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解説記事2007年04月02日 【ニュース特集】 例外処理を廃止する新リース会計基準が決定(2007年4月2日号・№205)

⇒四半期財務諸表での新リース会計基準は平成21年4月から適用
平成21年3月期から強制適用!
例外処理を廃止する新リース会計基準が決定

 企業会計基準委員会(ASBJ)は3月23日、リース取引に関する会計基準および同適用指針を正式決定した(3月30日公表)。所有権移転外ファイナンス・リース取引の例外処理(賃貸借処理)を廃止することが大きな柱。適用時期については、平成20年4月1日開始事業年度から適用されることになるが、企業側の事務負担等に配慮し、四半期財務諸表における新リース会計基準の適用は平成21年4月1日以後開始する事業年度からとすることで最終決着した。

会計システムの改変等の事務負担を考慮
適用延期を求める意見が41件

 企業会計基準委員会では、昨年12月27日に新リース会計基準等の公開草案を公表し、検討を重ねてきた。公開草案からの最大の論点となったのは適用時期である。公開草案では、平成20年4月1日以後開始する事業年度から適用することとしていた。ただし、早期適用は認め、この場合には、中間会計期間には適用しないことを認めていた。
 公開草案に対しては、適用時期に関して、システム変更など、リースの借手、貸手とも全面的な見直しが必要であるため、最低でも1年延期すべきとの意見が38件寄せられたほか、2年延期は2件、3年延期を求める意見が1件寄せられた。また、企業会計基準委員会でも、実務上の負担が重いことから宥恕規定を設けるべきとの意見があった。
 これらの意見を受け、同委員会では、適用時期に関して宥恕規定を検討することにした。適用時期の先送りに関しては、新リース会計基準に合わせた税制の見直しが平成20年4月1日以後のリース契約から適用されるため、困難であった模様だ(なお、新リース会計基準に伴う税制措置の見直しについては、本誌192号、195号、196号を参照)。
新リース会計基準の適用時期(3月期決算法人) 当初の宥恕規定は適用が困難な場合に限定
 企業会計基準委員会では、当初、システムの対応など、事務負担等の軽減を求める意見に配慮し、平成20年4月1日開始事業年度から適用する際、適用が困難な場合であれば、最初の四半期財務諸表(第1四半期から第3四半期)には新リース会計基準を適用しないことを容認する方向で検討を行っていた(本誌203号40頁参照)。
1年ではシステム変更が間に合わず!
 しかし、3月23日の企業会計基準委員会では、新リース会計基準の公表から適用までの期間が約1年しかないため、システム対応等の準備期間が足りないとの理由から四半期財務諸表での適用については、平成21年4月1日以後開始する事業年度から適用することが提案された。
 リース事業会社といった貸手側については、営業管理システム、予算管理システム等の会計システム以外のシステムの改変を伴うほか、データも膨大なものとなり、テスト等の期間も必要になるとしている。また、リースの借手側についても、データが大量になるため、会計システムの改変が必要となることを理由として挙げ、今回の宥恕規定の創設を説明している。
早期適用しない場合は著しい変動があれば注記
 とはいっても、平成20年4月1日開始事業年度からの四半期財務諸表において、新リース会計基準を早期適用することは認めている。
 ただし、早期適用しない場合には、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る残高が前年度末と比較して著しく変動しているときは、当該四半期財務諸表において、改正前のリース会計基準で必要とされていた注記(オペレーティング・リース取引に係る注記を除く)を記載する必要がある。
 なお、第2四半期で別途の取扱いをする金融機関等の場合には、変動の有無に関わらず、改正前の基準で求められている注記を行う必要がある。

リース会計基準のコンバージェンスは完了!
 新リース会計基準の最大のポイントは、所有権移転外ファイナンス・リース取引の例外処理(賃貸借処理)を廃止する点だ。上場企業の99%以上が例外処理を採用しているといわれるが、今後は、オフバランス処理ができなくなる(下図参照)。
 現行のリース会計基準では、リース取引をファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分けたうえで、ファイナンス・リースは、原則として売買取引に係る方法に準じて会計処理を行い、オペレーティング・リースは、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことになっている。しかし、日本の場合、ファイナンス・リースについては例外処理が認められており、ファイナンス・リース取引のうち、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められる以外の取引については、一定の注記を要件に賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことを認めている。この点、米国基準や国際会計基準と取扱いが異っていた。
 ただし、今回の改正により、米国基準や国際会計基準とほぼ同様の取扱いとなり、リース会計基準においては、コンバージェンスが完了したことになる。
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その他の公開草案からの変更点は?

