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税務ニュース2004年06月07日 政府税調は歳入強化に長期展望を開けるか?(2004年6月7日号・№069) 「増税の目論見は政治的に困難」との報告に、石会長「複雑な共感」

政府税調は歳入強化に長期展望を開けるか?
「増税の目論見は政治的に困難」との報告に、石会長「複雑な共感」


 政府税制調査会(会長:石弘光一橋大学学長)は、5月25日(火)、第13回基礎問題小委員会を開催し、6月中旬の中間報告に向けて、公共セクターの議論を行った。東京大学の加藤淳子教授の報告「逆進的課税をめぐる政治」では、「総課税負担が低いにも関わらず歳入強化が難しいのではなく、低負担であるからこそ歳入強化が困難」としており、石税調会長は、加藤教授の報告に共感を示しつつも、「制度設計」の困難さ・基本的な戦略論の必要性を記者会見で語った。

「歳入強化への支持」は、政治的に困難
 加藤東大教授の報告「逆進的課税をめぐる政治-OECD18か国の比較研究から得られる含意-」では、「日本への含意」として次のようにまとめている。
(1)日本は高度経済成長期に逆進的課税を強化するタイミングを逸した典型例
(2)先進国中でも極めて低い総課税負担にも関わらず歳入強化が難しいのではなく、低負担であるからこそ歳入強化が困難
(3)財政赤字の増大や他国と比較して少ない総課税負担を世論に訴えても歳入強化への支持が得られる可能性は極めて低い。
 政府税調及び財務省のこれまでの議論は、日本国民が保有する巨大な金融資産及び他国と比較して少ない国民の課税負担を背景にして、歳入強化への支持を取り付けることといっても過言ではなかった。しかし、加藤教授の結論は、「財政赤字や課税負担の低さを世論に訴えても歳入強化への支持が得られる可能性はきわめて低い。」としており比較政治学的な分析とはいっても、これまでの石税調の議論の方向性を根底から覆す内容ともいえるものだ。

基本的な戦略論の必要性を語るが
 石税調会長は、加藤教授の報告にわが国の付加価値税導入時期の問題・低負担に慣れきってしまった国民の意識など、共感を示しながらも、記者会見では「それをどう打破するか」と述べ、より前向きな姿勢が出てくるような基本的な戦略論が必要であるとしてまとめている。
 一方、経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本を調査審議するとされる『経済財政諮問会議』では、5月28日、法人税率引下げを言外の内容とする「法人課税の検討」を骨太の方針の原案に盛り込んだ。
 法人税率の引下げが、現時点で前向きな基本的な戦略とは判断しかねるが、政府税調・経済財政諮問会議の議論からは、一体どちらの方向に日本が踏み出そうとしているのか、皆目検討がつかない。
 国家と地方の巨大な財政赤字に対して、誰が納得できる処方箋を提示できるのか、国民は注目しているが、石税調の前途は、あまりにも多難な状況だ。
 

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