うことについての意思と、②共同の事業を営むことについての意思であり、②については、業務執行組合員を選任した場合には、解任権及び検査権を有すること及び共同で行う事業によって当事者が利害関係を有することについての認識・合意で足りると解すべきである。そして、Xらを始めとする本件組合の組合員らが、このような意思を有していると認められることは、既に判示したところである。

5 争点⑤及び⑥について
(1)Yは、本件組合契約は商法上の匿名組合契約(同法535条)とは認められないと主張しつつ、仮にこれが認められても、これによってXらが得る分配金が雑所得に当たると主張する。しかしながら、Xらも、本件組合が上記匿名組合に該当するとの主張を行う意思がないことを表明しており、結局、当事者双方共、本件組合が上記匿名組合の性質を有することを基礎付ける具体的な事実の主張、立証をしないのであるから、これを前提とするYらの上記主張は、そもそも判断の対象とすることができない。
(2)税法上、人格のない社団等は、その構成員等の存在から離れた団体としての性格に着目して法人税の課税客体とされているのに対し、民法上の組合については、法人格を有せず、税法にも特別の規定がないことから、課税客体とされることはない。
  しかして、前記のとおり、民法上の組合においては共同事業性が認められ、組合財産は実質的に組合員の共有に属し、各組合員が業務執行に関与する権限を有し、さらに、利益と損失は原則として各組合員の出資に応じて分配がなされることに照らすと、組合の事業によって得られた所得については、組合員が実質上の帰属主体と考えることができるので、組合存続中はその利益が組合員に分配されたか組合内部に留保されたかを問わず、組合員の個人所得として課税の対象となると解される。そうすると、組合員の上記個人所得の所得区分は、組合の事業内容によって定まることになる。以上は、所得税基本通達36・37共-20も前提としていると考えられる。

四、解説

はじめに

 本件は、民法上の任意組合が行った航空機リース事業につき、同組合に出資した者の不動産所得(欠損)と他の所得との損益通算が認められるか否かが争われた事案である。本件のように、任意組合又は匿名組合を利用し、当該組合が保有する減価償却資産の耐用年数とリース期間の差異等に着目した節税(租税回避)スキームは、課税上あるいは法律上その適否が問題とされるところである。
 このような節税スキームについては、課税上否認されることが多く、当該課税処分が法廷でも適法と認められることが多かった。しかし、当該課税処分の法的根拠については、いろいろと論争のあったところでもある。
 ところで、本判決は、Xらが締結した本件組合契約を利益配当契約に当たると認定した課税処分につき、本件組合契約の適法性を容認して、本件課税処分の一部を取り消したものである。当然、本判決は、納税者、税務官庁の双方から注目されることとなったが、平成17年度税制改正において本件のような節税スキームが法的に封鎖されるという税制改正の引き金になったとも評価されている。
 以下、本件の事実関係に即しながらも、本件のような租税回避否認の法的問題を論じることとする。

