税務ニュース2004年10月04日 公益通報者保護法における通報対象となる法律に税法は含まれず(2004年10月4日号・№085) 平成18年4月1日施行が有力に

公益通報者保護法における通報対象となる法律に税法は含まれず
平成18年4月1日施行が有力に


 公益通報者保護法が6月18日に公布された。企業不祥事が内部告発により発覚することが相次ぐ中、労働者などが公益のために通報したことを理由として、解雇等の不利益な取扱いを受けることがないようにするもの。同法は施行後にされた公益通報に適用されるが、施行日は平成18年4月1日とする方向で検討していることが明らかとなった。また、同法の通報対象となる法律には法人税、所得税などの税法は含まれないことも分かった。

12月頃を目処に政令案を公表
 同法の保護対象となるのは、企業の従業員や派遣労働者、下請企業の従業員、公務員など。公益通報をしたことを理由とする解雇の無効、労働者派遣契約の解除の無効、その他の不利益な取扱いを禁止することを定めている。また、通報対象となる法律は、刑法、食品衛生法、証券取引法、JAS法、大気汚染防止法、廃棄物処理法、個人情報保護法の他、「個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として政令で定めるもの」となっている。
 現在、内閣府では、施行日を定める政令及び対象法律を定める政令について検討中であり、12月頃を目処に政令案を公表する予定だ。同法の施行日については、公布日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日となっているが、現時点では、平成18年4月1日とする方向で検討が行われている。
 また、政令で定められる通報対象となる法律では、法人税、所得税などの各税法が対象から外れる方向であることが分かった。内閣府によれば、脱税などによる被害は国が受けるものであり、個人の生命又は身体の保護など、通報対象となる要件に該当しないと説明している。ただ、税法を対象外とすることへの批判や衆議院及び参議院の内閣委員会で付された附帯決議では、通報対象事実の範囲について、5年後を目途に見直しを行うとされていることから、今後の動向に注目したい点だ。

企業側は早急にヘルプラインなどの設置を
 なお、前述の政令が平成17年3月末には確定する予定。政令制定後には、民間事業者向けの通報処理ガイドライン、行政機関向けの通報処理ガイドラインを作成する他、平成17年4月頃を目処に立法の趣旨や逐条解説等を内容とする解釈指針を策定する予定。また、公益通報者保護法の周知徹底に向け、各種説明会を開催するとしている。
 一方、通報先の対象にもなっている企業に関しては、社内通報の窓口であるヘルプラインなどを早急に設置する必要に迫られることになるので留意したい点だ。
 

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