会計ニュース2004年05月17日 のれんの一括償却は原則として認めず(2004年5月17日号・№066) ASB・企業結合に係る特定勘定を中心に検討が進む
のれんの一括償却は原則として認めず
ASB・企業結合に係る特定勘定を中心に検討が進む
企業会計基準委員会(ASB)は5月7日、第56回の委員会を開催した。今回は企業結合専門委員会での企業結合会計基準適用指針案の検討状況、なかでも、企業結合に係る特定勘定に関する規定を中心に報告・討議が行われた。
「認識」は役会議事録でOK
企業結合に係る会計基準では、「取得後短期間で発生することが予測される費用又は損失であって、その発生の可能性が取得の対価の算定に反映されている場合には、負債として認識することができる。」とされている(基準三2(3))。このいわゆる企業結合時のリストラ引当金(2月19日号の13・42頁参照)について事務局案では、「企業結合に係る特定勘定」と仮称した上で、具体的な検討を図っている。
事務局案では、「短期間」は経営計画の策定期間及び当該負債の計上限度期間の観点から「企業結合日後5年」とする方針。また、被取得企業に係る費用又は損失が対象となり、取得企業側の費用又は損失は対象としない方針。これについては、実務上被取得企業側の費用(損失)か、それとも取得企業側の費用(損失)か、は明確でない場合も多いことから、その場合の取扱いについての整理も今後必要となってくる。
なお、「取得の対価の算定に反映されている場合」とは、事務局案では必ずしも契約書に金額が記載される必要はないとする方針。すなわち、契約書で「認識」ができていれば、「測定」については取締役会議事録等でトレースできればOKとなる。
企業結合特定勘定の表示はどうなる?
「企業結合に係る特定勘定」の表示について、事務局案ではB/S上区分掲記した上で、その主な内容及び金額を注記することとしている。ここで問題となるのが、「企業結合に係る特定勘定」の性質。厳密には負債ではないため、負債区分内での表示が可能なのかどうか、連結B/S上「少数株主持分」が負債とは別の区分で表示されていることとのバランス上、問題となると指摘する委員もいる。基準で「負債」と言い切っているだけに悩ましいところといえる。
その他、企業結合日における取得原価の暫定的な会計処理やのれんの会計処理について報告・検討も行われた。前者については、土地・無形資産・繰延税金資産・偶発債務に係る引当金など実務上取得原価の配分額の算定が困難な項目に限られる方針。また、後者については、のれんの一括償却は原則として認めず(42頁参照)、負ののれんも「明らかに割安購入と考えられる場合」を除き一括償却は認めない方針。なお、のれんの償却費と負ののれんの償却額は、企業結合ごとにその発生原因が異なることから、相殺表示は認めないとしている。
ASB・企業結合に係る特定勘定を中心に検討が進む
企業会計基準委員会(ASB)は5月7日、第56回の委員会を開催した。今回は企業結合専門委員会での企業結合会計基準適用指針案の検討状況、なかでも、企業結合に係る特定勘定に関する規定を中心に報告・討議が行われた。
「認識」は役会議事録でOK
企業結合に係る会計基準では、「取得後短期間で発生することが予測される費用又は損失であって、その発生の可能性が取得の対価の算定に反映されている場合には、負債として認識することができる。」とされている(基準三2(3))。このいわゆる企業結合時のリストラ引当金(2月19日号の13・42頁参照)について事務局案では、「企業結合に係る特定勘定」と仮称した上で、具体的な検討を図っている。
事務局案では、「短期間」は経営計画の策定期間及び当該負債の計上限度期間の観点から「企業結合日後5年」とする方針。また、被取得企業に係る費用又は損失が対象となり、取得企業側の費用又は損失は対象としない方針。これについては、実務上被取得企業側の費用(損失)か、それとも取得企業側の費用(損失)か、は明確でない場合も多いことから、その場合の取扱いについての整理も今後必要となってくる。
なお、「取得の対価の算定に反映されている場合」とは、事務局案では必ずしも契約書に金額が記載される必要はないとする方針。すなわち、契約書で「認識」ができていれば、「測定」については取締役会議事録等でトレースできればOKとなる。
企業結合特定勘定の表示はどうなる?
「企業結合に係る特定勘定」の表示について、事務局案ではB/S上区分掲記した上で、その主な内容及び金額を注記することとしている。ここで問題となるのが、「企業結合に係る特定勘定」の性質。厳密には負債ではないため、負債区分内での表示が可能なのかどうか、連結B/S上「少数株主持分」が負債とは別の区分で表示されていることとのバランス上、問題となると指摘する委員もいる。基準で「負債」と言い切っているだけに悩ましいところといえる。
その他、企業結合日における取得原価の暫定的な会計処理やのれんの会計処理について報告・検討も行われた。前者については、土地・無形資産・繰延税金資産・偶発債務に係る引当金など実務上取得原価の配分額の算定が困難な項目に限られる方針。また、後者については、のれんの一括償却は原則として認めず(42頁参照)、負ののれんも「明らかに割安購入と考えられる場合」を除き一括償却は認めない方針。なお、のれんの償却費と負ののれんの償却額は、企業結合ごとにその発生原因が異なることから、相殺表示は認めないとしている。
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