1 租税回避行為否認の法的根拠
(1)税法上の課税要件は、各種の私的経済取引を前提にしているものであるが、それらの経済取引は、第一次的には私法の律するところであり、私的自治ないし契約自由の原則が支配する分野である。そのため、当事者が経済的成果を実現しようとする場合に、どのような法形式を用いるかについては選択の道も多い。このような私法上の選択可能性を利用し、経済取引プロパーの見地からは合理的理由がないのに、通常用いられない法形式を選択することによって、意図した経済的成果を実現しながら、通常用いられる法形式に対応する課税要件の充足を免れ、もって税負担を減少させ排除することを、一般に租税回避といわれる(注1)。
  この租税回避行為の内容としては、①その行為自体は私法上有効であること、②その行為自体は仮装等のものではなく法形式と一致する経済的実質を有していること、③異常な法形式が採用されていること、④租税負担の軽減を主たる目的としていること、等が挙げられる(注2)。
(2)また、租税回避行為は、課税要件の充足を回避したり、租税法規が予定していない異常な法形式を用いて税負担の減少を図ろうとするものであるから、課税要件事実の全部又は一部を秘匿しようとする脱税とは異なり、租税法規が予定しているところに従って税負担の減少を図ろうとする節税とも異なるものと解されている。もっとも、節税と租税回避行為との区分は、必ずしも明確ではなく、税務官庁と納税者との紛争の種となっている。
  次に、租税回避行為については、同族会社等に対する個別的否認規定(所法157、法法132、相法64)は存するが、一般的否認規定は存しない。このため、当該個別的否認規定(同族会社等の行為・計算の否認規定)に該当しない場合に、租税回避行為の否認が認められるかどうかは問題視されるところ、租税回避行為そのものを適法視する向きもあり(注3)、下級審の判決も分かれている(注4)が、学説上は消極に解するのが有力である(注5)。
(3)かくして、このような論争を避けることもあってか、最近では、課税庁側は、租税回避行為と目される行為について、仮装行為であるという認定の下に、当該行為計算が否認する場合が多いし、本件も課税処分もその類のようである。
  ところで、元来、仮装行為とは、意図的に真の事実や法律関係を隠ぺいないし秘匿して、みせかけの事実や法律関係を仮装することであって、民法上当事者間では無効とされる通謀虚偽表示(民法94)がその典型的な例である。そして、通謀虚偽表示の内容は、①意思表示が存在していること、②表示から推断される意思(表示上の効果意思)と真意(内心的効果意思)とが異なっていること、③その意思表示を表意者が知っていること、及び④真意と異なる表示をすることについて相手方と通謀していること(仮装的表示をすることについての合意があること)の各要件が必要であって、虚偽表示した理由とは関係ないと解されている(注6)。
  また、虚偽表示は、通常、証書の作成、登記などによって、第三者からみて意思表示たる価値のある外形が作られている場合をいい、その表示に係る表示上の効果意思とその内心的効果意思の異なるものをいう。
  もっとも、例えば、譲渡担保のように、その法律的効果と、これによって達成しようとする経済的目的が異なるとしても、これを虚偽表示とはいわない。
  このような仮装行為が存する場合には、仮装ないし隠ぺいされた事実や法律関係ではなく、真実の事実や法律関係に基づいて課税が行われることになる。このことは、特段の規定をまつまでもなく、課税要件事実がその実質に従って認定されなければならないこと(真実の事実認定)から、当然の論理的帰結であると解されている(注7)。
  本件においては、本件組合契約について、Xらは、民法上の組合契約であると主張するのであるが、Yは、これを利益配当契約であると認定しており、本件組合契約を一種の仮装行為と認定したことが窺える。

