コラム2007年05月21日 【ML耳より情報】 役員退職給与の税務について~損金経理要件が廃止された影響~(2007年5月21日号・№211)
役員退職給与の税務について~損金経理要件が廃止された影響~
損金経理要件が廃止された 平成18年度税制改正で、役員退職給与の損金経理要件が廃止されました。会社法が役員退職給与を、職務執行の対価として認識することに対応したものです。これを受け損金経理の位置付けが変更され、役員退職給与を現物で支給する場合の取扱いも変わりました。また改正の影響により基本通達も変更されました。役員退職給与の税務は改正事項が盛りだくさんです。
改正の影響と通達変更 役員退職給与は、原則として株主総会の決議等による確定事業年度の損金となります。損金経理要件が廃止されましたので、役員退職給与の金額が具体的に確定すれば、未払いでも仮払いでも損金算入が認められます。また、退職金が現実に支払われた場合は、損金経理を要件として支払った日の損金算入が認められます。総会に先立って、会社の内規等に基づいて退職金を支払う慣行に対応した取扱いです。改正により、損金経理は職務執行の対価であることを確認するための要件から、損金算入時期を確定するための要件として位置付けが変更されました。
改正による実務上の影響として、退職金を現物をもって支給した場合のリスクが回避できることになりました。土地を退職金として現物支給し、簿価をもって損金経理をした事案について、簿価と時価との差額について、損金経理要件に欠けるとして否認された判例があります(平成10年6月12日最高二小判)。このようなミスは、今後は生じないことになります。もちろん、不相当に高額な部分の金額等は否認対象となりますので、注意が必要です。
また、分掌変更等の役員退職給与について、これまでは役員給与等がおおむね50%以上減少すれば、みなし退職による退職金の支給が認められていました。改正通達では、50%以上の減少に加え、経営上主要な地位を退くことが支給の要件として求められます。主要な地位を占め続けるにもかかわらず、形式面だけを整えて報酬を引き下げるだけでは、役員退職給与を支給しても否認されます。
さらに、使用人兼務役員が常務取締役など兼務役員に該当しない役員へ昇格した時に支給する退職金について変更がありました。これまで通達では、役員賞与としての取扱いをしていました。通達の改正により、一定の要件を満たせば退職給与と認められることが通達に明示されました。
トリプル課税も 役員退職給与は、一般に金額が多額であり、支給時期や支給対象そして支給形態により課税の取扱いが大きく異なります。もし否認されると、役員給与と認定されて損金不算入になります。そのうえ、不相当に高額な場合以外ですと、受給者も給与所得課税が行われ源泉徴収税額について追徴課税を受けると共に、不納付加算税が課税されトリプル課税になってしまうので注意が必要です。
taxMLグループ 税理士 佐藤増彦
損金経理要件が廃止された 平成18年度税制改正で、役員退職給与の損金経理要件が廃止されました。会社法が役員退職給与を、職務執行の対価として認識することに対応したものです。これを受け損金経理の位置付けが変更され、役員退職給与を現物で支給する場合の取扱いも変わりました。また改正の影響により基本通達も変更されました。役員退職給与の税務は改正事項が盛りだくさんです。
改正の影響と通達変更 役員退職給与は、原則として株主総会の決議等による確定事業年度の損金となります。損金経理要件が廃止されましたので、役員退職給与の金額が具体的に確定すれば、未払いでも仮払いでも損金算入が認められます。また、退職金が現実に支払われた場合は、損金経理を要件として支払った日の損金算入が認められます。総会に先立って、会社の内規等に基づいて退職金を支払う慣行に対応した取扱いです。改正により、損金経理は職務執行の対価であることを確認するための要件から、損金算入時期を確定するための要件として位置付けが変更されました。
改正による実務上の影響として、退職金を現物をもって支給した場合のリスクが回避できることになりました。土地を退職金として現物支給し、簿価をもって損金経理をした事案について、簿価と時価との差額について、損金経理要件に欠けるとして否認された判例があります(平成10年6月12日最高二小判)。このようなミスは、今後は生じないことになります。もちろん、不相当に高額な部分の金額等は否認対象となりますので、注意が必要です。
また、分掌変更等の役員退職給与について、これまでは役員給与等がおおむね50%以上減少すれば、みなし退職による退職金の支給が認められていました。改正通達では、50%以上の減少に加え、経営上主要な地位を退くことが支給の要件として求められます。主要な地位を占め続けるにもかかわらず、形式面だけを整えて報酬を引き下げるだけでは、役員退職給与を支給しても否認されます。
さらに、使用人兼務役員が常務取締役など兼務役員に該当しない役員へ昇格した時に支給する退職金について変更がありました。これまで通達では、役員賞与としての取扱いをしていました。通達の改正により、一定の要件を満たせば退職給与と認められることが通達に明示されました。
トリプル課税も 役員退職給与は、一般に金額が多額であり、支給時期や支給対象そして支給形態により課税の取扱いが大きく異なります。もし否認されると、役員給与と認定されて損金不算入になります。そのうえ、不相当に高額な場合以外ですと、受給者も給与所得課税が行われ源泉徴収税額について追徴課税を受けると共に、不納付加算税が課税されトリプル課税になってしまうので注意が必要です。
taxMLグループ 税理士 佐藤増彦
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