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解説記事2010年08月02日 【ニュース特集】 平成22年3月期、GC注記の追記情報の記載は59社(2010年8月2日号・№365)

本誌、全国の証券取引所について調査
平成22年3月期、GC注記の追記情報の記載は59社

 東京証券取引所などに上場している企業の平成22年3月期決算会社では、59社(重複上場は除く)の監査報告書において、継続企業の前提(いわゆるゴーイング・コンサーン)に関する注記の追記情報が付されたことがわかった(今号6頁以下参照)。平成21年3月期決算では79社に継続企業の前提に関する注記の追記情報が付されていたが、20社減少したことになる。なお、意見不表明や不適正意見はなかった。

平成21年3月期から継続企業の前提に関する注記の判断基準が緩和  世界的な経済不況のなか、平成21年3月期では、「継続的な営業損失の発生等」「財務制限条項(コベナンツ)への接触」「債務の返済の困難性」など、多くの企業が継続企業の前提に関する注記を行うのではないかといった懸念があった。また、国際的な監査基準では、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況が存在するだけで注記が求められるわけではなく、経営者の対応策を検討したうえで判断することとされている。
 このため、企業会計審議会では監査基準を改訂し、これに伴い金融庁は、財務諸表等規則等を一部改正し、平成21年3月期から継続企業の前提に関する注記の判断基準を緩和している。
重要な不確実性があれば注記へ  従来は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在する場合であれば、財務諸表等において継続企業の前提に関する注記を記載することとされていた。
 しかし、当該事象または状況を解消し、または改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に重要な不確実性が認められるときに、継続企業の前提に関する注記を行うことになった(参照)。

 具体的には、①当該事象または状況が存在する旨およびその内容、②当該事象または状況を解消し、または改善するための対応策、③当該重要な不確実性が認められる旨およびその理由、④当該重要な不確実性の影響を財務諸表に反映しているか否かの別を注記することになる。
 なお、今回の判断要件の緩和により、これまで「継続企業の前提に関する注記」が付されたケースの一部については、今後、注記に至らない場合も生じることになるため、有価証券報告書の「事業等のリスク」等において、一定の事象や経営者の対応策等を開示(監査対象外)することになった。

追記情報は79社から59社に減少  本誌が調査したところでは、平成22年3月期決算会社で「継続企業の前提に関する注記」を記載した企業は59社(重複上場は除く)であった。平成21年3月期での79社からは20社減少したことになる。以下、証券取引所別にその概要を紹介する。
東証は22社に追記情報  東京証券取引所では、平成22年3月期決算会社1,741社(7月26日現在で有価証券報告書が未提出のシニアコミュニケーションおよび日本風力開発を除く)のうち、22社(平成21年3月期は32社)の監査報告書に継続企業の前提に関する注記の追加情報が付された。
 たとえば、フライトシステムコンサルティング、リミックスポイント、日本インター、大和システムについては債務超過であることが注記理由とされている。
 また、エムジーホームについては今後のマンション需要回復の不透明性が会社の資金繰りの影響を及ぼす可能性があることなどを注記理由に挙げている。
 なお、ベリテについては4期連続の注記となっている。
大証は9社に追記情報  大阪証券取引所では、平成22年3月期決算会社705社のうち、9社(平成21年3月期は12社)の監査報告書に継続企業の前提に関する注記の追記情報が付された。
 たとえば、塩見ホールディングス、シンワオックスについては債務超過であることが注記理由とされている。
 なお、東邦グローバルアソシエイツは調査可能な平成17年3月期から6期連続、シンワオックスは5期連続の注記となっている。
5期連続の注記も  ジャスダック市場では、平成22年3月期決算会社535社のうち重複上場のアークを除く19社(平成21年3月期は27社)の監査報告書に継続企業の前提に関する注記の追記情報が付された。
 たとえば、カラカミ観光については財務制限条項の抵触、プラコーは平成22年7月以降の資金繰りが不確実な状況になることなどが注記理由となっている。
 なお、ジェイ・エスコムホールディングス、ダイヤ通商については、5期連続の注記となっている。
名証は8社に追記情報  名古屋証券取引所では、平成22年3月期決算会社268社のうち、重複上場のエナジーホームを除く8社(平成21年3月期は7社)の監査報告書に継続企業の前提に関する注記の追記情報が付された。
 なお、天竜木材については、調査可能な平成17年3月期から6期連続の注記となっている。
アンビシャスで1社、福証はなし  また、札幌証券取引所では、平成22年3月期決算会社15社のうち、SEメディアパートナーズ(現アキナジスタ)(平成21年3月期は1社)の監査報告書に継続企業の前提に関する注記の追記情報が付された。
 なお、福岡証券取引所上場会社では監査報告書に継続企業の前提に関する注記の追記情報が付された企業はなかった。

用語解説
継続企業の前提の注記
 企業が作成する財務諸表等は、簡単にいえば企業が未来永劫続くことを前提に行われている。しかし、公認会計士等の監査報告書は適正意見であったにもかかわらず、企業が倒産する例が後を絶たないといった状況に鑑みて導入されたのが「継続企業の前提に関する注記」である。平成14年1月の監査基準の改訂により導入され、平成15年3月1日以後終了する事業年度に係る連結財務諸表等から適用されている。

COLUMN
GC注記を監査法人別にみたらどうなる?
 本誌編集部が調査したところでは、平成21年4月期決算会社~平成22年3月期決算会社で継続企業の前提に関する注記の追記情報を付された企業は121社にのぼっている(下表参照)。
 監査法人別にみると、あずさ監査法人と新日本有限責任監査法人がそれぞれ10社、有限責任監査法人トーマツが9社に対して追記情報を付している。以下、清和監査法人が8社、三優監査法人が6社、東陽監査法人が5社、明誠監査法人、フロンティア監査法人、アスカ監査法人、監査法人元和がそれぞれ4社に追記情報を付している。


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