2 関連事件との対比
(1)ところで、本件のような減価償却資産のリース期間等と法定耐用年数との開差を利用したり(注8)、そのような利用と組合契約を結合しての経費の繰上等による節税策(租税回避行為)の是非が争われた争訟事件としては、次のようなものがある。
① 札幌市が中小企業助成策として機械を購入してこれを5年間貸与し、当該借主が当該期間中に当該機械の購入価額とその利息相当額を普通使用料及び特別使用料として完納(5年後)したときには当該機械の所有権が借主に移転するという譲渡条件付機械使用許可制度が設けられている場合に、当該制度を利用した会社が当該普通使用料及び当該特別使用料を支払った各事業年度の損金の額に算入したときに、当該機械の借入れは実質的に割賦払約款付売買であるから、当該機械の耐用年数(20年)に対応する減価償却費相当額のみ損金の額に算入できるとされた事例(札幌地裁昭和38年3月28日判決・税資37号327頁、札幌高裁昭和40年6月28日判決・同41号757頁、最高裁昭和43年8月27日第三小法廷判決・同53号313頁)。
② 貸金業を営む審査請求人が、飛行船(法定耐用年数2年)を購入して、これを第三者にリース(賃借期間5年)し、当該飛行船の減価償却費を必要経費に算入し、当該リースに係る賃貸料を総収入金額として不動産所得の金額を計算して申告した場合に、不当な租税回避行為は無制限に許されるべきではなく、本件各取引は実質的には金融取引であり、当該所得は雑所得(損益通算の制限)に当たるとされた事例(平成4年12月9日裁決・裁決事例集44号54頁)。
③ 金属電極の製造、販売等を業とする審査請求会社が、リース会社がメーカーから購入した少額減価償却資産を当該リース会社から取得して、これを当該リース会社に貸し付けて、当該少額減価償却資産の取得価額を一括「雑支出」として損金算入した場合に、この一連の取引は、法形式どおり賃貸借とは認められず、金融取引と認められるから、当該取得価額を貸付金と認定し、当該雑支出の損金算入はできないとされた事例(平成6年4月25日判決・裁決事例集47号288頁)。
④ 土地建物の売買、賃貸等を業とする株式会社(原告、控訴人)が投資会社の勧誘に応じて任意組合に出資し、当該任意組合が組合員らの出資金と銀行からの借入金によって映画フィルムを取得して当該映画フィルムを配給会社に対して賃貸し、当該株式会社が当該任意組合から配分された減価償却費等の損失を損金の額に算入して確定申告した場合に、当該損金算入は認められないとする課税処分が適法と認められた事例(大阪地裁平成10年10月16日判決・税資238号715頁、大阪高裁平成12年1月18日判決・同246号20頁)(注9)。
⑤ 出資者(審査請求人)が民法上の任意組合に出資し、投資商品であるパナマ船籍の船舶の共有持分を購入し、当該組合がケイマン諸島にリミテッド・パートナーシップ(有限責任組合)を作って当該船舶を現物出資し、かつ、当該パートナーシップを通じて裸用船の形態で当該船舶をパナマ共和国の現地法人に賃貸し、当該賃貸事業終了時に当該船舶を売却するとしている場合に、当該出資者が当該任意組合から分配を受けた当該賃貸事業に係る利益・損失を不動産所得として他の所得と損益通算したところ、当該一連の取引は金融取引に当たるとして当該損益通算を否認した課税処分を適法と認めた事例(平成16年3月30日裁決)(注10)。
(2)以上の各事例のうち、①から③は、当該納税者自身が行った減価償却資産のリース取引の性格が問題とされたものであるが、④及び⑤は、納税者が任意組合に出資(参加)し、当該任意組合等が行ったリース契約の性格等が問題となったものであり、本件について特に参考となるものである。
  その中でも、④の事件については、前掲大阪地裁判決は、「本件取引は、その実質において、X会社がエンペリオン(任意組合)を通じ、CPIIによる本件映画の興行に対する融資を行ったものであって、エンペリオンないしその組合員であるX会社は、本件取引により本件映画に関する所有権その他の権利を真実取得したものではなく、本件各契約書上、単にX会社ら組合員の租税負担を回避する目的のもとに、エンペリオンが本件映画の所有権を取得するという形式、文言が用いられたにすぎないものと解するのが相当である。」旨判示し、X会社が本件映画の減価償却費等を損金算入できないと判断している。この判決を読む限りでは、X会社が行った組合契約が仮装行為であるから否認されたものと解されるが、仮装の事実も明確ではなく、その否認の根拠が、必ずしも明らかではない。
  これに対し、前掲大阪高裁判決は、「各事業年度に負担すべき租税を後の事業年度に繰り延べる課税繰延も、租税負担の回避に当たることは明らかであるから、課税繰延も租税回避と同様、法文中に明文規定がない場合でも、事実認定・私法上の法律構成による否認という方法により真実の法律関係に基づき課税が行われることには変わりはない。」と判示し、それを踏まえて、「本件取引のうち本件出資金は、その実質において、控訴人ら組合員がエンペリオンを通じ、CPIIによる本件映画の興行に対する融資を行ったものであって、」と判示し、組合員による映画フィルムの取得を否認している。
  この大阪高裁判決は、租税回避行為については、「法文中に明文規定がない場合」でも否認できることを明言しているが、これは同族会社等の行為計算の否認規定(所法157等)を確認的規定と解することに通じるもので注目される。

