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コラム2007年12月03日 【SCOPE】 民主党の消費税全額年金財源化の実像を検証する(2007年12月3日号・№237)

消費税“相当分”の解釈でマニフェストに齟齬?
民主党の消費税全額年金財源化の実像を検証する

 民主党の「政権公約マニフェスト」では、消費税の全額年金財源化(充当)および消費税率の据置きが明記されている。しかし、現行の消費税(5%)には、地方交付税分(1.18%)、地方消費税分(1%)が含まれており、全額年金財源化した場合は財源確保が問題となる。また、平成19年度予算額では、消費税収のうち6.1兆円が、すでに老人医療、介護の財源とされており、財源カットにつながる。こうした問題について民主党は、消費税収全額ではなく、“相当分”を年金財源に充てると説明しており、「マニフェスト」の記述と齟齬が生じる可能性もありそうだ。

マニフェストでは「消費税は全額年金財源に充当」と明記  民主党の消費税に対する考え方を整理するため、まず同党のマニフェストを確認する。そこでは、「3つの約束」の1つとして、「税金のムダづかいを徹底的になくし、消費税率は現行のままに抑えて、その全額を年金の財源に充てます。それにより、現行の給付水準を確保します」と明記し、消費税全額の年金財源化を国民に対して約束している。
 また、「マニフェスト政策各論」における「1.年金を抜本改革 ――消えた年金も補償」においても、「④消費税は全額年金財源(基礎部分)に充当します」と説明している。つまり、民主党マニフェストでは、消費税収の全額の年金財源化が謳われているわけだが、そこで疑問が生じることになる。
 その疑問とは、現行の消費税(5%)のうちには、地方消費税分(1%)および地方交付税分(1.18%)が含まれているということだ。消費税全額を年金財源とした場合、この地方消費税、地方交付税分の財源がなくなることから、新たな財源措置が必要になると考えられる。
 さらに、平成19年度(当初予算額)における消費税の「福祉目的化」の状況では、消費税収について基礎年金分6.6兆円、老人医療分4.2兆円、介護分1.9兆円が経費として計上されている(図表1参照)。民主党が主張するように消費税収の全額を年金財源とした場合、老人医療分、介護分の財源が、年金財源に充当されることになり、老人医療、介護分の財源カットに対する手当をどのように図るのかが問題となる。

行政のムダの排除と消費税収の関係  一方、民主党マニフェストでは、「行政のムダを徹底的になくすことで、財源を確保する」とも明記している。具体的には、①補助金の一括交付等によるムダの排除、②談合・天下りの根絶による行政経費の節減などを行うことにより、15.3兆円の財源を確保し、政策に必要な経費に充てるとしている。(図表2参照)
 このうち年金財源をみてみると、①年金基礎部分への消費税全額投入額として6.3兆円を計上している。これは行政改革等を行った結果の15.3兆円のうち6.3兆円を年金基礎部分に投入することにより、現行の消費税5%分の13.3兆円分を年金にするということを意味する。
 したがって、現行消費税5%分の税収(前述の地方消費税や地方交付税分、老人医療、介護充当分)をそのまま全額、年金財源化するわけではなく、歳出削減による財源確保により消費税収額“相当分”を年金財源にするということになる。この点につき、民主党税調幹部も本誌の取材に対して、「現在の(消費税)4%・1%をそのまま(年金財源として)使うということではない。消費税5%相当分の税を年金財源に充てるということだ」と述べている。
 しかし、この“相当分”の認識についてはマニフェストから汲み取るのはなかなか難しく、民主党税調会長の発言とも矛盾する点がみられることから、マニフェストの内容についてさらに説明が必要になることも考えられる。

MEMO
自民党財革研、「霞が関埋蔵金伝説」の類の域を出ないと反論
 民主党の消費税年金財源化案では、行政改革による財源確保が大前提となる。これに対して自民党財政改革研究会(政調会長の勉強会、与謝野馨会長)は、11月21日公表の「中間とりまとめ」で、民主党案を「霞が関埋蔵金伝説」だと反論した。
 同研究会の園田博之座長は、「民主党の基本政策では補助金の一括交付金化や特別会計の廃止党を行えば巨額の財源が生まれるとの主張があるが、これはまったくナンセンスな議論だ。ムダの排除により得られる財源の規模は小さく、一過性のものであるといわざるを得ない」と述べている。

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