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会計ニュース2002年12月09日 プーリング法は存続する方向も乱用防止規定を設定 取得企業の識別基準の作成も課題

プーリング法は存続する方向も乱用防止規定を設定
取得企業の識別基準の作成も課題


 企業会計審議会の第一部会では、企業結合の会計処理方法について検討を行っており、平成15年春頃に公開草案を公表する予定だが、最大の問題はプーリング法の存否。第一部会では、ワーキンググループを設置して、実務的な論点を検討しているが、プーリング法については存続させる方向。ただし、プーリング法の乱用を防ぐための規定が盛り込まれることになる。

国際的な流れはパーチェス法一本化だが…
 企業結合の会計処理方法には主にパーチェス法とプーリング法の二つの会計処理がある。パーチェス法は、被結合会社の資産と負債を公正価値で評価し、資本との差額をのれんとして計上する方法。プーリング法は、被結合会社の資産、負債及び資本を帳簿価額のまま受け入れる方法である。米国の会計基準では、すでにプーリング法を廃止しており、国際会計基準も同様の方向だ。

経済界はプーリング法を主張
 このように第一部会での最大の論点はプーリング法を存続させるかどうかという点。日本の場合、大企業同士の合併など、取得企業が特定できないケースが多く見られる。このため、経済界を中心としてプーリング法の適用を認めることが求められている。また、学者の中でもプーリング法は理論的に正しいため、残すべきだとの意見がある。米国の場合は、プーリング法を企業が乱用したために廃止になったという経緯がある。
 その一方では、国際的な整合性の観点から、プーリング法を廃止し、パーチェス法に一本化すべきという意見もある。

識別基準を作成すればプーリング法は限定
 ワーキンググループでの議論の結論としては、プーリング法も認めるということで落ち着きそうな状況だが、その条件として、プーリング法乱用を防ぐための規定を設ける方向だ。例えば、国際会計基準(IAS22号)のように「取得」か「持分の結合」を判断する識別基準の作成である。識別基準があれば、実質的にプーリング法の適用はかなり限定されることになる。
 IAS22号では、「持分の結合」に該当する場合とは、<1>結合当時企業の議決権付普通株式の事実上ほとんどすべてが交換又はプールされる、<2>一方の企業の公正価値(例えば株価総額)が他方の企業のそれと大きく異ならない、<3>いずれの企業の株主も、結合後において、結合存続企業体に対し結合前と相対的に同様の議決権及び持分を維持している―の三つの要件を満たし、かつ、結合当時企業が取得企業を識別し得ないことを立証できる場合に限っている。

プーリング法適用企業にはレジェンドも!?
 ただし、仮に日本でプーリング法を認めた場合、国際的には批判を浴びることも予想される。特に海外で資金調達を行う企業にとっては少なくともその影響を受けることになりそうだ。プーリング法を適用した企業は、その財務諸表にいわゆる“レジェンド”が付されることも想定される。


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