3 本件組合契約の性格
(1)本件においても、前述したように、Xは、本件組合契約に基づき、本件組合から配分を受けた本件事業に係る損失(不動産所得)を他の所得と損益通算して確定申告したことに対し、Yは、本件組合契約の実質は利益配当契約に当たるとして、当該損益通算を否認したものである。なお、本件においては、Xは、本件組合契約により、本件事業に係る減価償却費等を早期に計上できるほか、本件組合契約が終了する約6年後に航空機の譲渡利益を長期譲渡所得として2分の1課税を受けられるというメリットがある。
  かくして、本判決は、いわゆる租税回避行為に対しては、「租税法律主義の観点からは、このような場合であっても、当該法的手段、形式が私法上は有効であることを前提としつつ、租税法上はこれを有効と扱わず、同一の経済目的を達成するために通常用いられる法的手段、形式に対応する課税要件が充足したものとして扱うためには、これを許容する法律上の根拠を要すると解すべきである。」と判示し、次いで、契約上の当事者の真意の所在を明らかにするという事実認定の問題に関して、「このことは、動機、意図などの主観的事情によって、通常は用いられることのない契約類型であるか否かを判断することを相当とするものではなく、まして、税負担を伴わないあるいは税負担が軽減されること(<略>)を根拠に、直ちに通常は用いられることのない契約類型と判断した上、税負担を伴うあるいは税負担が重い契約類型こそが当事者の真意であると認定することを許すものでもない。」と判示し、結論として、本件事業が経済的合理性を欠き、これを達成する上で民法上の組合契約の法形式は通常用いられないものとは到底いえないとし、本件組合契約を契約類型の異なる利益配当契約に認めることはできないと判断している。
(2)このように、本判決は、類似の事案につき、前掲の映画フィルム事件に係る大阪地裁判決及び大阪高裁判決とは全く異なった判断をしたものである。この場合、両者の差異については、当該各事案の内容の差異に応じて判断が分かれたものと解する余地もないではないが、むしろ、租税回避行為の否認の法理についての考え方の差異によるものであると解する方が妥当であると考えられる。
  いずれにせよ、租税回避行為の否認については、明示的な法的な根拠が必要であるので、私法上の契約の選択を利用した租税回避行為に対しては、当該選択が仮装であると認定して、当該租税回避行為を否認し得るとするのが租税法解釈の一つの傾向であった。しかしながら、本件のように、組合契約が仮装であると認定する方法には、裁判例が分かれるように自ら限界があることになる。しかも、本判決のような仮装行為でないとする認定方法は、前掲の映画フィルム事件についても、共通的に適用し得ることになる。そうなると、本件のように、任意組合を利用した節税(租税回避行為)方法は、現行の租税法上も常に有効であると言い得ることにもなる。

4 平成17年度税制改正大綱と今後の課題
(1)前述のような法律論を憂慮してのことか、立法当局は、平成17年度税制改正大綱において、次のような立法措置を講じるよう答申している。
  まず、所得税については、次のような措置を講じることとしている。
  「不動産所得を生ずべき事業を行う民法組合等(外国におけるこれに類似するものを含む。)の個人組合員(組合の重要な業務の執行の決定に関与し、契約を締結するための交渉等自らその執行を行う個人組合員を除く。)の当該民法組合等に係る不動産所得の金額の計算上生じた損失については、なかったものとみなす措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成18年分以後の所得税について適用する。」
  また、法人税については、次のような措置を講じることとしている。
  「民法組合、匿名組合等の法人組合員(組合に係る重要な業務の執行の決定に関与し、契約を締結するための交渉等自らその執行を行う法人組合員等を除く。)の組合損失について、次の措置を講ずる。
① 組合債務の責任の限度が実質的に組合資産の価額とされている場合等には、その法人組合員に帰属すべき組合損失のうち当該法人組合員の出資の価額として計算される金額を超える部分の金額は、損金の額に算入しない。
② 組合事業に係る収益を補償する契約が締結されていること等により実質的に組合損失の全額を損金の額に算入しない。
(注)上記の改正は、原則として平成17年4月1日以後に締結される組合契約について適用する。」
(2)このような措置については、具体的な法律の条文を見ないと、どのような効果を発揮するかを明らかにすることができない。しかし、このように、租税回避行為が問題になる都度応急的な措置を講じることは、平成13年度税制改正において企業組織再編に関して行為計算の否認規定を設け(法法132の2等参照)、平成14年度税制改正において連結納税に関して行為計算の否認規定を設けた(法法132の3等参照)こととの延長線上にあるものと評価できる。このことは、前述した同族会社等の行為計算の否認規定が創設的規定であることを立法当局が否認したものとも窺われ、今後租税回避行為が問題にされる都度同様な規定が設けられることによって、租税法の体系がますます複雑化することを示唆している。
  他方、このような租税法の複雑化を回避する方法としては、かつて、国税通則法の制定答申(昭和36年)で指摘されたように(注11)、実質課税の原則の一環として、租税回避行為を課税上否認することができる旨の一般的否認規定を国税通則法に創設する方法も考えられる。このような方法は、最近の租税回避事案をみると、それを企画するタックス・プランニングは、中小企業を中心とする同族会社ではなく、非同族の大企業(外国法人を含む。)や富裕な個人を中心に行われているわけであり、現行の同族会社等の行為計算の否認規定が現実に対応できずに陳腐化していることからも、支持できるものと考えられる。
 ともあれ、本判決は、混迷する租税回避問題に大きな一石を投じたものとして、評価(注目)されよう。

