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解説記事2009年07月27日 【ニュース特集】 平成21年3月期、GC注記の追記情報の記載は79社(2009年7月27日号・№316)

本誌、全国の証券取引所について調査
平成21年3月期、GC注記の追記情報の記載は79社

 東京証券取引所などの5証券取引所およびジャスダック証券取引所に上場している平成21年3月期決算会社のうち、79社の監査報告書において、継続企業の前提(いわゆるゴーイング・コンサーン)に関する注記の追記情報が付されたことが本誌の調べでわかった(今号29頁参照)。理由としては、債務超過や財務制限条項に抵触したことなどが挙げられている。意見不表明の企業は2社(ゴンゾ、ジェイオーグループホールディングス)、不適正意見はなかった。なお、今回の3月期決算会社に関する継続企業の前提に関する注記については、改訂監査基準や4月20日に公布された財務諸表等規則等の一部改正により判断要件が緩和された後に注記されたものである(平松朗ほか・本誌304号19頁、今号12頁参照)。

対応策を講じてもなお“重要な不確実性”があれば注記  企業が作成する財務諸表等は、簡単にいえば企業が未来永劫続くことを前提に作成されている。しかし、公認会計士等の監査報告書は適正意見であったにもかかわらず、企業が倒産する例が後を絶たないといった状況を鑑みて導入されたのが「継続企業の前提に関する注記」である。平成14年1月の監査基準の改訂により導入され、平成15年3月1日以後終了する事業年度に係る連結財務諸表等から適用されている。
 この「継続企業の前提に関する注記」だが、改訂された監査基準や4月20日に公布された財務諸表等規則等の一部改正により、平成21年3月期から注記を行う判断要件が緩和されることになった。昨今の世界的な経済不況のなか、平成21年3月期では、「継続的な営業損失の発生等」「財務制限条項(コベナンツ)への抵触」「債務の返済の困難性」など、多くの企業が注記を行うのではないかといった懸念があった。
 また、国際的な監査基準では、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況が存在するだけで注記が求められるわけではなく、経営者の対応策を検討したうえで判断することとされており、これに対応するため、今回の改正に至ったものである。
4項目の注記  これまでは、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在する場合であれば、財務諸表等において継続企業の前提に関する注記を記載することとされていた。しかし、当該事象または状況を解消し、または改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に重要な不確実性が認められるときに、継続企業の前提に関する注記を行うことになった(参照)。具体的には、①当該事象または状況が存在する旨およびその内容、②当該事象または状況を解消し、または改善するための対応策、③当該重要な不確実性が認められる旨およびその理由、④当該重要な不確実性の影響を財務諸表に反映しているか否かの別を注記することになる。

 なお、今回の判断要件の緩和により、これまで「継続企業の前提に関する注記」が付されたケースの一部については、今後、注記に至らない場合も生じることになる。このため、有価証券報告書の「事業等のリスク」等において、一定の事象や経営者の対応策等を開示(監査対象外)することになっている。

追記情報は119社から79社に減少  本誌編集部が調査したところでは、平成21年3月期決算会社で「継続企業の前提に関する注記」を記載した企業は79社(重複上場を除く)であった。平成21年3月期の第3四半期では119社に継続企業の前提に関する注記の追記情報が付されていたため、数字だけみれば40社減少したことになる。以下、証券取引所別にその概要を紹介する。
東証は32社に追記情報  東京証券取引所では、平成21年3月期決算会社1,780社(7月17日現在で有価証券報告書が未提出のロプロを除く)のうち、32社の監査報告書に継続企業の前提に関する注記の追記情報が付された。なお、ゴンゾ(7月30日付で上場廃止)については、継続企業の前提に関する注記を記載したものの、監査報告書は意見不表明となっている(6頁参照)。
 たとえば、ネクステック、リミックスポイントについては債務超過、フタバ産業、アークについては財務制限条項に抵触していることなどが注記理由とされている。また、ジャパン・デジタル・コンテンツ信託については、4期連続の注記となっている。
大証12社、名証7社、札証1社  大阪証券取引所では、平成21年3月期決算会社765社(7月17日現在で有価証券報告書が未提出のロプロを除く)のうち、12社の監査報告書に継続企業の前提に関する注記の追記情報が付された。なお、ジェイオーグループホールディングス(7月1日付で上場廃止)については、継続企業の前提に関する注記を記載したものの、監査報告書は意見不表明となっている(6頁参照)。
 名古屋証券取引所では、平成21年3月期決算会社286社のうち、7社(重複上場を除く)の監査報告書に継続企業の前提に関する注記の追記情報が付された。また、札幌証券取引所では1社だった。
ジャスダックは27社  ジャスダック証券取引所では、平成21年3月期決算会社551社(7月17日現在で有価証券報告書が未提出のSBIを除く)のうち27社(重複上場を除く)の監査報告書に継続企業の前提に関する注記の追記情報が付された。ジェイ・エスコムホールディングス、ダイヤ通商、日本精密については、4期連続の注記となっている。

