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コラム2006年08月14日 【SCOPE】 株式交付費等、繰延資産の会計処理が定まる(2006年8月14日号・№175)

SCOPE
ASBJ、9月中間期から適用へ
株式交付費等、繰延資産の会計処理が定まる

 企業会計基準委員会(ASBJ)は8月8日、実務対応報告となる「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」を決定した(8月11日公表)。同実務対応報告は、株式交付費等の繰延資産の会計処理を定めたもの。適用時期については、原則として、本実務対応報告公表日以後に終了する事業年度および中間会計期間に計上した繰延資産からとなるため、3月期決算会社については、9月中間期から適用されることになる(本誌172号11頁参照)。なお、同日には、社債発行差金の取扱いなどを定めた「金融商品に関する会計基準」についても決定されている。

新株発行費は自己株式処分費と合わせて株式交付費として整理

 「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」では、株式交付費(新株の発行または自己株式の処分に係る費用)、社債発行費等(新株予約権発行費を含む)、創立費、開業費、開発費に関する取扱いを規定している。会社計算規則では、現行の商法とは異なり、繰延資産については、具体的な定めは置かれていない(会社計算規則106条3項5号)。
 たとえば、新株発行費については、自己株式の処分に係る費用と合わせて株式交付費とし、原則として、支出時に営業外費用として処理する。ただし、企業規模の拡大のためにする資金調達などの財務活動に係る場合は繰延資産に計上する。この場合、株式交付の時から3年以内のその効果の及ぶ期間にわたり定額法により償却する。また、その他の繰延資産については、現行の取扱いを基本的に踏襲している(右表参照)。
会社法では建設利息は廃止
 なお、自己株式の処分に係る費用については、旧商法において限定列挙された新株発行費には該当しないため、繰延資産として会計処理することはできないとされてきた。しかし、株式の交付を伴う資金調達に要する費用としての性格は、新株発行費と同じであるため、自己株式の処分に係る費用の会計処理は、新株発行に係る費用の会計処理と整合的に取り扱うこととし、今回、株式交付費の会計処理として整理している。会社法においても、新株の発行と自己株式の処分の手続は募集株式の発行等として同一の手続によることとされている。
 また、旧商法で規定されていた建設利息については、会社法では廃止されている。
MEMO
法人税法上の繰延資産は?

 法人税法上の繰延資産とは、「法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。」(法人税法2条24号)とされ、①創業費、②開業費、③試験研究費、④開発費、⑤新株発行費、⑥社債発行費、⑦社債発行差金、⑧製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用等、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものと規定されている(法人税法施行令14条)。このため、従来と同じく会社法上と法人税法上の繰延資産の対象範囲は異なっている。

適用直前事業年度の繰延資産は継続適用

 適用は、本実務対応報告公表日以後終了する事業年度等からとなるが、本実務対応報告の適用直前事業年度の貸借対照表に計上されていた繰延資産の償却に関する会計処理については、従来の会計処理を適用することになる。
 また、適用直前事業年度の貸借対照表に新株発行費が計上されている場合には、新株発行費の償却が終了するまでの、新株発行費の科目をもって表示することができる。ただし、実務対応報告適用後に株式交付費として繰延資産に計上する場合は、新株発行費として繰延資産に計上している額を株式交付費に振り替える。
月数償却に変更した場合は会計方針の変更
 その他の留意点としては、実務対応報告適用初年度において、自己株式の処分に係る費用を株式交付費として繰延資産に計上する場合で適用直前事業年度においても自己株式の処分を行っているときは、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う。また、繰延資産について、年数を基準とした償却方法から月数等を基準とした償却方法に変更した場合は、原則として、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うことになる。
社債発行差金は金融商品会計基準で規定
 なお、従来、繰延資産として取り扱われてきた社債発行差金については、「金融商品に関する会計基準」で規定されることになった。具体的には、支払手形、買掛金、借入金、社債その他の債務は、債務額をもって貸借対照表価額とするが、社債を社債金額よりも低い価額または高い価額で発行した場合など、収入に基づく金額と債務額とが異なる場合には、償却原価法に基づいて算定された価額をもって、貸借対照表価額としなければならないものとしている。



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