(注1)金子宏「租税法 第9版」(弘文堂)125頁
(注2)武田昌輔「租税回避行為の意義と内容」日税研論集14号3頁参照。
(注3)田中治「第1章租税回避と法」『租税回避行為をめぐる事例研究』(近畿税理士会編)20頁参照。
(注4)否認を認めるものとして、大阪高裁昭和39年9月24日判決(行裁例集15巻9号1716頁)、神戸地裁昭和45年7月7日判決(訟務月報16巻12号1513頁)、東京地裁昭和46年3月30日判決(行裁例集22巻3号399頁)等を、否認を否定するものとして、東京高裁昭和47年4月25日判決(行裁例集23巻4号238頁)、東京高裁昭和50年3月20日判決(訟務月報21巻6号1315頁)、大阪高裁昭和59年6月29日判決(行裁例集35巻6号822頁)等を参照。
(注5)前出(注1)128頁、前出(注2)14頁
(注6)桜井四郎「第6章課税要件事実の認定と実質主義」『実践租税法大系基本法編』(税務研究会)108頁参照
(注7)前出(注1)138頁、前出(注6)110頁等参照。なお、ドイツ租税通則法41条2項は、「虚偽表示その他の仮装的行為は課税についてなんらの意味ももたない。虚偽表示によって他の法律行為が隠ぺいされている場合には、隠ぺいされている法律行為が課税について基準とされている」と定めている。
(注8)リース取引を利用した減価償却費等の繰上げ計上による節税策に対しては、国税庁は、当初、リース取引の経済的実質に応じてこれを売買取引等として取り扱う旨の個別通達(昭和53年直法2-19・直所3-25,昭和63年直法2-7等)を発していたが、このような取扱いには法的根拠が明らかでない旨等の批判もあり、平成10年の税制改正により、現行の法人税法施行令136条の3が設けられた。
(注9)TKC税研情報1999年8月号1頁参照
(注10)週刊税務通信2829号(平成16年7月19日号)3頁参照
(注11)税制調査会「国税通則法の制定に関する答申(税制調査会第二次答申)及びその説明」(昭和36年7月)第二の二参照。

品川芳宣 (しながわよしのぶ)

国税庁審理課課長補佐、東京地裁調査官、税務大学校教育二部長、国税庁資産評価企画官、同徴収課長、同管理課長、高松国税局長などを経て、平成7年筑波大学社会科学系教授。
平成17年早稲田大学教授。
【主要著書】
『課税所得と企業利益』(税務研究会)、『役員給与税務事例集』(商事法務研究会)、『役員報酬の法律と実務』(同)、『附帯税の事例研究』(財経詳報社)、『法人税の判例』(ぎょうせい)、『相続税財産評価の論点』(同)、『重要租税判決の実務研究』(大蔵財務協会)、『役員報酬の税務事例研究』(財経詳報社)、『租税法律主義と税務通達』(ぎょうせい)他多数。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索