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コラム2006年05月01日 【SCOPE】 繰延資産の会計処理の当面の取扱いの概要が明らかに(2006年5月1日号・№161)

ASB、実務対応報告は8月上旬にも正式決定へ
繰延資産の会計処理の当面の取扱いの概要が明らかに

 企業会計基準委員会(ASB)では、現在、実務対応報告となる「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い(案)」を策定中だが、このほど、同実務対応報告の原案が明らかとなった。5月30日の同委員会で公開草案を議決する予定で、遅くとも8月上旬には正式決定する。

新株発行費は自己株式処分費と合わせて株式交付費として整理

 「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い(案)」では、株式交付費(新株の発行又は自己株式の処分に係る費用)、社債発行費、創立費、開業費、開発費に関する取扱いを規定している。会社計算規則では、現行の商法とは異なり、繰延資産については、具体的な定めは置かれていない(会社計算規則106条3項5号)。また、同委員会が国際会計基準審議会(IASB)と進めているコンバージェンスでも新株発行費の会計処理を取り上げることが明らかにされている。このため、同委員会では、新株発行費(株式交付費)を含む繰延資産全般に関する検討を行っている。
 具体的には、例えば、新株発行費については、自己株式の処分に係る費用と合わせて株式交付費とし、原則として、支出時に営業外費用として処理することになる。ただし、企業規模の拡大のためにする資金調達などの財務活動に係る場合は繰延資産に計上する。また、その他の繰延資産については、基本的に現行の取扱いを踏襲している(下表参照)。
 なお、自己株式の処分に係る費用については、旧商法において限定列挙された新株発行費には該当しないため、繰延資産として会計処理することはできないとされてきた。しかし、株式の交付を伴う資金調達に要する費用としての性格は、新株発行費と同じであるため、自己株式の処分に係る費用の会計処理は、新株発行に係る費用の会計処理と整合的に取り扱うこととし、今回、株式交付費の会計処理として整理している。会社法においても、新株の発行と自己株式の処分の手続は募集株式の発行等として同一の手続によることとされている。


実務対応報告公表日以後終了する事業年度から適用

 適用時期については、本実務対応報告公表日以後に終了する事業年度及び中間会計期間に計上した繰延資産からとなる(下図参照)。また、会社法施行日以後、本実務対応報告公表日までに終了した事業年度及び中間会計期間に計上した繰延税金資産については、会社法施行日前に行われてきた会計処理を継続して適用するが、本実務対応報告の適用も認めるとしている。
 会社法施行日前に終了した事業年度の貸借対照表に計上されていた繰延資産の会計処理については、原則として、会社法施行日前に行われてきた会計処理を継続して適用する。ただし、前事業年度末において計上されていた繰延資産の貸借対照表の表示及びその償却額の損益計算書の計上区分については、原則として、本実務対応報告が適用される。
 また、会社法施行日以後に自己株式の処分に係る費用を株式交付費として繰延資産に計上する場合には、前事業年度において自己株式の処分を行っているか否かにかかわらず、会計方針の変更として取り扱うものとする。なお、前事業年度末に計上されていた新株発行費の貸借対照表の表示については、繰延資産に該当する自己株式の処分に係る費用が発生しない限りその償却が終了するまで、新株発行費の科目をもって表示することを妨げないとしている。


MEMO 社債発行差金の取扱いは?
 従来、繰延資産として取り扱われてきた社債発行差金については、国際会計基準と同様に社債額面から直接控除して表示する方向で検討が進められている。これは、会社計算規則6条2項2号において、払込みを受けた金額が債務額と異なる社債については、事業年度の末日においてその時の時価を付すことができることとされたことによるもの。この点については、金融商品会計基準の改正が予定されている(5月30日に公開草案を議決予定)。なお、前事業年度末に計上されていた社債発行差金の貸借対照表の表示については、改正後の金融商品会計基準が適用され、会計基準の変更に伴う会計方針の変更として取り扱われることになる。

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