税務ニュース2004年05月24日 帳簿の作成は、税法上の評価より私法上の取引内容を重視(2004年5月24日号・№067) 書簡と外形的行動とを比較することで原告の「意図」導く
帳簿の作成は、税法上の評価より私法上の取引内容を重視
書簡と外形的行動とを比較することで原告の「意図」導く
東京地裁民事三部(藤山雅行裁判長)は2月26日、海外の子会社に対し25億6千万円を送金し、それを特別損失として確定申告を行った原告が、被告(麻布税務署)から受けた法人税の青色申告承認取消処分、更正処分及び重加算税賦課決定処分の取消を求めていた事件に対し、原告の請求を全面的に容認する判決を言い渡した(平成9年(行ウ)第239号)。
「隠蔽又は仮装」に該当するか否か
被告は、原告が行った一連の行為について、「休眠会社を買い取って送金し、業績不振の兄弟会社の子会社を高額で買収させ、損失補填を行った後、当該休眠会社を低額で売却する」租税回避行為であり、帳簿書類にこれを記帳して法人税法基通9-4-1(子会社を整理する場合の損失負担金に関する規定)に合致させ、課税要件の充足を逃れた法人税法127条1項3号に該当する「仮装」行為であると主張していた。
これに対し藤山裁判長は、「帳簿書類は、その記主の私法上の取引内容とその効果を忠実に表すように記載すべきものであり、それ以上に税法上の評価をも考慮した帳簿の作成を求めることは、納税者に対し自己の行う私的な取引行為のすべてに税法的な観点からの考慮を求めるものであって、不当かつ過大な要求といわざるを得ない」と判示。また、本件の帳簿書類については、「青色申告による特典が与えられる前提としての帳簿の整備と正確な記録を行うことについて何ら欠ける点はない」と言い切っている。
原告の「意図」認められない
また、被告は、「当該子会社をスウェーデン税法上コントリビュージョン制度(親子会社間の損益通算制度)を利用するためのダミー法人として利用し、最終的には子会社とした同社の行為を原告自身の行為として、同社の負担したとする損失25億6千万円を自らの損失としようとしたものである」と主張しているのに対し、原告側は、「送金した15億6千万円は、スウェーデン商法上の強制解散の適用を避けるために行ったキャピタルインジェクションによる資金注入であり、それなりの責務を負わせて会社の運営を行っていた」と主張していた。
藤山裁判長は、原告の本件損失負担金のうち15億円については、スウェーデン会社法上の強制解散制度による強制解散を避けるため、資本を充実させることを目的に支出したもの、残りの10億6千万円については、寄付金に該当すると判断。
各取引における原告の意図については、書簡と原告の外形的な行動とを比較検討した上で、本件損失負担金の支出が当初から意図されていたものとは認められないと判断した。
書簡と外形的行動とを比較することで原告の「意図」導く
東京地裁民事三部(藤山雅行裁判長)は2月26日、海外の子会社に対し25億6千万円を送金し、それを特別損失として確定申告を行った原告が、被告(麻布税務署)から受けた法人税の青色申告承認取消処分、更正処分及び重加算税賦課決定処分の取消を求めていた事件に対し、原告の請求を全面的に容認する判決を言い渡した(平成9年(行ウ)第239号)。
「隠蔽又は仮装」に該当するか否か
被告は、原告が行った一連の行為について、「休眠会社を買い取って送金し、業績不振の兄弟会社の子会社を高額で買収させ、損失補填を行った後、当該休眠会社を低額で売却する」租税回避行為であり、帳簿書類にこれを記帳して法人税法基通9-4-1(子会社を整理する場合の損失負担金に関する規定)に合致させ、課税要件の充足を逃れた法人税法127条1項3号に該当する「仮装」行為であると主張していた。
これに対し藤山裁判長は、「帳簿書類は、その記主の私法上の取引内容とその効果を忠実に表すように記載すべきものであり、それ以上に税法上の評価をも考慮した帳簿の作成を求めることは、納税者に対し自己の行う私的な取引行為のすべてに税法的な観点からの考慮を求めるものであって、不当かつ過大な要求といわざるを得ない」と判示。また、本件の帳簿書類については、「青色申告による特典が与えられる前提としての帳簿の整備と正確な記録を行うことについて何ら欠ける点はない」と言い切っている。
原告の「意図」認められない
また、被告は、「当該子会社をスウェーデン税法上コントリビュージョン制度(親子会社間の損益通算制度)を利用するためのダミー法人として利用し、最終的には子会社とした同社の行為を原告自身の行為として、同社の負担したとする損失25億6千万円を自らの損失としようとしたものである」と主張しているのに対し、原告側は、「送金した15億6千万円は、スウェーデン商法上の強制解散の適用を避けるために行ったキャピタルインジェクションによる資金注入であり、それなりの責務を負わせて会社の運営を行っていた」と主張していた。
藤山裁判長は、原告の本件損失負担金のうち15億円については、スウェーデン会社法上の強制解散制度による強制解散を避けるため、資本を充実させることを目的に支出したもの、残りの10億6千万円については、寄付金に該当すると判断。
各取引における原告の意図については、書簡と原告の外形的な行動とを比較検討した上で、本件損失負担金の支出が当初から意図されていたものとは認められないと判断した。
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