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コラム2005年10月10日 【SCOPE】 カネボウ事件を受け監査法人のローテーションを求める声(2005年10月10日号・№133)

自民党・企業会計小委及び商法小委が検討開始
カネボウ事件を受け監査法人のローテーションを求める声

 カネボウの粉飾決算事件を受け、自民党の金融調査会企業会計に関する小委員会・法務部会商法に関する小委員会(委員長:塩崎恭久衆議院議員)では、9月22日から「カネボウ粉飾決算問題及び会計監査人の役割等について」と題して、問題点や今後の対応策などの検討を開始している。9月22日の会議では、監査法人のローテーションの導入を求める声が挙がっており、今後の動向に注目する必要がありそうだ。

平成16年4月から監査人のローテーションは7年
 現在、平成16年4月施行の公認会計士法の改正により、同一の監査人による継続監査は7会計期間とされている。その後、2会計期間のインターバル(監査禁止期間)が設けられており、同一の監査人はこの間、7年継続して監査した会社の監査をすることができない(ただし、①商法特例法監査のうち、資本の額100億円未満かつ最終の貸借対照表の負債の部に計上した合計額が1,000億円未満の株式会社は適用除外、②個人の公認会計士について、周辺地域において公認会計士が不足している等により、交替が著しく困難な状況にある場合には、内閣総理大臣の承認を得て引き続き監査を行うことができる)。
 この継続監査の制限については、同一の公認会計士が長期間にわたり、同一の被監査会社を監査することによる癒着を防止するために設けられた規定だ。米国の企業改革法では、継続監査期間は5年、インターバルは5年とされている。
 このため、公認会計士法の改正議論の際には、継続監査期間やインターバルについて、さまざまな意見が出された。しかし、結局、監査人が被監査会社の実態を把握するには5年では短いなどの理由から現行の規定に落ち着いたという経緯がある。
 なお、この7年ルールについては、遡及して適用することは求められていないため、平成16年4月以降からカウントすることになる。このため、仮に平成16年4月時点で継続監査期間が7年を超えていたとしても、現時点では、公認会計士法上は抵触しないことになる。
 また、日本公認会計士協会では、法改正に先立ち、自主規制として平成14年4月から7年ルールを実施しているが、こちらも遡及適応はなく、平成14年4月から継続監査期間をカウントすることになっている。ただし、日本公認会計士協会の藤沼亜起会長は9月20日、この点について、特に中央青山監査法人、トーマツ監査法人、新日本監査法人、あずさ監査法人の4大監査法人に対して、速やかに7年のローテーションを実施するよう要請する旨を明らかにしている。

5年以内の監査法人のローテーションとの意見が
 前述の規定は、あくまでも監査人についてであり、監査法人のローテーションではない。監査法人のローテーションを実施しているのは、欧米諸国でもイタリアのみとなっており、その他の主要各国では導入されていない。米国の企業改革法においても、監査法人のローテーションについて検討が行われたが、監査の効率性から見て不適当との調査結果を受け、導入を見送っている。
 しかし、同委員会の中では、企業との癒着を防ぐには、監査法人のローテーションが必要との意見が出てきたわけだ。この監査法人自体のローテーションは、自民党の企業統治委員会などが7月28日にまとめた内部統制システム等に関する論点整理でも盛り込まれている事項である(本誌No.126参照)。投資家サイドから見れば、監査法人をローテーションした方がよいとの理由だ。同委員会で行ったヒアリングでは、5年以内で監査法人のローテーションを組むべきとの意見も寄せられている。
監査人のローテーションの期間短縮も
 監査法人のローテーションについては、当然のことながら、反対意見も出されている。監査法人をローテーションにすると、従前の監査によって得られた知識、経験等が喪失し、効果的ではないとするのが反対の理由だ。また、海外で上場している会社などでは、海外で監査契約を締結している監査法人と提携している日本の監査法人との間で監査契約を締結している例がほとんど。このため、監査法人をローテーションすることは困難という現実的な問題も存在する。
 監査法人のローテーションを導入するには、前述の問題点もあり、今後の議論では紆余曲折も予想される。また、その他では、監査人のローテーションについて、現行の7年とされている期間を短縮すべきとの意見も出ている。
 同委員会での意見の集約は行われていないが、同委員会では、カネボウの粉飾決算事件について、引き続き検討していく方針だ。今後は、4大監査法人の理事長などのヒアリングなども行われる予定となっており、今後の動向を見守る必要がありそうだ。

監査人のローテーションの期間短縮も
 監査法人のローテーションについては、当然のことながら、反対意見も出されている。監査法人をローテーションにすると、従前の監査によって得られた知識、経験等が喪失し、効果的ではないとするのが反対の理由だ。また、海外で上場している会社などでは、海外で監査契約を締結している監査法人と提携している日本の監査法人との間で監査契約を締結している例がほとんど。このため、監査法人をローテーションすることは困難という現実的な問題も存在する。
 監査法人のローテーションを導入するには、前述の問題点もあり、今後の議論では紆余曲折も予想される。また、その他では、監査人のローテーションについて、現行の7年とされている期間を短縮すべきとの意見も出ている。
 同委員会での意見の集約は行われていないが、同委員会では、カネボウの粉飾決算事件について、引き続き検討していく方針だ。今後は、4大監査法人の理事長などのヒアリングなども行われる予定となっており、今後の動向を見守る必要がありそうだ。


MEMO
中央青山監査法人は来年度から7年交替を実施
 中央青山監査法人は10月3日、カネボウの関与社員3名が同社の粉飾決算に関与した疑いで起訴されたことを受け、今後の再発防止策を公表している。この再発防止策の一つとして挙げているのが、業務執行期間が7年を超える社員の交替。同監査法人では、平成12年4月以降、業務執行社員の7年交替ルールを法制化に先立って適用していたものの、経過措置として平成12年4月から7年とすることを認めてきた。このため、来年度から原則どおり、7年を超える業務執行期間が7年を超える社員の交替を実施する。
 なお、カネボウの関与社員4名の監査期間は以下のとおりとなっている。
① 平成5年3月期から平成16年3月期(12年)
② 昭和60年4月期から平成14年3月期(17年11月)
③ 平成11年3月期から平成16年3月期(6年)
④ 平成15年3月期から平成16年3月期(2年)

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