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税務ニュース2004年06月14日 平和事件、最高裁の第1回口頭弁論は6月29日(2004年6月14日号・№070) 解説書は税務当局の公式見解と同一視できるか?

平和事件、最高裁の第1回口頭弁論は6月29日
解説書は税務当局の公式見解と同一視できるか?


 同族会社に対する巨額の無利息貸付について、所得税法157条(同族会社等の行為又は計算の否認等)を適用して同族会社からの受取利息相当額の課税処分を行ったことの適否をめぐるいわゆる「平和事件」については、「正当な理由」の有無を争点とする国側の上告受理の申立が受理された(「T&Amaster」 No.066、8頁参照)。注目の第1回口頭弁論は、6月29日に最高裁で行われる。

争われる原判決
 国側の上告受理申立理由書では、原判決の判断を次のように明らかにしている。
 原判決は、申立人が、本件消費貸借に本件規定(所得税法157条)を適用したことについては違法はないとしたが、本件賦課決定処分(過少申告加算税)については、相手方が受取利息相当額を雑所得を構成するものとして申告しなかったことにつき正当な理由があるとして同処分を取り消した。
 原判決が、相手方につき上記正当な理由があるとする根拠は、国税当局に勤務している者が関与した著作物(「本件解説書」)には、個人から法人に対する無利息貸付けについては課税されないとの見解が記載されており、相手方の税務関係者が国税当局も同様の見解であると解していたことが認められ、これを単なる法解釈についての、不知、誤解ということはできず、過少申告加算税を課することが酷と思料される事情がある、というものである。

国側の上告理由
 国側は、「正当な理由」の意義を「…当該申告が過少となった事由が真にやむを得ない理由によることを要し、納税者の税法の不知又は誤解に基づく場合はこれに当たらないと解される。」とした上で、「本件規定の適用の有無は、正に行為計算の合理性の有無にかかっているのであるから、個人から会社に対する無利息貸付けについて本件規定の適用の有無は、抽象的一般的に論ずることはできない。(中略)このような理解に欠けたまま専門的文献等の記載を誤解したとしても、それは税法の不知ないし単なる誤解というほかはない。」と主張している。 
 また、本件解説書について、国側は、「本件解説書が税務当局の見解を知るための一助となることは否定できないとしても、その意義はそこまでであって、それ以上に税務当局の公式見解と同一視することはできない。(中略)本件解説書が私的な著作物である以上は、正当な理由を基礎づける公式見解と同視し得ないことは明らかである。」として、原判決の誤りを指摘している。
 納税者側は、原判決の「正当な理由」の判断について、「誠に正当なものである。」としており、最高裁では、税理士の実務に密接な論戦が展開されそうだ。
 

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