ゴンゾ(監査報告書一部抜粋)
監査人:ビーエー東京監査法人

 継続企業の前提に関する注記に記載のとおり、会社は継続して営業損失、当期純損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している。また、当連結会計年度末債務超過の状態であり、当該債務の返済資金の確保に困難が生じる可能性がある。更に銀行借入金の一部について返済期日を経過しており、期限の利益を喪失しているため、継続企業の前提に関する重要な疑義が存在している。また、会社は2連結会計年度連続して債務超過であるため、東京証券取引所の上場廃止基準に抵触しており、上場廃止となる見込みである。当該状況に対する経営計画等は当該注記に記載されているが、現時点では当該計画等が達成されるかどうかは不確実性が高く、達成されると判断できる十分な証拠は得られていない。また、運転資金を確保するための対応策を提示しているものの、一応の評価をすることも困難な状況にある。このため、当監査法人は、継続企業を前提として作成されている上記の連結財務諸表に対する意見表明のための合理的な基礎を得ることができなかった。
 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、上記事項の連結財務諸表に与える影響の重要性に鑑み、株式会社ゴンゾ(旧社名:株式会社GDH)及び連結子会社の平成21年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適正に表示しているかどうかについての意見を表明しない。

 

ジェイオーグループホールディングス(監査報告書一部抜粋)
監査人:監査法人ウィングパートナーズ

 「継続企業の前提に関する注記」に記載されているとおり、会社グループは、前連結会計年度において、事業再編に伴う特別損失を多額に計上したこと等により1,843,950千円の連結当期純損失となり、当連結会計年度においても連結子会社であった企業及び取引先への債権に対する貸倒引当金繰入額の計上、グループ会社の譲渡による売却損の計上、主要連結子会社であったジェイオー建設株式会社(平成21年1月21日に同社の全所有株式を譲渡したことにより、第4四半期連結会計期間期首で連結除外)に対する債権放棄による貸倒損失の計上、および同社の保証債務に対する債務保証損失引当金の計上、並びに同社のたな卸資産評価損の計上等により当期純損失は10,958,638千円と2期連続で損失となった。
 また、営業キャッシュ・フローについても平成18年3月期から3期連続でマイナスの状態が続いている。
 加えて、ジェイオー建設株式会社において、大型物件である「ガーデンモール木津川」の売却代金未入金により資金状況が著しく悪化し、一時的に資金が不足したことから、平成20年6月2日開催の取締役会決議に基づき、民事再生手続開始の申立てを大阪地方裁判所に行い、同日付で保全処分決定、平成20年6月12日付で再生手続開始決定を受けた。この結果、同社の繰延税金資産を全額取崩したため、金融機関からの借入れに関して財務制限条項に抵触することとなった。
 当該状況により、会社には継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているが、当監査法人は経営者から当該状況に対する経営計画等の提示を受けることができなかった。このため、継続企業を前提として作成されている上記の連結財務諸表に対する意見表明のための合理的な基礎を得ることができなかった。
 当監査法人は、上記の連結財務諸表が上記事項の連結財務諸表に与える影響の重要性に鑑み、ジェイオーグループホールディングス株式会社及び連結子会社の平成21年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適正に表示しているかどうかについての意見を表明しない。

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