転リース取引の取扱いを新設
 公開草案からの大きな変更点は四半期財務諸表における適用時期だが、その他の主な変更点についてみてみると、まずは、転リース取引の取扱いが新設されている。
 転リースとは、貸手から物件のリースを受け、さらに同一物件を概ね同一の条件で第三者にリースする取引のこと。借手としてのリース取引および貸手としてのリース取引の双方がファイナンス・リース取引に該当する場合、貸借対照表上はリース債権またはリース投資資産とリース債務の双方を計上することになるが、支払利息、売上高、売上原価等は計上せずに、貸手として受け取るリース料総額と借手として支払うリース料総額の差額を手数料収入として各期に配分し、転リース差益等の名称で損益計算書に計上することになる。
 なお、原則として、リース債権またはリース投資資産とリース債務は割引後の金額で計上するが、割引前の金額で計上することができるとしている。割引前の金額で計上する場合には、貸借対照表に含まれる当該リース債権またはリース投資資産とリース債務の金額を注記する必要がある。
一部解約不能のオペレーティング・リース取引の注記の取扱いを追加
 オペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料は、貸借対照表日後1年以内のリース期間に係るものと、1年を越えるリース期間に係るものとに区分して注記することになる。ただし、リース期間の一部分の期間について契約解除をできないこととされているものについては、解約不能のリース取引として取り扱い、その場合には当該リース期間の一部分に係る未経過リース料を注記することとなった。
適用初年度開始前のリース取引の取扱いは?
 新リース会計基準の適用初年度では、多くの企業が通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理から通常の売買取引に係る方法に変更することが予想されるため、この場合の適用初年度の取扱いも規定されている。
 借手側については、原則、リース取引開始日が会計基準変更初年度開始前のリース取引についても、改正後の会計基準等の方法で会計処理し、変更による影響額は特別損益で処理する方法とする。しかし、期首における未経過リース料残高または未経過リース料残高相当額を取得価額とし、期首に取得したものとしてリース資産に計上する方法または一定の注記を条件に引き続き通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を適用する方法を認めている。なお、未経過リース料期末残高相当額を取得価額とした場合の新リース会計基準適用後の残存期間における利息相当額については、その総額をリース期間中の各期に定額で配分することができる。
 一方、貸手側については、原則的な取扱いは借手側と同様だが、例外処理として、①一定の注記を条件に引き続き通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を適用する方法、②リース取引開始日が会計基準適用初年度開始前のリース取引について、会計基準適用初年度の直前事業年度末における固定資産の適正な帳簿価額(減価償却累計額控除後)をリース投資資産の期首の価額として計上する方法を認めている。なお、リース事業会社については、②の例外処理しか認められていないので留意したい点だ。
四半期財務諸表での取扱いを追加
 リース会計基準では、経過措置として適用初年度開始前の所有権移転外ファイナンス・リース取引の取扱いが示されているため、四半期財務諸表におけるリース取引の開示事項が定められることになった。
 具体的には、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を適用するリース取引に係る金額が企業再編等により前年度末と比較して著しく増減している場合に限り、①著しく増加した場合:著しく増加したリース取引に係る未経過リース料期末残高相当額、②著しく減少した場合:著しく減少したリース取引に係る前年度末の未経過リース料期末残高相当額を注記する必要がある。これは、借手側の取扱いだが、貸手側もほぼ同様の注記が求められている。

リース会計基準の中小企業の取扱いは?
 新リース会計基準については、上場会社およびその子会社等については強制適用されることになる。リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース資産やリース期間が1年以内のリース取引については、簡便的に賃貸借処理することを容認し、一定の配慮をみせているものの、問題は中小企業の取扱いだ。リース会計基準の変更による影響が大きいため、会計基準の見直しの検討段階から中小企業への配慮を求める声が多くある。これらの意見を受け、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会の民間4団体は、近日中にも「中小企業の会計に関する指針」の改正案を公表する予定だ。基本的には、従来の取扱いを容認する模様となっている。

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