コラム2009年11月30日 【SCOPE】 新優遇措置で利用実績が増えるエンジェル税制(2009年11月30日号・№332)
12月中の確認申請なら来年の確定申告に間に合う!
新優遇措置で利用実績が増えるエンジェル税制
エンジェル税制の利用実績が増加しているようだ。平成20年度におけるエンジェル税制対象企業の確認申請を行った企業数は84社と前年度の28社を大きく上回った。また、投資額も平成20年度だけで10億5,100万円と大幅に増加している。エンジェル税制適用の増加の背景には、平成20年度税制改正において、ベンチャー企業への投資額の所得控除が認められたことがある。ベンチャー企業がエンジェル税制の対象になるかどうかの事前確認については、平成21年中に申請を行えば、来年の確定申告に間に合う。適用を考えている企業は留意したい。
所得控除の優遇措置はインパクト大 エンジェル税制とは、ベンチャー企業による個人投資家からの資金調達をサポートするために創設された優遇税制措置のことで、ベンチャー企業の株式を金銭の払込みにより取得した個人については、投資時点と売却時点において優遇措置を適用することができる。平成9年度に創設された。
従来は譲渡益との損益通算のみ しかし、利用実績については、低迷しており、創設から平成19年度まででエンジェル税制の対象になるかどうかの確認申請を行った企業は133社、投資額も約40億円にとどまっていた。
このような状況を受け、平成20年度税制改正では、従来のベンチャー企業への投資額全額を、投資を行った年の他の株式譲渡益から控除できる優遇措置に加え、ベンチャー企業への投資額(ただし、5,000円を控除)について、投資を行った年の総所得金額から控除する優遇措置との選択適用が可能になった(控除対象となる投資額の上限は総所得金額の40%と1,000万円のいずれか低い方)。
たとえば、総所得金額1,000万円、ベンチャー企業への投資額500万円、株式譲渡益100万円がある場合、従来の優遇措置であれば100万円を株式譲渡益から控除できただけだったが、新しい優遇措置であれば、399.5万円を総所得金額から控除することが可能になる。
また、優遇措置を適用できる対象者も株式譲渡益を有する人だけでなく、格段に拡がることになった。エンジェル税制にとっては大きなインパクトを与える改正だったといえそうだ。
確認期間は2週間から1か月 使い勝手のよくなったエンジェル税制だが、すべてのベンチャー企業への投資が対象になるわけではない。①中小企業者であること、②外部からの投資を1/6以上取り入れている会社であること、③大規模法人(資本金1億円超等)グループの所有に属さないこと、④未上場の株式会社で、風俗営業等に該当する事業を行う会社でないことなどの一定の要件が必要になる。加えて、たとえば、前述の所得控除が可能になる優遇措置の適用となるベンチャー企業の場合の要件は、表のとおりとなっている。
エンジェル税制の対象企業かを確認
また、ベンチャー企業がエンジェル税制の対象となるかどうかについては、ベンチャー企業が資金調達の前後に経済産業局に確認することができる。ベンチャー企業がエンジェル税制の対象企業であることを確認した場合には、経済産業大臣(経済産業省)は事前確認書を発行するとともに、その旨を経済産業局のホームページで公表することとしている。このため、事前にエンジェル税制の対象企業であることが確認できることになり、投資家から資金調達をスムーズに行うことができる。なお、エンジェル税制申請から確定申告までの流れは図のとおりとなっている。
確認書等を確定申告書に添付
この確認申請だが、経済産業局によると、確認までには2週間から1か月程度の期間を要するとしている。事前確認を行う場合には、①申請書、②定款、③登記事項証明書、④申請日直前年度までの各年度の財務諸表、⑤申請日直前年度の確定申告書別表(二)、⑥申請日時点の株主名簿、⑦申請日時点の組織図、⑧常時使用する従業員数を証する書面(雇用保険、労働保険等に関する書類等)、⑨申請直前年度までの各年度の営業キャッシュ・フロー計算書、設立の日における貸借対照表、⑩直前年度の確定申告書別表第一(一)(税理士の署名押印のあるもの)、⑪法人事業概況説明書、⑫法人設立届出書、⑬事業計画書、⑭その他必要書面とされている。
確認申請を受けた場合には、投資家に対して、①経済産業大臣の確認書、②投資契約書、③投資家が一定の個人に該当しないことの確認書を交付することになる。投資家については、確定申告において、交付されたこれらの書類を提出することになる。なお、来年の確定申告に間に合うようなスケジュールを立てるとすれば、ベンチャー企業サイドとしては、12月末までに確認申請する必要がありそうだ。
新優遇措置で利用実績が増えるエンジェル税制
エンジェル税制の利用実績が増加しているようだ。平成20年度におけるエンジェル税制対象企業の確認申請を行った企業数は84社と前年度の28社を大きく上回った。また、投資額も平成20年度だけで10億5,100万円と大幅に増加している。エンジェル税制適用の増加の背景には、平成20年度税制改正において、ベンチャー企業への投資額の所得控除が認められたことがある。ベンチャー企業がエンジェル税制の対象になるかどうかの事前確認については、平成21年中に申請を行えば、来年の確定申告に間に合う。適用を考えている企業は留意したい。
所得控除の優遇措置はインパクト大 エンジェル税制とは、ベンチャー企業による個人投資家からの資金調達をサポートするために創設された優遇税制措置のことで、ベンチャー企業の株式を金銭の払込みにより取得した個人については、投資時点と売却時点において優遇措置を適用することができる。平成9年度に創設された。
従来は譲渡益との損益通算のみ しかし、利用実績については、低迷しており、創設から平成19年度まででエンジェル税制の対象になるかどうかの確認申請を行った企業は133社、投資額も約40億円にとどまっていた。
このような状況を受け、平成20年度税制改正では、従来のベンチャー企業への投資額全額を、投資を行った年の他の株式譲渡益から控除できる優遇措置に加え、ベンチャー企業への投資額(ただし、5,000円を控除)について、投資を行った年の総所得金額から控除する優遇措置との選択適用が可能になった(控除対象となる投資額の上限は総所得金額の40%と1,000万円のいずれか低い方)。
たとえば、総所得金額1,000万円、ベンチャー企業への投資額500万円、株式譲渡益100万円がある場合、従来の優遇措置であれば100万円を株式譲渡益から控除できただけだったが、新しい優遇措置であれば、399.5万円を総所得金額から控除することが可能になる。
また、優遇措置を適用できる対象者も株式譲渡益を有する人だけでなく、格段に拡がることになった。エンジェル税制にとっては大きなインパクトを与える改正だったといえそうだ。
確認期間は2週間から1か月 使い勝手のよくなったエンジェル税制だが、すべてのベンチャー企業への投資が対象になるわけではない。①中小企業者であること、②外部からの投資を1/6以上取り入れている会社であること、③大規模法人(資本金1億円超等)グループの所有に属さないこと、④未上場の株式会社で、風俗営業等に該当する事業を行う会社でないことなどの一定の要件が必要になる。加えて、たとえば、前述の所得控除が可能になる優遇措置の適用となるベンチャー企業の場合の要件は、表のとおりとなっている。


確認申請を受けた場合には、投資家に対して、①経済産業大臣の確認書、②投資契約書、③投資家が一定の個人に該当しないことの確認書を交付することになる。投資家については、確定申告において、交付されたこれらの書類を提出することになる。なお、来年の確定申告に間に合うようなスケジュールを立てるとすれば、ベンチャー企業サイドとしては、12月末までに確認申請する必要がありそうだ。
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