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税務ニュース2004年07月05日 税理士のずさんな経理処理に6千7百万円の賠償判決(2004年7月5日号・№073) 那覇地裁・税理士の債務不履行と250万円の不当利得認める

税理士のずさんな経理処理に6千7百万円の賠償判決
那覇地裁・税理士の債務不履行と250万円の不当利得認める


 那覇地裁(西井和徒裁判長)は6月22日、那覇市内に住む医師が、青色申告の承認を取り消され追徴課税を受けたのは税務処理上の過失が原因として、税理士を相手に1億3646万円の損害賠償を求めていた事件について、税理士が帳簿類を適正に作成しなかった過失を認め、6707万円の支払いを命じる判決を下した(平成14年(ワ)第985号)。

債務不履行、250万円不当利得
 西井裁判長は、「税理士は、男性が毎月支給した給与を年末に一括払いしたかのように記載した。源泉徴収額の申告、納税も内容的に不可解な点が多く、それらは、那覇税務署長が給与などを必要経費と認定しなかった大きな理由と推認できる」と指摘。「税務代理の契約上の債務不履行は免れない」と判断した。
 また、医師側が着服と主張していた税理士の事務所内に放置されていた現金について「故意あるいは重大な過失によって、少なくとも250万円を原告に返還せずに不当に利得していた」と認定した。
 一方で、青色申告の承認を取り消され、1億3646万円の追徴課税を受けた責任は原告にもあるとして、損害額の半分の過失を相殺した。
 税理士側はこの判決を不服とし、6月25日付けで控訴している。

50%過失相殺に「納得できない」
 原告代理人への取材によると、原告である医師は、毎月の源泉所得税を被告である税理士に送金し、納付を委託していたという。しかし、被告である税理士は故意にこれを納付せず、医師が毎月支給していた給料を年末に一括払いしたかのように経理処理していた。また、被告である税理士が「経理に任せてあったので知らなかった」としている現金250万円についても、「明らかに着服であり、知らないはずがない」と語っている。原告側の主張がほぼ認められた今回の判決内容に関しては納得している模様だが、50%の過失相殺については、「窓口収入に関する“うっかりミス”と税理士の“ずさんな経理処理”が同等とみなされ、納得できない」と話している。
 一方、被告代理人は、今回の判決について次のように述べ、憤りを隠さない。「裁判所の判断はすべて間違っているので控訴した。まず、債務不履行とする理由が判決文に一行も書かれていない。50%の損害賠償を課すなら、何故、“債務不履行”と認定するのか、その意味を明確にしてほしい。また、そこから発生する原告の損害額の査定方法も明確にしてほしい。」
 原告である医師は、被告である税理士側の控訴の意向を知って、「まだ続くのか…。早く終わりにしたい。」とコメントし、疲れ切った様子だという。
 
 

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