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コラム2009年02月16日 【SCOPE】 日本版ESOP、会計上ビークルの信託は子会社に該当せず(2009年2月16日号・№295)

ASBJ、制度導入企業の財産として処理
日本版ESOP、会計上ビークルの信託は子会社に該当せず

 新たな自社株式保有スキームであるいわゆる「日本版ESOP制度」の会計処理の考え方が明らかとなった。企業会計基準委員会(ASBJ)が2月6日に公表した「連結財務諸表における特別目的会社の取扱い等に関する論点の整理」のなかで日本版ESOP制度の会計上の取扱いの考え方を盛り込んでいる(論点整理脚注10なお書き参照)。論点整理によれば、ビークルとして利用する信託については、連結財務諸表上、子会社とはせず、日本版ESOP制度の導入企業の財産として処理することが適当であるとしている。また、この場合には、いわゆる総額法による処理と同様になる。

会計処理の不統一を懸念し、基準諮問会議から検討を要請  日本版ESOP制度に関する会計上の取扱いについては、平成20年7月31日に開催された基準諮問会議において、金融庁が企業会計基準委員会に対して、その検討を要請していたもの(本誌271号参照)。日本版ESOP制度とは、中間法人や信託といったビークルを利用して会社からの拠出金や金融機関等の借入等を用いて、将来、従業員に付与する株式を一括して取得し、当該株式を一定期間保有した後に従業員に付与するという新たな自社株式保有スキームのことである(次頁参照)。

 現在、日本版ESOP制度を導入している企業は少ないが、各社のスキームがほぼ同様であるにもかかわらず、導入企業間で中間法人財産・信託財産やビークルの取扱いなど、会計処理が不統一となっている。このため、金融庁は各社での開示のバラつきを問題視し、実務上の取扱いを統一する必要があるとしたものである。
 また、政府が平成20年10月30日に公表した「生活対策」にも日本版ESOP制度の導入促進のための条件整備が盛り込まれている。これを受け、経済産業省は11月17日、「新たな自社株式保有スキーム」と題する報告書を公表した。
 同報告書は、日本版ESOPの税務・会計・会社法・労働基準法に関する論点を取りまとめたもの。報告書によれば、税務・会社法・労働基準法に関しては、現行制度上の枠組みで活用できる旨が明記されている。ただし、会計に関しては取扱いが明確ではないとされていた。論点としては、たとえば、ビークルとなる中間法人や匿名組合、信託について、連結財務諸表上、子会社に該当するかどうかが挙げられている。

日本版ESOP制度は目的信託に類似  このような状況のなか、企業会計基準委員会は、基準諮問会議の要請を受け、日本版ESOP制度の会計処理についての検討を開始し、2月6日公表の「連結財務諸表における特別目的会社の取扱い等に関する論点の整理」のなかで、日本版ESOP制度の会計処理の考え方を盛り込んだ。
 具体的には、委託者以外の第三者が当初受益者となるもの(いわゆる他益信託)のうち、受益者が信託行為に定められた要件を満たすまで受益権を有しない場合(日本版ESOP制度)は、受益者の定めのない信託(いわゆる目的信託)に類似していると指摘。目的信託については、「委託者がいつでも信託を終了できるなど、通常の信託とは異なるため、原則として、委託者の財産として処理することが適当であると考えられる」(実務対応報告第23号「信託の会計処理に関する実務上の取扱い」Q6のA)とされている。
 このため、委託者が信託の変更をする権限を有しており、委託者である当該企業に信託財産の経済的効果が帰属しないことが明らかであるとは認められない場合には、会計上、委託者である当該企業の財産として処理することが適当と考えられるとしている。この場合には、いわゆる総額法(貸借対照表および損益計算書双方について持分相当額を計上する方法)による処理と同様になり、改めて子会社に該当するか否かについて判定する必要はないとしている。
 なお、同委員会によると、実務対応報告などの開発を行うかなどについては、意見募集の結果を踏まえてからとしている。

MEMO
ASBJ、適格SPCを連結対象とすることを提案
 企業会計基準委員会(ASBJ)2月6日、「連結財務諸表における特別目的会社の取扱い等に関する論点の整理」を公表した(本誌292号参照)。4月13日まで意見募集する。その後、平成21年中に公開草案、平成22年中には正式決定する方針だ。
 特別目的会社については、①特別目的会社は、「資産の流動化に関する法律」(資産流動化法)上の特定目的会社および事業内容の変更が制限されているこれと同様の事業を営む事業体であること、②当該特別目的会社に対して、適正な価額により資産が譲渡されていること、③当該特別目的会社は、譲り受けた資産から生ずる収益を当該特別目的会社が発行する証券の所有者に享受させることを目的として設立されており、当該特別目的会社の事業がその目的に従って適切に遂行されていることの要件を満たす場合には、当該特別目的会社に対する出資者等から独立しているものと認め、出資者等の子会社に該当しないものと推定するとされている。今回の論点整理では、この規定を削除することが考えられるとしている。ただし、引き続き検討するとも明記されている。

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