資料2005年07月12日 【税務通達等】 定期借地権の賃料の一部又は全部を前払いとして一括して授受した場合における相続税の財産評価及び所得税の経済的利益に係る課税等の取扱いについて(平成17年7月12日)
取引等に係る税務上の取扱い等に関する照会(同業者団体等用) |
定期借地権の賃料の一部又は全部を前払いとして一括して授受した場合における相続税の財産評価及び所得税の経済的利益に係る課税等の取扱いについて |
照会 |
照 会 者 |
| (コクドコウツウショウ) 国土交通省 | ||
| (トチ・ミズシゲンキョク トチセイサクカシジョウキカクシツチョウ) 土地・水資源局土地政策課土地市場企画室長 藤井 健 | |||
照 会 の 内 容 |
| 別紙のとおり | ||
| 別紙のとおり | |||
| 別紙のとおり | |||
⑥ 関係する法令条項等 | 所得税法、相続税法、租税特別措置法、財産評価基本通達 | |||
⑦ 添付書類 |
回答 |
⑧ 回答年月日 | 平成17年7月7日 | ⑨ 回答者 | 国税庁課税部審理室長 |
⑩ 回 答 内 容 | 標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。 ただし、次のことを申し添えます。
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国土企第2号 平成17年6月28日 | ||||
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国土交通省土地・水資源局 | ||||
土地政策課土地市場企画室長 | ||||
藤井 健 |
定期借地権の賃料の一部又は全部を前払いとして一括して授受した場合における相続税の財産評価及び所得税の経済的利益に係る課税等の取扱いについて(照会) |
定期借地権の設定時において、借地権者が借地権設定者に対して、借地に係る契約期間の賃料の一部又は全部を一括前払いの一時金(以下「前払賃料」といいます。)として支払う場合の借地権者及び借地権設定者の所得計算上の取扱いについては、平成17年1月7日付の文書回答「定期借地権の賃料の一部又は全部を前払いとして一括して授受した場合における税務上の取扱いについて」により、一定の書式例に準拠した定期借地権設定契約書により契約し、契約期間にわたって保管している場合で、その取引の実態も当該契約書に沿うものであるときは、当該前払賃料は、借地権者にとっては「前払費用」として、借地権設定者にとっては「前受収益」として取り扱われることが明らかにされました。
ところで、上記の文書回答に示された定期借地権(以下「前払賃料方式による定期借地権」といいます。)が設定された場合に、その後、借地権者が死亡して相続人が当該権利を相続したときの相続税における財産評価の方法などについて若干の疑義が生じております。そこで、前払賃料方式による定期借地権が設定されている場合の相続税の財産評価及び所得税の経済的利益に係る課税等について、下記のとおり取り扱って差し支えないか、お伺い申し上げます。
記
1 | 前払賃料方式による定期借地権が設定されている場合の相続税の取扱い (1) 定期借地権の財産評価及び前払賃料の未経過分相当額の取扱い 相続、贈与又は遺贈(以下「相続等」という。)により取得した前払賃料方式による定期借地権の価額を財産評価基本通達27-2((定期借地権等の評価))のただし書きの定めにより評価する場合には、前払賃料の額を同項の算式に定める「定期借地権等の設定の時における借地権者に帰属する経済的利益」の額に含めて、課税時期(相続開始時)における定期借地権等の価額を評価する。 なお、前払賃料のうち課税時期における未経過分に相当する金額(以下「前払賃料の未経過分相当額」という。)については、定期借地権の評価額に反映されるため、定期借地権と別の相続財産として計上する必要はない。 (理由) | |||||||||||||||
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(2) 定期借地権の目的となっている宅地の評価及び前払賃料の未経過分相当額の取扱い 相続等により取得した前払賃料方式による定期借地権の目的となっている宅地の価額は、財産評価基本通達25((貸宅地の評価))の(2)により、原則として、自用地としての価額から上記(1)により評価した課税時期における定期借地権等の価額を控除した金額によって評価する。 なお、財産評価基本通達25(2)ただし書き及び平成10年8年25日付課評2-8「一般定期借地権の目的となっている宅地の評価に関する取扱いについて」は、前払賃料方式による定期借地権の目的となっている宅地の評価にも適用されることとなる。 また、前払賃料のうち、課税時期における契約期間の残余の期間に充当されるべき金額(前払賃料の未経過分相当額)については、定期借地権の付着した宅地として評価上減額されるため、別の債務として控除することはできない。 (理由) | ||||||||||||||||
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2 | 借地権設定者が受領する前払賃料に係る経済的利益に対する所得税の取扱い | ||||||||
![]() | 個人である借地権設定者が、前払賃料方式による定期借地権の設定に伴い受領する前払賃料については、その経済的利益を毎年の不動産所得に計上しなくて差し支えない。 (理由) 定期借地権の設定に伴って借地権設定者が借地権者から預託を受ける保証金(借地人がその返還請求権を有するものをいい、その名称のいかんを問わない。)の経済的利益については、一定の場合を除き、各年分の不動産所得の計算上、収入金額に算入することとされている。 前払賃料については、借地権設定者は、いまだ役務提供をしていない未経過分(前払賃料の未経過分相当額)を「前受収益」に計上することとなるが、当該一時金は、契約期間にわたる賃料に充てられることによりいずれその全額が不動産所得の収入金額に計上されるものであり、借地契約の継続を前提とする限り返還義務がなく期間満了時には返還を要しないものであるから、当該一時金は上記の取扱いの対象となる保証金には該当せず、その経済的利益に係る所得税の課税は要しないものと考えられる。
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3 | 前払賃料を一括して支払うための資金に係る住宅借入金等特別控除の特例等の適用 | ||||||||
![]() | 前払賃料の支払に充てるための借入金又は父等からの資金贈与については、租税特別措置法第41条に規定する住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例(以下「住宅借入金等特別控除の特例」という。)又は同法第70条の3に規定する特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例若しくは同法70条の3の2に規定する住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税に係る贈与税の特別控除の特例(以下、これらの特例を併せて「住宅取得等資金贈与の特例」という。)の適用はない。 (理由) 前払賃料方式により定期借地権を設定するに際して、前払賃料の支払に充てるための資金を借入金等により調達した場合の住宅借入金等特別控除の特例又は当該資金を父等から贈与により取得した場合の住宅取得等資金贈与の特例の適用の可否が問題となる。 これらの特例は、「土地の上に存する権利の取得に要する資金」に充てるための借入金(住宅借入金等特別控除の特例)又は「土地の上に存する権利の取得のための対価」に充てるための住宅取得等資金の贈与(住宅取得等資金贈与の特例)について適用されることとされている。 しかし、前払賃料として支払われる一時金は、相続税における財産評価に当たっては、借地人に帰属する経済的利益として定期借地権の評価額に反映されるという側面はあるものの、「土地の上に存する権利の取得の対価」には該当しないとして、賃料として支払うことを明確にしたものである。また、そのため、自己の住宅の取得に伴ってその敷地に係る前払賃料を支払う借地権者にとっては、当該一時金は時の経過とともに家事費として費消されるものであって、借地権の取得価額を構成するものではない(将来、借地権を譲渡した場合の取得価額を構成しない。)。 したがって、土地の上に存する権利の取得の対価ということはできないため、これらの特例の適用はないこととなる。 なお、租税特別措置法第41条の4に規定する不動産所得に係る損益通算の特例についても「土地の上に存する権利を取得するために要した負債」について適用されることとされており、当該一時金の支払に充てるための借入金は、上記と同様の考え方により、土地の上に存する権利を取得するために要した負債ということはできないことから、本特例の適用はないこととなる。 |
以上 |
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