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解説記事2007年04月02日 【プロからの政務相談(法令等の根拠に基づく即決判断)】 プロからの税務相談(法令等の根拠に基づく即決判断)第194回(2007年4月2日号・№205)

1 寄附金の枠を活用して寄附をした場合
Q
当社では、今回、土地を売却したことに伴って、かなりの譲渡益が生じました。そこで、これを機会に業績の不良の状況にある子会社に寄附をすることは差し支えありませんか。寄附金の枠がありますので、これを用いますが、多少、枠を超えることになります。この場合に、枠の余裕があるからという理由で否認されることはありませんか。外国税額控除に関して枠を利用した事件で否認された事例がありましたが、これは、自ずから異なると考えますが、いかがでしょうか。
A 一般論として、寄附をした場合には、損金算入限度額が定められているので、この限度額を超えたときには、その超える部分の金額は損金の額に算入されない。会社としては、寄附をする場合には、このことを念頭において寄附することになるものと思われる。逆にいえば、寄附金の枠がある場合には、これを活用して寄附をすることもあり得ると思われる。これは別に租税回避行為ではなく当然であると思われる。ただ、枠があるからといってお互いに融通するようなことは適当ではないことになる。たとえば、A社において、当期に枠が100あるからといって、これをB社に寄附を100行って損金の額に算入し、翌年は、逆に、その100を受け入れるというようなことは仮装による損金計上となる。

2 クロス取引による譲渡損失の計上
Q
当社は、今回、株式の値上りによって1,000万円ほどの譲渡益が生じましたが、他の株式で、安定株主として持たされる株式を有しております。この株式は値下りしておりますので、これを譲渡すると800万円程度の損失が生じます。ただ、安定株主ということですので、直ちに買い戻すことにしたいと考えております。この場合のクロス取引をした場合に、このような株式のクロス取引は譲渡はないものとされることはないでしょうか。仮に、クロス取引をした場合に、譲渡なかりしものとするのであれば、たとえば、1月くらい経過したところで買い戻すこととした場合には、どのようになるのでしょうか。

A クロス取引に関して、税法上の取扱いについて、法人税基本通達2-1-23の4(売却及び購入の同時の契約等がある有価証券の取引)がある。すなわち、同一の有価証券が売却の直後に購入された場合において、その売却先から売却をした有価証券の買戻しまたは再購入をする当時の契約があるときは、その売却をした有価証券のうち、その買戻しまたは再購入をした部分は、その売却がなかったものとして取り扱うのである。
 これは、要するに、クロス取引の前に利益があったか、損金があったかの問題を離れて、このようなクロス取引における譲渡損益は生じないものとするのである。この考え方は、税法独自のものというよりは、金融商品会計基準において、有価証券を含む金融資産の消滅の認識の要件として、次の3点を掲げており、いわゆるクロス取引は③の要件を満たさないことを理由に売買として処理しないこととされている(金融商品会計基準第二・二・1、金融商品会計実務指針42・255)。
①譲渡された金融資産に対する譲受人の契約上の権利が譲渡人及びその債権者から法的に保全されていること
②譲受人が譲渡された金融資産の契約上の権利を直接又は間接に通常の方法で享受できること
③譲渡人が譲渡した金融資産を当該金融資産の満期日前に買い戻す権利及び義務を実質的に有していること
 そこで、クロス取引をしないで、当該株式を譲渡し、その後において同一銘柄の株式を取得したという場合には、その損益は実現したものとして認められることになる。
 なお、クロス取引について、現実の取引によって値下り損失を実現している以上、評価損と同視することはできず、仮装ないし不自然な取引ともいえないとした国税不服審判所の裁決がある(平2.4.19裁決、裁決事例集No.39 106頁)。

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