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コラム2005年05月23日 【士業の女たち】 第8回 弁護士 菅原万里子さん(2005年5月23日号・№115)

士業の女たち
士業と呼ばれる職に就く女性にインタビューし、女性として働き続けることの苦労や将来の目標を伺った。しかし、その魅力の裏側には、性別を超えたメッセージがあった。

税法の解釈論、あきらめず研究
女性のキャリアと出産「復帰してからが勝負」

家族共同体
第8回 弁護士 菅原万里子さん


知人のエピソードが引き金に
 菅原さんのご両親は、常に、「浪人は許さない」という厳格な教育方針だったという。そんなプレッシャーが「勉強が得意ではなく、女子大志望だった」菅原さんを突き動かし、有名私大の法学部への合格に導いた。「大学入学後も、“司法試験なんて別世界のもの”と思っていました。」と語る菅原さんだが、大学4年生の時のエピソードがきっかけで弁護士を目指すことになる。
 「知人が安易に連帯保証をしてしまい、ほぼ全財産を失ってしまいました。そんな人にアドバイスできる確実な知識・資格がほしいと思いました。」大学院へ進学し、「実務と研究は車の両輪」という教授の教えの下、決意から3年間で司法試験に合格した。

税法との出会い
 菅原さんが所属する大原法律事務所は、税法の問題が絡みそうな案件が発生した場合、税理士と連携して仕事を進めるという方針だ。所属弁護士は、「右山研究グループ」という右山昌一郎先生を中心とする研修会にも積極的に参加している。弁護士の中には「“税務訴訟は、税理士の失敗事例だ”などとして、馬鹿にする意見もあります。でも、私の考えは違います。税法は、“通達でこうだからこう”というだけで、“何故?どうして?”という疑問に対する説明がない、解釈論が未熟な分野。税務訴訟は、税法の解釈論について、唯一国と議論できる貴重な場だと思っています。」
 先般、菅原さんは、ストック・オプション訴訟を数件担当した。もっとも菅原さんが担当した事件は後発であったため、訴訟提起後ほどなく給与所得の逆風が吹いた。
 「この事件を扱って、これほど『所得とは何ぞや』、『租税法律主義とは何ぞや』ということを考えさせられたことはありませんでした。ただ、残念なのはこういった、ごくプリミティブな問題について、正面から議論された文献ってほとんどないですよね。これでいいのかな、と思います。従前、あたかも税法の解釈はお上から与えられたものであるかのように見受けられましたが、今後は税法解釈の権能を国民の手元に取り戻しても良いのではないかと思います…。」

早いとこ産んじゃった方がいい
 菅原さんは、平成13年頃に仕事上の転機を迎え、現在は、買収監査を始め、スキーム作り・契約交渉などM&A絡みの仕事の方が多いという。
 一方、私生活では、平成6年に結婚。1年後には出産も経験している。出産後、3ヶ月で復帰してからは、月曜日から金曜日まで、自宅から1~2分の実家に子供を預ける生活。
 夫婦間の協力体制は、「お互い、助け合いの精神ですね。助けてもらうことの方が多いです。」と力強い。「でも、ご飯だけはどんなに大変でも作ります。あまり得意ではないのですが、これは家族に対する私の誠意だと信じているので…。」
 家族共同体。愛する息子は小学4年生になった。出産するときに抱いた「これでもう仕事ができなくなるのではないか」という不安も今は嘘のようだという。「大切なのは、復帰してからどれだけやるかだから、早いとこ産んじゃった方がいい。」と明るく、快活だ。自分の人生をまっとうしようとする菅原さんには、周りの人間をも幸せにするパワーがある。

活気があり明るい雰囲気の大原法律事務所

PROFILE
菅原万里子
 弁護士
1989年 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
1991年 司法試験合格
1992年 慶應義塾大学大学院法学研究科民事法学修士課程修了(破産法専攻)
    司法研修所入所(第46期司法修習生)
1994年 東京弁護士会に弁護士登録
日弁連や東京弁護士会の委員などに所属

取材を終えて
 知的でまじめな第一印象だが、実際にお話しすると、とても気さくで豪快、サービス精神の旺盛な方。友人との会食やお酒を我慢して、「仕事か家事か」二者択一の生活を続けている。分刻みの「仕事人間」という一面を持ちながら、楽しみは「足つぼマッサージと息子をからかうこと」と人間らしい一面も垣間見える。

DATA REPORT 夫の家事分担

 「家族共同体で、手の空いている方が家事をする。」という菅原さん。食事の仕度は菅原さんの役割だが、どちらでもできる家事は「主人も積極的にやってくれるようになった。」と話す。日本労働研究機構による「専門職(税理士)における女性の就労と生活に関する調査」(2001年9月~10月実施、分析対象者2,271名)によると、1982年当時の調査結果と比較して、どの項目においても夫の家事参加度はかなり上昇しているといえる。しかし、分担の度合いを見ると、どの項目についても分担の割合は1割から2割程度にとどまっており、5割以上分担している夫は少ない。

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