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コラム2007年11月19日 【SCOPE】 公益通報者保護制度の確立に向けた見直しへ(2007年11月19日号・№235)

内閣府、平成20年2月に報告書をまとめる
公益通報者保護制度の確立に向けた見直しへ

 依然として、企業不祥事が内部告発により発覚する事件が相次いでいるが、内閣府は、「民間企業における公益通報者保護制度その他法令遵守制度の整備推進に関する研究会」を設置し、公益通報者保護法の見直しに着手している。同法は平成18年4月1日から施行されているが、中小企業における普及が不十分であるとともに、内部通報制度の導入が進んでいる大企業においても多くの課題が指摘されていることなどを受けたもの。
 同研究会では、①公益通報者保護制度の整備その他法令遵守制度の確立、②CSR推進のなかでの公益通報者保護制度のあり方、③中小企業への普及などを検討課題として挙げ、平成20年2月頃に報告書をまとめる予定だ。

公益通報者保護法の適用実態は?  公益通報者保護法とは、労働者などが公益のために通報したことを理由として、解雇等の不利益な取扱いを受けることがないようにするもの。平成18年4月1日から施行されているが、適用後の運用状況を見るうえで、内閣府では、民間事業者を対象にアンケート調査結果をまとめ、「民間事業者における通報処理制度の実態調査報告書」として10月10日に公表している(民間事業者のうち、民間企業は17,202社を対象とし、3,141社から回答を得ている)。
上場企業でも2割が内部通報制度を導入せず  アンケート調査結果では、内部通報制度の導入状況について、全体の約4割がすでに導入しているものの、「現在検討中」と「導入する予定なし」を合わせると、導入していない企業は過半数を占めている(参照)。
 非上場企業の場合については、30.4%にすぎなかった。一方、上場企業では、79.1%にのぼるものの、約2割は導入していない実態が浮き彫りになっている。中小企業への導入と合わせ、大企業への周知徹底も研究会での今後の課題といえそうだ。
非上場会社の場合は総務部門に設置  内部通報窓口の設置部門については、「総務部門」(34.3%)、「法務・コンプライアンス部門」(28.1%)、「人事部門」(13.4%)、「監査部門」(9.8%)の順になっている。上場企業についていえば、「法務・コンプライアンス部門」(39.0%)、非上場企業の場合は「総務部門」(42.5%)が最も多かった。
 また、外部通報窓口の設置場所については、39.6%の企業が「社外には設置していない」と回答。具体的な設置場所としては、「法律事務所(顧問弁護士)に委託」(26.5%)が最も多かった。上場会社については同様の結果となっているが、非上場企業の場合は「親会社や関連会社に設置」(27.8%)が最も多くなっており、法律事務所に委託するケースは21.8%となっている。
 なお、内閣府が公表している公益通報者保護法に関する民間事業者向けガイドラインでは、中小企業の場合、数社が共同して法律事務所等に委託することも可能であるとの取扱いを示している。
通報者の限定なしは14.4%  内部通報制度で対象としている通報者の範囲については、「正社員」(83.2%)、「契約社員・パート・アルバイト」(75.3%)、「派遣社員」(62.9%)の順に多く、取締役、グループ企業の役員などの回答も多い。
 しかし、「取引先の職員」(14.3%)、「退職者」(12.6%)、「取引先の役員」(9.2%)については少なかった。なお、「限定していない」と回答した企業は14.4%であった。
施行から1年以上経過で運用面の課題も  公益通報者保護法については、施行から1年以上経過しているが、運用面での課題も見えてきている。アンケート調査結果では、上場企業の場合、「制度の周知が進まない」(24.4%)、「不満や悩みの窓口になっている」(24.0%)、「本当に保護されるのか、職員に不信感がある」(18.3%)、「社内風土から通報への心理的な圧迫感がある」(17.9%)などの回答が見られる。

研究会での検討状況は?

人員不足やコストが問題
 研究会では、中小企業等において内部通報制度の導入が進んでいないことの理由について、人員の不足や内部通報制度の導入必要性の意識が大企業ほど高くないことが挙げられている。また、外部通報窓口を弁護士に依頼するなどした場合にはコストが生じる点なども理由になるとしている。
CSRが進んでも内部通報で問題発覚  また、企業内にCSRやリスクマネジメントの専門部署が設置されることも多くなったが、これまでと同じく内部通報という形で問題が発覚するケースがあるとの指摘がある。研究会では、業務のアウトソーシングが進み、派遣社員の増加や事業のグループ会社化といった会社の環境の変化も大きな要因の1つではないかと分析しているが、今後、リスク管理と公益通報者保護制度との関係を整理していくことになりそうだ。
 その他、会社法における内部統制システムなどとの関係についても整理する予定だ。

内閣府ではガイドラインを公表  内閣府では、民間事業者向けに公益通報者保護法に関するガイドラインを平成17年7月に策定している。ガイドラインでは、通報窓口の設置や内部規程の整備を求めるとともに、通報の仕方など、労働者等からの法令違反等に関する通報を事業者内で適切に処理するための指針を示している。また、個人情報の保護、解雇や不利益取扱い(懲戒処分、降格、減給等)の禁止などを明記している。

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